ONE PIECE プラントオーナー   作:ひよっこ召喚士

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ONEPIECE FILM GOLD&EARTH 3

 ルフィを送り出したほか2チームは争うように能力者を探し出す事に躍起になっていたのだが、それぞれが狙い通り能力者と対峙することに成功した。サンジは草の生い茂る森の中で敵と対峙している。

 

「ようやくお出ましか、お前が『クサクサの実』の能力者のモーダスか?」

「そうレス。本来であれば永遠に植物に埋もれて貰うつもりだったのレスが、まさかあの物量を全てなぎ倒すなんて、正直恐ろしいレス、ですがこれ以上通す訳にはいかないのレス」

 

 そう言うと周囲の草を操り攻撃を繰り出してくる。プラントの作物の特徴の一つである品種改良が施された植物はそれ自体がかなり丈夫で覇気も混じると簡単に蹴り飛ばせないでいる。

 

「『悪魔風脚(ディアブルジャンブ)粗砕(コンカッセ)』」

「『雷光槍(サンダーランス)=テンポ』」

「必殺『鉛星』」

 

 油断せず、最初から全力で攻撃を叩き込む3人だが、その様子を見てモーダスは落ち着いて技を見極めて能力を使う。

 

「熱、雷、鉛レスか、『急成長・耐火蔓』『過成長・針々草』」

 

 熱を伴ったサンジの踵落としは耐火性の強いマグマにも耐えれる耐火蔓で防ぎ、大きく成長させた針々草を避雷針と弾除けに使った。

 

「さて、今度はこちらからいくレス『ネオ・デビル』」

「な!?あれは『デビル』なのか!?」

「あれって、あんたが偽物たち相手に放った奴じゃ」

 

 そう、ウソップも使っているポップグリーンの『デビル』にそれは似ていた。しかし、それはウソップの知っている物とは違い、赤黒く不気味な姿をしていた。

 

「噛み砕くレス」

 

 モーダスの指示とともに襲いかかってきたデビルを全員が避ける。避けた位置にあった物は全て切り取られたかの様に無くなっていた。

 

「『超過成長・デビル』枯れるレス。まあ、これぐらいは避けると思ってたレス『ネオ・ヒューマンドレイク』」

「なんだこいつら飛びつくんじゃなくて攻撃を仕掛けてくる!?」

「『突風(ガスト)ソード』避けられ、キャー!?」

「ナミさん下がって『悪魔風脚腹肉(フランシェ)ストライク』、こいつら蹴りに対応してくるぞ!?」

「『ネオ・ヒューマンドレイク』は纏わりつくだけでなく人の動きを再現し、直接獲物を仕留めに行くレス、足りない部分は『操作』してやれば熟練の動きも可能レス」

 

 1人に対して2体ずつ仕向けられた『ネオ・ヒューマンドレイク』、ナミに仕向けられたのはサンジとウソップが1体ずつ受け持ち相手をする。ウソップは自分の知ってる『ヒューマンドレイク』との違いに驚き手間取ったが、落ち着いて対処を開始する。

 

「お前は花の操作はできないし、動かしたり伸ばす部分が無くても無理だろう。必殺『緑星 ラフレシア トランポリア』!!」

 

 『ラフレシア』を咲かせ、突っ込んで来た『ネオ・ヒューマンドレイク』は急に咲いた『ラフレシア』に足を奪われ、それを見たモーダスが操作し、手助けを行おうとしたが足を取られた『ネオ・ヒューマンドレイク』が『トランポリア』によって吹き飛ばされる方が早かった。

 

「後はこいつだ必殺『手裏剣流星群』!!動けない空中で切り裂かれろ!!もう2体はこれを試してやる。必殺『空種星』」

 

 操作しても空中ではもたもたと手足を動かすのが精いっぱいなようで、ウソップの宣言通り、手裏剣によって切り裂かれた『ネオ・ヒューマンドレイク』が一体ばらばらと落ちてきた。もう2体はグレーヌから分けて貰った『空種』に吸い込まれ、堕ちてきた物を一応と回収した。

 

「こいつらも熱は効かねえのか、こいつらは植物、姿も根菜そっくり、相手が食材となれば仕方ない」

 

 サンジは『ネオ・ヒューマンドレイク』を野菜として扱う事に決め、包丁を取り出した。サンジが知ってか知らずかは分からないが、『ヒューマンドレイク』の時点でだいぶ品種改良されており、食べたら美味しいようになっているので間違いではない。迫ってくる『ネオ・ヒューマンドレイク』を目の前に向かってくるとさっと包丁を振るう。

