書いてる時「書いてんなぁ!」
書き終わった時「え、これいる……?」
ホライゾンがアニと共に姿を消してから何日……いや、何ヶ月経ったか。戴冠式の直前に発覚したその事件は、新王政の権力者や調査兵団のみにしか知られなかったものの、やはり群衆は壁の中に新たな安寧を築きあげることになった功労者───────英雄の姿を願った。誰が漏らしたか、偽りの王政を暴き、ウォールマリアを奪った超大型巨人と鎧の巨人はホライゾンが倒したということになっていた。
そんな英雄に心浮かれるのは抑圧された生活を送っていた市民にとって当然だったが、クリスタ・レンズという名前を捨てて、ヒストリア・レイスとして、真の壁の王の血を受け継ぐ覚悟を決めたヒストリアは「私だけで十分」と朗らかに笑っては集まった群衆の前に立った。
群衆の他にもザックレー総統や、生き残った区長や各団長、また彼らに選ばれた兵士たちの前で、ヒストリアへと王の冠が授けられた。壁の外からの脅威は去り、パラディ島に住むエルディア人には自由が与えられた……と戴冠式の新聞には書き連ねてあった。
壁の中の真実は余すところなく、新聞社や憲兵団から市民たちへと伝えられた。もちろん、9つの巨人のことや、エレンの始祖とおそらくは進撃の巨人のこと、そしてアタシの顎の巨人の力も。ただし、ザックレー総統の判断でホライゾンややつが捕らえたマーレからやってきた戦士のことは伏せてだが。アレはバレるとさすがに洒落にならないと総統が判断したってのが通説だが、あの話し合いの場にいたアタシはそうじゃないと知っている。
「待ってください! ホライゾンの情報は、無闇に市民の混乱と不安を煽るものです!」
「女王の危惧はわかります。しかし、彼は我々を脅かした女型の巨人の中身とともにどこかへ消え去った。どのようなことをしてくるか分からない以上、対策のためにも市民には知ってもらう必要があると思いますが」
ヒストリアの意見に間髪入れずに言葉を返したザックレー、2人の間に緊張が走った。ヒストリアがあのイカレ野郎のことをどう思ってるのかは知らないが、確かに知性の有無に関わらず巨人を圧倒する戦闘力と1人でも知略を巡らせることができるやつを野放しにはできない総統の考えはごもっともだ。
まぁ、けど、だ。ホライゾンが敵に回るってのはアタシにも考えられない。アレが誰かのために動くような聖職者には見えない。アレは兵士としての責務とか言いながらも、自分の悦楽とかのために動くような自己中心的な野郎だ。そんな野郎が壁の中の安寧を取り戻しただけで満足するようには、アタシには見えない。アイツが捕まえたので取り入りやすそうなのはアニだ。おそらくはアニを誑かしてマーレに何かしらの報復だとか考えてるんだろう。ベルトルさんが気の毒で仕方ないが、ヒストリアが平和に安全に、末永く幸せに暮らせるなら別に構いやしないさ。
それはそうと、総統の意見だがウチの団長が突っぱねた。
「お待ちくださいザックレー総統」
「なんだね、エルヴィン」
「ホライゾンの行動は問題視すべきものです。しかし、彼のおかげで我々が奪われた領土を取り戻し、巨人の脅威から解き放たれたのもまた事実です」
総統が口を挟むことなく黙っているのを見て、エルヴィン団長は話を続けた。
「そんな彼が再び壁内、いやパラディ島を脅かすようには到底思えません」
「とすると何かね。たった1人の捕虜を連れて、敵勢力に攻撃か交渉を仕掛けてパラディ島の平和を永遠のものにしようとしているかもしれない……なんていう夢物語を言うつもりかね君は」
有り得んよと吐き捨てた総統に、ヒストリアの拳が強く握られる。対して、団長の方は涼し気な顔で口を開いた。
「えぇ……その可能性は十分にあります」
「なんだと?」
怪訝な顔を向けた総統に、団長は総統だけでなく、この場にいる全ての人間の目を見ながらこう言った。
「ホライゾンは我々に情報を開示しないきらいはあれど、人類に敵対する行動をとったことはありません。もしかすると、我々が聞かされていないだけで島の外の敵を倒せないにしろ、何かしらの策を持って飛び出したということは有り得ない話ではないと、私は思っています」
