“大賢者”と“ガチャ”を得た転生者の冒険譚   作:白の牙

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第40話

 

 「ふぅ~~~~」

 

 

 ミレディ・ゴーレムの活動が完全に停止したのを確認すると飛羽真はベルトに挿入しているライドブックを取り外し変身を解除する。

 

 

 「よくやったシア。この大迷宮攻略のMVPはお前だ」

 

 

 変身を解除した飛羽真はハンマーを支えにして息を荒げるシアの頭を撫でる。

 

 

 「俺はなシュテル達の訓練をクリアしたとは言えお前が“家族の下へ帰りたい”って弱音を吐くもんだと思ってた。だけどお前は恐怖や不安、動揺、それら全てを押しのけ迷宮の深部までやってき、ゴーレムに止めを刺した。これからも頼りにさせてもらうからそのつもりでいろ」

 

 

 「は、はい!」

 

 

 飛羽真に褒められ、頼られることがよほどうれしかったのか、元気な声で答えるシア。それと同時に、

 

 

 「あ、あれ?な、何ででしょう?急に涙が」

 

 

 「緊張の糸が切れたのでしょう。今のあなたを見て馬鹿にする人はここにはいません。思いっ切り泣きなさい」

 

 

 

 「シュ、シュテルさん。ふぇええええ~~」

 

 

 「(初めての旅でいきなり大迷宮っていうのが相当堪えたんだろうな)」

 

 

 飛羽真の思う通り、着いて行くという決意のみで踏ん張ってきたシアだったが、好きになった人に褒められ、認められ、そして安堵のあまり涙腺がゆるゆるになってしまったシアはシュテルに抱き着き嬉し泣きと、安堵泣き、2つの感情が混ざり合った涙を流す。

 

 

 「あ、あの~~~、いい雰囲気のところ悪いんだけど、そろそろやばいんでちょっといいかな~~」

 

 

 すると、停止していたと思っていたミレディ・ゴーレムの眼にいつの間にか光が戻っており、その巨体を震わせながら話しかけてきた。まだ動けたことに驚いたオスカー以外の一同は距離を取る。

 

 

 「ちょっと、ちょっと、大丈夫だって~。試練はクリア!君達の勝ち。核に残った力で少しだけ話す時間を取っただけだよ~。もう数分しか持たないから」

 

 

 「んで?何の話だ死にぞこない?死して尚、空気も読めんとは・・・残念さでは随一の解放者ってことで後世に伝えてやろうか?」

 

 

 「ちょ!?やめてよ~、何その地味な嫌がらせ。ジワジワ来そうな所が凄く嫌らしい。オーくん、何でこんな子を弟子に取ったの?」

 

 

 「さっきも言ったけど彼が勝手に言ってるだけで僕は弟子にした覚えはないよ。それよりもミレディ。彼にあの神々を殺してくれって言っても聞かないと思うよ?彼の目的は元の世界に戻ることだからね」

 

 

 

 オスカーはミレディが飛羽真達にあの神々のことを頼もうとしていると思い言うが、

 

 

 「言わないよ。言う必要もないしね。話っていうより忠告かな?訪れた迷宮でお目当ての神代魔法がなくても、必ず私達全員の神代魔法を手に入れてね。君の、君達の望みの為に必要だから」

 

 

 「望みねぇ。全部集めたら何かが起こるのか?」

 

 

 「それは、全部集めた後のお楽しみってことで」

 

 

 当然のオスカーもミレディが言っていることを知っていると思った飛羽真はオスカーに視線を向ける。飛羽真の視線に気づいたオスカーは教えることはできないと言わんばかりに首を横に振って、それに答えた。

 

 

 「あはは、そろそろ時間かな。・・・頑張ってね」

 

 

 「・・・随分と潮らしいじゃねぇか。あのウザったい口調やら台詞はどうした?」

 

 

 「あはは、ごめんね~~。でもさ・・・あのクロ野郎共って・・・ホントに嫌な奴らでさ・・・嫌らしい事ばっかりしてくるんだよね。・・・だから、少しでも・・・慣れておいて欲しくてね」

 

 

