ハジメ、恵理、ユエの3人がブルックの町を出発してから3日後。飛羽真達は予定通りフューレンへ向けて出発した。出発するさい、一悶着あったが何とか納めることが出来た。
「キャンピングカーだった車がトレーラーハウスに進化していたとは」
更に広くなった車内で飛羽真が呟く。
「これからのことも考えると設備は充実してた方がいいかな~~~って思って。ここ数日で作り上げたのだー!」
飛羽真のつぶやきが聞こえたのか束が胸を張って答える。その際、2つの大山が揺れ、ミレディが周囲を見回した後、親の仇でも見るような目になったのはここ最近のお約束だ。
束がオスカーの協力の元、造ったこのトレーラーハウス、キャンピングカー同様、空間魔法で内部を拡張しており収容人数は50人と増え、トレーニングルーム、物を作る工房、薬や成長増長用の食物を育てるための農場等々キャンピングカーにはなかったものが設置されている。
「ふむ、これを見るに南雲君たちはようやく半分まで進んだって所だね」
「では、車の走る速度をギリギリまで落としましょう。追いついてこれを見られでもしたら面倒ですので」
「そうだね~~。シーちゃんを売ってくれって言ってきたあの商人ならこれの有能性を1発で理解しそうだし~」
画面に映し出されるトータスの地図とハジメ達が今どこにいるのかを示す赤い丸を見ながらオスカー、シュテル、束が速度の調整を行う。
「そうだ!シーちゃん、ドリュッケン貸して」
「へ?ドリュッケンをですか?構いませんけど、何するんですか?」
「シーちゃんに切り札を上げようと思ってね」
シアからハンマーを受け取った束はあくどい笑みを浮かべながら質問に答えると、工房へと向かっていった。
「シュテル、束さんがぶっ飛んだものを作らないよう見張っておいてくれないか?」
「仕方ありませんね」
シュテルとしても教え子であるシアに変な装備を追加されて、支障をきたされても困るため束の見張るために工房へと向かっていった。
「んじゃあ、俺はトレーニングルームに行ってみるか。ピナ、〇〇〇〇、行くぞ!」
「きゅる!」
「カゲ!」
「おぉ」
トレーニングルームに入った飛羽真はその広さに驚き、声を上げた。
「これだけの広いなら模擬戦も可能だな。よし、ピナ、ヒトカゲ。体力をつけるためにこの部屋を何周か周ってこい」
「きゅい」
「カゲ」
飛羽真は頭の上に乗っているピナと足元にいる動物、ヒトカゲにそう言う。2匹は飛羽真に言われた通り、それぞれの方法で走り込みを始めた。
「それにしても生まれてきたのがヒトカゲだったとはな~~」
走っているヒトカゲを笑みを浮かべながら眺める飛羽真。ガチャで手に入れたポケモンの卵、その卵から孵ったのが目の前にいるヒトカゲだ。生憎ポケモン図鑑がないため、覚えている技、性別などは解らないが雄だと飛羽真は思っている。
「さて俺も走るか・・・ってなんだこのタッチパネルは?」
2匹に交じって部屋で走り込みをしようとした飛羽真は壁に見慣れた機器が設置されていることに気づいた。気になった飛羽真は画面をタッチすると画面が光、映像が映し出される。
「トレッドミルにベンチプレス、ダンベル等々ジムにある機器だ。それに、これは6本腕の騎士人形に特殊訓練用装置?」
表示された映像を一通り見た飛羽真はベンチプレスをタップすると、何台出すのか?が表示されたので“1”と入力し“OK”のボタンをタップすると、トレーニングルームに1台のベンチプレスが現れた。
「どこから出てきたんだこのベンチプレスは?」
『解。部屋自体に量子化の処置が施されています』
「成程」
大賢者からの説明を聞き、ベンチプレスが現れた仕組みを知る飛羽真。試しに出しただけなのですぐしまった。そして、気になっていた特殊訓練用装置をタップする。
「何々、“倍率を決めてください”?取り合えず10にしておくか。“訓練を始める前に周りに誰もいないことを確認してください”?人は・・・いないな」
ピナとヒトカゲはいるが人はいないこと確認した飛羽真は“開始”ボタンをタップした。すると、
「うぉ!?」
身体に異常なまでに付加がかかり、床に叩きつけられた。
