企画はまだ続きます。
ブルック誕生日おめでとう!!
最初の口上をヨミヨミの実でも作ろうかと思ったけど、面倒で悪魔の実の部分は原作主人公とこの作品の主人公の実で統一しました。誕生日組で能力者なのブルックだけだしね。
誰かが言った…油の海の上空で黄金色に光りを放つ、まるで灯台の様に暗い夜を照らす空飛ぶサクサクのポテトの塔『フライトポテ塔』があると…
誰かが言った…食べると特殊な能力が身に付く悪魔の実があると…その中には食べると体がゴムのようになる『ゴムゴムの実』があると…
誰かが言った…大きく太った水々しい果肉の中にまるでバンズ、パティ、濃厚なソースの味わいが広がるきゅうり『キューカンバーガー』があると…
誰かが言った…食べると特殊な能力が身に付く悪魔の実があると…その中には食べると自在に大地に干渉し操れる様になる『ツチツチの実』があると…
世はまさにグルメ時代であり大海賊時代、
「いただきまーす!」
戦闘を終えたルフィ、トリコの一行は切り分けた『マルヤキブタ』を葉っぱを皿にして食べ始めた。
「うまーい!」
「『マルヤキブタ』!!甘く滴る上質な油!!食欲をそそるこの香草の香り…たまらねぇ!」
「こんなうめぇもん食えるのもトリコのおかげだー!ありがとな!」
「…『マルヤキブタ』…リスト未確認…プラントティア4…現時点で参考用回収…美味…」
次々と肉に手を伸ばし食べていく二人の近くでフィンも黙々と肉を食べながら一部を種へと仕舞う。そして少し離れた位置ではチョッパーとテリーと呼ばれていた狼が話していた。
「お前テリークロスって言うのか。オレはチョッパーだ。よろしくな!ハハハハハ、そっか!」
「おお!テリーが心を開くとは、お前面白い奴だな!そいつは『バトルウルフ』って言って、滅多な事じゃ人に懐かないんだ。さっきは食おうとして悪かった」
「もういいよ。こいつとも友達になれたしな」
流石にきちんと意思を持って喋る相手を食べる気はトリコにも無いようで、先程の事は水に流し、互いの関係は良好の様だ。
「それにしても、丸焼きのブタが襲って来るなんて、一体どこまでシェフな島なの?」
「ここはハングリラ島ですからね」
「ハングリラ島?」
ナミが島の不思議さに一周回って呆れているとトリコに着いてきた料理人である小松が島の説明を始める。
「豊富な食材で溢れ返るというハングリラ島。その存在は伝説とされていましたが…」
「それがここ?」
「はい」
「広い海でこんな小さな島をどうやって見つけたの?」
「いや、海を進んでたら食い物のいい匂いがしてな。で見つけた」
「あんた、どんな鼻してんのよ?!」
広い海の中で島一つを嗅覚だけで見つけて辿り着いたと言う航海士に喧嘩を売るかの様な手法に突っ込みを入れていると……
「んナミすわぁぁーーん!!『マルヤキブタ』をアレンジしてみたよー!」
「うわあ!!」
ナミの前にサンジがソースのかかったステーキのような物を差し出す、付け合せなのか飾りなのか上には小さな果実も載っている。
「ポイントは豊富な森の食材から作ったサンジ特製ソース。上品な香りが『マルヤキブタ』を引き立てて…」
「はむっあむあむ、うめー!!」
「ルフィ!!それはオレがわざわざナミさんのために!!」
「お前料理の天才だなー」
「って何でおめーらが食っちまうんだよ!」
料理の説明をしていると一つは腕を伸ばしたルフィが、もう一つはルフィに注意をしている内に後ろへと近付いていたトリコに喰われてしまった。そしてもう一人、肉こそもう無いが残ったソースに小松が手を伸ばした。
「すいません…」
「てめーもかよ!!…お?」
「何ておいしいソースなんだ…こんなソースを作れるなんて感動です!!」
「あいやぁ…そう真っ直ぐ本当の事を言われると照れるんだが…」
ソースの美味しさに感動してか蕩け切った顔になって満面の笑みで感想を伝える小松に流石のサンジも勢いを失う。
