あの後もボンドラに乗っている間は、コブラ王から気を付けた方が良いことを教えて貰った。物覚えは悪くない方だと思うが、やはり不安はある。
「何、君は世界政府に関わりが強い。そこまで心配は無いだろう」
それなら良いんですが、この後すぐに会議が始まるわけではなく、社交の場が用意されている。新興だからこそ避けれないイベントになる。
「まあ、交友の深い王にそれとなく話しておこうか?」
お願いします。とオレは無言で視線を送った。それにしても、この移動手段は嫌だな。気配で分かってしまうのが辛いが、考えるのはやはり世界貴族だろうか。
トラベレーターと言うこのおぞましい機構にオレは耐えられなかった。他の王族は気付いていないのだろうが、気付いてしまえばどう思うのかは分からないが、奇異の目で見られることを承知でオレは歩いて城へ向かった。
と言っても遅れて到着することは無かった。伊達に鍛えてはないと言う事だ。着いた先では様々な顔付き、服装の人が居て、全てが王族とその護衛なのだろう。
服装といえば作業着のオシャレ版とでもいえばいい物になっている。あまり派手じゃない方が良いと言う注文の通り、茶色が大部分を占めている。
しかし、民族衣装の様な独特の紋様が全体に、緑と金の線も入っている。それと、装飾品として首飾りなども身に着けている。ぶっちゃけジャラジャラして邪魔くさい。
ああ、無理ならいいと言っていた土を仕込めるスペースがあればと言う注文にも応えられており、袖や裾、服の裏地に見えないようにポケットがついていた。
とは言っても土の仕組める量はそれほど多くはない。土人形一体も満足に作れないだろう。圧縮して多く詰めようかと思ったが、固まった土で服まで固定されたので却下された。
まあ集めれば草刈り用の鎌位なら作れるし、最低限の防御も出来るからオレとしてはそこそこ満足している。次は靴も特製で作ってもらおう。
酒は弱いわけではないが特別強くも無いので無し、しっかり食事を取ると気疲れもあって眠くなりそう。と言う事でノンアルドリンクとサラダだけ頂いてたのだが、まさかこんな所に来てまで自国の食材を食べることになるとは……ムシャムシャ。
サラダをチラッと見てみると、明らかに見覚えがある食材で、手にとって食べてみると案の定、超高級路線とか銘打ってモーダスに作ってもらってた奴だ。
ちなみに時間をかなりかけて作っており、味はもちろん栄養価もあり得ないレベルで、一個が数十万から高いものだと数百万の物もあるのだが……このサラダ一皿だけでも一体いくらだ?王族の集まりってのはおっかねえ。
「食べれている所を見るに多少は落ち着いたようだが……それはサラダか」
見慣れた物のほうが落ち着くのでつい手にとってしまったんですと言って、食べ終えた皿を近くにいた従業員?はちょっと違うか、政府の役人(たぶん)に渡す。人を使うことにはようやく慣れてきたな。
「特殊な作物を除けば、野菜は殆どプラントの物が使われているそうだね。私も先程軽食をとったが中々に驚かされたよ」
「食事もそうだが、うちとしては君の国で作られている薬草について聞きたいところだな」
ナチュラルに話に入ってきた男、ここはそこまで寒くはないのに、毛皮の上着を持っている。自分の国が寒い場所なのだろうか、そして薬草への興味。医療大国ドラムの国王かな。確認を取ると正解だった。
「その通りだ。うちの医師たちが絶賛していたよ。効果が高く、新鮮な薬草だとね。魔女でさえ、他に無いのかと言い寄る程だからな。うちが出せるものとなると医薬品や医療の知識などになるが交易していけると嬉しい」
知識ということは医者の派遣などを含めた技術交流レベルでの話まで考えているということなのか、こちらへの期待が伺えて嬉しいやら怖いやら、とりあえずよろしくして貰った。ところで魔女って一体なんなんだろうか?まあ、能力者か何かだろう。
