“大賢者”と“ガチャ”を得た転生者の冒険譚   作:白の牙

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新キャラを登場させます


第14話

 

 

 

 「何で迷宮に密林があるんだ?」

 

 ハジメと恵理の捜索を行いつつ、迷宮の探索を続ける飛羽真一行。何層進んだかは定かではないが降りるにつれ魔物も強くなっていくが、何よりも厄介なのが、その階層の環境だった。

 

 とある階層ではタールのような粘着性のある泥沼がそこからかしこにばらまかれており、足が取られ動きにくかった。動きにくいだけならよかったが、そのタールはとある鉱石が融解したもので、100度以上の熱が加わると発火し、その熱は摂氏3000度になるという非常に厄介なものであった。さらに飛羽真の気配感知に引っかからない魔物がいたりと中々に厄介な階層であった。

 

 またある階層では、階層全体が毒霧で覆われた階層で、呼吸もままならないうえ、飛羽真の“全集中の呼吸”も封じられる階層だったが、幸いにもガチャで手に入れた状態異常無効のアクセサリーのおかげで何とかなったが、毒のほかにも麻痺を与える鱗粉をばらまく蛾や毒を吐き出すカエルがいたりとこちらも厄介だった。

 

 「うわぁ」

 

 「気持ち悪いです」

 

 現在、飛羽真達がいる階層はジャングルのように蒸し暑く、鬱蒼とした階層で出てくる魔物は巨大なムカデと樹の魔物。

 

 「もぉー、何なのよこのムカデは!?気色悪すぎよ!!」

 

 「まるで台所にいると言われるあの・・・」

 

 「それは言わないで!」

 

 「(ドラクエの世界にもアレはいたんだな)」

 

 巨大なムカデだけでも気持ち悪いというのに、体の節ごとに分離して襲ってくるものだから更に気持ち悪くなる。

 

 「・・・飛羽真、お願いします」

 

 ゼシカ同様、シュテルも生理的に無理なのかムカデの対処を飛羽真に任せ、後ろに下がった。

 

 「へぇへぇ。ふぅ~~~・・・無の呼吸 水ノ型 凪」

 

 一歩前に出た飛羽真は襲い掛かるムカデを前にその場から1歩も動かずに大量のムカデが自身の間合いに入ると、目にも止まらない速さで太刀を縦横無尽に振るい、ムカデを斬り刻んだ。

 

 「変身してないのにあの強さ。人間かどうか疑うわね」

 

 「同感です。目にも止まらない程の速さで繰り出される斬撃。変身してどうにか目で追える。もはや人外ですね」

 

 「聞こえてるぞ2人とも」

 

 勝手に人外扱いされ、飛羽真は拳を強く握って怒りをあらわにする。

 

 「飛羽真だけに戦わせるのは酷ね。シュテル、私達はあの樹の魔物の相手をしましょう」

 

 「了解です」

 

 飛羽真が強く拳を握っているのを見た2人は樹の魔物の殲滅の為にそそくさとその場から離れていった。

 

 「ったく」

 

 『ギギ』

 

 「鬱陶しい!」

 

 再び、襲ってきた巨大ムカデを斬り刻み。飛羽真は下へ降りるための階段探しと、ハジメと恵理の捜索を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「んで?これは何だ?」

 

 その日の晩?時計も何もないので分からないが。飛羽真が作った仮の拠点内でゼシカとシュテルが持ってきた果実を見て飛羽真が尋ねる。

 

 「あの樹の魔物に実っていた果実です」

 

 「美味しそうだったから、一杯取って持ってきたの」

 

 「魔物に実っていた果実だろう?これ、俺達が喰っても大丈夫なのか?」

 

 城の図書室で魔物の肉は人にとって毒。そう本に書かれていた事を思い出し、飛羽真は口にするのを躊躇する。

 

 「(大賢者、これ、食っても大丈夫なのか?)」

 

 飛羽真は果実を手にして大賢者に尋ねる。

 

