ホロ学園の「俺」君物語   作:零円

97 / 126
登場ライバー
紫咲シオン


見舞い?魔界2

 シオンはまだ食事中。途中笑っていたから、終わるのにもう少しかかりそう。

 

「それで、何処に行くんだ?」

 

 自分の分の食器を手にキッチンへ。

 洗い物をしながら、シオンに尋ねれば、トーストを齧っていたシオンが、首を傾げる。

 

「ふぉほっふぇ?」

「行儀悪いぞ」

 

 俺の言葉に、シオンは食べる事を選択したらしい。

 噛み切ったトーストを飲み込んで、改めて口を開く。

 

「どこって、何が?」

「いや、付き合ってって言ったじゃないか? だから、どこかに出かけるもんかと」

 

 よもや恋愛的な意味での言葉では無いだろうから、そう思ったのだけど。

 俺の言葉に、「あー、成程」とシオン。もぐもぐとトーストの残りを食べ切り。

 

「別に出かけるつもり無いけど」

「そうなのか? なら、何に付き合えばいいんだよ」

「後で教えてあげる」

 

 悪戯に笑うシオンに対し、首を傾げるしかない俺。

 

「ごちそうさまー」

 

 言うや否や、シオンの食器類が宙を舞った。

 そのまま、洗い物をしている俺の手元へ。シンクの中へと静かに入る。

 

「じゃあ、準備しているから、アンタも準備終わったら教えてね」

「準備って、何すればいいんだよ」

「特に無いけど、長くなるから、やる事があるなら、先に済ませた方がいいかな」

 

 席を立つシオン。

 歩き出すと、それにお供するように、シオンの使っていたカップもまた宙へ浮き、ついていく。

 

「後でね」

 

 ひらり手を振って、リビングを出て行くシオン。

 その背を見送ってから、手元へ視線を落とす。

 

「……おそまつさまー」

 

 結局何も分からぬまま。

 かけ損ねた言葉をかけて、俺は一旦洗い物に戻った。

 

 ***

 

 どれだけかかるか分かったもんではないので、シオンの言う通り、やる事を先にやっておく事に決める。

 洗い物を先に済ませた後は、家の中を軽く点検。

 ここ数日、何度か目が覚めた時には確認していたが、俺が寝ている間も、出来うる限りの事はしてくれていたようで、家の中でも共用の生活スペースはかなり普通に綺麗だ。

 一先ず共用部から始め、軽く掃除機をかけていく。間もなく1階が終わり、続けて2階。廊下と自室を手早く済ませ、シオンの部屋。

 

「シオーン。掃除機かけていい?」

 

 ノック数回。扉を開けずに尋ねれば、「あとでー」と扉越しに返事が来る。その後、「早くしてよねー」とも。

 準備中なのだろう。特に突っ込まず、後て使う為に二階の廊下奥へと置いて、水回りの清掃へ移行。シンクや便座、風呂場を磨く。

 それが済んだらシャワーを浴び、適当な服に着替えて、ジャージなど元々着ていたもの等は洗濯機へ。こちらも思っていたより溜まっていない。定期的に回してくれていたらしい。

 残量からして、最後に回したのは一昨日あたりだろうか。一先ず、ポケットの中とかに物が入っていないかだけ確認し、洗濯機を回し始める。

 

「これでひと先ず終わりか?」

 

 ガタガタと賑やかな音を立てる洗濯機を前に、あれやこれやと考えるが、特に思いつく作業は無い。

 洗濯物を干しさえすれば、一先ずのノルマは完了と言っていいだろう。

 少し悩んで、一度シオンの部屋へと向かう。

 ノックを数回。

 

「シオン、入っていいか?」

「いいわよー」

 

 戸を開けて、中に入った。

 部屋のサイズや間取り、壁紙の色等は、俺と変わらない。

 ただ、何処から仕入れたのは机や棚と言った家具、小物類は、シオンらしく紫をベースに揃えられていた。

 そんな中、真っ先に目に飛び込んでくるのは本棚。戸の対面、本来ならベランダに通じる筈の大きな窓の前を陣取るそれは、横は左右の壁から壁、縦は床から天井まで、まるで測ったかのようにピッタリ収まるサイズの物。おかげで、窓の掃除をするときは、態々俺の部屋のベランダから回っていくしかない。

 その脇、戸からは向かって右の壁には、これまた手前から奥まで、ぴったりと測ったような奥行きの机が置かれている。窓側については本棚の棚の一つと隙間なくくっついていて、本棚の一角がそのまま机の延長の様な具合になっていた。テーブルの上には実験などで使いそうなガラス器具や小物類に、何か書きなぐられている紙や、厚みのあるハードカバーの本などが雑多に置かれていた。

