魔王と親友と紫電   作:刀好きの第六人

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怒りと光

リリアーナと別れた後、蓮二はハジメがいるであろう調合室に行く途中、通りがかりに有った練兵場をふと見ていた。

 

練兵場では生徒達が騎士と共に訓練しており、そこには浩介や優花、香織と雫の姿もあった。

 

蓮二がどんな訓練をしているのか気になり、少しの間だけ見ることにすると、四人と他の生徒の訓練量が違うことに気付く。

 

雫と香織と浩介と優花は二倍の訓練量が有り、他の生徒よりも高いモチベーションがあるのか、熱気が違う。

 

(負けてられないな)

 

蓮二は共に戦う仲間として頼もしさを感じながらその場を後にしようとするが、その前に雫が蓮二の存在気づいて声を掛ける。

 

「あ、蓮二!こっち来なさいよー!」

 

手を振りながら招く雫。蓮二としては、彼女の声で周囲の生徒や騎士達に見られている今、無視するわけにもいかないと思い、彼女らに近づいて行く。

 

四人と至近距離まで近づいた蓮二は何用かと問い掛ける。

 

「そんで?要件は何?」

 

「要件というかお願いというか…その、蓮二が良ければなんだけど、私のたちとお昼ご飯行かない?ほら、蓮二と久遠寺先生と南雲君はメルドさんの娘さん…デュエラさんの特別メニューじゃない。普段何してるのか気になって…どうかな?」

 

「そうだな…」

 

蓮二は雫の提案に乗ろうとは思っている。蓮二としても訓練内容は気になっていたのと、彼女達も今の訓練生活に対して何かしら思うところがあるのか、相談相手が欲しそうにもしていた。

 

そんな状態の彼女を放っておけないと思った蓮二は雫の提案に乗る事にした。

 

「折角の機会だ、ご一緒させてもらうよ。ハジメも連れてきて良いか?」

 

「勿論!南雲君からも色々話を聞きたいしね」

 

「んじゃま、ハジメ迎えに行ってくるわ、どこに行けばいい?食堂か?」

 

「あ、私達も行くよ!」

 

蓮二が調合室に行こうとすると、香織がついてこようとする。それは恋する乙女が好きな男性を迎えに行きたいっていう気持ちだろう。

 

蓮二としては香織の恋を応援している。ならこういう小さな所からハジメと香織の接点を増やしてあげるかと思った蓮二は香織いいぞと言うと、彼女は大喜びしながら早く行こうと急かしてくる。

 

そんな香織を見ながら蓮二はそういうのをハジメに見せてやれよと思いながら、雫達と共にハジメのいる調合室に向かうのだった。

 

 

_____________________

 

「戻ってきてない?」

 

「はい。先程席を立たれてからは戻ってきておりません」

 

調合室で蓮二はハジメの助手を務めている男性からハジメが戻ってきてない事を知らされていた。

 

蓮二は行く先を知りたいが為に男性から話を聞き出す。

 

「何処に行くとか言ってなかったか?」

 

「えっと……お手洗いだったような」

 

「それならもう戻ってきても良いが……なんだか嫌な予感がするな」

 

蓮二はハジメの身に何か起きていないか不安になってきたのか、男性に礼を言うと直ぐに探しに行こうと調合室を出る。

 

「蓮二君、ハジメ君は?」

 

調合室を出たところで香織から目的の人物がいない事への不安の声が掛かる。

 

「ハジメの奴戻ってきてないみたいなんだ。ちょっと探してくるから先に食堂で待っててくれ」

 

蓮二がそう促すも、香織達は首を横に振る。

 

「ううん私達も一緒に探すよ」

 

「一人で探すよりも効率的だしね」

 

「俺、周囲の人に話聞いてくる」

 

「勿論私も南雲君を探すわ。なんだか嫌な予感もするのよね」

 

四人がハジメの捜索に協力すると表明する。特に優花と同じように蓮二も今嫌な予感が働いている。ハジメを早く探さないと後悔すると。

 

「分かった。皆、力を貸してくれ」

 

「「「「おう!」」」」

 

蓮二達は其々手分けしてハジメを探し始めた。

 

捜索を始めて数分後、蓮二が練兵場に戻って来ていると、さっきには無かったものが目に見えた。

 

それは誰かの血痕だった。

 

地面に点在する血痕は練兵場の奥にある倉庫まで続いており、蓮二は何があってもいいように『狼牙』を腰に差すと、血痕を頼りに倉庫の方まで近づいていく。

 

