ONE PIECE プラントオーナー   作:ひよっこ召喚士

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……2話目の時点で単発じゃないであります。
……それでもIF話であります。
……去年書き忘れたけどウソップ誕生日おめでとうであります。


IF話 アスカルがロジャー海賊団だったら2

 

 

 何かあれば宴会、何もなくても宴会が常のこの船はどうにも騒がしくて落ち着いてる暇なんて何処にもない。この男が乗り込んでからはさらに酷くなった。

 

「だから持ってくなって言ってんじゃねぇ!!()()()持ってくなって言ってんだよ!!」

 

「めんどくせぇなぁ…どうせ許可すんなら一緒だろ?」

 

「一緒じゃねぇから言ってるんだろクソボケ侍がぁ?!」

 

 何度も何度も言っても改める気のない奴にはほとほと困りもんだ。確かにこいつはおでんに使える物しか持っていかない。

 

 そのおでんだってコイツ一人が食べるわけでは無いから食料の計算もそこまで狂うことは無い。とは言えその処理を誰がやってると思ってるんだ?

 

 人が丹精込めて作ったものを黙って持っていって良いとは決してならねぇんだよ。食った後に美味いと感想を伝えるのはまぁ良いが……その配慮が出来るなら許可も取りに来い!!

 

「腹を斬る準備は出来てるか?辞世の句とやらは用意したか?肥料になる心構えは?死に晒せぇ!!」

 

「はっ、俺は人に指図されねぇんだよ!!ちまちまと小言ばっかで煮え切らねぇより分かりやすい!!おりゃぁ!!」

 

 辺りからはまたやってると呆れの声とやれやれーと囃し立てる様な声が聴こえてくる。見世物のような扱いには腹が立つがそちらに意識を持っていくと負けかねないから目の前に集中する。

 

「こうしておでんと喧嘩してんのみると、アスカルが変わったのがよく分かるよな?」

 

「ああ~たしかに昔と比べるとな」

 

「本当、本当!!船に乗ったばかりのアスカルを思うと考えられねぇ」

 

「ちょっと待てお前ら!!なんの話をする気だ?!」

 

 目の前の奴に集中しないといけないというのに場外から聴こえた不穏な会話につい振り向きそうになる。そして、おでん程の相手にそれは致命的なミスとなる。

 

「面白そうな話だな?それはさておき隙ありだ!!」

 

「ちょ、待てよ?!ぐはぁ?!」

 

 出会った頃はまだ覇気も甘い部分があったのに船長と鍛錬始めてからありえねぇくらい腕が上がったから油断してた所に一撃喰らうと洒落にならない。

 

「おっ、珍しくアスカルが負けたぞ」

 

「情けないぞ〜」

 

「お、お前らの所為だろうが……」

 

 好き勝手言ってくれるがそれなら思えらはおでんに勝てるんだろうな?!

 

「それでアスカルの奴、昔はああじゃなかったのか?」

 

「そうだな。おでんでもつまみながら話すとするか」

 

「よし、酒も持って来い!!」

 

 やめろと叫ぶ気力もなく、あいつらが酒盛りをするのを見てるしか出来ない状況に項垂れるのだった。

 

「今ではちゃんと自己主張するけど昔は張り合いがなくてな」

 

「言われた事だけやって、後は畑ばっかり弄ってたな」

 

「船長に副船長、それと見習い二人としか初めは話さなくてよぉ」

 

「それでも加入したての宴ではけっこう騒いでたろ?」

 

「あれもかなり懐かしいなぁ」

 

 


 

 

「オレがお前の船にか?」

 

「おう!!」

 

 ロジャーから船員に誘われたオレは直ぐに頷く事が出来なかった。オレにはこの島を滅ぼした張本人だ。せめてその姿は維持しなくてはという自責の念があった。

 

「悪いがオレにはこの島を守る必要がある」

 

「そんなに島が大事なのか?この島に自分を縛りつけて、んな窮屈な生き方ぁ俺には我慢できないな」

 

