これ、ミスってR18版に投稿しようとしてたんだぜ……?
マーレが生き残るため、私は再びあの島へと行く。
島にいるのは悪魔だけ。世界を地獄にして屍の山に自分達の楽園を築いた悪魔が住む……そう聞かされていた島に。凶悪で残虐な悪魔達、そう思っていた彼らの中に、本当に悪魔はいたのだろうか。
確かに軍の入隊式の最中に突然芋を食いだしたやつはいた。筆記も計算もろくにできないバカがいた。島の未来よりも自分のことしか考えていない不真面目なやつに、誰かのために何ができるかを考えているくそ真面目なやつ。突っ走るしか頭にないやつに、そんなやつにも類まれな頭脳と身体能力を持ったやつがいつもそばにいた。
そして、巨人のことで頭がいっぱいの変態と、その中に私もいた。あそこにいた日々が地獄だったかと聞かれたら、私は迷うことなく頷くだろう。いくら悪魔とはいえ自分を仲間だと思い込んでる奴らを欺いているのはいい気分じゃなかった。そもそも、あいつらの中に悪魔なんていなかった。
私たち、マーレに残ったエルディア人は生涯を捧げてマーレに及ぼした凄惨な歴史を償う善良なエルディア人? 違う。
パラディ島のヤツらはいつ強大な巨人で世界を踏み潰して進撃してくるか分からない。それを阻止するのは私たちエルディア人でなくてはならない。悪魔と同じ血を持つ私たちが、その悪魔を討つことを果たして初めて私たちは世界から良い人だと認めてもらう。本当にそう?
意趣返しだ。真の王は大陸に多くのエルディア人を残して、島に逃げた。そんな歴史を知らされて、恨まない人間は確かにいないだろう。だけど、その責任は当時の王に課せられるべきもので、今を生きる彼らに関係があったのだろうか。
それに、壁の中へと入るため、始祖の力を持った王をおびき出すため、エレンを奪うために、何人殺したか分からない私が悪魔じゃないなんて保証はどこに───────。
「どうした、アニ」
出港してからすでに1時間半。ガビやファルコといった子供の候補生たちが甲板へと出て、船酔いしやすいポルコは寝室に引っ込んで、1人静かな時間とともにナーバスな考えを破った男に私は視線を向ける。
「……別に、何も」
「顔色が悪いな。船酔い、というやつか? それとも……」
「うるさい、あっち行って」
余計でそれでいて当たってもいない勘を働かせる変態に鋭く言い放つと、ホライゾンは困ったように肩を竦めた。
「行きたいのは山々だが、船の探索は前回済ませてしまったし、興味の対象であるラーラには逃げられてしまった」
興味の……あぁ、戦鎚の能力についてか。いや、もしかしたらこいつの好みがラーラさんみたいな人なのかもしれない。にしても、まだ3回くらいしか顔を合わせてないのに避けられてるとは。謝れば胸を揉んでもいいと思ってるようなやつだ。そうなって当然か。
「だからって私のとこに来る必要はないんじゃない?」
俯きながら先程と変わらない声音で言う。どうせ、すぐに変な理屈をこねくり回して居座るのかと思いきや、ホライゾンの口が開くことはなかった。その間が妙に居心地の悪さを体感させて、今度は私から口を開いた。
「……アンタ、どうするの? このまま行ったら偽りの王だってバレるよ」
「その時はその時だ。幸い、私とヒストリアは髪色が同じだ。王の代わりに政治をやっているとでも言えばいい」
ヒストリア……あぁ、クリスタの本当の名前だっけ。何が幸いなのか分からないけど、本人の言うようにクリスタと目の色も髪もついでに肌の色も似通ってるから嘘だと分かるのは島の人間くらいか。ただ問題なのはそれにあちら側が合わせられるのかってことだけど。
「アンタはマーレとパラディ島が上手くやっていけると思ってるの?」
「さぁな」
「さぁ……って」
元帥やヴィリーさんに頼まれていた割には責任感のない答えだ。でも、9つの巨人の打破と外の世界を知ることが生きる目標だったホライゾンにとっては、この世界の行く末なんてもはやどうでもいいことでしかなく、今この時も巨人の謎について考えるだけなのかもしれない。
そんな余生でコイツは本当にいいのか。コイツは祝福されるべき人間だ。パラディ島にとっても、マーレにとっても。そんな男がこれからまたマーレとパラディ島のために動かされる。それでコイツはいいのか? 他にしたいこと、やりたいこととかないのか?