 『解。これは食べても大丈夫です』

 

 「・・・んじゃ、いただきます」

 

 大賢者のお墨付きをもらった飛羽真は少し戸惑うも、意を決して果実を口にする。

 

 「・・・・・・うまい。甘くて、瑞々しい。これはリンゴ・・・いやスイカみたいだな」

 

 「・・・・本当、おいしいわ」

 

 「フルーティーでおいしいです」

 

 「シュテル、この収納バッグを渡しておく。見つけたら、果実をその中に入れてくれ。ほぼ無尽蔵に物を収納できる」

 

 「分かりました。見かけたら倒し、果実を入れておきます」

 

 シュテルは飛羽真からバッグを受け取り、肩にかける。

 

 「所で飛羽真。ガチャは行わないのですか?」

 

 「道中、結構な数の魔物を倒してきたから結構たまってるんじゃない?」

 

 「・・・言われてみればそうだな。ここ数日、スキルがどう成長しているかのチェックで見てなかった」

 

 シュテルとゼシカに言われ、飛羽真は思い出したように量子ボックスからスマホを取り出し、アプリを起動させると2人の言った通り、結構な数の券が集まっていた。

 

 「んじゃあ、引いてみるか」

 

 飛羽真は貯まった券を使用してガチャを引く。ガチャが回され、手に入れたアイテムが表示される。飛羽真は手に入れたアイテム等を軽く見た後、特にレアなものが表示させる。

 

 -成長スキル『鋭利』×3

 -成長スキル『魔導具作成』

 -成長スキル『指揮』

 -人物召喚『ゼスト(新妹魔王の契約者)』

 -成長スキル『直感』

 -エイムズショットライザー+ラッシングチータープログライズキー

 -成長スキル『瞬発力』

 -ホイポイカプセル (カプセルハウス×2、トレーニングハウス、空のカプセル×2)

 

 「成長スキルをかなり引けたな。そして、変身アイテムか・・・中村を見つけることが出来たらこいつを渡そう。このほかにめぼしい物は“鑑定”、“現代、アニメなどを含めた薬草と薬の調合が記された本”、“ゴージャスボール(空)”等々。いいものが当たったが、生身で使えない物もあったな、反動が20~25Gって1発撃っただけで死ぬわ」

 

 飛羽真は手に入れたとある武器を見て声を荒げた。

 

 「引いた中でゼシカとシュテルに渡せそうなのはあまりないな」

 

 「・・・飛羽真。手に入れた、『指揮』、『鑑定』、そして前に手に入れた『調合』を私にいただけないでしょうか?」

 

 「別にいいが・・一応理由を聞かせてくれるか?」

 

 「ストックはまだありますが、魔力回復薬などは限りがあります。『調合』を覚えておけば自前で作っておけますし、お金の節約にもなります」

 

 「成る程、『調合』が欲しい理由は分かった。『鑑定』は薬草や作った薬の効果を確かめるためだな?」

 

 「はい」

 

 「じゃあ『指揮』は?」

 

 「それは私がこのパーティーの司令塔だと思っているからです。『指揮』を覚え、レベルを上げていけばより効率的な作戦、指令を出せると思っています」

 

 シュテルの言葉に絶対の自信があることを飛羽真は話し方で悟った。

 

 「分かった」

 

 飛羽真は量子ボックスから『調合』、『指揮』、『鑑定』のスキルを覚えることのできるポーション瓶を取り出しシュテルに手渡し、さらに調合の仕方が記された本も一緒に渡した。

 

 「調合を覚えるならこれもあったほうがいいよな」

 

 「ありがとうございます」

 

 瓶の中身を飲み終えるとシュテルはさっそく本を開き、読み始めた。

 

 「飛羽真、手に入れた人物召喚はどうするの?」

 

 「そうだな・・・・戦力は多いにこしたことはないし使っておくか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ~~~今大体、何層だ?」

 

 「50階層かと思われます」

 