 窮屈か……確かにその通りかもしれないな。だがそれも能力を手に入れ、成功に浮かれ、目先の事しか考えなかった結果だ。

 

「と言うわけでお前がなんと言おうが俺はお前を連れてく!!」

 

「は?」

 

「ついてこないってんなら畑を壊すぞ?」

 

「はぁあああ?!」

 

 戦ってた時の配慮は何処に行ったんだと目を見開き、柄にもなく大声で叫んでしまった。急に話が通じなくなったロジャーを横目に他の面々に視線を向けるも苦笑いを返されるばかりだ。

 

「それにここらは広まってる噂で滅多に人は来ねぇだろ。俺等より前に人が来たのは何時だ?」

 

「……5年前だ。とは言っても全く来ない訳じゃないんだ」

 

「なら島に上陸出来ないようにお前の能力で島の形を変えちまえ!!そうすれば問題ないだろ?」

 

「畑の世話もある!!」

 

「大事なもんだけ船に積み込んじまえ!!確か物置が一つ空いてたよな?」

 

 此方が何を言っても返してくる。その返しが強引過ぎる事にはなんとも言えないが……

 

「空いてはいるが、まさか船内に畑を詰め込む気か?」

 

「部屋一つでアスカルが乗んなら儲けもんだろ?」

 

「乗るとは一言も言ってない!!」

 

「俺が乗せるって決めたんだよ!!」

 

「はぁ……悪いが早めに諦める心構えをしておけ。一度決めるとこいつは梃子でも動かん」

 

 迷うことなく此方を見据えてそう言い放つ姿には気迫がある。自由過ぎるその在り方は羨ましくも思う。だが……

 

「うじうじと悩むな!!お前はどうしたいんだ?この誰も居ない島にずっと一人で居る気か?」

 

「あぁ……」

 

「畑さえ耕せば満足か?そうじゃねぇだろ!!」

 

「畑があればオレは……」

 

「誰のための畑だ?誰が作ったもんを食べる?お前だけで使い切る事のない畑になんの意味がある!!」

 

「この島に畑がある。それだけで意味が……」

 

「んなもんねぇ!!それだけで十分だってんなら、なんで俺たちが食ったときにあんなに笑ってんだ?」

 

「ッ?!」

 

「嬉しかったんだろ?そうじゃなきゃあんなに笑うわけがねぇ!!」

 

「……」

 

「ここで俺とお前が会ったのにも意味がある。アスカル、俺と一緒に来い!!」

 

 


 

 

「というわけで今日からこの船に乗せるアスカルだ!!」

 

「……よろしく頼む」

 

 ロジャーとレイリー達の雰囲気の差を感じ取り、船長の餌食になったんだなと同情半分でアスカルを見ていたが何処を見てるのかも分からないその挨拶には流石に呆れの視線が混じる。

 

「そいつ、大丈夫なんですか?」

 

「んな調子でうちでやってけんのか?」

 

「ははっ、アスカルなら大丈夫だ!!なんてったって俺が勧誘したやつだぞ!!」

 

「そりゃ、なおさら心配だな」

 

「そうだな!うちにはろくな奴居ねぇからな」

 

「てめぇもその一人だろうが!!」

 

 アスカルをそっちのけ…という訳では無いが元からいた船員達でその場は盛り上がり、アスカル自身もその輪に混ざることなく淡々と準備を進めている。

 

「あー、見ての通りうちの連中は騒がしい。初めはなれないかもしれないが悪い奴らではない。程々に付き合ってくれ」

 

「分かった。出航までにどれくらい猶予はある?」

 

「この島のログが溜まるのにはどれ程かかる?」

 

「4.5 時間もあれば溜まった筈だ。感覚的にも合ってる。おそらく出ようと思えばもう出れるはずだ」

 

「それならちょっと待て…おい、ロジャー!!アスカルに聴いた所、ログはもう溜まってるらしい!!船はいつ出す予定だ?」

 

