“大賢者”と“ガチャ”を得た転生者の冒険譚   作:白の牙

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第38話

 

 

 

 「少しは落ち着いたかハジメ?中村?」

 

 「あぁ」

 

 「うん。アレのお陰でね」

 

 飛羽真の問いにハジメと恵理はとある人物を見ながら答えた。その人物とは、

 

 「殺ルですよぉ・・・絶対に住処を見つけてめちゃくちゃに荒らして殺ルですよぉ」

 

 シアだった。彼女は大槌を担ぎ、据わった目で獲物を探すように周囲を見回している。深く、深~くキレているのは明らかだ。シアがここまでキレているのは理由は、ミレディ・ライセンの意地の悪さが原因だ。飛羽真達を加え、再び大迷宮の攻略に乗り出した先行組だった、順風満帆とは行かなかった。特にシアが地味なトラップ(金タライ、トリモチ、変な匂いのする液体ぶっかっけ、ごく普通の落とし穴等々)の尽くにはまり、精神的にヤバくなりキレッキレッになっていた。

 

 「“凄まじく興奮している人が傍にいると、逆に冷静になれる”っていう言葉があるがまさにその通りだなって実感したわ」

 

 「私も」

 

 「・・・飛羽真は大丈夫なの?」

 

 「何がだ?」

 

 「・・・それ」

 

 ユエは飛羽真の頭に突き刺さっている金タライを指さして尋ねる。普通なら頭にタライなど刺さらないがハジメの最初の探索の話を攻略前に聞いた飛羽真は何かあった時では間に合わないと思い、ライダーに変身して探索を行っているのだ。そして、尽く地味なトラップに引っかかるシアのとばっちりを受けていたのだ。

 

 「ははは、俺は大丈夫だ。全ッ然怒ってないぞ?」

 

 「「「「(絶対怒ってるね/だろうが/ますね)」」」」」

 

 仮面に着けているため表情は分からないが明らかに怒っている声だとシアを除いた全員が理解する。その証拠に、

 

 「本人にあったら問答無用で斬りかかるか?それとも早々にライダーキックをかますか?いや、いっそのこと破壊の力で消滅させるっていう手も」

 

 などど物騒なことをブツブツと呟いているからである。

 

 「(ミレディ。君は怒らせてはいけない人を怒らせてしまったようだね)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今日で一週間か」

 

 飛羽真達が大迷宮に入ってから1週間。数々のトラップとウザイ文に体よりも精神が削られていた。スタート地点に戻されること7回、致死性のトラップに襲われること48回、全く意味のない嫌がらせが169回。最初こそ、心の内をミレディへの怒りで満たしてした一行(オスカーを除く)だったが、4日目を過ぎた辺りから“どうでもいいやぁ~”みたいな投げやりな心境になっていた。

 

 「だけどここの入口が広くて助かったぜ。硬い地面に座って眠らなくて済んだんだからよ」

 

 迷宮の入り口には飛羽真がガチャで当てたカプセルハウスが3家設置されており、1つはハジメ、恵理、ユエ、シアの4人が大型の家には飛羽真、ゼシカ、シュテル、ゼスト、束、フィリス、エルザの7人が、3つ目にはオスカーが住んで使っている。

 

 「そろそろ、進展があってもいいんだがな」

 

 身体スペック的に早々死にはしないと思ったハジメは迷宮の構造の変化を確かめるために休息しながら少しづつ進むことを飛羽真達に提案した。理由もはっきりしているし食料も余裕があるので飛羽真はその提案を了承した。そして、ハジメにしか分からないお手製の“マーキング”で変化には一定のパターンがあり、どのブロックがどう移動するのかが解った。

 

 「出来れば今日決着をつけたいもんだな。・・・・にが」

 

 久しぶりに自分で豆を挽いてから淹れたコーヒーは非常に苦く感じたハジメだった。その後、ゼストの用意してくれた食事を全員で食べた後、スタート地点に戻されないことを祈りながら本日の探索を始めた。勿論、その道中、数々のいやらしい数々のトラップやミレディのウザイ文が出てきたが菩薩の心境でクリアしていった。

 

 「ここか」

 