「仄かな柑橘系の香りと酸味がすごくいいです。あ、分かった!これ、ビックリオレンジの果汁ですね?」
「おまえ、分かるのか?」
「僕も料理人の端くれですから…」
「(って、隠し味にほんの一滴入れたオレンジの果汁が分かるとは、何だ、こいつの味覚)」
「あの…このソースの後に出すのは恥ずかしいんですが、もし宜しければ味を見て貰えますか?」
「ん?ああ、(ぉうめー!この芳醇な味、絶妙な塩加減!)…中々いい仕事してるじゃねーか!」
「ありがとうございます!」
料理人同士で通ずるものがあるのか、互いに称え合う良い関係が出来上がった。
「さてと!食料は集まった事だし、サニー号に戻りましょう!って…『マルヤキブタ』は?」
そこにあるのは腹がいっぱい膨れた二人の姿と骨だけになったマルヤキブタだった。
「旨かったぞ!」
「全部食べなくてもいいでしょーが!」
「ごちそう様でした!」
「いつもいつも…!せっかく持って帰ろうと思ったのにー!」
「いいじゃねーか!食いもんならそこら辺にたくさんあんだからよー!」
「食料が必要なら、とびきりのがある」
「ん?」
「『ハングリラ鳥』だ!」
広い海の上を進む小さな船と大きなカラス…船の上にはカラフルな髪をした男と黒髪で赤い服の女、そしてカラスの上には緑のターバンの男が居た。
「輝きを放つ雄大な海とオレ…
「お兄ちゃん!!相変わらずうざいこと言ってないでちょっとは船の事も手伝うし!!」
兄妹らしき二人は出港してからと言うもの、何度も口喧嘩をしているが目的地を目指す上で大きな問題はなく、いつもの事とターバンの男も笑って見ていた。
「ん…あれは…キッス少し向こうに飛んでくれ…すまない二人共!!少し離れる!!」
「ココ!!」
「何かあったし?」
ココと呼ばれる彼の目が何かを捉え、キッスと呼ばれたカラスにそちらへと飛んでもらい確かめに行く。船にいる二人も彼が意味の無い事はしないと送り出す。
「一瞬だったが確かに強い電磁波を感じた…そこだ!!」
キッスに水面ギリギリを飛んでもらい、片腕を伸ばしてその特殊な目が捉えた電磁波の正体を手にする。
「これは種か…?とりあえず二人にも見せるか」
キッスの飛行能力は高く置いていく事は無いだろうと二人はそのまま船を走らせているが難なく追い付いて船上に降り立つ。
「おかえり〜」
「いったい何を見つけたんだ?」
「コレさ」
「「種?」」
持ち帰ってきた種を二人共まじまじと見ているが珍しい食材の知識も持ち合わせている二人でも見覚えがない代物だ。
「これから何を感じたんだ?」
「強い電磁波…生命力の様な物が収まっている。きっとこれは普通の種ではない。おそらく中に何かが居る……むっ?!」
種についての所見を語っていると持っていた種の微妙な変化に気付き、咄嗟にココは種を足元へと放った。そして次の瞬間に種から風が巻き起こり何かが飛び出した。
「ふぅ…なんとか助かったみたいなの」
「「「人?!」」」
種から出てきたのはふわふわな茶色の髪を肩まで伸ばしたまだ子供と呼べる女の子だった。
緑の布地に茶色で模様が描かれた民族衣装の様な探検服の様な服装は雰囲気と合っていて不思議と彼女の印象を強めていた。
「あまり見ない技術なの、きっと…助けて頂いておいて不躾に視線を向け、失礼しました。世界政府協力独立国家プラントが第一王女、グレーヌと申します。もしご迷惑でなければしばらくの間、道行きを共にさせて頂ければ幸いです。異界の方々…」
こうして遭難者の一人であるグレーヌは美食屋四天王二人とその妹との会合を果たしたのであった。
『マルヤキブタ』を食べ切ってしまい別に手に入れる食料として『ハングリラ鳥』を提案された一行は森の中を進んでいた。
「『ハングリラ鳥』?」
「ああ!伝説の食材『ハングリラ鳥』。オレ達は奴を捕まえにこの島に来たんだ。まぁ奴を相手にするとなれば、命の保証はないがな!!だがそいつの肉は舌に乗せると瞬時に蕩け、濃厚な甘さとえも言われぬ香ばしさが駆け巡る!!」
