進撃の巨人 RTA Titan Slayer   作:オールF

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クリスタ(ヒストリア)の呼び方がガバガバですが、走者視点は適当。キャラ視点では正常になってますので、誤字修正はしなくて大丈夫です


役者たち (後編)

 宿舎に戻るとクリスタとユミルがホモくん達を迎えてくれます。どけ! 俺はホモだぞ!! (唐突な自己紹介) 2人から何事も無かったことを聞いて一安心したら、わずかな隙間に休息を取りましょう。王政奪還編において、体力やスタミナ、調子を回復するにはここしかありません。隊長自ら休憩をとることによって部下にも休憩を取らせやすくしましょう。

 

 

 頼む……静かに……

 

 

「大変だ!」

 

 

「トーマス!?」

 

 

 しゅっぽっぽと機関車が来ました。なんでいるんだよ! こっちは女子寮だぞ! つまり女子寮のベッドで無断で寝ているホモくんは女の子。野獣先輩も女の子説あるし多少はね? さて、そんな冗談はさておき、突然のトーマスの登場に驚いたジャンが彼から色々と事情を聞いてくれています。

 どうやら、中央憲兵が動き出したようです。早くない? RTA的には助かるけど……。休めなくなったので、アイテムで体力とスタミナを回復したら、クリスタとユミルを守るために動き出しましょう。まだクリスタを狙ってるとは限りませんし、盗られても死なないので問題ないです。クリスタ1人なら軟禁される程度ですし、エレンが揃ったら原作と同じ展開になるので。

 

 

「憲兵団みたいな服着たやつらがお前らを探している!」

 

 

 ファッ!? なんで!? 特にホモくん!? なんでぇ!? 

 

 

「分からねぇよ! さっき、兵舎に押しかけてきたんだよ!」

 

 

 お前ら何したんだよとトーマスや愉快な仲間たちに聞かれましたが、心当たりが多すぎて分からない。知性巨人を捕らえてることか、壁の真の王を知ってしまったことか、壁が巨人で作られているのを知ったことか……? どれか分かりませんが、ひとまず逃げた方が良さげなので、宿舎から離れましょう。

 

 

「おい、これからどうすんだよ!!」

 

 

 逃げるんだよ〜!

 どこに行くかはキメてない! 俺に質問するな! 中央憲兵の狙いは1にクリスタ。2にホモくん。3くらいに知性巨人達だと思うので、牢屋で籠城戦するのが安牌かな。あ、でも、ジークとクリスタを引き合せるのは色々とまずい気がする。なんなら、傷心のライナーもいるし、かつての仲間たちの姿を見たら、ジャンはともかくサシャやコニーのテンションにも影響が出ます。オマケにコニーの仇もいるわけですし、ジーク色々と地雷すぎる……。ライナーもジャンにとっては爆燐龍並の地雷だけど。

 クリスタとユミルが無兵装でなければ、中央憲兵もどうにかできるんですが。どうせ来るのも暗殺とか、権力振りかざしてからの拷問しかしてないようなオッサン達ですし。

 リヴァイの叔父さんは、甥っ子と遊ぶためにこっちには来ないでしょうし、リヴァイの叔父さんの部隊でなければ対人立体機動装置もトロスト区では使ってきません。ほんとぉ? 

 

 

「ん……?」

 

 

「どうした芋女」

 

 

「いえ、何か変な……いえ、聞き慣れた音が……」

 

 

 サシャが何かに気づいたようです。山育ち特有の耳の良さで「この音は……?」と異音の出処を探ります。まぁ、サシャが音の正体に気づいたところで遅いんですけど。

 

 

「立体機動装置の音がします!」

 

 

 親の声より聞いた音。

 はい、叔父さん来ちゃった♡ なんでぇ? 

 

 

 

 ###

 

 

 山から宿舎に戻ってやっと休めるかと思えば、トーマスから本部に中央憲兵のヤツらが来たという報告があり、俺たちはクリスタを連れて宿舎から飛び出した。クリスタとユミルの分の馬がないから、クリスタは俺の馬、ユミルはサシャの馬に乗ってもらって、移動を開始した。

 向かう先は分からねぇがトロスト区からの脱出が急務だと、ホライゾンを先頭にして馬を走らせる。トーマスがこっちに来れたってことは、本部の連中には何も無かったようだが。憲兵団に似た服で、今俺たちがしていることを考えれば来たのは中央憲兵に間違いない。

 所属兵団を開示しなかったあたり、秘密裏に事を済ませようとしているのかもしれねぇ。

 

