魔王と親友と紫電   作:刀好きの第六人

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和解と新たな武器

「それで、先生とデュエラさんはどんな武器が欲しいですか?」

 

練兵場から打って変わって沙羅の要望で蓮二の部屋に来た五人の内の一人であるハジメは、沙羅とディエラの要望を聞くためにペンと羊皮紙を用意して聞き出す。

 

「そうねぇ。私は剣と銃が欲しいかしら。私の技能に一刀一銃という技能があるから、多分ガンエッジをしなさいって事だと思うの」

 

「私は先程も言いましたが、折れない位頑丈で硬い鋼の塊の様な大剣でしょうか」

 

「成る程。だったらこんな感じの武器が良いのかな」

 

ハジメはイラストレーターとしての技量を持って二人の望む武器を書き上げる。

 

沙羅の方はコンパクトな赤の片手長剣と短銃。

 

デュエラの方はスマートながらも確かな重厚さと切れ味を両立させた大剣だった。

 

「とりあえずこんな感じで描いてみたけど、どうかな?先生の武器のイメージとしてはこの世界に魔石とかが有ればそれを媒体に剣の切れ味を増すための魔法剣と、属性魔法の弾丸を発射する銃。デュエラさんの武器はの方は魔力を込めれば切れ味をあげるイメージなんだけど……どうかな?」

 

ハジメは恐る恐る二人にイラストの書かれた羊皮紙を渡すと、二人の反応を見ていた。

 

「うん。カッコよくて良いわねこれ」

 

「これなら私も使ってみたいです」

 

沙羅とディエラの好意的な反応に、ハジメは思わずホッと一息つくと、ディエラに話しかける。

 

「それでデュエラさん。この世界って魔物から取れる魔石とかってありますか?」

 

「ええ。有りますよ使い道は主に魔力の貯蓄ですが」

 

ディエラの返答で、留意点だった魔石がある事を知れたハジメは思考し始める。

 

「魔力を充填できる。それなら魔法陣を描けば……いや、それなら陣に拘る事なく付与できればいい。それはどうやる?錬成でそこまで出来るのか?仮に出来ないにしてもやってみる価値は有る……」

 

ハジメが思考の海に飛び込んで二人に最高の武器を作ろうとする作り手としての血が騒ぎながらどうするか設計している。

 

その間にデュエラはこれからの訓練内容について提案していた。

 

「私としては冒険者の仕事をしながら訓練するのが良いと思うのですが、どうでしょうか?冒険者なら皆さんが街で使えるお金を稼ぎつつ目的の武器を作るための素材を集められますし、それでいて魔物を殺す訓練にもなります。特に街周辺には人型の魔物も棲息しているので、魔人族を殺す時の躊躇いは減ると思います」

 

デュエラの提案は実戦的かつ現実的なものだった。メリットデメリットをしっかり加味しつつ、王国に頼り切りにならない様に自分達で生計を立てられ素材を供給して武器を作りつつ人を殺す事に慣れさせようとする正に殺し合いの現実を教えようとするものだった。

 

「それで良いです。普通の訓練よりも経験になりそうですし」

 

「そうね。私も実戦的なのは好きよ」

 

蓮二と沙羅はデュエラの提案で、人を殺さないといけない事実に目を背けず、受け止めると、デュエラにそれで良いと伝えると、彼女は頷く。

 

「では本格的動くのは明日からにして、今日は英気を養いましょう。貴方達に会いたそうな方達も居ますし……入って来たらどうですか?」

 

デュエラが促すと、扉の外に居た者達が入ってくる。

 

それは香織、雫の二人に蓮二がよく知らない二人だった。

 

「えっと、アンタらは?白崎と八重樫は分かるけど」

 

「ああ、アタシは園部優花」

 

「俺は遠藤浩介」

 

優花と浩介が自己紹介すると、直様二人は頭を下げてくる。

 

「「ごめんなさい!南雲の事笑って!」」

 

二人は大きな声で謝ると、思考の海に居たハジメも二人の事に気づき、苦笑いを見せる。

 

「あはは……僕は気にしてないよ。蓮二や久遠寺先生が言いたいこと言ってくれたし。それに、今僕の世界の武器が作れなかったら、それこそ役に立たないしね。だから僕は気にする余裕は無いよ」

 

そう言ってハジメはまた沙羅とデュエラの武器の構想と作成の為の材料の事を考え出す。

 

また自分の世界に戻った事に気づいた蓮二は、二人と話す。

 

「悪いな。ハジメの奴ああなると止まらないんだわ。伝言あるなら聞いとくぜ」

 

