調査兵団団長、エルヴィン・スミスがウォール・ローゼ壁上にてリヴァイ、ハンジ・ゾエ、ミケ・ザカリアスなどの兵士たちと合流したのは車力の巨人ことピーク・フィンガーが倒されてから15分後のことであった。王都に召集され中央憲兵団に引き渡すはずであったエレン・イェーガーの影武者を終えてエルヴィンと共にやってきたジャン・キルシュタインは息を呑んだ。ここに来る途中に超大型巨人の姿や、初めて見る2体の巨人の姿を遠目から落雷音やシルエットなどから察知していたが、それらの骨と思わしきものが遥か前方や大地に転がっていたからだ。
「エルヴィン、壁の上を走ってきたのかい?」
初めに声をかけたのはハンジで、移動効率の良さから壁上を馬で駆けてきたエルヴィンに感心しつつも本当に実行する姿に思わず聞いてしまった。
「あぁ。そんなことより、今の状況を説明してくれ」
ウォール・ローゼが突破されたかもしれないという話までは承知しているエルヴィンであったが、獣の巨人からの奇襲、104期生の中に3人も巨人になれる人間がいたことや
説明を求められて、ハンジは何から話すべきかと思い悩んだ。すると、後ろにいたリヴァイが口を開いた。
「話す前にこの下にいる巨人のことはいいのか?」
「あぁ! そうだった!」
ピークとの戦闘で忘れていたことを思い出して声を上げたハンジにジャンは「下の巨人?」と首を傾げた。下と言うと、壁外でこちらを見上げている無知性巨人のことか、あるいはもう動くことも無く地面へと還るであろう骨のことであろうか。返ってきたことはエルヴィンを含めた調査兵達を驚かせるものであった。
「何? この壁が超大型巨人で出来ていると?」
「おそらく、だけどね」
未だに信じられないが、巨人の未知の領域やこの世界の知られざる真実が多分に含まれる事も考えれば、そうであってもおかしくないと言うハンジにエルヴィンは首肯した。他の団員に比べて動揺や驚きの少ない反応にリヴァイは訝しむ。
「なんだお前の予想通りだったか?」
「いや、ずっと気にはなっていたんだ」
「何がだ」
「この壁は全高50メートル、厚さ10メートルで構成されている。しかも直径が異なるものが3層もだ。こんなものを壁外にいる巨人に邪魔されずに作ることは不可能だと思っていた」
しかし、これも巨人の力ならば納得できる部分もあるとエルヴィンは考えた。
「巨人を呼び寄せる力のある女型の巨人の特徴から考えれば、巨人を操る能力を持つ巨人がいたとしてもおかしくは無い。その巨人が過去にいた超大型巨人に命令してこの壁を築いたとすれば……」
「オイオイ、昔にはあのデカブツが何体もいたってのか」
「だが、それなら皮膚は剥き出しのままになるんじゃないのか?」
超大型巨人の姿を間近で見ていたミケは超大型巨人が出現してから1時間も経たないうちに骨格についていた筋肉を消費した姿を思い出す。そこから考えると、超大型巨人が立っていられるのは筋肉を燃やさないようにしても数時間もないのではと考えた。
「ふむ、考察を始める前にここで起きた話を先に聞くべきだな。あと、その壁の中にいる巨人も見てみたい」
全ての情報が開示されてから話を進めても遅くはないだろうと結論づけたエルヴィンは、荷馬車に積ませた死者や怪我人を安置するためのシートを剥き出しになった超大型巨人の前に掛けて日光を遮断させ、その間にハンジ達からウォール・ローゼ南区、ウォール・ローゼ壁上で起きた全ての出来事に耳を傾けた。途中、ジャンが同期のうち3人が新たに巨人であることが判明した事実に口を挟んだ場面もあったが、エルヴィンに窘められた。
「そうか」
エルヴィンは全ての話を聞き終えたあと、時系列順に話を整理した。
まず初めに女型の巨人の仲間と思われる超大型巨人、鎧の巨人が104期生調査兵団の中にいると睨んだエルヴィン団長やハンジ・ゾエによりウォール・ローゼ南方の空き家に隔離。だが、壁内に巨人が侵入。それが超大型巨人、鎧の巨人の仕業と仮定した現場指揮のミケにより、4班に離散。しかし、ホライゾン・モルガンの独断行動によりミケがウォール・ローゼに空いたと思われる穴の調査班から離脱。
始めに押し寄せてきた巨人達をホライゾンとミケのみで撃破。すると、獣のような体毛で全身を顔や腹部、手足の先以外を覆った獣の巨人と交戦。これを2人で撃破し、中からジーク・イェーガーと名乗る男を捕縛する。
その後、リヴァイ班と合流したミケは一度装備を整えるために帰還。ジークはホライゾンに任せるも、ホライゾンが再び単独行動へ。壁の調査班として向かったナナバやゲルガー率いる非武装の104期生とのチームが休んでいたウォール・ローゼの近くにあるウドガルド城に赴く。そこで女型の巨人の仲間の1人と思わしきベルトルト・フーバーを捕縛する。
