なんか文字数が安定しなくても申し訳ないです。適当に原稿からキリのいいところでカットしているのでこんな感じになります。
「よし、行くか」
新たな一日、ロゼットは気合を入れ直して学院の寮を後にした。制服、ネクタイ、靴紐に至るまでキッチリとする。身だしなみは一日の始めとして気合を入れる儀式となっている。腰に下げた黒い剣、通称黒剣も昨日の内に手入れをしておいた。完璧だ。別に今日から生徒会に一員となるから妙に緊張している訳ではない。と本人は思っている
石畳の街を歩いて行く。街並みは百年前から保持され続けるレンガ造りの建造物、この帝国が過去の戦争に勝ち続けてきた証拠だ。端の道を行くのは機関銃を下げた軍人、日傘を差した貴婦人、同じ学院の生徒。中央の道路には馬車が走り、上流階級にしか所有できない自動車は稀にその道を通り過ぎる。古代の街並みと近代の文明が交差しているのが帝国の中でも中央に存在する帝都フレストの特徴だった。
ブラスティア帝国、四方大陸ベルリットの大半を支配下に置く巨大な国家であり、絶大な軍事力を誇る国でもある。戦争において負けなしと言われ、現代の魔導士を投入した戦いであってもその地位は揺るがない。
その最高機関である元老院のすぐ正面には、ロゼットやメイビスが通う中央魔導学院が圧倒的な存在感と共に聳える。
太古にある白亜の宮殿を彷彿とさせる巨大な建造物と、その中央に聳え立つ時計塔は帝国の魔導士を目指す民が夢に見る舞台。入学した当初は何も感じなかったが、生徒会となると聞いた昨日から、やたらと大きく、偉大に見えるのは錯覚ではない。それが正常な認識なのだとロゼットは自覚する。
「ん?」
それと同時に周囲の生徒の違和感にロゼットは気が付いた。いつも通りの登校も今日ばかりは全員が敵に見える、これが生徒会の重みというものか。というより、明らかに生徒の視線はロゼット一人に向けられていること、試験日に近いひりつくような緊張感の中に自分がいることを彼自身だけが気が付いていない。
「さて」
そんな緊張感に包まれた空気に関心を持たず、ロゼットは他の生徒が向かう方向とは違う場所へ歩みを進める。貴重な授業の機会を自ら放棄する者などこの場には一人たりとも存在しない、それでも教室より生徒会室を優先した。
学院のルールは一つ、実力主義。それは強制されることのない自主性のみを追求したプログラムだ。魔導士の講師は数が限られ、一人一人の生徒に指導をしている暇などない。だから講師は決まった時間、教室で講義を行う。生徒は自身が受講したい項目を選択して講義を受け、自分の糧とする。単位は月に二度行われる実技演習で試され、それを合格した者だけに与えられる。基準値に満たない者は一か月後に行われる追試験で成果を出さなければ即退学となってしまう。
しかし、生徒会は治安維持に務める風紀委員との連携などを始めとする学内の全ての行事や実習内容の決定などで多忙であり、まともに講義を受ける暇などない。つまり生徒会の選出基準は講義を受けずとも単位を容易に取ることが可能な人物ということに自然となってくる。
公然とサボっているようで気が引けるがロゼットは真っ先にビーリスが待つと思われる生徒会室へ向かった。
学院内は廊下、教室に至るまで異常な広さがある。貴族、または領主の豪邸を思わせる内装、装飾は平民には慣れない環境となる。ロゼットはどちらかと言うと裕福な家庭で育ったので抵抗はないが、学校という場とは到底考えられないとは常々思っていた。その中でも生徒会室はこの学院内で最も目立つあの時計塔の内部、その最上階にある。そもそもこの時計塔内にある施設は全て生徒会が運営するものなのだ。
「初めて入るな」
金色の門に閉ざされた時計塔。ここに踏み入ることはロゼットであっても許されない。少しばかり緊張で汗ばんだ手を一度開いて握り締めるとロゼットは一歩、踏み出した。
