マブラヴ・オルタジェネレーション   作:京橋

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 アニメ本編で出てきた試作型武御雷に乗っていた人って、崇宰 恭子って人なのかな?

 蒼い機体に乗っていたし…斑鳩公はまだ青い瑞鶴に乗っていたし。





第六話 一時の平穏、涙の再会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 要塞級との衝突でビルに墜落した【能登 和泉】と【山城 上総】二名の救出に向かったラナロウは、兵士級に襲われそうになっていた和泉を救出し、二人で上総の瑞鶴を探す為にさらに奥へと進んだ。

 

 だが、奥へ進んでいくと上総の瑞鶴は複数の戦車級に取り付かれており、機体の装甲や電子機器を引き剥がしながら徐々に上総に迫りつつあった。

 

 さらに運悪く自分の瑞鶴から和泉と上総を探す為にアプロディアの静止も聞かずに唯依までもやってきてしまい、満身創痍の上総は唯依にBETAに喰われる前に自分を殺して欲しいと叫ぶ。

 

 憎きBETAに友達を喰われるくらいなら、斯衛として自分が介錯を…と意を決した唯依は手にした銃を上総に向けて撃とうとした時だった。

 

 突如現れたエリスの乗るバンシィのNT-Dが発動し、デストロイモードへと変身した状態で出現し、戦車級は何故か上総の瑞鶴に興味を失せたのか、現れたバンシィに向かって行っていった。

 

対するバンシィは60mバルカン砲と左腕のアームド・アーマーで戦車級を次々と薙ぎ払い始めた。

 

 全ての戦車級がバンシィに向かった事でラナロウと和泉は唯依と合流し、急ぎ上総のいる瑞鶴へと走り、コクピット内で負傷していた上総を発見、ラナロウの持って来た簡易救急セットで応急処置を施した。

 

 一先ず応急処置を終えた上総をラナロウがお姫様抱っこで抱き上げ、唯依と和泉と共に管制ユニットから出ると、目の前には戦車級と後からやってきたであろう兵士級の無惨な死骸が転がり、アームド・アーマーVNの展開した四つの爪で捕まっている戦車級を握り潰した血まみれのバンシィが立っていた。

 

 

 

 

 

 

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 BETAの返り血を浴び、まるで獲物を捕食した後の獅子のような姿になっているバンシィの姿にラナロウに抱き上げられている上総や、その後ろにいる唯依と和泉は唖然としていた。

 

「あれだけのBETAを……たった一機で?」

 

「しかも戦車級を相手にしたのに、何処も損傷していないなんて…」

 

 戦車級の最大の脅威は一機の戦術機に対して群れを成して襲い掛かり、腹部の強靭な顎で戦術機の装甲を噛み砕き、最後には搭乗している衛士ごと喰い尽くされてしまうことだった。

 

 だが、目の前にいるバンシィは傷どころか噛み付かれたような個所も無く、ほぼ無傷ともいえる状態だった。そんなバンシィは首を動かしてラナロウ達の方を見ると体ごと正面に向いた。

 

「おい。すまねぇが右耳のインカムを指で押してくれねぇか?」

 

「えっ?あっ、はいっ!」

 

 正面を向いたバンシィにラナロウは自分の右側にいた唯依に右耳のインカムのスイッチを押してくれと頼むと、唯依はラナロウの右耳のインカムを人差し指で押した。

 

「エリスッ!!聞こえていたら応答しろ!!」

 

『うっ、ううん……』

 

「エリスッ!!聞こえてんなら返事をしろ!!」

 

『えっ?……あっ、ラナロウ!!?無事だったの!?』

 

「無事だったのじゃねぇよ。あれだけ大暴れしてたくせに何言ってんだよ!!」

 

 ラナロウはバンシィに通信を繋いでパイロットのエリスに呼びかける。するとエリスは何故か今まで気を失っていたかのような様子で通信に答えた。

 

その様子にラナロウは疑問に思っていると、バンシィのフルサイコフレームが放っていた黄金色の光が消え、スライド展開されていた装甲が閉じていき、再び【ユニコーンモード】へと変身した。

 

 ユニコーンモードに戻ったバンシィは膝を付いて倒れている瑞鶴の管制ユニットにいるラナロウ達の前に右腕を差し出すと、ラナロウは上総を抱き直して躊躇無くバンシィの手の平の上に乗り、唯依と和泉も恐る恐るとしつつも乗り込む。

 

 ラナロウ達が乗り込んだのを確認したエリスは、ゆっくりと右腕をバンシィのコクピットの前にまで引き寄せながらコクピットハッチを開けて四人を招き入れる。

 

