「もうすぐ戦技競技会ですよ!!!」
LGラーズグリーズ、通称一柳隊の控室にて
「随分と張り切ってますこと」
「当然ですよ楓さん! 新型チャームを携えたスターリリィたちのデモンストレーション! いつもと一風変わったチーム分けによる対抗戦! リリィオタク必見の祭典! この日、私は一瞬たりとも
「ぶっ倒れますわよ?」
普通の学校でいうところの運動会に代わって開かれる戦技競技会。それは名前の通り常日頃から鍛え上げてきた戦闘技術の切磋琢磨の他、時節のイベントという性質も色濃く持っていた。リリィも何だかんだ言って学生、イベントごとが好きなのである。
「結梨ちゃんも出るもんね?」
「うん!」
「一緒に一杯練習してるもんね~」
ロングのソファに梨璃と結梨が隣り合って座っている。結梨が抱き抱えているチャームは浅紫色のグングニルだった。
「結梨ちゃん! 結梨ちゃんの応援に行くペン!」
「モンちゃん、絶対来てね! 約束!」
「ペン! それからモンちゃんも戦技競技会、出るペーン」
テーブルの隅の方、リリィたちの輪にしれっと加わっていたモンちゃんが両手の翼を上下させながらそう言った。
「モンちゃんは出れませんわ」
「ペェン!?」
「当たり前でしょう。リリィでもないしチャームも使えないのに。射的の的にでもなるおつもり?」
楓の口から残酷な事実を宣告されると、モンちゃんは氷山からシャチの徘徊する海中へ叩き落されたかの如き衝撃を受ける。
「ペ、ぺェン。モンちゃんも皆と一緒に競技会出たいペン……」
「無理なものは無理ですわ」
「ペェン……」
にべも無い対応に、丸い瞳をうるうると潤ませて立ち尽くす。そんなモンちゃんの様子に控室全体が微妙な空気となる。普段から一柳隊に可愛がられてきたからだ。
「楓、お前って奴は……」
「わたくしのせいではありませんわよ!?」
鶴紗が多くは語らずとも神妙な視線を向ける。
「楓さん、何とかならないんでしょうか? せっかくの競技会なのに……」
「うっ」
梨璃にお願いされては流石の楓も無下にはできない。本人が言った通り楓のせいでは全くないのだが、梨璃が出てきてはそんなことを言っている場合ではないのだ。
「ま、まあ、競技自体には出れなくとも、競技会の運営の手伝いぐらいなら関われるかもしれませんわね。生徒会に掛け合えば、恐らく」
嘘は言えないので、楓は実現可能な妥協点を考え出す。
「そう言うことなら、
「うわぁ、ありがとうございますお姉様! 楓さんも!」
梨璃と共に結梨を真ん中に挟んで座る黒髪長髪のリリィ、
「よかったね、モンちゃん」
「ペン……」
結梨に励まされるものの、モンちゃんはまだ少し浮かない様子。
「まったく、幾ら女の子といってもチャームの扱いまでは想定していませんわよ」
「……この子、メスだったのか」
「あら鶴紗さん、今更ですわね。いつもモン
「ジェ、ジェンダーバイアス……」
◇
そして戦技競技会当日。
百合ヶ丘女学院の戦技競技会は一般の運動会と同じように、グラウンドを中心とした校内の敷地を利用して開催される。とは言え、ガーデンはその敷地自体がとても広い。特に都市部から離れた強豪ガーデンなら尚更だ。普段から訓練に使用しているので当然なのだが。
そんな広大な敷地に集う全校リリィ。早朝、開会式を前にしてじわりと熱を帯び始めたグラウンドの中を、立ち売り箱を抱えたモンちゃんが忙しなく歩き回っている。箱の中にぎっちりと並べられているのは、ペットボトル入りの飲料水だ。
「お水~、お水~ペン。美味しいお水だペンよ~」
売り子のようだが、売っているわけではなく配っている。真夏でなくとも水分不足による脱水症状は普通に起こり得るのだ。特に今日のような日は。そしてそれは普段から訓練や実戦に出ているリリィたちもよく分かっている。
「あの子は?」
「ほら、楓さんのところの」
「確か、ペンちゃん!」
