しばらく待っているが【厄災】自体の姿は見えない。進路を逸れてくれたなら有難いのだが、生憎と引きずられる様な海流は未だに続いている。能力の制御で完全に大地を固めているから大丈夫だが、やめればすぐにでも島が崩れてもおかしくはない。姿が未だに見えないのにこれとはふざけた力だ。
「海の呪いも形無しだな」
まさか海を呑み込みながら移動するとは……能力者の弱点であるはずの海がまったく機能していない。特殊な能力の中には海水でその効果が切れるものもある位には能力者と海の力関係は絶対的だ。それを覆すような光景に目を疑いたくなった。
オレも大地で海を掻き分けて進むとかは可能だが、それとは仕組みが全然違う。海に能力の効果を伝える事が出来る能力者も居ない訳では無い。だが、それは相当な
同じ能力者と言う土俵に上がっている様に見えるかもしれないが、動物系、自然系、超人系はもちろん、同じ分類に属していてもその力の意味や方向性と言うのは違う。能力の練度で劣っていようとも何も出来ないと言う訳では無い。それは
待ち続ける事、30分ぐらいだろうか?ようやく引力の中心を捉えることが出来た。見聞色の覇気でも微弱な気配を感じ取ることが出来た。なるほど、能力だけが優れている者なのだろう。本人自体の存在感とでもいうべき物は一般人と何ら変わりない。
気配を探れなかった理由が分かったが全く油断はできない。むしろより警戒を強めた方が良いかもしれない。戦闘のせの字も知らない様な厄災に
それはさておきこのままでは進行方向にあると言うだけで海のついでにこの島が呑み込まれてしまう。時間稼ぎの意味もかねている身としてはこちらに注意を向けて貰わなければならない。まずは海のそこに居るあろう厄災を引きずり出そうと海底の大地を押し上げて目線を同じにする。
「うわぁっと、あれぇ、なんで急に地面が盛り上がったのかな?まぁいっか、おかげで
海中から現れた厄災、その姿はまだ小さい子供の様な姿であった。いきなり地上まで持ち上げられた反応も不思議そうに周囲をきょろきょろと見渡したり、楽しそうに笑うと言った当たり前な幼い仕草ばかりだ。こちらに気付いた厄災、戦わなくて済むのであればと口を開き、接触を図る。
「初めまして【厄災】、オレはプラントの国王、アスカルだ」
「む、お兄さんもボクの事を厄災って呼ぶの!?ボクには”ラトニー”って言う名前があるんだよ!!」
厄災と言う呼び名はあまり好きでは無いようだ。腕を振り、頬を膨らませる姿は街の子供とそう変わらないが、あまり怒らせるのは得策ではない。向こうから教えてくれたのだから名前で呼んでおくべきだろう。
「そうか、ではラトニーと呼ばせてもらおうか。君は何でこちらに進んでいるんだい?」
「ん?えー、なんで、なんでって言われてもなんで?」
「理由は無いのか?ビッグマムの縄……いやお菓子ばかりの島を食べたのは覚えてるかい?それはなんでか教えて貰えるか?」
「お菓子……?島を食べた……あの甘い奴の事かな?あそこはいつ見ても呑みがいがあって、美味しいの!!いい匂いもするからね。
簡単な言い方をしたはずだがまさかお菓子もあまりよく分かって居ない様だ。彼女は一般的な常識、知識が欠けているように感じられる。行動理由は食欲に忠実なのかとも思える発言だ。だが
「なるほど、たぶん君が目指してるのはオレの治める国がある島だろう。君はその島を食べないでくれとお願いしたら我慢してくれるかな?」
「ええー、なんで目の前にあるのに食べちゃダメなの?」
「そこに住んでる人や関わりがる人たちが困るから、じゃ伝わらないよなぁ」
「そんなのボクにはかんけいないじゃん。邪魔するんならアスカルも呑み込んじゃうよ。それにさっきからアスカルの後ろにある奴が気になってるんだ。もう我慢は出来ないよ?」
「参ったなぁ。オレも呑まれる訳にはいかないんだ」
これは価値観の問題だな。彼女は狂ってる訳では無い。彼女にとってはそれが当たり前なのだろう。そのやり方しか知らないのだろう。動物系の悪魔の実の能力者が自然と能力を使えるようになっていくように、彼女はゴクゴクの悪魔の生き方でこれまで生きて来た。それ以外の生き方を知らない子供だ。
「勉強の時間だ
「他の人と食べる時はこうするんだよね。
彼女は手を合わせるとそのまま口を開いた。嫌な予感を感じ取ると反射的に島ごと体を動かして避けると、彼女の口が開いていた方向がぽっかりと抉られていた。少し土を吞まれたか……急いで海底から補充するが連発されればすぐに足場など消し飛ぶだろう。