毅然とした振る舞いで言い終えたエルヴィン団長に、ハンジさんやリヴァイ兵長、ミケ分隊長は団長の言葉が調査兵団の総意だと、ザックレー総統に視線を向けていた。
「総統、私も発言よろしいですか?」
「……あぁ、どうぞニック区長」
壁の中に巨人がいると暴かれてから、ウォール教の求心力はなくなり、更にはホライゾンに脅されてヒストリアのことをゲロっちまったニック司祭だったが、どうにか今も生きながらえている。中央憲兵にも暗殺対象にされていたと風の噂で聞いたが、王政奪還が早いこと済んだのと、荒仕事を任されていた対人立体機動部隊の全部もホライゾンとリヴァイ兵長に向けたせいもあって凶刃から免れたらしい。そんな運も良ければ、かつての求心力を買われて政府の一席に収まったニックはエレンたちの故郷であるシガンシナ区の長になった。
「私もホライゾン兵士の狂った行いに、今は目を瞑るべきかと申し上げます」
「ほう」
「今はあのような蛮族よりも島の環境調査や、島の外の敵の襲来に備えての軍備増強、ウォールマリア内の土地整備など……やることは山積みです」
言葉の割にホライゾンへの敵意の見えないニック区長は話題をすり替えようとした。他にやることがあるのだから、何をするか分からない不安要素よりも、目の前にある仕事を片付けるべきだと。それにと言葉を区切ったニック区長に、その先を促すようにザックレー総統がちらりと彼の目を流し見る。
「それに……よく分からない者への対処は調査兵団の仕事でしょう」
そう言って、今度はニック区長からエルヴィン団長へと視線が向けられる。
「ええ、その通りです」
その視線に微笑みとともにエルヴィン団長が答えたことで、ホライゾンの処遇に関する議題は終わりを告げた。ホライゾンの件は調査兵団預かりとなり、ヤツの班の副班長が捜索やら目的の推察をするらしい。が、あの馬面だけじゃ不安だと思ったのはアタシだけじゃなかった。
「アルミン」
「どうしたのクリ……えと、女王陛下」
「クリスタはもうダメだけど、ヒストリアでいいよ」
流石ヒストリアだ。いっぱしの兵士にも優しくできるなんて。てか、コイツ本当の私は優しくないとか言っておきながら、素もクリスタの時とあんまり変わらないよな。ただあの頃よりも……本心で笑ったり、怒ったりしてる。
訓練兵時代からの同期だからいつも通りでいいと言う優しいヒストリアに、アルミンはさっきの緊張した顔から柔らかな表情をうかべた。
「……うん、何?」
「ジャンの手伝いをしてあげて欲しいの。ほら、アルミンってホライゾンと同じくらい頭いいから。ホライゾンのしそうなこと……もう思いついてるんじゃない?」
「……どうだろう。ボクはホライゾンほど賢くないし、何かを成し遂げる力はないよ」
「ううん。そんなことないよ。ホライゾン言ってたよ。アルミンと話すと新しい発見があって楽しいって」
私にじゃなくてニーナとかトーマスにだけどとちょっと残念そうな顔を浮かべたのはヤツの顔を拝んでから済ませるとして、それを聞いたアルミンは辛気臭い顔から一転して「え?」と素っ頓狂な顔になっていた。そりゃそうだ。自分より出来ると思っていた人間に陰ではそう言われてたなんて聞けば、そんな顔にもなる。アタシも気を失ってる間に胸の大きさを確認されたと聞いた時はそんな顔になった。アタシは別にいいけどヒストリアにやったら……殺せないにしても男の尊厳ってやつは奪ってやろうと思う。
「だから、お願いね。女王としてじゃなくて、同期としてのお願い」
言って、ヒストリアは今もホライゾンの行方について話し合っている馬面とバカ2人を、硬質化の実験を終えて休憩中のエレンや護衛のミカサを加えたリヴァイ班、ハンジさんやミケ分隊長の班が近すぎず遠すぎない位置から見守っていた。
「多分、今みんながここにいるのはホライゾンのおかげだから」
「うん、そうだね」
トロスト区の時といい、壁外調査の時といい、ライナーやベルトルさんに、獣のおっさんとか車力が出てきた時も、アイツがいなかったらここにいるメンバーの誰かは死んでいたかもしれない。
