絶対に異世界から帰還すると決意した男の末路   作:コーカサスカブトムシ

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前話にあたる五話は一度大規模な修正を行っている為展開がわりと違います。もし表示などから続きと思い六話を見ている方は五話も見ていただけると幸いです。
作者は頭が良くない為魔法に関するむつかしい表現が出てきますが雰囲気程度に流してください。
ネタが無いので初投稿です


スタァスクリィィム……(瀕死)

 現代知識チートという言葉に聞き覚えはないだろうか。現代には義務教育というものがある。中高生までの修学は義務とされ、その九年間、日本に住んでいる子どもはきちんとした教育を受ける事が出来る。高校はもちろん、大学や専門学校など日本人として生活していれば全く勉学に触れずに生活するということは早々無い。

 

 基礎的な教養も現代ならば誰しもが持っている知識だが、現代より文明が劣っている場合の多い異世界ではそんな当たり前の事ですら値千金の叡知となりうる。そしてまた、偉人達が見出だした法則の発見や解明も、異世界では存在しないことの方が主だ。

 

 異世界転生、又は転移という物語自体は何も近年になって普及しだしたものでもなく、ラノベとして日本に普及するより遥か昔、19世紀の『ナルニア国物語』から続いて来ている。そう考えれば大半の異世界というものが、機械の喧騒からはかけ離れたファンタジー色の強い物であることにも頷けるだろう。俺が最初に知った異世界物はゼロ魔だった、ルイズを今でも嫁と言っている歴戦の強者達には頭が下がる。ユニコーンの癖にすぐ浮気するんだ俺達は……

 

 それで話を戻して現代知識チートである。異世界は録な科学の存在しないファンタジーなのだ。それに引き換え、魔法なんて物が存在しないさもしい世界の住人である人類は切磋琢磨し、自分達の暮らしを豊かにするために、その頭脳を使って世の中に溢れている現象を究明し、それを道具や力として利用するようになった。現代人にとって飛行機(鉄の塊)が魔法を介さずに空を飛ぶことは当たり前の事だが、異世界の人間からすればそれは到底不可解な光景だろう。

 

 現代人がそのオーバーテクノロジーとも言える知識を武器に、古い文明の中で綺羅星のような天才として崇められる事を主に現代知識チートと言う。水車やら井戸の掘り方やら鍛冶やらなんやら、ただ大概それ結構昔からあるぞって知識出たりして突っ込まれるのも多いけどな、のじゃー。

 

 殺す事に特化した戦術、罠、銃。地球舐めんなファンタジーなんて言葉もあるくらいだ。ミソッカスのような戦闘力しか与えられなかった代わりに物を自在に作れる力、現代武装と兵器で文明レベルを一気に引き上げ異世界支配、みたいなのをどれだけ見てきたことか。本物の銃も持った事ないパンピーが銃の図面書き出して複製するんじゃないよ!

 

 

「潰れろ」

 

 

 容易く頚を刺し貫くだろう牙を唸らせ、俺の喉仏をかっ捌かんと跳躍していた狼の魔獣がバチュン、と音を立てて血煙と化す。飛び上がっていた身体が突如として地に叩きつけられ、その尋常ならざる圧力に全身が耐えられなくなったからだ、THREE FREEZE!

 

  この世界の魔法には詠唱も、また決まった定型の形のそれは無いと前にも言っただろうが、魔法発現のトリガーは主に術者の想像する力に委ねられる。ただこれは頭の中で最強の奴が強いとかそういう話ではない。おう夢の中でだけ強いのほんとやめろよゾート。

 

 例えば火の魔法を使うにしても、まず頭の中で火種を作る事から始まるのだ。魔法使いにインテリが多いのはこういった自然現象のあれこれを一瞬で脳内にて構築し、それを元に魔力を使って発動するからである。風とかいう想像しにくい物を扱っていた上に近接も出来たクライス先生は本当に凄い人だったんだなって……

 

 

「グ、アゴォオオアアアアアアアアアアア!!!!????」

 

 