「んなもん決まってんだろ?アスカル加入の祝いをしてからだ!!お前ら今日は宴だ!!」

 

 船長の声が聞こえた途端、船員たちのざわめきがピタッと止まる。そうすると次の瞬間には間欠泉が吹き出したかのように一気に叫ぶ声が響き渡る。

 

「「「うおおおおお!!」」」

「よっしゃ呑むぞー!!」

「料理の準備も急ぐぞ!!」

 

 そんなテンションを上げてバタバタと動き始めた船員達の様子を見て、アスカルは目を丸くしていた。

 

「海賊と言うのはこうも騒がしいものなのか?」

 

「うちは大概煩い方だが。まぁ、そういうものだ」

 

「そうか……宴とやらをやるには酒と食べ物は幾らあっても平気か?」

 

「…!あぁ、酒なんかはあるだけ喜ぶだろう。それに下手したら連日で騒ぐから食材も喜ばれる」

 

「なら、持って来よう。酒も能力で大量に作って保存してある。食料なんかは今収穫できるものに保存食も合わせればかなりになるぞ?」

 

「ははっ、海賊の胃袋は中々に底なしだぞ。おーい!!アスカルから酒の提供がある!!手の空いてる奴は手伝ってやれ!!」

 

「本当か!!」

「よし、おれが行くぜ!!」

「お前が行ったら運ぶ前に空になんだろうが!!何処に行けば良いんだ?」

 

 レイリーの声掛けによって喜嬉とした表情でアスカルに話かける面々、それに戸惑いつつもなんとか動きを再開させる。

 

「……地下の保存庫から順番に出す、それを必要な場所に持っていって貰えると助かる」

 

 そう伝えると大地を操作して次々と酒や保存食を取り出すアスカル、その姿を見てようやくアスカルが能力者だと理解した。

 

「すげーじゃねぇか!!」

「土、操れるって陸なら最強じゃねぇか?!」

「でも俺たち海賊だぞ?」

「ダメじゃねぇか!!」

「「ははははは」」

「なぁ、アスカル!!ステージとか作れねぇか?どうせなら思いっきり宴やりたいからよぉ!!」

「竈とか作れるか?それと火を焚ける様に囲いとかも」

 

 周囲にドンドンと集まり、運び出しをしつつも色々と要望を伝えてくる船員にアスカルはたじたじになりながら応えていった。

 

「よっしゃあ、それじゃあ。新しい仲間に乾杯だ!!」

「「「「乾杯!!」」」」

 

 音頭が掛かると即座に騒ぎ出し、酒を呑み、料理を喰らい、歌を歌ってと大盛りあがりになる。アスカルは始まってから端の方でその様子が眺めながら少しずつ料理を摘んで居たがしばらく経つとそこに覚えのある顔が近付いた。

 

「アスカルさん、ジュースありがとう!!」

 

「あぁ…シャンクスだったか?気にするな。加工したほうが長持ちするから色々と作ってただけだからな」

 

 一緒に居たもう一人の見習いであるバギーの姿が見えないのをアスカルが尋ねるとシャンクスは盛り上がってるステージの方を指さした。

 

 そこではバギーが身体をバラバラにして踊ったり、ナイフを避けたりと何やら芸を披露していた。

 

「あいつも能力者か……中々に器用な事をする」

 

「褒められる事は少ないからそれを聞いたらたぶん喜ぶよ。それと船長達が向こうで呼んでたよ」

 

「そうか、伝言ご苦労だったな。助かった」

 

 それだけ言うと自分が座っていた椅子を崩して立ち上がり黙々と呼んだ本人の元へと歩いていった。

 

「よう、呑んでるか?!」

 

「程々にはな」

 

「どうだうちの連中は賑やかで良いだろう?」

 

「ここまでくると喧しいが、その、なんだ……悪くない」

 

「そうか、それなら良かったぜ!!」

 

 それからは飲み比べに誘われたり、何か芸をしろと強要されたりと慣れない場に振り回されながらも時折笑みを浮べて触れ合っていった。

 

