ONE PIECE プラントオーナー   作:ひよっこ召喚士

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三人の誕生日が終わって企画も最終日です。
正直、一番最初の口上で使う食材考えてる時が一番楽しかったです。


消えたナミと小松、アマタのフルーツを追え集うプラント美食領域探索隊!!

 

 誰かが言った…紫色の羽の隙間から見える半透明な身はまるでゼリーの様で、口に含むとほのかな甘みと花の香りが広がる蜂『アケビー』がいると…

 

 誰かが言った…食べると特殊な能力が身に付く悪魔の実があると…その中には食べると体がゴムのようになる『ゴムゴムの実』があると…

 

 誰かが言った…雪が降る冷たい大地に氷の様に透明感溢れるひんやりとした実を付けるオリーブの木『コオリーブ』の木があると…

 

 誰かが言った…食べると特殊な能力が身に付く悪魔の実があると…その中には食べると自在に大地に干渉し操れる様になる『ツチツチの実』があると…

 

 世はまさにグルメ時代であり大海賊時代、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を求め冒険する海賊蔓延る中、未知なる味を求めて、探求する大地の王の時代…

 


 

「うめー!」

「この香ばしい何とも言えねぇパリパリな食感の皮の…その下には高級和牛のような肉汁滴る下振りの肉が広がって舌の上に乗せればすーっと蕩けちまう。まるで油ののった絶品の大トロみてーに!!う…旨ぇ!!」

「さぁ、どんどんやってくれー!!」

「スープもいい出汁が取れてますよー!!」

 

 料理された『ハングリラ鳥』に感動するトリコ、それに続くように皆がどんどん食べていく。

 

「いい匂い……おいしい!!」

「うまうまうまうま…」

「こいつは最高だぜ!!」

「ああ、トリコ達のおかげでうめーもんがいっぱい食えたよ!!」

「何言ってんだ。こうして『ハングリラ鳥』が食べられるのもルフィ、お前達がいたからだぜ?」

「こんなにおいしいんだもの。トリコのフルコースには入るんでしょう?」

「んー…それなんだけどなー」

「えー?伝説の食材じゃなかったのか?」

 

 伝説とも言われ、これだけの美味しさだと言うのにフルコースに入らない事に驚いたり、不思議に思う面々に対してなんて事のない様にトリコは言う。

 

「最高には違いないんだけどな。だが、世界にはまだまだ旨い食材がたくさんあるんだ。そう焦って決めるもんじゃねーよ!!さあ、どんどんやろうぜー!!」

「おう!!」

 

 トリコとルフィ達が宴を開いている所から少し離れた場所で小松がスープを熱心に掻き回していました。

 

「よいしょ…っと…これ入れて…」

「ねぇ、スープのおかわり貰える?」

「ああはい。ちょっと待って下さい!」

 

 ナミがスープのおかわりを貰いに来ると小松はリュックから何かを取り出しました。

 

「よいしょ…よいしょっと…」

「それは?」

「あは…スパイスの種、『スパイシード』です。さっき拾いまして…これを入れるとスパイスが効いて、スープがまた違った味に…」

 

 小松が楽しそうに説明していると森からガサガサと音が響いてくる。何事かとそちらへ視線を向けると…

 

「は!」

「んん?」

 

 森の奥からコアラのような動物数十匹がじっと二人を見つめ、狙いを付ける。

 

「「うわあ?!」」

 

 宴の騒ぎでその叫び声も届かず、その場に残されたのはスープのセットとリュック、箱からこぼれ落ちた『スパイシード』だけとなった。

 

「はー食った食ったー!!」

「旨かったぜー『ハングリラ鳥』!!」

「ホントにお前のフルコースにこの『ハングリラ鳥』を入れねーのか?」

「あーそれなんだがなー…」

「え?」

 

 トリコが『ハングリラ鳥』をフルコースメニューに入れない理由を詳しく話そうとするとテリーからチョッパーが何かを聞き驚きの声を上げる。

 

「あ、どうした?」

「小松とナミがいないって!!」

 

 突然の情報に驚きながらも小松とナミが攫われた現場に近付くトリコ達。

 

「あー?何だーこの足跡…」

「スンスン…何かいい匂いがする」

「スンスンスン…上質なココアの香り…この足跡、間違いねぇ!『ココアラ』だ!」

 

 特別鼻の良いトリコだからこそ分かる情報から犯人を突き止めるが特殊な食材に詳しくないルフィ達には聞き覚えがない相手だ。

 

「『ココアラ』?」

「オレも見た事はねぇが、捕獲レベルは3。肉は不味くて食えたもんじゃねぇ。だが、背中には最上級の甘いココアの実が成っているそうだ」

「そんなファンシーな奴らがナミさん達を襲ったってのか?」

「襲った…?…何があった……」

「フィンお前何処に行ってたんだ?」

「辺り…探索…ごめん…今戻った」

 

 手短にナミと小松が居なくなった事を伝え、『ココアラ』についての話に戻す。

 

「多分攫って自分達の巣に持ち帰ったんだ。『ココアラ』は雑食!!どんなもんでもエサとして蓄えちまう習性がある。そして奴らは、『アマタノフルーツ』の木に巣を作る!!」

「『アマタノフルーツ』?」

「メロン、スイカ、リンゴ、マンゴーなどの数多の果物の旨味、甘みをあわせ持つフルーツ!!別名“大地に実る フルーツパーラー“!!くぅ~、食いてぇー!!」

「って仲間の心配より食いもんのかよ?!」

 

 優先順位において食が第一にくるトリコでは最早当たり前といった所だが、彼の頭の中は既に『アマタノフルーツ』でいっぱいになっている。

 

「それで、そいつはどこにあるんだ?」

「『アマタノフルーツ』は、とびきり甘い実を付けるために最も太陽が当たる場所に生息すると言われている!!」

 

 トリコ達は条件に合う場所を探すために崖の上に向かい、到着すると直ぐにその存在を捉えた。

 

「見つけたぜ…」

「これが…」

「間違いねぇ!!『アマタノフルーツ』だ!」

「ナミすわぁーん!!今行くよー!」

「待ってろー!!『アマタノフルーツ』!!」

「オレ、小松が不憫でならねぇ…」

「言ってやるな……」

 


 

 一方で食料が尽きた状況でほぼ一日が経過しようとしているサウザンド・サニー号。

 

「へぇ…ルフィよ…メシはどうなったんだよ?!…ルフィよ…」

「ウソップ…お前随分老けたな」

 

 ウソップのボロボロ、ヨレヨレ具合にむしろ感心するかのように言葉も漏らすゾロ。

 

「このままじゃブルックみてーに骨だけになっちまうんじゃねーか?」

「ナイススカルジョーク…ヨホホホホ」

「ッフフ…それにしても…」

 

 ウソップも喋れてはいるし、他の面々も冗談を言ったり、笑う余裕はまだある様だ。しかし、何かが起きているのではないかとロビンは島へと視線を向ける。そしてその様子を上空から見ていた者が二人。

 

「先に行っててなの…」

「ん、彼らは知り合いかい?」

「一方的に知ってる相手ではあるけど、ただプラントの人間としてお腹を空かせた人を放っておけないだけなの」

 

 「海上じゃないなら追いつくのも無問題なの」と言って乗せて貰っていたキッスの背中から飛び降り、甲板へと着地する。

 

 着地する前からゾロはその気配に気付いていたが敵意が無いためにとりあえず相手の反応を待っている。ロビンもいきなり手を出したりはせず、相手を見据えるとその顔で直ぐに気付く。

