ホロ学園の「俺」君物語   作:零円

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登場ライバー
大空スバル
星街すいせい
紫咲シオン


見舞い、日常2

 ちゃぶ台の様な小さなテーブルを置いて、それを挟んですいちゃんとスバルの対面に座る。

 シオンは離席。というか、スバルへの説明を俺に丸投げして、部屋か1階へ戻って行った。

 俺はと言えば、スバルへの説明を先程終えて、お茶で一服中。

 聞いていたスバルは、「へー」と感心した様子だった。

 

「魔法って本当にあるんだ」

「らしい」

「君も使えるの?」

「ちょっと目が良くなってる。瞳が紫色なのはそのせい」

「あー。それカラコンじゃなかったんだ」

「そう言う事」

 

 まあ目が良くなっている事を考えれば、度入りカラコンと言って差し支えない気はする。

 俺の言葉に、スバルはふむふむと、納得した様子で首を縦に振り。

 

「スバルも使ってみたいなー、魔法」

 

 そう口にした。気持ちは分かるが。

 

「残念ながら出来んらしい」

「君は出来てるじゃん」

「俺は色々あってたまたまだよ。偶然の産物」

 

 よもや目薬をするわけにもいくまいて。

 俺の言葉に、ちぇーっと残念そうなスバルだったが。

 「でも」と前置きし、笑顔を見せる。

 

「元気そうで良かったよ。暫く休んでいたし、連絡もつかなかったから」

「それはすまん」

「まあ、すいちゃんからは元気そうとは聞いていたんだけどね」

「そうなのか?」

 

 ちらりとすいちゃんの様子を窺えば、合わせろとアイコンタクトされる。

 

「うん。ただ、お薬効いてて殆ど寝てるって」

「──ああ。暫くは起きてても眠い位でさ。返信出来なくてすまん」

「いいって。体優先ッス!」

 

 話を合わせてそう返すと、スバルが笑った。まあ、全部が全部、嘘と言う訳でも無い。

 因みに今日は昨日の夕飯のおかげか、スッキリ目が覚めたし、かなり調子がいい。眠くないって素晴らしい事だ。

 

「本当はもう少し早めにお見舞い来たかったんだけど、部活とか委員会とかで忙しかったから、何なら丁度良かったかも?」

「なんだそれ」

 

 スバルの言葉に、思わず笑う。

 

「でも、それなら悪かった。忙しい中、見舞いに来てもらって」

「落ち着いたから大丈夫ッスよ」

 

 成程。すいちゃんが気を効かせてくれたようだ。納得。

 そりゃ三日間音信不通だし、見舞いに行く度に寝ているなんて伝えたら、更に心配させるだろうから、申し訳なくなる。

 

「すいちゃんも、お見舞いに来てくれてありがとうね」

「別に。スバちゃんが行くって言うから、付き添っただけだし」

「……」

 

 スバちゃん……。

 

「……やっぱり向けられたことが無い感情を向けられるの楽しい」

「歪んでるって」

 

 閑話休題。

 

「──そうだ。はいこれ」

 

 忘れていたとばかりに、鞄を漁ったスバルが取り出したるは紙の束。

 

「とりあえず、今日までのノートのコピー。授業の選択、一緒だったよね?」

「本当? めっちゃ助かる」

 

 束を受け取る。

 ぱらぱらと捲って確認すれば、要領良く奇麗に纏められたノートのコピー。

 

「期末近いし、どうしようかと思ってた」

 

 気づけば期末テストまでもう三週間弱。

 内部進学希望にあたり成績は問題ないはずだが、最近はちょっと休みの数も多いから、盛れる所は盛っておきたい。

 その為にも、準備をぼちぼち始めて行かないと、最後に駆け込まないといけなくなる。

 

「あー、思い出したくないッス」

「そう言って、スバルだって別に成績低くないだろ」

 

 寧ろいい方だ。

 

「それと、テストがしたいかは別」

「それはそう」

 

 俺も別にテストしたいかと言われれば、そんな事は決してない。

 

「……期末近いの?」

 

 そう言ったのは、すいちゃんだった。

 

「三週間弱位かな」

 

 大体十二月の第二週後半から第三週前半位に行われる。

 その後一週間くらいかけてテスト返却とかが行われて、冬休みの流れだ。

 

「成程……」

「……後でノート見せるし、一緒に勉強しようね」

「スバルも一緒にやるから!」

「ありがと」

 

 すいちゃんが転校してきて数日。

 アイドル業が忙しいだろうし、前の学校と進みも違うのだろう。少し手間取っているらしい。

 以前は出来なかった、一緒に勉強に、少しワクワクしていると。

 

「そうだ。私もあるんだ」

 

 そう言ったすいちゃんが、鞄を漁る。

 取り出したのはクリアファイル。そこからさらに、紙面が一枚取り出される。

 

「はいこれ」

 

