【ジェネレーションシステム】……それは太古以来、膨大なネットワークと大量のデータの集合体ニューロを集め、構成された超密度複合型システム…それがジェネレーションシステム。
そのジェネレーションシステムの中枢へと向かう一機の青いMS(モビルスーツ)と、そのMSの後を追う一隻の白い戦艦があった。
その戦艦の名は【ネェル・アーガマ改】。そしてMSの名は【ハルファスガンダム】。
ハルファスガンダムは“手にすれば大いなる力を得られる”と噂されていたMSで、現にその力を得ようとする者、利用しようとする者がハルファスガンダムを狙い、争いを起こした。
しかし、そんな者達から戦闘を止め、暴走するハルファスガンダムを鎮めようと行動を起こした者達がいた。
その止めようとした者達こそ【ゼノン・ディーゲル】が艦長を務めるネェル・アーガマ改であり、その戦艦のMS部隊のリーダーである【マーク・ギルダー】率いるMS部隊であった。
彼らはジェネレーションシステムに形成された大量のニューロをまとめる【ニューラル・ネットワーク・アプロディア】と呼ばれる聖母のような姿をした人物から、ハルファスガンダムを止めて欲しいと頼まれ、様々な“ガンダム”と呼ばれるMSが存在する世界へとやってきた。
そして数々の戦闘を経て、遂にハルファスガンダムの暴走を止め、アプロディアの制御下に置かれた。ハルファスガンダムは元々彼女がジェネレーションシステムへの認証コードとして存在していたMSで、彼女とハルファスガンダムが揃ってようやくジェネレーションシステムへのアクセスが可能となった。
だが、ジェネレーションシステムが異常をきたしてしまったのは、“悪意のある思考”を持った“何か”によってジェネレーションシステムのプログラムの一部だったアプロディアはシステムから遮断され、その後、ジェネレーションシステムは暴走を始めてしまった。
そしてジェネレーションシステムの暴走の原因である“何か”の正体を見つける為、アプロディアは自身の駆るハルファスガンダムとマーク達は共に中枢ゲートを守るガーターシリーズや数十体規模の防衛用MS【レギナ】を撃破しつつ中枢へと向かった。
_________________
「皆さん、ここがジェネレーションシステムの中枢区画です」
アプロディアの案内で中枢へと到着したマーク達ネェル・アーガマ改は戦艦クラスの大きさでも十分余裕で入れる程の広大な広さの場所へとやってきた。
「ここが……ジェネレーションシステムの中枢部か……」
「はい。世界中に張り巡らされたニューロは、ここに全ての情報を集めていく…そしてシステムは、その情報を元に新たな世界を形成していく……ここが、世界が生まれた場所です」
ネェル・アーガマ改のブリッジで艦長であるゼノンが言うと、システムの中枢に集められた情報を元に新たな世界を形成する場所であるとアプロディアは説明した。その言葉にゼノンやブリッジクルー、そしてMSで待機しているマーク達は言葉を失った。
何せ、自分たちのいるこの世界が、ジェネレーションシステムによって作り出された世界だというのだから……
ところが突然、中枢内に警報が鳴り響き始めた。
「これは……私が、システムから消去されている!?」
アプロディアは自身が消去されていると驚きの声を上げると、中枢上部から白いMSらしき機体が舞い降りてきた。
「何だ?あのMSは……」
「あれは…バルバトス!?」
突然現れた謎のMSにアプロディアは【バルバトス】と言った。驚いている一同にバルバトスはまるで翼を広げるかのような動きを見せると、今度は孔雀のような姿に変形し、一つ一つの羽から光を放ち始めた。
「いかん!緊急離脱っ!!あの白いMSから離れるんだ!!」
バルバトスの動きに長年の戦闘経験の感が危険と判断したのか、ゼノンはネェル・アーガマ改をバルバトスの射線上から退避するように操舵士である【ビリー・ブレイズ】に指示を出した。
するとバルバトスの羽から放っていた十二個の光が中心部に集まり、巨大なビームとなってハルファスガンダムに向けて発射され、ネェル・アーガマ改はギリギリの所で回避に成功するが、ハルファスガンダムはバルバトスのビーム砲の直撃を受けてしまった。
「バルバトスが……何故………!?」
バルバトスの攻撃の直撃を受けたハルファスガンダムはコクピット部分の直撃は避けられたものの、特殊機能である【ナノスキン装甲】を持っているにも拘らず、機体全体にダメージを負っており、もはや戦闘を継続できる状態ではなくなってしまった。
「……どうやらあの機体が全ての元凶のようだな。これより我々はシステムの異常であろうバルバトスを破壊する!!各MS部隊は順次発進せよ!!そしてこの戦いに終止符を打つぞっ!!」
『了解ッ!!』
ハルファスガンダムを排除しようとしたバルバトスが、ジェネレーションシステムが異常をきたし暴走した原因であると判断したゼノンは、マーク達にMSで発進するように指示を出した。
