進撃の巨人 RTA Titan Slayer   作:オールF

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俺は今、何をすべきか、はっきりわかんだね。

幕間その2。レギュラー入りしたジャンとほかの話です。
平日だから昼間に投稿しようか悩んでたら寝てました★
一つだけ決定式より後ろの話があります。



幕間:今、何をすべきか

 #ジャン・キルシュタイン

 

 

 

「マルコは死んだ」

 

 

「は? え、今、なんて……マルコが死んだって言ったのか……?」

 

 

 104期訓練兵団卒業生たちがそれぞれの兵団に入団してから翌日。俺達は一足先に調査兵団の団員になったエレンと出会った。エレンはミカサやアルミンが調査兵団に入ることは薄々気付いていたのか驚きは少なかった。ライナーやベルトルトに関してもだ。ただ、サシャやコニー、さらにはクリスタとユミルがいたんだ。さぞ驚いたんだろう。そして、俺とアニは憲兵団、マルコは駐屯兵団に行ったのかとふざけたことを言うもんだからつい口を出しちまった。

 

 

「誰もが劇的に死ねるわけじゃないらしいぜ」

 

 

 立体機動装置も外れてて、身体も右半分が喰われて無くなってた。どうやって死んだのか分からない。マルコは誰にも死ぬところを見られずに死んだんだと思うと……俺も死ぬ時はこうなるんだろうなって気持ちが込み上げてきた。

 それでも補給所でマルコに言われたあの言葉が脳裏にチラつきやがる。俺が指揮官に向いてるだと? 憲兵団じゃ必要ねぇだろうが。それに、指揮官ってのはあのイカれた突撃野郎の方が……いや、アイツはダメだ。必要以上に殺す必要がねぇってのに嬉々として巨人のうなじを削いでやがった。あのままじゃ、アイツも俺の知らないところでヘマして死ぬかもしれねぇ。ミカサもアルミンも、ライナーも、ベルトルトもだ。いつどこで、何が起きて死ぬか分からねぇんだ。それが壁外に行く調査兵団なら尚更だ。

 

 

「だから、頼むぞエレン……!」

 

 

 人類がウォールマリアを取り戻せるかはこいつにかかってる。巨人の真実ってやつもこいつの家の地下室に行かなくちゃいけねぇんだ。エレンがいないと成し遂げられないことばかりで正直ムカつくが、エレンにしか出来ないなら俺たちはその為に心臓を捧げるしかねぇ。誰のものかもわからなくなった燃えカスに俺は誓ったんだ。この先にどんな地獄が待っていようと、俺には、俺のできることをやるんだって。誰かさんみたいに俺は『兵士』だからって理由で心臓を捧げることは出来ねぇ。きっと、本当は別の理由があるんだろうが今は聞かないでやるがよ……。

 俺はさらにエレンを念押ししてからミカサの頬に傷がついているのを思い出して、さらに念押しした。

 

 

 

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 #ミカサ・アッカーマン

 

 

「ごめんなさい」

 

 

 私は謝った。謝ったのはいつ以来だろう。エレンにも最近は謝ってない気がする。エレンは私がいないと早死するとか、危なくなったら私のところに来てと言っても彼は怒る。本当のことなのに。

 事実、エレンは巨人の力がなかったら死んでいたから、やっぱり私がエレンを守らないと。

 

 

「別に構わない」

 

 

 あ、今はモルガンに謝っているんだった。エレンを助けられなかったことは仕方なかったことで、形はどうあれ生きて戻ってきたからアルミンに謝った方がいいんじゃないかと言われて、こうして時間を貰っていた。

 

 

「でも」

 

 

「本当にいいとも。まず、私は君が何故謝ってるのか分からない」

 

 

 えっ。確かに私は何について謝っているのか伝えていなかった。そうだった。しかし、なんて言おうか。エレンは死んでなかった。そして、アルミンやミーナ達は助かった。だからあの時に貴方の胸倉を掴んだことを謝りたい。でも、あの時も彼は自分の力が足りなかったと逆に謝っていた。多分、このまま謝っても彼は言葉を受け取ってくれないだろう。

 だったら。

 

 

「では、ありがとう。エレンを守ってくれて。友達や仲間を助けてくれて」

 

 

「礼には及ばないさ。兵士として当然のことをしたまでだ」

 

 

 む、お礼を言っても受け取ってくれない。これはどうしたらいいんだ。アルミンにもついてきてもらえばよかった。

 

 

「しかし、礼ならばありがたくいただいておこう。では、就寝時間なのでさらば!」

 

 