 杖の先から飛び出した炎の鞭が魔狼の内の一匹に絡み付き、そのまま燃え移って抵抗をものともせず火達磨にした。焼死が一番キツいと聞く、次からはこれやらないようにしよう……

 

 火を起こす、この世界の魔法使いはガチガチと火打石を打ちならして侘しく炎をイメージするのだろうが俺は違う。ガスコンロのコックを回す、これだけだ。火が着く様を一瞬にして、しかもその原理から理解している俺にとってこの世界の魔法はあまりにも都合が良い。

 

 雨が降る理由を知っている、風が起きる理由を知っている、雷が落ちる理由を知っている、水が凍る理由を知っている。異世界の人間は自然現象に対して、あまりに魔法で対処が出来すぎた。故にそれを知ろうとする事が無いし、個人で出来る事には限りがあるだろう。それ故に、現代知識チートの時間だ。

 

 

「グルルルルルル……ウウウッ」

 

「数ばかり多いが、それだけっ!」

 

 

 天空から飛来した1メートル程の隕石が仲間の異様な死に慄いていた魔狼の群れを一掃した、岩 王 帝 君。それだけの物が地表でさく裂すれば近くにいる俺もただでは済まないが飛び散った破片は全て重力で捉えはたき落とし、熱風は周囲に張った水のヴェールで緩和する。

 

 物が落ちる理由を知っている、星が地に落ちる理由も。それは想像力がそのまま力となる世界において、これほど無いチートだと言えるだろう。フィジカルもエリートで頭もいいししかもイケメン、天は一物も二物も与えてくれた。バルトボディは頭が良い、前世ではちんぷんかんぷんだった知識やら法則やらも咀嚼して、わかりやすく再定義するように記憶されている。

 

 

「ほう、これは凄いね。流れ星を能動的に引き起こす事が出来るだなんて……一体どこでそんなことを知ったんだい、僕にも是非教えてくれないか?」

 

「魔法使いは互いの発見に関与しない、オリジナリティーとアイデンティティーが失われるから、そうでしょう」

 

 

 魔獣の群れを一掃した後にやって来たのは片手にしたペンでメモへ一心不乱に書き込み、隈のある目をイキイキと輝かせて重力魔法を問い質してくるヤバめなイケメン。ドラムジェラに存在する魔法学院、その中で天才とも名高い魔法使いこと【エリファレット・クレイヴン】さんだ。

 

 

「そう言われると困るね、確かに僕達の知識は立派な商売道具だ。魔力の適正もあるにはあるが、原理さえわかってしまえば再現性の高いものだからね……しかし、それでも全くわからなかった」

 

「しかしこれは俺の発見という訳ではありません。ですがそれでも目的の為に使わなければならないのです」

 

 

 表情は変わらず鉄面皮だが、その瞳の奥には隠しようの無い未知への好奇心が渦巻いている。クレイヴンさんとは魔法の知恵を深める為に入った魔法学院で会った。学院と言ってもきちんとした規律がある学校ではなく研究サークルのようなもので、魔法の先鋭化や効率化を学ぶ為にも入ってみたのだが偶然共同の講義で指名された問いに答えたところからクレイヴンさんが俺に話し掛けてくるようになった。

 

 

「全く君には驚かされる、一体どういった思考で魔法を操っているのか」

 

 

 それにしたって相も変わらず顔が良い定期。癖の無い青髪を紐で括り、目の下には隈こそ拵えているもののそれぞれのパーツはまるで人形を思わせる程精巧で緻密に出来ているし、高い身長も相まって女性に人気が出そうなルックスと声をしている。本人的には魔法のことが優先で性別とかは気にしてはいないそうだが、最悪顔だけでも喰っていけそうなくらいにはイケメンなのだ。

 

 

「さて、俺は遠出ついでに薬草を探して来ますが、どうしますか」

 

「僕の事は気にしなくていい、帰りの馬車さえそう待たせなければ問題は無いだろう」

 

 