「んー、ようやく不味いお水以外を呑めた。たまにいるお魚だけだと全然力が出なくて困ってたんだよね」
発言から考えるに海水は飲めるだけ、海水をいくら飲んだところで強化はされないと思って良いだろう。むしろ力が出ないと言うのが強制的な物だとすれば海水を呑ませることで身体能力自体は封じることが出来るのかもしれない。だとすれば地上に出したのは失敗だったか?いや、こちらから手が出せない状態だと一方的にやられていた可能性もある。得策とは言えないが失策ではないだろう。
彼女は足場を蹴るとこちらに飛び込むような勢いでやってきた。攻撃かと思い身構えるがどうやら違う。狙いは後ろにある囮の食料か。それにしても動きが早い、抉られた土の量は
ラトニーとビッグマム海賊団との相性は悪いなんてもんじゃないだろう。こんな微弱な気配では縄張りに侵入されてもまず気付くことは敵わない。どこかの島に上陸して家の数軒でも呑まれればそこらの兵士では何の役にも立たない。先ほどの吸引力を考えるに幹部が来るまでに島の半分も食べればもう手は付けられない。
だがそれはプラント本島も同じことだ。世界を支えるプラントと名高い食料を呑み込まれた日には抵抗すら許されないだろう。絶対にプラントにラトニーを進ませるわけにはいかなくなった。そのためにはより正確にその能力を知る必要がある。
「頂きま、「『
ラトニーが囮である食材を呑み込もうと飛んで行った場所を操作してぽっかりと穴を開けた。勢いのついたラトニーは止まる事が出来ずにそのまま空いた穴から海に落ちていく。普通の能力者であればこれで終わりだがラトニーは海を呑み込んで見せると海底からジャンプしてまた戻って来た。
先ほどよりも勢いは弱い、海水で強化が-されるのは確かだろう。強制解除で無いのが残念だが、海に落とす事が叶えば流石に解除されるだろう。しかし、地面の操作は流石に今ので警戒される。次はそう易々とかかってはくれまい。
「『土人……いや呑まれてエネルギーになるだけの悪手だな。覇気を流し込んでも微量なら吸い込んでくるみたいだしな」
オレが立っている小さな島には遠くからの吸引を防ぐ際から少量だが覇気を纏わせていた。しかし、最初の攻撃を受けた際に避け切れなかった部分は耐えたとはいえ抉れている。あれが全力かも分からない状態で数だけ用意する『土人形』系統の技は使えない。
「っ!しまっ『
「やった!あたった!あたった!今のうちに行っちゃえ、こっちからいい匂いがするよ!!」
迷った隙に一気に近寄られて反応しきれずに一撃が身体にささった。咄嗟に地盤をずらし自分の背後に壁を作り出すとそれを沼状に変化させて自身を受け止める準備をした。そして沼に埋まるように吹き飛ばされたとはそのまま地面の下に潜って機会を伺った。
向こうは吹き飛んだこちらの事をもう気にしていないようで食材がある方に向かっている。オレが地中に居る事に気付いていない様だ。やはり覇気を使う事は出来ていない様だ。それでこの有り様なのだから能力の理不尽さがよく分かる。
既に食料にたどり着いていたラトニーは食材を美味しそうにゆっくりと味わう様に口に運んでいた。エネルギーを得るためと言うの意外に楽しむと言う考えがあるのが幸いだ。オレは大地の中を泳ぐように進んでラトニーの真下まで移動するとそのまま足を掴んで引きずり込んだ。
「むぐっ!!アスカル、まだいたんだね。とりゃあ!!」
「『
ラトニーは埋まって行く体に力を籠めると周りの大地を吹き飛ばして脱出する。そのままこちらに対してまたパンチを繰り出してきたので壁を作って一瞬だけ動きを阻害すると急いで横にずれて攻撃を避けた。力もパワーも段違いに上がっている。これでは集中しても見えないかもしれない。
しかし、動きはどれも単調で攻撃などもただ腕や足を振るっているだけ、技量だけを見れば子どもの喧嘩レベルである。それを災害レベルに引き上げる身体強化には驚かされるばかりだがな。視線や手足の微妙な動きに注意すれば見えなくてもどうにか避けれる。駆け引きさえ間違えなければ戦えなくはない。
「『
「え、ちょっ!?足がとられる!!??」
立ち姿なども軸が真っすぐでない事などから不安定な場所で十分にその身体能力を発揮することは出来ないと踏んだが、予想通り足をつけた瞬間に島を揺らすと上手く立てないようで戸惑っている。そのままラトニーに攻撃を繰り出して食料から遠ざける。