そして血痕が終点まで来た蓮二は見てしまう。

 

 

ハジメが檜山達に囲まれながらボロボロになって倒れている姿を。

 

檜山達は訓練用とは程遠い真剣を手に持ち、ハジメを足蹴にしていた。

 

更にハジメは体中に切り傷があり、深傷は見当たらないが服ごと皮膚が切れている部位もある。

 

そして、地面に流れる大量のハジメの血が蓮二の心のナニカをバキバキと壊していく。

 

親友のハジメを傷つけ、更に足蹴にするという行いをしている檜山達に蓮二は、自分でも出した事のない低くてドスの聞いた声が出る。

 

「テメェ等。俺の親友に何をしてんだ」

 

蓮二の声に気づいた檜山達は彼の方へと向くと、宣い始めた。

 

「教育だよ。教育」

 

「そうそう。戦えないくせに俺達に逆らうんだぜコイツ。俺達が金を貸してくれって言っても貸さないから教えてやってんだよ。戦闘天職持ちに逆らうなってな」

 

「そうそう。俺達の世界の発明品で稼いでんだから俺等にも分前あっても良いだろ?」

 

「まあ、金は借りても返さないけどな!」

 

「そして新宮ぁ。これはお前への制裁でもあんだよ。俺をさっきあんな目に遭わせた罰を南雲に支払わせたんだよ。調子に乗ってるお前等へのなぁ!」

 

ぎゃはは!と笑う檜山達。檜山に至っては先程蓮二の『狼牙』から受けた痛みなんて最初からなかったかのようにしている。

 

喉元過ぎれば熱さ忘れるとはこの事を言うのだろう。

 

それ程までに檜山達が愚かだとは知らなかった蓮二に湧き上がるのは怒りと憎しみだった。

 

もっと早くこいつ等を潰しておけば良かった。自分に害意が来るだけなら飄々とかわせば良い。今迄だってそれが出来た。

 

けど、大事な仲間であり親友のハジメに害意が向かってしまった今、黙っていられない。

 

ましてや多量の血を流しているハジメの姿を見て蓮二は檜山達がハジメを殺すつもりだった事まで分かると沸々と怒りが湧き上がり、更には憎しみの様な黒い感情すら生み出し、蓮二が抑えていた力すら目覚めさせる。

 

蓮二の体から、赤黒色のエネルギー…妖力が天を突くように漏れ出る。

 

『殺シテヤル……!!』

 

ナニカを解き放つように雄叫びをあげる蓮二を見ていた檜山達は、蓮二が変貌していく姿に驚愕する。

 

黒かった髪は真っ白になっては腰まで伸び、八重歯は吸血鬼の様に長く鋭さを増し、目は赤く染まる。腰蓑だった『狼黒』が黒く染まった軍服の外套のような物へと変わり、それを羽織った蓮二は唸りながら『狼牙』を抜刀する。

 

『グルゥゥゥゥ!』

 

日本刀だった『狼牙』は抜刀と同時に刀から赤黒く染まった片刃の大刀へと変貌する。

 

柄と大刀の根本には動物の爪を模した装飾がされ、反りが入った大刀の刀身は生きてるかのように脈動し、纏っている赤黒い妖力は、周囲の空気すら染めていく。

 

「ば、化け物…!」

 

「な、なんだよ!なんだよこいつ!」

 

「人間じゃねぇ!」

 

檜山の取り巻きである中野と斎藤と近藤が狼狽するが、檜山は狼狽えるなと制する。

 

「どうせ見掛け倒しだ!数ならこっちが上なんだ!俺達の方が勝てる!」

 

檜山の激励に、取り巻き達は威勢を取り戻し、剣を蓮二へと向ける。

 

「行くぞ!」

 

「「「おう!」」」

 

檜山の掛け声と共に取り巻き達も動き出し、同時攻撃を仕掛けようと詰め寄っては四方から剣を振り下ろす。しかし

 

『グルゥァァァ!』

 

蓮二の『狼牙』による薙ぎ払いよって生まれた暴風で檜山達は其々呆気なく四方に吹き飛ばされ、其々壁か植えられた樹木等に背中を打ち付ける。

 

『ウゥゥゥゥ!』

 

蓮二は唸り声をあげながら主犯格であろう檜山目掛けて駆け抜ける。

 

檜山は練兵場の訓練用の打木にぶつかっていた為、身動きが取れないでいでいると、正面に蓮二が陣取る。

 

