魔界戦記外伝・アクターレon stage!!   作:ゼロん

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ディスガイア6をクリア後に衝動的に書きました。
アクターレ の小説を書こうと思ったがなかなか思い浮かばなかった。
6プレイしたら、これだと思った。後悔していない。


もしアクターレが、ディスガイア6本編(テレビの世界)に乱入したら

「ふっふっふ……ここがニチアサ魔界。ダークヒーローのオレ様にふさわしい舞台だぜ」

 

『次はーニチアサー、ニチアサー。多次元魔界列車をご利用いただき、ありがとうございます』

 

「……長かった。本当に長かった。魔界大統領に大出世したと思ったら、いつの間にか地位を乗っ取られ、他の悪魔どもに狙われる始末……」

 

 そんな生活もようやく終わり。

 

 多次元魔界列車。いくつもの世界を渡る列車の扉が開く。

 

「ここでオレ様はやり直す! 新たにこのテレビの世界を! このアクターレ様一色に染めてやるぜ!」

 

 白いマントをたなびかせ、かつての部下から貰い受けたイワシ弁当を片手に、男は新世界へと降り立った。

 

 ニチアサ魔界。それは、

 

『日曜九時 虹色戦隊ニジレンジャー』

 

 ────テレビ番組の中の世界である。

 

「それにしてもニジレンジャー……? どこかで聞いたことがある名前だな」

 

 そして面識のあるはずの番組の主人公たちは彼の記憶からはさっぱり消えていた。

 

 

 *****

 

 まずは赤。

 

「邪悪な闇が迫るとき────」

 

 青。

 

「呼ばれてないのに現れる────」

 

 緑。

 

「使命に萌える七つの光が────」

 

 黄色。

 

「勇気と希望で世界を救う────!」

 

 オレンジ。

 

「あたしたち!! 七人揃って────」

 

 紫。

 

 そして五人+おまけの二人(群青色とかピンクとか)。全員が最後に声を合わせて、

 

『虹色戦隊!! ニジレンジャー!!』

 

『ほうほう七人揃ってよく来たなぁニジレンジャー! 今日こそお前らの最後だ!!』

 

「さぁ、人質の子供たちを解放しなさい!」

 

 魔界の悪魔キッズ達にも大人気、虹色戦隊ニジレンジャーは今日も悪と戦うのであった────!! 

 

「じゃあまた明日も頑張っていきましょう!」

 

 二代目ニジレッド……虹野ぴより。初代ニジレッド、虹野のぼるの妹である。

 

『おぉーっ!!』

 

 いつもなら全員が明日もがんばるぞーと気合を込めて掛け声をあげるのだが、

 

「……はぁ」

 

 ……もう彼女の周りには誰もいない。

 

 他のニジレンジャーの隊員は彼女を残し、全員辞めて実家に帰ってしまった。

 

 先代ニジレッドが前シーズンの最終回の事故で亡くなり、初の女性リーダー虹野ぴよりに代替わりしてから、視聴率が大きく減る一方。

 

 スポンサーの激怒、脚本家の失踪。

 

『むむっ、歩きスマホ怪人発見! とぁーっ!! 歩きスマホはいけませんよ、キィーック!』

 

 ……ついに戦隊モノでの肝となる敵役すらいなくなってしまった。

 

 わかりやすい悪の組織はまったく姿を表さず、強盗も泥棒もいない。ちょっと一般人が注意すれば済む程度の小悪人しかいないのだ。

 

【なんじゃこりゃ……】

 

【教育番組にも劣る。クソや】

 

【それより魔界戦記見よーぜ】

 

【はたらくプリニー! とかどうだ?】

 

 動画配信のコメ欄は荒れ、他作品のおすすめ紹介までしだす始末。

 

 日常回などを入れてのテコ入れもすでに限界。さらに視聴率は減っていき、ファンも減る一方だ。

 

『あれ? ニジグンジョーさん? ニジピンクさん……もどうしたんですか?』

 

『あ、視聴率もう稼げそうにないんで……俺もう抜けますわ(子安ボイス)』

 