「モンちゃんだペン! 飲み物持ってない子はお水を取るペン。スポーツドリンクもあるペンよー」
身長40cmの体躯のどこにそんな出力があるのか、モンちゃんは大量の飲み物を抱えたまま大勢のリリィたちに囲まれる中をテクテク歩く。時折リリィの腕が伸びてくる度に立ち売り箱が軽くなっていき、人混みから出てきた時には完璧に配り切っていた。
その後、モンちゃんは会場の端に立つパイプテントへと向かう。そこは主にガーデン職員や生徒会役員などが出入りしている、いわゆる運営テントの一角である。
「お仕事終わったペ~ン」
そう声を掛けると、テントの中から銀髪のミディアムボブが表に出てくる。
「モンちゃんお疲れ様ー。あの量、大変だったでしょう?」
「そんなことないペン、楽勝ペンよ。祀ちゃん、次は何をするペン?」
「それじゃあ暫く自由にしてて。また後で頼むと思うから」
「了解だペン!」
生徒会のお手伝いに励むモンちゃん。当初こそ競技会に出れない現実に落胆していたが、いざこうして役目を与えられると心機一転、一念発起し運営サイドとして雑事に邁進していた。
「結梨ちゃんたちの出番は、まだ先ペンねえ」
時折すれ違うリリィの生暖かい視線を浴びながら、テントから離れてブラブラする。そんなモンちゃんに近付く影が一つ。
「やあ☆ 来たよ!」
「うげっ、出たペン」
チャーミィである。
「今日はお祭りの日! 楽しみだな~」
「て言うか何で普通に出入りしてるペン? 皆何故か馴染んでるし……」
「人気者だからね! さっきも『変身魔法少女チャーミィリリィ』の収録をしてたところだよ」
「世界観とか分かってるペン?」
目の前で両手両足を広げてポーズを決めるチャーミィ。その横をモンちゃんが通り過ぎようとすると、付いて来る。
「出店も出てるでしょ。チーズ牛丼食べよ☆」
「ふぅ、お気楽ペンねえ。モンちゃんは競技会のためにお仕事してるから、お遊びに付き合ってやれないペンよ」
「なになに~? 何してるの?」
「色々ペン。時と場合によっては、戦闘モードで出撃もできちゃうペン。今日は楓から戦闘オプションパーツの換装許可が下りてるぺーン」
そう言って自信たっぷりに胸を張る。皆からほとんど忘れ去られてはいるが、モンちゃんは戦闘サポートもできるロボットなのだ。
「チャームも無しに、どうやって戦うのかな?」
「ペン! モンちゃんにはチャームは無くても、CASがあるペンよ」
「近接航空支援?」
「違うペン! 『チェンジング・アームド・システム』だペン! その時が来たら、モンちゃんの勇姿を見せてやるペン」
突っ込みを入れたり入れられたり。二匹は並んでグラウンドの土の上を行く。そんな彼女らの姿に、やはりリリィたちの生暖かい視線が注がれる。
「そう言うチャーミィこそ、チャームの精霊だの妖怪だの大層なの名乗ってるけど、何ができるペン?」
「チャームの妖精はチャームの妖精だよ! 謂わば、全てのチャームの源なんだ!」
「ぺェン……?」
「全てのチャームは僕から生まれたと言っても過言ではないね」
それを聞いたモンちゃんは空を仰いで笑う。
「ペ~ン、ペンペンペンっ。これには流石のモンちゃんも失笑だペン」
「へぇっ?」
「知らんのかペン? チャームの起源が、我々グランギニョルにあることを」
「なっ、何だってーっ!?」
驚き慌てふためくチャーミィの大仰な仕草に気を良くしたモンちゃんだったが、突然その小さな体をガシッと掴まれ持ち上げられる。
「モンちゃん……何を恥ずかしいことをやっていますの」
「楓ぇ! 恥ずかしいとは何だペン!」
「そのような大ボラ、どこで覚えてきましたの!?」
「ホラじゃないペン! 昔、総帥が言ってたペン!」
「酔っぱらった時の世迷言を、真に受けるんじゃありませんわ!」
飼い主とペットが争い合う中、チャーミィの元にも一人のリリィがやって来る。二川二水だ。
「チャーミィさんチャーミィさん。よければサインをくれませんか?」
