魔王と親友と紫電   作:刀好きの第六人

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ステータス

翌日王宮の練兵場に集められた蓮二達は小型のスマートフォンの様な銀色のカードを渡されると、何人もの騎士を連れた騎士団の団長である厳つい男、メルド・ロギンスから説明が入る。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化してくれるものだ。このトータスでは最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪快ながらもフランクで「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告してくれた。

 

 蓮二もその方が気楽で良かった。年上の人達から慇懃な態度を取られるとこちらとしては敵意を向けてしまい『狼牙』が妖気を振り撒く心配が無くなるからだ。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。ステータスオープンと言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ?そんなもん知らないからな。アーティファクトの類だ」

 

「アーティファクト?」

 

 アーティファクトという聞き慣れない単語に光輝が質問をする。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。このステータスプレートは複製できるアーティファクトとして昔からこの世界に普及しているんだ」

 

蓮二はメルドの説明に地球で言う所謂オーパーツかと思いながら針で指を刺し、血をステータスプレートに垂らすと、銀色だったプレートは赤黒く変色し、血管の様な赤いラインの入る禍々しいプレートへと変化する。

 

 

そしてステータスが表示される

 

 

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新宮蓮二 17歳 男  半人半妖 レベル:1

天職:妖刀師

筋力:250

体力:300

耐性:110

敏捷:450

魔力:0

魔耐:200

妖力 : 1500

妖耐:2000

技能:抜刀術・妖刀制御・神速・煉獄・妖力操作・真名解放・限界超越・妖気覚醒【ロウ】・ウォークライ・勇士の誇り・言語理解

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(へぇ……こうなるのか……てか半人半妖ってなに!?)

 

蓮二は自分のステータスを見ながらこれは強いのかと思っていつつ、半人半妖に顔を顰めていると、沙羅がこちらに来ていた。

 

「蓮二。ステータスを見せてくれないかしら?私も見せるから」

 

「構いませんよ」

 

二人はステータスプレートを交換する。沙羅のプレートは紫色だった。

 

 

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久遠寺沙羅 25歳 女 レベル:1

天職:遊撃師

筋力:90

体力:130

耐性:100

敏捷:400

魔力:350

魔耐:200

技能:剣術【+片手剣適正】・銃術【+拳銃適正】・戦術眼・雷迅功・一刀一銃・紫電・雷魔法適正・光魔法適正・ウォークライ・遊撃士の誇り・言語理解

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(あれ?沙羅先生と俺のステータス全然違う)

 

蓮二は疑問に思う。自分のステータスには妖力と妖耐いう不思議な物が有るのに、彼女にはない事を不思議に思っていると、沙羅が蓮二に問いかける。

 

「ねえ。この妖力と妖耐ってもしかして……」

 

「多分『ロウ』ですね」

 

蓮二は肩に下げている『狼牙』と腰に巻いている『狼黒』に視線を向ける。

 

「『ロウ』は一心同体ですから。多分この二つの力も少しばかり反映されているんだと思います。それになんか半人半妖って文字も付いてますし…」

 

「となると蓮二のステータスって見せると大変かもね」

 

沙羅はメルド達と生徒達の方を見る。

 

向こうでは光輝のステータスを見てメルドが驚いている。勇者とも言っている事からかなりのステータスだろう。しかし。

 

「全部のステータス100って言ってる所から、私達の見せたら卒倒するかもね」

 

苦い顔で言う沙羅に、蓮二は同調していると、一人の騎士が此方へと向かってきていた。

 

その人物は一眼見れば見目麗しく、姫騎士の様なドレスアーマーを着た茶色い髪の女性だった。

 

「使徒様。どうかなされましたか?」

 

彼女は蓮二と沙羅を心配して来てくれたのか、心なしか不安そうな表情を見せていた。

 

「いえ、なんでも無いですよ」

 

「そうでしたか……昨日も貴方方は離れた距離から私達を見ていたので、何か有ったのかと……あ、申し遅れました。私はデュエラ・ロギンス。あの馬鹿親父の娘をしております」

 

デュエラの自己紹介を聞いて、蓮二と沙羅は驚く。まさかあのメルドに娘が居たとは知らなかったからだ。

 

更に言えば、全然似ていないところから、彼女は母親似なのだろうと推測しながら蓮二が見ていると、デュエラが首を傾げた?