ドラムの王に続いて他の国の王も話しかけてくるようになった。しばらくは似たような感じで友好的な話し合いが多かったのだが、予想できていた事態が現実となった。
「土臭い農民が上手く世界政府に取り入ったものだな。その手法をぜひ教えていただきたいね」
悪意を隠しもしない様子に、逆に清々しく感じる。何も言わないで黙るのは悪手である。ご自身がおっしゃった通りしがない農民の出ですから、取り入ろうなどという考えは持ち合わせて無いですと伝える。
農民であると言う事は認めつつ、そんな悪い事は思いつきもしないし、ここにいるのは実力だと言ったわけだ。返しに苛立ったのか、次はオレ本人ではなく、プラントに関わる物、作物を貶し始めた。
「高級などと銘打っているが所詮はただの野菜、誇大広告は時として詐欺になるから気をつけることだな」
高らかに言い放って帰ろうしたその王を止めたのは黒服の仮面を着けた男だった。周りがざわざわし、驚きの声が広がる。
「な、何故私の腕を掴むCP0!?」
「我の取引先にケチをつけるからだろう?レヴェリーでこの地に来ていると聞き、我自ら訪ねてみれば、聞くに堪えない負け惜しみが聞こえたのでな」
そこにあったのは世界政府の絶対的な権力者である天竜人の一人、シャボンディ諸島で知り合ったイスト聖だった。何やら怒りを露わにして嫌味を言っていた王を睨んでいる。
「この前の取引は中々に良いものであった。賞賛の言葉を送っておこうか、アスカルよ。そして我も食しているものを馬鹿にした愚か者には退場願おう、CP0やれ」
「……」
「お待ち下さい。知らなかったのです。どうか、お赦しを!!」
「ところでアスカルよ。次の取引の話もそうだが頼みたいことがあってな。今度は我が屋敷の方まで来てもらいたいんだが、今はどれだけ離れられる?」
既に下手なことをしてしまった王のことをいない者としているイスト聖を見て、この人もやはり天竜人の一人なんだなと改めて実感した。
離れる手段は考えている所で、今後の国の動きに合わせて試して行く所なのですが、早めに伺った方がよろしいでしょうか?と訊いてみる。
「初めに少し伝える事と渡す物があるが数時間で済む、別に急ぎでは無いし、依頼自体も長期の物になるだろう。来れるのであればレヴェリーが終わり次第、一度来てくれると面倒では無いだろうがな」
でしたら、レヴェリーを終えたら伺わせていただきます。と伝えると、終わる頃に案内の者を寄越すという言葉を残して帰って行った。
騒ぎの元凶が去り、あたりの喧騒も何も無かったかのように静まり返っている。だが、こちらの様子を窺う視線が一層増えた。
騒動に意外と時間を取られていたようで、もうレヴェリーの始まる時間になったようだ。この雰囲気のまま、落ち着く暇もなく会議場へ移動した。
「あー、皆切り替えようか」
「そうだな。今回の議長は誰だったか?」
「私だ」
「リク王か」
「話が纏まりやすそうだな」
「今回もこの美しい世界について話していこう」
ついに始まったレヴェリー、変に見渡すようなことはしないが、ある程度は顔を覚えておく必要があるだろう。
「今回は特別だからな。前回までの議題より優先する形で話し合う議題がある『海賊王の死後の影響について』だ」
補足するように情報をまとめた資料が配られた。ロジャーの死後始まった海賊の増加傾向、通称『大海賊時代』についてと各海、各国での被害についても纏められていた。
それに伴って進められている世界政府の対策と海軍の軍備の強化、警戒態勢の構築なども載っているが、こちらはこれからといった所か。
「ロジャーの死は見せしめの意味を完全に失ってしまった」
「海賊の終わりを告げる筈がなんてザマだ」
「海賊の被害もそうだが、海賊を目指す若者の増加も気にするべきだろうな」