「んもう!!怒ったからねぇ」
「『断層断崖』『断層断崖』『大地壁』『大地壁』『
言葉の通り、アスカルに怒りをぶつけんと体当たりやパンチや蹴りを当てようと猛スピードで飛び交うラトニー、その動きを読んだり、察知するために壁や崖を作り出していく。壁が多ければ自分が潜ったり、万が一の防御にも使える。さらに周辺全てを沼地に変えて沈める事で相手の足を奪う。
しかし壁を作りすぎると壁事呑み込もうとしてくるので相手を強化させる要因になっている。覇気を纏っているのでそう簡単に削られることはしないが、こちらの体力は減る。覇気を吸い込んだ際の相手の影響は分からないが特に気にせずに壁を呑んでるのであるとしてもデメリットは大きくないのだろう。
そこいら辺も考えて場を整えた方が良さそうだが、とりあえずあのスピードとパワーは脅威であるため、可能であれば弱体化させたいが、そのためには海水を呑ませる必要がある。どうしたものかと考えながら迎撃や防御を続け、とりあえずは海を直接ぶつけてみようかと距離をとって準備をする。
「ん、アスカル?どこにいった~?おっとっと、また地面が揺れてる」
「こっちだ……『地震』からの簡易版『破海』!!」
島を覆うほどの津波と強力な衝撃波を撃つ技だが、今回は波を作り出してぶつけることが出来ればいいので海底で地震を起こして波をラトニーの方にぶつける。
「美味しくない水は要らないよ『リバース』!!」
ラトニーは口を開けながらそう言うと口の中からエネルギーが飛び出し、迫っていた津波を穿って弾けた。飲み込んで蓄えたエネルギーを撃ちだす事も出来るのか、今までやらなかったって事は連発は出来ないのか?いや、楽観視は出来ないので警戒はしておこう。
それにしても直接海水をぶつけても拒否されるのであれば何かに海水を隠して呑み込ませると言う手段を取らなければいけなくなる。壁の中に海水を敷くか?いや、直ぐに気づかれるし、一発で大量に飲ませなければ警戒されてしまう。となれば、まずはどれくらいなら吞んでくれるか確かめて行こう。耐久戦になるが気を引き締めて頑張るしかないな。
「『
「なにない、土の飴玉?それぐらいなら一飲みだよぉ!!」
次々と
「流石にこれは呑めんだろう『偉大なる大地』!!」
「ふっふーん、それぐらいの大きさならまだまだ飲めるもんね」
こちらを馬鹿にする様子はないが楽しそうに笑って余裕の表情を浮かべているラトニー。宣言通り偉大なる大地は跡形もなくラトニーに呑み込まれた。しかし、次の瞬間にラトニーは顔を顰めて膝をついた。さらにはぺっぺっと舌を出して、口の中の唾液を吐き出している。その拙い動作もかなりゆっくりである。
「悪いなラトニー、さっきの攻撃の中身は濃縮された海水だ」
「げほっ、けほ、そ、そんな酷いよアスカル」
「それだけ弱ってれば良いだろう。『タイムカプセル・海水入りバージョン』」
「うう、力が抜ける……お腹も空いてきた……」
「あぁ、どうにかなったな」
終始翻弄することが出来ていたが、有効打を喰らった回数はこちらの方が圧倒的に多い。覇気を纏っていたにも関わらず骨が折れ、全身に打撲の跡がある。さらに言えば連続での大技で初めにあった島は見る影もなく、残った足場は小さな公園ぐらいだ。覇気も既に底をつきかけている。先ほどのアレを呑んでくれていなければ、飲んだ後に余力が残って居れば、負けていたのはオレだった。
「ううん、出してよアスカル~、お腹空いたよ!!」
「出したらお前は島だけじゃなく
「うん、だってお腹空いたもん」
「はぁ、一個ずつ教えるしかないか。とりあえずプラントに着くまではお前はそのままだ。着いたら特別製の海楼石のアクセサリーをプレゼントするよ」
「海楼石ってなに美味しいの?」
「……お前なら喰っちまいそうで怖いよ」
呆れ半分、恐ろしさ半分でラトニーの言葉に苦笑しながら残っている食料をラトニーの口に運んだ。能力が使えない状態でそこらの土を喰わせる訳にはいかないからあまり上げれる分は無いが、その少量の食料を嬉しそうに頬張る【厄災】と恐れられる少女を見て、オレはもう一度ため息を吐いてからプラントに連絡を入れた。
『それで【厄災】は消息不明という事か?』
「ああ、プラントから逸らすので精一杯でした。あの様子なら生きているでしょうが、確認しに行くような真似は出来ませんよ。ビッグマムの方は癇癪を起している所為と今回の被害でしばらく活発な動きは無いでしょう。そのせいで情報もあまり正確には分りませんがね」