 今だ終わりの見えない迷宮探索と捜索活動。これまで到達したすべての階層をくまなく探しているがいまだ、ハジメと恵理を見つけることが出来ず。もうなくなっており、魔物に食われているのかもしれないという考えが飛羽真の脳裏に浮かぶ。

 

 「えぇ~~い」

 

 脳裏に浮かんだ光景を忘れるように頭を振るっていると、

 

 「飛羽真様、これを飲んで心を落ち着かせてください」

 

 数日前に召喚した女性 ゼストが紅茶をいれたマグカップを飛羽真に手渡す。

 

 「すまない。・・・・うまい」

 

 「ありがとうございます」

 

 迷宮には似つかわしくないメイド服を着用しているゼスト。なぜ彼女がメイド服を着用しているのかと問われれば、召喚した時の服装にあった。ゼストが着ていたのは女性新体操選手が着るレオタードとスリングショットな水着を組み合わせたような服装で、思春期である飛羽真にとってひっじょ~~~に目のやり場に困る格好だったのだ。

 

 その為、前の異世界で偶々手に入れていたメイド服を着てもらい、さらに必要なさそうな(飛羽真にとって)成長スキル『奉仕』、『調理』を習得させた。そして、魔法使いにとって苦手な接近戦の対策の為に『格闘術』のスキルを覚えさせた。因みに飛羽真達はガチャで手に入れたホイポイカプセルに入っていたカプセルハウスの中で休んでいる。

 

 「飛羽真様。本日も指導をお願いして貰ってもよろしいでしょうか?」

 

 「あぁ。構わないぞ」

 

 ゼストに誘われ、飛羽真はカプセルハウスから外に出る。ゼストの協力のもと作った仮拠点はかなり広く作られている(大体サッカー場の半分)。これだけ広ければ、以下に迷宮とはいえ崩落、崩壊の危険性があるが、ゼストが得意としている土系統の魔法で壁や天井を補強して崩れないようにしている。

 

 「では、参ります」

 

 着ていたメイド服からゼストにとっての戦闘服に着替え、軽い柔軟を行った後、ゼストは飛羽真に近づき、拳を突き出す。

 

 2人が行っているのは組手。飛羽真から格闘技の手ほどきを受けることによってゼストの格闘術のスキルレベル上げと習得が行われる。飛羽真にとっても組手を行いながらスキルレベルを上げることが出来るので双方にとってメリットありの組手なのだ。この組手は毎日1時間ほど行われ、小休止を入れた30分2セットと1時間通しの組手を交互に行ている。

 

 

 

 

 「何?この階層にあった異様な雰囲気を発していた扉が開いてる?」

 

 「正確には開いたが正しいです」

 

 50階層の探索を始めて数日。探索中に見つけた異質な場所。そこが気になった飛羽真はシュテルに頼み、サーチャーと呼ばれる小さな魔力球を使ってその場所を監視してもらっていたのだが、その扉が開いたという知らせを探索から戻ってきた飛羽真はシュテルから聞かされた。

 

 「ほかに何か情報はないか?」

 

 「そうですね、壁に半分ほど埋め込まれるように鎮座していた彫刻が魔物で、その魔物が所持していた魔石が扉の鍵になっていたこと。そして、その魔物を倒したのが人型の何かだということしか」

 

 「・・・・その人型の数は?」

 

 「2人です」

 

 「・・・・・・・行ってみるか」

 

 たっぷりと時間をかけ考えた飛羽真はその場所に行くことを決めた。一種の望みを抱いて。

 

 「ゼシカとゼストはここで待機していてくれ。シュテルは俺と一緒に」

 

 「分かったわ」

 

 「飛羽真様、シュテル様、お気をつけて」

 

 2人に見送られ、飛羽真とシュテルは50階層の開かずの間(飛羽真命名)へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔物と遭遇することなく開かずの間だった場所に辿り着いた2人は出来る限り気配を消して近づき、開かれた扉から中の様子を探るが薄暗く見えなかった。

 