「複雑でバラエティ豊か、食べた者を捉えて離さないその味は全ての味はハングリラに通ずと言う諺を生み出したほど、一度食べた者がその味を忘れられず、気付くとこの島を目指して海を泳いでいたという話も…」
「『ハングリラ鳥』どんだけうめーんだー?」
「ああ!!想像しただけで、「腹減っちまったなー!!」」
「あんたらどんな腹してんの?!」
さっきまで膨らんでいたルフィとトリコのお腹が一気に萎み、音を鳴らす。普通はあり得ない肉体の反応にナミが突っ込みをいれる。
「伝説…回収価値あり…伝承から…複数個体…」
フィンは彼方の世界で伝説と呼ばれる食材ならば回収に値すると判断し、伝承が残っているなら複数個体存在しているとプラントの分の確保を考え始める。
「伝説のハングリラ鳥なら、オレのフルコースメニューに入るかもしれねぇ…」
「オレの?」
「トリコさんはオードブルからデザートまで、人生のフルコースメニューを作ってるんです」
「トリコのフルコース…食いてー!!」
「と言ってもまだ全然決まってねーがな!」
「一人一人…各個人のフルコース…面白い…プラント…いや、アイランドに導入…」
美食屋や料理人、他にも食に関わる存在の多くが作り上げると言うフルコースメニュー、フィンから見て
「ねぇ『マルヤキブタ』の時からプラントティアとか呟いてたけど、あなたプラントの人間なの?」
ナミの質問にルフィやサンジ、チョッパーといったプラントを知る人間は興味深そうにし、プラントが何か知らないトリコと小松は不思議そうにし、どちらにせよフィンに注目が集まる。
「…機動国家プラントが幹部、四隊長が一人『水浸』フィン、国防に食材探索、水産物管理を主に任されてる…アスカル様が後見していた麦わらのルフィ率いる一味だと気付いていた」
途切れ途切れに単語で喋るフィンが普段からは考えられないくらいの長文で喋ったのはやはりルフィが居て、質問者がその仲間だからだろう。
「プラント…国の名前らしいですがあいにくと僕は聞き覚えがないです」
「俺もあちこち回ってるがIGO非加盟国にも聞いた事がねぇな」
「そのIGO、国際グルメ機関っていうのにこっちは聞き覚えが無いのよね」
「世界政府の関連組織じゃねぇんだよな?」
「世界政府?なんだそりゃ?」
「えぇ?!IGOは非加盟国であっても世界に知らない者はない組織ですよ」
「それを言えばこっちは世界政府を知らねぇのが驚きだぜ」
「「…?」」
あまり興味ないチョッパーとよく分かってないルフィを除いてだが互いの常識があまりにも食い違い、通用しない事に流石におかしいと気付き始める。
「…『美食領域』…知らない…?」
「「「「「「『美食領域』?!」」」」」」
ルフィ、チョッパー、サンジ、ナミ、トリコ、小松、そして声は上げてないがテリー、五人と二匹にフィンがアスカルに説明された際の例を出したりしながら『美食領域』に関する説明を行い、トリコや小松に対しては此方側の常識についても一部説明する。
「なるほど、異世界ねぇ。流石は偉大なる航路、何が起きるか分かったもんじゃないな」
「虹の霧かぁ、懐かしいなぁ。パンプキン海賊団の奴ら元気かなぁ」
「へぇ、ここでしか手に入らない薬草とかあるかなぁ」
「ちょっと待って、それなら此処は予定していた航路とは全然違う場所って事じゃない……記録指針はどうなるの?!……それに早くしないと戻れなくなったりとかは?!」
「巨大な政府組織が統治する中で無法者である海賊の溢れかえる海の世界…こ、怖いですねトリコさん」
「こっちと違う食材があるんなら楽しみだなぁ。海王類ってデカい生物を一度食ってみてぇな」
各自が思い思いの反応を示している。悩んだり怖がったりと悪い反応を見せているのはナミと小松の二人しかいない。
「領域範囲外…元の位置戻る…別々駄目…出るのは自由」
「良かった…それなら食料を積んだらそのまま航海を続けられるのね」
「なぁフィン、アスカルも此処に来てるのか?」