 三日三晩騒ぎまくった後で島の整理を終え、周辺の海の地形を変化させると、土の船を作って海賊船の後ろに浮かべて繋いだ。

 

「もうちょい、絞れなかったのか?」

 

「慣らした土の方が操作をしやすい。あれはオレの武器でもある」

 

「とは言えこのままとは如何だろう。船を変えるときに何かしらの仕掛けを用意するしかないか……」

 

「……苦労をかける」

 

「その分働いて貰うから覚悟しておけ」

 

「おらぁ、お前ら出航だ!!」

 

「「「「おおー!!」」」」

 

 船での生活、それも集団との生活に慣れていないアスカルは何度か問題を起こす事もあったがそれ以上に周りからも振り回されながら徐々に染まっていった。

 

 


 

 

「なるほどなぁ、アスカルはそうやって加入したのか」

 

「そうそう畑や作物関連だと昔から譲らなかったが、今みたいに実力行使になったのはだいぶ慣れてからだったな」

 

「食料番を任された頃じゃないか?料理できる連中とつるんでからけっこう遠慮なくなったよな」

 

「そうだ!そうだ!任された事はしっかりこなすから交流も深まって」

 

「買い出しとかにも関わって話す奴も増えて」

 

「それで出来上がったのがあれか?」

 

「そうそう、あれあれ!!」

 

「人をあれやこれで呼ぶんじゃねぇ!!」

 

「うぉ?!流石に復活も早いな」

 

「ったく、持ち出した食料については報告するからな?」

 

「ん、そんだけか?いつもならもちっとねちっこく言ってくるんだが?」

 

「バーカ、恥ずかしがってここから離れたいんだよ」

 

「あ、なるほど!」

 

ピキッ………既に作ったもんは仕方ないとたまには目を瞑ろうかと思ったんだが、そうか、そうか、それほど痛い目をみたいか?」

 

「あ、やべ?!」

 

「あいつ、土を集めて…ガチだ?!」

 

「へへ、そう来なくちゃなぁ?」

 

「その曲がった性根を骨ごと砕いて肥料にしてくれる!!『凱亜銃(ガイアガン)』!!」

 

「おらぁ『銃・擬鬼(ガンモドキ)』!!ってなんだこの攻撃、馬鹿みてぇに重ぇ?!ぐっおぉおおがあぁ?!」

 

「おでん?!」

 

「アスカルがガチギレだ?!誰か船長か副船長を呼べ!!」

 

「なんだ?何事だ?」

 

「おっ、楽しそうな事してんな?俺も混ぜろ!!」

 

「待てロジャー!!船を壊す気か?」

 

 思い出話を肴に酒傾けて、演し物には喧嘩は如何と、今日も今日とて騒がしく、何処までも自由に船は征く。

 

 

 


 

 

 とても見慣れた麦わら帽子ではあるがその主の顔をこうして直接見るのは初めてになる。それでもその麦わら帽子は正しい位置にあるかのように誇らしげに見えた。

 

「思ってたよりもその麦わら帽子がよく似合うじゃないか、モンキー・Ⅾ・ルフィ?」

 

 俺が名前を口にすると分かりやすく驚いて見せた。素直な少年だな。彼の仲間たちは少々警戒を強めている様だ。中々にバランスの良い関係だな。

 

「おっさん、俺の事を知ってんのか?」

 

 なんで知ってるかを答えるのであれば嫌という程聞かされたからと言う所だが、まぁ敢えて伝える必要もないか。それに見知った名前が新聞に載るようになると目で追ったりもしたし、それも理由と言えるしな。

 

「まぁな……とは言ってもこんな所で立ち話をするのもなんだ。オレの家に来るといい、多少だがもてなすだけの物はある」

 

「おぉー!!おっさん、良いやつだな!!よし、みんなでおっさんの家に行こう!!」

 

「ちょ、ちょっとルフィ待ちなさい?!」

 