 

「『イチョウ切り(クォータースライス)』」

 

 綺麗に『ネオ・ヒューマンドレイク』の皮を向き、その身をイチョウ切りにして、どこから取り出したのか皿に盛り付けた。試しに口に入れてみると普通にいい味で「美味いな。味が濃い目だからシンプルに野菜炒めにするのが良さそうだ」などと呟いている。

 

「そんなにのんびりさせるほど甘くないレスよ」

「うわぁ!?蔓がまるで鞭だぜ、サンジ」

「当たれば腫れるだけで済めば良いな。それにしても……『ネオ・ヒューマンドレイク』つったか、アレを操ってる間はやらなかったよな

 

 周囲の植物は未だに健在で次から次へと攻撃は仕掛けられる。多種多様な植物を一斉に操り、攻撃を仕掛けてきている。その数は先ほどまでの『ネオ・ヒューマンドレイク』の数とは比べ物にならない。だからこそ違和感がある。何で『ネオ・ヒューマンドレイク』を操ってるときにそれをしなかったのか、また何故『ネオ・ヒューマンドレイク』の数を増やさなかったのか、攻撃を裁きながら考えていると遠く離れていたナミが行動に移した。

 

「『レイン=テンポ』!!攻撃を受け止める植物の操作も地盤が緩んで居れば形無しでしょう。今よサンジ君!!」

「助かった。さっすがナミさん!!おら吹き飛べ植物ども『悪魔風脚(ディアブルジャンブ)最上級挽き肉(エクストラ・アッシ)』!!」

 

 思惑に気付いて根っこを操作して伸ばしたが間に合わず多くの植物が地表に現れそのまま吹き飛ばされた。埋め直すよりは新しく生やした方が早いのとこのまま同じ植物を生やしてもまた吹き飛ばされるだけだろう。雨は地面の下の方まではまだ届いていないがその内一面がぬかるみに変わるだろう。空を飛べるサンジは足を取られる心配はしなくてもよいが、植物では厳しくなった。

 

「まずは足技の男を排除するレス。コイツならぬかるみも関係ないレス『マーマンドレイク』」

「なんだそれ!?『ヒューマンドレイク』の亜種か!?」

「ヒレや水かき、魚人仕様の大根もどきか?ってうお!?思ってたより速ぇ!!」

 

 ぬかるんだ泥を泳ぐように近づき、攻撃を仕掛けてくる『マーマンドレイク』、その速度に驚き蹴りを入れるが泥の中を潜っている所為で動きが読みにくい。植物であるため人が相手の時よりも見聞色の覇気で読み取りにくいのもあって苦戦している。

 

「くらうレス『竹ジャベ林』」

「うお、ぐあぁ!!」

「サンジ君!?」

「サンジ!?竹は操作できるのかよ」

「大丈夫だ。覇気で防御はした。それよりもウソップ耳を貸せ……」

 

 直撃したサンジではあるが咄嗟に武装色で守り、吹き飛ばされる勢いに身を任せる事でダメージを防いでいた。とは言っても不意を撃たれた事で『マーマンドレイク』にも数発入れられてしまった。それでもすぐに立ち上がると近くまで来ていたウソップに何やら耳打ちをしてからモーダスに向き直った。

 

「竹は木ではなく草の分類レス。ポップグリーンを使う割に植物の分類までは詳しくないのレスね。そして竹は深く、深く根を張る植物、ぬかるみの届かない地面までポップグリーンであれば一瞬で根を張ってくれるレス。武装色レスか、ならばボクも攻撃をするだけレス『ネオ・団扇草』」

 

 『団扇草』はウソップが『ボーティバナナ』と一緒に使い、ボートをこぐ際のオールとして使っていたが『ネオ・団扇草』は葉の部分が薄く鋭くなっており、全体的にも丈夫に作られている。小人のスピードと筋力は普通の人間を優に超えるので自分の背丈の数倍の団扇草であっても軽々振って見せる。そして『ネオ・団扇草』は覇気によって黒く染まった。

 

「『黒扇(こくせん)扇ぎ斬り(あおぎぎり)』レス」

「風に乗った斬撃か」

 

 扇ぐように『黒扇』を動かし、斬撃を飛ばし、近づいてきたら薙刀の様に振るうか、扇部分の手前を持って棒術としても使ってくる。こちらの攻撃は小さいため当たりにくいが向こうの素早い割りに大振りの攻撃は的確にこちらを狙ってくる。合間を縫って攻撃を加えてくる『マーマンドレイク』も地味に厄介である。