しばらくして、ハンジやリヴァイ率いる本隊と合流して、状況を俯瞰するべく壁上へと移る。そこで経緯は不明だが、ライナー・ブラウンが自身の正体を鎧の巨人であることを明かす。彼が変身すると共にベルトルトが超大型巨人へと変身。また、ライナーが鎧の巨人であると知ったエレン・イェーガーが激高し、続いて変身し、戦場が地上と壁上に分かれる。
長期戦を強いられる超大型巨人に対して、様子見を選択したハンジは先にエレンと協力して鎧の巨人の撃破を行う。堅牢な皮膚で覆われる鎧の巨人であったが、ホライゾンにより関節部の内側ならば刃が通ることが判明し、鎧の巨人の動きを封じる。さらに、堅牢な皮膚も巨人同士であれば絞め技を行使すれば破壊できると分かり、手足がなくなり抵抗の出来なくなった鎧の巨人のうなじの装甲を破壊。そこから鎧の巨人の中身を引きずり出して捕縛。
次に放置していた超大型巨人は、自身の身を守るために高温のガスを出すも、それが筋肉を燃やして出しているものと判明。直接切りつけるよりも、あばら骨で身体を支えているという弱点を突き、地面に落下させて討伐。中身であるベルトルトを捕縛することに成功。
その時に超大型巨人があばら骨を刺していた壁面が砕けて、中から超大型巨人と思わしきモノの目が露出しているのを発見する。
そして、最後に現れたのが次々と捕らえられた仲間たちを救うべく駐屯兵団の隊服を着て紛れたピーク・フィンガーと名乗る女性で、彼女は非武装の兵士の1人、クリスタ・レンズを人質に取るも、104期生の1人であるユミルが巨人に変身した際に生まれた隙をホライゾンとリヴァイに突かれ、人質を解放。その後、リヴァイからつけられた傷で巨人化する。遮蔽物も立体物もない状況であったが、ユミルの変身した小型の巨人と協力して、ピークを降参させる。
「想像もしていなかった成果だな、これは」
良くて、超大型巨人と鎧の巨人のどちらかを捕らえることであったが、まさか他の巨人の中身も捕らえてしまうとはと今はこの場にいない功労者の姿を思い浮かべたエルヴィンは満足そうに微笑む。
「7体の巨人に、壁に潜む巨人。これは調べ甲斐がありそうだ」
「喜んでいるところ悪いけど、まだ巨人が壁内に発生した問題が片付いてないよ?」
うんうんと頷くエルヴィンにハンジがそう問いかけると、ミケが口を開いた。
「そういえば、ホライゾンが言っていた。今回の巨人は壁内から発生したものでは無いかと」
「ほう」
どういうことだと問うリヴァイにミケは答えづらそうに視線を落とした。
「すまない。その時は情報の伝達を優先していて、理由までは……」
せいぜい超大型巨人の蒸気や巨人発生時の雷が聞こえなかったからという理由くらいしか言っていなかったと思うがと付け足したミケにエルヴィンはホライゾンの仮説に同意した。
「だろうな。もし、本当に壁が破られていたのなら、今頃この下は地獄と化しているだろう」
ナナバ達や合流したリヴァイ班により、今回現れた巨人のほとんどは駆逐されており、内側へと向かった巨人達も駐屯兵団の精鋭たちにより倒されている。初見の判断どおり、壁が破られているのならエルヴィン達の足下でこちらを見上げている巨人達も壁内へと入っているはずなのだ。
「捕らえたアニ・レオンハートの言う通り、壁の外には巨人になれる人種、あるいは民族がいて、それらが獣の巨人と四足歩行の巨人により壁内に運び込まれて今回の騒動に発展したのかもしれないな」
かもしれないと言っているのはこれが事実とまだ言えないからである。報告にあった死体や血痕が無いにも関わらず、誰一人住民のいなかったコニー・スプリンガーの故郷の話も気になるエルヴィンはハンジ班に調査するよう指示を出す。
「いたのは自分の手足ではとても動けそうにない巨人1体だけか」
コニー・スプリンガーと共にラガコ村へと向かった兵士の話を聞いて、ポツリと呟いたエルヴィンは幼き日に父が自分に話した仮説の真実が近づいてきている気配を感じていた。
壁の外に人類はいないと、壁内の教科書や書物には記されている。それはアニ・レオンハートの陳述により覆された。壁の外には何があるのか、その全ての事実は捕らえた者たちに聞くよりも、エレン・イェーガーの生家の地下室に彼の父グリシャ・イェーガーが残した何かにある。
「その前に次の敵を何とかしなければな」
おそらく、王政はこれ以上自分達が世界の事実へと近づくことを良しとしない。自分の父を葬ったように、調査兵団に何かしらの圧力が及んだり、不可解な事故が起こるとエルヴィンは危惧した。襲ってくるのは王の側近たち、つまりは貴族の息のかかった中央憲兵達だ。