 

「貴女…プラントの……?!」

 

「ご存知ならば説明短縮なの…プラントの人間としてお腹の鳴る音は見過ごせないの…『開封(オープン)』!!」

 

 そう言いながら幾つも放り投げた種の中から回収した食材や持ってきていた料理を取り出して広げる。

 

「ふふふ、召し上がれなの!!」

 

 豪勢な料理の数々を並べ終え、そう言って笑い掛ける少女を前にして一部のクルーは歓声をあげて喜んだ。

 


 

 ナミと小松と『アマタノフルーツ』を目指して一番高い山を目指して突き進むルフィとトリコ達。

 

「何だ、この蒸気は?」

「間欠泉?うわーたっ!」

「気を付けろよ!どっから吹き出すか分かんねぇ!」

「スゲェあちぃよこれ!……あめー?!これ、チョコレートだ!!」

「何ー?ホントかー?」

 

 あちこちから吹き上がる間欠泉、一部掛かって口に入ったチョッパーがその正体を告げるとルフィは目を輝かせている。

 

「目輝かせてねーできっちり走れ!!こうしてる間にもナミさんが!!…お?」

「何だ?」

「少し…マズイ…」

「でけーのが来る!」

「え?」

「うわー!」

 

 チョコレートの間欠泉がルフィとトリコ達は高々と飛ばされ、落下地点が川である事に気付きルフィ達は焦り出した。

 

「あちぃー!」

「うわああ!やべぇ、川だ!」

「えーー?」

「どうした?」

「悪魔の実の能力者は、泳げねーんだよー!」

「何ー?」

「うわああ!」

 

 一行は川へ落ちルフィとチョッパーは溺れると思い込んで藻掻くがどうも様子がおかしいと気付く。助けるつもりでいたフィンも川が水でないと直ぐにわかった。

 

「落ち着け…」

「あり?これ水じゃねぇ!」

「クリーム…?ホイップクリームの香りだ!」

「旨ぇ!」

「よーし、もう少しだ!」

 

 普通の水では無かった為に溺れる事なく、全員が川の流れにのってそのまま山を目指していく。

 

「よっし!!ッヒヒ…お?」

「この森を抜ければ『アマタノフルーツ』に到着だ!」

「お?」

 

 川を上がって後少しだと意気込んでいるとルフィの後ろから呻き声が耳に届く。

 

「何だよ今の!!」

「やはり、『カーステ・レオ』!」

「『カーステ・レオ』?」

 

 『カーステ・レオ』哺乳獣類に分類される捕獲レベル4の猛獣が立ち塞がる。

 

「捕獲レベル4。やつの鬣はふわふわのカステラで絶品だぜ!!」

「重低音でウーハーウーハーってシャレのつもりか?」

「オレ達はナミの所へ行くんだ!!邪魔する奴は誰だろうと許さねぇー!!」

 

 近付こうとしたルフィだが、『カーステ・レオ』の咆哮と共に飛ばされてしまう。

 

「わああー!」

「ルフィ?!」

「何だ?」

「音の衝撃波だ!!」

「奴のカステラスポンジは音を放つ。巨大なスピーカーってとこだな!!」

「新素材…確保したい…」

「何か手はないのか?」

「そうだな…奴の攻撃を正面に集められるか?」

「よし!」

 

 サンジとテリーが近付きますがルフィと同じ様に衝撃波を食らってしまう。しかし、それだけの隙が作れれば十分とトリコが動く。

 

「よし今だ!」

「トリコ!」

「奴の音波攻撃は正面のみ!!側面からならいける!!3連…『釘パンチ』!!」

 

 トリコの攻撃を喰らった『カーステ・レオ』は思い切り吹き飛んで倒れた。

 

「すっげー!!何だ今のー?」

「釘を打ちつけるかのように数回のパンチを1箇所に打ち込む。『釘パンチ』だ!!」 

「ガルル…」

「お?」

「まだ…居る…」

 

 目を輝かせるチョッパーとルフィにトリコは説明するが…テリーの唸り声に感付くサンジとフィン。すると森の中から複数頭の『カーステ・レオ』が現れた。

 

「こんなにいやがったのか…」

「しかもでけーし」

「こいつらは群れで動く。7頭の『カーステ・レオ』と3頭の小さな『カーステ・レオ』…囲まれちまったようだな」

「ええー?!」

「『フライ返し』!!」

 

 絶対絶命かと思っていると何処からか声が響き、『カーステ・レオ』を防ぐ。

 

「お?」

「何て美しい登場のしかた…!!」

「サニー!!」

「『ポイズンライフル』!!」

「あ…!!」

 

 続けて毒攻撃を喰らった『カーステ・レオ』達も倒れその場に余裕が生まれる。

 

「『エンドルフィンスモーク』!!」

「今度は何だ?」

「静かになりやがった…」

 

 突如に『カーステ・レオ』の近くに煙が立ち込めると残っていた奴らが大人しくなる。

 

「『種機関銃』!!」

 

 煙の範囲外に残っていた『カーステ・レオ』達には何処からか種が飛んできて、その身を吹き飛ばす。

 

「やあ、トリコ」

「ココ!!リン!!」

「やっほーフィン兄」

「来てたか…グレーヌ…」

「トリコー!無事で良かったしー!」

「うおー!天使が舞い降りたっ!」

「すげー!トリコの仲間にフィンの仲間か?」

「そう…」

「ああ、まぁな。って、何でお前らがここに?」

「トリコが、『ハングリラ鳥』捕獲に出発したと聞いてね。『ハングリラ島』の秘密を教えに…」

 

 助けにやってきた仲間の登場に喜びつつ、何故来たのかを訊ねるとココが何かを話そうとした所で…

 

「つーかあたしを置いて行くなんてトリコ酷いしー!!この島探すのすっごい苦労したし、超ムカつくしー!!」

「そう言えば…」

 

 リンが割って入り話題が途切れる。ココは周りを見渡しこの場のおかしな点に気付いた。

 

「小松君はどうした?」

「それが、ココアラに攫われちまってな!!」

「え、何だって?」

「ああ、オレ達の仲間も一緒なんだ!」

「ええ?」

「この動物ぱねぇ!!喋ったー?!」

 

 サニーがチョッパーに驚いて叫んだその時、一度倒された『カーステ・レオ』達が再び起き上がり始めた。

 

「ち…復活してきちまったな!」

「こいつらの相手してる暇なんかないのに!」

「早く、ナミを助けに行くぞ!!」

「しっかしこいつら厄介だぞ?」

「美しい…!!仲間を思う心、それは何よりも美しい!!トリコ、ここはオレ達に任せて小松を!!」

「あたし達だけで、大丈夫だし!」

「お前ら?」

「さあ、君達も早く!」

「すまねぇ!!」

「私はフィン兄達についてくの」

 

 急いで仲間を助けたいと思っている面々を見てこの場での戦闘をサニー、ココ、リンの三人が買って出る。グレーヌはトリコやルフィ達のチームに加わる。

 

「じゃあ頼んだぜ!絶対『アマタノフルーツ』を手に入れてみせるからなー!!」

「え?『アマタノフルーツ』?」

「小松君は?」

「何かトリコの目的だけ、皆とズレてね?」

 

 トリコだけが小松を助ける為ではなく、『アマタノフルーツ』目当てである事に驚きと呆れが見えるが請け負った以上は関係ない。

 

「ま、何にしても…相手にしてやっか!!」

 