「何を緊張しているのかしら? 遠足前の子供のようでみっともないわよ」
「うっ」
突如、背後から声を掛けられる。不機嫌そうにロゼットが振り返ると、そこにはメイビスの姿があった。片手には本が握られており読書を片手間にここまでやって来た余裕を伺わせた。どこまでも冷静な態度には敬意を表するが、どこまでも完璧過ぎて癪だ。
「別に、緊張なんかしてねえよ」
ロゼットは素早く踵を返して心情を悟られぬようにする。
「癖、出てるわよ」
しかし、少し遅かったらしい。
自分自身でもたった今気が付いた。掌を開いたり閉じたりを繰り返すのはロゼットの一つの癖だった。落ち着かない時にはこれをしてしまう。ハッとなると両手をポケットに突っ込んでごまかす。が、指摘した相手は悪戯っぽく微笑むとロゼットの横に並んだ。
「まあ、緊張するのは勝手だけど、これからは生徒会の一員なのよ。無様な真似だけはしないで欲しいわね」
どこまでも意地の悪い女。容姿が良くてもここまで小生意気だと可愛いさ、美しくさなど微塵も感じない。
ロゼットはふう、と一息吐くと真っ直ぐにメイビスの瞳を見た。その大きな真紅の宝石のような眼に自身が映ると、その自分自身に言うように、
「問題ない」
と呟いた。
「ならいいわ」
メイビスの方はロゼットを見ない。一瞬だけ視線を合わせる。そして、二人は先程から感じていた気配に踵を返す。
「時間通り。感心だな」
学院の制服に身を包んだ長身の男がそこには立っていた。掛けた眼鏡を得意げに上げると単純だが知的という印象を受ける。だがその制服の上からでも分かるほどに身体は鍛えられているのがロゼットには理解できた。そして、腕には生徒会の腕章、その男の名を二人は知っていた。
「シルビア・カルタス副会長ですね」
口に出したのはメイビスだった。その顔は学院中で知れ渡っている。ロゼットと同じ黒い髪を靡かせる美少年はその鋭い眼でメイビスを見るとフッと微笑んだ。
「ああ、シルビア・カルタス。三年、生徒会副会長を務めている。ロゼット・べリウス並びにメイビス・レーゲンバルド、君たちを歓迎する」
さあこちらへと、シルビアは金色の門に同じく金色の鍵をはめ込み解錠する。門は自動で開かされたかのように両脇に退いた。シルビアが先導するように門を潜ると二人もその後に続く。
「っ」
「これは」
そこで、ようやく二人は違和感に気が付いた。門は確かに開かれた、だが道は開かれてはいない。より正確に言えば、ロゼットとメイビスの前には壁が立ち塞がっていた。半透明の壁は門の代わりを果たして二人を通さんとしている。
「これはどういうことですか?」
次に口を開いたのはロゼットだった。何者かの意思によって通せんぼされている。その犯人は明確だ。門の向こう側にいるシルビアに投げかけられた問いは直ぐに返ってきた。
「なに、簡単な試練だ。ここを通過して来い」
眼鏡を上げると挑発するように言うシルビア。彼が容易にこの領域、つまりは生徒会に二人を歓迎している訳ではないというのはこの時点で十分に伝わってくる。
「会長の意向ではあるが、中央魔導学院の生徒会は伝統と誇りあるものだ。簡単にその例外を認めるわけにはいかない。この程度の結界を破れない者にはこの時計塔に踏み入る資格すらないと知れ」
気が付けば、シルビアの右腕には回路のようなものが浮かび上がり、それが紫色の発光していた。
それは魔法の発動に必要な魔導刻印と呼ばれる術式の一つだった。
一般的に自身の肉体に刻印された術式はその発光色と範囲で魔法の質が魔導士には判別できる。
「結界魔法か」
そしてシルビアは結界と言った。だとすればこの場合、目の前の壁は無系統の結界魔法に間違いはない。
「大したものね」
メイビスが正面の壁を見ると静かに呟いた。それは並大抵の結界ではないことはロゼットにも理解できた。刻印の質と範囲は魔導士として一級品と呼べるレベルに仕上がっている。