 そして、飛羽真達は先行していたハジメ一行が1週間前に訪れて以降、一度も遭遇することのなかった部屋へと辿り着いた。

 

 「確か、話だとゴーレムの騎士が配置されているって話だったな?」

 

 「あぁ。そして、天元突破な怒りを覚えさせてくれた部屋だ」

 

 「あの時のことを思い出すとむかついてきました」

 

 「でも、妙だね?あの時、扉は閉まってたんだけど・・・」

 

 「・・・・今は開いてる」

 

 「普通に考えれば罠と思われますが」

 

 「この迷宮自体、罠だらけだもの。今さらよね」

 

 「んじゃあ、一気に駆け抜けますか」

 

 そう言うと部屋へと踏み込む飛羽真達。部屋の中央に差し掛かると部屋内に置かれていた騎士型のゴーレムが置かれている窪みから飛び出し、前方の進路を塞ごうとする。

 

 『ストームイーグル』

 

 「無の呼吸 風の型“塵旋風・削ぎ”」

 

 だが、進路が塞がれるよりも早く、飛羽真がドライバーの中央に差し込んでいるライドブックのページを押し込み、火炎旋風を発動。それに呼吸剣術を組み合わせ、ゴーレム騎士達を斬り刻み、燃やした。更に飛羽真が斬り損ねた騎士達はハジメ達が銃撃や大槌、刀剣、棒等で蹴散らしていく。そうやって時間を稼いだ時間で更に加速し、包囲される前に祭壇の傍まで到達した。飛羽真達が奥の扉を潜るまでにゴーレム騎士達は追いつくことが出来ない、そう思っていたのだが、

 

 「んな!?天上を走ってるだと!?」

 

 あろうことかゴーレム騎士達は重力など知らんとばかりに壁や天井を走っていたのだ。

 

 「マジか!?」

 

 「うっそ~~!?」

 

 「・・・びっくり」

 

 「重力さん仕事してくださぁ~~い!!」

 

 「興味深い現象ですね」

 

 「どうやってるのか分解して調べてみたいな~」

 

 これには流石の飛羽真達も度肝を抜かれたが、ゴーレム騎士達は更に度肝を抜く行動を起こした。なんと天井を走っていたゴーレム騎士の1体が、軽くジャンプすると砲弾のように凄まじい勢いで頭を進行方向に向けたまま宙を飛んできたのである。

 

 「くそったれ!」

 

 自分達に向かって飛んできたゴーレム騎士を銃で素早く迎撃するハジメ。放たれた弾丸は飛んできたゴーレム騎士の兜と肩を破壊、更に頭部と胴体が別れ、更に両手に持っていた大剣と盾を手放した。しかし、本来なら地面に落ちるであろうそれらは、落ちず、そのまま飛羽真達に向かって突っ込んできた。

 

 「無の呼吸 風の型“昇上砂塵嵐”」

 

 先頭を走っていた飛羽真は足を止め、ハジメ達を先に行かせると、体の姿勢を低くすると上空に向けて無数の斬撃を放ち、落ちてくるゴーレム騎士の頭部、胴体、大剣、盾を細切れにした。

 

 だが、そのゴーレム騎士を始りに次々とゴーレム騎士達が飛羽真達に落下してくる。中には風車のように回転しながら落ちてくる物もいる。

 

 「くそ!」

 

 流石に49体ものゴーレム騎士を一度に捌くことなど出来るはずもなく、飛羽真は落下してくるゴーレム騎士達を時に躱し、時に刀で捌きながら前を走るハジメ達の後を追う。飛羽真の高い身体能力であっという間に追いついたのだが、

 

 「ハジメ」

 

 「もう追いついたのかよ?相変わらず出鱈目だな」

 

 「誰かさん曰く、俺は人間を止めかけているらしいからな」

 

 「まだ根に持ってるのかよ」

 

 愚痴を言いながらも足を止めず走り続ける飛羽真達。そして、走り続けていると先のほうにあったある物を見て苦笑いする。

 

 「まぁ、再構築できるなら、こうなるわな」

 

 「挟まれてしまいましたね」

 

 「しかも、学習してるね~」

 