 サニーがそう言うと、ココとリンも戦闘態勢に入り、『カーステ・レオ』に向き直り、戦いを始めた。

 

 一方で『カーステ・レオ』の縄張りを通り抜けたトリコは何やら思案している顔つきで走り続けている。

 

「どうしたトリコ?」

「いや…『カーステ・レオ』は何故捕獲レベルが自分達よりも低い『ココアラ』を襲わなかったのかと思ってな」

「はぁ?」

「さっきの『カーステ・レオ』のエリアを『ココアラ』達も通った筈だ。小松達を抱え早く動けない『ココアラ』は『カーステ・レオ』にとって絶好の獲物。だが奴らは腹を空かせていた。何か『ココアラ』を食わなかった理由があるはず。嫌な予感がするぜ…!」

 

 何か予想外の事態が待ち受けているのではないかとトリコが美食屋としての勘を働かせてる頃、『ココアラ』の群れに捕まった小松とナミは…

 

「放しなさいよ!お化けコアラ!この」

「んん?これは!『アマタノフルーツ』!は…初めて見ましたよ!感動ですー!」

「はー?」

「ああ…どんな味なんだろう…どう料理すれば素材が引き立つんだろう…!」

「そんな事より、あんた、この状況考えなさいよ!」

「え?」

「え?」

「ええ?」

 

 二人を覆う影の主の方向を見るとそこには『ココアラ』なんかじゃ比較にならない程に大きいコアラが()()が立っており恐怖で叫び声をあげる。

 

「あの声はナミさん!!うおおお!!」

「サンジ!!」

「んナミすわあああーーーん!!」

「…『ココアラ』の…群れ?!」

「ルフィ!!サンジ君!!」

「トリコさん!!」

「ナミ!!」

「あれは…!」

「『ドツクゾコアラ』?!奴らがボスか!!『ココアラ』が成体になると『ドツクゾコアラ』になるって話だが、あそこまででかい『ドツクゾコアラ』なんて聞いた事がねぇ!!」

「ガルル」

「『カーステ・レオ』が『ココアラ』を襲わなかった理由が分かったぜ!!『ココアラ』のボス『ドツクゾコアラ』達を恐れていたんだ!!」

 

『ドツクゾコアラ』達が一声上げると、『ココアラ』達も反応する。

 

「あいつら本性を現しやがったな?」

「やれやれ。こいつらを倒さねーとどっちみちナミさんを助ける事は出来ねぇって事か!!」

「何だ、この速さ?!」

「戦闘態勢に入った『ココアラ』の捕獲レベルも3じゃすまねぇって事か!!」

「おい、トリコ!!」

「ルフィ、トリコ!!ってええー?!」

「あたしもいくの!!」

「付き合う…」

「っておい?!」

 

 『ココアラ』の群れを無視して『ドツクゾコアラ』達を目掛けて駆け出すトリコとルフィ、そしてフィンとグレーヌ。

 

「ここはお前らに任せた!!」

「ええー?!」

「分かった!ルフィ!トリコ!ナミさんを頼む!」

「おう!!」

「一匹は請け負うの!!」

「任せろ…」

「ナミを助ける!!」

「あのー僕はー?」

「ルフィ達の邪魔はさせねー!」

 


 

 何やらずっと騒がしい様子の島と何時までも帰ってこない仲間から何かあったのではないかと皆が思い始める。

 

「何か騒がしいわねぇ」

「しゃーねーな。このまま待っててもらちがあかねぇ!!島の裏側まで船を廻してみるか…」

「よし、腹も膨れた事だしばっちりだ」

「ヨホホホー私も働きますよー!!」

「とっとと、帆張るぞー!」

 

 グレーヌのおかげでお腹いっぱいになった面々は元気に船を操り、島の裏を目指すのだった。

 


 

 二匹揃っていれば戦いはきついどころの話ではないとフィンは『ドツクゾコアラ』の分断の為に先駆けて動いた。

 

「魚人空手応用槍術…擬似奥義…『均屠馼(ナラズモン)』!!」

 

 黒く染まった槍はまるで黒馬が走る様に飛んでいき、通り道の全てを均し、屠っていく。そして標的である『ドツクゾコアラ』に刺さる…ではなく衝撃だけを伝えてピタリと静止し、次の瞬間に貫通した水が『ドツクゾコアラ』を吹き飛ばした。

 

「よし、下まで転がってるの!!こっちはあたしとフィン兄に任せてなの!!」

 

 そう言うとグレーヌとフィンは吹き飛ばした『ドツクゾコアラ』を追いかけて、山を駆け下りていった。

 

「強い…」

 

「直接の攻撃じゃないとはいえフィン兄の覇気を込めた一撃を耐えきるってヤバいの」

 

 二匹の『ドツクゾコアラ』が居たがグレーヌとフィンが請け負った方が強さを感じた。それはおそらくトリコとルフィも感じ取っていただろう。

 

「おかしい…」

 

「ボスだとしたらこっちの筈なのに二匹の関係に差を感じなかったの…番って訳でも無さそうなのに…」

 

 体格からしてオスとメスではある様だが番ならば見られるそれらしい反応が一切ない。そうなってくると群れの中での序列が分からなくなる。

 

「それだけじゃない…手応えと威力…差がある…」

 

 フィンは幾らこの『美食領域』の動物が規格外だとしても覇気を纏った奥義で落としきれないとは思っていない。

 

 何よりも普段と比べて技の与えた結果が大きく劣っている様に感じられたが故におかしいとこぼしたのだ。全く効果が無い訳では無いが何処か覇気が弱い、それはグレーヌにも心当たりがあった。

 

「来る途中で海で戦ったけどダメージが少なかったの…これは『美食領域』だからなの?」

 

()()()()()()()…此方だけの技術…使いにくいのかも……」

 

「でも、悪魔の実の能力はそんな様子は見られなかったの……」

 

 自身はもちろん、ルフィやチョッパーを含めて使いにくいとか、いつもと違うならば気付く筈だ。彼方に悪魔の実があればいくら不味くても食材の知識豊富なトリコが知らない筈がない。

 

 おそらくだが悪魔の実は此方の存在…それなのにこの領域内においても問題なく作用する。その不自然の謎を解明しなければ答えはでないだろう。

 

「来る…『突水(ツキミズ)』!!」

 

「考えるのは倒してからなの!!『弾種(ポップシード)』」

 

 向かってくる『ドツクゾコアラ』に対して構えるとフィンが出だしを封じる様に水を飛ばし、グレーヌは妙に高めの地熱を利用して弾ける種をばら撒いて飛ばした。

 

 『ドツクゾコアラ』は水を殴って壊すと勢いを殺さずに二人の方へ突っ込んでいく。『弾種』は『ドツクゾコアラ』な速度に負けて殆どが当たっていない。

 

「…魚人柔術応用槍術…『水心刺(ミコシ)』『昇龍(ショウリュウ)』!!」

 

 近くに山があり、間欠泉がある事から水脈があると判断したフィンは槍を地面に突き刺すと水では無いがチョコレートを引っ張ってきて地面の下から空へと刺し放った。

 

 流石の『ドツクゾコアラ』も地下から引き上げられたチョコレートを理解できずに諸に食らってチョコレートごと吹っ飛んだ。

 

「トドメなの!!『圧種(アッシュ)』『開封(オープン)』!!」

 

 すかさずグレーヌが圧力や運動エネルギーごと種の中に種を詰め込んで封じ込めた代物を相手に撃ち込む様に開放する事前準備の必要な大技を放った。

 