「大丈夫だった?」

 

「ああ、ちょっとヒヤッとする場面も幾つかあったが…この通り無事だ」

 

「その子達は?」

 

「この世界での初めての戦友ってとこだ。だが、コイツの怪我の治療が応急処置だから急いで本格的な治療をしないと不味い」

 

 バンシィのコクピットに入ったラナロウにエリスは年増の行かぬ少女三人の姿に「誰?」と思ったが、ラナロウの抱きかかえている痛々しい姿をした上総の姿にすぐに気持ちを切り替えてコクピットハッチを閉めた。

 

「これ……凄い…」

 

「外の様子がこんな鮮明に……」

 

 ラナロウに連れられてバンシィのコクピットに入った和泉と唯依が目にしたのは、コクピット内の全周囲モニターに映し出されている鮮明な機外の映像だった。

 

 唯依達の乗っている戦術機のコクピットにはモニターなどが無く、代わりに操縦席のコネクトシートに衛士強化装備を接続することで操縦者の網膜に直接戦術機のモニターの映像を投影するシステムになっている。

 

 故になのか、自分の視界のみで戦闘を行なっていた唯依達にとってバンシィのコクピット内の全周囲モニターで外の様子を鮮明に見れる事には驚きを隠せないでいた。

 

「しかし…さすがにコクピット内に三人はキツイな……」

 

「そうね…確かにキツイわね…」

 

 コクピットシートに座るエリスはともかく、シート左右に唯依と和泉、さらにラナロウと抱きかかえている上総の計五人も一つのコクピットにいるとなるとかなり狭くなる。

 

「とにかくここから一旦外に出れば俺のガーベラが近くにいるはずだ。そこまで行けば俺は降りれる」

 

「分かったわ。ならここから出ましょう」

 

 ラナロウの提案にエリスはバンシィのスラスターを起動させて出来るだけ機体を揺れさせないようゆっくりと機体を上昇させる。もし揺れを起こして両腕を塞がれているラナロウが倒れる事になれば、抱きかかえられている上総が危険な事になると考慮しての事だった。

 

 ビルの外へと出たバンシィは周囲を一周して唯依の瑞鶴と共にいるガーベラ・テトラ改の姿を探し、ビルの屋上にいるガーベラ・テトラ改を発見、エリスはバンシィをガーベラの近くまで移動させようとした時、突如ガーベラ・テトラ改が動き始め、スラスターを起動させてバンシィに近づいてきた。

 

『よかった。ご無事だったのですね』

 

「アプロディア?もしかしてあなたが動かしているの?」

 

『はい。戦闘までは無理ですが、動かす程度の事なら私のニューロで可能です。今、そちらに向かいます』

 

 なんとアプロディアは自身のニューロを使ってガーベラ改を動かしてバンシィに接近してきた。一先ず二機は見通しの良い場所に一度着地し、バンシィのコクピットから上総を抱えたラナロウだけがガーベラ改のコクピットに移動した。

 

そしてコクピットに入ったラナロウはシートに腰を降ろすと、上総を膝の上に乗せる形で座らせてベルトで固定する。

 

「ちょっと苦しいかもしれねぇけど、我慢できるか?」

 

「…っ、大丈夫…ですわ…」

 

 出来るだけ上総に負担を掛けないようにベルトで固定したラナロウは、ガーベラ改を動かしてバンシィと移動を開始しようとした時だった。

 

「エリス!ここにいたのか!!」

 

「あっ、エルフリーデ」

 

「どうやら全員無事のようだな」

 

「マーク!」

 

 ガーベラ改とバンシィの近くにエリスを追いかけてきたエルフリーデの乗るリゼルが現われ、さらにBETAの侵攻を遅らせて真田達帝国軍の撤退に時間を稼いでいたマークの駆るユニコーンガンダムとレイチェルの駆るデルタプラスが共に合流した。

 

「こっ、これは……」

 

「何?この戦術機は……」

 

「大丈夫よ。彼らは私たちの仲間だから」

 

 唯依と和泉はバンシィの全周囲モニターに映る四機の機体の姿に驚き、そんな二人にエリスはマーク達を大事な仲間だと説明する。

 

「あっ!」

 

「どうした、レイチェル」

 

「今、レーダーに機影を数機確認っ!真っ直ぐこっちに向かってくる!!」

 

 レイチェルの声に四人はすぐさま自機のレーダーを確認してみると、四機の正面から複数の光点がこちらに向かって接近中だと確認できた。マーク達は武器をいつでも構えられるように準備をし、戦闘態勢に移行する。

