ありふれたサブキャラ達の事件簿   作:makky

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 「中村恵里」
 壮絶な子供時代を経験し、とある少年に助けられた少女は偽りの皮を被り少年を我が物にしようと画策するが
 化け物と呼んだ少年と彼女を最後まで信じようとしたかつての親友により、彼女の思惑から外れていく…



僕っ子恋愛強奪作戦パート1

 

――――――――――――――――――――

 

 ――大丈夫

 容姿もすっかり変えたし、キャラも大人し目な庇護欲を搔き立てる系の女の子になった

 光輝君とおんなじクラスになれたのは、もうこれ僕の勝利確定してるって自信持って言える

 ――一先ず、最初の問題は

 

 

 

 光輝君とべったりの幼馴染2人をどう引きはがすか、それに尽きる

 

 

 

 なんだよ、なんなんだよ!僕がここまで来るのにどれだけ苦労したと思ってるんだい!

 なけなしのお小遣いで買った伊達メガネや、そんなに興味なかった女の子チックな服の購入代金とか出費が痛いんだよこっちは!!

 なのに光輝君は香織と雫(邪魔者筆頭)ばっかり気にかけてる

 ちくしょう!!クソみたいな家庭環境に生まれた僕に、白崎香織(容姿端麗)八重樫雫(文武両道)の幼馴染属性なんて理解できるわけないじゃないか!

 どうにか声を掛けようにも他のクラスの有象無象までやってきてそんな隙ないよ!!

 

 でも考えはある

 幸い、白崎香織の方はなんでかさっぱり分からないけど南雲ハジメ(オタク)にぞっこんだ

 事実上ライバルは八重樫雫ただ一人

 彼女さえどうにかしてしまえばあとはこっちのものだ

 

 ふ、ふふふ

 約束された勝利の味とはまさにこのこと

 香織が光輝君とはっきりと拒絶するのも時間の問題だろう

 そして傷心しきった光輝君にそっと寄り添い励ます僕

 これはもう誰がどう見てもヒロインだ、勝ちヒロインだ

 いやー辛いなー何の苦労もなく好きな人と結ばれるだなんてつらいなーあっはっは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 なにこれ

 え、いやちょっと待って、本当になにこれどっきり?

 

 僕たちはついさっきまで教室でお昼食べてたはずなのになんかすっごい豪華なお部屋に来てしまっている

 しかも周りにはこれまた豪華な服着た連中に囲まれているし、なんか話しかけてきたじじいは訳の分からないこと言い始めるし

 え?なんか流れで場所移動することになったんだけど?は?今説明してよ?ねぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 イシュタル(じじい)の話をまとめるとここはトータスと呼ばれる世界で、僕たちは勇者として呼ばれた光輝君と一緒にこの世界の人類を救わなくちゃいけないらしい

 おまけにこの世界から元の世界に帰る方法はエヒトとかいう神しか知らないっぽいから今すぐに帰るのは無理らしい

 

 …………

 

 ファッキンゴッド!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 ちくしょう!!僕が何したってんだよ!!ようやく光輝君を手籠めに…じゃなかった惚れさせる算段が付いたってのに訳の分からない理由でご破算だよ!!

 高校生活中にフィニッシュかけてそのままゴールインする予定立ててんだよこっちは!!返せよ!!僕の完璧な計画を返せよ!!

 

 

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。」

 

 

 

 トゥクン…

 やだ…光輝君かっこいい

 混乱しているクラスメートたちをなだめちゃうそのカリスマ性とっても素敵大好き

 

 でも…戦争かぁいやだなぁ…最悪僕たちも死んじゃったりするのかなぁ…

 

 ……ん?死ぬ?

 

 

 こ れ だ ! !

 

 

 ふふふ、我天啓を得たり!!これで懸念事項が全部スッキリなくなるかもしれない

 まだだ、僕の勝ちヒロイン道はまだ続いているんだ!

 待っていてね光輝君、絶対僕だけのものにして見せるからね!

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 僕の考えた計画はこうだ

 

 クラスメートの中には僕以外にも光輝君を狙っている人間は意外と多い

 そんな奴らに横やりを入れられるだなんてたまったもんじゃない

 

 じゃあどうするか

 簡単だ、邪魔なら消してしまえばいい

 この世界は戦争のまっさ中

 流れ弾や誤射なんてそれこそ日常茶飯事だ

 しかも僕たちのいた地球と違ってここには「魔法」なんていう便利なものまである

 これを使えば光輝君の周りにいる邪魔者を排除するなんて朝飯前だ

 そして、あの二人も一緒に――

 

 ……

 

 

 

 魔法の才能無かったらどうしよう

 

 

 

 仮に、仮にだよ?まったく魔法が使えないなんてことになったらアドバンテージどころの話じゃなくなっちゃうじゃん!

 しかも僕が他のみんなより優秀だなんて保証はどこにもない

 そんな状況で手を出そうものなら――

 

『恵里、君には失望したよ』

 

 …避けなければ

 役立たず(不戦敗)だけは避けなくては!!

 

 

 僕はひたすらにベッドの中で祈った

 いつも寝ているベッドと違うとか、そんなの気にならないほど朝まで祈り続けた

 

 

 神様どうか…

 

 どうか僕が魔法を使えますように…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中村は…降霊術か!扱いきるには難しいが使いこなせばかなり強力な天職だぞ!」

 

 サンキューゴッド…!!

