魔王と親友と紫電   作:刀好きの第六人

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パーティの裏

蓮二達が戦争参加への表明を終えた後、彼等は教会のある【神山】と呼ばれる山からまさに神の使徒のように天からハイリヒ王国と呼ばれる国家の王宮の高い塔迄を絢爛な道をイシュタルが魔法で生み出しロープウェイの様に進んできた蓮二達は、王国に温かく迎えられ、神の使徒を歓迎する晩餐会に出ていた。

 

蓮二は沙羅と共に、食事を載せた皿と飲み物の入ったグラスを持って会場の外のベランダに出て外から会場内を見ていた。

 

本当はハジメも連れてきたかったが、香織に捕まっていた為に仕方ないと置いてきている。

 

会場内を見ていると、この国の貴族のような人達から話しかけられ、生徒達が浮足立っているような姿が見受けられた。

 

更にはその息子や娘達も彼らを囃し立てている所から沙羅は溜息を吐きながら蓮二に問いかける

 

「あの貴族達。何考えていると思う?」

 

「良かった、これで私と息子達も戦争に参加せずに済む。なんともまあ便利な存在が現れてくれたよ……ってか」

 

「大方そうでしょうね……反吐が出るわ」

 

蓮二と沙羅はこのハイリヒ王国の貴族達に辟易していた。

 

他者を戦争の駒に仕立て上げておきながら自分達は高みの見物をしようとしている。

 

しかも相手は異世界からの子供。誰からも糾弾や抗議されない都合のいい存在だと認識されているだろう。

 

そう推測する二人はそそくさと出てきて正解だったと思いつつ、食事をとりながらこれからの事を話す。

 

「沙羅先生はこれからどうするか考えてますか」

 

「そうねぇ……先ずは知識ね。この世界の知識を得てからじゃないと何も出来ないわ。戦う事なんて誰でも出来るし、そんなのただの道具でしかないわ」

 

「なら俺は街に出て情報収集します」

 

「頼むわ」

 

蓮二が沙羅と作戦を立てていると、二人の元一人の少女がやってくる。

 

黄金のストレートヘアを靡かせ、豪華なドレスを纏っては上品な佇まいを見せる彼女はリリアーナ・S・B・ハイリヒという。

 

リリアーナは意気消沈しながら、問いかける。

 

「お二人とも、今宵のパーティは楽しんでらっしゃ……りませんよね」

 

彼女は暗い顔を見せながら二人に申し訳なさそうにしている。

 

「元々私達の戦争なのにも関わらず、勝手に呼び出して戦わせようなんてする私達を好意的には見てくれませんよね……」

 

「まあ、な。誘拐されて兵士にされてはい殺し合えなんて言われれば誰だってアンタらを敵として見ちまうよ」

 

「そうね、私も今のところは好意的には見れないわ。なにせ私たちを戦いの駒として見てない人達の為に戦いに挑ませられるんだから」

 

思わず悪態をつく二人。無理もない、パーティを見る限り国として困窮してない裕福そうな国の為に呼び出された身としては頼るなと言いたいからだ。

 

特に貴族達の生徒達を見る目が嫌だった。殆どの生徒達が気づいていないが、貴族達の殆どが自分たちを人として見ていない。

 

何人かと話してみて、そうではなく、本当に申し訳ない気持ちで居る貴族達も居たには居たが、それを上回るほどにクズ共が多かった。

 

「本当に……申し訳ありません……私達が至らぬばかりに、貴方達異世界の人達を誘拐なんてしてしまって…」

 

リリアーナは目に涙を溜めながら、謝罪の言葉を伝えてくる。リリアーナは本当は蓮二達を呼ぶような真似はしたくなかった。トータスの問題はトータスに住む者たちで終わらせないといけない。この様に異世界からの強制的な呼び出しは人として嫌だった。

 

だからこそリリアーナは生徒達一人一人の心を見ていこうと決めたのだ。

 

そんな中で蓮二と沙羅の率直な発言は、胸に突き刺さり、申し訳なさが勝ってしまい涙を流す。

 

「あー。蓮二が女の子泣かせたぁ」

 

「……否定できないのが辛い」

 

「ほら、慰めてあげなさい。女を慰めるのは男の仕事よ」

 

