シルヴィアの初ライブが大成功した翌々日の月曜日。誰もが憂鬱になる曜日
「じゃあ、また後でな」
「うん」
「いってらっしゃ~~い」
「授業中寝たらあかんからな~~」
高校生である飛羽真達も例外ではなく玄関前で別れるとそれぞれの学校へと向かっていった。1人登校していると見知った少年、少女が並んで歩いているのを見かけた飛羽真は声をかける
「南雲、中村」
「あ、八神君。おはよう」
「おはよう」
「おう、おはよう」
少年“南雲ハジメ”と少女“中村恵理”は中学の時からの中で3年間同じクラスでさらに高校もクラスも同じという一種の腐れ縁になっている
「今日も仲良く登校か?お熱いことで」
「ちょ、からかわないでよ!?」
「す、住んでるところが同じなんだから一緒になるのはと、当然だもん」
飛羽真に言葉にハジメは慌て、恵理は顔を赤くしている
「中村、一緒の家に住んでいるからってあまり油断するなよ?もたもたしてるとあの天然女神様も狙ってるんだからよ。まぁ、それがいじめの原因でもあるんだが」
「・・・いい迷惑だよ」
ハジメに聞こえないよう小さな声で話す飛羽真の言葉を聞いた恵理は不機嫌な顔で文句を口にする
「・・南雲、八神、中村」
「おぉ、清水」
「おはよう清水君」
「おはよう」
すると、後ろから少年“清水幸利”が3人に声かけた。飛羽真を除くこの3人は小学生の時からの仲らしく、色々とあった2人をハジメが気にかけていたらしい
「それじゃあ、いつも通り、ここで別れよう」
学校に着く少し前のところでハジメが飛羽真、恵理、幸利に告げる
「ごめんな南雲。俺にもっと勇気があれば」
「はは、気にしなくていいよ清水君。こういうのには慣れてるから」
「慣れているってそういうのは慣れちゃいけないだろう」
ハジメの言葉に飛羽真は呆れ、ため息を吐く
「南雲君」
「大丈夫だよ恵理ちゃん」
自分を心配してくれる恵理に笑って答えるハジメ。そして、戸惑いながら行く恵理と申し訳なさそうな顔で歩いていく幸利を見送ると飛羽真に話しかける
「八神君は行かないの?」
「俺と一緒のほうが何かといいだろう?それに今日は秘密兵器もあるからな」
「秘密兵器?」
“クラスに行けば解る”という飛羽真の言葉に首を傾げるも気にするだけ無駄だと思ったハジメは深く考えないことにした
「じゃあ、そろそろ行くか」
「うん」
時計を見てころあいだと思った飛羽真に言葉に頷き2人は再び歩き始めた。数分と立たずに学校に到着し、クラスに入ると
「よぉ、キモオタ。また徹夜でゲームか?どうせエロゲーでもしてたんだろう?」
「うわっ、キモ。エロゲーで徹夜とかマジキモイじゃん~~」
4人の生徒がハジメに絡み馬鹿にし始める。恒例の行いだが
「そうやって馬鹿にしている奴ほどキモイんだよな~~」
「「「「あ?」」」」
4人に聞こえるように飛羽真が言うと4人は視線を飛羽真に移した
「おい、八神。てめぇ今なんて言った?」
「馬鹿にしている奴ほどキモイって言ったんだよ。結構大きな声で喋ったのに聞こえないなんて、病院に行って耳見てもらったらどうだ?ついでも頭も見てもらってこい」
「テメェ!」
飛羽真の言葉にカチンときたのか少年の1人が飛羽真に殴りかかるも、飛羽真は拳が掠るギリギリのところで躱し、少年の腹部を殴った
「ごふ!?」
「「「檜山!?」」」
「先に殴ってきたのはお前だ、クラスの全員が見てるし映像も取ってある。ほれ」
そういうと飛羽真は4人に録画した映像を見せた
「あ~~そうそう。先週なんだけどよ俺、面白いもん見たんだよ。エロゲーをやっている奴をキモイと言ってた奴らがさゲーム屋でそれを置いているコーナーにいて、気持ち悪い顔してどれを買うか悩んでたんだよな~~」
飛羽真に言葉に目の前にいる4人が震える。そんな4人を悪代官のような表情でみていた飛羽真はスマホをいじって、撮った写真を見せる
「これ、お前らだよな?」
映っていた写真には飛羽真に殴りかかった少年檜山大介”を筆頭に彼の取巻きである“斎藤良樹”、“近藤礼一”、“中野真治”の4人が映っており、飛羽真が言った通り気持ち悪い顔でゲームを物色していた
「あ~~俺から携帯を奪って消しても無駄だからな?コピーは済ませてあるし、ボタン一つでSNSに配信されるようになってるから。タイトルは“オタクを気持ち悪いと言っていじめている奴らほど気持ち悪いよな~”だ」
飛羽真は檜山の胸倉をつかんで引き寄せると
「配信されたくなかったら今後一切、ハジメを関わるな」
