“大賢者”と“ガチャ”を得た転生者の冒険譚   作:白の牙

12 / 53
アンケートの結果、ユエは原作通りハジメのヒロインに決まりました。
ご協力、ありがとうございました。


第10話

 「またこの戦闘衣を着ることになるなんてな」

 

 檜山のお粗末な悪意によってハジメと恵理がオルクス大迷宮の奈落の底へと落ちていってから3日。ホルアドで1泊した後、飛羽真達は高速馬車でハイリヒ王国へと戻り、ハジメと恵理の檜山の犯したこととハジメと恵理が死んでしまったことを報告した。国王や国の重鎮、教皇などは勇者の同胞の者が死んでしまったことに驚ていたが、死んだのが勇者ではなく無能なハジメでよかったと語った。

 

 その言葉に飛羽真が切れ、国の重鎮を半殺し、さらにかすり傷とはいえ国王と教皇に手を挙げたことから処刑という声も上がったが、生きて戻ってこれたのは彼のお陰であること、不躾な発言をしたこちらが悪いこと等々から城から出ることと今後、国や教会は飛羽真に援助をしないということで話が纏まった。

 

 「半信半疑だったが、本当にピッタリなサイズになったな」

 

 2年前、特注で作って貰った戦闘衣。飛羽真は地球に戻る際、それは置いて行こうと思ったが、戦闘衣を作って貰った3人にこの服には着ると自動でその者に合った大きさに変化する鉱石から作った魔法の糸を使っているから記念に持って帰れと言われ。渋々持って帰ってきた。あれから2年。2年で当然、背は伸び、体も鍛えていたことから体格もよくなっており着れるかどうか不安だったが着たとたん、今の飛羽真に最適のサイズへと変わった。

 

 「改めて異世界の技術ってすごいな~。さて、追っ手がやってくる前に国から出ますか」

 

 準備が整い、出ようとした矢先、部屋のドアがノックされた。

 

 「誰だ?」

 

 「私よ飛羽真」

 

 「雫か。他に誰かいるのか?」

 

 「優花がいるわ」

 

 「・・・(大賢者)」

 

 『告。外には2人の気配しかありません』

 

 「入っていいぞ」

 

 大賢者に頼み、確認してもらった後、飛羽真は2人に声をかけた。

 

 「お邪魔するわね」

 

 「お邪魔します」

 

 飛羽真の許可を得て、部屋に雫と優花が入ってきた。

 

 「こっちから行こうと思ってたが、余計な手間が省けてよかったぜ。聞いてるんだろう、俺のこと?」

 

 「さっき、メルド団長から聞いたわ。どうしてあんなことをしたの?」

 

 「勝手に召喚しておいて、死んだのが勇者じゃなく、無能である南雲でよかった。そんな言葉を聞いて黙っていられるほど、俺は人間出来てないんだよ。まぁ、メルドさんのお陰で城からの即刻退去と援助無しで済んだのはラッキーだ」

 

 「八神はこれからどうするつもりなの?」

 

 「オルクス大迷宮に行って、南雲と中村を探す」

 

 「でも、2人は」

 

 「・・・2人にお守りだって言って渡したペンダントは覚えてるか?」

 

 「えぇ」

 

 「う、うん」

 

 飛羽真に尋ねられ、2人は貰った首にかけているペンダントを見せる。

 

 「それと同じペンダントは南雲に。そして南雲経由で中村にも渡している。落下によるダメージでどれだけ壊れるかは解らないが生きてはいるだろう」

 

 「そう」

 

 「だが、階層の魔物の強さが分からないのに加え、2人には食料もない。落ちてから3日・・・危険な状態なのは確かだろうな」

 

 2人にはそう言ったが、飛羽真はハジメに渡した収納バッグにねんのために携帯食料をいれておいた。量は大体10日分。2人でそれらを普通に食べて5日、食べる量を調整しても10日が限度だろう。

 

 「だから城からの即刻退去は俺にとってありがたいことなんだ。それに、南雲と中村を探すのとは別にやることがあるからな」

 

 「やること?」

 

 「元の世界に帰るための方法探しだ。教皇は戦争が終えればエヒトとやらが帰してくれるだろうと言ってたが、俺はそうは思えないんでな独自で帰る方法を探す。勿論、南雲と中村の捜索が最優先だけどな」

 

 「飛羽真、私も・・・」

 

 「悪いが連れて行くことはできない」

 

 飛羽真は雫が言いたいことが分かったのかそれを断った。

 

 「危険な旅になることはまず間違いないだろう。そんな旅に連れて行くことはできない。それに、雫がいなくなったら誰が白崎を支えるんだ?目を覚ましたっていう知らせは聞いてないが、目を覚まして話を聞いたら探しに行くって言いかねないぞ?」

 

 「そ、それは」

 

 飛羽真の言葉を聞き、雫は否定できなかった。ハジメを殺したのが檜山だと知れば“南雲君を殺しておいてのうのうと生きてるだなんて許せない”と言って檜山を殺しに行く可能性も捨てきれない。

