ONE PIECE プラントオーナー   作:ひよっこ召喚士

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良いのが思いつかなくてシンプルだったタイトルだけ変えた。


第40プラント 流れ巡る月日、竜の千年と人の二十年

 

 せっかく東の海までやってきたんだ。こっちで最近掴んだ情報の確認くらいはしておこう。何でもこの近くに千年竜と呼ばれる存在がいるらしい。

 

 古臭い伝説からの情報故に正確な事は殆ど分かっていないがその竜骨は不老不死の妙薬だとかいう胡散臭い話があった。

 

 それが本当かどうかはどうでも良いし、不老不死なんてものに対して興味はないが、竜なんて付く生物は大抵特殊な身体をしており、味が良い種が多い。

 

 実在するかどうかに加えて、可能であるならば味についても数がいるならば確認しておきたい。まぁ伝説となってる時点で存在はあったとしても多くはなさそうだがな。

 

 千年竜の伝説が残っている島である軍艦島、東の海に拠点を設置していた当時は確証のない情報の場所に割いてる時間はなく詳しく調べていなかったが、島の東に肉眼で見えない島があるな。

 

 蜃気楼や植物の効力、空間の歪みや能力、魔術や霊能力、呪いに科学なんかもそうだな。考えられる要因は幾らでもあるが隠された地というのは心躍るものだ。

 

「なるほど、確かに居たな千年竜」

 

 目の前の存在は戦えば勝つことは容易な相手だろう。だが積み重ねてきた年月、その存在感というのは適うものではないと対面すれば分かる。

 

 向こうもいきなり現れたこちらを図りそこねている様だが、生憎とオレは見聞色の覇気の精神方面はそこまで得意ではない。

 

 とは言えこのまま見つめ合っていても何も生まれない無駄な時間が過ぎるばかりだ。どうしたものかと考えていると地面を踏む感覚が伝わる。

 

 千年竜の存在でオレの覇気では気配をどうにも読みにくくなってしまうが能力による把握は何も問題はない。重量からしておそらく子供だろうが、この竜の知り合いか。

 

 ここに来ようとしてる子供はあんたの友か、そう聞くと肯定を示すのと同じ意味である軽い威圧がとんでくる。まぁ存在感に圧倒されるが覇王色とは部類が違う。

 

 手を出すつもりはないと伝えて安心させて子供の到着を一人と一頭で待つ。短い時間ではあるが一応言葉を聞き入れては貰えた様だ。

 

「りゅうじい、来たよ!!ってあなたはだれ?!」

 

 友達なんだろう相手の所に見たことない男が居座っていたらまぁそりゃあそういう反応にもなるか。これでも顔は知れ渡ってるから新鮮な気持ちになるな。

 

 お嬢ちゃんにも君の友達であるりゅうじいと言ったか?彼にも手を出すつもりはないから安心してくれ、自己紹介をしておこう。

 

「オレはアスカル。プラントという国の王をしている。よろしく頼むよ」

 

 千年竜は食材には向かなそうだったが、その存在を起点にして偶然に出合った特殊な能力者であるアピスとの縁は普通に良いものとなった。

 

 聞く能力……才能を与えるかの様な実は超人系の中でもだいぶ特殊な枠になる。見聞色を身に着けたら何処まで届くのかその深度を思うと身震いする程だ。

 

 確かリク王の娘に『ギロギロの実』と言う目に関する能力者が居たと聞いた覚えがある。あれは視る力、そして『ヒソヒソの実』は聴く力、耳に関する能力、他にもアピスが知らないだけで出来る事は有る筈だ。

 

 捜し物があるからと直ぐの勧誘は断られてしまったが、ロストアイランドを見つけてからなら考えても良いと返事を貰うことが出来た。

 

 千年竜の故郷であるロストアイランドか……失われたにしてはしっかりと形がある様に思えるが、それはオレが『ツチツチ』の能力者だからだろうな。

 

 感じ取れる様子から考えればその目で見てもらってからでも全く遅くはないからな。それにその目で見なければ信じ難いだろう。きっと見つけられると励ましの言葉だけを送って別れる。

 

 偉大なる航路に近いからか、海流の影響でもあるのか……大地だけで再現可能なら中々に面白いんだがな。そんな事を考えながら軍艦島を離れ、プラントへの帰路に着いた。

 