 

「使徒様 ?」

 

「ああすまない。全然似てなくてつい」

 

蓮二が正直に伝えると、デュエラはクスリと笑う。

 

「確かにそうですよね。私はよく似てないと言われます。ですがまごう事なき血縁です」

 

「まあそこは疑いはしませんが……ああ、俺は新宮蓮二。蓮二でいい」

 

「私は久遠寺沙羅。私も沙羅で良いわ」

 

「蓮二さんに沙羅さんですね。私の事もデュエラとお呼びください。それで一体どうしたんですか?なんだか苦い顔をしておりましたが……」

 

デュエラが問いかけると、沙羅がバツの悪そうに話す。

 

「ちょっとね。私達のステータスを見せたらメルドさん卒倒するんじゃないかしらって思って……」

 

沙羅がそう言うと、デュエラは成る程と頷き、察してくれたのか、柔らかな笑顔で話す。

 

「でしたら私が見ますね」

 

「えっ?良いんですか?」

 

「ええ。こう見えて私、ステータスは高い方なので……そうですね父の数倍は有りますから」

 

嘘偽りない笑みを見せながらデュエラはステータスプレートを見せてくる。

 

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デュエラ・ロギンス 20歳 女 レベル:40

天職:騎士

筋力:950

体力:700

耐性:650

敏捷:250

魔力:500

魔耐:350

技能:大剣術・怪力無双・天性の肉体・剛招来・限界突破・言語理解

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「これはまた凄い……」

 

「これを見たら私たちなんてまだまだね」

 

蓮二と沙羅は上には上がいる事を知って安心したのか、デュエラにステータスプレートを見せると彼女はふむふむと頷く。

 

「確かにレベル1からこれだと父なら卒倒しますね。特に蓮二さんの妖力と妖耐なんて聞いたことがありませんし……分かりました。二人の確認は私がした事にしておきます」

 

「ありがとうございます」

 

「助かるわ。下手に目立ちたくないしね」

 

「それではこれから二人の訓練をどうするか考えましょうか。他の方のステータスより高い分、かなりキツめな訓練でも……ん?」

 

「どうしました?」

 

「何やら向こうが騒がしくて……」

 

デュエラの琴線に触れた事が起きたのか、嫌悪感溢れる表情を見せている。

 

「訓練内容を考える前に彼方に向かっても良いでしょうか?」

 

「構いません。蓮二も大丈夫かしら?」

 

「ああうん。俺もついて行くつもりだし」

 

「ありがとうございますお二人とも。行きましょう」

 

デュエラ先導の下、メルド達の元に行くと、ハジメを囲む様に四人の男子生徒が何やら言っている姿が見える。更には一部を除き、ハジメを嘲笑している生徒達の姿を見た蓮二は思わず何事だと問いただす。

 

「おい。何をしている」

 

蓮二の睨みを効かせた問いかけにハジメを囲んでいた一人の男子生徒『檜山大介』が笑いながら答える。

 

「南雲の奴、一般人と同じステータスな上に錬成師なんて言う非戦闘員なんだぜ!これが笑っていられ…げ!新宮!?」

 

檜山は誰からの問いかけに気づいていなかったのか、蓮二を見て狼狽える。

 

「おい…何故ハジメを笑った?答えろ」

 

「な、なんだよ新宮!?お前クラス違うんだから関係ないだろ!」

 

檜山の言い分に生徒達、特にハジメを囲む男子生徒達はそうだそうだと言ってくるが蓮二はそれを無視してハジメに話掛ける。

 

「錬成士なんだって?」

 

「う、うん…」

 

自信なさげに答えるハジメに蓮二はテンション上げながら肩を組む。

 

「やったじゃねえか!お前この世界で発明王になれるぞ!」

 

「えっ!?蓮二どういうことなの!?」

 

親友の高いテンションについていけないハジメは蓮二に問い掛けると、自信満々に答える。

 