 

 「国や教会の援助がなくても俺には召喚師としての能力があるからどうとでもなる。だけど、白崎を支えることが出来るのは雫、お前だけだ」

 

 「・・・・解ったわ。だけど約束して。絶対に死なないこと。そして南雲君と恵理を必ず見つけることを」

 

 「約束する。そうだ、2人にこれを渡しておく」

 

 雫の約束を交わすと、飛羽真は着ている戦闘衣の上着を量子ボックスから2着取り出し、2人に渡す。

 

 「その服は俺が着ている物と同じで特殊な製法で作られた物だ。作るときに鉱物のかけらをふんだんに使って織ったもので動きやすく、そして防御能力も高い、俊敏さを生かして戦う雫にはぴったりのはずだ。中~遠距離で戦う園部にはあまり必要ないかもしれないが着ておいて損はないはずだ。後、雫にはこれを、園部にはこいつを渡す」

 

 飛羽真は量子ボックスから指南書と2枚1対の投刃を2つ取り出し、指南書を雫に投刃を優花に渡した。

 

 「その指南書には武技、“戦士の魔法”と呼ばれた技能が書かれている。八重樫流を主に使う雫には必要ないかもしれないが覚えておいて損はないと思う。こっちの投刃は鋭い切れ味を誇る。ブーメランのように戻ってくる上、園部の意思である程度、操作可能だ」

 

 「時間があるときにでも読んでみるわ」

 

 「ありがとう」

 

 「んじゃあ、そろそろ俺は行く」

 

 「城の前まで送るわ」

 

 「私も。何もできないけどせめて見送りだけはする」

 

 使っていた私物をいれた袋を背負い、部屋を出る飛羽真。雫と優花は飛羽真を見送るため一緒に城門前へと一緒に歩いて行った。

 

 

 

 

 

 「来たか」

 

 「メルドさんに、団員の皆さん」

 

 城門前までやってくると、メルド他、王国騎士団員がそろって飛羽真を待っていた。

 

 「もしかして見送りですか?それとも教会に俺を始末しろとでも言われたんですか?」

 

 「「っ!?」」

 

 飛羽真の発言に見送りに来た雫と優花は飛羽真の発言に眼を見開く。

 

 「・・・例え、上からそんな命令をされたとしても俺達はその命令を聞くつもりはない。お前とハジメがいなければ俺達はあの日、死んでいただろうからな」

 

 メルドの言葉に遠征に行った面々は頷く

 

 「ここでお前を待っていたのは見送りと、餞別を渡すためだ」

 

 「餞別?」

 

 メルドは飛羽真に近づくと布袋を手渡した。

 

 「これは」

 

 「俺達からの餞別だ。南雲達を探すにしろ、宿を止まるにしろ金銭は必要だ。少ないが持って行ってくれ。」

 

 「・・・・ありがとうございます」

 

 「達者でな。それと坊主と嬢ちゃんのことを頼む」

 

 「はい」

 

 国には死亡と報告したがメルドも2人が生きていることを願っており、動けない自分のかわりに思いを飛羽真に託す。それを理解した飛羽真は力強く返事を返した。

 

 「・・開門」

 

 メルドの言葉に城の門が開く。

 

 「・・お世話になりました」

 

 飛羽真はメルド達に一礼すると、城門を潜り城を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 「さて、そろそろいいかな?出て来いよ、いるのは解ってるんだ」

 

 夜も遅いことから宿でも取って朝一でホルアドに行こうと思っていた飛羽真だったが城を出たあたりから視線を感じ、宿ではなく外へと出て、門番が見えなくなる所まで歩くと足を止め、闇夜に向け話しかける。すると、

 

 「我らの存在に気づいていたとは」

 

 闇夜からローブを羽織った仮面の集団が現れる。

 

 「我らは聖教教会に従わぬもの、崇拝する神を愚弄するものを断罪する教会の影。教皇の命に従い、貴様の命を貰いに来た」

 

 「暗部組織か。いいのか、俺に話して?俺が誰かに言うかもしれないぞ?」

 

 「問題ない。貴様は今ここで死ぬのだからな!」

 

 リーダーと思われし男が手を掲げると、後ろに控えていた6人が飛羽真へと襲い掛かる。

 

 「飛撃、『六光連斬』」

 

 飛羽真は太刀を鞘から抜刀し、飛ぶ斬撃を同時に6つ放ち襲い掛かってきた暗部を斬り捨てた。

 

 「っな!?」

 

 リーダーは部下が殺されたこと、そして飛羽真が何のためらいもなく部下を斬ったことに驚く。

 

 「生憎とお前らのような奴らを斬るのは慣れてるんだ。それと、お前らは俺を弱いと思ってるんだろうが俺は・・・勇者より何倍も強いぞ」

 

 「っく!一斉に掛かれ!」

 

 部下を失ったことによって冷静さを失ったのかリーダーが部下に指示を出す。

 

 「おいおい、一番冷静さを失っちゃいけない奴が取り乱してどうするんだ?」

 