 そう思案していたら勝手にいただいて、寝る時間だからとか宿舎に戻って行った。なんて勝手な男。エレンには見習って欲しくない。でも、お礼を素直に受け取れるというのは分かった。これからは謝罪じゃなくてお礼を優先的に言うようにしよう。きっと彼もエレンが好きだから。じゃないと、巨人を立体物に見立ててまで殺さないと思うから。

 また今度エレンのいいところについて語り合えたらいいな。いや、けど私の方が付き合いは長いし、私の方が多く話してしまうかもしれない。どうしよう。

 

 

 

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 #クリスタ・レンズ

 

 

 あの時、みんなが戦う姿を私は壁の上から見ていた。駐屯兵団の先輩たちや104期生の中からも何人かが戦闘に参加しているのが見えた。その中でも一際目立っていたのが、巨人化したエレンとホライゾンだった。

 エレンもホライゾンもあまり話したことは無い。けど、2人の姿はよく目にした。エレンは食堂でよくジャンと喧嘩したり、トーマス達に熱弁してる姿をよく見かけた。ホライゾンの方は立体機動訓練や対人格闘訓練で異彩を放っていたと思う。ジャンと共にガスの吹かし方や緊急時の回避方法について話し合っていたり、アニとは小言をぶつけながら訓練をしていたと思う。

 そして、そんな2人が人類の反撃の第一歩に貢献した。エレンは破壊された門を岩で塞いで、そのエレンを守るためにホライゾンは剣を振るった。私もあんな風に誰かに褒められて、誰かに憧れを持たれるような人になりたい。あの本の女の子みたいに。

 そんな想いから、私はみんなに好かれて、誰にでも優しい女の子になろうとした。本当の自分なんていなかったかのように。

 天使だとか女神だとか言われたのは驚いたけど、悪い気分はしない。ただ偽りの自分を褒められているのは、その人を騙してる気がして少し罪悪感が募った。みんなが可愛いとか優しいとか、天使や女神と奉るのはクリスタ・レンズで、本当の私じゃない。

 それでもエレンやホライゾンと仲良くしたいという気持ちは間違ってないと思って、私は憲兵団が行った立体機動装置の点検中に隣になったホライゾンに声をかけた。

 

 

「一体誰があんなことしたんだろ……。巨人の秘密が分かれば、相手の正体もわかるのにね」

 

 

 この点検作業は104期生の中に、捕らえていた被検体の巨人2体を立体機動装置を用いて殺した人がいるからやっているらしい。巨人を殺して咎められるなんてのは何度考えても変な話だけど、おかげでホライゾンと話す時間が出来た。けれど返ってきた言葉は「ん? 何か言ったのか?」というものだった。思わず、ポカンと固まってしまったがすぐにクリスタ・レンズを取り戻して笑顔を浮かべた。

 

 

「あ、ごめん。なんでもないから。気にしないで」

 

 

 そう、なんでもない。これはただの世間話。きっと今回の事件の犯人のことについて考えていたから私の話を聞いてなかったんだろう。ホライゾンはそういう人だ。

 ───────いや、私はホライゾンの何を知ってるんだろう。見た目は私と同じで金色の髪に碧い目、色白の肌の男の子だ。性格は、みんな曰く悪くない。質問したら返してくれるし、挨拶したら挨拶する。当たり前のことを当たり前に誰にでもこなしているから、ユミルは男版の私だと言っていた。でも、それは違うと思う。彼にはちゃんとした芯となってる物があると思う。けど、これも思うだけであまり関わってこなかった私が言えることでは無いと思う。

 だから、これから知っていこうと思う。エレンはもう調査兵団に入っていて会うのは先になりそうだからまだ分からない。それにエレンに近づくとミカサが怖いらしいから、まずはホライゾンのことから知っていこうと思う。

 

 

 という話をユミルにしたのが間違いだった。

 

 

「はぁ!? アイツ、クリスタの話を無視ったのかよ!」

 

 

「ち、ちが、言いたかったのはそこじゃなくて!」

 

 

「任せろ、クリスタ。私があの爽やかヤローの顔をボコボコにしてきてやるからよ!」

 

 

「ちょっ、やめて! そうじゃないから!」

 

 

 あぁ、言わなきゃ良かった。しかも、ホライゾンが私の話を聞いてなかったというところから後ろの話を、ユミルが聞いていなかった。この後、どうしてもホライゾンの所へ行こうとするユミルを止めるのにとても疲れた。本当に。

 

 

 

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 #戦士たち

 

 

 所属兵団決定式から数日経った。ライナーとベルトルトはエレンの監視と調査兵団の動向を探るべく調査兵団へ。アニは本来の目的通り、王政へと近づくために憲兵団に入った。

 しかし、彼らが再び出会うのは思いの外早かった。

 

 

「壁外調査?」

 

 