 

「……ん?」

 

 

「どうした芋女」

 

 

「いえ、何か変な……いえ、聞き慣れた音が……」

 

 

 言われてみれば確かに、どこかで聞いた音だ。しかも、日常生活の中ではなく、訓練兵団に入ってからよく聞いた音だ。サシャが音の正体に気付くより早く、俺とホライゾンは立体機動装置の音だと分かった。しかし、どうして巨人もいないはずの壁内で立体機動装置が? 俺が考えるよりも先にホライゾンは動き出していた。

 

 

「総員、このまま前進してオルブド区へ行け!」

 

 

「はぁ!? お前はどうすんだよ!」

 

 

「説明している暇はない!」

 

 

 馬から飛び降りて、家屋の屋根へと乗り移ったホライゾンはそう言い捨てると剣を引き抜いた。そして、ホライゾンの正面から飛び出してきた人影に俺は絶句した。太陽の光を背にして出てきたそいつらは俺たちと同じく立体機動装置をつけて、さらには調査兵団や駐屯兵団が使う硬質ブレードではない兵装をホライゾンへと向けていた。

 

 

「あぁっ!! なんですかアレ!?」

 

 

「バカ! 前見て走れよ!」

 

 

「でもでもでも! アレどう見ても調査兵じゃないですよ! 明らか敵でしたよ!」

 

 

「ンなもん私らをつけて来る時点でわかるだろうが!」

 

 

 サシャとユミルの口論とそして空に響く銃声音を聞きながら、まさかと俺はトーマスが中央憲兵のヤツらに跡をつけられていたのではと思い至る。アイツらの狙いはクリスタか、この壁の中の事実をある程度知っちまった俺たちだ。だから、トーマスや本部にいる連中は殺されてないだろう。

 それでも、嫌な役回りだ。こっちは壁の中の事実を解き明かしてやろうっていうのに、相手はその事実が明るみになったら不都合な連中ときた。

 

 

「おい、ジャン! ホライゾンを置いてこのまま行くのかよ!」

 

 

 このまま進むべきか? 敵の数はパッと見だが5人はいた。それを全部ホライゾン1人で相手にするのは難しいはずだ。しかも、相手は剣ではなく違うのを持っていた。あれは少なくとも近接用じゃねぇ。さすがのホライゾンでも、飛び道具を持った兵士5人を相手にするのは無理だ。でも、人を殺したことの無い俺たちが行ってどうになる? 奴らには殺意があった。おそらくはホライゾンはそれを感じて俺たちを先に行かせたんだ。優しさからなのか、俺たちが足手まといになるからと考えたのかは分からねぇが。

 どうする? 行って俺たちに何が出来る?

 

 

「おい、ジャン」

 

 

 頭を抱えたい気持ちを堪えながら、どうすればいいかを考えているとユミルに声をかけられる。喋るほどの余裕がなく、視線だけそちらに向けるとユミルが口を開く。

 

 

「私が行く」

 

 

「はぁ? お前何言って……」

 

 

「私ならうなじを切られない限りは死なないだろうし、いざとなれば巨人化してホライゾンを助け出すことが出来る」

 

 

 俺はユミルの巨人を見ていないが、ホライゾンとアルミンの話では5m級って話だ。確かにそのサイズなら立体物を駆けて、俺たちのところにも追いつけると思うが。

 

 

「ダメだリスクが大きすぎる」

 

 

 まず、敵にユミルの巨人を晒す危険性。オマケにトロスト区の市民たちにも見られたら、調査兵団への反感や疑心を強める結果になっちまう。2人が捕まっても、殺されても調査兵団には大きな痛手になる。エルヴィン団長に副隊長に命じられた身である以上、兵団の損失になるようなことは俺にはできない。

 

 

「オイオイ、私は相談してるんじゃない。行くって言っただけだぜ? 誰もお前からの許可は求めてないんだよ」

 

 

「なっ!?」

 

 

「それにホライゾンには約束を果たして貰わないとな。ここでホライゾンに死なれたらクリ……ヒストリアを守るのはお前らになるんだろ? ライナー達の正体にも気づけなかったお前たちじゃ、まだ信頼できない」

 

 

「ッ……」

 

 

 それを言われたら、何も言えない。そうだ、ホライゾンは俺たちの仲間に壁外からやってきた巨人になれる人の正体を見抜いた。クリスタが壁内で真の王を名乗ることが出来る血族であることもウォール教の司祭から聞き出した。あと、これは俺の勘だがあいつは他にも色々知っているんじゃないだろうか。オマケに兵士としての腕もピカイチときた。