「ううん!アタシはただ謝りたかっただけだから大丈夫」

 

「俺も。本当は俺の友達も連れて来たかったんだけど、アイツら頑なに謝らないって言うんだよ…」

 

気丈に振る舞う優花と申し訳なさそうにする浩介に沙羅が近寄ると二人の頭を撫でた。

 

「「あっ……」」

 

「貴方達は偉いわ。自分達の過ちを反省し、謝りに来る事が出来て。それだけで貴方達は成長したわ。貴方達の学校教師として誇りに思うわ」

 

「「久遠寺先生……」」

 

「だから貴方達は胸を張って生きなさい!貴方達はまだ成長できるわ!絶対に生き残って日本に帰るわよ!」

 

「「はい!」」

 

優花と浩介は力強く返事をすると、二人は部屋を出て行く。その背中はとても頼もしさの見える背中で、沙羅は二人の将来が楽しみになりつつも、あんな未来ある少年少女を戦わせるこの世界を恨んでいると、蓮二が沙羅の背中から抱きしめる。

 

「蓮二?」

 

「なんか、沙羅先生を放っておいたら、何かやっちゃいけない事をしそうだと思って……それでつい」

 

「つい、じゃないわよ……蓮二は本当に私の事分かってるのね」

 

「そりゃこ、恋人だし……分からなかったら失格だと思って」

 

「もう……ありがとう。蓮二」

 

「どういたしまして」

 

沙羅が後ろを振り向いて蓮二の顔を見ると、蓮二の凛々しくも優しさのある表情を見て、世界への恨みは何処かに行ったのか、もう蓮二の事しか頭に無く、そのまま顔を近づけて行く。

 

そして唇が重なろうとした瞬間、

 

「はいストップ!何出し抜こうとしてるんですか!」

 

雫が二人を引き離した。

 

「あら?嫉妬かしら八重樫さん?女の嫉妬は見苦しいわよ」

 

沙羅は余裕を持ちながら雫を挑発すると、彼女はその挑発に乗る。

 

「ええ嫉妬ですがなにか!?私の蓮二とキスしようなんて、私が見てるうちは邪魔しますから!」

 

「じゃあ、二人きりになったらしましょ?ねっ?蓮二?」

 

「あ、うんそうだね」

 

「〜!狡い!蓮二!私ともしなさい!」

 

「ダメに決まってるでしょ!蓮二はわたしの恋人なんだから!」

 

ギャァギャァと女の争いをする沙羅と雫を見ていた香織は蓮二の隣に来てあははと苦笑する。

 

「愛されてるのって大変なんだね…」

 

「そう言う白崎は早くハジメに気持ち伝えろ」

 

「ふぇっ!?……う、うん」

 

蓮二からの応援にに香織は「頑張らないと」と気合を入れてハジメの元に行くが、本人を目の前にして緊張したのか、しどろもどろな言動でハジメを困らせるだけだった。

 

(ハジメもハジメで頑張れよ)

 

ハジメと香織の交わらない姿を背にし、未だに論争が続く沙羅と雫に蓮二が止めに入ろうとするが、男は黙ってろと言わんばかりの威圧に思わず見守るしかないと思いながら終わるのを待っていると、デュエラが蓮二に話しかける。

 

「楽しい人達ですね」

 

「そう言えるのは当事者じゃないからですよデュエラさん…」

 

蓮二は苦笑するが、側から見ているデュエラはクスクスと笑いながら沙羅達のキャットファイトとハジメ達の噛み合わない姿にこの人達となら背中を預けられると思うのだった。

 

_____________________

 

 

デュエラ指導のもと蓮二、沙羅、ハジメは冒険者家業しながら魔物を倒しては魔石や市井に流れる金属類を購入してはハジメに加工してもらい、沙羅とデュエラとハジメ自身の武器を作ること、一週間が過ぎた頃。

 

魔物とは言え命を奪う行為に、最初は蓮二も沙羅もハジメも食事が喉を通らなくなった事も有ったが、少しだけ動物の様な魔物を殺せる様になっていた。

 

そんな一週間が過ぎた頃。蓮二、沙羅、デュエラはハジメに呼び出されて練兵場に居た。

 

「お待たせー……」

 

「お、ようや…おいハジメ!?」

 

「顔真っ青よ!」

 

「大丈夫ですか!?手伝います!」

 