「あぁ、ウォールマリアにあるエレンの家の地下室に向かうためらしい」

 

 

 今回はエレンを連れての試運転のため、いつもの壁外調査に比べると進行距離は短い。が、新兵である2人には平均的な距離が分からないのでそこは伝えなかったが。ちなみにアニが聞きたかったのは壁外調査がなんなのかであるが、言葉通りの意味だと理解して深くは聞かなかった。

 

 

「エレンのいるリヴァイ班は右翼側だ」

 

 

「……じゃあ、私はここに潜んでればいいってこと?」

 

 

「あぁ」

 

 

 ライナーが手書きで記した作戦書を見ながら確認するように尋ねたアニにライナーは頷く。人類最強と謳われるリヴァイ兵士長と彼自らが選んだメンバーによって構成された調査兵団最強チームであるが、ライナーもベルトルトも自分たち戦士の敵ではないだろうと踏んでいた。それはアニも同じであったが、不確定要素は多く存在していた。

 エレンが何の巨人なのか。彼の行使できる能力はどこまでなのか。また、人類最強と呼ばれる男の強さも分からない。彼よりも強いのだろうかとアニの中で一抹の不安がよぎる。

 

 

「ねぇ、ホライゾンはどこにいるの?」

 

 

 念の為、彼女の中で最も不安とされる存在の位置を聞こうと口にすれば、ライナーが口を開くよりも先に、今まで口を噤んでいたベルトルトが恐ろしい剣幕で声を上げた。

 

 

「なんだって……ホライゾン? どうしてホライゾンの位置が気になるんだよ、アニ」

 

 

「……別に。私の中ではアイツが一番邪魔だからだよ」

 

 

「邪魔? なんでだい?」

 

 

 それは好きだからか? ホライゾンに好意的な感情を抱いてるからかとベルトルトが口にする前に穿つような視線でアニは言った。

 

 

「それは手を切られたアンタが一番知ってるんじゃないの?」

 

 

 アニの言葉に「うっ」とベルトルトはたじろぐ。ピリピリとした空気の2人の間に入ったライナーは「確かに」とホライゾンの脅威を認めながらアニにこう言った。

 

 

「アイツは強い。けど、それは無知性の巨人にだろ。オレたちには遠く及ばねぇよ」

 

 

 ベルトルトはともかく、ライナーとアニには通常の巨人よりも硬い皮膚という武器がある。その硬さは調査兵団が利用しているブレードをも砕くほどだ。ベルトルトもいざとなれば、筋肉繊維を消費することで高熱を浴びせることもできる。だから、ただの人間であるホライゾンに自分達戦士は倒せないと公言するライナーにアニは目を逸らした。

 

 

「だと、いいけど」

 

 

 これ以上こいつらに何を言っても無駄だろうとアニは口を閉ざした。だが、肝心のホライゾンの位置を教えてもらってないとベルトルトの方を見た。暗くて彼の顔はよく見えないが、またビクッと肩を震わせたのは分かった。

 

 

「で、どこなの?」

 

 

「えっと……それは」

 

 

「左翼側だ。エレンのいる方とは真逆だな」

 

 

「そう。ならいいんだ」

 

 

 答えないベルトルトに代わってライナーが言うとアニは長居すると誰かに見られるからと1人暗い路地の方へと消えていく。その後ろ姿に手を伸ばすベルトルトにライナーは小さくため息を吐いた。エレンを捕らえることが出来たら、ようやく手がかりになるものを見つけられるかもしれない。

 始祖にしろ、進撃にしろ、今の自分たちには多大なる成果になる。出来れば奪われた顎も見つけたいが、それは欲張りが過ぎるかと首を振った。とにかく、彼を捕まえることが出来れば自分たちは故郷に帰ることが出来る。ライナーは未だに手を伸ばしていたベルトルトの肩を叩いた。

 

 

「いくぞ」

 

 

「あぁ……うん」

 

 

 こうして戦士たちは再び進み始めた。しかし、彼らは知らない。エルヴィン団長によって、自分たちはエレンの本当の所在地を知らされていないことを。ホライゾンがエレンのいるリヴァイ班と比較的に近い班におり、そして彼の所属するグループの班長がリヴァイ兵長の次の実力者、ミケ・ザカリアスだということも。




次話のネタバレになっちゃったけど、ネタバレのオンパレードやから仕方ないね! ちなみに進撃の巨人 第1期の紅蓮の弓矢の映像にはラスボスが出てるぞ! みんなも探してみよう! 的な話を友達にしたら「超大型巨人のことだろ」って言って「ふふっ」ってなっちゃったぞ!

あと、助けてホライゾンってなんだ……?

巨人にたいしてセクハラは

  • 存在する
  • 存在しない
  • わからない

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