“大賢者”と“ガチャ”を得た転生者の冒険譚   作:白の牙

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第04話

 戦争への参加を決めた飛羽真達クラスメイトは力があるとはいえ戦いのたの字も知らないド素人(飛羽真を除く)であるため当然、戦いのすべを学ばなければならない。教会もそのことを当然視野に入れていたらしく、聖教協会と密接な関係にある“ハイリヒ王国”と呼ばれるエヒトの眷属であった人物が建国した国で生活をしながら教わることとなった。王国に到着し、その国の王や宰相、騎士団長等が紹介され、それが終わると晩餐会が開かれた。

 

 「・・ごちそうさまでした」

 

 異世界料理に皆が舌鼓を打つ中、さっさと食べ終えた飛羽真は1人席を立つ。

 

 「おや、お口に合いませんでしたかな?」

 

 「いえ、大変おいしかったです。色々とありすぎて混乱しているものですから、お先に失礼させてもらいます」

 

 「そうでありましょうな。これ」

 

 王が手を叩くと1人のメイドが前に出てき、そのメイドに案内され、用意された部屋まで行き、人の気配が無くなったのを確認するとスマホを取り出し、電話帳から1人選んで通話ボタンを押す。繋がらないのが普通なのだが、飛羽真のスマホは特別製で例え世界が違おうと。

 

 『『『飛羽真/君!?』』』

 

 「うぉ!?」

 

 普通に繋がるのである。

 

 「大きな声出さないでくれ、頭にくるし、誰かにばれちまう」

 

 『集団で行方不明になったってテレビで放送されてるけど、大丈夫なの!?』

 

 「今のところは大丈夫だ。まぁ、厄介なことに巻き込まれちまったけどな」

 

 飛羽真はフェイト、木乃香、シルヴィアの3人に聞いた話をかいつまんで話、現状を伝える。

 

 『じゃあ・・飛羽真はまた戦争に参加させられるの?』

 

 「機を見て抜け出し、帰れる方法がないか調べるつもりだ。それまではおとなしく言うことを聞いてるさ。まぁ、俺を喚んだエヒトという神にも教会にも仕返しはさせてもらうけどな」

 

 飛羽真の脳内では自分達を喚んだエヒトもあの女神同様ろくでもない神だということになっており、仕返しはするつもりのようだ。

 

 「しばらくの間、騒がしいかもしれないからシルヴィのマネージャーに頼んでマンスリーマンションを探してもらってそこに避難しておいてくれ」

 

 『解った。それと絶対に、絶対に帰ってきてね』

 

 『約束やからね』

 

 『死なないでね』

 

 「あぁ、必ず戻る。約束だ」

 

 その後、よほどのことがない限り必ず連絡することを約束すると飛羽真はベッドに倒れこむ。

 

 「一度目の転生で2回も異世界に来ることになるなんてな~~。まぁ、やることは前と何ら変わらない。何が何でも生き残る、それだけだ。・・・アイテムのチェックでもしておくか」

 

 飛羽真はスマホを操作してこれまでガチャで手に入れたアイテムの個数を確認する。さらに親しい者に渡せそうなスキル、アイテム等がないかリストアップも同時に行う。一通りの作業を終えると、襲い来る睡魔に身を任せ、意識をなくした。

 

 

 

 

 

 

 そして、翌日。大広間で朝食をとった後、飛羽真達は訓練場らしき場所に案内され、それぞれプレゼントカードぐらいの大きさの銀色のプレートを渡された。

 

 「よし、全員に配り終ったな?このプレートはステータスプレートと呼ばれ、客観的な自分のステータス、職業を示してくれるものだ。最も信頼できる身分証明書でもあり、これがあれば迷子になっても平気だからなくすなよ?」

 

 飛羽真達の訓練を担当することとなったハイリヒ王国の騎士団長“メルド・ロギンス”が自身のステータスプレートを見せながら飛羽真達に話す。

 

 「プレートの一面に魔方陣が刻まれているだろう?そこに、自分の血を一滴垂らすことで所有者が登録される。登録が終わったら“ステータスオープン”と言えばプレートに自分の現在のステータスが表示される」

 

 「(尚文さん達、勇者しか見れなかった自身のステータスを見れるってわけか。だけど、どういう原理で動いてるんだ?)」

 

 「あぁ、原理と聞くなよ?そんなもの知らないからな。何せ神代のアーティファクトの類だからな」

 

 「アーティファクト?」

 

 飛羽真が疑問に感じていたことをメルドが答えにさらに首を傾げる。そして、メルドはアーティファクトについての説明を始めた。それを聞いた飛羽真は、

 

 「(つまり勇者の武器や眷属器みたいなものか)」

 

 1人に納得し、プレートと一緒に渡された針を指に軽く刺し、滲み出てきた血を魔方陣に垂らした。プレートが淡く輝き、そして、

 

 八神飛羽真 17歳 男 レベル1

 天職:剣士 錬成師 召喚師

 筋力:500

 体力:500

 耐性:500

 俊敏:500

 魔力:200000

 魔耐:145000

 