「僕のサインだって!? 勿論いいよ!」
「実はうちの兄の一人が、リリィオタクであると同時にチャーミィお兄さんでもあるんです」
「何ですの、その『チャーミィお兄さん』とやらは……」
モンちゃんにヘッドロックを仕掛けながら楓が横から尋ねてきた。
「ああ、チャーミィお兄さんというのは、変身魔法少女チャーミィリリィのファンのお兄さんのことです。イベントで最前列に並ぼうとしたり、敵怪人登場時に叫んだり」
「それは、何ともはや……」
「サイン貰って落ち着いてくれればいいんですが……」
リリィ二人が微妙な面持ちになり、チャーミィは何故か持ち歩いているサイン色紙にサインペンでサインを書き始める。
「ギブっ、ギブっペン」
そしてモンちゃんは楓に捕まったまま、己を締め上げる腕をペンペンと叩くのであった。
◇
背高の木々によって地面に振る日光が制限された獣道を、一羽のペンギンが全力疾走する。茂みから伸びた小枝が時に紫色の羽毛を打ち、元々綺麗だったはずの毛並みを汚していく。
ここは百合ヶ丘女学院敷地の外。鎌倉の緑深い山林。戦技競技会の真っ最中だというのに、どうしてモンちゃんがガーデンから離れたこのような場所に居るのか。それは少し前、生徒会の秦祀とのやり取りに起因していた。
「ペン? ガーデン周辺のパトロールペン?」
「そう。この百合ヶ丘の戦技競技会に合わせて、色んな組織の人間がうろついているようだから。その人たちのことを逆に情報収集して欲しいの。勿論、追い払うとかそういうことはしなくていいからね。もし万が一にでも危なくなったら、すぐガーデンに戻って来てちょうだい」
「ペン! 任せるペンよ。モンちゃんには写真も録画も、どちらの機能も付いてるペン。大船に乗ったつもりで待ってるペン!」
「ありがとう。じゃあモンちゃんの担当はここからここまでで。くれぐれも無茶はしないでね」
そう祀と約束したにもかかわらず、この有様。ヘマをしたモンちゃんは今絶賛、追っ手から逃走中だった。
「――――っ! ――――っ!!!」
その追っ手、山菜採りだか茸採りだかの装いをした人物が何事か叫んでいるが、聞き取っている余裕は無い。歩幅の差のせいで、徐々に間合いが縮まりつつある。そうしていよいよ、その時がやって来た。
「行き止まり、ペンっ」
目の前に広がる切り立った崖に、モンちゃんは急ブレーキを掛ける。逃げ道を探そうと振り返ったところで、追っ手が立ちはだかってきた。
「おじさん、どうして追い掛けてくるペン!」
「このっ、すっとぼけやがって! お前さっき俺のこと撮ってただろ!」
茸採りか何かに扮した男性が吠える。祀の言の通りならば、何らかの組織が放った諜報員ということになるが、この場合はあまりきっちりとした組織ではなさそうだ。
「撮ってないペン」
「噓付け、絶対撮ってたぞ!」
「撮ってないペン。おじさんが百合ヶ丘の方を撮りながら欠伸してムニャムニャしてるとこ、撮ってないペン!」
「撮ってるじゃねーか!」
望遠レンズゆえに知り得た情報であった。
「よくもいけしゃあしゃあと。盗撮は犯罪なんだぞ、分かってんのか!」
「ペェン……」
「撮ったデータ、出せよ!」
「嫌だペン!」
「逆らうかっ、このアヒル野郎……!」
「アヒルじゃないペン! ペンギン型サポートロボットだペン!」
必死に抗弁するモンちゃんに対し、男は懐から取り出した金属の棒をかざす。棒はスイッチ一つで倍ほどの長さまで延伸し、更にスイッチもう一つでバチバチと電光を光らせた。
「躾のなってない
「ペンっ」
「往生せえや!」
地が蹴られ、電棒が伸ばされる。モンちゃんは己に突き付けられた凶器の先端をじっと見つめ、その場から動かない。逃げ場は無い。
しかし宙を貫く雷がモンちゃんを打つ前に、横合いから影が割り込んでくる。直後、男が片膝を突いて小さく呻いた。
「あれは……鷹さん!」