ドスの効いた声で言って、檜山を離すと、自分の席に着いた。授業が始まるまで音楽でも聴いていようとプレイヤーを取り出そうとすると
「おはよう飛羽真。今日はいつにもまして凄かったわね」
雫が声をかけてきた
「おはよう。白崎は?」
「いつものところよ」
雫が指さすほうを見るとハジメに声をかけている少女と呆れている少年と少し馬鹿にしている少年がいた
「相変わらずだなあのバカと脳筋は」
飛羽真は自分の言っていること行っていることがすべて正しいと思っている少年とその青年がおこなうことはすべて正しいと信じてやまない少年を見て呆れる
「あの馬鹿を信望しない所と自分で考えようとすれば坂上はましなんだがね~~」
「しょうがないわよ」
“天之河光輝”と“坂上龍太郎”、2人と幼馴染である雫は半ばあきらめていると時間になったのか先生が入ってきたことにより話は終わり雫は席に戻っていった
そして、時は過ぎ昼休み
「いただきます・・・・・ごちそうさまでした」
「いや、速すぎだろう」
鞄からinエネルギーチャージを取り出し、素早く飲むと眠ろうとするハジメに飛羽真がツッコんでいると
「南雲君、教室にいるの珍しいね。一緒にお弁当どうかな?」
1人の少女が声をかけてきた。彼女こそ飛羽真が通っている学校で男女問わず絶大な人気を誇る少女“白崎香織”だ。意図しているわけではないハジメがいじめにあっている原因でもある。そんな絶大な人気を誇る香織だが、飛羽真は知っている幼馴染の雫でさえ知らない香織の秘密を。それは・・・また今度にしよう
「あー誘ってくれてありがとう白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河君達と食べたらどうかな?」
「え!?お昼それだけなの!?だめだよちゃんと食べないと。私のお弁当分けてあげるね」
ハジメはinエネルギーチャージを見せながらやんわりと断ろうとするが、本気で心配した香織が自身の昼食を分けると言った時
「な、南雲君。私、間違ってお弁当を2つ持ってきちゃったから一つ上げる」
「えっと・・・・あ、ありがとう中村さん」
今朝、自分の分は作らなくてもいいと伝えておいたのに作って、持ってきてくれたの恵理の弁当を無下にすることもできず、ハジメはそれを受け取った
「香織、こっちで一緒に食べよう。南雲には中村さんが渡した物があるみたいだしさ。それにせっかくの香織のおいしい手料理を誰かに食べさせるだなんて俺が許さないよ」
「(また、あのアホは訳の分からないことを)」
「え?何で光輝君の許しがいるの?」
「「ぶふ!?」」
聞き返した言葉に飛羽真と雫が同時に吹き出してしまった。笑いが止まった後、自分も食べようと飛羽真が弁当箱を取り出そうとしたとき
「や、八神」
「ん?園部じゃねぇか、どうした?」
クラスメイトの少女“園部優花”が話しかけてきた
「こ、これ」
「・・・これは弁当?」
包みを手渡された飛羽真はその場で広げると弁当箱が中に入っていた
「こ、この前、不良に絡まれてたとき助けてくれたでしょう。そ、そのお礼よ」
「・・・弁当の中身見ていいか?」
「い、いいわよ」
優花からの了承を得た飛羽真は弁当箱をあけると、1段目はご飯、2段目は彩りよく盛り付けられたおかず。弁当箱も大きいのでボリュームも満点だった
「ほぉ~~うまそうだ。もしかして園部が作ったのか?」
「ま、まぁね」
「確か園部の家って洋食店だったけか?」
「え、ええ」
「つまり本職から直々に手ほどきを受け、作られた弁当ってわけか。こりゃあ楽しみだ。ありがとな園部」
「じゃ、じゃあそう言うことだから」
「さて、そんじゃあ頂きま・・・」
優花から受け取った弁当と木乃香、シルヴィア、フェイトの3人が合同で作った弁当箱(重箱)を取り出し食べようとしたとき
「これは」
教室の中が輝いた。クラス全員が慌てふためく中、飛羽真は2日前の占いの結果を思い出す
「(運命の輪の逆位置。良くないことが起こるってこういうことかよ)」
クラスが慌てふためく中、飛羽真はある物に手を伸ばす。そして、光が教室を埋め尽くした
ユエをどちらのヒロインに入れるか?
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ハジメ
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飛羽真