「よし!ギルダー隊、クロード隊……これより順次発進し、バルバトスを撃破に向かう!!これが最後の戦いだ!気合入れていくぞっ!!」
『了解ッ!!』
MS部隊のリーダーであるマークは今まで共に戦ってきた仲間に激を飛ばし、仲間達は大声でそれに答えた。
「マーク・ギルダー、フェニックスガンダム……出るッ!!」
「ラナロウ・シェイド、トールギスⅢ……出撃するぜッ!!」
「エイブラム・M・ラムザット、ガンダムMk-Ⅴ……出撃するッ!!」
「シェルド・フォーリー、ネティクス……行きますッ!!」
マーク率いるギルダー隊の四機のMSがネェル・アーガマ改の右カタパルトから発進し、続いてクロード隊の部隊が左カタパルトへと送り出される。
「エリス・クロード、フェニックスゼロ……行きますッ!!」
「エルフリーデ・シュルツ、ビギナ・ロナ……参るッ!!」
「レイチェル・ランサム、リ・ガズィ・カスタム……出ますッ!!」
「マリア・オーエンス、量産型νガンダム……出撃しますッ!!」
ネェル・アーガマ改から出撃した八機のMSは一斉にバルバトスのいる中心部分へと向かっていった。
「シェルド、マリア。お前達二人はハルファスガンダムを回収してからこちらに合流しろ!その間、俺達がバルバトスの相手をする!!」
『了解』
マークはバルバトスの砲撃で大破状態になってしまったハルファスガンダムを回収し、ネェル・アーガマ改に収容するように指示を飛ばし、ジェルドのネクティス、マリアの量産型νガンダムの二機はハルファスガンダムを回収に向かった。
そしてマーク達はバルバトスに向かって攻撃を仕掛けようとした時だった。バルバトスはマーク達も邪魔者と認識したのか、排除しようと光を放つと、今度はバルバトスを中心に八つの巨大なニューロが現われ、その一つ一つが歪み出すと、マーク達の乗っている機体の姿をしたコピーMSが出現した。
「はっ!俺たちの機体のコピーか…そんなもんで俺たちを倒せるかってのッ!!」
「油断するな、ラナロウ。例えコピーでも相手はジェネレーションシステムの一部……油断できんぞ!!」
自分たちの機体をコピーしてきたバルバトスにラナロウはコピー如きに自分達が倒せるかよと叫ぶが、例え複製でもシステムの中枢である場所から出現したコピー機でも油断するなとエイブラムが注意を施す。
ところが、八つあるはずのニューロの内六つはマーク達の乗っている機体のコピーだったが、残り二つはマーク達の乗っている機体とは全く違うモノへと変化していた。
「何だ?あの機体は!?」
「紫色と純白の……MS?でもあんな形をした機体、見たことがないわ……」
二つのニューロが変化した機体を見たマークとエリスは驚きの声を上げる。ニューロが変化した二体の機体……それは明らかにマーク達の知るMSとは違い、細身の人型の両腕にはマシンガン、背中に実刀らしき刀、そして予備らしきもう一丁のマシンガン……腰に戦闘機の翼のような形状をしたスラスターが付き、紫の機体に関しては、所々に小さなブレードのようなモノが多数あり、頭部は鬼のような顔立ちをした機体だった。
『これ以上……テメェらのような化け物の好きにさせるかよっ!』
『人類を……なめるなァァァァァッ!!!』
純白の機体と紫色の機体から発せられた男性と女性の声と同時に、二つの機体は手にしたマシンガンを連射しながらマーク達に襲い掛かり、それと同時にバルバトスも動き出した。
「くっ、エリス!俺とお前でバルバトスを押さえるぞ!!」
「分かったわ、マークッ!!」
「ラナロウ達はコピーとあの謎の機体の相手を頼む!撃破したらこっちに合流してくれ!!」
『了解!!』
二体の謎の機体とバルバトスの攻撃に、マークとエリスの二機のフェニックスはバルバトスに向かい、残りのコピー機と謎の機体にはラナロウ達に任せて遂に最終決戦の幕が上がった。
___________________
バルバトスとの決戦は熾烈を極めた……紫と純白の謎の機体は見た目に反して機動力などはMSに追いつくほどであったが、攻撃面では実刀とマシンガン、さらに防御面でも低かった為かラナロウ達に敵うわけも無く撃破された。だが、ニューロが変化したコピー機を全滅させても、再び同じように八つのニューロが変化したコピー機が出現した。
その中の二つが最初に出現した紫と純白の機体とは形状が若干異なるが、非常に酷似した機体だった。その一機が迷彩処理され実刀を持たない機体と、他の機体では見られない両腕の部分にブレード、そして背には大剣を装備した機体が出現し、ラナロウ達に襲い掛かってきた。
『うっふふふっ、私には見えるぞ!お前の恐怖がッ!!』
『あの人はまだ戦っている……諦めるなんて…絶対出来ないッ!!』