魔法は日々の研究と研鑽の先、遥か彼方の神秘へ至る為のたった一つの道。己という器に相応しい魔法は必ず存在する。自身の求める究極の魔法へ至った時、その道筋を振り返るとそれは、まるで神、またはそれに準ずる何かに導かれたのように存在している。故に魔法使いではない、彼らは魔に導かれる者、魔導士なのだと。
この結界もシルビアという存在が魔法に導かれた結果なのだろう。だがその道が容易い道であるはずはない。シルビアの表情には侮りはなく、驕りもない、ただ自身の生徒会という場所に誇りを思ってその為の試練を上級生として課している。発光した刻印が浮かぶ腕は真っ直ぐに二人へ向けられていた。
ロゼットとメイビスはその壁を前に立ち止まる。実際には何もないようで、確かにそこにある。
「どうした? 来ないのか?」
結界の向こう側のシルビアをロゼットは見据え、一歩前に出る。
「俺がやる」
どんな壁を前にしてもロゼットから余裕は消えない。それは侮りでは決してない。実力に裏付けされた絶対的な自信。
二人の目の前に立ちはだかるのは幾つも重ねられた城壁に匹敵する強度と耐久性を持つ。三年のシルビアがこの学院で生き残る為に研鑽の末に生み出された至高の魔法だ。簡単に打ち破ることなどできない。
呼吸を一度、整えるとロゼットは右手で結界に触れた。。
「っ⁉」
刹那——空間が砕けた。
確かにこの結界を簡単に打ち破ることはできない。
しかし、それも天才という二文字の前に跡形もなく消し飛ぶ。ロゼットが片手で触れた瞬間、結界にはヒビが入る、さらに力を籠めると巨大なガラス玉が弾け飛ぶような音と共に立ち塞がった壁は跡形もなく消えた。
その信じ難い光景をシルビアは眺めることしかできなかった。
「は、ははは」
驚愕は度を通り越して笑いに変わる。シルビアの刻印が光を失う、魔法が完全に消えた証拠だ。魔法を使用した素振りは一切なかった。ただ触れただけ、それだけの事で三年間に渡る研鑽と苦悩の果てに辿り着いた答えは簡単に蹂躙された。
「神秘殺し、か」
的を射た異名だとシルビアは感じる。
数多くの魔導士を見てきた、多くの敗北と勝利を見てきたシルビアでもその正体は掴めない。一瞬の事象を何度も再生させても手掛かり一つ掴める気配はない。
「ご苦労様」
「まあ、お前にやらせるわけにはいかないだろ」
「そうね、私は手加減が苦手だもの」
そして、同時に理解させられた。目の前の二人は正真正銘の天才だと。
ロゼットとメイビスはは顔色一つ変えることなく会話続ける。きっとメイビスが同じことをしても同じ結果、もしかしたらそれ以上の悲劇を生んだかもしれない。それを思うとシルビアは何故だか安堵した。
「ともかくこれで試練はクリアですね」
開かれた門を潜って、ロゼットが不敵な笑みと共に呟いた。
「参ったな。これは会長が気に入る筈だ。ああ、俺の負けだよ。歓迎しよう。天才共」
何か吹っ切れたようにシルビアが笑う。先程の敵意のようなものはロゼットが結界と同時に壊してしまったようだ。親しみやすい先輩として今度は先導してくれる。
その後に続き、時計塔に踏み入る。中は実にシンプル、螺旋階段が延々と続いているだけ、各階には会議室などの様々な施設が存在している。
しかし、それよりもロゼットに気になることがあった。
「副会長、これってもしかして上るんですか?」
正直、最上階は見えない。そこまで続く螺旋階段を上るなど正気の沙汰ではない。
「安心しろ」
とシルビアが螺旋階段の中央へ立つ。すると再び彼の右腕に紫色の刻印が浮かび上がる。三人の四方を囲むように作られた正方形の結界、それは浮遊する。妙な感覚にロゼットがバランスを崩す。
「結界と重力操作との応用だ。重い荷物もこれで楽ちんって訳だ」
「な、なるほど」
「面白い使い方ですね」
