“大賢者”と“ガチャ”を得た転生者の冒険譚   作:白の牙

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第11話

 

 

 

 「喰らいなさい『双竜打ち』」

 

 ゼシカが何処からともなく現われた2匹の竜の幻影と共に鞭を素早く2回振るい、魔物を倒す。

 

 「パイロシューター」

 

 シュテルは自分の周りに10個の朱色の球体が生成する。球体はシュテルが杖を振るうと魔物めがけて撃ち出され、魔物を撃ち抜いた。

 

 「いや~~~俺の出る幕ないな。まぁ、2人の実力を考えれば当然と言えば当然か」

 

 「当然よ」

 

 「ありがとうございます」

 

 飛羽真が2人の強さに感心すると、ゼシカは胸をはり、シュテルは貴族の令嬢のような仕草でお辞儀をする。

 

 「それにしてもシュテルの魔法は面白いわね。私が覚えている呪文とは違うんだもの」

 

 「私としては飛羽真やゼシカが覚えている魔法と呪文に興味があります。私達の世界で使える物の少ない系統魔法を2人は使えるのですから。適正次第ではほかの系統の魔法も覚えられる」

 

 「なら、後で調べてやろうか?」

 

 「調べられるのですか?」

 

 「俺の相棒が調べてくれる」

 

 「それが本当ならぜひお願いします」

 

 「了~解。だけど、それは後でな。早いところ20階層まで行きたいんだ」

 

 後でシュテルの魔法の適性を調べる約束を交わすと、飛羽真は足早に先へと進んでいく。

 

 「・・・焦ってるわね」

 

 「焦っていますね」

 

 昨夜、飛羽真に召喚されたときに最優先事項と旅の目的を教えられた。召喚したとはいえ、2人には意思があるので一緒に来るも、1人で旅をするも(その際には出来る限りの援助をすると約束した)好きにしていいと伝えた。2人とも少なからず飛羽真に興味を抱いていたので、行動を共にすると伝えた。

 

 その後、3人は何の苦もなく目的の20階層へと辿り着き、因縁の場所へと辿り着いた。

 

 「・・・・2人とも、あの壁に埋め込まれてる鉱石が見えるか?」

 

 「・・綺麗な石ね」

 

 「目を奪われる涼やかで煌びやかな輝きですね」

 

 クラスの女子同様、2人もグランツ鉱石に目を奪われていた。

 

 「あの鉱石に触ると、罠が発動して強制的に別の場所に飛ばされる。あそこの隠し扉を潜り、下へと続く階段を下りていけば同じ場所にたどり着ける。2人はそのルートで行ってくれ」

 

 「飛羽真はどうするのですか?」

 

 「俺は鉱石に触って、強制転移でその場へと行く。その場所でリベンジと言うか、なんと言うか・・まぁ、あれだ。俺の個人的な理由で2人を巻き込みたくないんだ」

 

 階段を下りていけば確実にあの場所に辿り着ける。だが辿り着いた先で、あれが出てくるとは限らない。飛羽真は自分の個人的な思いで2人を巻き込むのは悪いと思い、階段を使って降りてきてくれと言う。

 

 「はぁ~~~あなたって結構馬鹿よね?」

 

 「へ?」

 

 「私達は多少の無茶は経験済みなのよ?まぁ、実際に体験したわけじゃなく記憶でって話になるけど。でも、体験した私にできて、今ここにいる私にできないはずはないわ」

 

 「貴方と共に行動する以上、いつかはそのようなことに巻き込まれるのは必衰です。違うのは遅いか、早いかだけです」

 

 「・・・2人とも」

 

 「そ・の・か・わ・り、無茶に着き合わせた埋め合わせは、後でちゃ~んとしてもらうからね」

 

 「・・・あぁ」

 

 ゼシカの要求に唖然とするも、笑って了承した飛羽真は、武技で跳躍力を強化するとグランツ鉱石が埋まっている場所まで跳び上がり、タッチする。飛羽真がグランツ鉱石に触れると、罠が発動し、3人は強制的に転移させられた。