 「おい、こら。狂った神のことなんざ興味ないって言っただろうが。飛羽真はともかく、勝手に俺まで戦うこと前提に話すな」

 

 

 「・・・戦うよ。君が君である限り・・・必ず・・・君達は神殺し為す」

 

 

 ハジメの不機嫌そうな声に、ミレディは意外なほど真剣さと確信を宿した言葉で返した。

 

 

 「先代の神殺しを為そうとした者にそう言われるのは光栄だな」

 

 

 「・・・意味が分からねぇな。そりゃあ、俺の道を阻むなら殺るかもしれねぇが」

 

 

 笑みを浮かべる飛羽真と若干、困惑するハジメ。その様子に楽し気な笑い声を漏らすミレディ。

 

 

 「ふふ・・・それでいい。・・・君達は君達の思った通りに生きればいい。・・・君達の選択が・・・きっと・・・この世界にとっての・・・最良だから」

 

 

 いつしか、ミレディ・ゴーレムの身体は燐光のような青白い光に包まれていた。その光が蛍火の如く淡い小さな光となって天へと登っていく。死した魂が天へと召喚されていくようでとても、とても神秘的な光景に見える。

 

 

 「はぁ~~~~いい加減にしないかミレディ」

 

 

 そんな神秘的な光景に飛羽真とハジメを除く皆が見入っている中、オスカーがため息を吐きながらミレディに声をかける。

 

 

 「いい加減・・にって、どういうことかな・・オーくん?」

 

 

 「その無駄な演出と演技だ」

 

 

 「・・・・もぉ~~~オーくんってば空気読みなさすぎだよ~~」

 

 

 オスカーの言葉を聞いたミレディはさっきまでの途切れ途切れな話し方ではなくはっきりとした口調で話し出した。

 

 

 「せっかく、驚かせようと思ってたのに~~」

 

 

 「その場合、君は確実に跡形もなく壊されるよ。もしそうなったとしても僕は助けないぞ」

 

 

 「そ、それは困るかな?」

 

 

 今宿っているボディの貧弱さと自分の未来を想像し引きつった声で答えた。すると、ミレディ・ゴーレムの眼の光の点滅が激しくなる。

 

 

 「冗談抜きでそろそろ限界だから先に行って待ってるね。それと、オーくん。皆がミレディちゃんをボコらないように説得お願いね~~」

 

 

 そんな言葉と共に点滅していた目の光が消え、ゴーレムの機能が今度こそ停止した。

 

 

 「そういう訳で皆。僕に免じてミレディを壊すのは止めてほしい。この通りだ」

 

 

 全く変わっていないミレディに呆れつつも笑みを浮かべたオスカーは飛羽真達にミレディを壊さないよう頭を下げて頼みこんだ。

 

 

 「まぁ、俺は何となく解ってたんで別にいいですよ」

 

 

 「俺もだ」

 

 

 オスカーの頼みを飛羽真とハジメは了承し、他の面々は条件を付けた者もいたが渋々了承した。

 

 

 「兄上、あそこの壁が光っています」

 

 

 一同がエルザの指さす方を見るといった通り壁の一角が光を放っていた。その光のもとまで行こうとすると、乗っていたブロックがひとりでに動きだす。

 

 

 ブロックは10秒とかからずに光る壁の前まで進むと、手前5m程の場所で動きを止めた。すると光る壁はタイミングを見計らったのように発光が薄れていき、音もたてずに発光していた壁が抜き取られた。壁の奥には光沢のある白い壁でできた通路が続いていた。

 

 

 飛羽真達が乗るブロックはそのまま通路を統べるように進んで行く。そうして進んだ先にはオルクス大迷宮にあったオスカーの住処へと続く扉に刻まれていた七つの紋様と同じものが描かれた壁があった。ブロックが近づくと先程と同じようにタイミングよく壁が横にスライドし奥へと誘う。ブロックは止まることなく壁の向こう側へと進んでいく。

 

 

 潜り抜けた壁の向こうに進むと、

 

 

 「やっほ~~さっきぶり!ミレディちゃんだよ~~」

 

 

 ちっこいミレディ・ゴーレムが飛羽真達を出迎えた。

 

