不思議な不思議な光に導かれ、少女は運命と出会う。
薄紫のツインテールを風に靡かせて、夕暮れの路地を駆け抜けていく。自宅の窓から偶然目にした赤い光を追い掛けて、気付けばミリアムは近所の公園に辿り着いていた。
そこそこ広いが、どこか寂しい公園だ。小さな滑り台とジャングルジム、ブランコが一つずつあるだけの空間。今は子供の姿も見えないので、余計に寂寥の念を覚えてしまう。
その場所でミリアムは出会った。
公園のど真ん中。先程まで追い掛けていた赤い光がゆっくりと輪郭を生み出し、形を成していく。そうして現れた
「なんなんじゃ、これは……」
ミリアムは公園の入り口で立ち尽くし、目を丸くする。
それは見た目とサイズだけで言えば、フワフワでモコモコなぬいぐるみ。丸い顔と丸っこい体の二頭身。何より特徴的なのは、アルファベットのCを模った耳と尻尾。
呆然とした少女をよそに、その物体がただのぬいぐるみでないことを示すかのように、言葉を発する。
「こんにちは、僕チャーミィ! コアと契約して魔法少女になってよ!」
「もしもし、もしもし。保健所かの? 近所の公園に、珍獣が出たんじゃ。今すぐ来てくれぬか?」
「誰が珍獣だっ!」
「ひえっ、襲ってきた! 猟友会! 猟友会を呼んでくれぇ!」
「フーッ、フーッ、……落ち着いたかい?」
「はぁ、はぁ、はぁ、落ち着いたのじゃ……」
滑り台の滑り面、その一番下の部分に座り込んだミリアムがチャーミィに返事をする。
一人と一匹は公園の中でひとしきり追い掛けっこを繰り広げた後、疲れ果てて停戦へと至った。
「それで、改めて自己紹介するけど。僕はチャーミィ、チャームの妖精だよ」
「そのチャームとやらが何かは知らぬが。妖精とな? 珍獣のぬいぐるみではないのか」
「ぬいぐるみが喋るわけないじゃないか。君は何を言ってるんだ」
「妖精とか言い出す方が、何なんじゃ」
目の前に厳然と存在する非常識にミリアムは困惑する。
だが、名乗られたなら名乗り返すのが礼儀。珍獣呼ばわり、ぬいぐるみ呼ばわりして礼も何もあったものではないが、それでもやらねばならない。まともに話が通じる相手なのだから。口調はアレだが、ミリアムも一応お嬢様なのだ。
「名乗るのが遅れたのう。わしはミリアム・ヒルデガるっ…………ミリアム・ヒルデぎゃっ…………ミリマっ…………。ミリアムじゃ!」
「自分の名前を妥協するのか……」
噛み噛みでも、毅然と胸を張る。だってお嬢様だもの。
「それでチャーミィとやら。お主、魔法少女がどうとか契約がどうとか言っておったな。はっきりと断っておくが、わしは連帯保証人にはならんぞ」
「そういう契約じゃないから」
そう低い声で否定すると、チャーミィは自分の体のモコモコの中に手を突っ込んで、赤く輝く宝玉を取り出した。
「ミリアムにはこのマギクリスタルコアと契約して、魔法少女になって欲しいんだ。そうして魔法の杖、チャームを使って戦ってもらいたい」
「戦う? ちょっと待て、何と戦うのじゃ?」
「……悪の秘密結社、ヒュージアン。この世界は奴らに狙われている」
デフォルメされた、ぬいぐるみのような姿で大真面目にそんなことを言い出すものだから、ミリアムは思わず頬を引き攣らせた。
「そのなんちゃらアンとかいうのは、危険な奴らなのか?」
「ヒュージアンは人知れず侵略を始めているんだ。最近起きてる原因不明の火災や爆発事故は、奴らが暗躍した結果なんだよ」
「ほうほう、成る程のう。ではわしの幼馴染の楓が好きな娘にフラれたのも、親戚の高松の叔父貴がいつまでも結婚できないのも、全部ヒュージアンの仕業じゃな!」
「……さては君、僕の話を信じてないな?」
「い、いや、信じていないこともないこともないぞ? ……うぷぷっ」
遂には堪え切れず、ミリアムの口から忍び笑いが漏れる。