「分かってるって」

 

沙羅に背中を押されて、リリアーナの前に立つ蓮二は気まずそうにしながら口を開く。

 

「あー……なんだ、その、リリアーナさん自体は悪くねぇよ。悪いのは神託を何も疑わずに実行した奴だろうし。それにアンタみたいな優しくい人が居てくれて俺は助かったと思ってる」

 

「助かる…ですか?」

 

「ああ。まあアンタを利用する形にはなるが、こちらの意を汲んでくれる人が少なからず居てくれる事はこちらとしても活動しやすいしな」

 

「…正直なんですね」

 

「何事にも素直にってのが好きでね。生き難かろうが自分らしさを持っていたいのさ」

 

「…ふふ、面白い人ですね」

 

蓮二のモットーに対して思わず笑みが出るリリアーナをまじまじと見つめる。

 

「な、なんでしょうか?」

 

「やっぱり笑顔が似合うな」

 

「ふぇ!?な、なな、何を急に!?」

 

蓮二の裏表ない発言にリリアーナは生まれてから貴族達との会話で作り上げられていた仮面が思わず剥がれ素であろう乙女な部分を見せる。

 

「そ、その、えっと、お名前は…?」

 

「蓮二です。新宮蓮二」

 

「蓮二様は……その笑顔が似合う女性が好きなんですか?」

 

リリアーナが頬を赤く染めながらの問いかけに蓮二は答える。

 

「まあ、一緒に居られるのなら笑顔が素敵な人が良いかな。ま、一番理想なのは一緒に居て気楽で居られる人だけどな」

 

ここで蓮二は沙羅みたいにとは言わない。某漫画の主人公みたいに鈍感ではなく、リリアーナが蓮二に対して興味を持ち始めている事に気付いていることもあり、正直に話した。

 

「そうですか……!あ、そうです!今度お茶会に参加してもらえないでしょうか?異世界の事を知りたいです!」

 

「それくらいなら構いませんよ」

 

「ありがとうございます!」

 

パアッと満面の笑みを見せたリリアーナは他にも話に行かないと行けない人がいるといい、蓮二の元から去っていく。その背中を見届けた蓮二が沙羅の元に戻ると、さらは半目かつムスッと怒っている。

 

「ふーん…蓮二ってああいう女の子がタイプだったんだ」

 

沙羅が怒っている理由が大体分かる蓮二は彼女に対して思っている事を述べる。

 

「んー……まあ笑顔が素敵な人と気楽に居られる人が好きなのは有ってるけどさ、それって沙羅先生といる時が一番感じていますからね」

 

「あら?それは口説いてるの?」

 

「ええまあ。『ロウ』が亡くなったあの日から俺は先生に惚れているのかもですね」

 

「……えっ?」

 

蓮二の発言に思わずどきりとする沙羅。

 

「ふ、ふーん。そうなの…困るわね、私達教師と生徒なのよ?」

 

髪の毛を弄りながらもどこか嬉しそうにしている沙羅に、蓮二は思わず可愛いと思いながらも話す。

 

「別に、卒業したらそこは解決されるし大丈夫でしょ。それにここは異世界だし、日本とは常識が違うから」

 

「でも私と蓮二の歳って9歳も違うのよ?蓮二が大人になる頃には私オバさんよ?」

 

「別に歳なんて関係ないと思うけど、それに『ロウ』も沙羅先生が良いって言うし……それに下手な女の子だと『ロウ』が怒るんだよ」

 

「あー。『ロウ』ちゃんは確かに怒るわね。私の時は構って構ってって来るけど、他の人にはそうでも無かったし。……本当に私で良いのかしら?私休みの日は酒飲みよ?」

 

「ならツマミとか作りますよ」

 

「基本的に家事とか出来ないわよ私」

 

「料理とか家事は家で良くやるんで大丈夫です」

 

「え、えっと……私我が儘よ?それも振り回す位には。それでも良いの?」

 

「構いません。俺はそんな先生に救われたんですから」

 

蓮二は『ロウ』が亡くなった時に、一番辛かった時の事を思い出す。

 

半身を無くしたかの様な虚無感に襲われて何も出来なかった自分を、無理矢理外に連れ出しては遊びに行った時の事を。その時の沙羅といた事で自分は立ち直れて前に進めたんだと思っているからこそ、蓮二は沙羅の事を想っていた。