 「何も見えませんね。もういなくなったのでしょうか?」

 

 「・・・・・いや、かすかだが何かが戦っている音が聞こえる。これは・・・銃声?」

 

 飛羽真は耳を澄まして時折聞こえてくる聞き覚えのある炸裂音に鼓動が高まった。飛羽真は無言で量子ボックスからソードライバーを取り出して装着すると、ブレイブドラゴンを取り出し、挿入する。剣を抜く。

 

 『烈火抜刀!』

 

 「・・・変身」

 

 『ブレイブ・・・ドラゴン』

 

 『烈火一冊!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!』

 

 「・・・なぜ、変身を?」

 

 ベヒモスとの戦闘以来、変身してこなかった飛羽真が変身したのを見てシュテルが尋ねる。

 

 「聞こえてきた音が本当に銃声だったなら。生身のままだと危ないからな」

 

 「飛羽真は聴覚も人外の域に達しているのですね」

 

 「まだ、人間を止めたわけじゃないんだが!?」

 

 シュテルの辛辣な言葉に飛羽真は悲しくなった。

 

 「んん!そんじゃあ行くぞ」

 

 「はい」

 

 気を取り直すと、飛羽真とシュテルは部屋の中に入っていく。中に入ると、かすか二しか聞こえてこなかった銃声がはっきりと聞こえてくる。

 

 「シュテル、部屋を明るくしてくれ」

 

 「はい」

 

 『ライト ナウ』

 

 シュテルは指輪をはめた右手をバックルにかざした後、手を掲げると部屋全体が明るく照らし出された。

 

 「うぉ!?」

 

 「何!?」

 

 「・・まぶしい」

 

 部屋が突然明るくなったことに先に部屋に入っていた者達が驚く。その3人。1人は青と銀を主にした鎧を纏っており、1人は少し離れた場所で金髪の少女を守っていた。

 

 「・・・はは」

 

 それを見て飛羽真の口から笑い声が出る。だが、無粋にも部屋の中にいた巨大な蠍の姿をした魔物が鎧を纏った者に襲いかかる。

 

 「させるかよ」

 

 『西遊ジャーニー!ふむふむ・・・習得一閃』

 

 飛羽真は猿が描かれたライドブックを取り出して剣に先端に当て、本の力を剣に宿らせる。

 

 「はぁ!」

 

 飛羽真が剣を突き出すと剣が西遊記の孫悟空がもつ如意棒のような形となって伸び、蠍にヒットし体勢を崩すと、連続して剣を振るい、蠍を弾き飛ばす。

 

 「・・お前は」

 

 「話はあとだ。此奴を使え」

 

 蠍を弾き飛ばすと飛羽真は鎧を纏っている者に近づき、プログライズキーを渡す。

 

 「その形態じゃ、装甲の硬いあの蠍には大したダメージを与えられない。倒すにはあの装甲を上回るほどのパワーを叩き込むしかない」

 

 「・・・・確かに一理あるな」

 

 プログライズキーを受け取った人物(男)はキーの右上部のスイッチを押す。

 

 『パワー』

 

 「おぉおおお!」

 

 その男は開かない扉を無理矢理こじ開けるかのように強引に展開させると、腰に装着した銃にプログライズキーを挿入する。

 

 『オーソライズ』

 

 『Kamen Rider...Kamen Rider』

 

 バックルから銃を引き抜き、前へ向けトリガーを引くと、

 

 『ショットライズ』

 

 「ふん」

 

 1発の銃弾が撃ち出され、戻ってくる。男は裏拳の要領でその銃弾を砕くと、男が今装着している鎧の装甲が消え、代わりに弾丸に内包されていた装甲が装着される。

 

 『パンチングコング!Enough power to annihilate a mountain.』

出して欲しいヒロイン (期間は3/7 正午まで)

  • アイズ・ヴァレンシュタイン (ダンまち)
  • 篠ノ之束 (インフィニット・ストラトス)
  • 朝田詩乃 (SAO)

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