 体勢が大きく崩れ、まだ着地もしていない空中での狙い撃ち、それが『ドツクゾコアラ』に当たるその瞬間に重低音が響き渡った。

 

「なんで『カーステ・レオ』が?!」

 

「獲物…横取り…違う…助けた?」

 

 『ドツクゾコアラ』に当たろうとしていた種は周囲から届いた『カーステ・レオ』の衝撃波によってそらされてしまった。

 

「『カーステ・レオ』が『ココアラ』を襲わなかったのは『ドツクゾコアラ』を恐れてじゃないの…こいつらは同じ群れだったの!!」

 

「『ドツクゾコアラ』同士…序列の謎も…分かった…きっと上がいる…『ドツクゾコアラ』…ボスじゃない!!」

 

 グレーヌとフィンは『カーステ・レオ』が『ドツクゾコアラ』を庇った事でようやくこの場においての状況を把握出来た。

 

「…四隊長が一人フィンに命令(オーダー)します。一分で『カーステ・レオ』を倒し切りなさい」

 

「…!!…了解いたしました!!」

 

 共闘されればいかにグレーヌとフィンが実力者であっても一筋縄ではいかない。グレーヌは前衛ではない自分が『ドツクゾコアラ』相手に問題なく保たせられる時間を考えた。

 

 そしてフィンが『カーステ・レオ』を倒し切る時間を考えた。その上で妹ではなく王族として命じ、フィンもそれに応えた。後はグレーヌは『ドツクゾコアラ』を封じるだけだ。

 

「私に従うの…『種竜(シードラゴン)』!!」

 

 『種竜』…種でありながら込められた養分だけでは満足せずに竜の形をとって周囲のありとあらゆる生物を喰らい尽くす食欲旺盛で危険な種。

 

 制御下に置くだけでも至難の技であるそれを自在に操って戦わせるなんて真似は出来ない。それでもぶつけ合わせる事くらいは可能だ。

 

「眼の前のココアを喰らい尽くすの!!」

 

 種は堅固な殻で守られおり、生半可な攻撃ではひび一つ入らず、それでいて小さい為にスピードも速い。欠点は操れる時間が三十秒程度な事ぐらい。そして時間制限も上手く使えば問題はなくなる。

 

「今なの!!『芽吹け』!!」

 

 『ドツクゾコアラ』の足元に潜り込ませた『種竜』に働きかけて無理やり芽吹かせる。グレーヌは芽吹かせるまでは出来てもモーダスやホーニィの様に成長を操作する力は無い。

 

 だがそれも芽吹くことで解放される種ならばなんの問題もない。『種竜』は芽吹いた瞬間に喰い漁り蓄えた養分でポップグリーンもかくやという速度で一気に成長する。

 

 双葉が芽吹いたかと思うと急速に伸びながら『ドツクゾコアラ』へと絡みつき、瞬く間に大木へと変わる。さらに幹を太くしてさらに高く成長し、『ドツクゾコアラ』も中程まで押し上げられ、身動きを封じられる。

 

「助けようとすれば衝撃波が『ドツクゾコアラ』にも当たるの。ましてやそれ以前に…」

 

「『カーステ・レオ』はもういない!!…魚人空手応用槍術…擬似奥義…『突槍鬼瓦(トソウオニガワラ)』!!」

 

 動けない『ドツクゾコアラ』に対して衝撃の全てを余すことなく叩き込み、大木の中で『ドツクゾコアラ』は意識を完全に失った。

 

「ナイスなのフィン兄!!それじゃ…」

 

「急ぎ…合流…」

 

 まだ見ぬ『ココアラ』と『カーステ・レオ』を従える本当のボスが巣の中に潜んでいる。もう一匹の『ドツクゾコアラ』と戦っているルフィとトリコの場所へと二人は駆け出した。

 


 

 場面はフィンによって離されたもう一匹の『ドツクゾコアラ』との戦闘開始へと戻る。

 

「ルフィ!!」

「トリコさん!!」

「ルフィ大丈夫か?」

「おお」

「奴めこりゃ捕獲レベル5ってのははったりくせーな!!」

 

 『ドツクゾコアラ』は挑発するかの様に木の上でジャンプして、勢いをつけると攻撃を仕掛けてくる。

 

「うわっ?!」

「やるな!!」

「おい、お前!!ナミを返せ!!」

「そうだ!『アマタノフルーツ』を寄こせ!」

「ええー!僕を助けに来たんじゃ…」

 

 救助ではなく『アマタノフルーツ』目当てなトリコに小松は驚愕している。

 

「うがっ!!」

「ルフィ!!」

「うわ」

「トリコ!!」

「ぐおお…?!」

「何て力だ?!」

「よし、今度はオレが『ゴムゴムのー…うわっ?!」

「『ナイフ』!!」

「ナミ達を盾に使うなんて汚ねーぞ!!」

 

 『ドツクゾコアラ』は実の幹に摑まると回転し始め、その勢いを利用し、巨大な爪でトリコを攻撃する。

 

「うわー?!」

「トリコー!!」

「うわーーーあ?!」

「ナミ!!小松!!」

「さすが『アマタノフルーツ』の木だ!!」

「え?」

 

 攻撃を仕掛けてくる『ドツクゾコアラ』の勢いに捕まっている二人も揺られている。攻撃を受けたトリコはそれよりも『アマタノフルーツ』の木に注目している。

 

「『ドツクゾコアラ』のあの激しい動きを支えてびくともしやがらねぇ!!しかもその反動でやつの攻撃力はとんでもなく上がってる!!」

「なんか厄介だな」

「だがあの大きな幹、さぞいい養分をあの実に送ってるんだろうなぁ…!!」

「ん?」

「『アマタノフルーツ』絶対に食う!!」

「まだそんな事言ってやがる?!」

「ヒヒヒ。そうだな!!」

「ッへへ」

「ちょっとルフィ?!あんたまで?!」

「何考えてんだよ?!」

 

 仲間第一のルフィだが意志を持って食材と向き合っているトリコに合わせて笑い、仲間達に驚かれる。だがそれも助け出せると信じているからで『ドツクゾコアラ』を見据える目には揺らぎはない。

 

「この世の全ての食材に!!」

「感謝を込めて!!」

「「いただきます!!」」

「ちょ、ちょっとー?!」

 

 自分達が居るのに思い切り攻撃しようとしているルフィ達に驚いているがルフィが『アマタノフルーツ』の木を用いて自身を発射台にすると、ゴムの力を利用してトリコが『ドツクゾコアラ』へと向かっていく。

 

「『ゴムゴムの…」

「釘パンチー』!!」

 

 勢いよく叩きつけられた一撃は『ドツクゾコアラ』を沈めきり、無事にナミと小松も助け、二人で手を合わせる。

 

「「ごちそう様でした!!」」

 

 くしくもフィンとグレーヌのペアが『ドツクゾコアラ』を倒したのとほぼ同時に倒したのであった。

 


 

「この気配は少しいただけないな…」

 

 命の紙の方向を確かめるとどちらも同じ方を指しており、二人が相手取るにしても少しきついだろう気配もそこから漂っている。

 

「悠長にし過ぎたな。この距離だと間に合わないか?」

 

 趣味の植物収集をしながら進んでいたのがまずかったなと反省しつつ、戦いの場を見据える。

 

「なら届かせるのみだ」

 


 