 前には先へと落ちていたゴーレム騎士達が落下先で再構築し、隊列を組んで飛羽真達を待ち構えていた。束が言ったようにゴーレム騎士達は盾を前面に押し出し、腰をどっしりと据えて壁を作っている。更に2列目のゴーレム騎士達が後ろで盾役のゴーレム騎士達を支えている。

 

 「パワー勝負を考慮に入れての配置だなありゃ」

 

 「なら無駄だってことを教えてやる」

 

 そう言うとハジメはパワードスーツの左腕のみを展開して装着、更に量子化させていた武装、12連式ロケットランチャーを呼び出し、左腕に装着した。

 

 「全員、耳をふさげ!」

 

 「えぇ~~何ですかそれ!?」

 

 初めて見る武器にシアが目を見張る中、全員がハジメの言う通りに耳を塞ぐ。シアと同じように武器の異様さに見ていたフィリスだったが、他の皆と同じように耳に指を突っ込み、更にウサミミを折り畳んだ。

 

 「全部まとめて吹き飛びやがれ!」

 

 物騒な言葉と共にハジメが引き金を引くと、装填されていたロケット弾が勢いよく発射。撃ち出されたロケット弾は寸分の狂いもなく隊列を組んで待ち構えていたゴーレム騎士達に直撃。その直後、轟音と共に大爆発を起こし、待ち構えていたゴーレム騎士とその後ろにあった扉を纏めて吹き飛ばした。

 

 「凄い威力」

 

 「耳がぁ~~~!私の耳がぁ~~~!!」

 

 1発で上級魔法と同等の威力を出せる武器の威力にユエは驚き、うさ耳を折り畳まず真っ直ぐに伸ばしたままだったシアはもろにダメージを受けて、耳を押さえていた。

 

 「だから、耳を塞げって言っただろうが」

 

 「ええ?何ですか?聞こえないですよぉ」

 

 「・・・ホント、残念ウサギ」

 

 「(聞いてなかったら私もシアちゃんみたいになってたんだね)」

 

 全員の呆れた視線がシアに突き刺さるが、当の本人はそれに気づかず、同胞であるフィリスは聞き逃していれば自分もシアと同じようになっていただろうと思い。話は聞き逃さないようにしようと心に決めた。

 

 「と~くん。扉の向こうに足場が見えるよ」

 

 「ハジメ、今のもう1発撃てるか?」

 

 「あぁ。1発どころか10発連続して撃ててるぞ」

 

 「なら後ろから追いかけてくる連中に向かって撃ってくれ」

 

 「あいよ!」

 

 「ハジメがロケット弾を撃ったと同時に扉の奥にある足場に向かって飛ぶぞ!」

 

 飛羽真の指示に従い、ハジメは後ろから追いかけてくるゴーレム騎士達に向けてロケット弾を発射、それと全員が同時に扉の向こうにある足場に向け思いっ切り跳んだ。だが、ここで予想外なことがおきた。なんと、着地しようとしていた足場が横にスライドしたのだ。

 

 「なにぃ!?」

 

 そのことに驚いた飛羽真達だったが、変身していた飛羽真は傍にいたゼシカとフィリスの手を握ると背中の翼を広げて飛ぶ。ゼストもシュテルとエルザの手を掴むとしまっていた翼を広げ、飛翔。束はパワードスーツを展開して飛ぶ。ハジメもパワードスーツを展開し、恵理、ユエの手を掴み、恵理がシアの手を掴んだことを確認した後、飛翔して足場へと降りる。オスカーは自前のアーティファクトを使って問題なく足場へと着地した。

 

 「おいおい。どうなってんだこの空間は?足場が浮いてる上にせっかく撒けたと思ったゴーレムまで浮いてやがる」

 

 飛羽真達が入った部屋は超巨大な球状の空間だった。直径2㎞以上はありそうな空間には様々な形、大きさの鉱石で出来たブロックが浮遊し、不規則に移動しているのである。

 

 「かんっぜんに重力を無視してるな」

 

 「あぁ。それにこの部屋に近づくにつれてゴーレム達の動きが良くなっていたのを考えると、此処のどこかにあのゴーレム達を操っていた奴がいるはずだ」

 

 ハジメはパワードスーツに搭載されているセンサーを最大にしてこの空間を調べようとした瞬間、

 

 「っ!?全員!今すぐに跳べ!」

 