「あ~やだやだ。最近の子供には素直さってものが足りないね。そのくせ要らない知識ばかりしっかり持ってるんだから、質が悪い」
「そうは言うがのう。お主の話を全て鵜呑みにしろというのは無理があるぞ。お主が普通でないのはよく分かったが、そこまでじゃ。せいぜい生物学者やサーカス団が喜ぶぐらいじゃろう」
「だから珍獣じゃないって言ってるだろ! 食っちまうぞーーーっ!」
チャーミィの丸い顔が一瞬で膨れ上がり、人の頭でも丸かじりできそうなほど大きな口を開ける。
その光景を前にして、ミリアムは先程の話を少しは信じる気になった。魔法がどうのこうのという問題ではない。少なくとも、今目の前に、この街を脅かしかねない存在を認めたからだ。
あわや珍獣の餌か。ところがチャーミィが飛び掛かる寸前、夕暮れの公園に乾いた発砲音が木霊する。
「動くな! 鎌倉猟友会だ!」
「ギャー! 撃ってきたぁ!」
「お前が人語を操る猛獣か。もう抵抗しても無駄だぞ~」
「綿が出る! 綿が出るぅ!」
「なんじゃ、やっぱりぬいぐるみではないか」
その後なんやかんやあって、ミリアムはコアの契約に同意するのだった。
「それで、契約とはどうすれば良いのじゃ? どうやって魔法少女に変身するのじゃ?」
後日、一人と一匹は再び例の公園へと集合していた。
「なんだよ。あれだけ馬鹿にしてたくせに、やけに乗り気じゃないか」
「いやー、最初は信じてなかったからのう。じゃが本当に魔法少女になれるのなら、こんなに嬉しいことはないぞい」
実の所、ミリアムは変身魔法少女ものが大好きだった。アニメは毎話視聴するし、グッズも買い集めている。無論フィクションだとしっかり認識していたので、当初はチャーミィの言を訝しんだのだ。
そんなミリアムの掌返しに対して、チャーミィは溜め息を吐きつつも、もう一度あの宝玉を取り出した。
「はい、マギクリスタルコア。これを握り締めながら、『魔法少女になりたい』って強く念じるんだよ」
「それで?」
「それだけ」
「変身の呪文は?」
「ないよ」
「テクマクマヤコン、テクマクマヤコンとかは?」
「そんなの、ないよ」
「ガーン、じゃな……」
軽くショックを覚えるミリアム。現実はやはり厳しい。
とは言え、ある程度は妥協して指示通りにコアを握ってみる。
そこから先は早かった。ミリアムの小さな手の中で、赤い宝玉が紫の光を放つ。光はあっという間に彼女の全身を包み込み、前回と同じく陽が落ちて子供の居ない公園を照らす。
体感で、十秒ほど。実際はもっと短かっただろう。光が収まった時、ミリアムの右手には本人の背丈よりも長大な魔法の杖が握られていた。
「これが、魔法の杖とな?」
「魔法の杖、チャーム。名はニョルニール」
「わしにはハンマーか鎌に見えるのじゃが」
「魔法の杖だよ。魔法の杖。文句はデザインした真島博士に言ってよね」
よく聞き知った者の名を耳にして、ミリアムの眉がぴくりと動く。
「それはもしや、お隣の百由様の親父殿のことかの?」
「娘さん本人だよ」
「何と! 天才だとは思っておったが、魔法に関わっていたとは! あの百由様が!」
ミリアムと一つ年上の真島百由は家族以上に親しい間柄だった。その百由が魔法少女に関係していると知り、驚きと誇らしさが込み上げてくる。
「一つ気になったんだけど、その百由様って呼び方なんなの? 様付けって」
「百由様は百由様じゃ。こう呼んだらお菓子をくれるし、膝の上に乗せてくれるのじゃ~」
「うわっ。君、人との付き合い方を考え直した方がいいよ」
「ケダモノに人付き合いを諭されてしもうた……」
気を取り直し、ミリアムは次に自身の格好に注目する。今まで身に着けていた衣服が影も形もなくなって、代わりに薄手の黒衣を纏っていた。魔法少女お約束の一つ、コスチューム早着替えである。
