“大賢者”と“ガチャ”を得た転生者の冒険譚   作:白の牙

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第41

 無事ライセン大迷宮をクリアした飛羽真達一行。新たな旅仲間、ミレディ・ライセンも加わって迷宮から脱出したのだが、その方法が“便所”にとても似た方法だった。

 

 激流で満たされた地下トンネルのような場所を猛スピードで流される飛羽真達。息継ぎが出来るような場所など当然なく、壁に激突して意識を失うような下手を打たないよう身体をコントロールしながら水中を進む。

 

 「(ん?)」

 

 と、その時、自分達を追い越していく幾つもの影を飛羽真達は捉えた。それは、魚だった。どうやら他の川や湖と繫がっている地下水脈に流されているようだ。流されるだけの飛羽真達と違い魚達は激流の中を逞しく泳いでいるので、次々と飛羽真達を追い越していく。

 

 「(・・・・今晩のおかずに何匹か捕まえていくか)」

 

 活きがいい魚を捕まえるべく飛羽真は量子ボックスから自作の取り網を取り出して魚を捕まえようとするが、流されているのに加え、動きにくいということもあって中々取れないでいた。

 

 「(落ち着け飛羽真。逆らうのではなく水と動きを合わせて)」

 

 最低限の力で網を持ち、激流の流れに任せた結果、捕獲に成功した。

 

 「(よし)」

 

 手ごたえを感じた飛羽真はそれからも魚を取りまくっていったのだが、魚ではない何かが横を通り過ぎる。気になった飛羽真が見たのは、

 

 「・・・・・・・」

 

 白目をむき、口を開いた状態のシアだった。

 

 「(何やってるんだこいつは!?)」

 

 慌てて足を掴んで自身の下へと引き寄せた。

 

 

 

 

 町と町、あるいは村と村をつなぐ街道を1台の馬車と数頭の馬がリズミカルな足音と共にのんびりと進んでいた。勿論、馬上には人が乗っている。冒険者風の出で立ちをした男が3人と女が1人。馬車の方には卸者台に15、6歳の女の子と化物・・・もとい巨漢の漢女が乗っていた。

 

 「ソーナちゃ~ん、もうすぐ泉があるから其処で少し休憩するわよぉ~~」

 

 「了解です。クリスタベルさん」

 

 クリスタベルと呼ばれた漢女はブルックの町で服飾店を経営している店長で、ソーナと呼ばれた少女は家族で宿を経営している宿の看板娘である。

 

 この2人、現在、冒険者の護衛を付けながら隣町からブルックへの帰還中なのだ。クリスタベルはその巨漢からも分かる通り鬼強いので、服飾関係の素材を自分で取りに行くのが多く、今回も仕入れ等のために一時町を出たのだ。それに便乗したのがソーナだ。隣町の親戚が大怪我を負ったと聞き、宿を離れられない両親に代わって見舞いの品を届けに行ったのだ。冒険者達は元々ブルックの町の冒険者で任務帰りなのでついでに護衛しているである。

 

 ブルックの町まであと1日といった所。クリスタベル達は、街道の傍にある泉でお昼休憩を取ることにした。

 

泉に到着したクリスタベル達は馬に水を飲ませながら自分達も泉の畔で昼食の準備をする。ソーナが泉から水を汲もうと傍までやって来、いざ水を汲もうと入れ物を泉に浸けたその瞬間、突如、泉の中央が音を立てながら泡立ち一気に水が噴き出始める。

 

 「きゃぁ!」

 

 「ソーナちゃん!」

 

 悲鳴を上げ、尻餅をついたソーナにクリスタベルが一瞬で駆け寄り庇うように抱き上げ他の冒険者達のもとへと戻る。その間にも噴き上げる水は激しさを増していき、遂には高さ10m以上はありそうな水柱となった。

 

 すると、

 

 「「おぉおおおーーー!?」」

 

 「どわぁああああーーー!?」

 

 「んっーーーー!?」

 

 「きゃぁああああーー!?」

 

 「「ひゃっほ~~~~!!」」

 

 噴き上がる水の勢いのまま、11人の人が歓喜、悲鳴を上げながら飛び出してきた。あまりのことにクリスタルベル達は目が飛び出るほど驚く。飛び出してきた11人の人間は10m近くまで吹き飛ばされると、そのままクリスタルベル達の対岸側に音を立てて落下した。

 

 

 

 

 「ゲホッ!ガホッ!ひでぇ目にあった。恵理、ユエ、無事か?」

 

 「ケホッ!ケホッ!なんとか」

 

 「・・・大丈夫」

 

 悪態をつきながら恵理とユエの安否をハジメが確認すると、先に岸に上がっていた飛羽真が人数分のタオルを取り出し、投げ渡す。

 

 「サンキュー飛羽真。所でミ・・・ベルの馬鹿は何処だ?」

 

 「あの馬鹿なら今、オルクさんから制裁を受けてるぞ」

 

 飛羽真の指さす方にハジメが向くと、

 