「さて、『アマタノフルーツ』をいただこうか!!」

「楽しみだな!!」

「ナミすわぁああん!!無事で良かった!!」

「ナミも小松も怪我はないか?」

「振り回されたけど怪我はないわ」

「僕も大丈夫です。ありがとうございます」

 

 ルフィとトリコはさっそく『アマタノフルーツ』を目指して歩き出し、サンジはナミの無事を喜び、チョッパーは二人に怪我はないか訊ねる。

 

 戦いが終わり全てが解決してめでたしめでたしで終わりそうな空気が広がる中に強い足音が耳に入る。何事かと視線が向くと慌てて駆け寄るグレーヌとフィンの姿があり……

 

「気を抜いちゃダメなの!!」

「終わってない…!!」

「なに?…うおぉおお?!」

「トリコ?!うわあぁあ?!」

 

 グレーヌとフィンの注意の声が響いたと同時に『アマタノフルーツ』の影から何かが飛び出し、トリコとルフィを吹き飛ばした。

 

「おいルフィ?!」

「トリコさん?!」

「ちょ、ちょっと大丈夫なの?!」

「な、何が居るんだ?!」

 

 終わったと思っていた所に現れた大きな影に対して全員が注目を向ける。そこにいたのはココア色をし、胴体はカステラで覆われ、背中や尻尾の先に大きなココアを付けた雌ライオン。

 

「なんだありゃ?!」

「『ココアラ』と『カーステ・レオ』の特徴を併せ持つ猛獣だと?! 変異種か?!」

 

『ココアライオネスピーカーステラ』、『ココアラ』と『カーステ・レオ』を統率する存在で、群れのトップに君臨する女王。

 

 繰り出される音の衝撃波は『カーステ・レオ』以上で背中のココアを飛ばして共振させることで爆破させたり、衝撃波を強める。

 

 捕獲レベルは平均で5前後のハングリラ島において捕獲レベル30 を記録する正真正銘ハングリラ島の主の座に位置する。

 

「どうするトリコ?」

「どうするつってもなぁ、ルフィ。こいつを倒さねぇと『アマタノフルーツ』にありつけねぇんなら…やるしかねぇだろう?」

「ひひひ、そうだよなぁ」

 

 『ハングリラ鳥』も『ドツクゾコアラ』も可愛らしいくらいの威圧感の中で二人揃って吹き飛ばされた時に付いた汚れを払うとニヤリと笑う。

 

「胃もたれ起こしそうなおかわりなの」

「グレーヌ…後衛…」

 

 覇気が十全じゃない状態ではまだ幼さが残り、動物系でもないグレーヌは危険と判断し、グレーヌも納得して少し後ろに陣取る。

 

「サンジ!!チョッパー!!ナミを連れて離れろ!!」

「テリーお前も小松を!!」

 

「了解だ船長!!ナミさんには傷一つつけさせねぇ!!」

「おれも頑張るぞ!!」

「ガウ!!」

 

 戦えない訳では無いが基本的には非戦闘員であるナミと完全に非戦闘員である小松を下げてから戦いに臨んだ。

 

「『ゴムゴムの(ピストル)』!!こいつ、速えぇ?!」

 

 ルフィが腕を伸ばした頃にはそいつは動いてその場を離れている。その速度は目で追えるギリギリのレベルだ。

 

「ならこいつでどうだ?『フライングフォーク』!!」

 

 ルフィの攻撃が避けられたのを見て素早く広範囲を攻撃する様に連射型の『フライングフォーク』を放つが間をすり抜ける様に距離を詰めてくる。

 

「避けられてる…魚人空手応用槍術…『鳳慄峙(フォーリッジ)』!!」

 

 それを見たフィンが水の伝播を利用した衝撃による範囲攻撃を槍から放つが次の瞬間に敵も身体から衝撃波を放つ事で相殺する。

 

「一発勝負『種子島(タネガシマ)』なの!!」

 

 衝撃波を放つ為か少し減速した所に後方も後方、『ココアライオネスピーカーステラ』も気付かない距離から放たれた一発の種、これならばとその場の者が期待した一撃は突如背中から放たれたココアによって弾かれた。

 

「それ飛ぶのか?!まるで砲弾だぞ!!」

「しかも放たれた所を見てみろ。もう既にカカオの実がなってやがる!!」

「…残弾…実質無限…いや…相手の体力…」

「あの重量じゃ中の種を操作してもびくともしないの」

 

 『ココアライオネスピーカーステラ』の攻撃のヤバさに気付いた瞬間に全員が退避行動に出た。遠く離れたグレーヌも例外でなく、まず間違いなくココアの砲弾の射程範囲内だ。

 

「『ゴムゴムの風船』!!ってきりがねぇ?!うわぁ?!」

「めちゃくちゃだな?!『フォーク』!!」

 

 弾き返しても次から次に飛んでくるココアに耐えきれずルフィはダメージこそ無いが飛ばされ。トリコは『フォーク』を壁の様に使ってなんとか耐えているが動けずにいる。

 

「…とりあえず…避けるか…防ぐ…『突水』!!」

「中に種があるから狙いはつけやすいの『種爆弾』乱れ投げなの!!」

 

 生えるのは確かに速いが撃ってから生えるまでに多少の時間が掛かっている。今は攻撃を凌ぐのが先決と二人で迎撃に当たる。

 

 フィンは持ち前の速度を活かして飛んでくるココアを水で撃ち砕いていく、グレーヌは自身の能力で飛んでくる弾であるココアを正確に把握できる為に砲撃の速度にも対応できている。

 

「もうすぐココアが切れるから作戦を考えるの!!」

 

 砲撃の嵐の中では少し離れただけでも仲間の声が届かず、思い切り声を張り上げての作戦会議が行われる。

 

「基本的に足を止める役と攻撃する役で良いよな!!」

 

「おれ、足止めは出来ねぇぞ!!」

 

「足止め!!…こっち!!…そっち!!…突っ込め!!」

 

 とは言っても凝った作戦を考えてる暇はなくトリコが分かりやすい案を提案を出し、常に真っ向勝負のルフィは足止めは担えないと返す。

 

 トリコも牽制などは出来るが基本的には近距離での殴り合いがスタイル。それをずっと行動を共にしていたフィンが把握してない訳もなく、足止めはグレーヌとフィンが請け負った。

 

「グレーヌ…()()()…」

 

「任せてなの…ポップグリーン『竹ジャベリン』!!」

 

「魚人空手応用槍術…『鳳慄峙(フォーリッジ)』!!」

 

 『竹ジャベリン』で生えてきた竹を急ぎ根本を叩き折り、急拵えだが竹槍として受け取る。

 

「「『唐草竹ジャベリン』!!」」

 

 大量の竹槍に水を滴らせて投げる事で辺り一面だけでなく、さらに遠くにまで水の衝撃波を走らせて逃げ場を無くし、投げ続ける事で相手に相殺させ続ける。

 

「衝撃波を突き破って一撃を入れてやる!!ルフィ!!」

「ああ!!」

 

 『ココアライオネスピーカーステラ』が動けない内にルフィがまた発射台になり、トリコが衝撃波同士のぶつかり合う中を飛んでいく。

 

「『ゴムゴムの…」

「…釘パンチ』!!」

 

 衝撃波がなんのそのと敵目掛けて突っ込んでいったトリコの拳が当たるかと思うと次の瞬間、『ココアライオネスピーカーステラ』とトリコがいる位置が大爆発が起こり、そして小規模だがフィンやグレーヌの近くでも爆発が起こる。

 

「トリコ…?!フィン?!グレーヌ?!」

 