ナミが『美食領域』の仕様を聞いて安心していると話が終わったと判断してルフィが気になっていた事を訊いた。
「来てる…居場所…不明…」
「えっ、なんでなんだ?」
「…『タートルネード』の竜巻…遭難中…」
「『タートルネード』…捕獲レベル70の超危険生物ですよ?!それで船が、あれでも確かフィンさんって……」
「あぁ、だから会った時泳いでたのか」
「泳いでた?!遭難する様な怪物がいる中で荒れた海を?!」
「いったいどんな出会い方をしたんだ?」
「歩きながら……」
そう言うとフィンは思い出すかの様にゆっくりとだが遭難してからトリコに合流するまでの流れを語ってくれた。
アスカル様の命令で回収済みの食材を仕舞い込むと直ぐに海に飛び込んで荒れている海域から泳いで脱出した。
津波で遊べる魚人族の子供には身体の作りでは勝てないけど、泳ぎのスピードでは負けてない為に竜巻で吸い寄せられてる海流に逆らう事が難なく出来た。
「持ち物…無事…とりあえず島目指す…」
流石にどれだけ泳ぎが得意でも魚人に人魚、魚巨人の様にずっと水の中にはいられない。魚の声を聞いて一番近い陸地を探しながら泳いでた。そしたら変な声が入ってきた。
『フネトヌシガタタカッテル』?……『船と主が戦ってる』?……という事は人が居るんだろう。でも仲間の気配ではない。
相手がどんな人物かは分からないし、この海で主と呼ばれる相手と戦える者の所へ向かうのかは結構悩んだ。
ずっとは居られないと言っても二週間は泳ぎ続ける自信があった。切羽詰まっている状況でも無いのに博打の様な行動はしなくても良いとも思った。
たぶん主を倒した瞬間の衝撃が海水を伝って響いてきた。ガツン、ガツンと二発目の衝撃が主であろう気配から響いてるのに気付いて考えを改めた。
「面白い…」
主と戦っている人物が想像よりも強いと、そして何やら面白い衝撃の使い方をしていると気付き見てみたいと感じた。そしてその船の方へと泳いでいった。
「おい、小松見ろよ特大の『アナゴン』だ」
「トリコさん加減してくださいよ〜あんなに派手に戦ったり、こんな大きい食材を載せたら、船が壊れちゃいますよ〜」
「良いから調理してくれよ。ドラゴンの様な凛々しい顔つきと巨体を持つコイツは硬い鱗の処置が大変だが、油がたっぷりのったとろける旨さの身を持つ最高級のアナゴなんだぜ!!」
「分かりました。今から捌いて来ますのでちょっと待っててください。えっと天ぷらには塩でも良いからなんとかなるけど、食材に合うレベルのタレに使える物があったかなぁ」
食いしん坊と料理人だろうか、海の中から盗み聞き限りはそんなに危険な相手には思えない。それにおそらく大男と一緒に乗ってる狼には気付かれているので手を挙げながらそっと乗り込んだ。
「はい…タレを撃ち出す砲台の列島『タレットウ』の蒲焼ダレ……」
既に回収済みの食材の中にちょうどいい代物があったので量は問題ないので一部を近くにあった皿に載せて渡した
「うわぁ、銃弾の雨を避けるかのような技術がないと採種出来ない希少調味料じゃないですか!!ありがとうございます……って誰ですか?!」
「へぇ、良いもの持ってんな。焼き鳥のタレもあるか?来る途中で手に入れた鶏に化けた『怪鳥百面鳥』があるんだ」
気付いていない方は驚いたのか急に叫び出した。もう一人の方からは無事に敵認定されなかった様で良い感じに話し掛けてくれている。
「問題なし…他の皿…」
「小松渡してやれ」
「えぇ〜?!誰かも分かってないのに良いんですか?!いや、お皿ならありますけど…」
「よし、それじゃ『怪鳥百面鳥』の焼き鳥と『アナゴン』料理をみんなで食おうぜ!!」
トリコがそう言うと小松は仕方ないと調理を開始した。その間はなんとなく狼と視線を合わせて遊んでいたが、中々に警戒心の強い子だ。
「出来ましたよ〜『怪鳥百面鳥』の焼き鳥に『アナゴン』の蒲焼丼に、天ぷらはシンプルに『おしりしお』で、最後に『サクランライス』に『リラック酢』のシャリで作ったお寿司です。タレは『タレットウ』の物を真ん中に置いてあるので足りなければ掛けてください」