 

 レーダーに表示されている光点が徐々に近づくにつれ、全機のモニターに細身の人型の姿が見えてきた。だが、マーク達はその人型の機体を見た瞬間、ある機体が思い出された。

 

 目の前に現れたのは、バルバトスとの戦闘中に出現した紫色の機体と同型であろうか色違いの青色の機体だった。

 

「あっ、あれは…武御雷!?」

 

「タケミカヅチ?あの機体の名前なの?」

 

「はっ、はい。でもあの機体色……もしかして五大武家のお方!?」

 

『そちらの所属不明機、武器を下ろしてもらいたい。こちらには戦う意志は無い』

 

 跳躍ユニットを吹かしながら着地した青い機体を見て唯依は武御雷と呟き、和泉もエリスの質問に答え、機体色を見て武御雷の搭乗者が五大武家の一人ではないかと話す。そんな青い武御雷の搭乗者から戦闘の意志は無いと通信を入れてきた。

 

 そして青い武御雷の後方から今度は黒い瑞鶴が数機現われ、BETAに対して全周警戒するような布陣で展開していた。

 

『我々はこの辺りで確認された救難信号を探しに来たのですが、何か心当たりは無いだろうか?』

 

「救難信号?もしかしてお前が?」

 

「ええ…実は機体が大破した時に……」

 

 青い武御雷の衛士【崇宰 恭子】からの質問を聞いたラナロウは、一緒にいる上総に尋ねてみると、どうやら彼女はビル内に落下した際に救難信号を発信していたらしく、その反応を追って彼らはやってきたようだった。

 

「あのっ!五大武家の方だとお見受けしますが、こちらは嵐山補給基地所属の第二小隊小隊長の篁 唯依と申します」

 

『嵐山基地?ああ、そなたらがあの者達の言っていた殿を務めたという衛士達であったか。そなたらの仲間はこの先の集積場にいる。皆、心配していた』

 

 唯依はバンシィのコクピットでヘッドセットを介して通信を繋ぎ、自身の所属と名前を伝えると、崇宰は、彼女らがやってきた集積場にて仲間が無事到着していたことを確認でき、唯依と和泉と上総は安堵する。

 

「あ~、ちょっとワリィけど、こっちには応急処置した怪我人がいるんで、早くその集積場って場所に案内してもらいたいんだけどよ」

 

『ちょっ!?ラナロウさん!相手は五大武家のお方なんですよ!!そのような物言いはっ!!』

 

『…………』

 

 ガーベラ改に乗るラナロウは自分の膝の上にいる上総の状態を考えて本格的な治療が出来る集積場に案内しろと崇宰に向かって言ったその物言いに、唯依は日本でも政威大将軍の当主権を持つ【五摂家】と呼ばれる五つの武家を五大武家だけが搭乗を許される青のパーソナルカラーの武御雷の衛士である崇宰に対しての態度ではないと注意する。

 

 だが、唯依はラナロウ達が異世界の者であり、マーク達も現在自分達のいる日本の情勢などは全く知らない。故にラナロウの言い様はどうしようもない。

 

『申し訳ございません!五摂家のお方に対し、許しがたい物言いを……』

 

『いや、構わぬ。彼らの行動により一時的にではあるがBETAの侵攻を抑える事が出来た。それより怪我人がいるのであれば、急ぎ治療が必要であろう』

 

 謝罪する唯依に崇宰はまずは怪我人を運ぶ事を優先し、集積場までの案内をしてくれると話がまとまり、跳躍ユニットを起動させて機体を浮かせると随伴機である黒い瑞鶴も跳躍ユニットを起動させて移動を開始した。

 

「とりあえずは集積場に行けそうだな」

 

「そうだな。全機、あの青い機体の後を追うぞ」

 

『了解』

 

 マーク達も自機のスラスターを起動させ、青い武御雷の後を追うように移動を開始し、四機の後ろに黒い瑞鶴が続く。

 

 MSと戦術機が移動している最中、カーベラ・テトラ改のコックピットでは武御雷の後ろ姿をモニター越しで上総は眺めていた。だが、上総は顔を伏せてラナロウの膝の上で体を震わせていた。

 

「どうした?生きて帰れるんだぞ、もう少し嬉しそうな顔をしたらどうだ?」

 

「……」

 

 ラナロウは顔を伏せている上総に声を掛けるが上総は全く反応がない。だが、耳を凝らしてみると何か啜るような音が聞こえ、もう一度上総を見ると彼女は声を押さえて啜り泣きしていた。