 

 勝った、またしても勝ってしまった

 敗北を知りたい

 

 とりあえず最初の難関は突破したと言ってもいいだろう

 あとは折を見て邪魔者たちを消していけばいいだけだ

 しかも話を聞けば「降霊術」とは死んだ人間を操ることのできる天職だとか

 完璧じゃないか、僕は幸運の女神に微笑みかけられているに違いない

 

 それじゃあ最初のターゲットである香織と雫を…

 

 

 

 あれ、2人を消しちゃたら光輝君のメンタルも死ぬんじゃないのこれ?

 

 

 

 幼馴染を2人同時に亡くすだなんてショックがデカすぎるんじゃない?しかも正義感の強い光輝君のことだから絶対に引きずっちゃうよ

 

 ……

 香織は南雲に押しつけちゃおう

 そうだ、使えるものは何でも使えばいい

 香織と南雲をくっつけちゃえば邪魔者が勝手に1人フェードアウトしてくれるんだ

 しかも光輝君がちょっとショック受けるくらいで実害はほぼなし

 あと腐れなく僕は光輝君を慰められる

 そもそも最初から香織はライバルから外れていたようなものなんだ、これでいいんだ

 

 

 

 しかし今すぐ雫をどうこうするのはリスクが高すぎる

 彼女は自分の家が道場やってる関係で剣の扱いはそれなりに出来る 

 そんな彼女に不意打ちを仕掛けても、おそらく軽くいなされてしまう

 やはり戦場とかそのあたりの何が起きるか分からない場所で静かに消えてもらうことにしよう

 悪く思わないでくれよ雫

 憾むなら光輝君の幼馴染だった自分を恨みなよ

 

 

 

 

 

 そしてほぼ何も起きることなく2か月ほどが過ぎた

 うん、まあ、そんな気はしてたよね

 いきなり戦争に参加するわけないと思っていたら、案の定このハイリヒ王国ってところで訓練に取り掛かっていました

 その間まったく事態は進展せず悲しいくらいに光輝君との接点を増やせていません

 

 

 

 今更ながら自分の計画が上手くいくのか不安になってきた

 

 

 

 失敗しても僕一人じゃリカバリーできる気がしない

 相手が超優秀な剣道経験者ってのもあるけど、一度失敗して目を付けられたら次の行動に移せないかもしれない

 

 せめて…せめて助手というか体のいい共犯者がいてくれれば…

 最悪その場で使い捨て出来るような都合のいい奴がいてくれれば…

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「香織! 君まで死ぬ気か! 南雲はもう無理だ! 落ち着くんだ! このままじゃ、体が壊れてしまう!」

 

 

「無理って何!? 南雲くんは死んでない! 行かないと、きっと助けを求めてる!」

 

 

 

 

 

 この状況は想定外だったな

 

 

 

 

 

 説明しよう、僕たちはオルクス大迷宮とかいう場所に来て実地訓練中だったんだけど、どこかの馬鹿が罠を発動させて別の場所へ

 そこになんかめっちゃデカい魔物と骸骨がいて戦闘に

 なぜか南雲がでっかい方を足止めにして時間稼ぎして、さあ魔法でとどめだって時に南雲に流れ魔法が当たって奈落の底に真っ逆さま

 

 えぇ…えぇ?

 いや、いやいやいや

 さすがにそれはないでしょ

 

 寄りにもよってあいつがやらかしたのかぁ…

 いやまぁね?前々から南雲を虐めてはいたし、さっきのは最高のチャンスだったのは僕も分かるけど

 

 ああまで躊躇なく他人に魔法撃ち込むのは流石に引くよ僕は

 

 …こうやって落ち着いているように見えるけど内心めっちゃ焦ってる

 香織を押し付ける相手が死んじゃったじゃないか!!これじゃあ2人とも消す必要があるよ!!

 

 

 くっそう…面倒なことしてくれちゃってまったく…いくら好きな子手に入れたいからってあんな考えなしに…ん?

 

 

 

 あ、そうか、アイツに香織押し付ければいいのか

 

 

 

 どうせ罠の一件でクラスメートたちからの信頼は地の底なんだ、ちょっと誑かせばホイホイ言うこと聞くに違いない

 ああいう馬鹿…もとい単純な奴は、目の前においしそうな餌ぶら下げておけば勝手に食いつく

 とりあえず檜山大介(使えそうな下僕)に懇切丁寧なお話をしておこう

 

 

 

 

 

「……従う」

 

 

 

 

 話を持っていくと色々言い訳じみたことをしばらく返してから、檜山はそう言った

 

 うーん、あっけないなぁ

 もうちょっと張り合いが欲しいんだけど、まぁいいや

 これで僕の言うことを何でも聞いてくれる下僕ができたんだから

 存分に使い潰してあげようじゃないか

 

 

 それに、今回の一件で計画の変更も必要だったしちょうどいい

 

 

 待っててね光輝君

 

 絶対に手に入れてあげるから




未来の恵里「正直このあたりは大きなミスしてなかったんだよね…あえて言えばあのバカを共犯に仕立て上げちゃったことくらいかな」
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