一国の王であり、たった今手に入れた物ではあるが天竜人との関係も持っている。そんな存在に近づきたくない者と出来る限り関係を持っておこうとする者に二分化されたが、予定していた気楽にオークションを覗くというのは出来なくなった。
あの後でやっぱり自分で出向くと言ってイスト聖はプラントに向かってしまったので、先ほどまでの様にオレの周りに人だかりが出来てしまっている。とりあえず、イスト聖が向かう事をマニュに連絡したいのとオークションに集中したいので後で話す約束を取り付けて一度離れて貰った。さてと、もう一度電伝虫を出してマニュに報告した。無理難題だとは思うがなんとか頑張って欲しい。悪いようにはしないと思うから、あの人は。
そうして、やっとオークションを見る事になった。売れ筋であるのか、それとも人の性か、美男美女が多く紹介され、多くの金が払われ買われている。オレが欲しいのは自衛が出来るだけの力を持っている奴隷になるので、海賊だった人物などが狙い目となる。とは言っても懸賞金も低いし、覇気を使えないのはしょうがないとしても、戦えそうな雰囲気を感じられない。そして、荒くれ者らしさだけは在る様で従順そうには見えない。
戦える者と言うのはこの世界において、海軍、国軍、賞金稼ぎ、海賊、用心棒や傭兵といった者達に成るのだが、こういった場所に出される連中となると当たり前だが犯罪者やそれに近い者に限定されるので人格面で受け入れられそうな者はまあ居ない。
ずっと見送っていると、もう紹介される奴隷も最後となってしまった。来た分だけ骨折り損かなと考え、席を立って帰ろうと思っていたのだが、目玉商品と宣伝されているので一応見て行こうと上げかけていた腰を下ろした。
そうして、今までは順番に奴隷をステージに連れてきて見せているだけだったが、今回は違うようで幕がしまったままになっている。どうやら、毎回目玉商品の時はこういった演出にこだわっているそうだ。売り物が売り物だが商売の努力と言う点は何でも一緒か。
そう考えていると、いきなり幕の奥がライトアップされたのか、幕に影が映り込んだ。その影はライトの当て方を間違っているんじゃないかと初めは持った。しかし、ライトの当て方は正しかったようで、普通の人より遥かに大きいその影の紹介が始まった。
「こちらは今まで持ち込まれた事のある奴隷の中でもかなり稀少、珍しさと言う点だけなら人魚にも匹敵すること間違いなし、魚人と巨人のハーフ
魚人と巨人のハーフはウォータンと言うのか、初めて知ったな。巨大で強靭な肉体の割には細身なのは魚人の種族による物だろうか。ふむ、予定とは違うが強さと言う面では目を見張るものがある。巨人と魚人の双方の力を持っているという点も面白い。
鋭い目をしているが、顔は整っており、体の方も細身ではあるが男性に好まれそうではある。競り落とそうと考えたら、それなりの出費は覚悟した方が良いだろうか。まあ、いくらになるかは分からないが必要経費と割り切っておこう。
「魚人族なら100万から、巨人族の女性なら1000万からですが、二つの種族の力を有し、賞金稼ぎとして名も知れ渡り、綺麗な顔立ちに綺麗な身体、希少性は7000万からの人魚の女性にも劣らない。そんな本日の目玉商品である彼女の最低金額、5000万ベリーからスタートです!!」
「5000だ!!」「こっち5500万!!」「私は6000」「6200だ」「6600でどうだ」「珍しい7000出すぞ」「もらったぁ8000万だ」
それだけ珍しいという事か、能力の高さを買っているのか、それとも彼女の身体が目当てなのか、それぞれ思惑は違うだろうが、段々と値段がつり上がって行く。そろそろ一度声を上げても良いかもしれないな。
「1億で」
一気に2000万ベリーも吊り上げた声に視線が少しオレの方に集まる。それが会場で話題になっていた人物だから、更に動揺が広がる。しかし、相手が誰であろうとオークションでは金がある方が正義。負けじと声を上げようとする者もいる。
「1億1000万」
「2億で」
競り合う時間が面倒に思えてきたので一気に値段を吊り上げる。金にはまったく困って居ないので数億程度であれば本当に必要経費で済む。まだ、戦おうと思えば戦えそうだが余裕のあるオレの表情を見て、相手が悪いと他の者が諦め落札は確定した。
「そこまで、それでは本日の目玉商品、魚巨人のピアスはアスカル様の落札となりました!!これにて本日のオークションは終了です。落札されたお客様は会場裏より受け渡しを行いますので、お伺いください。ではまた次のオークションでお会いしましょう」
これで良かったのだろうか、オークションのマナーなどは一切知らないので分かりはしないが、彼女を買うことが出来たから良かった。当分は問題は無いと思うが、一人しかビブルカード役が居ないのは問題なのでそのうち何とかしないとな。まずは、彼女との顔合わせをしなくてはいけないから裏に向かうとしよう。
後書きでビブルカード役の奴隷は最低2人は用意したいなどを散々話しておきながら完全に裏切って登場させた新オリキャラです。
彼女の魚人要素も既に決めてますが、名前から刺さりそうな魚という事でわかる人は分かるでしょう。結構危険な魚です。