「な、なんだ、こ、りゃあ」
『告。部屋全体の重力場が発生しています』
「じゅ、重力、場?なんで、そん、な、もん、が?・・・ま、さか、あの、特殊、訓、練って」
『告。まずはピナとヒトカゲを何とかしたほうがいいと思われます』
「きゅ、きゅる」
「カ、カゲ」
大賢者に言われ、2匹の方を見ると飛羽真と同じように動けないでいた。
「ぐぐ、身体強化腕部」
魔力で腕部を集中的に強化した飛羽真はボールに手を取り2匹をボールに戻した。2匹をボールに戻すと身体強化を腕部から体全体へと変え、立ち上がり、パネルをタッチして重力を解除した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
仰向けになって床に寝っ転がりながら息の整える飛羽真。
「し、死ぬかと思った」
『告。失神又は骨折をしていないだけましだと思います』
「設定した重力は“10”。俺の体重は大体50~55、その10倍・・・・・下手すれば死ぬな。大賢者、重力を使って修行する場合、何倍から始めたほうがいい?」
『解。1.5~2Gから始めることを進めます』
飛羽真の問いに大賢者は現在の飛羽真に適した重力を伝えた。そして、小休止した後、大賢者の提示した重力下での鍛練を始めた。
そして、その日の晩、
「・・・・・・」
精魂尽き果てた飛羽真が死人のようにソファーに寝っ転がっていた。
「だ、大丈夫ですか飛羽真様?」
「だ、だいじょばない」
ゼストの質問にとある少女の口癖を真似して答えた。
「ねぇ、ねぇ、さっきトレーニングルームの使用履歴を見たんだけど、誰か特殊訓練用の装置使った?」
すると、工房でシアの武器の改造を行っていた束がやってきて全員に尋ねた。
「特殊訓練用の装置というとあれかい?設定した分だけ重力を増減させる」
「そう、それ」
オスカーの問いに束が頷いて答え、全員を見回しているとソファーに倒れている飛羽真を見つけた。
「・・・もしかして、とーくん」
「・・・俺だ」
「因みに、設定した数字は?」
「・・・1.5」
「確か飛羽真の体重は50~55kg。その1.5倍というと」
「75~83、力士1人分の重さだね。どのくらい使ってたの?」
「3~4時間ぐらい」
飛羽真の答えを聞いた束はそれだけの時間使用してればそうなるねと呆れ。力士というものがどういったものか分からなかったゼシカとトータスの面々はゼストから力士について教えてもらい、呆れた視線を飛羽真に向けた。
「厳しい環境に身を置くことで人は強くなれるんだよ。実際、俺はそうやって強くなってきたからな」
「ですが、限度があります。今後は時間に十分気を付けて使用してください」
「・・・はい」
シュテルに正論に飛羽真は素直に頷いて答えた。
「995、996、997,998、999、1000」
重力発生装置で痛い目に遭ってから2日後の朝。今日、っというよりここ数日、特殊訓練用装置を使っての鍛錬をしている。
「ふぅ~~この重力にもだいぶ慣れてきたな」
ほぼ1日、重力の働いた部屋で過ごしたおかげかスムーズとまではいかないが基礎トレーニングに加え素振りを一定のリズムで行えるようになった飛羽真。長時間の使用は控えるようにと言われたのに使うあたり、最初から約束を守る気はなかったらしい。
「これも自動回復と超回復のお陰だな」
ガチャで手に入れ、覚えたこのスキル。この2つのスキルは“ON”、“OFF”の切り替えが可能で普段は“OFF
”にしている。しかしスキルを“ON”にしたことにより疲労してもすぐに回復できるのだ。
「296、297、298、299、300!はぁ、はぁ、はぁ」
そして、飛羽真のほかに重力が効いた部屋で鍛錬する者がいた。
「エルザ、お前はもう部屋から出ろ」
「い、いえ、私はまだ、出来ます兄上」
その人物とはエルザだった。義兄である飛羽真に追いつくことを目標としている彼女は義兄である飛羽真が重力を使って修行をするならば自分もと言って特訓を行っているのだが、思うように体を動かすことが出来ないでいた。
