“大賢者”と“ガチャ”を得た転生者の冒険譚   作:白の牙

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第20話

 

 

 

 魔方陣の光に満たされた視界、何も見えなくとも空気が変わった事は実感した。奈落の底の澱んだ空気とは明らかに異なり、新鮮さを感じる空気に全員の頬が緩む。

 

 やがて光が収まり目を開けた8人?の視界に写ったものは・・・洞窟だった。

 

 「なんでやねん」

 

 魔方陣の向こう側は地上だと無条件に信じていたハジメは、代り映えしない光景に思わず半眼になってツッコミを入れた後、眼鏡をかけた男性を睨む。

 

 「秘密の通路とは隠すのが道理だろう?」

 

 「反逆者の住処への直通の道が分かる場所にあったら、話で聞いた神の使徒とやらが乗り込んでくる可能性もあるからな」

 

 「そうか。そうだよ・・な。悪い、久しぶりの地上だから浮かれてたみたいだ」

 

 「君の気持は分からないでもないよ。地上に出るのは僕も久しぶりだからね」

 

 眼鏡をかけた男性を眼鏡を軽く上げながら話すと、緑光石で作ったランタンを何処からともなく取り出し、先を歩く。道中、封印が施された扉やトラップ等があったが、持っていたオルクスの指輪が反応して尽く勝手に解除されていく。1人を除き警戒をしていた飛羽真達だったが拍子抜けするほど何事もなく洞窟内を進み、遂に光を見つけた。外の光だ。ハジメと恵理ととっては数ヶ月、ユエに至っては300年間求めてやまなかった光。

 

 3人はそれを見た瞬間、立ち止まり、互いの顔を見合わせ、笑みを浮かべると、求めていた光に向かって駆けだした。

 

 「よっしゃぁあああー!!戻ってきたぞ、この野郎ぉおー!!」

 

 「んっーー!!」

 

 飛羽真達が少しばかり遅れ、外に出ると抱きしめあった3人がくるくると廻っていた。

 

 「・・・・・・」

 

 「何年ぶりになるかは知りませんが、久々に地上に出て感想はどうですか・・オスカー・オルクス?」

 

 何も言わず、じっと空を見上げる青年 オスカー・オルクスの隣に立った飛羽真が彼に尋ねる。

 

 「そうだね。いろんな思いが混ざって何とも言えないが、これだけは言える。本物の空はやっぱりいいなって所かな」

 

 何故、亡くなったはずのオスカーが生き返っているのか?答えは簡単、飛羽真が10日前のガチャで手に入れた“死者蘇生のカード”。それを使って復活させたのだ。一見便利そうに見えたが調べたところ、ある2つの条件を満たさないと蘇生できないことが大賢者から教えられた。

 

 1つ、蘇生させる者の魂を呼ばなければいけないこと。

 2つ、蘇生させるものの遺骨がなければならないこと。

 

 この2つの内、1つは条件を満たしていたが、もう1つの条件はクリアされていなかった。なのでオスカーの蘇生は無理だと思われたが、その場には天職に【降霊術師】を持つ恵理がいたため、その条件もクリアできたのだ。もっとも、オスカーの霊魂を呼び出すのに何十回もかかったが。

 

 「それと、地上では僕のことをオルクと呼んでくれ。何処であの狂った神が見ているか分からないからね」

 

 「分かりました。それで、本当にこの【ライセン大渓谷】に大迷宮があるんですか?」

 

 「あぁ。僕たちはそれぞれゆかりの場所に大迷宮を作ったんだ。ここにあるのは間違いないだろうが、何処に大迷宮への入り口があるのかは分からない」

 

 「っとなると、当初の予定通り、樹海を目指したほうがいいかな。それにしても・・・」

 

 今後の予定を考えていた飛羽真は後ろから聞こえてくる銃声と魔物の鳴き声に苦笑いする。

 

 「ゲームで言う無双プレイだな」

 

 襲ってくる魔物を斬るため、刀に手を添えると、隣から銃声が鳴り響く。

 

 「オス・・いやオルクさん」

 

 「ここは僕に任せてくれないかな?少しでも戦いの勘を取り戻しておきたいし、君達の話を聞いて作り上げたこの新しい黒傘の性能を確かめておきたいんだ。君はその間、どういうルートで回るのかを決めておいてくれ」

 

 「・・・分かりました」

 

 オスカーの頼みを受けた飛羽真は後ろに下がり、超小型衛星を飛ばそうとしている束に近づいた。

 

 「・・・じゃあ、やろうか」

 

 オスカーは眼鏡を軽く上げると、武器である傘を魔物に向ける。傘の手元に作ったトリガーを引くと、傘の石突から銃弾が放たれ、魔物の頭を吹き飛ばした。傘から放たれる銃弾で次々と魔物を撃ち殺していくオスカーだったが、弾薬が尽きたのかトリガーを引けども弾が発射されない。弾が放たれないのを好機と感じたのか魔物が一斉にオスカーに襲い掛かる。

 

 「・・・・・」

 

 オスカーは慌てることなく、玉留め近くの手元に取り付けたマガジンを取り外し、新しいマガジンを取り付けると、トリガーを引き、魔物を撃ち抜いていく。

 

 オスカーが使っている黒傘は生前から使用している武器の一つで、アザンチウム鉱石を使って作られ、生成魔法で様々な能力、魔法を付与した自前のアーティファクト。そのアーティファクトに飛羽真やハジメ、束から得た知識を加えた改良品。西洋傘と和傘が合わさった傘で手元はマガジンをはめ込むため普通の物より長くなっており、中軸は和傘を参考に手元と同じぐらいの太さになっている。銃弾が通るため中軸の中は空洞になっている。接近戦には使えないとおもわれがちだが、圧縮したアザンチウム鉱石を使って作っているため、そう簡単に壊れはしない。

 

 「ふむ、上出来だ」

 

 新・黒傘の性能にオスカーは満足そうに頷く。

 

 「は~~~い、この世界の地図が出来たよ~~」

 

 束の声に全員が束に近寄り、画面に映し出された映像を見る。

 

 「この赤く点滅しているのが現在、私達がいる場所だよ。崖を登れば砂漠を横断してグリューエン大火山がある方面にいけるね。そして、このまま渓谷を道なりに進めばフェアベルゲンっていう樹海に行くことが出来るよ。樹海の近くには街もあるね」

 

 「・・・じゃあ、大迷宮の入り口を探しつつ樹海方面に進もう」

 

 「決まりだな」

 

 予定を決めるとハジメはオスカー作の【宝物庫】と名づけられた指輪から魔力で動かす魔導駆動二輪を取り出す。

 

 「じゃあ、私達も」

 

 ハジメがバイクを取り出したのを見ると束は量子空間から大型のキャンピングカーを取り出し、乗り込み。そして、ハジメを先頭にして、渓谷を進み始めた。

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