 そんなやつと比べられたら、俺なんて信頼されるような器じゃない。

 

 

「わかった……勝手にしろ」

 

 

「あぁ、勝手にするさ。じゃ、ク……ヒストリア」

 

 

 また後でとユミルはクリスタではなく、ヒストリアという名前を呼んだ。そして、サシャの馬から降りたユミルはホライゾンの馬に跨って、来た道を引き返していく。

 

 

「行くぞ」

 

 

 その後ろ姿が見えなくなるのを見送った俺たちは再び走り出した。

 

 

 

 

 ###

 

 

 

 私が宿舎へと引き返すと、そこにホライゾンの姿はなかった。5人を1箇所で相手にするのは得策ではないから移動したんだろう。立体機動装置がないから、屋根には上がれなかったが、屋根の上には少なくても1人腕を切られた兵士が野垂れ死んでいることだろう。証拠に宿舎の前には誰のものか分からない腕が落ちていた。

 市民たちが野次馬のようにごった返す方へと向かえば、今度は首元を切られた兵士が大往生していた。こいつから立体機動装置を奪ってやろうかとも思ったが、こう人がいては難しそうだ。おそらくは私たちから憲兵たちを遠ざけるために家屋が連なる方へと進んで行ったのだろうと、その方向へと進んでいくと3人目、4人目の死体があった。1人は身体に刃が突き刺さり、もう1人は屋根の上だから後頭部だけしか見えなかったが、死んでいると見ていいだろう。

 じゃ、残りの1人とホライゾンはと探していると聞き慣れた噴射音が路地の奥から聞こえ、顔を上げるとそこにはホライゾンが返り血を浴びた制服を着て立っていた。

 

 

「……なんだよ、戻ってくる必要なかったじゃん」

 

 

 骨折り損だなとため息を吐くと私に気づいたのかホライゾンが視線を向けた。すると、アイツは戻ってきた私を咎める様子もなく、むしろ助かったと指で目立たない位置に馬と共に移動するように命令してきた。

 表通りから見えない裏路地へと移る。すると、そこには死の匂いが漂っていた。

 

 

「よく来てくれた。さすがに5人相手は骨が折れた」

 

 

 屋根から降りてきたホライゾンはそう言いながら腕を回す。壁には剣を釘のようにして腕を打ち付けられ、もう動かないだろう憲兵団の兵士がいた。顔には涙の跡があり、多分拷問でもされて泣き散らしたのだろう。しかし、大声を出しても場所が場所だし、おまけに市民の注意は表通りの死体に向けられているから、こっちには来ないっていう計算か。

 爽やかな顔してやることえげつねーとホライゾンを見ると「何か?」と首を傾げられる。

 

 

「一応聞いてやるよ。無事か?」

 

 

「見ての通りだ。刃を4本も使ってしまった。始末書ものだな」

 

 

 そういうことじゃないんだがな……まぁいいか。

 

 

「なぁ、こいつらの立体機動装置はなんだったんだ?」

 

 

「対巨人用ではなく、人用のものだ。巨人に弾丸は効かないが、人であれば急所に当てるだけで十分だ」

 

 

 銃のタイプは散弾銃で、ホライゾンはアンカーを突き刺したり、ブレードの刃だけを投げたりして、近づかせないように立ち回って、無傷で凌いだそうだ。返り血を浴びているのは喉元を切り裂く時に発砲させてリロードする一瞬の隙にすれ違いざまに切った時についたそうだ。

 

 

「これで私はれっきとした犯罪者というわけか」

 

 

「なんで嬉しそうなんだよ」

 

 

 相変わらずとち狂ってやがるなと死んだ憲兵から立体機動装置を外そうとして、いつも使ってるやつと作りが違うことに気づく。なんだよこれと取り外したが、今まで使っているやつに比べると取り付けるのは簡単そうだ。おまけに、ガスはそんなに使ってないし、固定具とかの破損もない。ただ訓練兵団の頃から慣れ親しんだブレードじゃなくて、散弾銃がついてるが。腰にも付け替え用の剣もないし、射撃の訓練もあんまりなかったし、こりゃ武器は使えねぇな。

 

 

「つか、お前、人殺せたんだな。てっきり巨人だけだと思ってたぜ」

 

 

「あぁ、まぁ……初めてだったが、ここで死ぬ訳にはいかないからな」

 

 

「そういや、ずっと前から気になってたんだが、お前なんで兵士になったんだ?」

 