「いいから休め。裏技がない状態でこの環境にいるのは自殺行為だ。下手すると2度と剣を持てなくなるかもしれない」
「ですが」
「はぁ、訓練に一切の妥協は許さない。その性格は誰に似たんだか」
てこでも部屋から出ようとしないエルザに飛羽真は呆れ、型の反復を中断すると、入り口にあるタブレットを操作して重力を解除した。重力が元に戻ったことにより身体に掛かっていた負荷が無くなった。
「ほれ、シュテルとゼストが作ってくれた疲労回復ドリンクだ」
「あ、ありがとうございます」
飛羽真は持ってきていた2本のドリンクの内1本をエルザに渡し、残った1本を口にし、消費した水分補給を行う。
「兄上」
「ん?」
「重力下で修業をして本当に強くなれるのでしょうか?」
「ん~~~始めたばかりだからなんとも言えないが・・・無駄か、それとも無駄じゃないのか。それは後になれば分かることだ」
重力下での鍛練で強くなれるのか?疑問を抱くエルザに飛羽真は解らないと答えた。
「何を焦ってるか知らないが、焦るな。焦ったって意味なんて何もないからな」
エルザが焦っていたことを察していた飛羽真は昔のようにエルザの頭を優しくなでながら論す。
「さて、それじゃあ今日の鍛錬の仕上げと行くか」
充分に休憩を取った後、飛羽真はライドブックを使い、仮想空間を展開しようとしたとき、
『敵襲です!数は百以上!森の中から来ます』
シアから魔物の襲撃を知らせる車内放送が聞こえてきた。
「今日の鍛錬の仕上げは魔物狩りだな」
「これまた随分と多いな」
こっちに向かってくる魔物の大群を前に飛羽真は呑気な声で話す。
「飛羽真、確認したところすべてが狼型の魔物です」
「どうするの飛羽真?」
「・・・ゼスト、全ての魔物を岩の壁で覆うことはできるか?」
「難しいです。ですが、一箇所に纏めて下されれば可能かと」
「なら、ゼシカ、ベル。重力魔法で魔物達を一箇所に集めてくれ。ゼストは集まり次第、土魔法で奴らを天井以外を覆ってくれ」
「はい、は~~い。行くよゼシちゃん」
「えぇ」
「「引天」」
飛羽真の指示を聞いたゼシカとミレディは重力魔法で引力球を作り、放つ。放たれた引力球は一定の距離で停止すると魔物達を引き寄せ始めた。前進していた魔物達は突然の出来事に慌てるも必死になって前に進もうとするが出来ず、ゼシカとミレディが放った引力球に引き寄せられる。
「ゼスちゃ~~ん、襲い掛かってきた魔物は一箇所に集まったよ~」
「分かりました。では」
レーダーで魔物達が一箇所に集まったことを束から教えられたゼストは土魔法で大地を操作、円状の土壁を作って魔物達を囲い、動きを封じた。
「よくやったゼスト。んじゃ止めと行くか」
魔物が土壁に囲われたのを確認した飛羽真は右手を上に掲げる。
「ドライファ・サンダーバースト」
魔法の名と共に掲げた右手を降ろすと、土壁に囲われ、動けない魔物達に向け極大の雷が降り注いだ。魔物達は瞬く間に灰となって消え去った。
「殲滅完了。んで・・」
ゼストの造った土壁が崩れ、黒焦げとなった魔物達を見て飛羽真はそう口すると、スマホを取り出し、ガチャのアプリを開いて所持しているチケットの枚数を確認する。
「ガチャ券ゲットっと」
一気に100以上のチケットを入手したことに笑みを浮かべた。
「さ~て、何が当たるかな~~?」
そして、持っているチケットの半分を使用してガチャを引く。ここ数日は鍛錬や冒険者の仕事で忙しくチケットを入手しても引いていなかったため少しワクワクしている。
「ほう、ほう、これは、これは・・・いいんじゃない」
大当たりだったのか飛羽真は笑みを抑えることが出来ていなかった。
今回、飛羽真がガチャで手に入れたアイテム
‐スキル“全刀剣適正”
‐烈龍刀(SDガンダム 超SD戦国伝)
‐アサルトウルフプログライズキー+アサルトグリップ
‐エクシードリング(FFBE)
‐スキル“アイテムメイカー”
‐アイテムレシピ(FFBE)
‐晶石セット(各20個入り)×10(FFBE)
‐素材セット(FFBE)
‐ウルトラマン超闘志激伝全巻
‐パールペンダント+4 (FFBE)
‐異世界魔法の教科書(失格紋の最強賢者)
である。