「しかしこの衣装、ノースリーブで肩がスース―するのう。それに肌にピッチリで何やら変な感じじゃわい」
「言っとくけど、その衣装も真島博士考案だからね」
「ほう! 百由様も中々面白いものを考えたな!」
「もう突っ込まないよ」
そして、話題は再びチャームへと戻る。肝心要の、武器としての性能について確かめなければならない。
「ところでこのチャーム、どうやって使えば良いのじゃ? どんな魔法が使えるのか教えてくれ」
「そうだね……。まず現在のブレイドモードだけど。これは、思い切り振りかぶって敵を殴る」
「なぐ、る……?」
「次にチャームを形態変形させたシューティングモード。これは、20mm機関砲弾での射撃戦が可能だよ」
「機関砲……」
あまりに身も蓋も無い現実にミリアムは絶句する。
魔法、なのだ。せっかくの魔法なのだ。それなのに、戦いとは言え血と汗と硝煙に塗れそうな使い方をしていては、魔法少女が台無しである。
「今更じゃが、そもそもチャームとは何じゃろう」
「Counter Hugeien ARMS、略してチャーム。魔法と科学の融合体。ヒュージアンに対抗できるほとんど唯一の武器なんだ。ちなみに、僕の耳と尻尾のCはチャームの頭文字から取ってるんだよ」
「なんと。視力検査のランドルト環ではなかったのか」
「眼鏡屋じゃあないんだよ」
チャームについて分かったような、分からないような。
ところで魔法少女に欠かせない要素として、魔法の杖に変身コスチュームと来て、三つ目に挙げられるものがある。
「これまでの流れからして期待はできぬが、必殺技は無理じゃろうな」
「あるよ」
「やはり……って、あるのか!?」
「あるよ」
ミリアムはチャーミィに掴み掛からんばかりの勢いで詰め寄る。
「頼む、教えてくれ! 魔法少女と言ったらやはり必殺技じゃろう!」
「何か認識が偏ってない? まあ、教えるのはいいけど。でも扱いには気を付けてよ? チャームを握って技の名を口にするだけで発動するんだから」
「うむ、承知した!」
「じゃあ教えるよ。技の名はフェイズトランセンデンスで……」
「フェイズトランセンデンス?」
「あっ、ちょっ――――!」
次の瞬間、ミリアムの手の中にあるニョルニールが打ち震えた。分厚くごつい刃の部分が左右に開き、ロッドの先端がそのまま砲口と化した。
魔力の高まりを感じる。初めての経験だったが、それが魔力なのだとミリアムは感覚で理解した。そして理解した直後には、真上を向いたニョルニールの砲口から光の奔流が放たれる。
ミリアムの髪色と同じ薄紫の極太レーザーが、夕焼けの赤に染まった雲を貫いた。
「おおぅ、ここまでとは……」
「だから言ったじゃないか! 街中でっ、何考えてるんだ!」
砲撃の反動により、ニョルニールを握る手が未だ震えている。はっきり言ってミリアムの想像以上であった。チャーミィが口角泡を飛ばすのも無理はない。
街のど真ん中に出現した極大の光は、幸いなことに物理的な被害こそ生み出さなかったものの、あまりに目立ち過ぎていた。
「鎌倉猟友会だ! 今の光は何だ!?」
「ギャーーー! 出たぁー!」
「やれ、またお前か。街が壊れるなあ」
「僕じゃない! 僕じゃない!」
「つべこべ言わずに来い、ほら! ヤキ入れてやる!」
「うわーん! 動物虐待だー!」
「お主、妖精なのか獣なのかハッキリせい」
その後なんやかんやあって、ミリアムはニョルニールと共にヒュージリアンとの熾烈な戦いに身を投じることになる。
魔法少女ミリアムと悪の秘密結社ヒュージアン。両者は鎌倉の地を舞台に幾度となくぶつかり合った。
