一回、書き途中のデータが消えて泣きそうでした。本当なら昨日には投稿できてたのに、最近似たミスが多い。
机の上に並べられた書類の山々、今日は来客が少ないのでそこまで大変では無いでしょうが、毎日
思い返すと
私はあの日々を生涯忘れる事は出来ないでしょう。新世界から命からがら逃げてきた海賊、彼らは
それでも死者は少なかった。国民が無事で不幸中の幸いだと、素直に喜ぶことが出来れば良かったのですが、壊され、奪われ、ボロボロとなったスキーラにとってそれは絶望の始まりでしかなかったのです。食べられないという本当の飢えを経験した者は少なかったでしょう。
多くの者がどうしようもないその現状を嘆き、苦しんでいた。生き地獄と言う言葉の意味を真に理解しました。それでも、どうにかしなければと復興を目指しましたが、限界は遠くなかったでしょう。私も出来るだけの事をしていたと思っていました。しかし、国民も含めて全員が知っていた話、私と引き換えに支援をするという話が国にきている事を知りました。
私は情けなくなった。苦しんでいるはずの国民に私は守られていたのです。私は泣き叫びながら父にどういう事かと訊きに行きました。どうして知らせてくれなかったんだ、何故国民が私をまもるんだと……私に守られるほどの価値があるのかと。
私は情けなくなり、父に私を相手に差し出すように進言しましたが聞き入れてもらえませんでした。父はなけなしの金と水だけを積んで船に乗りました。必ず食料を持って帰ると国民の前で宣言しました。
父が居ないのであればと、私が代わりに現場での指揮を執り、復興のために尽力しました。私に出来る事であれば自ら働き、国に尽くしました。それでも、私に向ける笑顔が無理をしている様にしか見えませんでした。
私は国民に期日までに食料の入手に失敗した場合は私を相手に差し出すと一方的に宣言しました。父が帰らなかったら、新しいリーダーを立てるようにも伝えました。そうして反論をされないように、向こう数カ月の指示書を置いて、部屋に引きこもりました。あれは自己犠牲なんて尊い物ではなくただの逃げ、悲劇のヒロインに成る事で、自分の心を守っただけでした。
そろそろかと思い、相手国への返事を出そうとした時に、国に激震が走りました。父の船が食料を持って帰って来たのです。国民は一様に歓喜し、その知らせは一気に広まりました。私は、ただ一人、閉じ篭っていた部屋の中で泣いていました。それと同時に救世主とでも言うべき人の事も国王の口から伝えられました。
多くの食料のおかげで国は希望を取り戻し、立ち上がるだけの力を手にしました。そこからの立ち直りの早さと言うのは凄まじいの一言です。誰もが幸せな日常を夢に見て働くことで、国は段々と安定していきました。
父はその間も稼いだ金を大事に預かり、食料を買いに行きました。何度か航海を重ねていましたが、ある日の父は持って帰って来た食料は多くあるのに、持って行ったはずの資金をそのままに帰ってきました。謎でしか無かったため私は理由を聞くと、父は泣きながらその人の事を語りました。
「アスカル殿は、この国が大変だと聞いたら無償で支援をすると言ってくれた。あの方は『そんな状態なら大変だろうし、食料はただで良いぞ。早く言ってくれたら良かったのに』と助けるのが当たり前だとでも言うように、多くの食料を持たせてくれたんだ」
その言葉を聞いても私は直ぐに理解が及びませんでした。その様な人がこの世の中に居たのかと、父の言うようにその人は聖人か何かでは無いかと思ってしまいました。父はこのことを国中に伝えると、国民は皆、涙を流してその方に祈りました。
復興も途中だというのに、国民からその人の像を建て、その人の事を後世に伝えましょうと進言し、父も二つ返事で了承しました。父はその人と友誼を結んだんだと嬉しそうに、誇る様に言ってました。その頃から更に復興のスピードは上がり、襲撃から1年も経ってないのに、国は国としての形を取り戻していました。
ある日、父が普段と同じように航海から帰ってくると、なにやら話があるという事で呼び出されました。航海での話や自身が居ない間の話でもないようなので、何なのだろうかと疑問でした。初めのうちはいつも通り、アスカル様の話からでした。
「……それでなアスカル殿の所は取引が増えて人手が足りないと嬉しい悲鳴を上げていたんだ。それで聞いて行くうちに優秀な秘書の様な人材が居れば楽になるだろうと思い、こちらで人材を用意しようと思ったんだ。少しでも恩返しになればと思ってな。そこでマニュ、お前が行く気は無いか?」
初めは何を言ってるんだと、意味を理解することが出来ませんでした。確かに下に妹と弟が居ますがようやく赤ん坊を卒業した位で、いずれは私が結婚して、旦那様を迎えて、国を導いていくんだと、そう思ってましたし、そう言われてこれまで生きてきました。他の選択肢がふっと湧いてきた事に驚きが隠せませんでした。