『ギャラも、もう十分にもらったしね』

 

 最初は群青色とかピンクとか最初からやる気がない人たち(人数合わせ)から抜けていった。

 

『……ごめんなさいねぇ、ぴよりちゃん。別の仕事のオファーがきちゃって……』

 

『ニジパープルさんまで……! ま、まってよ……みんな!?』

 

 そしてついに、ニジレンジャー隊員のやる気も削がれ、一人、また一人と去っていく。

 

 初代二時レッドの死による視聴率の激減は、二代目ニジレッドのぴよりの努力も虚しく、深刻な負のサイクルを生み出してしまったのだ。

 

『……ごめんな。けどもう本当にどうしようもないみたいだ』

 

『……そうだね。ぴよりちゃんも、これまでずっとがんばってきたのに』

 

『ニジブルーさん……? ニジイエローさん……っ……? 待って! 行かないで!!』

 

 ついにはニジレンジャー結成時の最古参メンバー、ニジブルー、ニジイエローまでもが辞めてしまった。

 

 ……諦めてしまうのも仕方がない話だ。

 

 なにしろ、かつては視聴率99%を誇った虹色戦隊ニジレンジャーは、現在は視聴率1%にも満たないマイナー番組と化してしまったのだから。

 

 もし自分が兄がニジレンジャーでなければ、辞めていたかもしれない。

 

 その方が生き方としては賢いのだ。可能性の取捨選択。彼らも老い先短いニジレンジャーのことよりも、自分たちの人生の方を大事にしたいのだ。

 

「そうですよね。隊員一人一人にも、自分の人生がある……普通なら、続けても何の得もないですもんね」

 

 けどここまで連れ添ってきた隊員たちが自分の元からいなくなっていくのは……やはりショックだった。

 

 もうこのニジレンジャーには隊員はぴより一人しかいない。

 

「けどまいったなぁ……これじゃあ戦隊だなんて言えないじゃないですか」

 

 虹色戦隊なのに赤一色────なんと悲しい。五人で何とかやってた方がまだ救われた。

 

 ……けどこういう時こそ、ぴよりは先代ニジレッドである兄のことを思い出す。

 

『ぴより。ヒーロっていうのは追い詰められた時にこそ真価が問われるんだ。真のヒーローは絶対に諦めない。たとえ……どんな時でも最後まで自分の正義を貫くんだ』

 

「……お兄ちゃん」

 

 彼女は首を振って迷いを振り切ろうとする。

 

「……私は諦めません! お兄ちゃんが残してくれたニジレンジャーは、私が守ります!!」

 

 そう! 私はニジレッド、と彼女は決めポーズをとる。

 

「迷ってなんかいられない……もっと。もっと頑張らなきゃ! そうすればきっとみんなだって戻ってくる……!」

 

 けど……、

 

「正義を貫くって言っても……その正義ってそもそも一体……私がしてきた正義って……」

 

 今日も彼女は曖昧な正義のため、彼女は戦い続ける。

 

 

 ****

 

「さて……はやく学校から帰ってパトロールしなくちゃ」

 

 かつては絶頂を誇り落ちぶれたヒーロー達の出会い────それは帰宅途中に起こった。

 

「ふっふっふ……ようやく見つけたぞ、主人公っ! 一般人のように隠していても、このオレ様には手をとるようにわかるぞっ!!」

 

「!? な、何者っ!?」

 

 ま、まさか……悪の組織の刺客、と身構えるぴより。いつものスーツはではなく学生服なので、戦闘で破れたら嫌だなと思いつつ。

 

「貴様が虹色戦隊のリーダー……ニジサンシャインだな!」

 

 完全なる名前違いにガクッとなるぴより。もはや名前すら覚えられてないのか、と余計に惨めな気持ちになる。

 

「いえ、ニジレッドですし……名前間違えてます」

 

「だまれ主人公! 名前なんてどうでもいいんだよ!」

 

「いえいえいえ!? どうでも良くないですからね!?」

 

「とぅっ────(ちょっとエコー入る)!!!」

 

 ────ごきっ。

 

 