 

「俺、多分沙羅先生の事好きなんです。だから、その……」

 

付き合ってください。その一言を伝えたいのに伝えることが出来なかった。何故ならその時、沙羅からキスをされて唇を塞がれたからだ。

 

ほんの少しの間のキスだったが、蓮二は非常にドキドキしながらも答えを貰った事に嬉しさを感じていると、沙羅が告げる。

 

「私の答えはこれだけど、今は他に沢山やる事があるから、恋人らしい事は暫くお預けよ。いい?」

 

「はい!」

 

勢いよく返事をする蓮二に沙羅はよろしいと言うと、グラスに入った飲み物を飲み干す。

 

二人はその後、パーティの事なんてお構いなしに二人の時間を楽しみながら食事を堪能しだした。

 

そんな二人をパーティ会場内から見ている人物が居た。それは雫で、彼女はふと二人が居ないことに気付いて探して見つけた時には、二人がキスしている所を見てしまった。

 

「嘘……蓮二が先生とキスしてる……」

 

雫は二人のキスを見て、心がズキリと痛む。苦しい、こんな思いは初めてだと言わんばかりに辛くなり、胸を押さえていると、沙羅と目が合う。沙羅は雫に対して勝利の目つきを見せてくる。

 

それは、この男は私のものになった。お前には渡さんと言わんばかりのものだった。

 

(……絶対に先生の元から蓮二を取り戻す!)

 

雫は二人のキスと沙羅の挑発に思わず決意する。

 

それは一人の女として、蓮二が今の自分の心の支えになっているからこそ共に生きたいと思っている雫だからこそ沙羅と戦う事を決め、二人の元に歩んでいく。

 

そんな彼女を、親友である香織と、香織の側から離れさせてくれなくてリリアーナの弟に敵意を持たれていたハジメが見ていた。

 

「ねえハジメ君」

 

「何?白崎さん?」

 

「あれ絶対修羅場になるよね」

 

「……うん」

 

香織は雫ちゃん頑張れと応援し、ハジメは蓮二にご愁傷様と心の中で祈るしかなかった。

 

 

その頃、食事を堪能している蓮二と沙羅の元に雫が来ていた。

 

「「………」」

 

(なにこれ?)

 

雫が来るや否や沙羅を睨みつけ、沙羅もまた睨むという一触即発の状況が生まれていた。

 

「あ、あの」

 

「「蓮二は黙ってて!」」

 

「あ、ハイ」

 

二人の剣幕に押されて何も言えなくなる蓮二を他所に二人の話が始まる。

 

「さっき蓮二とキスしてましたよね?あれはどういう事ですか?」

 

「あれは蓮二が私に愛の告白をしてくれたからよ」

 

「それ、無理矢理じゃないですよね?」

 

「勿論自分の意思よ」

 

「……」

 

雫は何を想ったのか蓮二を見て近寄る。

 

「な、なんでしょうか?」

 

雫から漏れるオーラに気圧されながら蓮二が思わず敬語で質問を投げかけると、更に威圧感を出しながら話出す。

 

「久遠寺先生に告白したのは本当?」

 

「あ、ああ。うん。そうだけど…」

 

「じゃあ私もするね」

 

「えっ」

 

一体何をと言う前に蓮二はまたも唇で塞がれる。

 

2回目のキスに驚きながらも、雫は蓮二と沙羅に告げる。

 

「私は蓮二の事が好きです。だから久遠寺先生から蓮二を奪い取ります」

 

まさかの略奪愛を見せつける雫に対して、沙羅は面白いと言わんばかりに不敵な笑みを見せる。

 

「やってみなさい。蓮二は渡さないから」

 

「取られて後悔しないでくださいね」

 

視線の先でばちばちと火花が散り、お互いに不敵な笑みで見つめる二人を他所に蓮二は

 

「女って怖い……」

 

二人の威圧感に気圧されていたのだった。

 




どうしてこうなったリリアーナさんに雫さん……まあ雫さんは原作でもハジメ君が心の支えになってる時点で恋心か何かを持っていたし……こうなってもおかしくは無いですよね…(苦笑)

よし、四角関係作るか(ゲス)
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