 机の対面側のにはベッド。こちらは、壁に頭を向ける形で置かれていた。そのせいで少し幅を取っているが、壁にベッドをくっつけるとクローゼットが開けられなくなるから、苦肉の策である。折り畳みベッドにでもして、常に畳んだり出したり出来るようにすればいいと思うが、どうせ万年床になるからと、普通にベッドを置く事に決めたのはシオンだ。

 そして部屋の中央には、カーペットが敷かれていて、其処にはちゃぶ台というか小さなテーブルが置いてあるはずなのだが。今は本棚とベッドの間に追いやられていた。

 テーブルがあった場所にはシオンが収まっていて、傍には恐らくは開けっ放しのクローゼットから取り出されたのだろう、開けられた段ボールが幾つかに、何か儀式にでも使いそうな雑貨が置かれていた。

 

「どういう状況?」

「使う物探していたら散らかっちゃった」

「……ちゃんと片せよ」

「言われなくてもやるわよ」

「……」

 

 多分手伝う事になるんだろうなぁと、ぼんやり思っていると、「よっと」と、掛け声と共にシオンが立ち上がった。

 

「もう大丈夫なの?」

「洗濯機回している所。後で干すから、途中で抜けても大丈夫なのか確認したくて来た」

「抜けられると面倒だから、出来たらまとめてがいいわね」

「なら後一時間くらい待ってくれ」

「おっけー。なら、洗濯機回している間、こっち手伝ってよ」

 

 あれ、と、シオンが床に置かれた雑貨類を指差した。

 

「リビング持ってっておいて」

「……ちゃんと片付けろよ?」

「分かってるってば」

「……」

 

 どうせ手伝う事になるんだろうなぁと、確信している俺を置いて、話を進めているシオン。

 床に置かれていた雑貨類が、段ボールへと収まる。

 

「そこの段ボール三つと、巻かれている布ね。巻かれている布は後で敷くから、テーブルとかソファーも動かして置いてほしいかも」

「……シオンは?」

「私は後、魔法の準備があるから、それが終わったら手伝う。あ、段ボールの中に壊れ物もあるから気を付けてね」

「……りょーかい」

 

 今日は一日シオンに付き合うと決めている。シオンの中でそう言う事で決まっているなら従うのみだ。

 段ボールを持ち上げる。重さ的には大したこと無かった。全部同じ重さなら、三つ重ねて運べそうだ。

 ただ、壊れ物が入っているらしいので、念の為一つずつ運ぶ事に決めた。

 

「全部持って行っていいんだよな?」

「うん、お願いー」

「はいよ、扉、開けっ放しでいいか?」

「いいわよー」

 

 そう言われたので、シオンの部屋の戸を開けたまま、俺は段ボールを手に一階へ降りた。

 リビングへ入る。折角掃除機かけたのにと言う考えが過るが、早々に諦めて、段ボールをダイニングテーブルへ置いた。

 ちらりとリビングを見る。

 朝と変わらない、いつもの風景。

 一先ずテーブルに近づき、手をかけた。力を籠めれば、そのまま持ち上がる。

 一方のソファー。こちらも同じように手をかけ、力を籠める。

 

「──これ動かすの大変だなぁ」

 

 腰をやってしまいそうだから、早めに諦める。

 とりあえず、テーブルは問題無さそうだが、ソファー動かすのは面倒そうだ。それに動かすにしてもどこにやるか。

 ──とりあえず残りの段ボールと布を持ってきてから決めればいいか。

 シオンの部屋に戻る。開けたままの扉から、机に向かうシオンが──見えない? 

 

「はて?」

 

 どこに行ったのかと思っていると、ガタガタと言う音が、俺の部屋から。

 

「……」

 

 思わず溜息が漏れた。そのまま中に入り、置かれていた段ボールを回収。

 階下へ降りる前に自室へ。俺の部屋だから、ノックもせずにいきなり開ける。

 そのまま脇を見る。クローゼットをガサゴソしているシオンが居た。

 あの短時間に、段ボールは床に散らばっていた。

 それでも見つけられていないようで、スカートをちらつかせながら、ガサゴソと中身を漁っている。

 

「魔法の準備は?」

「もうちょっとかかりそうー」

 

 あれが果たして準備なのか。まあ、シオンが言うならそうなのだろう。

 

「了解。ソファーは動かせなさそうだから、シオンが頼むわ」

「はーい」

 

 答えたシオンに満足して、俺は自室を後にする。

 掃除は自分でやる事に決めた。

 




すいちゃん誕生日おめでとう (1日遅れ)

文章の構成はどちらがいいですか

  • 全部詰める(全話までのやり方)
  • 地文と会話文の間に改行を入れる(今回)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。