 『アマタノフルーツ』の木に巻き付いていて爆発に巻き込まれなかったルフィが必死な様子で声を上げる。

 

「…こっち…無事…」

「少し食らったけどなんとか防御が間に合ったの……でもトリコは……」

 

「おい!!トリコ!!」

 

 あの至近距離で特大の爆発を食らったトリコがどうなったのか見えていないかった。何処にいるかも分からないので必死に呼びかけると少し離れた位置から声がきこえる。

 

「ここだ……がはっ…俺も咄嗟に『フォーク』を纏わせはしたが……このざまだ……」

 

 体を守りながらも諸に爆発を喰らってしまい遠くまで吹き飛ばされボロボロになっている。

 

「俺の事はいい…それより防げたって事はあの攻撃の正体は分かったのか?」

 

「たぶん…ココア…爆破…」

「ほぼ誤差みたいなものだけどあいつに近いのから順々に爆発していったの」

 

「なるほど…おそらく衝撃波による共振だ…内部が耐えきれなくなって粉々に破裂…そしてその粉末が振動で熱されて粉塵爆発を引き起こしてる…殴る瞬間に妙な振動を感じてそれで防御を間に合わせられた…」

 

 それがなければ死んでたかもな。なんていう笑えない冗談を口にしているが正直状況はあまりよくない。

 

 爆破を引き起こした『ココアライオネスピーカーステラ』自身は衝撃波とカステラでその身を守り傷一つ負ってないのに対して四人中三人がダメージを負い、トリコに至っては重症だ。

 

「トリコ、まだ戦えるか?」

 

「俺は食えば回復する…この騒ぎならほら」

 

「トリコさ〜ん!!」

「おーい大丈夫か?!」

 

 小松が山の様な料理をチョッパーに協力してもらいながら運んできている。チョッパーは医療器具も持ってきている。

 

「サンジさんにも手伝って貰ってこれだけ持ってこれました!!」

「火傷が凄いぞ?!これ薬を染み込ませた包帯…少しの間だけでも巻かないと…」

 

「でかした小松…って訳だからよ…食い終わるのに五分もいらねぇ…保たせてくれ」

 

「にしし、急がねぇとおれたちで倒しちまうからな!!」

「あの攻撃もココアを着弾させなければ良いだけなの!!」

「簡単…」

 

 トリコが一旦戦線を離れて回復に努める。その間は三人で代謝しないといけないがさっきの経験を活かして今度は三人で固まっている。

 

 固まっていれば全員でココアの撃墜にあたれるが逆に『ココアライオネスピーカーステラ』の狙いも集中している。次々とココアが三人に放たれていく。

 

「破壊…確実に…『突水』!!」

「『種機関銃』!!」

「『ギア2』『ゴムゴムのJET銃乱打(ガトリング)』!!」

 

 だが三人がかりで撃墜していけば撃ち漏らす事なく、飛んでくる全てのココアを破壊出来ていた。だが…

 

「向こう…自由…」

「撃ちながら向かってくるぞ!!」

「厄介なの…」

 

 先程まではある程度の撃墜をしてから足止めの流れだったが、撃ち漏らしを爆破されない様にココアの破壊をしていると足止めに移る余裕がない。

 

「ルフィ!!一瞬で良いからココアを全て落として欲しいの!!」

 

「やってみる。『ギア3』『ゴムゴムの巨人の(ギガント)銃乱打(ガトリング)』!!」

 

 ルフィは少しでも撃ち漏らしを無くすために両腕を一気に巨大化させるとココアが放たれる方に思い切り打ち続けた。

 

「うおおおおお!!」

 

「今のうちにもう一度『竹ジャベリン』なの!!」

 

 先程使った『竹ジャベリン』はだいぶ使い切ったのと爆発で破壊されたのでなくなっており、新しく竹林を生やした。

 

「交代だ…魚人空手応用槍術…『鳳慄峙(フォーリッジ)』!!」

「「『唐草竹ジャベリン』!!」」

 

 再びの協力技でココアの破壊と足止めをフィンが同時に引き受ける。竹を生やした後はフィンが投げるだけなのでグレーヌの手は空き。

 

「能力は十全なの!!『空種乱れ撃ち』!!」

 

 種の中に色々なものを仕舞い込む事も出来る『タネタネ』の力を用いて『ココアライオネスピーカーステラ』が放つココアと衝撃の一部を種に収めていく。

 

 『ココアライオネスピーカーステラ』の衝撃波を封じた上で衝撃が込められた竹槍が相手に届き、ようやくまともに攻撃が通った。そこにすかさずルフィが向かう。

 

「『ゴムゴムの巨人の(ギガント)(アックス)』!!」

 

 動きを封じてる状況で吹き飛ばすと不味いと判断して上から巨大化させた足を思い切り振り下ろす事で一撃をいれる。

 

「そのまま押さえてろ!!」

「トリコ!!おう、任せとけ!!」

 

 用意された料理を食べ体力と身体を回復させたトリコが戻ってきた。『ココアライオネスピーカーステラ』は飛ばすココアと衝撃波を封じ込め、頭を踏みつけて身動き一つ出来ない。

 

「喰らえ!!『レッグナイフ』!!」

 

 完全に封じ込めに成功し、カステラで覆われていない頭への大技が向かう。そしてそれを嘲笑うかのように茶色がトリコを弾き、ルフィも跳ね除けられる。

 

「うわっ?!なんだ?!」

「ぐっ?!茶色いココアが見えたが…」

「尻尾なの!!尻尾の先のココアが叩きつけられたの!!」

「自由自在…厄介…」

 

 無理やり振りほどく為に動かしただけで、あまり勢いもなく攻撃は妨害されたがダメージは少ない。とはいえ遮られた事で決定打を与えられ無かったのは惜しい。

 

「でも攻撃は出来てるの。このままいけば…」

「倒す…可能…」

 

 体勢を整えた『ココアライオネスピーカーステラ』が再びココアを飛ばし始めた。

 

「それはもう効かねぇぞ!!『ゴムゴムのJET銃乱打(ガトリング)』!!」

「『フライングフォーク』!!」

 

 残さず叩き落とす様に質より量を重視した攻撃に切り替えて対応する。

 

「今度は全身縛ってやるのポップグリーン『蛇花火』!!」

 

 植わると直ぐに生えるポップグリーンの中では珍しく強い衝撃がなければ成長しない種だが、操作できるグレーヌならば関係ない。

 

 一気に成長した『蛇花火』によって『ココアライオネスピーカーステラ』は縛られ尻尾目も含めて雁字搦めになる。

 

「今度こそ『ゴムゴムのJET攻城砲(キャノン)』!!」

「『レッグフォーク』!!」

「魚人空手応用槍術…擬似奥義…『突槍鬼瓦(トソウオニガワラ)』!!」

 

 三者三様の攻撃が『ココアライオネスピーカーステラ』に叩き込まれる。爆発を起こししても爆発ごと吹き飛ばせる様な猛攻撃。そして確かな手応えを感じると共に重たい衝撃波が三人を吹き飛ばした。

 

「うわぁ?!」

 

「うぉお?!」

 

「う……?!」

 

 『ココアライオネスピーカーステラ』の全身から放たれる衝撃波は全員が確認していた。その程度であれば踏ん張れる筈だった。

 

 しかし、結果として三人はバラバラに山の中腹まで飛んでいった。ココアは爆発させるだけでなく衝撃波の増幅も出来たのだ。

 

「な…フィン?!ルフィ?!トリコ?!まずいの…きゃあ?!」

 