「あん?決まってんじゃん。生産系天職って事はよ。何でも作り放題だって事じゃねえか。それこそ金を錬成したり、アニメとかであるような武器だって作れるってことだろ?それこそビームのライフルとか、パワードスーツなんてものも作れるんじゃねえか?」

 

「確かに…!」

 

蓮二とハジメは嬉しそうに錬成士の可能性について語りだす。やれビームの剣だったり、エンチャントした武具を作ったり出来ると話していると、デュエラと沙羅も話に混ざってくる。

 

「夢が広がる話ね!南雲君には私の武器とかお願いしようかしら。頼める?」

 

「はい!先生の望む物を創ってみせます!」

 

「それでは私もお願い出来ますか?。異世界の武器の中で私の筋力に合う物を…そうですね鉄塊の様なものでも構いませんので」

 

「えっと、貴方は?」

 

「私はデュエラ・ロギンス。そこにいるメルドの娘です。デュエラとお呼び下さい」

 

「南雲ハジメです。ハジメで大丈夫です」

 

ハジメとデュエラの自己紹介が終わると、沙羅を含め三人は武器案を詰めようとしたが、それに待ったをかける人物がいた。

 

光輝だ。

 

「待ってくれ南雲。その人の前にクラスメイトの武器を作るのが優先じゃないのか?」

 

「ぷっ。ははははは!」

 

光輝のクラスメイトを優先しろという名の命令に思わず蓮二は高笑いする。

 

「何がおかしいんだ!?」

 

「いやよ、さっきまでハジメの事嗤ってた奴らの一人が何様のつもりでそんな事言えるんだって話よ」

 

「俺は嗤ってなんていない!」

 

「ならなんでクラスの連中を糾弾しなかったんだ?仲間ならなんで助けないんだ?」

 

「そ、それは」

 

「ああ、言い訳は良いから。取り敢えずお前らに言っとく」

 

蓮二は生徒達に向けて宣言する。

 

「今後ハジメに対して何かしてみろ…!ハジメの親友として俺が煉獄に叩き込んでやるよ…!行くぞハジメ」

 

蓮二がそう言い切るとハジメを連れてこの場を去ろうとする。

その後ろを追ってデュエラも行こうとし、更に沙羅が続こうとする前に、彼女もまた生徒達に告げる。

 

「ああ。そうそう、あんた達。例え嫌いな人間だとしても、上から見ていれば足元掬われるわよ」

 

それじゃあねと沙羅が蓮二に付いていき、練兵場を後にしようとするが、光輝が待ったを掛ける。

 

「待ってください!生徒を置いて行くなんて、それでも先生ですか!?」

 

光輝の最もな意見に対して、沙羅は呆れながら告げる。

 

「私は先生として忠告はしたわ。そしてこれからは私だって訓練が有るし、南雲君に作ってもらう物の打ち合わせとかもしたいから貴方達に時間を割けないの。わかった?」

 

「でも!こんな時だからこそ皆で協力を!」

 

「だったら私に構うよりも謝る人が居るんじゃ無いのかしら?」

 

「謝る?誰にですか?」

 

沙羅の発言に疑問を浮かべる光輝に流石の沙羅も呆れて物が言えなくなる。

 

さっきまでハジメがイジメに近いものを受けていたにも関わらず何も悪い事をしていないと言いたげな光輝の態度、更には他の生徒達迄首を傾げている姿を見て、沙羅はもう付き合いきれなかった。

 

「はあ……聞いた私が悪かったわ。自分で考える頭を持った方が良いわよ。それじゃあね」

 

君たちの事はもう知らないと告げた沙羅は蓮二達の元へと向かって行く。

 

沙羅が去って行くその背中を、光輝はただ見送るしかなかった。

 

四人が練兵場を後にしようとした時、愛子のお説教の様なものが飛んでいる様に聞こえたが、それも殆ど無視されるだろうと沙羅は考えていた。

 

(人間って下に見れる人が居ないと自分を保てない人が多いし……さて、何人が反省するかしらね?)

 

沙羅は期待を込めながらその場を後にするのだった。

 

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