『いや、それでいい。無理をしてプラントに被害が出る方が今は世界にとって損害も大きい。アスカル国王、君の世界政府への献身に感謝する。何かあれば便宜を図らせてもらおう』
世界政府への報告はこれで良いか。便宜を図ると言われてもPLANT計画についてはもう問題はないと言える。便宜を図ってもらうような事態は無い方が嬉しいかもしれないな。
「アスカル王、いま戻った」
「カスタードにエンゼルか。二人ともご苦労様、予期せぬ形での里帰りとなったがどうだった?」
「島は壊れていたが再興は可能そうだ」
「みんながママを必死に宥めて落ち着かせていたよ」
「そうか。それで向こうへの報告も問題はなかったか?」
「ああ、プラントが無事な点とどうやって追い払ったのかは聞かれたがそれ以外は事前の情報通りどうにか誤魔化せた」
「兄さんたちに色々と訊かれて大変だったんだから」
「無理をさせた分の報酬も用意している。だがオレとしては助かったけどこれで良かったのか?」
カスタードとエンゼルの二人は生まれ故郷が被害にあった事を気にしていたようなので、支援物資を届けさせる役目を与えて一時的にトットランドに帰らせたが、その際にラトニーの事について少し嘘の報告をしてもらう事になったが、家族を裏切るような行為では無いのだろうかと頼んでおいて悪い気がしていた。
「まぁ、ビッグマム海賊団への攻撃の為とかなら命がけで逃げてましたが、そう言う訳ではありませんでしたしね」
「兄さんたちならママの癇癪を納めるために処刑しようと言い出すでしょうが既に支援物資やこの前運んだお菓子でだいぶ機嫌は治ったようですから」
「そうか。とりあえず急な仕事はこれで落ち着いた感じだな。あまり支援ばかり送るのも向こうにも面子があるだろうから後は少し休んでからまた通常業務にもどってくれ」
二人に報酬である好物や金銭と少しだが休みを渡すと少し嬉しそうにしながら下がって行った。まぁ、怒りの矛先があるのであれば利用したいだろうが、無抵抗な状態のアイツを差し出す気は無いな。
『プルルルル』
「電伝虫か……お前は悪くないがどうも音を聞くと警戒してしまいそうだ」
『ガチャ、あー、あー、こちら空島探索分身だ。まだ地上に降りれていないが電伝虫の範囲に入ったので連絡を入れいてる。声は問題なく届いてるだろうか?』
「ああ、問題はない。こちら本体、何か緊急事態か?」
『いや、ある意味そうかもしれんが違う』
「ん、どういう事だ」
『”ウェザリア”と接触することに成功した』
どうやら最後にかかって来た電伝虫は良い知らせを届けてくれたようだ。
空島『フリートガンクラウド』にて得た情報を基に目指す事になった空島『ビルカ』、ウェザリアが立ち寄り取引をしていると言う噂だったが『ウェザリア』を作り出したのがここの『ビルカ』の科学者なんだそうだ。
『ビルカ』の人々から話を聞き、『ウェザリア』の行方を聞くと改造した船と少しの海雲を利用して目指す、本当にその方向にあるのか分からないが、目指してる方向が合っているのか確かめながら空の上での生活を続ける事数週間、ようやく『ウェザリア』に到達することに成功した。
ウェザリアでは天候の科学という物が研究されており、ハレダスと言う気象学者に色々と教えて貰った。その中でも『ウェザーボール』と言う代物には驚かされた。天気自体を売り買いすることは今もやっているようだが『ウェザーボール』自体を外には出していないらしい。
オレはハレダス氏にプラントの目指している場所、PLANT計画について話し、そのために『ウェザーボール』を使いたいと言う旨を正直に話した。
「ふむふむふむふむふむふむ、なるほど。天候を生む『ウェザーボール』で気候を制御するのぉ。正直面白い発想じゃ、一研究者として気にもなる。それとその実験を行える土地として解釈すれば悪くない。さらに一大農業国家となればノウハウを理解すれば『ウェザーボール』の大量生産も夢では無いのぉ」
エリアを巨大な『ウェザーボール』、『シーズンボール』とでも言うような物で囲い、微調整の為に『ウェザーボール』を規則的に活用し制御する。プラントであれば地熱の操作で更に細かくいじれるだろう。
「今の段階で直ぐにと言う訳にはいかんな。まず第一に『ウェザーボール』だけでは不可能じゃしのぉ。日の光などの問題も重要じゃしな。細かい所を詰めるにしてもまずは共同研究からといかんかなアスカル王?」