 そういって視線を俺から外し、また何やらメモに書きつらねていくクレイヴンさん。彼は今回俺が使う魔法を実践の形式で見たいということで、頭数調整の為に依頼が出ていた魔狼の討伐に同行する形で着いてきていた。

 

 それにしたって魔法があまりに強い。前世ならば俺どころかショットガンを持った猟師だって手も足も出ないような化け物の群れを大した労もなく制圧してしまう。正直言って楽しい、力を持つ事がこんなに気分を良くする事だとは思わなかった。だけどこれに傲ったりしてはいけない、大いなる力には大いなる責任が伴うからな……こうして命を奪うことに慣れてはいけない。

 

 いやそれは本職の方に失礼か、だけど俺はこの世界で生きていく訳じゃないからな。今は魔法使えるけど現代でも使えたりするんだろうか……この異世界産の身体に魔法の源があるのか、世界システムなのか私気になります!

 

 

 

 

 

 

『希代の天才術者』

 

『万象を知る魔法使い』

 

 

 なにも知らない者達が口々にそう言葉にする度に、僕の心には言い表しようの無い孤独感が吹き荒れた。どうして僕だけを隔離するような表現をするんだ、どうして誰も追い付いてくれないんだ。命の構造、その螺旋に気づいてから、魔法によって簡易的な命を創造することが出来るようになった。その時から世間の僕を見る目はエリファレット・クレイヴンを見るものではなく何か別の物、違う生き物を見るようだった。

 

 尊敬と、称賛と、狂喜と、恐れと、怒り。純粋な魔法使い達は僕の気づきに対して有り余る程の敬意を見せてくれたし、進みすぎた魔法使い達はその発想にどうすれば至れるのかと躍起になった。そして、胡散臭い金物をつけた宗教家達は神への冒涜だと僕を批判した。

 

 別に、僕は命の創造など目指してはいなかった。ただ僕は『そら』を見たかっただけで、それでも魔法使い達はみんな命のそれの方の話しかしなくなっていた。自分が好きな事と、自分に求められる事が違った時、僕にはどうすればいいかがわからなかった。彼らは僕を必要としているようで、僕自身の事はまるで必要としていない。

 

 星空はいつでもそれを望む人の為に輝いていた。失意の中でもあれだけが癒しで、届く事の無い手を虚空へと伸ばしていた。魔法学院の研究は現状そらへと一番近い道だろう、高性能な望遠鏡などここ以外ではそうそう使える事もない。それでも、人々はそらに対して僕程の情熱を持っていなかった。神が空に作った宮殿だとも、宝石の海だともそれぞれが勝手に解釈をして、もしかすれば合っているのかもしれないけれど……

 

 

『俺の魔法ですか、星と重力を中しぐうっ!?』

 

 

 そんな中、新しく学院に入って来たバルト・グリコスという少年は、星を視るのだと。星を『知る』のだと、そう口にされた瞬間衝動的に僕は彼を抱き締めていた。みんなこんな気持ちだったのか、羨望と尊敬と嫉妬が胸中に渦巻く。

 

 彼の魔法は精度と速度が段違いのものだった。魔力の総量が伸びきっていないという点こそあるものの、彼の操る炎はまるで生きているかのように流動的で、そして……星を降らせた。

 

 知りたい、どうすればそれを知れるだろうか。話をした通りに魔法使いがそれぞれ持つ特別な知識はあくまでも個人のものだ。他人に教えれば独創性は無くなるし、だからこそこの世界では文明の進歩が遅いのだろう。だけど僕には彼の魔法を使いたいという念などない、あくまでも星空がなんなのかを知りたいだけなんだ……どうすれば……




作者より頭の良いキャラクターは作れない(至言)クレイヴン先生は元々優秀な魔法使いでしたが、気紛れに黒い星と呼ばれている羽虫を観察してみている時になんやかんやかなりました。頭の悪さに溢れる解説ですね

何者_さん誤字報告ありがとうございます

これからの展開について

  • バルトが傭兵として戦う描写重点
  • バルトが帰還する手掛かりを探す重点
  • ヤンデレ重点
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