「この世のすべての食材に感謝を込めて」
「「「いただきます!!」」」
「うおお『タレットウ』のガツンと舌に叩きつけてくる様なタレが竜の重厚感を感じさせる肉厚な身に溢れ出る旨味の強い油の『アナゴン』と見事に調和して、蒲焼丼最高にうめーー!!」
「『怪鳥百面鳥』の方はタレを途中で塗ってよく馴染ませながら火をいれたので良い感じです!!噛んだ時に中に閉じ込められてる肉汁と周りのタレが口の中で合わさって、美味しいです!!」
「…寿司…美味…高揚感…味深く感じる…凄い…」
「そうなんですよ〜『サクランライス』はそのままだと美味しいけど影響が出過ぎて暴れたくなってしまうんですが、『リラック酢』と合わせる事で高揚感だけを残して、より食材の味を感じやすくするんですよ。気付いてくれて嬉しいです!!」
「天ぷらもサクサクで最高だ!!この衣は『ウロコムギ』か?」
「はい、硬くて削り出すのは大変でしたし、少し磯の香りがする小麦なんですが魚介にはちょうどよくマッチしてサクサクに仕上げられました!!」
なんとなく手土産…とは少し違うが相手の欲しい物を渡せば話もスムーズになるかと思っての行動だったがなんとなく雰囲気は楽しめ、泳いだ疲れが取れる良い食事となった。
「「「ごちそうさまでした!!」」」
「それでお前はいったい何処の誰でなんて名前なんだ?俺はトリコだ」
「改めて考えると何一つ知らない人とご飯食べてたんですよね。僕は小松と言います」
「名前フィン…海域探索中に遭難…島まで泳ぐつもりだった…何処か陸まで乗せて欲しい……」
互いの関係性が零だったとは思えない状況だったけど、実際に何も知らない相手なのでならって自己紹介と自身の状況を端的に話す。
「うわ…海の真ん中でそれは災難でしたね」
「フィン一人だったのかそれは?」
「仲間二人…リーダー?…上司?…それとその娘…バラバラに逃げた…」
「それならその人達も助けにいかないと?!」
「…問題ない…二人…僕より強い…合流方法ある…基点…近くの陸地…」
「それなら途中まで俺達と一緒に行こうぜ。ちょうどこの海域にある『ハングリラ島』を目指してたんだ」
プラントに所属している以上、知らない食材は少ない方だと思うがそれは自分の世界での話、おそらく彼らは彼方の世界の人間、その知識があるのはこの海域では強い。それに陸地を目指しているのであれば好都合でもある。
「…よろしく……」
「よし、それじゃ腹も膨れた事だし島を目指すとするか、船を向こうに進めるぞ。あっちから美味い匂いがする!!」
「……匂い?」
「トリコさんは物凄く鼻が良いんです。それで目的地は食材が溢れてる島なのでまず進路に問題はないかと……」
嗅覚だけでまだ見ぬ島のある方向を認識出来るとは……謎の衝撃と合わせて彼方の世界の人間は侮れない。
そんな事を考え、道中でも食材を手に入れながら『ハングリラ島』に辿り着き、探索をしていた所でトリコがチョッパーを見つけたのである。
「色々と美味そうなもんくってたんだなぁ〜」
「プラントは偉大なる航路においても精鋭って話だけど、それにしたってやばいわね」
「おれ『タートルネード』には会いたくねぇぞ……」
「料理人としてはその食材は一度使ってみたいもんだぜ」
『ハングリラ鳥』がいるであろう山を目指す道中でトリコ達とフィンの出会いを聞いてそれぞれ反応を示しているとそう言えばとチョッパーがトリコ達に訊ねる。
「でもどうして『ハングリラ鳥』が山の頂上にいるって分かるんだ?」
美食屋と言う食材のプロとも言えるトリコだからこその視点があり、トリコは笑いながら答える。
「見てみろ、ハングリラ島の植物は成長が異常に早い。にも関わらず山頂には草一本生えてねぇ。つまり、植物が育ち切る前に食っちまうほどの食欲を持つ者…伝説の鳥『ハングリラ鳥』がいるに違いねぇって訳だ!」