9つの巨人に囲まれて過ごしたいって言ったらしいけど、ユミルの呪いのせいで13年しか生きられないということをコイツは知っているのか。巨人の身体って維持するの結構しんどいから、四六時中巨人と一緒に居られるわけでもない。というか、そんな余生はっきり言ってイカれてる。普通の人なら、そう普通の人なら……。
「ねぇ、普通の人って何が幸せなのかな?」
口に出た言葉に返答はなかった。雨の粒にも満たない小さなものだったからか、たまたま他のことを考えていて聴き逃していたのかは分からない。でも、もし答えられなかったのであれば、私たちは互いに普通を知らないってことなんだろう。
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地図上では小さく、国としても認められていない島に近づき、操縦室からは楽園計画の際に作られた港が見えていた。視界も良好、上陸を阻む脅威も見当たらないとして艦長が艦内に上陸準備に入るように伝える。
「これより15分後にパラディ島に到着する。各々、上陸の用意を」
アナウンスがかかり、各々自由な時間を過ごしていた兵士たちは自室へと戻り、身だしなみを整えたり、荷物の確認を行う。
搭乗員は船の操縦に関わる者以外では、純マーレ軍の血を引いたのは元帥直属の部下3名だけで、他は他国からの捕虜や戦士候補生のみで、パラディ島勢力と結託して造反行為などを起こさないよう武装しているのは元帥の部下のみである。
マーレ、ひいては世界の行く末が決まると言っても過言ではない同盟交渉に浮き足立っている艦内の中で、特異な空気を放っていたのは2度目の来訪であるアニや、死んだ兄を偲ぶポルコに、ホライゾンから逃げ回って息を切らしたラーラくらいであった。
「ホライゾン、島の悪魔ってほんとにアンタだけなの?」
「無論だとも」
「絶対嘘だ! ライナーやジーク戦士長がアンタ1人にやられるわけないもん!」
「私は魔王だからな。一介の戦士如き、ホライゾンスペシャルで一撃さ」
島に近づくに連れて、島の悪魔を打ち倒すために鍛錬を重ねていたガビはホライゾンへと問いかけるも、彼からは納得のいく答えが得られずに唇を尖らせる。
「ホライゾンスペシャルって移動用の技じゃ……?」
「そんなことは無い。ホライゾンスペシャルは万能だ」
ファルコの問いにホライゾンは至って真面目な顔で答える。そこからもゾフィアやウドからの質問に答えていくホライゾンの背中に声がかかった。
「なぁ、顎の力は、今誰が持ってんだ?」
声をかけたのは剣呑な雰囲気を漂わせていたポルコで、彼はライナー達の居場所や同盟交渉についての話よりも先に、自身の兄が有していた巨人の力の持ち主について尋ねる。
「聞いてどうする?」
「……無理を言ってるのは分かってるが、会わせて欲しい。力を返して欲しいとかそういうのじゃない。ただ、確かめたいんだ」
頼むと頭を下げるポルコにホライゾンは腕を組んで思考した。ポルコの兄については、マガトやアニから聞き及んでいるため、把握はできている。顎の巨人の正式な持ち主であり、無垢の巨人状態だったユミルに食べられたことも。
「分かった。会わせるだけであれば、問題ないだろう」
「……助かる」
非武装でかつ、誰かが監視でつけば大事には至らないだろうとホライゾンは了承した。もっとも、ヒストリアやエルヴィン団長、さらには本人が認めるかは分からないがと知らない名前を出しても仕方ないので続く言葉は引っ込めた。だが、アニの冷たい目線がその辺はどうするんだよと如実に語っていたが、彼は無視して故郷である島をじっと見つめていた。
久しぶりッス。完結させる方法が分からなくて手が止まってたけど、書きたいことがあるからそこまではちゃんと書くッス! 亀更新だと思うけどよろしくッス! これ終わらせてないのに新しいの書いちゃうかもしれないけどその時は許して欲しいッス!
ボツにしたネタ
・暇になったホライゾンとアニが室内で模擬戦闘をはじめる
・生きる理由を達成したホライゾンに新たな生きる理由を与えようとするアニ
・上陸前に待ち伏せていたエレン
ifルートの結末
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ヒストリアと幸せな余生をすごして終了
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アニに真実の愛(物理)を教えられる
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ユミルとヒストリアを愛でて終了
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エレンがキレて世界終了
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ホモなのでライナーと楽しく牢屋生活
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戦鎚と相討ちになってRTAと共に人生終了
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団長と総統を楽しませる道化になる