 手渡される。確認。進路希望調査書。

 書面にはシンプルに欄が三つ。希望する進路をそこに記入するらしい。

 進学希望か就職希望か。進学かつ、行きたい学校が決まっているなら学校名記載する。

 内部進学希望なら内部進学と書けばいいらしい。

 提出期限は、十二月中。かなり余裕がある。

 

「三者面談は一月だって」

「成程」

 

 しっかり考えろという事らしい。

 

「すいちゃんは兎も角、スバルは決まってるのか?」

「勉強してみたい事はあるけど、学校とかは全然決まってないんだよねー」

「それがあるだけ偉いって」

「ちょっと」

 

 俺とスバルの会話をすいちゃんが遮る。

 

「私は兎も角ってなんでよ」

 

 その言葉に、俺は首を傾げた。

 

「すいちゃんはアイドル継続でしょ?」

「可愛いお嫁さんかもしれないわよ」

「わははは」

「殺す」

「すみませんでした」

 

 殺意の純度が高い。即土下座して許しを請う。

 

「ったく。まあ、お嫁さんは冗談だけど」

「ならなんで笑って怒られたのさ」

「笑い方がムカついた」

「返す言葉も無い」

 

 理屈じゃないなら、返せる筈も無い。

 

「そういう君は決まってるの?」

 

 再びすいちゃんに頭を下げる俺に、スバルの言葉が届く。

 その言葉に、頭を上げる。

 

「いやー、全然。とりあえず大学は出た方がいいかなとは思って、内部進学する予定だけど」

 

 ただ、普通に就職してもいいかもしれんと、少し思うのも事実だ。

 やりたい仕事がある訳でも無いが、勉強したい事がある訳でも無いのに進学するのも変ではないかと。

 

「中々難しいよねー」

「そうねー」

「だなー」

 

 三人そろって、首を傾げる。

 実際どうするのが正解なのか。そもそも正解があるのか。

 

「ま、とりあえず、直近の期末テストか」

 

 答えも直ぐには出ないだろう。話を変える事にした。

 俺の言葉にスバルが首を縦に振る。

 

「それもそうッスね。冬休みに補習嫌だし」

 

 全くだ。流石に面倒くさい。

 

「……補習あるのね」

「そうだよ。赤点教科はもれなく」

「そう……」

 

 暗い顔のすいちゃんの視線が俺へ向いた。

 それから、鞄に手を入れて何かを取り出す。

 

「これあげるから、何とかしなさい」

「それはいいけど……なにこれ?」

「誕プレ」

「それならもう少し明るい顔で渡してくれない?」

 

 あっけらかんというすいちゃん。ギョッっとした様子を見せるのはスバルだ。

 

「今日誕生日なの!?」

「いや、十月だけど」

 

 ギリ先月である。

 

「言えよお前ぇ!」

「態々誕生日アピールするわけ無いでしょ」

 

 何ならフブキ先輩も知らない。ホロ学で俺の誕生日を知っているの、生徒会長権限で調べでもしたのか、何故か知っていた天音先輩位だ。

 因みに天音先輩からは、誕生日当日にコンビニで買ったらしいお菓子を貰った。

 

「……確かに」

 

 納得してくれたなら良かった。

 それはそれとして、すいちゃんである。

 

「なんでまた誕プレ?」

「まあ折角再会したしね。一ヶ月遅れ位、誤差でしょ」

「……まあいいか。ありがとうね」

 

 そう言う事ならと、素直に受け取る。

 サイズ的には両掌より一回り大きい位の小箱。

 ラッピングはしっかりされているが、特にリボンの様な装飾は無く、シールだけ貼られたシンプルな物。

 すいちゃんぽいなとそう思う。

 

「開けていい?」

「いいわよ」

 

 丁寧にラッピングを剥がした。

 中には白い小箱。それを更に開ければ、中にはブックカバー。濃い目の水色時の布地に群青色の栞の紐が付けられ、ワンポイントで星の刺繍がされた物。

 

「この前、見舞いに来た時に、文庫本結構あったから。あって困らないでしょ」

「おー、ありがとう。めっちゃ嬉しい。大事にする」

「そうしなさい」

 

 早速、読みかけの私物のラノベにつけていた、紙のカバーを外して装着する。

 本当は今読んでいるフブキ先輩の借り物につけられれば良かったが、そちらはプラスチック製の透明カバーがついているから、つけられなかった。

 

「……成程、あの歪みは独占欲から来ているんだね」

「そんな事無いが!?」

 

 後ろでスバルとすいちゃんのそんなやり取りが聞こえた。

 本を置いて、振り返る。

 

「頑張って勉強教えるね。早速今からやる?」

「……いや、今日は用事あるからもう帰るわ」

「そう? 送ろうか?」

「病人に送らせる訳にはいかないでしょ」

 

 病気ではないのだが。

 

「すいちゃんが帰るなら私も帰ろっかな」

「スバルも帰るのか。送る?」

「いいって──あれ?」

 