今度は女性の声が謎の機体から響き渡り、迷彩の施された機体は背部に装備されているマシンガンを連射しながら腕部のボックスから高速回転する電動ノコギリのようなモノが飛び出し近接攻撃を仕掛けてきた。もう一方の機体は背にマウントされている大剣を手にして大きく振り被ってきた。
しかし実刀であることには変わりはないので、MSに装備されているビームサーベルなどで切り裂いて撃破するが、迷彩の施された機体の方は、こちらの動きを先読みしているかのような動きで翻弄してくる。
だが、先読みなどをする相手とは何度も戦ってきたラナロウ達には慣れた相手だったので、苦戦しつつもなんとか撃破することが出来た。
そして二度目のニューロを破壊が完了した時、再び中央付近の周囲にある場所から三度(みたび)ニューロが六つ出現し、再びラグナロウ達の乗っている機体に変化した。しかし三度目の敵増援は今までとは何処か違っていた……
「ん……?出現したニューロが六つしかないぞ?」
「おいっ、あれは……」
「ユニコーン……ガンダム!?」
「それに、もう一体の機体は……黒いユニコーン!?」
出現したニューロが六つしかない事に気づいたラナロウの言葉と共に中央部分から二体のMSが現れた。機体の色が真っ白で統一された角の持つMSの姿にエイグラムとエルフリーデはユニコーンガンダムだと言い、レイチェルはもう一体の黒で統一されたユニコーンガンダムに酷似したMSに驚いていた。
三度目のコピー機の撃破も何とかできたが、ユニコーンガンダムと黒いユニコーンは他のニューロとは違いかなり手強く、ユニコーンガンダム特有の機能である【デストロイモード】を発動していないにも拘らず、その動きはまるでマークとエリスを相手にしているかのような動きを見せていた。そのせいでラナロウ達は苦戦を強いられ、マーク達と合流できないでいた。
そしてマークとエリスの二人もバルバトスの放ってくる十二本の翼からのビーム砲や、MSを軽く上回る機動力で圧倒され危機に陥った。
だが、ラナロウ達はユニコーンと黒いユニコーンによって援護が出来ないと通信を受け、エリスは意を決して身を挺してバルバトスに挑み掛かり、その隙を突いてマークはフェニックスガンダムの全エネルギーをバーニングファイヤーに使用して突撃し、バルバトスの撃破に成功した。
「ハァ、ハァ……バルバトスの撃破を確認…作戦完了だ。エリス、無事か?」
「ええ、何とか……コクピットがやられなかったのは奇跡としか言いようが無かったけど……」
マークがバルバトス撃破の報にラナロウ達に伝えた後、マークはエリスのフェニックスゼロへと歩み寄り声を掛けた。彼女は機体が半壊してしまったが奇跡的にコクピット部分へのダメージが無かったとマークに答えた。
バルバトスが撃破された瞬間、ユニコーンガンダムと黒いユニコーンが突然動きを止めて停止し、コクピットハッチが開いた。ラナロウ達は警戒しながらもユニコーンガンダムと黒いユニコーンのコクピットを覗いてみると、そこにはパイロットが乗っていた。
二体のユニコーンにニューロではなく人間が乗っている事に驚くラナロウ達だったが、その時、ジェネレーションシステムの中枢部が突然揺れ出し、所々で爆発が起き始めた。
「これは不味いな…全機!ネェル・アーガマ改に戻れ!!ここから脱出するぞ!!」
「ならこの二機も連れて行こうぜ。ニューロしかいない筈のこの場所に人がいたんだ。助けるべきだろ!」
マークはエリスの乗る半壊したフェニックスゼロを抱きかかえ、ラナロウ達はユニコーンガンダムと黒いユニコーンをネェル・アーガマ改へと連れて帰艦した。そしてネェル・アーガマ改は外に向かって最大戦速で離脱を試みた。
________________
「くっ、出口までどのくらいだ!?」
「あともう少しです!」
ゼノンの声に通信担当の【ラ・ミラ・ルナ】が叫ぶ。マーク達もMSデッキで自分の機体に乗ったまま揺れるネェル・アーガマ改が無事脱出できるように祈っていた。
そして爆発するジェネレーションシステムからネェル・アーガマ改が飛び出すと同時に、脱出口から火柱が立ち昇り、ネェル・アーガマ改はギリギリの所で脱出に成功した。
無事脱出できた事に歓声を上げて喜ぶブリッジクルーとMS内で待機していたマーク達は安堵の溜息をついた。ところが………
「!?艦長!!」
「どうした!?」
「ネェル・アーガマ改前方の空間が歪んでいます!!」
喜びに沸きたつブリッジにミラが声を上げた。その声にゼノンはネェル・アーガマ改の進んでいる方角を見てみると、空間の一部に歪みが生じており、徐々にその歪みが大きくなっているではないか。
「くそっ、最大戦速で離脱!」
「ダメだ!既に引力圏に入っちまって、脱出できねぇ!!」
『うわぁぁぁぁぁぁっ』
どうにかして脱出しようとするが、既に母艦が引力圏に入ってしまっており、脱出が不可能になっていた。そしてネェル・アーガマ改は歪んだ空間へと吸い込まれ、世界から消滅した…………