 

「避けてるだけじゃ勝てないレスよ『茎打ち(くきうち)』『はたき堕とし』『回し切り』」

 

 茎で体の中心を狙うような突きを放ち、相手の方まで近づくと先端の方でくるりと獲物を回して扇部分をはたきの様に使って叩きつけ、衝撃波で吹っ飛ばす、最後に棒をくるくると頭上で回し、辺り一面に斬撃を飛ばす、流れる様な攻撃を掻い潜り、準備を待つ。

 

「『サイクロン=バースト』」

「必殺『空種星』」

 

 ナミが起こした強力な風により、身体が小さく軽いモーダスは吹き飛ばされ、周辺の泥や水も吹き飛び、一緒に泥の中に潜んでいた『マーマンドレイク』も吹き飛び、それをウソップが『空種』に封じ込めて回収する。

 

「扇も吹き飛んだレスが『ネオ・デビル』時間を稼ぐレス。そして『ネオ・団扇草』っとこれでまた振出しレス」

「いいや違うぜ。必殺『収納種星・ネオ・ヒューマンドレイク・マーマンドレイク』『緑星 ヒューマンドレイク デビル 竹ジャベ林 トランポリア』よっと、おれも空に逃げるぜ」

「なっ、『操作』しないと、あっ、でも数が多いレス、纏わりつくな『扇ぎ斬り』レス、くっ」

「やっぱり、そのネオなんとかってやつは強力な分、操作に余計な力を使うみたいだな。ナミさん失礼『空中歩行(スカイウォーク)』」

 

 『空種』に仕舞った『ネオ・ヒューマンドレイク』や『マーマンドレイク』を連続して放ち返された事により、自分の防御に放っていた『ネオ・デビル』も含め、『操作』が追いつかず、普通の『ヒューマンドレイク』に纏わりつかれ、慌てて『ネオ・団扇草』を振るうが落としきれていない。そんな中でウソップはトランポリアで、サンジはナミを抱えて空に跳び上がった。

 

「それだけ濡れた地面にくっついてれば関係無いわね『サンダーブリード=テンポ』!!」

「ギャー!?雷、く、身体が痺れ…」

 

 濡れた地面を離れていた3人は空気を通して少し痺れはしたが問題は無く、モーダスは直撃を受け体が痺れている。そこを『操作』出来ていない『ネオ・デビル』、『ネオ・ヒューマンドレイク』、『マーマンドレイク』に襲われている。

 

「そ、『操作』を…あ、後は『超過成長』を…」

「遅いぜ、必殺緑星『衝撃狼草(インパクトウルフ)』!!」

「がっ、ぐっ」

 

 放たれた衝撃で飛ばされ、落ちた身体はウソップの狙い通りに先ほど自分が使った『トランポリア』で、それに当たり空高くへと飛ばされるモーダス。その間にウソップはまたちゃっかり『空種』で改造されたポップグリーンを回収している。そしてサンジはナミを安全な場所に下ろし、また空へと向かう。

 

「さて、素早い動きで翻弄してくれたが痺れてボロボロのお前は空中で動けるか?」

「くっ、負けるわけにはいかないのレス『蛇花火(へびはなび)植物鎧装(プラントアーマー)』」

 

 敵に巻き付き破壊すると言う特製の『蛇花火』を自分でまきつけ鎧代わりにすると最後の気力を振り絞って武装色で硬化する。サンジも迎え撃つように攻撃の準備に入る。

 

「『黒草(こくそう)葉拳(はけん)』!!」

「『悪魔風脚(ディアブルジャンブ)野獣肉(ヴネゾン)シュート』!!」

 

 武装硬化した鎧から飛び出てくる黒い蔓による連続攻撃、それを両の足で蹴り飛ばし、最後に鎧事ぶち抜く勢いで踵堕としを叩き込み、草の鎧が粉砕したモーダスが地面に気を失って倒れた。

 

「ふぅ、大根もどきはまだしも、食えねぇ草の処理は料理人の仕事じゃねえぞ。まったく、まあグレーヌちゃんの頼みだ。コイツを連れて行くとするか」

 

 降り立ったサンジは煙草を吸おうと思ったがナミの援護によって雨が降っている所為で火は付かず、諦めて出した煙草を仕舞うとナミの無事を確認し、ウソップを交えてどうするか話し合い、ゾロたちのチームがどうなっているのか見に行く事に決まった。

 