ハジメが此方へと向かって来ようとしているのだが台車の様な物を引きながらかつ、青い顔をしている事から、とてつもないほど重いものを引っ張っていると気づいた三人は直様手伝いに向かい、四人がかりで練兵場の端まで来ると、ハジメはゼーハーと息を荒くしながら倒れ込む。

 

「大丈夫かハジメ!?」

 

「……うん。徹夜明けの肉体労働だったから大分しんどい」

 

「おいおい……無理はするなって」

 

「無理しないと、久遠寺先生とデュエラさんの武器は作れなかったんだ……ごめん」

 

「…とりあえず二人に武器渡して説明したら今日は休め。なんなら白崎に回復魔法でもかけてもらいながらな!なんなら朝までしっぽりむふふと……」

 

「っ!も、もう蓮二ってば!白崎さんが僕のためにそんな事するわけないじゃん!揶揄わないでよ!」

 

(いや絶対求められたらやってくれるって…)

 

蓮二が割と本気で香織と肉体的に繋がってしまえと言ってると、沙羅が蓮二の頭を叩く。

 

「あいた!」

 

「こら蓮二。不純異性交遊させようとしないの」

 

「すいません」

 

「全く…それで?私達の武器って?」

 

「ああ!そうでした!」

 

忘れていたと言わんばかりにハジメは慌てて台車に積まれてる武器を沙羅に渡す。

 

沙羅の武器は片手でも扱いやすい様に少し短めの片刃の刀身が幅広いブレードで鍔の部分にも刃がついてあり、柄頭と刀身の中心には赤色の魔石が装填されている。

 

銃の方は自動拳銃に似た作りだが、銃身には牙の様な装飾がされている。

 

デュエラの武器はハジメがなんとか引きずって渡す。デュエラの武器は所謂ツヴァイハンダーで、刀身が分厚く、それでいて切れ味を両立させるために刀身に反りが入った片刃の大剣だった。

 

渡し終えたハジメは二人に説明する。

 

「久遠寺先生の武器は剣の方が『ヴァイオレント』と言い、錬成の派生技能で生えた付与効果で剣の方に切れ味上昇の付与をつけています。魔力を流せば切れ味は増して行くので刀身には下手に触らないでください。銃の方は『エクレール』と言います。二種類の魔石を直列に錬成で繋いで、先生が流した魔力を一つの魔石で増幅させて、もう一つの魔石で魔法弾を放つ作りになってます。一度放つと魔力装填に数秒掛かりますので、牽制目的よりも確実に止めを刺す時か相手の動きを読んでの射撃が求められます。『エクレール』の方は予備を二丁作ってあるので、ガンガン使ってください」

 

「分かったわ。よろしくね『ヴァイオレント』、『エクレール』」

 

沙羅は相棒に挨拶をすると、それに呼応する様に少し光って見える。

 

「あら、中々素敵そうね…ふふ」

 

反応してくれた様に見えた沙羅は思わず微笑む。

 

その間にもハジメはデュエラに大剣の説明をしていた。

 

「デュエラさんの大剣は『アズール』こちらも『ヴァイオレント』同様の付与をしてあるので、切れ味は保証します。更に買える範囲で一番硬い金属と折れない為のしなやかな金属を使った四方詰めと呼ばれる技法を錬成で繋いでありますので、折れず、曲がらずを実現させながらも切れ味を損じない作りになってます。メンテが非常に難しいので、僕に言ってくれればメンテしますので気軽に言ってください」

 

「ありがとうございますハジメさん」

 

「いえ、僕に出来る事はこれくらいですので……」

 

あくまでもこれしか出来ないと卑下するハジメに蓮二は否と告げる。

 

「いや、ハジメは凄えよ。俺達みたいな戦いしか出来ない奴に比べたら遥かに凄え。流石親友だよ」

 

「蓮二……」

 

「自信持って良いんだぜ?南雲ハジメは凄いやつだってな」

 

「そうね。たった一週間で此方の要望以上の武器を作れるなんて、凄いわ」

 

「そうですよ。今迄見てきた錬成師の中でも貴方は優秀どころか天才です」

 

「久遠寺先生……デュエラさん….」

 

三人に褒められたハジメは思わず涙が出る。自分の事を認めてくれる人が居る事がこんなにも嬉しいなんてと。

 

それが自信になったのか、ハジメは笑みを見せる。

 

「ありがとう…ございます!」

 

ハジメの礼に対して蓮二と沙羅とデュエラは笑みで返す。

 

こうしてハジメと蓮二達の絆は更に深まっていくのだった。

 

 

 

 




んー。展開早いですかね……一応ハジメ君は少し強化入れてるんですが……そこの描写必要だったかな?

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