珍しく、メイビスは興味を示した。
重力操作とは魔導士が最初に習う二つの基礎魔法の一つである。自身の肉体へ掛かる重力や負荷を軽減させるもので魔導士の戦いにおいて回避手段の一つとされ重宝される。それをこんな形に応用するとは彼女も思ってなかったのだろう。読書を止め、注意深く観察している。
「上方への移動魔法も併用している。さすがですね副会長」
ロゼットもこの高度な技術には感服していた。三種類もの魔法を同時に扱うというのは簡単にできることではない。
「べリウスから言われると嫌味にしか聞こえないがな」
「いや、そういう訳では」
「分かってるさ」
はは、と気にしてない様に笑うシルビア。
「だが、お前らに興味を示して貰えるとは、俺の努力も無駄ではなかったと実感できるな」
先程の出来事はやはり相当なショックだったようで、しみじみとそんなことを呟いていた。
するとシルビアは真剣な表情でロゼットを見た。
「べリウス、どうやって結界を破壊した?」
しかし、魔導士とはただ敗北するだけで終わる生き物ではない。情報、それは魔導士の武器だ。研究と研鑽は己の糧となる。シルビアは更なる高みを見据えていた。
「っ……」
真っ直ぐな瞳、シルビアはロゼットを見据えて包み隠さずに聞いた。自身の敗北を真摯に受け止めて、本来は唇を噛みしめたい気持ちを抑えながら聞いている。それに気が付いたのか、真剣なシルビアからロゼットは目を逸らすことなどできなかった。
「噂を聞いたことがある。お前は魔法を破壊する特殊な体質だと」
魔法は魔法による干渉でしか防御、破壊ができない。逆に言えば剣や銃を用いても魔導士の結界は絶対に破壊できない。基礎魔法の一つ、魔導障壁はそれだけで既存の兵器などから圧倒的に優位な防御性能を持つ。魔法に対処できるのは魔法だけ、つまりロゼットが手で触れただけで結界を破壊したという事実は魔導士にとって受け入れ難い光景だったのだ。
「先程の結界、俺は本気ではないとはいえ油断などしてはなかった。それをお前は破壊した。しかも一瞬でだ。さらにあの時、お前の肉体には刻印が浮かび上がらなかった。魔導士としてお前は異端過ぎる。その剣に秘密があるのか? それとも本当に」
「魔法ですよ」
シルビアの声を遮るようにロゼットは口にした。
「この黒剣はただの剣です。それに刻印もあります。俺から言えるのは、それだけです」
これ以上は言うつもりはない。ロゼットは言葉にすることなく告げた。
あらゆる魔法は基礎術式と呼ばれる全ての基盤となる七つの魔法が存在し、樹の枝のように魔導士によって無数に枝分かれして存在している。魔導士の数だけ魔法があると言っても過言ではない。それをむやみに晒す行為はその魔導士の魔法の全貌を明かす行為に他ならない。
シルビアもそれを察し、それ以上聞くことはしない。
「そうか、それが聞けただけでも儲けものだ」
「種明かしをした時にガッカリされなければいいけど」
ふふ、とメイビスは横槍を入れる。間髪入れずに黙れとロゼットは呟いた。
「レーゲンバルドはべリウスの魔法を知っているのか?」
その会話を聞いて、シルビアは疑問を投げかけた。
「ええ、よく知ってますよ」
天才の領域は天才にしか理解できない。シルビアでは解析不能なロゼットの魔法も既にメイビスには解明できているのだ。こんなに近くにいる彼らが遠く、遥か彼方に感じる。
「ウルカヌスの獣か」
誰にも聞こえないようにシルビアは呟く。心の底からの才へ嫉妬の表れだった。
そんな感傷に浸っていると目的地、時計塔の最上階にある生徒会室の目の前まで辿り着いていた。浮遊感は消えると、三人はそこへ歩き出す。
「ここだ」
木製の扉と金色のドアノブの両開き門扉を開く。たかが十七、十八の子供に任せる施設としては広すぎる部屋が広がっていた。応接室も含める空間には品質の良いソファーとテーブル、その奥には生徒会役員の為の作業用の机と椅子が揃えられている。そして、その最奥には彼女の姿があった。
