「“4つの証”と“再生の力”、“紡がれた絆の道標”か」
飛羽真は大樹で得た情報を思い出す。
「“4つの証”とは大迷宮攻略の証。“再生”とは神代魔法の1つ。“紡がれし絆”とは亜人族との関係であることは間違いないでしょう。石碑の裏に記されてした3つの条件の内、1つは達成されています」
「長い旅になりそうね」
「でも、束さんとしては嬉しいかな~。色んな所をまわれるもん」
「急がば回れ。まずはライセン大渓谷の何処かにある大迷宮の入口を探し出して攻略することだな」
当面の目的を決めた飛羽真達は金銭や食料といった必要なものを揃える為に大渓谷の近くにある町を目指して平原を疾走している。
「・・・・・」
「いつまでしょぼくれてるんだシア」
「だ、だって、一緒に行こうってフィリスちゃんと約束・・」
「そのフィリスが自分で“残る”って決めたんだ。他人がどうこう言ったってしょうがないだろう?」
一緒に飛羽真達の旅に行こうと約束していたフィリスが豹変してしまった皆を放っておくことが出来ないことと、再び暴走した時に1人だけでも止めることが出来る者がいたほうがいいと思い森に残ると言ったのだ。
「うぅぅ・・・恨みますよハジメさん」
「そんな調子では飛羽真の横に立つことなんて永遠に不可能ですよ。それどころかフィリスに先を越されるかもしれませんね」
「ど、どうしてですか?」
フィリスに越されると聞いてシアがシュテルに尋ねる。
「森を出る際、彼女にいない間の訓練メニューを考えてほしいと頼まれました。再会した時、飛羽真の横に立てるようにと
「フィリスちゃん。・・・・・・っ!」
シュテルからの話を聞いたシアは気合いを入れなおすために両ほほを強く叩いた。そんなシアを見て笑みを浮かべると飛羽真達は中断していた話を再開した。
そして、話を終えるのを見計らってシアがおずおずと飛羽真に尋ねる
「あ、あの飛羽真さん。な、何で首輪を嵌めないといけないんですか?これじゃあまるで・・・」
「奴隷みたいだってか?他の人間達にそう思わせるために着けるんだよ」
「奴隷でもない亜人族、それも愛玩用として人気の高い兎人族が町を普通に歩けば10分も経たずに目を付けられ、人攫いの嵐になります」
「そういった面倒ごとを避けるには俺の奴隷だってことを示して置いたほうがいいんだ。首輪って言っても拘束する力は備わっていない。あくまで俺の奴隷だって言う証明の為の首輪だから自由に取り外せる。少し窮屈かもしれないが町とか人目が多い場所では出来るだけ首輪を付けておいてくれ」
「・・・分かりました」
飛羽真とシュテルからの説明を受けたシアは渋々しながら頷いて答えた。すると、疾走していた大型車の動きが停止する。
「町のほうから視認できるギリギリの所まで来た。ここからは徒歩で町に向かおう。このまま行ってしまうと騒ぎになってしまうからね」
「確かに」
オスカーの言葉に頷いた飛羽真達は車から降りる。外に出るとハジメ達もバイクから降り、“宝物庫”にバイクをしまっていた。全員が車から降りたのを確認した飛羽真は車を量子ボックス内にしまい、徒歩で町へと向かう。町の入り口までやって来ると、
「止まってくれ。ステータスプレートを。後、町に来た目的を教えてくれ」
門の脇にあった小屋から武装した男が出てきて、ステータスプレートの提示と町に来た目的を聞いてきた。
「お仕事お疲れ様です。この町には食料の補給の目的で来ました」
飛羽真は門番の質問に答えながらステータスプレートを取り出して渡した。ハジメも飛羽真と同じようにステータスプレートを取り出し、門番に渡す。
「ありがとう。次の者、プレートの提出を・・・」
飛羽真とハジメのプレートを確認した終えた門番はプレートの提出を求めようとゼシカ達に視線を向け、硬直した。そして、みるみると顔を真っ赤に染め上げ、ゼシカ達を見る。
「(当然と言えば当然の反応だな)」
「おほん」
門番の反応に苦笑いする飛羽真をよそにハジメがわざとらしく咳払いをする。それにハッっとなって慌てて視線を飛羽真とハジメに戻す門番。
「実はここに来る道中、魔物に襲われてしまって俺とコイツ、あの子以外は失くしてしまったんですよ。んで、こっちの兎人族は・・・分かりますよね?」
飛羽真のその言葉に門番は納得したのか、恵理にプレートの提出を求める。恵理からプレートを受け取った門番は、
「それにしても随分な綺麗所を手に入れたな。白髪の兎人族なんて相当なレアなんじゃないか?あんたらって意外に金持ち?」