「海に出られることで人口が減り、それに伴って税収も減少しているはずだ」
「とはいえ、逆に海賊がいる事で成り立つ島もある」
「海賊の落とす金で成り立つ島は言うまでもなく、海賊を倒し糧としている国も急激な増加に戸惑いつつも利益は出ている」
「潰れている島が出始めている事も忘れてはいかんぞ」
「加盟国の減少は少ないが実際に起きた事件だからな」
「特に問題になってるのは天上金を奪われる事件だ。警備の質は高いが、数に押し負けている事例もある」
「しかし、元々無法者。言って聞くような相手でない以上体制を整えるしかないのも事実」
「グランドライン全体の被害は特にでかいな」
「力をつけたルーキーが四つの海から出てくる」
「大半は潰れてくれるが、乗り越えられると厄介だ。新世界に辿り着く様な者はもう手出しが出来ん」
「金獅子のせいで海軍も少なくない被害を受けた。現状を維持しているのも賞賛されるべきなのだろうが……」
「やはり、対策にまで漕ぎ着けていないのは見逃せないな」
「本来であれば、出資を募ってでも海軍にテコ入れする時なのだろうが資金などの問題は既に緩和されたからな」
「それだけでなく、現状多くの国も助けられているからな」
「海賊の被害を受けてなお助かった話はよく耳にする」
「次の議題の話になるが一度話を聴くのも悪くないと思うのだが」
会議の様子をじっと見守っていたのだが、急に話の流れが変わった。議長手出しがあるリク王とオレの所に視線が集まる。
「そうだな。紹介の為にも次の議題へ一度進もう。次の議題は『新興国プラントについて』だ。話は行っていると聞いた。アスカル王、前に出てくれ」
用意させた資料を片手に全員の視線を集める位置に立つ。頭が真っ白になりそうなのを我慢して、息をそっと吸ってから口を開く。
「昨年より世界政府に加盟した新興国家である『プラント』の国王をしているアスカルと申します。お集まりの皆様、どうぞよろしくお願いします」
さて、どうなることやら。不安もありつつ、道化だって構わないから精一杯この場で演じてくれよう。
容赦の欠片も無いイスト聖、天竜人の鑑。
海賊の被害ではなく天竜人の怒りで消えた国王…南無三。まあ、国王が消えたけど国は消えてないから世界政府的にはセーフ。
ドラムの先代の王様って名前無いよね。私の見逃しで無いことを祈る。とりあえず、アラバスタ、ドラム、えっと、えっと、そうだドレスローザだ。その3国の国王は出せた。(3国の中では比較的新しい国の筈なのに名前がいつも出てこないドレスローザ。本当になんでだろう?)
ゴア王国はどうしようかな。あの国は天竜人を称えているから天竜人との関わりが強いアスカルを見てどう反応するかだよな。すり寄るのか、嫉妬するか……後者の気もするけど、権力を大事にしている奴が権力者を蔑ろにはしないだろうって思えるから悩ましい。
次回で会議の続きとイスト聖からの頼みを聴いて、そしたらようやく一区切り。そしたらリクエストされた日常回を書いて、次の章へ突入。
この章の名前どうしようかな……ヤベ、何も思いつかない。冗談とかでなくて本当に思いつかない。えー、この章で起きたことは、大地人間爆誕、プラント王国建国、奴隷騒動、世界会議、かな大まかに纏めると、いやぁこれを章タイトルに纏められるかな……提案及びアドバイスお待ちしてます。
流石に投稿が遅れてたからか、日間ランキングからは外れてたな。週間ランキングにはまだ入ってるけど、いつまで持つことやら。
まあ、前振りはその辺で、少しペースが落ちて申し訳ないです。この前みたいな書き直しが無いように多く書いて、前後の流れに納得してから切り取って投稿する形にしました。最初の一気に投稿してた時と同じ方式ですね。
それと、他の作品も書きたいから、今週から来週にかけては投稿が遅くなると思います。
読んてくれている方々に多大なる感謝を。