 飛羽真は手を暗部達に向けると、

 

 「ドライファ・ヘルファイア」

 

 巨大な業火の玉を放ち、骨すら残らず燃やし尽くした。

 

 「お前達!?」

 

 「殺す覚悟があるんだ、殺される覚悟も出来てるんだよな?」

 

 「っ!?おぉおおおおお!」

 

 飛羽真の気迫に一瞬、たじろいたリーダーだったが、声をあげながら飛羽真へと駆ける。それを見た飛羽真は太刀に手をかざすと、炎が太刀を覆う。

 

 「緋焱刃、武技『神閃』」

 

 魔法剣となった太刀を高速を超えた神速の速さで振るい、リーダーを斬った。斬られた個所から太刀に纏われていた炎が移り、それがだんだんと体全体に広がっていき、リーダーを燃やし尽くした。

 

 「・・・とりあえずあの6人は火葬しておくか」

 

 最初に斬った6人をそのままにしておくのはまずいと思い、炎を飛ばして火葬した。

 

 「予想通り過ぎる行動に笑えてくるわ。証拠も取ったし、教会が何か言ってきてもこれを流すと言えば大人しくなるだろう」

 

 飛羽真はスマホをいじり、会話がちゃんと録音されているかの確認をした後、スマホをしまい、鞘に収まった剣の形をした物を取り出し、腰に当てると、ベルトが現れ自動で巻かれる。そして、飛羽真は1冊の本を取り出し、鞘の左のくぼみにその本を納めると

 

 『増刊!ディアゴスピーディー!』

 

 本から音声が鳴り響く。飛羽真はそれを無視して剣を引き抜くと、

 

 『発車爆走!ディアゴスピーディー!タイヤを開け、真紅がボディが目を覚ます!剣がシンボル!走る文字!毎号特別加速!ディアゴスピーディー!』

 

 音声が鳴り響き、本がバイクへと変形した。

 

 「・・いつも思うんだが、このメロディどうにかならないのか?」

 

 ため息をつきながら、飛羽真はバイクへの変形と共に現れたヘルメットを被り、エンジンをかけるとアクセル全開でオルクス大迷宮があるホルアドへとバイクを走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 バイクを走らせ大体2時間でホルアドへとたどり着いた飛羽真は遠征の時に泊まったのとは別の宿舎を選んで入り、3人部屋を取って、部屋に入り、ガチャを起動する。

 

 「計35か。10連を2回やって。あとは前に引いてた人物召喚を使うか。出来れば捜索系のスキルか道具が当たってくれると嬉しいんだが」

 

 飛羽真は自分の運を信じてガチャを回す。引いたガチャの大半は食料等の必需品であったが、使えそうなスキルやアイテム、武器も何個か手に入れることが出来た。

 

 -調合

 -超命の木の実

 -超力の種

 -素早さの種

 -ブラックロッド

 -パンチングコングプログライズキー

 -スキル 変換効率操作 

 

 この中で飛羽真が興味を引いたのは“変換効率操作”である。

 

 「大賢者、この変換効率操作について教えてくれ」

 

 『解。このスキルは強化率などを変化させる能力があります。例えば、武技『能力向上』の強化率を25~50、75、100%などに操作することが出来ます。これは能力だけではなく、レベル、ステータスの上限、アイテムなどにも有効です』

 

 「技能を倍にすることも可能なのか?」

 

 『解。可能です。ですが現状の倍率の最大値は5倍までです』

 

 「5倍もあげれれば十分だろう。捜索系の物は当たらなかったが、いいスキルが手に入った」

 

 飛羽真はスマホを操作し、スキルの項目をタップして手に入れた“変換効率操作”を押して、“使用しますか?”と表示されたので迷わず“はい”を押して、スキルを習得した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「へぇ~~なかなかいいわねこの杖。伸縮自在な上に魔力を吸収して打撃力に変える。さらに魔力を先端に集中すれば魔力の刃を作ることが出来る。気に入ったわ」

 

 「そいつは何よりだ」

 

 翌日の朝、大迷宮の入り口で昨夜、召喚した人物の1人である“ゼシカ・アルバート”は飛羽真から渡された杖“ブラックロッド”を振り回しながら満足していた。

 

 「このマントもいいわね。着ているだけで力が湧いてくるわ」

 

 「そいつは重畳。シュテル、そっちはどうだ?」

 

 「問題ありません」

 

 飛羽真は召喚したもう1人の人物“シュテル・スタークス”に尋ねると、彼女は手にした杖“ゼイネシスクラッチ”を片手に持って答える。

 

 「幸いにも私が覚えている魔法はこの杖を使っても使用出来るようなので足手まといにはなりません」

 

 「そうか。それじゃあ行きますか」

 

 「えぇ」

 

 「はい」

 

 飛羽真はハジメと恵理の捜索を行うべき、召喚した新たな仲間2人と共にオルクス大迷宮内へと入っていった。




ゼシカの服装は旅の服装にマント
シュテルは映画Reflectionで着ていたバリア・ジャケットです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。