 「ベ~~~~ル~~~!君はいつも!いつも!もう少しまともな脱出手段を用意できなかったのか!」

 

 「あやまる!ちゃんと謝るから~~!能力込みアイアンクローはーー!!」

 

 オスカーの技能込みのアイアンクローを喰らい、痛みに悶えていた。

 

 「・・・・シアはどうしたんだ?」

 

 ミレディへの制裁はオスカーに全部任せることにしたハジメが敷いたタオルに寝かせられているシアについて尋ねる。

 

 「知らん。しかしまずいな、呼吸をしてない」

 

 仰向けに寝かせられたシアは顔面蒼白で白目をむき、呼吸と心臓が停止していた。いつからこの状態になっていたのかが分からない今、一刻も早く心肺蘇生をおこなわないと命に関わる。

 

 「・・・しゃーない」

 

 同性に任せるのが一番なのだが、今は一刻も争う事態。意を決した飛羽真は大迷宮で頑張った褒美も兼ねて自ら心肺蘇生を行い始める。

 

 「(・・・まったく、いろいろと残念な奴だよお前は)」

 

 悪態をつきながら心臓マッサージと人工呼吸を交互に行っていく。そして、何度目かの人工呼吸の後、遂にシアが水を吐き出した。水が気管を塞がないように顔を横に向け、今度は心臓が動いているのかを確認する。耳を澄まし心臓が動いていることを確認し終えた飛羽真は安堵の息を吐く。

 

 「ケホッ!ケホッ!・・・・飛羽真さん?」

 

 「気が付いたか。ったく、こんなところで死にかけるじゃ・・ん!?」

 

 意識を取り戻したシアに呆れと、安堵が混じった表情を見せる飛羽真。そんな飛羽真をボーと見つめていたシアは突如、飛羽真に抱き着きそのままキスをした。気を緩ませていたのとまさかの行動に避け損なう飛羽真。

 

 「んっ!?んーー!?」

 

 「あむっ、んちゅ」

 

 シアは両手で飛羽真の頭を抱え込み、両足を腰に回して完全に体を固定すると遠慮容赦なく舌を飛羽真の口内に侵入させた。予想外のシアの剛力に中々振りほどくことができない。

 

 「わっわっ、何!?何ですかこの状況!?す、すごい・・・濡れ濡れで、あ、あんなに絡みついて・・・は、激しい・・・お外なのに!ア、アブノーマルだわ!?」

 

 そこへやってきたのは妄想過多な宿の看板娘ソーナちゃん。

 

 「あら?あなたたち確か・・・」

 

 そして、体をくねらせながらシュテルと束を除いた女性陣を記憶から呼び起こすクリスタベル。そして、嫉妬の炎を瞳に宿し、自然と剣にかかる手を必死に抑えている男の冒険者達とそんな男連中を冷めた目で見ている女冒険者だった。

 

 飛羽真は未だ、吸いてくるシアを体ごと持ち上げるとシアのムッチリした尻を思いっきり引っ叩いた。

 

 「ひゃん!?」

 

 突然尻を叩かれたシアはあまりの痛さに驚き、キスを止める。その一瞬の隙を逃さず、飛羽真はシアを引きはがすと、

 

 「目覚めて早々発情してるんじゃねぇ!この阿保兎が!」

 

 怒鳴りながらシアを泉へと放り投げた。

 

 「うきゃあああ!?」

 

 「蘇生直後に襲い掛かってくるなんて・・流石の俺でも読めねぇ」

 

 悲鳴を上げて泉に落ちたシアを尻目に、深呼吸して荒くなった呼吸を元に戻す飛羽真。

 

 「うぅ~~酷いですよぉ~~飛羽真さんの方からしてくれたんじゃないですか~」

 

 「あれはれっきとした救命措置で・・・って、お前、意識あったのか?」

 

 「う~~ん、なかったと思うんですけど・・・何となく分かりました。飛羽真さんにキスされているって、うへへ」

 

 「その笑い方はやめろ。それとハジメ、その笑みは何だ?」

 

 飛羽真はジト目でニヤニヤとした表情で自身を見るハジメに尋ねる。

 

 「別に~~深い意味はない」

 

 その返答とニヤニヤした表情にイラついたのか、飛羽真は音もなくハジメに近寄ると、腹部を思いっきり殴る。そして、痛みに悶えながら何かを言ってくるハジメを無視して量子ボックスから鎖を取り出し、ハジメに巻き付けると先程のシアと同じように泉に放り投げた。

 

 「てめぇ!飛羽真!何しやがる!?」

 

 「さ~~~て、何が釣れるかな~~?」

 

 「俺は餌か!?」

 

 のんびりと釣りをしようとする飛羽真とぎゃあ、ぎゃあと文句を言っているハジメの後ろでは恵理達がクリスタベル達と話しながら情報を入手、冒険者の男たちはここぞとばかりに女性陣にアタックするも飛羽真によって鎖に巻かれ、ハジメと同じように魚の餌にされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続編アンケ―ト 第2弾 期限は1月31日まで

  • レベル1の最強賢者
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