恵理にプレート返しながら女性陣をチラチラと見る門番。羨望と嫉妬が入り混じった表情で飛羽真とハジメ、オスカーに尋ねる門番。その問いに3人は肩を竦めただけだった。
「まぁいい。通っていいぞ」
「どうも。素材を換金したいんだが冒険者ギルドが何処にあるか教えて貰えませんか?」
「ギルドだったら、中央の道を真っ直ぐ行けばいい。店に直接持ち込むのならギルドで聞くと言い。簡単な町の地図をくれるはずだ」
「どうも」
門番に礼を言うと飛羽真達は門をくぐり町へと入っていく。
「へぇ~~~結構活気がある町だな」
「露店も結構出ているわね」
2ヶ月もの間、居住区があったとはいえ地下に籠っていた飛羽真にとって聞こえてくる喧騒は新鮮にさえ思わさ、」さらに気分を高揚させるものだった。
「とーくん、とーくん。あそこのお店で売ってる食べ物おいしそうだよ。買って食べよう」
「食べたいのは山々だけど、まずはギルドに行って、持っている素材を換金するのと泊まる宿を探すのが先ですよ」
「え~~~!束さんは今食べたいんだけど」
「我慢してください」
「ぶぅ~~~」
むくれる束をスルーして一行は門番から教わった通り、中央の道を進んでいくとこの世界で何度も見た看板を見つけると、迷わずに中に入っていった。
「イメージしてたのと全然違うな」
「どんなイメージをしてたんだよ?」
「薄汚れた場所で昼間っから酒を飲んで騒がしくして、喧嘩が絶えないでいるイメージだな」
「私もそんな風に思ってた」
初めて冒険者ギルドに足を踏み入れたハジメと恵理は自分達が思っていたイメージと違うことに驚き、飛羽真は苦笑いしながら周囲の様子を見ると、施設内にいるほとんどの者の視線が女性陣に向かっている事に気づいた。感心の声を上げる者もいれば門番のように見惚れている者、更には女冒険者に殴られている者もいた。
「ちょっかいをかけてくる奴がいると思ったんだが、意外と理性的なんだな」
「観察してるんだよ。まぁ、俺はちょっかいをかけられたけど」
飛羽真は王都のギルドに初めて行った時のことを思い出す。
「へぇ~~~っで?どうしたんだ?」
「ん?勿論ぶっ飛ばしたぜ」
ハジメの問いに答えると飛羽真はカウンターへと向かう。飛羽真に続くようにハジメもカウンターに向かう。カウンターには大変魅力的な・・・笑顔を浮かべたおばちゃんがいた。
「・・・・・・」
「両手に花を持っているのに、まだ足りないのかい?残念だったね、美人の受付じゃなくて」
受付が美人だという幻想を抱いていたハジメはその現実に落胆する。そして、読唇術でも持っているのかおばちゃんはニコニコと人好きのする笑みで飛羽真達を迎えた。
「いや、そんなこと考えてないから」
「あははは、女の勘を舐めちゃいけないよ?男の単純な中身何て簡単に分かっちまうんだからね。あんまり余所見ばっかして愛想付かされないようにね?」
「・・・・肝に免じておこう」
「(成程、ここにいる冒険者が大人しいのはこのおばちゃんが原因みたいだな)」
周りの冒険者の反応と表情を見て、この町のギルドが静かなのはカウンターにいるこのおばちゃんのおかげなのだと飛羽真は理解した。
「さて、じゃあ改めて・・・冒険者ギルド“ブルック支部”にようこそ。ご用件は何かしら?」
「素材の買取をお願いしたいんですが」
「素材の買取だね。じゃあ、ステータスプレートを出してくれるかい?」
「ん?買取にステータスプレートの提示が必要なのか?」
ハジメの問いにおばちゃんが目を丸くする。
「そういえばハジメは知らなかったな。買取にステータスプレートは不要なんだが、冒険者と確認できれば1割増で売れるんだよ」
「そうだったのか」
「初めて知った」
飛羽真の説明にハジメと恵理が感心する。
「他にもギルドと提携している宿や店は1~2割程度は割引してくれるし、移動馬車を利用するときも高ランクなら無料で使えたりするね。どうする?登録しておくかい?登録には千ルタが必要だよ」
「せっかくだから2人共登録しておけ」
飛羽真にそう言われ、ハジメと恵理は冒険者登録をすることを決めた。
「そっちの子もだけど男なら頑張って黒を目指しなよ?お嬢さん達にカッコ悪い所見せないようにね」
「飛羽真にカッコ悪いところはあまりありませんので問題ないです」
「そうね」
「飛羽真様ならすぐにでも黒になれます」
「そうそう。何たってとーくんは最強だからね」
「愛されてるね~」
「ははは。さっき言った通り買取をお願いしたいんですが」
「おっとそうだったね。それじゃあ素材を見せてくれるかい?」
「査定する人を呼ばなくていいんですか?」