「巨人の次は人か。全く、どいつもこいつも休ませちゃくれねぇな」
リヴァイも自分のするべきことがもう見えているのか、エルヴィンにそう声をかける。
「あぁ。我々に休んでいる暇はない」
捕らえた巨人化能力者の身体検査が終わり次第、アニ・レオンハートのいる地下室へと閉じ込める。そこで聞ける限りの情報を聞いた後、ウォール・マリアを目指すための算段を整えなければならない。もし、その過程で王政や中央憲兵の手が及ぶのであれば、こちらもなりふり構っていられない。
まだ超大型巨人や鎧の巨人を捕らえた事実は公表していないが、本部に戻る道中に兵士の誰かが漏らしてしまうかもしれない。さらに言えば、ウォール・ローゼ南区にいた誰かが見ていたということもある。かもしれないという最悪の可能性を想定して、エルヴィンは今打てる最善の手を取り続けるしかない。
「壁の王が偽りであれば、開ける道もあるのだがな」
そんなありもしない可能性に賭けなければならないくらいに、今度の敵は手強いと思いながらエルヴィンは歩き出した。
この後にエルヴィンの命令で独断行動などの軍規違反をしたホライゾンに対して、知世巨人の討伐の全てに関わった功績を称えると共に、ホライゾンを全面的にバックアップするためのホライゾン班が結成されます。
メンバーは以下の通り
班長 ホライゾン
副隊長 ジャン
隊員 コニー、サシャ
アルミンは尋問の書記とホライゾンとは異なる視点で話を聞くために今回だけ同席って形です。
おまんけ(またしばらく投稿できないので多めに)
ジャン「お前、辛くなかったのか?」
ホライゾン「何がだ?」
ジャン「ライナーやベルトルトが巨人だったんだぞ!? それを、お前、その手で倒してよ」
ホライゾン「あぁ、それならもう私の中では方が着いた話だ」
ジャン「……そうかよ」
ピーク(アレが彼の恋人かしら……)
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コニー「ユミルも巨人だなんてマジかよ……」
サシャ「ほんとびっくりですよね……え、ジャンも巨人じゃないですよね?」
ジャン「なわけあるか!」
サシャ「そういえば、クリスタはどうなるんですか? うちの班には来ないんですか?」
ホライゾン「彼女には聞きたいことがあるとハンジ分隊長が言っていたから、しばらくは来ないだろうな」
ジャン「……なぁ、ユミルもお前が切ったって聞いたが、お前その、色々と大丈夫か?」
ホライゾン「何がだ?」
コニー「いや、でもユミルを切ったのは食われそうになったのを助けたからだろ? 別に気にする事はないだろ」
ジャン「そうか……なら、いいけどよ」
ホライゾン「あぁ、だが彼女には謝らなければならない」
サシャ「え? なんでですか?」
ホライゾン「自分の好奇心と巨人の謎を解き明かすためとは言え、失礼なことをした」
コニー「は? なんの事だよ」
ジャン(聞かない方がいい気がする)
サシャ「何をしたんですか?」
ホライゾン「あぁ、胸を少しな」
ジャン・コニー「は?」
サシャ「えっ」
ホライゾン「女型の巨人には胸があったのに、ユミルと四足歩行の彼女にはなかったのでな」
サシャ「えぇ……だからって、触ります?」
ホライゾン「失礼と言った!」
ジャン「言ったからって触っていいわけねぇだろ!」
サシャ「私も巨人だったら触られてたのでしょうか……?」
ホライゾン「無論だとも」
コニー「お前、それ本当に巨人の謎のためかよ?」
ホライゾン「無論だとも」
ジャン「その、触り心地とか、い、色とかはどうだった?」
ホライゾン「いや、乳房の有無と膨らみの大きさを調べるためだけだったからな、そこまでは調べていないな」
ジャン「……」
ホライゾン「それに服の上からだ。嫁入り前の娘の乳房を見ることは私にはできない」
コニー(え、でもこいつアニの下の世話してるんじゃ……? いや、胸じゃないからいいのか……?)
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来そうな質問に答えるコーナー
7体?→エルヴィンが知った知性巨人の数。エレン含めてるから
エルヴィンの内心→大絶頂
胸を触られたことをユミルは?→知らないよ
クリスタは?→ホモくんがセクハラをかますところを見ることなく、ユミルをよく知る者としてハンジに連れてかれたよ
エレンは?→ジークたち以外にも中央憲兵という敵がいるので、引き続きリヴァイ班が監視と護衛
男色家に胸を触られたピークちゃん可哀想→ほんとそれ
ホモくんマジで男色家なの?→さぁ