「お前…なんでそれでのこのことついてこうとするんだ?」

 

「諦めろ。こいつはそういう奴だ」

 

「まさか……」

 

「着いてっちゃ駄目なのかウソップ?あのおっさん良い人みたいに思えるけど?」

 

「馬鹿馬鹿、チョッパー!!悪い奴が自分は悪いですって表に出す訳ねぇだろ!!」

 

「でも俺たち海賊だけど堂々と海賊旗を掲げてるぞ?」

 

「そ、それはだなぁ……」

 

 ふむ、流石にいきなり声を掛けて家に招待するのは怪しすぎたか…とは言えこうも土の上でコソコソと話をされるとは、言っては悪いが昔の見習い組を思い出す。

 

 そんな事を考えていると何か考え込んだかと思うとじっとオレの顔を見ていたクルーが此方に一歩近付いた。あれはニコ・ロビン…オハラの考古学者だったか?それなら何処かで情報を仕入れていてもおかしくないか。

 

「この島の名前を聞いても良いかしら?」

 

「構わないとも、この島の名は『カムリィ』かつて農業でそこそこ栄え、一人の農家によって滅んだ島だ」

 

「農家によって島が滅んだぁ?」

 

「なんとも胡散臭え話だな」

 

「やっぱり……航海士さん、私の考えが合っていればついていっても問題ない筈よ」

 

「えっ、ロビン。何か知ってるの?」

 

「それも含めてついていけば分かるわよね?」

 

「聞きたいことがあるなら答えるくらいの余裕は持ち合わせてるつもりだ」

 

 そう断言するとこれまた微妙な表情を浮かべながら否定的だった面々で話し合いが行われ、ようやくどうするかが決まった様だ。

 

「おっさんの家に行くぞ!!」

 

「そうか。ならまずは船を上げると良い。周りの海を見れば分かるだろうがここは特殊な海流が発生している。このまま置いておくと潮の流れが変わって岩礁地帯まで運ばれるぞ」

 

 そう言いながら彼らが乗ってきた船へと目を向ける。グランドラインの前半の海とはいえ他の4つの海とは比べ物にならない程過酷な海をよくもまぁこんな小さな船で渡ってきたものだ。

 

「それが本当ならやべえがよぉ。どうやってメリー号を上げるってんだ?」

 

「乗り上げる訳にもいかねぇだろう」

 

「そっちを見ろ。あの船くらいなら余裕で入る池がある」

 

 そう言って指をさすと彼らもそっちに視線を移し、目と鼻の先に確かに池があるのを確認する。

 

「あそこまで船を持って運べってのか?!」

 

「安全な港はねぇのか?!」

 

「港は無いが、わざわざ運ぶ必要はない……船に戻って待ってろ」

 

 そう言うと首を傾げながらも言う通りに船へと戻っていった。何かしてきたらそのまま沖に逃げれるからちょうど良いとでも考えているんだろう。

 

 さて、久々の客人だ。少々驚いてもらうとしようか。彼らが戻ったのを確認すると分かりやすく島に手をついた。

 

「おっさん、何やってんだ…うわっ?!」

 

「なんか、すげぇ揺れ始めたぞ?!」

 

「見てあそこ!!」

 

「島が割れてやがる」

 

「能力者か……」

 

「あのおっさんがやってんのか?!スゲー!!」

 

「あれが……記録と実物では桁違いね」

 

 それなりに盛り上がってくれた様で何よりだ。メリー号と言ったか?その船から池まで一本の水路が出来上がった。

 

「ほれ、早く入ってこい!!」

 

 船を池まで入れてからまた水路を閉じると島内を案内しながら進み始めた。島自体は殆どが畑の為にそこまで見るものは無いが、色々と気になってはいるようだ。

 

「なぁ、おっさんも能力者なのか?」

 

「あぁ、『ツチツチの実』を食べた大地人間。自然系っぽい名前だが超人系だ」

 

「おっ、俺と一緒だ。俺は『ゴムゴムの実』を食ったんだ。ニシシッ」

 