 

 

 

 

 

 

 「まだ4日しか経っていないって言うのに、懐かしく感じるな」

 

 4日前に訪れた場所にやってきた飛羽真は、懐かしく感じるとともに崩れていた石橋が治っている事に気づく。

 

 「どうなってるんだ?」

 

 飛羽真が混乱する中、階段側と奥に魔方陣が浮かび上がり、大量のトラウムソルジャーとベヒモスが召喚された。

 

 「調べたりするのは後にしなさい」

 

 「言われなくても。ゼシカ、シュテル。2人はあの骸骨騎士達の相手を頼む。俺は・・・あいつをやる」

 

 咆哮をあげるベヒモスを見ながら飛羽真が2人に言う。

 

 「しょうがないわね。まぁ、どっちにしろ今の私の能力じゃ、あのモンスターの相手をするのは厳しそうだから、貴方に任せるわ。そうだわ、シュテル。どっちがあのモンスターを多く倒せるか競争してみない?」

 

 「面白そうですね。では負けたほうは勝ったほうの言うことを一つ聞くというのはどうでしょう?」

 

 「乗ったわ」

 

 「では。レディ・・」

 

 「「ゴー!」」

 

 同時に声を出すと、2人はトラウムソルジャーの討伐を始めた。

 

 「それじゃあ、俺達も始めようか。ベヒモス」

 

 飛羽真は量子ボックスから以前手に入れた変身ベルト“聖剣ソードライバー”を取り出し、腰に当てるとベルトが自動で巻かれ、装着される。そして、1冊の本“ワンダーライドブック”と呼ばれる本を取り出す。

 

 『ブレイブドラゴン』

 

 『かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた』

 

 本を開き、閉じた後、ベルトの右のスロットにセットすると、納まった剣を握り鞘から引き抜いた。

 

 『烈火抜刀!』

 

 剣を引き抜くと、どこからともなく真紅の竜が現れる。

 

 「変身!」

 

 『ブレイブ・・・ドラゴン』

 

 掛け声と共に×を描くように剣を振るうと、炎の斬撃波が放たれる。真紅の竜が飛羽真の周りを渦巻くように飛び回り、炎が噴き出る。その炎の中で飛羽真はその身に甲冑ソードローブを纏い、現れた真紅の竜は甲冑の右側と一体となった。そして、先に放った炎の斬撃波が吸い込まれるように頭部と一体となり、目となった。

 

 『烈火一冊!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!』

 

 「さぁ、リベンジマッチと行こうか」

 

 満を持てトータスに仮面ライダーセイバーが参上する。

 

 『ガァアアアアア!!』

 

 「突進か、芸のない奴だな」

 

 咆哮をあげながら飛羽真めがけて突っ込んでいくベヒモス。ベヒモスの行動に飛羽真は何処か呆れつつ、その場から動こうとせず、左腕を突き出す。飛羽真の考えなど知った事かとばかりに、ベヒモスは飛羽真に衝突した。

 

 普通なら、6000以上の質量があり、速度が大体32km/hも出している物に衝突すれば、確実に死ぬだろう。だが、ライダーに変身した飛羽真は、ベヒモスの突進を前に突き出していた左腕だけで受け止めていた。

 

 「はぁ!」

 

 飛羽真は剣を持っている右手でベヒモスを殴り飛ばすと、刀身が赤い輝きを放つ剣でベヒモスへと斬りかかり、傷を負わせていく。自分に傷をつけた飛羽真に怒ったベヒモスは頭部の兜を赤熱化させる。

 

 「させねぇよ」

 

 飛羽真は剣をベルトの鞘に納刀し、トリガーを引くと剣を引き抜く

 

 『必殺読破!烈火抜刀!ドラゴン一冊斬り!ファイヤー!』

 

 「はぁ!」

 

 飛羽真はベヒモスに駆け寄って跳躍すると、灼熱の炎の灯した剣で頭部の兜を斬り裂いた。

 