『ウルゥアァァァ!』

 

「う、うわぁぁぁぁ!」

 

蓮二が『狼牙』を振り上げその命を絶たんと振り下ろされる。が、それを邪魔する3本の剣閃が『狼牙』を食い止める。

 

それは沙羅、デュエラ、メルドの三人だった。

 

「止まりなさい蓮二!」

 

「蓮二さん!落ち着いてください!」

 

沙羅とデュエラは変貌した蓮二の暴走を止める為に言葉を尽くすが、今の蓮二には届かなかった。

 

『邪魔ヲ……スルナァァ!!』

 

溢れ出る妖力と共に力が上がり、押し込まれそうになる三人。三人がかりでも無理だと判断し、この状況を打破するにはと考えた沙羅はここで自身の筋力と敏捷を強化する雷迅功を発動、デュエラは筋力の大幅強化する技能である怪力無双と全ステータスを底上げする天性の肉体を発動して押し返す。

 

 

押し返された蓮二はバックステップで距離を取ると、能力が高まり強いオーラを纏った二人に対して警戒する。

 

『ウゥゥゥゥ……!ウォォォォ!!』

 

蓮二は全能力を高めるウォークライを発動し、妖力を高めていく。蓮二の周囲の空間が歪むほど高まった妖力に沙羅とデュエラは息を飲む。

 

メルドは状況が飲み込めない混乱した状態で沙羅とデュエラに問いかける。

 

「蓮二はどうなってるんだ!?訳がわからんぞ!」

 

「あれは暴走です」

 

「暴走!?」

 

「前に一度、蓮二さんの技能訓練をしていた時に一度同じ事が有りました。あの時はなんとか止められましたが……今回はどうなるか分かりません。現に一度目よりも状況が全然違い、あの様に姿が変わることは無かったので……」

 

 

「それほどまでか……一体何があったんだ!?」

 

「……あれは怒りと憎しみよ」

 

沙羅はメルドに答える。そう、彼女は分かっていた。蓮二が今激しい怒りと憎しみに呑み込まれている事を。

 

「蓮二は今怒りと憎しみに囚われているわ……自分でも制御出来ないくらいにね」

 

「…となると、どうすれば良い?」

 

メルドの問いにデュエラは深刻な表情で告げる。

 

「気絶させるか……殺すしかありません。それだけ今の状態はとても危険です」

 

「…そうなるのか!」

 

メルドは悪態を吐きながらデュエラと共に蓮二を殺す覚悟を決めて相対しようとするが、その前に沙羅が武器を捨てて蓮二の方に歩み寄っていた。

 

「沙羅さん危険です!」

 

「危険上等!あの子を救えるのなら命なんて惜しくない!」

 

沙羅は覇気を込めながらデュエラに告げると、蓮二の方を向いて話し始める。

 

「蓮二、貴方の怒りは私にはわかるわ。その怒りは自分じゃなくて大切な人が傷つけられて怒ってるのよね。でも怒りに身を任せちゃダメ。感情のままに動いたら、貴方も魔物になっちゃうわ。貴方は強さを持った優しい人なの。だから戻ってきて!蓮二!」

 

しかし、その言葉は今の蓮二には届かず、蓮二は更に肉薄しては『狼牙』を振り下ろさんとする。

 

「沙羅さん!!」

 

デュエラが沙羅の名前を呼ぶ中で沙羅は自分が斬られようとしている。そして『狼牙』が沙羅の眼前まで振り下ろされかけたその瞬間。

 

蓮二の動きが止まった。

 

『ウ、ウァ……!サ、サラ?ア、アァァァ!』

 

蓮二は今、デュエラの叫びで自分が斬りかかろうとしたのが沙羅だと知ると、蓮二は頭を抱えながら苦しみ、絶叫する。

 

叫びと共に妖力が収まっていく蓮二。そして、赤黒く染まったエネルギーが見る影も無くなると、『狼牙』と『狼黒』も元に戻っていく。

 

しかし、体に起きた変貌だけは元に戻らないまま蓮二は『狼牙』を手放し、吼える。

 

『アァァァァ!』

 

それは様々な感情が乗った咆哮だった。ハジメを殺そうとした者たちへの復讐心から来る強い憎しみと、もう二度と大切な人に剣を向けない為に戻ろうとする強い決意が込められていた。

 

そして、咆哮が止むと同時に、妖力が完全に表に出なくなった蓮二は声を発する。

 