「あたしは査定資格も持っているから問題ないよ」
「(優秀なおばちゃんだな)じゃあ、お願いします」
受付だけでなく買取品の査定までできるおばちゃんの優秀さに舌を巻きながら飛羽真は量子ボックスからバックに入れ替えていた素材を取り出す。
「こ、これは!?」
受け取り用の入れ物に次々と入れられていく素材を見ておばちゃんが驚愕の表情をする。
「とんでもない物を持ってきたねアンタ達。これは・・・・樹海の魔物だね?」
「ええ」
素材を恐る恐る手に取り丹念に確かめ終えた後、おばちゃんは溜息を吐きながら飛羽真達を買取に出した素材の場所を言い当て尋ねる。その問いに飛羽真は正直に頷いて答えた。
「・・・・ハジメ君、また変なこと考えていたでしょう?」
「・・・あんたも懲りないねぇ」
テンプレ的な事を考えていたハジメに恵理が冷ややかな視線で尋ねる。女の勘で考えていたことが分かったのかおばちゃんも呆れた視線をハジメに向ける。
「何のことか分からないな」
「樹海の素材は良質なものが多いからね、売って貰えるのは助かるよ」
何事もなかったかのように話を続けるおばちゃんにハジメは感謝した。
「やっぱり珍しいんですか?」
「そりゃあねぇ。樹海の中じゃ人間族は感覚を狂わさられるし、一度迷えば二度と出てこれないからハイリスク。好き好んで入る人はいないねぇ。亜人の奴隷持ちが金稼ぎに入るけど、売るならもっと中央で売るさ。幾分か高く売れるし、名も上がりやすいからね」
そう言いながらおばちゃんはチラリとシアを見る。何かを察したのかおばちゃんはその後何も言わず残りの素材の査定を続け、査定を終えると飛羽真達に金額を提示した。
「買取額、48万7千ルタか」
「結構な額だね」
「中央ならもう少し高くなるだろうけど」
「いや、この額で構いません」
提示された金額に満足した飛羽真はおばちゃんから51枚のルタ通貨を受け取ると、袋に入れ懐にしまった。
「所で門番の人にこの町の簡易な地図を貰えるって聞いたんですが」
「ああ、ちょっと待っといで・・・ほら、これだよ。おすすめの宿や店も書いてあるから参考にしなさいな」
「おいおい、いいのか?こんな立派な地図を無料で?十分金が取れるレベルだと思うんだが」
「構わないよ、あたしが趣味で書いているだけだからね。書士の天職を持ってるから、それくらい落書きみたいなもんよ」
「これは落書きっていうレベルじゃないだろう」
おばちゃんから手渡された地図は、精巧で有用な情報が簡潔に記載されていた。その地図を落書きだというおばちゃんに飛羽真達は唖然とし、おばちゃんが思っていた以上の人なのだと察した。
「そうか。まぁ、助かるよ」
「いいってことさ。それより、金はあるんだから少しはいいところに泊まりなよ?治安が悪いわけじゃないけど、その7人なら関係なく暴走する男連中が出そうだからね」
「(最後まで気配りの聞くいいおばちゃんだな)そうさせてもらいます」
おばちゃんにお礼を言うと飛羽真達はギルドから出ていった。
「最初の宿もよかったけど、この宿もいいっすね」
「そうだね」
あの後、地図というよりもガイドブックと称すべきものを見て決めた宿に泊まろうとしたのだが、開いている部屋が2人部屋と3人部屋しかなく話し合いの末、ハジメ、恵理、ユエの3人がその宿に泊まり、飛羽真達はその宿と同じように防犯がしっかりしており風呂に入れる宿へと向かい宿泊することが出来た。
「(そう言えば、忙しくてガチャを回してなかったな)」
ふとガチャの事を思い出した飛羽真は携帯を取り出してガチャのアプリを起動する。券は20枚程溜まっていたので飛羽真はボタンを押してガチャを回す。そして出てきたのは、
‐レジェンドライダーワンダーライドブックセット
‐ヒューマギアの設計図
‐仙豆(一壺)
‐国産黒毛和牛2キロ
‐スキル“自動回復”
‐カレイジャスⅡの設計図
‐魔石(拳大)
‐コットン生地
‐ステータスアップの果実セット
‐スキル“超回復”
「(中々いいのが引けたな)」
「今のが君が前に教えてくれたガチャというものかい?」
「ん?えぇ。武器、食料、スキル等といったものを引くことが出来る能力です。運が高い程、レアなものが当たります。今回は豊作ですね」
飛羽真は景品を見ながら笑みを浮かべる。それは、
「(これがあれば自由に世界を渡れるな。戦力の増強、武装の強化。色んなことが出来る)」
“ディケイド異世界旅行記”と“ディケイド異世界旅行記NEO”。
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