世界征服を企む巨悪にミリアムが立ちはだかる。そんな彼女に対して、ヒュージアンは数多の刺客を差し向けてきた。怪人に怪生物、ロボット兵器。それらは魔法少女の手でことごとく打ち倒された。
そうして結社の誇る二大戦力、『三つ首の火吹き蜥蜴』と『二足歩行の空飛ぶ大亀』を撃破した後、ミリアムは遂に敵首領の足取りを掴むことに成功した。
やって来たのは人里離れた採石場だ。ここにヒュージアンの本拠地である地下要塞が存在するらしい。
「それにしても、こんな大事な時にチャーミィの奴はどこに行ったのじゃ。百由様とも最近連絡が付かんし」
ミリアムが腕組みしながらぼやいた。
しかし本心で言えば、それほど心配していない。どうせ百由は研究に没頭しているのだろうし、チャーミィはとうとう保健所に放り込まれたのだろう。さしたる問題ではなかった。
ミリアムは思考を本題へと戻す。
「しかしどうやって地面の下からおびき出したものか……」
できるならば地上で戦いたい。思い切り力が使えるからだ。けれどもそのためには敵の首領を引きずり出す必要がある。
採石場の真ん中に立ち尽くして思案するミリアムだったが、その悩みは程なくして解消された。
前方、荒涼たる岩の大地に突風が吹き荒ぶ。宙に舞い上げられた砂埃の向こう側から、人影が近付いてくる。
埃が徐々に霧散していき、人影が鮮明になってきた。長い黒髪と赤縁メガネ。その姿をミリアムはよく知っている。狂おしいほどに知っている。
何かの間違いだ――――
そう思いたかった。
だがそれ以上に、理屈ではなく直感で理解してしまった。
「百由様が、ヒュージアンの首領だったのか」
相対する彼女の顔は、ミリアムの知る彼女のままであった。洗脳されているわけでも、刹那の衝動に駆られているわけでもない。素の真島百由、そのものに見えた。
「ぐろっぴ、よくここまで辿り着いてくれたわ。私の期待した通りに」
「どういうことなのじゃ。そもそも、どうしてヒュージアンの親玉がヒュージアンを倒すチャームを作るのじゃ! 答えてくれ、百由様!」
「勿論、ここまで来たぐろっぴには教えてあげる。私の目的共々ね」
百由は目と口を一旦閉じた後、改めて話を続ける。
「ぐろっぴ、一昨年の身長は幾つ?」
「んっ? 144じゃ」
「去年の身長は?」
「146じゃ」
「今年は?」
「147」
「成長してるじゃないの!」
「そりゃ成長するわい」
わけが分からず困惑しきりのミリアム。
その一方、百由は捲し立てるように口を動かしていく。
「駄目よ、そんなの駄目。ぐろっぴはいつまでも今のぐろっぴじゃないと駄目。そこで私は人の姿を永遠に固定化させる装置を開発した。だけどそれを動かすには、想いの力を思念波にして供給しなければならない」
「何を、何を言っておるんじゃ……」
「世界征服を企む悪の秘密結社を、魔法少女のぐろっぴが倒す。そうすれば世界はぐろっぴを褒め称え、強大な想いのエネルギーが生み出される。そう、少女姿のぐろっぴに対してね」
「何を言っておるんじゃ百由様! ならば、今までの戦いは全て仕組まれたことだというのか!」
叫ぶミリアムに対し、百由は静かに頷く。
「既に必要なエネルギーは貯まったわ。さあ、おいでぐろっぴ。その可愛らしい姿のまま、悠久を共に過ごしましょう」
「馬鹿を言うでない! そんな装置、今ここでわしが破壊する! この茶番も終わらせるのじゃ!」
当人に思い切り拒絶されても、百由に動じた様子は見られない。まるで初めから想定していたかのように。
「なら仕方ないわ。ちょっとだけ大人しくしてもらいましょうか」
その言葉を合図にして、二人が相対している採石場を地響きが襲う。
百由の立つすぐ横で、地面が左右に大きくスライドし、地中から巨大な影がせり上がってくる。
それは50メートルにも達する巨体。くぐもった低い唸り声は、大地を揺るがし天にも届く。