「襲撃からの事で、お前にはかなり助けられた。だが、お前に押し付け過ぎていたと気付いたんだ。お前を渡す代わりに支援をしてやるという話が来た時、直ぐに否定したのは家臣たちの方だった。お前なら許してくれるんじゃないかと考えてしまっていたんだ。王以前に親失格だろうな。そして、話を聞きつけた時のお前の姿を見て、言わなくて良かったと思った。お前は荷を背負い込み過ぎてしまう気概がある。それはこれまでの王族としての在り方を言い続けてきたからだろう。だけどな、もう少し別の道があっても良いんじゃないかと、思ったんだ。これは王としてではなく、お前の親としての提案だ。どうだ、マニュはどうしたい?」
第一王女としての立場を考えず、私が何をしたいのかを訊かれていたのが分かった。しかし、自分のしたい事と言うのはあまり分からなかった。だけど、あの時、国民を救い、私を助けてくれた人に会いたいと思った。
気づけば私は手慣れた手つきで航海を仕切る父の船に乗っていた。目的地はまだ『プラント』と言う名前も無いただの島だったが、私にとっては運命の場所だ。
「アスカル殿、度々来訪してすまんな」
「別に構いませんが、その殿って言うのはやめてくれませんか?あんた一国の王でしょう?オレはただの農民なんですが…」
父が気さくに話しかけている。呼んでいる名前からしてこの人があの救世主様だ。父に殿と言う敬称で呼ばれて、居心地悪そうに頬をかいている姿を見て、私は可愛いなんていう感想を抱いてしまった。その間にも父とアスカル様の話は進んでいった。
「それでそちらの凛々しい女性はどちら様で?初めてお会いしたと思うんですが?」
「そうだ。紹介しよう、娘のマニュだ。それでこの前の件で連れてきたんだ。この娘じゃだめか?嫁いだと思って使ってくれて良い」
嫁!?そんな話は私は聞いてないんですが!?恩を返したいとは思ってます。しかし、いきなりその様な事を言われても私にも覚悟というものがありますし、いや嫌だとは思ってませんし、憧れていましたから、嫌ではないんですが、などと誰に言うでもなく言い訳を頭の中では繰り返していました。
「よろしくお願いします旦那様」
しかし、私の口から出た言葉は、私自身もそれを望んでいると言わんばかりの発言でした。その日から私のプラントでの生活が始まりました。
「マニュ様、これを頼んでも良いかな?」
最初のうちは私が王女と知っているからアスカル様も私の事を様付けで呼んでいた。少し距離があるようで寂しく感じながら、強要して困らせたくないので、慣れてもらうまで待った。
時間は掛かったが仕事などを頼まれたり、交渉などについて教えたりを繰り返していく内に呼び捨てにされる様になっていった。初めてマニュと呼ばれた時は嬉しくて泣きそうでした。
それから、世界政府の人が来て、この場所が正式に国となり、プラントと命名され、わ、私とアスカル様は夫婦になりました。
人手不足で悩んでいたら、奴隷商に騙された小人たちをアスカル様が助けて迎え入れた。彼らは騙されやすい事を除けば非常に優秀なので本当に助かってます。彼らのおかけでプラントの名産が増えました。
その後でしたかね。レヴェリーの話が来て悩んでいたら、アスカル様が島ごと移動すると言う意見を出しました。あの時は、私達とはスケールが違うと感じました。
そして、その練習で故郷に久しぶりに帰ることになりました。あの時のみんなは少し、いえ、かなりはしゃぎ過ぎです。気持ちは分かりますが、恥ずかしかったです。
そして、レヴェリーへの移動を考える時期になると、あの英雄として知らないものはないとされるガープ中将がやってきました。
その豪快な性格にも驚きましたが、最近鍛え始めたアスカル様を面白いと自ら修行をつけ、それについて行けるアスカル様も凄まじいと感じました。ガープ中将の部下が嘘だろと、声を漏らしていたのをよく覚えています。
そして、マリージョアの近海まで向かい、到着してからも余裕があるので、人手不足解消の為に奴隷を買うことになりました。
電伝虫係の方達はアスカル様の雰囲気を感じ取り、何も問題なく働いてくれることになりました。問題だったのはその後で来たピアスです。
珍しい種族という事で2億という大金で買われた彼女は奴隷としての立場を認めず、プラントで暴れました。首輪の爆発を耐えて、アスカル様に襲いかかった際は心臓が止まりそうでした。
事前に国としての決まりなどを考えた際に緊急時の対応なども決めてあったので、それに従いアスカル様は私や客人を守り、戦いました。ガープ中将も避難には協力してくれました。
私はドキドキしながらもアスカル様の勝ちを信じて電伝虫の映像から目を逸らすことはありませんでした。なんなら、安全性を疑うものの為に、客人全員に見れるよう映しました。
そして、お互いに大技を放つ最後の一瞬、集中していたアスカル様の目が見開き、ピアスを地に叩き伏せました。あの時は客人も含みて全員で歓声を上げていました。
そう言えば、映像を食い気味に見てヤベーなと呟いている男が居ましたが、今思うとあれはサイフォだったのではないでしょうか?