 


 

 

「ふぅ、これでおしまいなの」

 

 そう言って汗を拭うような仕草を見せるのは12歳の少女、その周辺に散らばるのは壊れた船の残骸と意識を失い武器を手放した賊とも呼べない荒くれ者達。

 

「ポコ姉風に言えば格付け完了って所なの」

 

 アスカルの娘であり、世界政府加盟国の王女であるグレーヌ。彼女がいるには似つかわしくない雰囲気を纏う島は、海賊や裏社会等の人間が集い、回している島。

 

 こういった場所は偉大なる航路のあちこちに存在し、巨大な一つのマーケットとしての機能を果たしている。闇の世界の商談が纏まる事もあれば、裏切りや殺しも日常の場所である。

 

 グレーヌを襲ったのは彼女の身分等とは全く関係のない話であり、そもそも彼らは島の中では底辺に位置するような存在であり、この島の中で役目も居場所もない者たちだ。

 

 島の入口や路地裏で目をつけた存在をただただ襲いその日糧を得てる先のない者たちだ。無論この様に失敗すればその時点で人生も終わりを告げる悲しき弱い存在だ。

 

 能力者であり覇気も使えるグレーヌに下手したら街のチンピラよりも弱い奴らが幾ら襲おうと傷一つ付ける事も出来はしないのだ。

 

「さて目当てのオークション会場もそうだけど、マーケットもあちこち見ないとなの。面白い種とかあったらラッキーなの」

 

 グレーヌは『タネタネの実』を食べた種子自在人間である。種を生み出し、種を操る事が出来る能力者だが、元となる植物や種自体がある方が消費は少ない。

 

 それ以前に父親が植物の収集をしている様にグレーヌ自身も趣味として自然に存在している種をコレクションしているからという理由もあるが、仕事のついでに島全体を回り始めた。

 

「あれは麻薬食材なの。普通の粉や薬と比べて管理が難しいのによくやるの」

 

 毒星にフグ鯨なんかはまだこの偉大なる航路の海だ。何処ぞで大量発生しててもおかしくはない。だがエレキバナナにドラッグマイマイとそれなりのラインナップを見てよくやると一周回って感心しているグレーヌ。

 

 エレキバナナの種ならその帯電性を顧みて携帯しているグレーヌであるが、育てるとなるとライジン島の様な気象条件のあった島を見つけるか能力や科学に頼る必要があり、手間が掛かっている分だけ値段はかなり割高になっている。

 

 プラントやウェザリアの様に気象を自由に操る事が出来れば話は変わってくるのだが、裏の世界でそこまで出来るのは極一部だろう。なんでわざわざ用意するんだかと口にしようとすると……

 

「あれが好きってもの好きもいるし、あの程度の毒は効かない奴には美味いだけの極上の食材だからな」

 

 それに単純に儲けにはなりやすいのも要因だと教えてくれる声は自分の真後ろから響いており、聞き覚えのある声にそっと振り向いた。

 

「あれれ? 確か「カタクリだ。カスタードとエンゼルの兄であってる」その見聞色はやっぱりずるなの……それで…」

 

 四皇の一人ビッグ・マムことシャーロット・リンリンが率いるビッグ・マム海賊団の最高幹部である四将星の中でも最強と名高い実力者、『モチモチの実』の能力者、シャーロット・カタクリだった。

 

「マーケットに出回る食材からめぼしい物を集めるのとオークションが目的だ。共に行くのも別に問題はない。こちらもアスカルの娘であるお前には興味があるからな」

 

 話が早く済むのは楽で良いが何でもかんでも読まれるのは考えものだと苦笑いを返すグレーヌ。それでも知り合いと偶然あった事は嬉しいのか直ぐに機嫌は元に戻った。

 

 次は何処に行こうか相談しようと思うと先に少し待てと声が掛かり、カタクリは店の人間に声を掛けて売っていたエレキバナナを全て買い取った。

 

「うちのママはここで売られてる食材程度は難なく食べれる。以前麻薬食材で食い患いを起こした際に対応が遅れてから積極的に購入している」

 

 麻薬食材の入荷は時期以外にも運なども絡んでくる為に定期購入は難しく、ピンポイントで食い患いを起こされれば被害が洒落にならないそうだ。

 