 

 話し方と言い、所作といい、良い所の坊ちゃんだろこいつ。しかも、礼儀作法を他人に押し付けない器のでかいタイプだ。家が裕福なら引きこもってさえいれば、周りにとやかく言われることなく、壁が破られるまで大人しく出来たはずだ。ヒストリアみたいなバックボーンがあるなら納得のいく話だが。

 

 

「それは危機を脱してからだ。あの中央憲兵が5人で済ませるということはなかろう」

 

 

 私が立体機動装置をつけ終えると、ホライゾンは腰掛けていた木箱から立ち上がる。馬でオルブド区へ向かうか、立体機動装置で走っていくのかと尋ねるとせっかく馬で来てくれたのだからと馬で戻ることになった。

 

 

「私はお前の後ろか?」

 

 

「不服なら、君に手網を握ってもらうが」

 

 

「……いや、お前に任せる。その、なんだ? ウルブドか、オルブド区かの道は知らねぇからな」

 

 

 私がそう言うと、ホライゾンは先に馬に跨り、その後ろに私も乗り込む。しかし、また中央憲兵のヤツらが襲ってきたら身動きが取れないなこれ。私はなんとかなるにしても、ホライゾンも身体に1箇所でも穴が空いたらどうしようもないだろ。

 

 

「なぁ、やっぱり屋根の上を走っていった方が早いんじゃねぇか?」

 

 

「いや、なるべくガスは節約しておきたい」

 

 

「……そうかよ」

 

 

 まぁ、いざとなったら私が何とかすりゃいいか。

 

 

 

 

 ###

 

 

 中央憲兵雑魚すぎィ! やっぱり壁外で巨人相手に百戦錬磨、オマケに中央憲兵に対して能力補正がかかるホモくんに勝てる道理がないんだよなぁ。言ってみれば、ローゼン・ズールにボールで挑むようなもんだし多少はね? 

 さて、何故かユミルが戻ってきたので、それをいいことに馬でジャン達を追いかけましょう。さすがに見事に5人全員殺された直後だと追撃はしてこないでしょうし、そもそも本戦力はエレン強奪に注いでると思われます。え、叔父さん来たって言ったよねって? (言って)ないです。

 オルブド区までショートカット使って向かったら、オルブド区を超えた先にあるレイス家跡地に向かいましょう。ここにはまだロッドも中央憲兵もいないので潜伏するにはもってこいの場所です。

 それにエレンが強奪されたら、自然とここに導かれます。『迫真! 巨人化したロッド・レイス!』のイベントが発生した際にすぐさま、討伐戦に移れるのもポイント高いですね! 

 礼拝堂に行く前に駐屯兵団から立体機動装置を拝借しましょう(返すとは言ってない)。ヒストリアに女王としての自信を持たせるためには父親殺しをしてもらわないといけないので、立体機動装置は必ず必要になります。まぁ、結局ロッド巨人体はオルブド区で迎え撃つことになるので、急いで立体機動装置を回収する必要も無いんですけど。

 試走中にロッドが巨人化せず、リヴァイの叔父さんに殺されてヒストリアが王としての器を持たないまま王になるルートがあったので念の為です。なお、そのルートに入った場合は中央憲兵の誰かに巨人化して頂こうかなと思います。中央憲兵かつ叔父さんの部隊は隊長以外は名誉なきエルディア人なので、脊髄液を接種すれば簡単に巨人化出来ます。これが悪魔の力だ! 

 

 あとは調査兵団の中央憲兵殺害の容疑とかその辺で、エルヴィン団長が捕まり、ピクシスとザックレーの小芝居で現王政の打破が終わるのを見守るだけですね。リヴァイの叔父さんは戦闘になれば殺しますが、ならなかったらマーレ上陸戦で役に立ちますし。RTAはそこまでに終わらせますが。

 王政奪還まであと少し、キバっていくぜ! 

 

 本日はここまで。ご視聴ありがとうございました。




タイトルは原作から取りました。あっちは「たち」ではありませんが。ちなみにヒストリアがクリスタ・レンズという兵士の役回りから次は王様の役をすることになったからという意味だったと思います。他にもサネスの「こういう役には順番がある」やリヴァイの「邪魔者を皆殺しにする異常者の役を買ってもいい」というセリフも起因しているでしょう。
じゃ、今作の役者とは? ンなもんないよ。一応、次で王政奪還編は終わるつもりです。てか、その次が早く書きてぇな……(モンハンとウマ娘を見ながら)

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