 技能:剣術、錬成、召喚、格闘術、魔力操作、闘気、縮地、火属性適正、土属性適正、風属性適正、気配感知、言語理解

 

 

 

 「・・・・・・」

 

 「全員見れたようだな。では説明を再開する。まず最初に“レベル”があるだろう?それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルはその人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。まぁ、そんな奴はそうそういないがな。そして、ステータスは鍛練で当然上昇する、魔法や魔法具で上昇させることも出来る。また魔力の高い物は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことは解っていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前らように装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者ご一行だからな。国の宝物庫大解放だぞ」

 

 「(異世界から戻ってくる前に見たときはもっと高かったような)」

 

 『(解。恐らく異世界に来たことにより弱体化したものかと思われます)』

 

 「(つまり、あの時と同じってわけか)」

 

 「次に“天職”ってのがあるだろう?それは言うなれば才能だ。末尾にある技能と連動していてその天職の領分にい置いては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦闘系天職に分類されるのだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが、百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくもない物も結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

 「(じゃあ、天職を三つ持っている俺はどうなんだ?)」

 

 召喚師はどの部類に入るか分からないが戦闘職、非戦闘職、両方を持っている飛羽真は規格外の部類に入るのだろう。

 

 「後は、各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな!全く羨ましい限りだ!あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなくちゃいけないからな」

 

 「(大賢者、ステータスの隠蔽って出来るか?あのバカに絡まれたくないんだ)」

 

 『解。ツヴァイト・ファントムと唱えれば隠蔽可能です。それと、魔力操作も隠蔽することを進めます』

 

 「(分かった)ツヴァイト・ファントム」

 

 飛羽真はステータスプレートに手をかざし周りに聞こえないよう小さな声で唱えると淡い光がステータスプレートを包み込み、光が無くなると飛羽真は再び自分のステータスを確認する。結果、

 

 八神飛羽真 17歳 男 レベル1

 天職:剣士 錬成師 召喚師

 筋力:100

 体力:100

 耐性:50

 俊敏:100

 魔力:200

 魔耐:145

 

 技能:剣術・錬成・召喚・格闘術・闘気・縮地・火属性適正・風属性適正・気配感知・言語理解

 

 と、なっていた。

 

 「(そういえば南雲はどうなんだ?)」

 

 ハジメのことが気になった飛羽真はハジメのほうを見ると、自分のステータスプレートを凝視しながら青い顔をしていた。そして、自身の正義感を刺激され、戦う意味も知らずに戦争への参加を決め、クラスメイトまで巻き込んだ馬鹿、もとい光輝が最初に自身のステータスを教え、周りを騒がし次々と自身のステータスを見せていくクラスメイト達。ハジメの番となりメルドが苦笑いしながらハジメの天職を説明した後、檜山がハジメに絡み始めた。

 

 「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦闘職か?鍛冶職でどうやって戦うんだよ?メルドさん?その錬成師って珍しんっすか?」

 

 「・・・いや、鍛冶職の十人に持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

 

 「おいおい、南雲~~。お前そんなんで戦える訳?」

 

 メルドの説明を聞いた檜山はこれ見よがしに絡む。よく見ると他の男子(幸利除く)もにやにやと嘲笑っている

 

 「さぁ、やってみないと分からないかな?」

 

 「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がしょぼい分ステータスは高い・・・っ!?」

 

 メルドの説明と表情で察しているだろうに檜山はわざとらしくハジメにステータスプレートを見せるよう言おうとした時、強い衝撃と共に檜山は遠くに吹き飛び、地面に倒れた。慌てて取り巻きの3人が近づくが鼻血を流し、痛みに悶えていた。

 

 「弱い者にしか強く出れねぇ古典的な小物がそれ以上喋るな。耳障りだ」

 

 それをやった人物、飛羽真は拳を突き出した状態で立っていた。

 

 「ひ、檜山君、大丈夫ですか!?八神君、どうして」

 

 「南雲に関わるなって言ったのにちょっかいを出したからですよ。言っても解らない奴には身体で分からせるしかないでしょう?それと話を聞いて笑っていた男子共、今回だけは見逃してやる。だが・・・・次はねぇぞ?」

 

 飛羽真は笑っていた男子たちを睨んで忠告すると、メルドに自分のステータスプレートを見せる。

 

 「天職が・・・三つだと!?」

 

 「珍しいことなんですか?」

 

 「珍しいも何も、天職というのは一つが当たり前なんだ。しかし、この召喚師というのは・・・見たことがないな」

 

 「つまりレアな天職ってことですか」

 

 思い当たる節がある飛羽真だったが、ここは知らないふりをした。自身のステータスプレートを見せるのが終わり、戻ろうとすると、愕然としたハジメと慌てている愛子、心配そうに声をかける恵理と香織がいた。

 

 「どういう状況だあれは?」

 

 「愛ちゃんが南雲君に止めを刺しちゃったの」

 

 見ていたであろう雫に尋ねると雫は苦笑いしながらそう答えた。

ユエをどちらのヒロインに入れるか?

  • ハジメ
  • 飛羽真

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