 『ココアライオネスピーカーステラ』も無事ではなくよろよろで動きは遅い。しかし復活したカカオをグレーヌ目掛けて飛ばすくらいは訳なかった。

 

 満タンのココア全てを一人で防ぐ事は難しい。しかも仲間がやられた動揺で覇気が乱れてしまい諸に直撃を受ける。

 

「…うう…あ……」

 

 地面に倒れるグレーヌが視線を上げると『ココアライオネスピーカーステラ』の顔が見えた。

 

「「「グレーヌ!!」」」

 

 それぞれの方向から復帰してきた三人の声が届く、三人の中で最も速いフィンが一番近くまで来ているが届かない。

 

 グレーヌに相手の尻尾による叩きつけが直撃すると思われたその瞬間、飛来した塊によって『ココアライオネスピーカーステラ』は吹き飛んだ。

 

「あれは…まさか…」

「おいグレーヌ無事か?!」

「打ち身は酷いが折れてはなさそうだな」

「なんとか無事なの……」

 

 吹き飛んだ事で復帰してきた三人がグレーヌの所へ駆け寄る。怪我の状況を確認するが動けなかったり、命の危険があるレベルでなく息を吐く。

 

 その間も謎の攻撃は続いており『ココアライオネスピーカーステラ』は為す術無くやられている。それも尻尾を失い、全身のカステラを切り裂かれながら地面へと叩きつけられる形でだ。

 

「いったいなんなんだありゃ?!」

「尻尾の先がねぇぞ!!」

 

 思い当たる節のない二人は助かったのは確かだが何事かと眼の前で繰り広げられる事態に驚きを示す。

 

「あれは…お父さんの技なの!!」

「遠距離…あの威力…流石…」

「アスカルのか!!」

「お前の親父さんか、信じてなかった訳じゃ無いがだいぶ強いな」

 

 『ネビル』、渦巻く高密度の霧状の大地が触れた部分を削りきると言う霧状の大地を生み出し纏めると段階を踏まないといけない技だがその威力はこの通りだ。

 

「相手…隠し玉…もう無い…」

「自力で対処出来てないのは悔しいけど…」

「ここまでお膳立てされたら…」

「決めるしかねぇよな?」

 

 ゴム人間でもないのに直撃を受けたグレーヌはもちろん。身体の内外から揺らされたルフィ、トリコ、フィンもそれなりのダメージがある。

 

 それでもこれだけ手助けされておいて後は任せたと休んでられるほど大人しくはない。四人で顔を見合わせるとそっと手を合わせる。

 

「「この世の全ての食材に!!」」

「「感謝を込めて!!」」

「「「「いただきます!!」」」」

 

 手負いの獣ほど恐ろしい。そんな言葉がある様に『ココアライオネスピーカーステラ』も諦める様子はなく、むしろ牙を見せ付けるように吠えて見せる。

 

「作戦があるの!!『竹ジャベリン』!!フィンは足止めを…ルフィとトリコはこっちに来て欲しいの!!」

「了解…魚人空手応用槍術…『鳳慄峙(フォーリッジ)』!!『唐草竹ジャベリン』!!」

 

 カステラが切り裂かれた事で防御はもちろん、相手側の衝撃波は弱まっている。だが飛んでくるココアはまだ健在な為にフィンがそれの対処に当たる。

 

「あっちはしばらく保たせてくれるだろうが…」

「何をすれば良いんだ?」

 

「今から私が残る力を全て込めて一つの種を作るの…それに全力の攻撃を私が言うまで叩き込んで欲しいの。種は芽吹くもの、種は可能性…私の種は何でも包容する…溜め込んだ攻撃全ても…」

 

「なるほど俺達の攻撃を限界まで溜め込んであいつにぶつけてやれば良いんだな!!」

「面白そうだなぁそれ!!」

 

 グレーヌの提案は二人にも受け入れられた。『竹ジャベリン』で生える竹は多いが限りがある為に急ぎ取り掛かる。

 

「いくの『最大収納種(マキシマムストレージシード)』!!」

「『ゴムゴムのJET銃乱打(ガトリング)』!!」

「『一点集中13連アイスピック釘パンチ』!!」

 

 ルフィはとにかく叩き込む事を考えて止まること無く連続で拳を叩き込み、トリコは自身が出せる最高出力の技を放つ。

 

「まだいけるの…」

「うおおおおお!!」

「消費が大きいが『レッグナイフ』!!『レッグフォーク』!!」

 

 ルフィが声を張り上げ気合を入れ直して拳の動きを速くする。トリコも足を大きく動かして攻撃を叩き込んだ。

 

「ストップなの!!」

 

 力を使い果たして息も絶え絶えだが種の限界が近づいたのに気付くと振り絞る様に静止の声を上げ、ルフィとトリコもピタッと攻撃の手を止め『最大圧種(マキシマムアッシュ)』が完成する。

 

「見た目は小さいままだが…はち切れそうなエネルギーが伝わって来やがる!!」

「後は俺とトリコに任せろ!!フィン、一瞬で良い、動きを!!」

 

 トリコが種を受け取り、ルフィがトリコの後ろに回りながらフィンへと『ココアライオネスピーカーステラ』の足止めを頼む。

 

「簡単に…言う…『月泳(ゲツエイ)』…()()()泳法応用槍術…『浸槍海天(シンソウカイテン)』!!」

 

 足をヒレの様に動かして空気を泳ぎ蹴る事で負担はいつも以上に激しいがホームである水中と同じ速度で敵に接近する。

 

 そうして海と天を同時に貫くが如く『ココアライオネスピーカーステラ』の真下から中心を貫く様に槍を持ったまま相手に突進する。

 

 ピアスのその身を槍として突撃する『海神槍』を模倣技、その一撃は残ったカステラの防御をものともせず衝撃を貫通させ、そのまま巨体を大きく跳ね上がらせる。

 

「いくぞトリコ!!」

「ああ!!」

 

 今度は発射台になるのではなく、トリコを前にしてルフィは空中にいる『ココアライオネスピーカーステラ』の身体を腕を伸ばして掴む。そのまま腕の縮む勢いで二人で突っ込んだ。

 

「「『ゴムゴムの種パンチ』!!」」

 

 ゴムの勢いで突っ込み、トリコの全力のパンチと共に『最大圧種(マキシマムアッシュ)』が叩き込まれ、その衝撃が開封される。

 

「「うおおおおおお!!」」

 

 その衝撃の全てを『ココアライオネスピーカーステラ』に流す様に全力で拳を押し込み続け、最後に弾かれるように互いに吹き飛んだ。

 

「はぁ…はぁ…」

「やったか…?」

 

 ルフィとトリコはなんとか受け身をとって着地をすると『アマタノフルーツ』の木へと吹き飛び、めり込んでる『ココアライオネスピーカーステラ』の様子を見る。

 

「もう…動いてない…」

「やったの…」

 

 フィンとグレーヌも二人の側に近寄り、動かなくなった『ココアライオネスピーカー』を確認する。そして四人で自然と手を合わせる。

 

「「「「ごちそう様でした」」」」

 

 


 

 

「この領域内であれを倒したか…あいつらも中々頑張るな」

 

 信じていなかった訳では無いが万が一を考えて用意していた衝撃を増幅させていた土の球を消しながら笑う。

 

「それに…まさか流れ着いたのが()()()だったとはな…」

 

 琥珀糖の島でいつか行ってみたいと思っていた島に来れるとはと自分達の強運を思いさらに笑みを深めながら歩き出した。

 