 

「うっ、ううう、ぐすっ……」

 

「お前……泣いてんのか?」

 

 声を押さえてまで涙を流す上総の姿にラナロウは彼女の頭の上に手を置いて優しく撫で始めた。

 

「何で泣いているか俺には分からねぇが、今は生きて帰れる事を喜んでおけ。もしあのメガネッ娘みたいに怪物どもを倒したいって言うなら、まずは“生き残った”ことを考えろ。生きてさえいれば怪物どもを倒すチャンスなんていくらでもくるさ」

 

「ううっ、うわぁぁぁぁぁっ!わぁぁぁぁぁっ!!」

 

 上総の頭を撫でながらラナロウは彼女に励ましの言葉を送りながら気遣う。その言葉を聞いた上総は、自分のプライドを捨てて我慢していた声を上げて大泣きしながら叫んだ。

 

 彼女は訓練生だった頃、譜代武家である唯依に対して対抗心を燃やしていた。例え譜代武家出身者が相手だろうと、何人もの衛士を排出している名門である山城家の誇りを胸に……

 

 だが、そんな彼女でも訓練を重ねる内に、お互いに実力を認め合い、心を通わせた事で唯依とも絆を深め、彼女の友達である志摩子、安芸、和泉の三人とも仲良くなり、いつの間にかただの対抗心から信頼し合える戦友となっていた。

 

 そして初の実戦で憎むべきBETAを相手に奮闘するも、負傷しBETAに喰い殺されそうになったことで、せめて喰われるくらいなら戦友である唯依に介錯を悲願して死をも覚悟した。

 

 しかしそんな彼女も心の何処かで“生き延びたい”という想いもあったのか、ラナロウや彼の仲間のおかげで生き延びる事が出来た。

 

 今の彼女は山城家の誇りを護る少女でもなく、一人の衛士でもなく、ただの14歳の少女として泣いていた。

 

「ぐすっ…本当はっ…怖かった……ひっく、死にたくなかった………うわぁぁぁぁっ!!」

 

「今は泣いとけ…我慢していた分を全部吐き出す気でな…」

 

 自分の正直な気持ちを言葉として吐き出しながら大声で泣いた。その幼い少女の頭をラナロウは落ち着くまで撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本帝国軍臨時集積場。そこではBETA戦での多くの負傷者や補給を行なっている戦術機がおり、怪我人の集まるテントには大勢の衛士や兵士が担ぎこまれ、痛みを訴える人達の声の中を医療班が大忙しで走り回っていた。

 

 そんな中、集積場の一角に【石見 安芸】と【甲斐 志摩子】が殿を務めた唯依と和泉と上総の安否を心配していた。

 

「唯依達…大丈夫かな?」

 

「大丈夫だよ。あの人が…ラナロウさんが付いてくれているんだから、大丈夫だよ」

 

 不安な表情の安芸に志摩子は安芸の肩に手を置いて心配ないと励ますが、彼女自身も心配の色を隠せない。そんな時、何処からか聞き慣れた女性と男性の声が耳に入り、顔を上げて声の主を探した。

 

「お待ち下さいっ!!まだ怪我の治療が完全じゃないんですよっ!!」

 

「止めるなっ!!あいつらがまだ戦場にいるかもしれないんだっ!!こんな所で待っていられるかっ!!」

 

「あっ、あれって……」

 

「中隊長と……教官ッ!?」

 

 安芸と志摩子の視界に入ったのは、共に集積場に戻ってきていた嵐山中隊長の如月 佳織が彼女らの訓練生の頃に教官を務めていた真田 晃蔵を必死に止めようとしている姿だった。

 

『教官!!』

 

「お前達、ここでは大尉と呼べと言いたいが、無事でよかった……だが、他の連中はどうした?」

 

「それが……唯依達はまだここに来ていません……」

 

「途中で見つけた孤立してしまった人や錯乱した人を拾いながら来ていた私たちを先行させる為に殿を……」

 

安芸と志摩子は意外な人物との再会に駆け出していき、安芸と志摩子の姿を見た真田は教え子が生きていた事に安堵しつつも包帯の巻かれた腹部を押さえながらこの場にいない唯依達はどうしたのだと尋ねる。

 

 真田はマークとレイチェルが時間を稼いでくれている間に後方に退避していたが、その途中で残存BETAの攻撃を受けて機体はさらにダメージを負い、腹部に怪我を負ってしまった。なんとか僚機の手を借りて集積場に辿り着き治療を受けていたが、嵐山中隊の一部がまだここに来ていない事を聞くや否や、傷を押して再出撃しようとしていたのだ。