 『グァアアアア!?』

 

 頭部を斬られ、苦痛の声をあげるベヒモス。

 

 「これで終わりだ」

 

 飛羽真は剣を再び鞘に納刀し、トリガーを2回引く。

 

 『必殺読破!ドラゴン!一冊撃!ファイヤー!』

 

 「はぁあああ!」

 

 飛羽真はその場で高く跳躍するとベヒモスに向け、灼熱の炎を纏わせた飛び蹴りでベヒモスに叩き込んだ。飛羽真の飛び蹴りを喰らったベヒモスは大きく吹き飛び、爆発、跡形もなく消滅した。

 

 「2人の援護・・・に行く必要はないな」

 

 ベヒモスを倒した飛羽真はゼシカとシュテルの援護に行こうと振り返ると、トラウムソルジャーの姿は何処にもなく、シュテルが召喚用の魔方陣を破壊していた。

 

 「片付いたようだな」

 

 「そっちも終わったみたい・・・って、何その格好!?」

 

 ゼシカは振り返り、話しかけてきた飛羽真の姿を見て驚く。

 

 「これか?変身して戦うヒーローの鎧だな」

 

 「変身ヒーロー?」

 

 「そうか、ゼシカのいた世界にはそういうのはなかったな。てっとり早く言えば、おとぎ話や英雄譚に出てくる勇者だと思ってくれればいい」

 

 「う~~ん」

 

 飛羽真の説明にいまいちピンと来ないのか、ゼシカは首を傾げる。

 

 「これは・・・・レヴィが喜びそうな格好をしていますね

 

 「シュテルは解るのか」

 

 「えぇ。私には様々な私の記憶がありますので」

 

 シュテルは飛羽真の姿を見て、どういうものなのかをすぐに理解した。

 

 「そういえば勝負はどっちが勝ったんだ?」

 

 「・・・引き分けよ」

 

 「引き分けです」

 

 「それでこれからどうするの?」

 

 「・・・南雲と中村は奈落の底に落ちていった。手早く探すのなら、俺達もここを降りていくしかないな」

 

 「降りるって、底が全く見えないここを!?」

 

 「私は飛行魔法があるので大丈夫ですが、2人は・・・」

 

 「そんな呪文覚えてないわよ」

 

 「ゼシカは俺が連れて行くから問題ない」

 

 飛羽真は赤いライドブックを取り出し、開く。

 

 『ストームイーグル!』

 

 『この大鷲が現れし時、猛烈な竜巻が起こると言い伝えられている』

 

 飛羽真はライドブックを閉じてベルトの中央にはめ込むと、剣を抜刀した。

 

 『烈火抜刀!竜巻、ドラゴ~ン、イーグル!』

 

 何処からともなく真紅の龍と炎の大鷲が現れて飛羽真の周りを飛ぶと、大鷲は甲冑の胴体と一体化する。

 

 『烈火二冊!荒ぶる空の翼竜が獄炎を纏い、あらゆるものを焼き尽くす!』

 

 「鎧が変わった?」

 

 「大鷲の頭部を模していますね」

 

 「今の俺は一体化した大鷲の力を使い、空を飛ぶことが出来る」

 

 2人に新たに取り込んだ力についての説明をすると、飛羽真はゼシカをお姫様抱っこする。

 

 「ちょ!?」

 

 「行くぞ!」

 

 「きゃあああ!?」

 

 慌てるゼシカを無視して飛羽真は飛び上がり、奈落の底へと降りていく。

 

 「少しゼシカが羨ましいと思ってしまうのは何故でしょう?」

 

 飛羽真に抱えられたゼシカを見て、シュテルは全ての記憶を含め、感じたことのない気持ちになったが、それを心の内にしまい込み、飛行魔法を発動させると、2人を追うために奈落へと降下していった。




 仮面ライダーになって戦う小説は初めてなのでこうしたほうがいいんじゃないかなどのアドバイスをお願いします

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