「来たな」
ビーリス・マクローン、彼女は大きな椅子に深く腰掛け、不敵な笑みを浮かべながら二人のことを待っていた。
「その様子だと敗北してしまったようだな? シルビア」
ここまで全てが読み通りとでも言いたげにビーリスがシルビアへ告げる。
「ええ、会長が気に入る訳です」
「そうだろう。そうだろう」
かっかっか! と豪快に高笑いをするビーリス、彼女の元にシルビアが歩いていき改めてロゼットらを歓迎した。ビーリスとシルビアの二人が並ぶとかなり絵になる。しかし、生徒会の役員としては後二名の姿が生徒会室には見当たらなかった。
「すみませーん! 遅れましたー!」
と思ったのも束の間、開かれた扉のさらに後ろから声が響いてきた。少年とも少女とも判断が付かない声にロゼットとメイビスが振り返ると、さらに混乱することになった。
「女?」
「男?」
ロゼット、メイビスがそれぞれ呟く。
「はぁ……すみません。シエル・デイルビット遅れました!」
ビシッと敬礼をして生徒が現れる。両結びにした白銀の髪、赤い瞳、身長は低く、かなり中性的な容姿、少年と言われれば少年だし、少女と言われれば普通に納得してしまう。だが制服は男子用のものなので恐らく男だと思われるのだが、それを加味しても男装女子にも見えてしまう。それこそが生徒会会計ことシエル・デイルビットだった。
「傍目からじゃ分からないと思うがそいつは男だ」
どうやら本当に男らしい。会長であるビーリスがそう言うならそうなのだろう。
「あ! あなた達がメイビスさんとロゼット君ですね! 初めまして、僕はシエル・デイルビットです。僕も一年生なのでこれからよろしくお願いしますね!」
空に輝く太陽のように輝かしい笑顔、この笑顔のために一つの抗争が終焉へ向かうとも言い切れない破壊力を秘めている。小動物のような愛らしさと美少年の爽やかさを併せ持った彼は生徒会のマスコットに違いない。
「というよりシエルよ。お前、もしかして自力で上って来たのか?」
はぁはぁ、と息を切らしながら自己紹介をしているシエルを見てシルビアが問う。その額や首筋には汗が滴っており、どこか艶めかしさを感じさせる。
「はい! 日々の鍛錬は魔導士の務めですので」
下から見れば無限に続いているようにも見えるあの螺旋階段を上って来るとは、見た目の割に気合の入った男だ。確かによく見れば、白く、細い腕だが肉付きは悪くない。ロゼット達と同じ一年生にも関わらず生徒会へ選出されるほどの猛者だというのは紛れもない事実だろう。物事に紳士へ向き合う姿勢は実に魔導士に向いていると言える。
「メイビス・レーゲンバルドよ。よろしく」
「ロゼット・べリウスだ。よろしくなシエル」
思い出したようにメイビスが自己紹介をするとロゼットもそれに続いた。
「うん! ロゼット君! メイビスさん!」」
二人の手をとってブンブンと上下に振る。同級生が生徒会に入って彼は心の底から嬉しそうな微笑みを浮かべていた。
「さて、自己紹介はそこまでだ」
そんな少し緩んだ空気をビーリスは一言で引き締めた。真剣さに溢れた言葉からは生徒会長としての権威を感じさせる。
「改めて、俺が生徒会長ビーリス・マクローン。この男がシルビア・カルタス、生徒会副会長。そこのシエル・デイルビットが会計。残りの一名は風紀委員との掛け持ちで現在不在だ」
シルビア、シエルはそれぞれの席へ座る。
「ようこそ、中央魔導学院第三十一期生徒会へ」
風が吹いた。二人を歓迎するようで、そしてこの後の波乱を象徴するような風が。
いかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたら幸いです。ストックを消費するだけなので毎日投稿していきたいです。