眼前を翔け抜けていった影、猛々しい翼の飛翔をモンちゃんの目が追う。百合ヶ丘の鷹は上空で旋回し、再び地上の男を狙う。
「く、くそっ! どっか行け!」
頭上から嘴や爪の猛威に晒されると、男は頭を庇いつつ棒を振るって応戦する。
隙ができた。モンちゃんは崖を背にした現在位置から走り出し、十分広い場所へと移動した後、天を仰いで嘴を大きく開く。
「チェーーーーーーンジっ!!!」
掛け声と共に、モンちゃんの右腕が小気味良い音を上げて付け根から外れた。直後、上空から飛来物。天を割り、深い森のただ一点目掛けて降ってきたそれは、モンちゃんとドッキングして新たな右腕となる。それは、一門の砲だった。
チェンジング・アームド・システム。特定部位のパーツを換装することで多様な任務に対応する戦闘システム。勿論、コストは度外視。グランギニョルゆえに。
「ペェン!」
未だ頭上の鷹を相手にしている男の足元へと撃ち放った。腕一本が丸々砲身となった右腕が、砲口から弾丸を吐き出す。プラスチックの芯をゴムでコーティングした弾丸は男の左足、足首と膝関節の中間付近に命中する。
短く「ギャッ」と悶えた男を尻目に、モンちゃんは一目散に駆け出した。ガーデンのある方角へ。
「チェーーーンジ!」
途中、両足をオフロードタイヤパーツに換装する。そうして獣道を転げ落ちる勢いで下っていく。
元々の腕や足のパーツは置き去りだ。流石に飛んで帰ってくれるほど便利ではなかった。あとで回収しなければ。
◇
時は遡ってモンちゃんが危機に陥る少し前。百合ヶ丘近傍のまた別の山林で、鉄塔の上に不自然な影が二つ蠢いていた。
「始まったぞ」
「対象は?」
「……確認できた。情報通りだ」
何が不自然かというと、この二人、作業着にヘルメットを身に着けているにもかかわらず、鉄塔にもそこから伸びる送電線にも関心を向けていない。彼らが注目するのは遠く眼下に見える百合ヶ丘女学院。手にした双眼鏡で学院敷地内のグラウンドを覗き見ている。
「……飛んだぞ!?」
「生身でヒュージとやり合うような連中だ。それぐらいやるさ」
この二人、とある政府機関のエージェントであった。作業着は世を忍ぶ仮の姿というわけだ。
「まあ、そうか。普通の兵器が効かない化け物に対抗できるのもまた、化け物ってことか」
「おいおい、そんな出鱈目をお前まで信じてるのか」
「は? 出鱈目って何が……」
依然として鉄塔にぶら下がったままで、何やら雲行きが怪しくなってきた。
「連中が振り回してる玩具、チャームが唯一の対抗手段ってのが、実は盛大なプロパガンダなんだな。本当は、ヒュージに通用する兵器が他に開発できるのに」
「……は?」
「チャーム作ってる大手はほとんどが欧米の企業だ。あいつらが常日頃から企みそうなこと、チャームが女にばかり都合がいいって点、それらを踏まえて導き出されるのは一つ。チャームメーカーは、ポリコレなんだよ!」
「お、おう……」
「おっと、言いたいことは分かる。日本の財閥もチャーム作ってるって言うんだろ? でもお前、奴らの戸籍や家系図を見たことがあるか?」
「いや、ないけど……」
「そうだろう。つまり国民は実際に自分の目で確認していないのに、奴らを日本人の企業だと思い込んでる。知らず知らずの内にバイアスが掛かってたってことだ」
「…………」
「連中は『唯一の対抗手段』って触れ込みで戦力をガーデンに独占させている。そうして裏から世界を牛耳ろうとする、闇の勢力。俺もその全容までは分からないが、既にかなり深い所まで食い込んでいるのは確かだろう。放っておいたら、この国やこの世界がどうなってしまうことか」
双眼鏡を構えながら深い溜め息を吐く。世界の行く末に想いを馳せているのだろう。
ただしもう一人の方はというと、これからの任務遂行に憂いを馳せていた。
(畜生! こんなイカレ電波野郎と組ませやがって! これ失敗したら、絶対こいつのせいだからな!)