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 ゾロが先陣を切って進んでいく事に一抹の不安を抱えていたロビンとフランキーであったが、ゾロが襲い掛かってくる草を斬り伏せながら進んでいると一面に広がる花畑にたどり着いた。

 

「おいおい、なんともファンシーな場所に出たなぁ」

「でも、今回はゾロが正解を引き当てたみたいよ」

「一面の花、この階層に居るのは草と花の能力者、出てこい!!居るんだろホーニィとやら!!」

 

 ゾロが刀を抜いたまま辺りに響き渡る声で叫ぶと、ふわふわと浮かぶ花の一つが空中で静止した。その上には情報通りの小人の姿が見えた。

 

「アタシの所に来たレスか侵入者……プラント幹部『草花』が片割れ、トンタッタ族、『ハナハナ』の奇術を持つ者レス。短いお付き合いになるレスがどうぞよろしくレス」

「ほぉお、見かけによらず好戦的だな」

「いえ、任された役目を果たそうとしているだけレス『舞花(まいはな)』」

 

 ホーニィの言葉と共に一面に咲き誇っていた花が宙を舞い始める。花びらがではなく花全体が周囲をグルグルと回りながら空中に留まっている。

 

「『光華(サンフラワー)』貯め込んだ光を魅せつけなさい!!」

「くっ、黄猿のビームと大差ねえぞ!?」

「元を絶てば攻撃も止まるわね?『千紫万紅(ミル・フルール)』」

 

 攻撃を仕掛けてくる花に手を咲かせるとそのまま花を捻じ曲げる。ロビンの機転により連続的に放たれていたビームの雨は途切れた。

 

「その能力はもう1つの『ハナハナ』……アスカル様が昔言ってたオハラの少女レスね」

「ええ、彼には何度も助けられ、そのおかげでいま私は此処にいるわ」

「なら手伝うべきではないのレスか?」

「どうしてこのような事を起こしているのかは知る機会があったから訊く気はないわ。でも、それで本当に良いのか尋ねに行くつもりなの、だから邪魔をしないで『三十輪咲き(トレインタフルール) ハング』!!」

 

 話しで動きが止まっているホーニィの身体に腕を生やすと木の方から生やした腕とつなげて思い切り振り回して遮蔽物のない空中へと弾き飛ばす。絶好の反撃のチャンスを渡されたゾロが狙いを定める。

 

「へぇ、やるじゃねえか『千八十煩悩鳳(せんはちじゅうポンドほう)』!!」

「こちらは覇気の節約を考えないといけないと言うのに『花吹雪・桜龍《おうりゅう》』」

 

 直ぐに身動きが出来ない状態で飛んでくる斬撃に対してホーニィも技を放つ。近くに咲いている桜の木に花を咲かせると、覇気を流して硬化させた物を水が川となって流れていくかのように自然な動きで進めてぶつけた。その姿は技の名前の通り、桜から龍が生まれたかのように感じられた。

 

「重なり描かれる風情溢れる花吹雪、互いに衝撃を逃がし合う事で攻撃を効率よく防ぐレス。貴方は刀が自慢の様レスが、斬れたのはたった数枚レス。あたしはモーダス、もう一人の能力者と比べて器用とは言えないレスが、それ故に一芸に秀でる存在を目指したのレスよ。攻撃に使った花も回収ずみ『花吹雪・桜虎(おうこ)』」

 

 攻撃を難なく防いだ後で何枚かは空中に配置して自身の足場としている。完全に体制は建て直されてしまったようで、今度の攻撃は虎の形を取り、今にも獲物に噛みつこうと言う姿勢で攻撃は放たれた。先ほどとは逆で今度はゾロが迎え撃つ番となった。

 

「『極虎狩り(ウルトラがり)』!!」

「受け止めた…そう思ったら大間違いレス『花吹雪・別ち斬り』」

「形が解けて、くっ、ぐぁ!?」

「それは虎の形をとってるだけで実際には集合体、刀に衝撃を伝えた後でばらして仕舞えば、無防備な身体に攻撃が入るレス『花吹雪・桜冠(おうかん)』」

「おい、ゾロ!?ちっ『フランキーロケットランチャー』!!」

 

 隙が出来たゾロに桜を冠状にしてぶつけようとしていた所にフランキーがロケットランチャーを放って援護する。その攻撃によって花びらが壊されることは無かったが風にあおられ狙いは少しずれたようで、ゾロを守る事には成功した。

 

「軽いからか、風で吹き飛ばせるのか……」

「失われた訳では無いのレスから、時間稼ぎにしかならないレス」

 