その後はプラントの強さを知り、そして心躍る戦いを見せてもらったと取引が増えたりとトラブルがむしろプラスになりました。
そして、ピアスが目覚めました。彼女はこれ以上暴れる気はないと素直に会議に参加しました。
会議が進んだ結果判明した奴隷たちの間で広まっている事件。そして、その答えを知っているとガープ中将に連れられて来たサイフォ。
胡散臭いと思いつつも裏切る事は無いと言うのは理解できました。アスカル様の話を聞いた上で、私もホーニィ、モーダス、サイフォというメンバーで能力者に挑むことに了承しました。
まあ、しっかりと仕事をして全員無事で帰ってきてからは仲間としてみんな接しています。もちろん、私も認めてます。彼は情報収集能力も高評価ですから。
「っと、これで終わりですか?考え事をしていたからでしょうか、時間が経つのが早く感じます」
「おや、仕事終わったのか。なら、差し入れと思って持ってきたんだけど一緒にどう?」
ここは仕事用の部屋なのでアスカル様はノックしなくても良いと言っていますが、入ってきたのに気付けなかったとは、かなり集中していたみたいです。
持ってきたのは最近アスカル様が嵌っていると言っているスムージーだ。果物のは言うまでもなく、プラントの野菜は糖度が高い物が多いので、普通の果物のジュースよりも甘く、仕事の後など疲れている時には丁度いいのです。
「ありがとうございます。みんなに配っているんですか?」
「あー、最初にマニュに飲んでもらおうと思って、いつも助けて貰ってばかりだし、自分ではかなり美味しく出来たと思ってるんだけど、やっぱりマニュに感想を言ってもらえると嬉しいから」
……そういった事を素で言ってくるのは少しずるいですね。普通だと本人は言ってますがこの人より格好良い人を私は知りません。
「では、一緒に飲みましょう」
「ああ、そうだね」
乾杯と二人でカップをカランとならしてから特製スムージーを頂きます。冷たくて、喉が潤います。野菜の苦味は一切なく、雑味やザラザラとした舌触りもせずにゴクゴク飲めます。とても美味しいです。ですが……
「明日からは冬島の気候区域に入るのでこれで最後にしてくださいね」
「もう少し研究したかったけどしょうがないか。次はスープでも仕込んでみようかな」
自分のやりたい事をやっているこの人が、いつも笑っていて、楽しそうなこの人が、私の旦那様で、世界一の人です。
この人の為に、この人の居場所を守る為に、私も頑張って行きましょう!
「失礼します。マニュ様、新しい取引に関する問い合わせが15件、取引の変更について20件、うちの国に寄ってくれというお話も多数来ています」
……さて、仕事を再開しましょう。とりあえず、国家からの電伝虫を回して下さい。私が話した方が早いです。その他のは書類に纏めて送ってください。それと、来たついでに頼むのはなんですが…終わった書類を各部署に持っていってください。はい、お願いします。
「さて、やりましょう」
頬をパンパンと叩いて気を引き締める。再び山積みとなった仕事を見て、笑顔になるというのは少し危ない気もしますが、プラントに貢献しているのが実感できて、楽しいです。
ワーカーホリックとはちょっと違うけど休ませないといけないことには変わりはない。
自分の作った作物の活用法を模索するアスカル国王。
今回、呼び方をアスカル様で殆ど統一したけど、心の声を旦那様呼びにしようかで悩んだ。
各視点ともう少し日常っぽい、会話の多い物も準備中です。しばらく、お待ちください。
とりあえず最新話として投稿したが、別の場所と言うか、ストーリーの前にまとめた方がいいだろうか?悩ましい。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。