 「逃げてぇ!」

 

 飛羽真とシアの焦燥に満ちた声が響く。“何が?”と問い返すこともなく、飛羽真とシアの警告を聞いたハジメ達は瞬時にその場から離脱した。直後、赤熱化する巨大な何かが飛羽真達の乗っていたブロックに落下してきて、ブロックを破壊。勢いを止めることなく下へと突き進んでいった。

 

 「シア、助かったぜ。ありがとよ」

 

 「・・ん、お手柄」

 

 「後でうさ耳をもふもふしてあげるね」

 

 「えへへ、“未来視”が発動してよかったです。代わりに魔力はごっそりと持っていかれちゃいましたけど・・・・後、ご褒美なら飛羽真さんからのちゅ~~がいい・・・へぶ!?」

 

 「調子に乗るんじゃありません」

 

 おなじみのコントを無視して飛羽真は落ちてきたものを確認するために下を覗くと、何かが動いたのかと思うと猛烈な勢いで上昇、瞬く間に飛羽真達の頭上に出ると、その場にと留まり光る眼光を持って睥睨した。

 

 「・・・これは」

 

 「知ってるのオーくん?」

 

 全員がその大きさに驚いている中、見覚えがあるのかオスカーが何かを思い出す。束が思い出したことについて尋ねようとしたとき、周囲にいたゴーレム騎士達が音を立てながら飛来し、飛羽真達の周囲を囲むように並び、整列すると胸の前で大剣を立てて構える。

 

 「(まるで王を前にして敬礼してるようだな)」

 

 いつでも動けるように身構える飛羽真達。緊張感が高まり、辺りに静寂が満ちる。まさに一触即発の状況。そんな張りつめた空気を破ったのは、

 

 「やっほ~~初めまして~!みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」

 

 巨体ゴーレムのふざけた挨拶だった。

 

 「「「「「「「「「「「・・・・・・・・は?」」」」」」」」」」

 

 「はぁ~~~~」

 

 凶悪な装備と全身甲冑に身を固めたゴーレムから聞こえてくるやたら軽い挨拶に飛羽真達は困惑する。

 

 「ちょっと~~、挨拶したんだから何か返そうよ。最低限の礼儀だよ?全く、これだから最近の若者は・・・もっと常識的になりたまえよ」

 

 「・・・ミレディ・ライセンは既に死んでいるはずだが?オスカー・オルクスの迷宮を攻略した時に読んだ手記にちゃんと人間の女として書かれていたぞ?」

 

 やたらと人間臭い動きで肩を竦める仕草をするミレディの名を語るゴーレムにイラっときた飛羽真だったが、その怒りを一端納め、一番気がかりなことを尋ねるハジメ。

 

 「おぉ!オーちゃんの迷宮の攻略者なんだね!どう?私について何か書いてた?」

 

 「そんなくだらない質問に答えてる暇はない。今の俺の質問に答えろ。簡潔にな」

 

 「うわぁ~~~何コイツすんごい偉そうなんですけど。・・・まぁ、いいや私の正体が気になるんだったよね?間違いなく私はミレディ・ライセンだよ。この姿の秘密は神代魔法で解決!詳しく知りたければ私を倒してみよ!・・・って感じかな?」

 

 「・・・そうか、じゃあ、本物のミレディ・ライセンって事でいいんだな?」

 

 すると、これまで黙っていた飛羽真が尋ねる。

 

 「だからそうだって言ってるじゃん。物わかりの悪い子だね~~」

 

 飛羽真の問いに煽るような口調で答えるミレディ。

 

 「ふふふふ・・・・そうか、そうか。ならとりあえず」

 

 『必殺読破!』

 

 「一発・・・蹴らせろ!」

 

 その答えを聞いた飛羽真はドライバーに納刀した剣のトリガーを2回引く、背中の翼を広げ高く跳び上がる。

 

 『ドラゴン!イーグル!2冊撃!ファ・ファ・ファイヤー!』

 

 そして、高熱の炎を纏わせた蹴りをミレディに向け放った。

続編を書くとしたらどの世界がいいですか? 期限は5月16日まで

  • 異世界はスマートフォンとともに
  • 転生したらスライムだった件
  • 英雄伝説
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