 

 「・・・・壊さないって約束したけど」

 

 

 「その顔と反省の色が見えない声を聴いたら無性に腹が立ってきました」

 

 

 ミレディの今の姿は巨体版とは異なり人間らしいデザインだった。華奢なボディに乳白色の長いローブを身に纏い、白い仮面を付けている。

 

 

 「あ、あれ?そんな怖い顔してどうしちゃったのかな?ちょっと、オーくん!説得しておいてってお願いしたよね!?」

 

 

 ハンマーや杖を構える女性陣に困惑しながらミレディがオスカーに尋ねる。

 

 

 「お願いはしたよ。だけど、君の登場の仕方と、その表情等がダメだったんじゃないか?」

 

 

 オスカーの返答を聞いたミレディは迫ってくる女性陣に頭をカクカクと動かし、言葉に迷う素ぶりを見せると意を決すると、

 

 

 「テヘペロ」

 

 

 可愛く微笑んだ。その言葉に切れかかっていた女性陣の堪忍袋の緒が完全に切れ、無言でミニ・ミレディに襲い掛かった。

 

 

 

 

 「は~~い、魔方陣の中に入って~~。それじゃあ起動するよ~~」

 

 

 所々凹んだ頭部をさすりながらミレディが飛羽真達に魔方陣の中に入るよう指示を出す。全員が入ったことを確認するとミレディは魔方陣を起動、飛羽真達の脳に神代魔法の知識と使用方法が刻まれていく。

 

 

 「・・・思ってた通りだな」

 

 

 「ん・・・重力操作の魔法」

 

 

 「そうだよ~~ん。ミレディちゃんの魔法は重力魔法。うまく使ってね・・・って言いたいところだけど、君とウサギちゃんは適正ないね~~もうびっくりするレベルでないね」

 

 

 「やかましい。それくらい想定済みだ」

 

 

 ミレディの言葉にハジメはやけくそ気味で答えた。

 

 

 「オーくんも彼と同じで適正なしっと。でもまぁ、オーくんだから何とかするでしょう。そこの彼と短髪の子、銀髪の子に、うさ耳付けた子は使えるね。残りの褐色ちゃんとツインテちゃん、金髪ちゃんは適正ばっちり。修練すれば十全に使いこなせるようになるよ」

 

 

 ミレディは残った面々を指さしながらそれぞれの適性を教える。

 

 

 「後、これも渡しておくね~~」

 

 

 懐から攻略の証である指輪を取り出し飛羽真に向かって放り投げた。指輪を渡し終えるとミレディは大量の鉱石類を出現させる。その鉱石を目を光らせながら調べていくハジメ。

 

 

 「・・・ミレディ、君はこれからどうするつもりなんだい?」

 

 

 「どうって・・・一緒に行きたいのは山々だけど・・・私は負けちゃったし。それに、みんなの了承もなくあいつと取引しちゃったから」

 

 

 そう言いながらミレディは過去のことを思い出す。後世に託すためとはいえ仲間の了承も無しに勝手に狂った神々と取引をしてしまったことを。

 

 

 「何を言っているんだ。君があいつらと取引したからこそ、僕達は迷宮を造り、託すための準備を行えた。それに、皆は解っていたと思うよ、君がどんな思いで取引をしたのかをね」

 

 

 そう言うとオスカーはしゃがんで目線をミニ・ミレディと合わせる。

 

 

 「ミレディ、あの狂った神々を倒し、世界を変えよう。そして、皆と約束した自由な意思の下に生きられる世界を今度こそ作ろう」

 

 

 「・・・・ふふふ、あの時と逆になっちゃったね~~」

 

 

 過去にオスカーを解放者に勧誘したことを思い出し笑うミレディ。

 

 

 「そうだな。君の厄介さにはほとほと困ったよ。」

 

 

 オスカーも当時のことを思い出し、笑みを浮かべる。

 

 

 「さて、答えを聞かせてもらおうかミレディ・ライセン?この手を握り一緒に戦うのか?それとも、この誰も来ない迷宮で待つのか?」

 

 