 

 唯依と上総と和泉の三人が戻ってきていない事を志摩子と安芸の話を聞いた真田は再び自分の機体である不知火・壱型丙の所へ行こうとするが、如月は必死に止めようとし、安芸と志摩子にも止めるように叫び、真田に飛び掛かる。

 

「離せっ!!お前達はあいつらが心配じゃないのかっ!!?」

 

「心配に決まってますよっ!!でもあの人が付いてますからっ!!」

 

「教官こそっ!あの不知火で再出撃なんて無理ですよっ!!」

 

 如月と志摩子と安芸を引きずりながら真田は自分の不知火に向かおうとするが、彼の向かっている不知火・壱型丙の機体状況は残存BETAの攻撃によりとてもじゃないが戦闘が出来る状態ではなく、もし捜索中に再びBETAに襲われれば確実にやられる。そんな状態で再出撃などさせるわけもなく、三人で真田を押さえ込む。

 

『こちら武御雷、救難信号を発していた衛士とその仲間と協力者達と共に集積場に向けて飛行中、アプローチを頼む。それと負傷者が一名いる為、医療班を回してもらいたい』

 

 そんな時、彼女達のヘッドセットに通信が入り、徐々に聞こえてくる複数の戦術機の跳躍ユニットのジェット音に動きを止め、同じ通信を聞いた真田も動きを止めて安芸達の見上げる空を見つめる。

 

 すると崇宰 恭子の駆る青い武御雷を先頭に周りに数機の黒い瑞鶴に囲まれたユニコーンガンダム、バンシィ、デルタプラス、リゼル、そしてガーベラ・テトラ改の姿が確認できた。

 

「あっ、あれはっ!!」

 

「ラナロウさんっ!!」

 

 安芸と志摩子の声と共に真田も「あの時の…」と口にし、臨時司令部からのアプローチを受けた武御雷の先導に従い、戦術機とMSは着陸地点へと向かう姿を追いかけるように安芸と志摩子は駆け出し、真田も如月と共に後を追った。

 

 ユニコーンガンダム、バンシィ、デルタプラス、リゼル、ガーベラ・テトラ改が着地した戦術機着陸地点には何とか動ける衛士や兵士らが集まり、皆が武御雷と瑞鶴と共にいるMSの姿を眺めていた。

 

「何だよ、この戦術機……いや、戦術機なのか?」

 

「こんな機体…見たことがないぞ……」

 

 集まった衛士や歩兵らが口々にMSの姿に驚愕していた。その中でバンシィとガーベラ・テトラ改の二機は膝を付け、コクピットが開くとバンシィからは唯依に支えられながら生きて帰ってこられた事に涙を流している和泉が出てきて、エリスの操作で傍まで寄せられた右手の手の平に乗るとゆっくりと地上に降ろされた。

 

ガーベラ・テトラ改からは上総を抱きかかえたラナロウが現われ、アプロディアの操作でバンシィと同じように手の平に乗るとゆっくりと地上に降ろされた。

 

「唯依ッ!!和泉ッ!!山城さんッ!!」

 

「無事で……無事でよかったぁぁぁッ!!」

 

 唯依達の姿を見つけ、彼女らの名を叫びながら群がる衛士や兵士を掻き分けて安芸と志摩子が走ってきた。

 

「あっ、安芸っ!志摩子っ!!」

 

 安芸と志摩子の姿に唯依と和泉も駆け出し、お互いに抱きしめながら再会を喜んでいた。そこへ上総を抱きかかえたラナロウがゆっくりと歩いてきた。

 

「どうやらそっちも無事だったみたいだな」

 

「あっ、ラナロウ…さん?」

 

「やっ、山城さんっ、大丈夫なの!?」

 

「ええ、大丈夫ですわ……」

 

 通信越しでしか聞いていなかった安芸は上総を抱きかかえている男性がラナロウなのかと一瞬戸惑うが、志摩子は上総が怪我をしていることに気づくと大丈夫なのかと尋ねる。

 

しかし上総は目を充血させながらも無事だと答えた。だが、その様子に唯依は頭に?マークを浮かべた。

 

「あれ?山城さん、何で目が真っ赤なの?」

 

「なっ、何でもありませんわっ!!」

 

 唯依の質問に顔を真っ赤にさせて上総はそっぽを向いた。その姿に彼女を抱きかかえているラナロウは少し笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 こうして一度は離れ離れになった嵐山補給基地の唯依達五人と他の新人衛士らは、全員生還するという偉業の成し遂げ、涙の再会をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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