 少し喋っている間に散らされていた花びらも集まり直している。攻撃を防ぐための方法は確立できたが、このまま戦い続けていればこちらが消耗するばかりだと少し考える。

 

「なら全部引き寄せてやるよ!!『黒縄(こくじょう)大龍巻(おおたつまき)』!!」

 

 作りだされた斬撃の竜巻は確かに空中を漂う花びらを引き寄せて切り裂き始めた。覇気を纏った花びらもいくつか切り裂かれた頃にホーニィも対策に回る。

 

「元より花は風に舞う物レス『風流花(ふうりゅうか)桜雨(おうう)』それとそんなに引き寄せたいのであれば『凶花粉(きょうかふん)』」

 

 むしろ竜巻で吹き飛ばされた花びらが遠心力を推進力に変換して突き刺さるように降り始めた。さらには竜巻の風に乗るように毒の成分が含まれている花粉が蔓延し始めた。

 

「このままじゃまずい、無理にでも吹き飛ばすぜ『風来砲(クー・ド・ヴァン)』!!」

「悪い、助かった!」

 

 ゾロが生み出した竜巻も壊すつもりで放ったフランキーの『風来砲』のおかげで花粉を吸いこむ事は無かったが、やみくもに風を起こしても無駄だと思い知らされる結果となった。

 

「風で飛ぶほど軽いのであれば『千紫万紅(ミル・フルール)』」

「何を!?しまったレス」

 

 花びら一枚一枚への操作の技量は凄いが重くては思うように操作は出来ないようで、ロビンが何かをする訳でもなく花びら1枚ずつに腕を生やす事で操作の妨害を試み、それは見事に成功した。地に落ちた花を無理やり操作しようとしたり、生えているロビンの腕を攻撃しようとしたらその腕を消して、避ける。操作を諦めて覇気を解除された花びらは念のため潰して操作できない状態にする徹底ぶりだ。

 

「時間を稼ぐわ。彼女を倒す方法を考えて」

「分かった。敵は覇気使いだ気をつけろよ」

 

 自分では倒す事は敵わないと言うのが分かっている。この方法も落ち着いて考えられれば簡単に攻略されてしまうだろう。だから最後の詰めを仲間に託して、時間稼ぎに徹する。ロビンはホーニィに向き直ると笑顔を作り、世間話でもしているかのような感覚で話しかける。

 

「最初に攻撃を防いだのも私ね?同じ『ハナハナ』でも私の方が能力として強いのかしら」

「言ってくれるレスね。『華麗なる花装束(ブリリアント・フラワードレス)』!!美しい花には棘があるものレス、遠くで操作するだけがアタシのやり方では無いのレス!!」

 

 挑発に乗ったのか、花びらの操作を諦めたのか、早々に戦い方を改めるホーニィ、一度地上に降り立つと多種多様な花をその身に纏い武装する。花が寄り集まって出来た棘の意匠が施されている槍も刺さればひとたまりもないだろう。

 

「安心して良いレスよ。ここは世界一の花畑、供花には困らないレス『毒槍花(どくそうか)』」

「心配なんてしてないわ。死ぬつもり何てないもの『千紫万紅胡蝶蘭(コチョウラン)』」

 

 売り言葉に買い言葉、強気に出てはいるが武装の所為で彼女に直接触れる事も出来なくなり、攻撃を能力でどうにか裁くので精一杯になっている。せめて少しでも抵抗の為に周囲の花を毟る事で彼女のフィールドを壊し、相手を苛つかせるべく知っている話を口に出す。

 

「騙されやすい元奴隷の小人だと聞いてたのだけれど、こちらの話に耳を傾けてくれないのね?」

「アタシたちへの命令はアスカル様と……ううん、アスカル様から直接渡される物のみレス。他者を介して伝えられる事もなく、一切の特例は無いのレス。やるべきことの定まっている今、惑わされる事は無いレス!!」

「能力は花の操作と花との会話が出来ると聞いているけど、花達はこの状況を喜んでいるのかしら?」

「うるさい!!うるさいレス!!アタシはアスカル様の命令をこなすだけレス。それが、それが私なりのマニュ様への恩返しなのレス」

 

 何か気に障る内容でもあったのか攻撃に乱れが出ている。集中しなければ覇気は乱れてしまう。それ故にこちらの動きを読むことも無く、繰り出される単調な攻撃を避け続けることが出来た。この後の作戦も気づかれずに聞くことが出来た。

 