「おっさん!おっさん!おっさんは何が出来るんだ?」

 

「この能力は結構幅が広くてな。応用次第で色々とできるんだが…基本的にはさっきやったような大地の操作だな」

 

「もしかしてこの島の周りの海流って?!」

 

「大昔にオレが弄くり回して出来た人工ものだ。外部からの敵には効果的でな今となっては主な用途は対海軍だな」

 

「海軍相手てこたぁ手前ぇ賞金首か?」

 

「そうだな。懐かしむ程度には前の事だが海賊をやっていた…っとそうこうしてるうちに家に着いたな。続きは家で語ろう」

 

 海賊というワードを口に出した途端にさらに目を輝かせているが、とりあえずはもてなしの準備といこうか。

 

「この家は土製には見えねぇな」

 

「そりゃあそうだ。ここには能力者になる前から住んでいる。ほれ、紅茶とお茶請けだ。俺が育てた物だが品質は保証する」

 

 そう言って出したが完全に信用はされていないようでおずおずと手を伸ばしているのが目に見えて分かる。だが一口目を口に含むとその表情は一変した。

 

「なにこれ美味しい!!」

 

「良い香りね」

 

「クッキーもうめぇ!!」

 

「この甘いのなんだ?!」

 

「こりゃ砂糖漬けだな。にしても確かに良い味だな。素材が良いのが分かる」

 

「茶に甘いものばっかか…」

 

「出されたもんに文句つけるなよゾロ」

 

 自分が作ったもので喜んで貰えるなどいつ以来だろうか?この感覚は何度味わっても良いものだな。しかし、確かに海賊に出すには少々上品過ぎたか。

 

「畑で採れる物が基本だからな。なぁに穀物も作ってるから酒もある」

 

「おっ?そりゃいい」

 

 そう言いながら渡された酒を口にする剣士くん。確か彼は手配書が出ていた。ロロノア・ゾロくんだったか?警戒はしているが機嫌は良さそうだ。

 

「さて、とりあえず落ち着いた所で自己紹介でもしよう。オレの名前はアスカル、ここ海賊の墓場の主だ」

 

「海賊の墓場?!なんだその物騒なのは?!」

 

「知らずに迷い込んだか?ここの海流と能力を合わせれば並大抵の海賊は敵では無いからな。島に手を出そうとする奴にはもれなく沈んでもらっている」

 

 そう言いながら視線だけを鋭くすると何人かが怖がる様子を見せたが他の面々は害意が無いのが分かっている。色々と素質はありそうだな。

 

「裏を返せば敵対しなければ何もする気はねぇのか?」

 

「はは、誰彼構わず噛みつく様な年はもう過ぎたよ。隠居してからもう長い、世間ではもう死んだことにでもなってるんじゃないかい、考古学者のお嬢さん?」

 

 そう言うと皆の視線が彼女へと集まる。そう言えばと言った感じで彼女がオレについて知っているのを思い出したんだろう。

 

「……死亡説は語られているけど、手配書はそのままね」

 

「海軍も来なくなって久しいが楽隠居はさせてくれないか」

 

「海軍も27億の首を放置はしないでしょう」

 

「「「「「「27億?!」」」」」」

 

 彼女が口に出したが賞金額に全員が目を見開いて驚いている。後半の海であっても二桁の億超えとなると限られてくる。前半の海ではまず聞くことのない額ではあるな。

 

「おっさん、スゲー奴なのか?!」

 

「海賊をしてたって言ってたが一体何者だ?!」

 

 これでも名は知れ渡ってる方だと思ったが船長達と比べると分かりにくいか。そう思い、少し笑みを浮かべながら口を開く。

 

「ただの食料番には過ぎた額だが……まぁ、これでも世界一周を果たした者の一人だよ」

 

 その言葉の意味を理解するとその場にまた絶叫とでも言える大きな声が響いた。一人の寂しい家が久々に賑やかなのは楽しいものだ。

 

 