「なるほどねー」
「ガルル…」
ナミが関心したその時、先頭にいたテリーが警戒を示す。トリコ達の前に頭の付近にユニコーンの角のような物が刺さった巨大なクマが現れた。
「こいつはやべぇぞ!」
「何なんだよ、こいつらー!!」
「『一角ベアー』!!」
「やろうってのか?『ゴムゴムの…」
「止めとけ、こいつらの肉は硬くて食えたもんじゃねぇ」
「はぁ?」
攻撃しようとしたルフィをトリコが制し、聞いてもいない食材としての特徴を伝える。そうして一気に駆け出した。
「だから…逃げろ!!」
「えええーーー?!」
驚きつつも『一角ベアー』たちの攻撃をかわしながらトリコの後に他の面々も続く、フィンと小松は少し慣れている様にも見える。
「ちょっと?!さっきみたいにちょいちょいって倒しなさいよ!!」
「食う目的以外では獲物の命は奪わねぇ!!それがオレのルールだ!!」
「ふーんそっか。んじゃ全力で逃げる!!」
「『ゴムゴムのぉ」
しかしトリコ達の行く手を『一角ベアー』が塞ぎます。そう言うとルフィは『一角ベアー』の角に両手を掴み腕を伸ばした。
「スタンプー』!!」
『一角ベアー』は顔にまともに喰らい、その隙を見て逃げるトリコ達。だが『一角ベアー』はなおも追いかけて来る。
どうするかと皆が考え始めたその時、『一角ベアー』が急に逃げ出し、何事かと思考する間もなくもの凄い風が吹いた。その風に小松、ナミ、チョッパーが飛ばされ、木に捕まったルフィが腕を伸ばし、三人を救う。
「あれは!!」
「何だ?」
「この威圧感…間違いねぇ、こいつが『ハングリラ鳥だ』!!」
『ハングリラ鳥』鳥獣類に分類される捕獲レベル3の猛獣であり、トリコ達が求めている伝説の食材がその姿を現した。
「グッ…うおおー!!ぬうっ!!」
トリコが投げ飛ばし打ちつけられるハングリラ鳥。だがすぐに起き上がり、真っ直ぐナミ達の所へ向かう。
「ナミさーん!!あっ?!てめっ犬!!」
サンジが追いつく前にテリーが小松とナミ、チョッパーを連れてその場から遠ざける。サンジも『ハングリラ』に攻撃を仕掛ける。
「『グリル…おわっ!」
「サンジ?!『
必殺技を打とうとしたが飛ばされ、チョッパーもパンチを仕掛けるが、地面に叩き付けられた。
「チョッパー!!」
「『ゴムゴムの
ルフィも必殺技で応戦するが攻撃は鋼のような鎧に当たりびくともしない。
「こいつ硬ぇ!」
「まるで鋼鉄の鎧を着てるみてーだ!!」
「来るぞー!!」
羽ばたいて一気に四人に近付くと高速で何度も連続で嘴を突き刺そうとする。避け続けているが鋭い攻撃に対して反撃できずにいる。
「鋼鉄の鎧を纏ってるわりには、素早いじゃねーかよ……」
「『
その瞬間、少し離れた位置から小さな水の弾丸が差し出されている嘴目掛けて放たれ大きく嘴を弾いた。衝撃が強く警戒したのか風を巻き起こして四人を吹き飛ばしながら下がる。
「助かったぜフィン!!」
「銛なのに遠くに攻撃出来るのか、面白ぇな!!ありがとう!!」
「あれは魚人が使ってた奴と一緒か…? とりあえず助かったぜ!!」
「フィン!!ありがとう!!」
攻撃を弾いてくれたフィンにそれぞれ礼を言って『ハングリラ鳥』との戦いは仕切り直しになるが突破口は見えない。
「何とかなんねぇのか?」
「奴が硬ぇのはあの羽で体全体を覆っているからだ。だがなそこまで硬ぇ物で必死に覆ってるって事はそれだけ中に柔らかくて旨い物を隠してるって事だ!!」
「そうか!!」
なんの解決にもならない考察だが、その肉を食べた時の事を考えている。倒せなかった事を考えないその姿にルフィも笑みを浮かべる。
「けどなぁ…ああ飛び回られたんじゃ打つ手がねぇか!!」
「落とせばいいんだな?」
「え?」
「おう!!オレに任せろ!!」
落としたらトリコにも打てる手があると判断したルフィは拳を構えながら『ハングリラ鳥』の前まで一気に飛び出した。
「『ゴムゴムの
「やるな!!」
「やった!!