 すいちゃんとスバルが荷物を手に立ち上がる。

 そんな中、スバルが何かに気が付き、声を上げた。

 

「ねぇ、なんでフィギュア後ろ向いてるの?」

 

 その言葉に、使われていたグラスを集めながら、答える。

 

「分からん。すいちゃんがやった」

 

 びくりと、すいちゃんの肩が跳ねる。

 そんなすいちゃんを、少し呆れ顔で見るスバル。

 

「へー」

「何よ、その反応!」

「別にー」

 

 そこから、改めてフィギュアの方を見るスバル。

 

「すいちゃんもだけど、君も相当だね」

「もってなによ!」

「相当って何だよ」

 

 心当たりが無さ過ぎるのだが。

 すいちゃんを華麗にスルーして、スバルは「だって」と言葉を続ける。

 

「殆ど白髪じゃないッスか。白上先輩意識じゃないの?」

「……? いや、ほぼそのフブキ先輩の私物だぞ。俺のは、唯一許されてるそらちゃんのねんどろいどだけ」

 

 ほらあれと、唯一こちらを向いた一体を指差す。

 俺の言葉に、えっっとスバル。

 

「そうなの?」

「うん」

「……またまたー」

 

 そう言いつつも、俺の顔を見たスバルは「え、マジ?」と驚いた顔。

 なんならちょっと引いてた。理由は分からない。

 一方で、すいちゃんの顔には困惑と怒りの混ざったような顔。

 

「待って。白上先輩って男じゃないの?」

「女性だよ。部活の先輩。尊敬する先輩だから、今度紹介するね」

「……ええ、面通しは大事だからね」

 

 何だろう。鬼気迫るものを感じる。

 ぷるぷると、スバルが口元を抑えていた。多分笑っている。

 

「とりあえず、今日は帰るわ」

「あ、うん。改めてブックカバー、ありがとうね。大事にするよ」

「どういたしまして。誕生日、期待してるわ」

「三月だよね。大丈夫、ちゃんと覚えているよ」

「うん」

 

 しっかり準備して臨もう。

 俺の言葉に、静かに笑い、頷いたすいちゃん。

 それを見てふと、もしかしてこれが目的で一ヶ月のずれもお構いなしにプレゼントを渡して来たのではと、そんな考えが脳裏を過ぎった。

 そんな俺を他所に、すいちゃんはスバルの方を向いた。

 

「ほらスバル、帰るんでしょ」

「あ、行く行く」

 

 歩き出したすいちゃんを追って、スバルも歩き出した。

 そんな二人を、グラスを載せたお盆を手に自分も追い、階段を下って玄関へ。

 靴を履く二人を見守り。やがて履き終えた二人が立ち上がる。

 

「学校はいつ復帰する予定なの?」

「一応明日様子見て、明後日か明々後日のつもり」

「そう。なら、お見舞いはもういいわね」

「うん。ありがとうね、すいちゃん。何度も来てもらって」

「気にしないで」

「それじゃあ、また学校でね!」

「ああ、スバル。また学校でな」

 

 扉を開けて、すいちゃんとスバルが出ていくのを見送り。

 自然に閉まるのを待った後、少し様子を窺ってから、鍵を掛けた。

 妙に静かになった気がする玄関を背に、お盆を手にキッチンへ。

 戸を開けて、中に入れば。ダイニングテーブルのいつもの席で、シオンが読書中だった。

 開閉音に気が付いたのか、シオンが顔を上げる。

 

「ちゃんと説明した?」

「しといた。それより、早めに頼むぞ」

「分かっているわよ。それよりお腹空いたー」

「ああ、直ぐに作る」

 

 昨日、わためが作ってくれた総菜は少し残っているが、流石に足らない。

 とりあえず冷蔵庫の中を見ようと思った所で気が付く。わための姿が無かった。

 

「わためは?」

「フレアちゃんの所。今日は泊まるって」

「……そう?」

 

 随分急な気がする。少なくとも最後に顔を合わせた昼までに聞いた記憶はない。

 

「なんか用事だって。ちなみにダイレクトで家まで直通転送しておいたから、外には出てないわよ」

「おう……?」

 

 絶妙に反応しづらい。屋外には出ていないかもしれないが、家の外には出ていると思うのだけど。

 まあ、ドヤ顔するシオンに水を差すのも悪いし、あの二人の家ならいいかと、特に突っ込まない。

 シオンと二人の食卓って、なんか久しぶりだなと思いながら、キッチンへ入った。

 

「因みに、何か食べたい物ある?」

「寿司」

「無理」

「じゃあ、焼肉」

「なんか適当に作るわ」

 

 いつも通り煮物になった。




因みに主人公君のプロフィールはちゃんと設定あり
誕生日イベントスキップは、大体2章打ち切りのせい

文章の構成はどちらがいいですか

  • 全部詰める(全話までのやり方)
  • 地文と会話文の間に改行を入れる(今回)
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