みんな、夢を見たと言っていた。兵士としては当然の結末の夢だ。リヴァイ班は女型に殺られる夢を見た。ミケ班は獣の巨人に。ハンジ班の人は誰かに撃たれたり、熱風に晒されるとかよく分からないことを言っていた。そんで、私は……はて、なんだったかな。
そんな有り得たかもしれないifを見せられてか、その結末にならないようにしてくれたかもしれない男のことを、どうにかして見つけ出そうと、帰ってきた時に昨日よりもよくなったこの島を見せてやろうと懸命に生きていた。
「分かった。じゃ、行ってくるよ」
「うん、ありがとう。アルミン」
踵を返して、やや駆け足でジャンたちの方へと加わるアルミンの姿を見届けて、女王としての顔に戻ったヒストリアがアタシへと声をかける。
「ねぇ、ユミル」
「どうした」
「……帰ってくるよね、ホライゾン」
さっきまでのヒストリアとは違う弱々しく、心底心配だって声で言うヒストリアにアタシは肩を竦めてからりとした笑みを浮かべた。
「大丈夫だって、アイツの身体能力と頭の良さはお前も知ってんだろ?」
「で、でも、壁の外で……巨人に食べられてたとしたら?」
「巨人に食われたとしても気持ち悪いから消化されずに吐き出されて生きて帰ってくるって!」
「そ、そうかなぁ……?」
そうだよと意気揚々と言ってみたがコイツアレだな、アニと2人でってとこを気にしてんな……。あの巨人大好き変態野郎が今更人間に……ってアニは巨人になれるんだったな。牢屋で聞いてる感じ、興味の対象は車力とかアタシだったから大丈夫だって話もしたところでって気がするな。
下手すると他の戦鎚だっけ? それと会って心変わりする可能性もあるけど、ヒストリアにはアタシがいるし問題ないだろ!
ユミルはヒストリアに使える近衛兵をやってるゾ! 出世したもんだなぁ……。あとなんでこのホモは金髪キャラかの評価が軒並み高いんだ……?(アニ エルヴィン ヒストリア アルミン)
来そうな感想を先に潰しておくコーナー
みんなが生きてるのはホライゾンのおかげ→マルコ「僕はー!? 僕の命は〜!!?」→ジャンの強化アイテム入手のための必要な犠牲。これは主要キャラ生存RTAじゃなかったから。
え? まさかまさかのホモヒス……?→ホモユミもあるよ! なんだよノンケかよぉ!? まぁ、ホモエルも添えときました。
ザックレー→「ふむ、ホライゾン・モルガンか」(ザックレーのホモくんへの興味が20上昇した!)
ニック→生きてるから
ピクシスおらんの?→いたけど喋ってないッスね……。まぁ、ホモくんとの関わり少なかったから仕方ない
リヴァイの叔父さんは?→何するかわからないから生き残った対人立体機動兵と牢屋に入ってる。マーレと戦争になるなら必須だよね! ってことでワンチャン出てこれるかも。
これ今年で終わる?→オールFの投稿作品の数と投稿頻度を見て、その気になっていた読者のお姿はお笑いだったぜ!(ここまで書くとは思ってなかった)
ライナーは? ベルトルさんたちは?→まだあわてるような時間じゃない
ifルートの結末
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ヒストリアと幸せな余生をすごして終了
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アニに真実の愛(物理)を教えられる
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ユミルとヒストリアを愛でて終了
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エレンがキレて世界終了
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ホモなのでライナーと楽しく牢屋生活
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戦鎚と相討ちになってRTAと共に人生終了
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団長と総統を楽しませる道化になる