どこの組織も人材難には頭を悩ませているらしい。
そんなこんなで仲良く偵察を実行するエージェントたち。レンズの向こう側では変わらずリリィたちの競技が続く。
不意に彼らの視界が黄色に染まった。慌てて双眼鏡を下ろすと、身の丈40cm程の獣がそこに居た。鉄塔の上部付近、地上から60mの空中に。
「何だこの……何だ!?」
「こんにちは! 僕チャームの妖精チャーミィ! よろしくね!」
「てめー、さては
二人は各々驚愕の声を上げるが、チャーミィはマイペースにふよふよと浮かんでいる。
「いけませんな~、これ。
チャーミィが注目したのは、エージェントたちの身に着けている作業服……に装着されているハーネスだ。
「腿のベルトはちゃんと締めておかないと、落ちた時にバランス崩しちゃう」
「やめろ! 近寄るな!」
「親綱に『くるくるキャッチ』も使って、フックは二丁掛け!」
「知った風な口を聞くな! 俺たちはインフラ整備に凄く詳しいんだ!」
彼らの装備にダメ出しをしたチャーミィはうんうんと唸る。すると左右に広げた両手の先から、ロープのようなワイヤーのような紐のような物体を生やし出した。それは見る見るうちに伸びていき、ヒュージの触手の如く不気味にうねる。
「ばっ、化け物ぉ!?」
「くそっ! 闇のグループは
チャーミィの触手はあっという間に二人のエージェントを縛り上げると、ぐるぐる巻きの状態で鉄塔に吊るしてしまう。秋の日のミノムシみたいに。
「ふーぅ、これで一安心! 絶対落ちないよ☆」
「たすけ、助けてくれぇ!」
「許せねえ……ポリコレ許せねえよ……!」
落ちはしないが、身動きも取れなかった。
「今日もゼロ災で行こう、ヨシっ! ご安全に☆」
◇
百合ヶ丘周辺部に潜む不審人物の追撃からほうほうの体で逃げ出して、モンちゃんはどうにかガーデンのグラウンドに帰還した。紫の羽毛はあちこちが黒ずんでいる。オフロードタイヤとはいえ山の中を全力疾走してきたのだから、転んだ回数は一回や二回ではなかったのだ。
「ペェン……結梨ちゃん……。間に合ったペンか?」
そんな状態にもかかわらず、モンちゃんは競技会会場の中を彷徨うように歩いていく。結梨の本来の出番は既に過ぎ去っていたのだが、それでも進む。約束していたから。
諦めの悪い足掻きが天に通じたのか、モンちゃんの視界に人だかりが映る。一柳隊の面々だった。ただし、競技会というシチュエーションを差し引いても、やけに物々しい雰囲気。
「ペン? これは一体、何事だペン?」
「そちらの方こそ、何事ですの?」
泥だらけのモンちゃんを見た楓が逆に驚き呆れる。
「あっ、モンちゃん! 大変なの! 結梨ちゃんが……」
「結梨ちゃん?」
こちらを振り返った梨璃の焦りよう、ただ事ではない。モンちゃんは一柳隊の皆が取り付いている鉄格子に駆け寄った。その鉄格子、全体像は巨大なドーム状であり、内部にはそこそこ大きな空間がある。
「結梨ちゃんと、ヒュージペン!?」
そこにはチャームを構えた結梨と一体のヒュージが対峙する光景が広がっていた。
・エージェントの皆さん
闇のなんちゃらグループに抗う光の戦士
・安全担当チャーミィ
他の役職貰えなかったから安全担当に回された感あるな