「俺、ハジメが死んだと思ったら……自分でも抑え切れなくなったんだ。沢山血を流していたハジメの姿を見たら、もう自分が自分じゃなくなって……」

 

「そういう事だったのね」

 

「でも、怒りのままに殺したらきっと、俺は後悔してたよ。こんな事をしてもハジメは喜ばないって」

 

「そうね」

 

「だから……ありがとう沙羅先生。俺は沙羅先生のお陰で自分を止められたよ…そしてごめん。沙羅先生を斬ろうとしちゃって」

 

「良いのよ。全く……世話が焼ける恋人ね」

 

「ごめん」

 

「だから良いって。それよりも南雲君はどこ?早く見つけて治療しましょ。生きてるかどうかは治療してみないと」

 

「そうだ!待ってろハジメ!」

 

蓮二は沙羅を連れてハジメの居た場所へと向かい、血を流して倒れているハジメを沙羅に治療してもらう。

 

その間にデュエラはメルドと共に檜山達小悪党共を回収していた。

 

治療を始めて数分。漸くハジメの意識が戻ってきたのか、「う、ん……」と声を出しながら目を開ける。

 

「ハジメ…!ハジメ!」

 

蓮二は親友が目を覚ますと同時に抱きつく。ハジメは朧気になりながらも親友の変貌に目を丸くする。

 

「あれ…蓮二だよね?いきなりイメチェンしたね?白髪のロングストレートなんて何処の漫画の主人公なの?それに目も赤くなってるし。全く、何処の厨ニ病患者なのかな?」

 

「馬鹿野郎…!俺の事はどうでも良いんだよ!……生きててくれて本当によかった!」

 

「蓮二ってば…痛いよ」

 

「あ、すまん」

 

治りたてのハジメには蓮二の抱擁はきつかったらしく蓮二の背中にタップしてくるので、離れる。

 

「兎に角生きてて良かったよ…」

 

「悪運が強かったみたいだね」

 

「本当な」

 

はははと笑い合う二人。それを見ていた沙羅は咳払いすると、二人の注目を自身に向けさせる。

 

「南雲君が生きてて良かったけど、他にもやる事あるでしょ?」

 

沙羅に言われた通り、蓮二には檜山達に対する仲間殺し未遂の結末を見届ける義務があった。

 

蓮二はハジメに手を貸して立ち上げ、肩を貸して歩いていくと、デュエラが冷徹そのものな声音で檜山達を問い詰めていた。

 

「それで?何故貴方達は蓮二さんに殺されそうになっていたんですか?」

 

「それは新宮が勝手にキレたんだよ!」

 

「嘘ですね。この二週間彼を見てきましたが、無闇矢鱈に怒りをばら撒くような人ではありません。更に言えば貴方達に対して途轍もない憎しみすら向けていました。どう考えても貴方達が何かしたとしか言えませんよ」

 

檜山達の言い分に含まれた嘘を見抜きながらデュエラが問い詰めていると、蓮二達が近寄ってくることに気づき、更にハジメの傷だらけの服を見て察した。蓮二はハジメの為にああなったと。

 

そうと理解すれば、デュエラが次に質問する内容は決まったも同然。

 

「貴方達はハジメさんを攻撃しましたね?それも訓練用ではなく真剣で」

 

「「「「!」」」」

 

「…図星ですか」

 

檜山達に呆れてものが言えなくなり怒りを見せるデュエラ。檜山達の処遇について、父であるメルドに相談しようと思っていると、先程までの強い力が王城全体を襲っていたのか、次々と人が集まってくる。その中には愛子や生徒達もおり、特に愛子は何事だと檜山達を問い詰めているデュエラに話しかける。

 

「あの、デュエラさん。檜山君達が何かしたのですか?」

 

「そこのクズどもが仲間である筈のハジメさんを殺そうとしてました」

 

「!?」

 

おずおずと話しかける愛子にデュエラは怒りが篭った声で答える。今のデュエラは夜叉の如き憤怒の表情を見せているのもあって、穏やかでない。

 

彼女は蓮二が暴走し、変貌した姿を見た時、生まれて初めて心が苦しく感じた。普段はとても優しく、人当たりが良く、誰かの為に動ける彼があんなにも怒りと憎しみに塗れた表情を向けている彼を見た時、自分迄悲しく辛くなっていた。

 

そして暴走して止まる気配の無い蓮二を止めるには殺すしかないと迄考えた彼女だが、それを言葉だけで止めた沙羅と蓮二の愛をその時初めて、羨ましいとも思った。

 

