光が収まると飛羽真達はテレビ等で紹介される城の王の間らしき場所にいた。周りが慌てふためく中、飛羽真は冷静に周りを見回し、少しでも情報を得ようとしていると
「ようこそトータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様、歓迎いたします」
1人の老人の声が響き渡った
「私は聖教教会にて教皇の地位についております、イシュタル・ランゴバルトと申す者。以後、よろしくお願いしたしますぞ」
その老人の笑みを見たとき飛羽真は2年前の異世界での戦いで壊滅させたのちに邪教認定されるようになった国教の教皇を務めていた男と雰囲気が似ていたため飛羽真は人知れず苛立ってしまった
そして、飛羽真達は大広間へと通され、席に着くと。メイド達が部屋に入ってきて、全員に飲み物を給士する。飛羽真を除くクラスの大半の男子がメイドを凝視し、その男子に女子が氷河期のような冷たい視線で見ている。ハジメも凝視しそうになったが悪寒を感じたのか正面に視線を固定していた。そして、飛羽真はというと、
「・・・・・・」
「八神!こんな状況で君は何をしてるんだ!?」
飛ばされる前に手に取った鞄から木乃香達作の弁当と優花がお礼と言って渡してくれた弁当を取り出し食べ始めた。シリアスな雰囲気などお構いなしに食事を始めた飛羽真に光輝が言うも
「あぁ?見ればわかるだろう。飯食ってるんだよ飯。こっちは腹が減って仕方がないんだよ。話なら飯を食いながらでも聞けるから俺に構わずに始めてくれていいぞ、爺さん」
「八神、お前」
「で、では・・・」
目上の者にする態度ではないことに光輝は怒りをあらわにする。イシュタルも飛羽真の行動に思うところはあるが今後のことを考えると下手に刺激するわけにもいかなかったのでそのままにし、話を始めた
イシュタルの話を要約すると、ここはトータスと呼ばれる世界で、“人間族”、“魔人族”、“亜人族”と呼ばれる3つの種族が存在すること。その中でも“人間族”と“魔人族”は何百年も戦争を続けていること。“魔人族”は個の力で“人間族”は数の力で対抗していたが、互いの戦力は均衡しており大規模な戦争はここ数十年起きていなかったらしいが、その均衡が最近破られてしまった。“魔人族”が"魔物”と呼ばれる生物を大量に使役し始めたという。"魔物”とは野生の動物が魔力を取り込んで変異した存在で、個としての実力も高いうえに種族特有の魔法を扱うことが出来る。"魔物”は"人間族”だろうと"魔人族”だろうと関係なく襲い掛かり、使役することが出来ても1,2体が限度だったのだが、その常識が覆されたのだ。数としての有利を失った“人間族”、そんな彼らにある神託が下った、それが勇者の召喚である
「貴方方を召喚したのは“エヒト”様と呼ばれる我々人間族が崇める聖教教会の唯一神です。召喚された貴方方はこの世界に人間に比べ上位の力を秘めています。ぜひその力を発揮し、エヒト様のご意志のもと、“魔人族”を打倒し我ら“人間族”を救っていただきたいのです」
「(あの表情、この爺さんはあの教皇と同類だ)」
弁当を食べ終え、爪楊枝で食べかすを処理しながらイシュタルのほうを見ていた飛羽真は恍惚するイシュタルの表情を見て、あの教皇と同類、あるいはそれ以上に危険な人物だと認識した
「ふ、ふざけないでください!結局、この子達に戦争をさせようってことでしょう!?そんなの許しません、先生は絶対に許しませんよ!私達を早く返してください、ご家族も心配しているはずです。それに、どんな大層な理由を並べようと貴方達のしていることはただの誘拐です!!」
そんなイシュタルに抗議を上げる人物がいた。彼女の名は“畑山愛子”。飛羽真達のクラスの担任を務めている女性だ。皆からは“愛ちゃん”という愛称で親しまれており、飛羽真もその一人だ
「お気持ちはお察しします。ですが、貴方方の帰還は現状では不可能なのです」
「ふ、不可能ってどういうことですか!?喚べたのなら帰せるはずでしょう!?」
「先程も言った通り、貴方方を喚んだのはエヒト様です。我々ではエヒト様のような世界に干渉出来る魔法を扱うことができません。ですので、貴方方が帰還できるかどうかもエヒト様のご意志次第ということです」
「そ、そんな」
イシュタルの言葉に愛子は脱力し、生徒もパニックに陥る。そんな中、大きな音がなった。生徒全員が音のなったほうを見ると光輝が自分の手をテーブルにたたきつけていたのだ
「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。俺は・・・・俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って放っておくなんて俺にはできない。それに人間を救済するために召喚されたのなら救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。だから、俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が、俺が世界も皆も救って見せる」
「(その自信はどこから来るんだ?)」
光輝の言葉を聞いて飛羽真は心底あきれ果てた。そんな飛羽真の心情をしらずか次々と光輝の意見に生徒達が賛同していった
「(はぁ~~しゃあない)」
『告。それを言うのは現状やめたほうがいいと思われます』
飛羽真は言葉を大賢者が止めた
「(なんでだ?)」
『解、今それを言って、士気が下がれば行く当てもなくこの世界をさまようことになります。最悪の場合、殺される危険も』
「(一理あるな。行動するなら1人のほうが得策か)」
大賢者の言葉に納得した飛羽真は発言をやめ、今は従い牙を研ぐことにいた。自分達をこの世界へと喚んだ者へと突き刺す牙を
ユエをどちらのヒロインに入れるか?
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ハジメ
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飛羽真