ハレダス氏との話し合いにより、興味のある研究者をプラントに置き、定期的に『ウェザリア』がプラントに訪れるという事になった。現在は地上でのウェザーボールの育成、ウェザーボールの巨大化、大規模な気候への影響実験などを進めている。
プラント王国本島地下、基本的に部外者の入ることが出来ないエリアが多い場所だが、その中でもまず人が寄り付かないストマックバロンやモルの住む菌の森の地下にわざわざ空間を作っている。この場所にはオレかピアスでないと入れないだろう。
「ラトニー勉強の時間だぞ」
「アスカル~!おやつはある~?」
「あるから真面目に受けてくれよ」
ここはラトニーの住居エリアとなっている。世界政府から危険指定を受けている特別なお尋ね者だ。秘匿レベルはモルよりも上と判断された。それ故に環境をしっかりと整えたうえでの地下暮らしとたまに王城やその周りで過ごすだけで我慢してもらっている。
「う~ん、美味しい!!」
「そりゃぁ良かった。それにしてもだいぶ慣れてきてるし、制御も進んでるか」
ラトニーの首には海楼石で作られた首輪がつけられている。そして万が一に首輪が外れ、更に彼女が暴走した際にピアスでも対処できるように居住エリアの周囲は海水で覆われている。覇気で呑み込みを防ぐことが可能と分かれば海流に覇気を纏わせられるピアスであればラトニーを溺れさせて落ち着かせることが出来る。
だがその心配が必要なのは最初の頃だけであった。初めは暴れようとする姿も多かったがちゃんと食事を出して、少しずつ話をしていくうちに段々と落ち着きを見せて来た。知らないだけで頭は悪くなく、覚えも良いので今ではお菓子の為にと頑張って勉強をしてどんどん賢くなっている。
「ビッグマムって人の島に行きたいな~」
「ダメに決まってるだろ」
「あ~、やっぱり?」
分かった上での冗談だと思いたいがたまにこのように食欲が優先されることもあるのでまだ完全に安心は出来そうにないが……こうしてまたプラントの愉快な仲間が1人増えた。
共同研究開始から1年が経過した。プラントの農地のエリアごとに大きく透明な壁が張られている。その中と周囲には研究者や協力者が集まり見守っている。そしてアスカルとハレダス氏が起動のボタンを入れた。
「こちら春エリア、日射量、気温、湿度、目標値達成」
「こちら夏エリア、同じく目標値をマーク」
「秋エリア同じく」
「冬エリアもです」
その報告が電伝虫から流れた瞬間、会場中、いや関係する島中の人間が喜び声を上げた。プラントとウェザリアの共同研究が実を結んだ。プラントは何処に居ても四季の恩恵を得ることが出来る様になった。
「アスカル……」
「ああ、プラント王国国王アスカルの名においてPLANT計画の完了を宣言する。この後世界政府には電伝虫にて連絡、明日には来賓のモルガンズの新聞で全世界に公表する!!」
プラントにおける天竜人も関わる一大プロジェクト『PLANT計画』、それはレヴェリーでもアスカルの口から話され、注目を受けていた議題だった。それだけに全世界でプラントの話題で盛り上がりを見せた。
世界を巡る超巨大な食料プラントとなったプラント王国、そのプラントの主と言えるアスカルについても話題となり、モルガンズ以外にも取材などが度々訪れる騒ぎとなった。そのアスカルの操る土の力から、『大地の王』やプラントの主である事からこうも呼ばれるようになった。
『プラントオーナー』
なんともまぁ最後は駆け足になってしまいましたがタイトルを回収する事が出来、少し落ち着いた気分です。
長い間ご愛読いただきありがとうございました(嘘です。まだ終わりません)
ここから先で拾いたい事件や書きたい描写となると何があるかねえ。ワノクニは関係性があまりないし、ビックマムと関わりがある以上は手を出しにくい。
とりあえずはフレバンス、マリージョア襲撃かな。魚人島は白ひげがあるから関われないからオトヒメ様とかは無理そう。ウォーターセブンやドレスローザはやりようによっては関われるかな程度。後は世界会議は何回か描写しようかな。
食材ネタはチマチマと間に挟むか話の中で登場させる程度になりそうです。まだネタはあるけど一気に出せるほどは残ってない。貯める時間をください。
麦わらの一味と関わるのはどのタイミングだろうか。悩むけど不自然じゃなければいいかな。
とこの辺でいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。