 その対策としてマーケット等に訪れた際は麻薬食材を含めた違法食材をチェックしているそうだ。食材である以上、プラントにもあるのだが流石に取引には載せれないのでグレーヌもそこは口を結んだ。

 

「良いなの?」

 

「あぁ、助かる」

 

 止めてこない時点で問題はないだろうと質問の最中には生み出した空種をエレキバナナの山に投げ付け、着弾した瞬間に全てが一つの小さな種に納まった。

 

 礼を伝えながらそれをスッと拾ったカタクリは種を懐にしまい込んでからグレーヌの方に向き直った。

 

「何処をみる予定だ? それならオークションまでの時間は東から回れば良い。東は品切れが早く西はまだこれから運び込みの品も多い」

 

「了解、それじゃあレッツゴーなの!!」

 

 一方的な問い掛けと返答というおかしな状況であるが既に慣れたグレーヌは決まったならば即行動と東へと走り出した。

 

「むむっセンネントケイソウなの。クロック諸島からの持ち出し禁止の植物……欲しいけど公に育てられないの」

 

「千年もの時を刻み続ける多年生植物で五十年毎に成るコンパッションフルーツは幻の食材か、ウチで貰おう」

 

「あっずるいの?!」

 

「この大きさでは秘匿して運び込み、十分に育てるのはプラントでは手間だろう。こちらは海賊なんでなルールには縛られん」

 

 円卓サイズの花を付ける違法植物に後ろ髪を引かれながらも面倒をプラントに持ち込むわけにはいかないと断念し、カタクリの手に渡る。

 

「この生命力は本物のいのちのりんごなの……50億ベリーの価値はあって当然なの……でもオークション資金がなの……」

 

「このりんごになんの価値が……なるほど一個で森が出来上がる程の力を宿す果実であり種か」

 

「再生の力、得られるエネルギー、本来であれば原産のスリープランドの禁足地である深い森でのみ育つけどウチならもしかしたら……買ったなの!!」

 

「好きにすると良い。この灼熱オレンジをあるだけ用意しろ」

 

 オークションの前だというのに大金を払って果実一つを買い込むグレーヌと一つしかない物を持ち帰り気に入られると厄介だと大量に売られてる特殊な生態をしているオレンジを買うカタクリ。

 

「あぁ…これで本命の品以外は躊躇しないといけないかもなの」

 

「プラントならウチよりも資金面は充実してそうだが? なるほど、一部に大量に流してバランスを崩さない様にという配慮か…世界政府加盟国は大変だな」

 

「正式には世界政府協力国と言う立ち位置なのね。独立国家な分だけ他の国々よりこれでもマシなの」

 

 それに周囲に悪影響を及ぼしても世界レベルに発展しなければ見逃される可能性は高い。それでも配慮してるのは一重にアスカルの人柄故で、それをグレーヌも守ってるだけだ。

 

「こっちは食材目的だがそっちは何を? 被る心配はないなら別に問題はないか」

 

「自己完結しないで最後まで聞くなら聞くなの。うちが狙ってるのは『宝樹アダム』なの」

 

 世界に数本しかないまさに宝と名に付くのに相応しい貴重な樹木。その素材が大量に流れたと聞いてそれを纏めて手に入れるのが目的だと言う。

 

「……研究による新たな宝樹の作成か、それなら大量に素材が必要になる訳だ。国の護りに土地の安定、狙いはそんな所か」

 

「喋ってから…ではないなの。考えたあたしが言うのもなんだけど一応こっちの秘匿研究なの」

 

 もっとやばい内容も色々とあるが流石にそっちはなんやかんや関わりの深いビッグマム海賊団でも口にも思考にも出せない。

 

「そちらの不利益になることは今さらしない。しかし、ゲン担ぎで宝樹を求める海賊やここで買い他で売って儲けようとする者も多い、買い占めれば反感もかうぞ」

 

「その程度でやられるあたしじゃないなの」

 

 そう言って胸を張る姿から受け取れる自信は確かな実力がある故にカタクリも心配はしていない。そうかと受け流して時間も時間なのでオークションへと向かった。

 

 オークションでは互いに目的の品を無事に確保する事が出来、襲いかかってくる馬鹿の処理も難なく終わり帰路へと着いた。

 