 立ち上がったオスカーはミレディに手を差し伸べ、尋ねた。

 

 

 「もっちろん、一緒に行くよ。あの狂った奴らを倒すために。ベルとの誓いを果たすためにね!」

 

 

 差し伸べられた手をミレディは何の迷いもなく掴んだ。

 

 

 

 

 

 

 「美少女魔法使いミレディちゃん!復・活!!」

 

 

 準備があるからとオスカーを連れて唯一あった部屋に向かったミレディ。部屋に入るとオスカーの叫び声が聞こえてきたが、何があったのかは本人たちしか知らない。2人が部屋に入ってから5分後、部屋から疲弊したオスカーと元気なミレディが出てきた。

 

 

 「大丈夫ですか?」

 

 

 「色々な意味で疲れたよ」

 

 

 「(部屋の中で一体何があったんだ?)」

 

 

 「みーちゃん、束さん達と一緒に行くのはいいけど迷宮の方は大丈夫なの?」

 

 

 「みーちゃん・・・か。あだ名で呼ばれるのも懐かしいな。う~~~ん、大型のは予備の核を入れれば問題ないけど、中型のはストックを含めて全部壊されちゃったからな~~」

 

 

 束の問いにミレディは人差し指を顎に添えて考える。

 

 

 「なら大型のゴーレムの改修と中型の騎士を造っていこう」

 

 

 「何体ぐらい作るんですか?」

 

 

 「う~~~ん、ストックも含めて100体あれば大丈夫だと思う」

 

 

 「100体か。まぁ、何とかなるか。凄腕の錬成師が3人もいるんだからよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なんていうか禍々しくなったね」

 

 ライセン大迷宮の攻略を果たしてから3日後。ミレディは設置された新たなゴーレムを見てそう言った。

 

 

 「そして、こっちはまったくの別物になってるんだけど」

 

 そして、生まれ変わった巨大ゴーレムを苦笑いする。

 

 「ハジメのロマンが全部詰め込まれた物になったな」

 

 ミレディ・ゴーレム改めスーパーミレディG(ハジメ命名)を眺めながら飛羽真が言う。

 

 「俺の持つ知識とアイディアを全部つぎ込んだ1品だ」

 

 スーパーミレディG略してSMGを見上げながらハジメがどや顔で言う。

 

 「いくら何でもこれはやりすぎなんじゃないか?」

 

 飛羽真はSMGの詳細が書かれた紙を見ながら言う。国どころかうまくいけば神すら殺せそうな武器の数々に冷や汗を掻く。

 

 「ま、まぁ、攻略に来る人なんて早々いないだろうから大丈夫だと思うよ」

 

 別世界の言語で書かれているため内容は解らないが大丈夫だと言い張るミレディ。だが、絶対とは言えないのかその声に覇気はなかった。

 

 

 「そ、それより、そろそろ出発しようか」

 

 「そうだな。3日もロスしちまったからな」

 

 ミレディの言葉に頷いた飛羽真は高笑いし続けるハジメを引きづってミレディの部屋に戻る。

 

 「全員いるね?」

 

 「あぁ。だがどうやって迷宮から出るんだ?」

 

 「それはこうやってだよ」

 

 ミレディはジャンプして天井にあった縄を引っ張る。すると、轟音と共に四方の壁から途轍もない勢いで水が流れ込んできた。水は瞬く間に部屋を満たし、同時に部屋の中央にある魔方陣を中心に蟻地獄のように床が沈み、ぽっかりと穴が開いた。

 

 「こ、これは!?」

 

 白い部屋、窪んだ中央の穴、そこに渦巻くように流れる大量の水。紛れもなく便所だ。

 

 「ミレディ、てめぇ!こういうのは前もって教えやがれ!!」

 

 「ごめ~~~ん。作ったはいいけど使うの何気に初めてで、どういうのか忘れてた~~!!」

 

 もがくも激流には勝てず、飛羽真達は水と一緒に流されていった。





 新しく作られたゴーレムの見た目は賢者の弟子を名乗る賢者に出てくるダークナイトです。

続編アンケ―ト 第2弾 期限は1月31日まで

  • レベル1の最強賢者
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