「我が魔道と科学の極致、ギガント・バイオ・チャーミィ君よ!」
「ち゛ゃ~み゛~ぃ~」
丸っこくファンシーな見た目はそのままに、山の如き体躯と化したチャーミィが吼える。
幾らファンシーなままとは言え、そのサイズだけでも脅威となる。単純な質量、単純な暴力こそが、この世で最も優れた力なのだ。
「チャーミィお主、見かけないと思ったら、そのような姿に……」
決して長い付き合いではない。どつき、どつかれ、思えば衝突ばかりしていた気がする。
だがそれでも、自称『チャームの妖精』の変わり果てた姿を前にして、ミリアムの中に何かが込み上げてくる。
「ち゛ゃ~み゛~!」
再度の咆哮と共に振り上げられる拳。
それを見たミリアムは地を蹴って飛び上がる。薄紫の光を全身に纏い、ニョルニールを構えてチャーミィに突っ込んでいく。
振り下ろされた巨腕と無骨な刃が激突した。
ミリアムの華奢な体は衝撃で呆気なく弾き飛ばされてしまう。しかし同時にチャーミィの巨体もまた、よろめきながら後ずさる。
「来なさい、ぐろっぴ。勝っても負けても愛してあげるわよ~」
「チャーミィをその姿から解放し、ヒュージアンを叩き潰し、百由様の頭を冷やさせる。この魔法少女ミリアムが!」
空中で身を翻して体勢を整えたミリアム。纏った輝きはより一層強くなり、疾風となって宙を翔ける。
チャーミィが今度は助走をつけて、拳を振りかぶりながら前進を開始する。
「うおおおおおおおおおっ!」
「ち゛ゃ~み゛~!」
両者激突。
眩い閃光と怒涛の如き衝撃波が採石場を覆い尽くす。
世界の命運はこの一戦に託された。
魔法少女ミリアムの勇気が全てを救うと信じて――――
「――――という夢を見たのじゃ」
ここは工廠科そばのラウンジ。ソファの上にどっかりと胡坐を掻いたミリアムが長口上を終えたところ。
話を聞き終えたレギオンメンバーやシュッツエンゲルの反応は様々だった。
「何事かと思えば……。最後まで聞いて損しましたわ」
そう言って楓は紅茶のカップを口に運ぶ。何だかんだ言って、最後まで聞く時点で付き合いが良い。
「夢にまで百由様を見るなんて、本当に大好きなんですね! 私もよく夢でお姉様と一緒になるんだ~」
「梨璃さんのは、夢は夢でも白昼夢じゃないですか?」
「ち、違うよぅ」
梨璃と二水は何やらおかしな方向へと話が進んでいる。
「ちょっとー! それ納得いかないわ!」
ミリアムの長話に異議を唱えたのは、物語の登場人物でもある百由だ。
「それじゃあまるで、私が幼女趣味の変態みたいじゃない!」
「違うのか?」
「私は幼女が好きなんじゃなくて、好きになった子がたまたま幼女だっただけよ!」
「変態は皆そう言うんじゃ。あと、わしは幼女ではないぞ」
そんなシュッツエンゲルとシルトの言い争いの中、ふと、二水が素朴な疑問を口にする。
「でも夢の割に、やけに具体的でしたねえ」
「うむ。起きてすぐに文字に起こしたからのう。お陰で午前中の講義がしんどかったぞ」
「えぇ……。まあ、物書きの端くれとして気持ちは分からないでもないですが……」
「そうじゃ! 今度『変身魔法少女制作委員会』にこの話を送ってみよう!」
いいことを思い付いたと言わんばかりに、ミリアムが声のトーンを上げる。
実は彼女の夢、とある魔法少女アニメの影響を強く受けていた。何せ夢に出てくるぐらいだから、いかに熱心なファンかは推して知るべし。
「上手くすればスピンオフ作品として採用されるやも。ふっふっふ、わしの頭の中の物語が地上波に流れる日も近い!」
「私は変態じゃなーい!」
こうして今日も工廠科の余暇は過ぎて行く。
そらくす長編構想中にもかかわらず、ライブの影響でヘルヴォル熱が再燃してしまった…
と言うか一柳隊もまだ書き足りない…
体があと三つぐらい欲しい…