「待たせたな、ロビン。まずはこいつを喰らえ『風来砲』」

「くっ、風が!?」

「『二輪咲き(ドスフルール)ホールド』」

 

 風で吹き飛ばされるのは花だけでなくホーニィも同じである。すぐに立て直すであろうが装備の方も多少剝がれている様で、その隙をロビンは逃さず剥がれた部分に手を生やして復帰を遅らせる。目を塞ぎ、咄嗟の操作も出来ないようにしてゾロの邪魔をさせない。

 

「”九山八海一世界、千集まって"小千世界"、三乗結んで斬れぬ物なし”『一大(いちだい)三千(さんぜん)大千(だいせん)世界(せかい)』!!」

 

 ゾロが一面に広がる花畑を斬って浮かせた。バベルの塔は壁も天井も硬く、壊せるような代物では無かったが、植物が生える様になっている地面の表層であれば容易とは言えないが可能だ。一瞬の浮いた地面の隙間に滑り込ませるようにロビンが腕を生やした。

 

「『千紫万紅(ミル・フルール)スパンク』」

 

 生やした腕で地面の片側に思い切り力を込め、花畑を裏がえしにして封じ込めた。咲いている花によるテリトリーの効果は凄まじく、花びらが掛けた際にも常に最大数を操作できるようにと近場から補給していたが、今は全ての花が地面の下に埋まってしまった。無論、能力を使えば生やすことが出来るが、花を持ってきて使うのと、生やして持ってきて使うのであれば遅れは確実に発生し、それは戦闘中であれば見過ごせないほどの隙となる。

 

「吹き飛ばした花は戻ったか?ここの花は燃えないらしいが、こいつならどうだ『フランキーラディカルビーム』!!」

「きゃぁぁぁ!?」

 

 目の前の光景に驚いていたホーニィはビームを避けきれず花も多くが散ってしまった。ただでさえ補給がすぐに出来ないと言うのに、何もない場所から花を咲かせるのには体力を多く使う、そして距離を取って咲かせた花はロビンの咲かせた手によってすぐに毟られてしまった。

 

「させないわ!」

「面倒な事をしてくれるレスね!!」

「その面倒事ももう終わりだ」

 

 怒りで動きを止めたホーニィ、見える範囲内では花を咲かせてもすぐに散らされる。ならば森にまで入ればとも思ったがそれを遮るようにゾロが割って入った。

 

「フ、フフフ、負けるわけにはいかないのレス『寄生花(パラサイトフラワー)』我が身を糧に咲き誇るレス『献身(けんしん)毒槍花(どくそうか)花葬(かそう)』!!」

「九山八海斬れぬ物なし”『(さん)(ぜん)()(かい)』!!」

 

 自身に直接花を咲かせると言う暴挙を持って足りない花を埋め、両の腕に装着された花の槍を持ってゾロ目掛けて突進する。ホーニィの動きを見切ると覇気を打ち破り、一瞬のうちに全ての花を切り裂いて、その身に攻撃を入れた。

 

「ったく、こんな狂った奴を確保して本当にどうにかなるのか?まあ良い、回収は頼んだ」

 

 倒れたホーニィをフランキーが器用に縛り上げて荷物に仕舞いこんだ。次はどうするかと話し合うと次の階層がどうなっているか分からない以上は先に合流できる所と合流しておくべきと言うロビンの案を採用し、サンジ達を探す事になった。

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

「あいつら、そうか、やられたのか……」

 

 弱くなった気配からして侵入者にやられたのであろうがビブルカードが健在である事から死んではいない事に安堵する。何もかもを巻き込んだ作戦の最中にとも思うが、同時にこれ以失いたくはないと言う気持ちも確かにある。だが、それ以上に止める訳にもいかない。

 

「だいぶ馴染んできている。レッドラインの全てを、そして大地の全てを掌握する」

 

 これでようやく第2段階が終わり次へと進めるようになる。日が変わるまでまだ時間があるのだが、足止めの戦力はテゾーロしか残って居ない。彼には最後の仕事もあるから無茶はさせられないと言うのに……

 

「最終手段として外の3人を呼び戻す事もまだ出来るか……グレーヌめ、なぜ分かってくれない」

 

 娘を、妻の残した宝を失う訳にはいかない。だが、これ以上邪魔をするようであれば容赦をしてもいられないのも事実、計画は止められない。

 

「明日、全てを終わらせる!!」

 

 たった一人の部屋で響いた怨嗟交じりの声は誰にも聞かれずに溶けて消えた。

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