「いや、攻撃自体は効いてねぇ!!」
そのまま連続で放った攻撃に姿勢を崩して『ハングリラ鳥』も地面に落ちる。しかしサンジの言う通り内側まで攻撃は通っていない。
「『ハングリラ鳥』よ!!お前に敬意を表し…」
ルフィと代わるようにトリコが話しながら『ハングリラ鳥』へとゆっくり近付いて…
「何だ?」
トリコのルーティンである両の手を打ち鳴らす動作をしながら、『ハングリラ鳥』を見据え…
「オレも見せよう…人間の武器を!」
それぞれの手が人間の武器、フォークとナイフを想起させる煌めきを見せ…
「金属音?」
打ち鳴らす時になるのは人体からなる音とはかけ離れている金属音…
「この世の全ての食材に感謝を込めて……いただきます!!」
手を合わせて食前の挨拶を行うと構えた腕を『ハングリラ鳥』へと振り被り…
「うおおお…『フォォォォーク』!!『ナイフ』!!」
身体を貫通するかの様な衝撃と共に『ハングリラ鳥』を突き刺し、切り裂くかの様な鋭い一撃を返すように放った。
「やるな!!」
「凄い!!」
「さすがトリコさん!!」
完全に攻撃が決まった『ハングリラ鳥』は先程までの動きが出来る訳なく…
「ごちそう様でした!!」
そう言うトリコの背後で落ちて戦闘は終わった。その様子をフィンもじっと見ており…
「覇気でも能力でもない…武術とも少し系統が違う力…危険…でもないか…」
その力が振るわれる理由は食の為、それ以上の理由はトリコにない。近くで見ていたフィンが一番分かっており、そっと喜んでいる輪へと近付くのだった。
島の西岸部でずっと船の修復を行っていたアスカルだが、トリコ達が『ハングリラ鳥』を倒したぐらいでようやく船の修理を終えた。
「ふぅ、全機能の回復までは持ってる素材じゃ無理だったが…これなら帰りくらいは保つだろう」
『美食領域』の詳細が分かっていなかったから少数の編成で来たが懸念していた悪魔の実の能力は問題なく使えている。
領域内と領域外の接続は絶たれているがプラントや各地に置かれている分身等に影響は無さそうだと感覚で判断出来ていた。
そのアスカルの感覚は正しく、以前の余裕が無かったビッグマム戦時と同じく、土分身が独立して活動している状況になっている。
命じてきたチームはあまり意味が無かったのだが、良い経験になったと割り切り、次があるなら人数を増やしても大丈夫だななんて考えていた。
特に船などに問題が起きた時の事を考え、技術者を含めて人数を増やす事をアスカルは心に決めた。修理が思ってたより面倒だったのも影響しているだろう。
「一人用の土船や特注の探索船に頼り過ぎだな。似た状況が無いとは言えんし色々と把握はしといた方が良さそうか?」
専門の者を乗せると決めたがそれはそれとして危険な場所には何故か国王であるアスカルが出向く事が多いので少しばかり勉強も決意した。
「さて、暗くなるのに動くのは危険だが…そろそろ動き出すとしよう」
食料調達に出た面々を待ち続けているサニー号では普段騒がしい者も力をなくしていた。
「は…腹…減った…」
「私も腹ペコでお腹と背中がくっつきそう…最も私、お腹も背中もないんですけどー!ヨホホホホホホホホホホホ…」