自分もああなりたいと。二人のように心が通じ合いたいとも。

 

それは仲間に対する友情なのかは分からなかったが、ハジメが傷ついていた姿を見て、デュエラは蓮二の怒りを理解し、もう檜山達を許すつもりは無くなっていた。

 

「父上。今ここで私は騎士団を辞めます。そして私が異端者になることをお許しください」

 

「まっ、まさか…早まるなデュエラ!」

 

「だ、ダメです!檜山君達は殺させません!」

 

デュエラの意図を理解したメルドと愛子は『アズール』を振り下ろさんと構えるデュエラの凶行を止めんと必死にしがみついて邪魔する。

 

「離して下さい父上、愛子さん!」

 

「ダメだ!今離したら大介達を殺すつもりだろ!俺は全力で止めるぞ!」

 

「生徒は殺させません!絶対に!」

 

「離して下さい!私は「ダメだデュエラさん!」蓮二さん…!?」

 

「ダメだ。絶対にそれはやっちゃいけない」

 

蓮二はデュエラに強く言葉を突きつけると、暴走してたことを後ろめたく思いながら、話す。

 

「仲間が傷つけられて怒り心頭なのは痛いほど分かるよ。俺だってそうだったし。でも感情で物事を決めたら、絶対に後悔するから…」

 

蓮二は今のデュエラがさっきまで暴走してた時の自分と酷似していた。だからこそ蓮二は止めないとの思いでデュエラを説得しようとしている。

 

「だからその…俺にその感情全部ぶつけて下さい!デュエラさんがむしゃくしゃしてたりなんかこう…とりあえず発散したい感情は俺が受け止めます!なんなら今から戦って発散させますか!?」

 

蓮二は傍から聞けば戦闘狂のような発言に聞こえるが、当事者からすればそれはある意味

愛情表現にも聞こえていたそれは、デュエラの溜飲を下げた。

 

デュエラは『アズール』を降ろすと、クスクス笑い、蓮二を見る。

 

「全く貴方は…そんな愛の告白がありますか?」

 

「こ!?告白じゃないから!俺はその…デュエラさんのことを考えたらつい」

 

「分かってますよ……ふふ、揶揄っただけです」

 

告白だと勘違いされた蓮二は戸惑い気味になりながらもデュエラを見る。

 

デュエラは楽しそうに笑った後、メルドと愛子に謝罪していた。

 

「早計でした父上。それに愛子様、申し訳ありませんでした。私が至らぬばかりに」

 

「分かればいい……」

 

頭下げるデュエラに、メルドは許し愛子はアタフタしながらその謝罪を受け入れる。

 

「いえ、その、檜山君達が悪い事をしたからですよね?それだったら私は気にしません」

 

「ありがとうございます」

 

デュエラは感謝の微笑みを見せた後蓮二達三人の元に向かうと、ハジメの容態を聞いてきたので命に別条はないと沙羅が教えると、肩を撫でおろした後、蓮二に話しかける。。

 

「ありがとうございました。蓮二の言葉が無かったら私は道を踏み外しておりました」

 

「いや、俺はただ自分がしてもらったことをお返ししただけですよ」

 

「それでも今日、貴方は私にとっての光になりました」

 

「光?」

 

「はい。私が道を踏み外さないために明るく照らしてくれる……そんな温かな光です。貴方が勇者なら良かったのに」

 

「残念ながら俺は妖刀師ですので。それに勇者なんて俺には務まりませんよ」

 

「そういう事にしておきますね……あら、誰か来ますね」

 

「ん……げっ、噂をすれば天乃河。それに坂上まで」

 

蓮二はズンズンと怒りを露わにしながら此方へと近づいてくる光輝とそれについて来る龍太郎を見て思わず苦い顔をしてしまう。

 

後ろからは香織と雫が本当に申し訳なさそうについてきており優花と浩介も溜息を吐きながら此方へと近づいてきていた。

 

それを見ただけで蓮二とハジメはこれから起こるであろう問答の面倒さに辟易するのだった。

 




えー。色々聞きたい事は有ると思った方は感想メッセージ頂ければお答えしますが、なるべくネタバレにならない範囲でお答えします。

後はそうですね……これからはメッセージの方もお答えできるものとそうでないものもありますので、ネタを探るような質問されると此方としては想像にお任せしてもらうという定型文しか書けなくなります……。


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