 


 

「さあてと今度こそ『アマタノフルーツ』をいただくとするか!!…あ?」

「何だ?!なんかぐらぐらしてるぞー?!」

「な、何だ?!」

「ん?おい、お前達!!」

「そっか!!ぱねぇぞ!!」

「ありゃ?」

「皆ー!!山を下りろー!!」

「ええー?!」

 

 倒し切ってようやく『アマタノフルーツ』にありつけるかと思ったら、這々の体でその場から離れる事になる。しかし、降りきった所で先程までいた山が大噴火を起こした。

 

「島の本来の姿が現れる!!」

「本来の姿?」

「僕達はトリコに『ハングリラ島』の秘密を教えに来たと言っただろ?」

「ああ」

 

 結局聞けていなかったが確かに合流した時にそんな事を言っていたなと思い出し頷く、その最中にチョッパーが帽子に付着した液体を口にいれる。

 

「うめー!!これカラメルだ!!」

「何?!ホントだ…どう言う事だ?」

 

 トリコも確かめる様に口に含むと確かにそれはカラメルだった。元より何もかも食材で出来ている様な島だったが、何かがおかしいと気付き訊ねる。

 

「古から『ハングリラ鳥』の伝説は様々な文献に記されていた。先人達はその文献を転写し伝説を現在まで伝え続けてきた」

「だからその文献に載ってた伝説を頼りにこの島を見つけ幻の食材『ハングリラ鳥』を捕獲したんだ」

 

 トリコ、ルフィ、フィンとで戦って『ハングリラ鳥』の捕獲に成功し、既に味わっている。だがそもそも前提が違ったのだ。

 

「だが実は幻の食材は『ハングリラ鳥』ではなかったんだよ」

「え?」

「ほら、鳥と島って文字が似てるし書き写す人が読み違えて書いたみたいで…」

「じゃあ幻の食材は…『ハングリラ鳥』じゃなくて『ハングリラ島』だったのか?!」

 

 食材のある伝説の島ではなくこの島自体が幻の食材そのものだったと知り、全員が驚く中で『ハングリラ鳥』が群れで飛び立つ。そしてその何羽かが地面へと落ちた。

 

「この島については名前や場所は知らなかったがオレも知っていた」

「アスカル様!!」

「お父さん!!」

「アスカル!!」

 

 そこには幻の食材でこそ無かったがこの島の固有種であり希少な事には変わりない『ハングリラ鳥』を捕まえて悠々と佇むアスカルの姿があった。

 

「降り注ぐはカラメル、プリンやアイスの山、流れるクリームの川、数々の巨大な果物達…ここまで言えばこの島が何か、君には分かるんじゃないか?」

「どうりで『ハングリラ鳥』がインパクト弱かったわけだ。この島自体が幻の食材…天然のプリンアラモードだったんだ!!」

「すっげー!!」

「規模が大き過ぎるの」

「はは…持ち帰れない…」

 

 全員が真の姿を取り戻した『ハングリラ島』に感嘆の声を上げる。そして、トリコとルフィの二人は一番にプリンの山の頂上の果実に向かった。

 

「あーん!!」

「あーん!!」

「「うめー!!」」

「数多の果物を凝縮したようなこの豪華絢爛な甘み!!これが『アマタノフルーツ』!!まさに大地のフルーツパーラ!!」

「種は此処に植えてく分以外はこっちに寄越すの!!間違って飲み込まないようになの!!」

「このプリンの山もうめぇぞ!!」

「お、ホントだうめー!!」

「あの二人聞いてないの?!」

「まぁまぁ、ルフィはともかくトリコは食べれない部分は食べないだろうから他の物を回収するぞ」

「あーおい?!そこはオレが食おうと思ってたのにー!!」

「いーじゃねーかいっぱいあるんだし。あ、そう言えば隣の山はアイスだって言ってたよな。先に行ってるぞ!!」

「何ー?!抜け駆けすんじゃねー!!」

「クリーム…カラメル…巨大果実一部と種…食材植物も各種回収……」

「おーい!!このカステラもうめーぞ!!」

「おい、それさっきの『カーステ・レオ』の鬣じゃね?」

「ガルル」

「えー?!」

「よっと、こいつらも持ち帰るか。どのエリアにするか…いや、いっその事プラントで再現…トリコ達から聞いた話に例えるなら再生するのも良いか」

 

 ルフィとトリコがとんでもない速度で島を食べ尽くす中でプラントの面々が遭難での遅れを取り戻す様にこの島で回収出来るだけの食材を集める。

 

「んで、散々食べといて結局トリコのフルコースには入らないのね」

「まぁな。世界は広い。旨いもんはまだまだたくさんあるハズだしな」

「お前ホントに食いしん坊だなー」

「デザードで悪魔の実を食っちまうお前が言えねぇだろルフィ? あんなにまずいのに残さず食っちまうしな」

「食い始めた物を残さねぇのは良いことだぜ」

 

 ルフィの知り合いであり、フィンの上司、グレーヌの父でもあるアスカルと直ぐにトリコも話すようになり、ルフィを含めた三人でなんてこと無い話をしていると……

 

「アスカル様…詰め込み…終了…」

「大物はそのまま種に、管理が必要なのだけ残った設備に入れといたの!!」

 

船の近くまではアスカルが運び、船の中にまでは種に詰めれるグレーヌが作業する事で大量の回収食材の運び込みも短時間で終わる。

 

「それじゃオレ達は先に行く、最初から躓いてるがこれでも仕事なんでな」

「プラント探索隊出発なの!!」

 

 ある程度は大丈夫とはいえ長く離れている訳にはいかないアスカルとグレーヌは少しでもこの領域を探索する為に船を動かし始めた。

 

「おう!!いつかプラントにも冒険しにいくからな!!」

「良い食材を見つけたら今度会った時に教えてくれ!!」

 

 プラントの船が出発してから数十分後、食材管理もしているコックのサンジがサニー号が声を上げた。尽きていた食料の補給を終わらせた様だ。

 

「食料はばっちりだぜ。いつでも出航出来る」

「おう!!それじゃ、オレ達も行くよ!!」

「ああ!!またどこかで会おうぜ!!そん時はオレの人生のフルコースをご馳走してやるからよ!!」

 

 再開の約束をすると手を振り、声を張り上げながらの賑やかな出港となった。

 

「じゃあな、ルフィ!!」

「じゃーなー!!」

「さようならー!!」

「オオーン!!」

 

「馴れ馴れしく別れるのもいいが…」

「あいつら、一体誰?」

 

 後から合流した四天王二人とその妹、そしてサニー号にて残っていた面々からすれば出会いもなく別れの場が初対面故、当然の疑問である。

 

「さあ、この海域から出るわよー!!食料も確保したし!!」

「ってそれプリンばっかじゃねーかよ!!」

「いやいやいやいや、これはしょうゆをかけるとウニの味がすると言うバリエーション豊かな食材で…ってウニなら海で捕れよー!!」

 

 動植物もあったので他にも食材はあるがプリンアラモードの島で集まりやすいお菓子にフォローと見せかけたノリツッコミをウソップが披露して幕はは閉じた。

 

「ッフッ。んじゃ小松、そろそろオレ達も行くか!!新しい食材探しの旅に!!」

「はい!!トリコさん!!」

 

 海賊王を目指す男と人生のフルコース完成を目指す男、そして大地の王、そしてそれぞれの仲間が巡り合うその時までの一時の別れ。

 

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