「あっ────ちょ、ちょっと待って。足つった。いや、ちょっとどころかマジで痛い。やばい」

 

 無論、高いところから落ちれば当然そうなる。

 

「……」

 

 アホは放っておきましょう。そんな顔をしてぴよりは帰路へつくのであった。

 

「ま、待て待て待て!! このダークヒーロー・アクターレ様を無視する気か!? せめて名乗り終わってから……!」

 

「すみません、私、これからメンバー集めとかパトロールとか……色々しなくていけないので。アホ兼不審者に付き合っていられないんです」

 

「ふっ……オレ様を甘く見るなよ、ニジゼットとやら」

 

「いえ、違います。ニジレッドです。ちょっと色々間違ってます。それ、本編主人公です」

 

「だまらっしゃい! いいかよく聞け見て驚け! 貴様ら風の自己紹介を必死に考えて、テーマソングも用意してきたの、だぁっ!!」

 

 あーそうなんですかー……。

 てか、もうどうでもいいわー。つーかあえて語尾をためて言うのムカつくわ〜。

 

 アクターレが時代遅れのラジオ(中古)を自分の横に置いて流れる。流れたのは、彼の名を歌ったうっとおしい曲だった。

 

 あ、作者は大好きですよ、『white tiger』。

 佐藤天平、マジで神。

 

「邪悪な正義が迫るとき────呼ばれてないのに現れる!」

 

 ぴしっ。

 

「使命に燃える漆黒の意思────白きマントたなびかせ、世界をオレ様色に染め上げるため、即参上!!」

 

 象が踏んでも武器として叩きつけても壊れない、超頑丈エレキギターをそそくさと、どこからか取り出す。

 

「別魔界のダークヒーロー、アクターレ!! オン、ステェ──────ージッ!!」

 

 ふっ……決まったな。そう視線を戻すと────そこには誰もいなかった。

 

「……って、あれ? 主人公、どこ行ったし」

 

 ぽんぽん、とアクターレの肩が誰かに叩かれる。

 

「なんだ? オレ様のサインが欲しいのか? 別魔界では元魔界大統領のオレ様のサインだ。いずれプレミアものになってメルカリで超高価買取は間違いなしだが、今はちょっと困るぜ?」

 

 しかし今彼の横にいるのは────警察官だ。

 

「いや、あの……」

 

「おっと皆まで言うな。わぁってるって。記念写真だろう? 1ショット100億ヘルだ。これでも遠慮はしてる方なんだぜ? おっと、フラッシュは炊かないでくれよな。慣れてないわけじゃないが、眩しくて目がチカチカするから」

 

 かしゃりと腕に手錠をはめられる。

 

「いや、怪しい人物が女子高生を襲っているとの通報があってな。どうやらお前で間違いなさそうだ」

 

「────────え?」

 

「うん、怪しい見るからに怪しい。特にその胸毛とか特に怪しい」

 

「い、いやだなぁ、お巡りさん。こ、これは剃り忘れただけなんだぜ? 決して逃亡生活とか色々長くて手入れする道具がなかったわけじゃ」

 

「連行する」

 

「お、おい────っ!? おのれニジサンシャゼット! オレ様は必ず戻ってくる! そして次こそはオレ様がこの番組の主人公に────あっ!?」

 

 

『ただいま、映像に変なものが映りました。しばらくお待ちください』

 

 

 テレビ放送局……つまりこの世界の神と言っても過言ではないテレビ局はこの事態をアクターレ混入事故として片付ける予定だった。

 

 

 そう、

 

【────なんだ、今のちょい役っっw】

 

【やべぇ、おもろ。クソ陳腐なヒーロー戦隊モノに変態を突っ込むとは】

 

【Mu Na Ge☆】

 

【もうちょい見ておもろそうなら友達に勧めよ】

 

【こいつ出てる回だけ切り抜くか】

 

 

 公式の放送動画のコメント欄と再生回数が異常な上昇を見せるまでは────。




読了ありがとうございます! 
感想などがあれば是非!

続きも考えておりますので、人気があれば投稿したいと思います
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