「ママがお前の事を気に入っていた。プラントとの関係を深める為にも弟達の誰かとお前の婚姻を狙ってるから気を付けておけ」

 

 別れる直前に急に思いついたかの様に告げるカタクリ。ビッグマムの意向に従うのであればそれとなく働きかけるべきなのだろうが、アスカルやプラントとの敵対に繋がら無いようにも動く必要がある。さらに言えば本質的な部分でグレーヌは万国には合わないと判断した。

 

「うへぇ、お父さんも未だに狙ってるのにあたしもなの……流石に四皇と親戚関係になったら言い訳出来ないなの」

 

「それならば早めに婚約者でも決めておくんだな」

 

 相手が嫌だからではなく四皇の一味だからと言う理由での辞退であることから立場が関係なくなり、相手が悪くなければ可能性は無くはないとカタクリは判断した。

 

 その報告が出来れば仮に狙ってる事実を肯定し、アドバイスまでした事がバレても面目は立つと判断し、カタクリは済ました顔で帰路に着いた。

 

「あたしの心配や妹弟の面倒よりも自分の心配もしたらどうなの。アラフィフ男が、なの」

 

 心優しく、誰かを助ける事も多いグレーヌだが、その性格の中には負けず嫌いな一面もあり、上から目線なカタクリにとんでもない陰口を吐いた。この未来を見る前に帰れたのはカタクリの幸運である。

 

 


 

 

 千年竜とアピスと親睦を深める事で予定とは違う収穫を得ることができた訳だが、帰路に着く前に大きな気配が近寄ってきた。

 

「ジハハハ、こんな所で会うとはなぁ!!」

 

 20年来のお得意様である大海賊”金獅子のシキ”、初めの契約の時を除いて一切姿を見せることのなかった彼がこの東の海へと何をしにきたのやら。

 

「なぁに、まだ計画の前段階だが試験先候補はこの目で確かめておこうと思ってな」

 

 それについては何も言うことはない。彼の計画というのは十中八九海賊としての計画であり、その標的となろうとしている東の海が悲惨な目に合うとしても関係はない。

 

 そういったのは海軍の仕事であり、独立国家の国王が出張る事ではない。各国や各島々もそれぞれの守りで対処できなければこの大海賊時代で先はないだろう。

 

 だがそれによってプラントの拠点や経済区域に影響が出るのであればそれなりの形で抗議する必要がある。目に見える土の刃とかでな。

 

「そう威嚇してくれるな。計画のためとは言え20年はちと長過ぎた。今のお前と真正面から事を構えるのはゴメンだぜ」

 

 その言葉ですら何処まで信じられるか分かったもんじゃないな。確かにあちこち衰えてはいる様だがそれでも世に蔓延る四皇達の同期と言える存在相手に楽観視は出来ない。

 

「始まりの合図は盛大に上げる予定だ。そしたら一度見に来ると良い。面白い物を見せてやるよ」

 

 言いたい事だけを言い切ると天高く飛び上がり去っていった。後ろ姿を狙ったとしてもあちらも周囲の水を浮かして防ぐだろう。

 

 戦う気がないと口にはしながらオレがいる島の周辺の海を囲う様に能力を回しているのだから油断ならない。合図か……そう遠くないとは思うが面倒だな。

 

 あぁ…だが、上手く行けばあの土地を得られると思えば悪くない。あの植物、IQの生息地、おそらくシキの手によって環境は大きく変わってるだろうが、それは招待された時に確かめるとしよう。

 

 


 

 

 色々と重なって精神的に疲れている所にティーパーティへの誘いが来た。ティーパーティと言ってもビッグマムのお茶会とは違うものだ。

 

 もし今このタイミングでそれが来たらオレは何をするか分からないぐらいにはあれは面倒極まりない。疲れが取れるどころか倍プッシュで増えてしまう。

 

 ラブビー達のティーパーティもこれで何回目だろうか。ハニー島から移り住んできた特殊な蜂であるラブビー。何組かの夫婦で移ってきたのでその数を少しずつ増やしているが、彼らが作り出す蜂蜜は本当に良い物だ。

 