 

 

「久しいな、アスカル。元気そうで何よりだ」

 

「こっちのセリフだ。あんたもういい年だろう?」

 

「やかましい。いずれお前もそうなる」

 

「そうだな。誰もが年をとり、老いて死んでいく。そして大地や海へと還る」

 

「お前はどっちなんだ?」

 

「自分で何かするタイプじゃねえんだ。処刑の日からずっと隠居して畑を弄ってる。オレが還るのは故郷の土だろうよ」

 

「そうか、それもまたお前らしいな」

 

「まぁな……それでこいつが噂のクジラか?話には聞いていたがかなりデカいな」

 

「あぁ、ラブーンと言う。私が船に乗った理由だな……まさか私自身があの地に辿り着くとは思ってなかったがな」

 

「傷もだいぶ痛々しい……もし、必要ならこいつが通れる穴を開けるか?」

 

「そうか、お前の能力ならそれも可能か……」

 

「あぁ、とは言ってもレッドラインをぶち抜こうと思えばそれなりに時間は掛かるがな。どうする?」

 

「……いや、やめておこう。ラブーンは帰りたい訳じゃない。約束を信じて待って、自分がここに居ると報せてるだけだ。穴を開けたとして何も変わらんだろう」

 

「そうか、確かに探しに行くのなら目の前の海を行けば良いし、此処でそうする事に意味を持たしてるのか……」

 

「おそらくな」

 

「昔のオレを見てる様な気持ちだ。オレにとっての船長みたいな存在がこいつにも現れてくれれば良いんだがな」

 

「連れ出す存在か?」

 

「救ってくれる奴だよ」

 

「そうだな。私では支える事しか出来ん。そんな奴が現れてくれれば良いんだがな」

 

 


 

 

「お前との思い出には碌なのがねぇな……ははっ!!とは言っても今となれば懐かしい……」

 

「なんで馬鹿ってのは死ぬのが早いんだ?どいつもこいつも好き勝手引っ掻き回しておきながらいなくなって」

 

「あの船しかなかったオレとは違うだろうが!!お前には居場所があったってのに……」

 

「おでんでも供えれば喜びそうだが、あれは煮えてなんぼなんだろ?酒だけで我慢しとけ、流石に火を使えばバレるからな」

 

「正直何かをやる気はもうねぇんだ。島からあまり離れる気もな。だからまた来るって訳にはいかねぇが許せ」

 

「それで、そこの木に隠れてるお嬢ちゃんはオレになんかようか?」

 

 


 

 

「まさかお前らがこんな所に来るとはな」

 

「前半にも縄張りはあるしな。とは言っても此処に来たのは事故なんだが」

 

「買い出しレベルの船とはいえ新世界を渡ってるお前らが楽園で事故とはな……白ひげの旦那は元気か、マルコ?」

 

「なんなら顔を出すか?あんたならオヤジも会うだろうさ。地帝のアスカル?」

 

 

 

TO BE CONTINUE ?

 





感想で続きがみたいという要望があったのでアンケートにも載せたし、選ばれたからにはと本来単発の予定だったのを伸ばしてみたけどこれで満足してもらえたでしょうか? 蛇足になってないと良いけど……どうでしょう?

きりの良い、オチまで書こうと思うと時間がかかってしょうがないのでこういった所で関わりがあるよとか、仮に出会ったらこんな感じみたいなのを雰囲気で感じて楽しんで欲しいです。

麦わらの一味との出会いは差し込むには厳しいとは思うけど空島からウォーターセブンの間に設定してみた。そのためロビンのナミの呼び方が役職呼びで他人行儀ですがこの呼び方は呼び方でけっこう好き。役職呼びはそれはそれで味があると思う。

TO BE CONTINUEとは書いたけどこれ以上は思いつかない……訳でもないけどとりあえずロジャー海賊団だったら編は一度おしまいでオナシャス。(完全に打ち切りという訳ではないけどね)

という訳でアンケートに参加してくれた皆様ありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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