 植物性の物も動物性の物も食べようと思えば食べれる彼らだが、好むのは果物や花の蜜等だ。たまに肉なども取っているが、基本的には甘いものが多い。

 

 そんな彼らも食の宝庫であるプラントの環境に適応しつつあり、素晴らしい蜜はそのままに段々とバリエーションを増やしたり、新たな形に挑戦している。

 

 その発表の場がこのティーパーティであり、基本的には新しい何かが出来るとよく開かれているのだが発表物の傾向や数もまばらで、たまに何もなくても開かれる事もある。

 

 そこまで気楽な集まりになっているのは研究者気質と言うかきっちりと仕切られてる群れで社会を形成するコーヒヒと違い、ラブビー達は群れ社会を形成しないのが関係してるだろう。

 

 招待と言うのも近くに居た人を誘ってるだけで今回タイミングよく通りかかったからと言う、オレの地位も関係ないゆるく気楽な理由。

 

 疲れを取るには甘いものとよく言われるし、せっかくなので誘いに乗ることにすると誘いに来たラブビーのペアは何処か嬉しそうに音を鳴らした。

 

「「ブブブブブ〜」」

 

 そのまま案内されるままに飛んでるラブビーを追いかけていくと森の中の花畑、その少し空いた空間に何やら敷物が用意されているのが見えた。

 

 これは『蜜編み』か……花粉転がしの技法を模倣して成分を殺さずに固形化した蜂蜜を糸状にして編み込んだ代物。それでこれほどの敷物を用意するとは手間がかかっただろ。

 

 食べれるのはもちろん、表面は完全に固形化している為に座ってもベタつく事も汚れることもない。見た目もファンシーで女性に人気な一品だ。

 

 固形化していても蜂蜜なのは間違いなく、健康的な甘さを届けてくれる。噛み切った所から口の中の酵素と反応して溶け出してその甘さが一気に広がるのだが初めて食べた際には圧巻の一言だった。

 

 何より凄いのは風味の全てを封じ込めているかのような味わい。蜂蜜の作成時に使われた花が周囲に咲き誇ったのではないかと錯覚する程に香りも届けてくれる。

 

 まぁ今回は座る為に用意された様だし、他にも用意されてる品はあるようなので食べる事は無いだろうな。何処に座れば良いか訊ねると席に向かう。

 

 席に座ると直ぐにカップを渡されるがそれもどうやら『蜜編み』で作られているのが分かる。なるほど、三つ編みのラグならぬ『蜜編みのマグ』ね……お前ら暇だったのか?

 

 そう聞くと慌てて弁明を始めた。別に駄洒落の為だけに作り出した訳でなく、特別に薬効を詰め込んだ蜜で作られていて、長く使う事で少しずつ薬効だけが溶け出して、身体を整えてくれるそうだ。

 

 薬効とは言っても薬草の様に特別苦いものではなく、蜂蜜自体の甘い香りは常にマグから漂っている為に使い続けるのはそう難しくは無い。これは中々に良い品になりそうだ。

 

「「ブブブ〜」」

 

 続けて出されたのは落花生の蜂蜜漬けだが、味わってみるとかなり落花生の味が濃い。これはもしや『落花星』か?!

 

 マグマから養分を吸って育ち殻に鉱物が大量に含まれており、一つ一つが小さくても家よりはデカく最大で一つの山と同じ大きさに育つ特大の落花生だ。

 

 オレが初めて回収した食材であり思い入れは深い。こいつはふんだんな養分を吸っている分、通常の落花生と比べて非常に栄養価が高く、風味も濃い。『落花星』の生る大地そのものを味わっている様な感覚を与えてくれる。

 

 マグマの熱でも無事な性質からどう茹でれば良いのか初めは疑問に思ったが、『落花星』は剥きさえすればそのまま食べれるのも特徴の一つだ。

 

 大きすぎるので剥いてそのまま齧るとはいかないが削って小さくすればお菓子としてもオツマミとしても最高だ。ソースに使用したり、ピーナッツバターにして食べても美味しい。

 

 ただ大量に使い過ぎると風味がピーナッツ一色になってしまうので適切な量を使用するには調理者の腕が必要になる。

 

 驚きはしたものの『落花星』の蜂蜜漬けは交易商品にも既にあるがと思ってると、設営協力をしていたコーヒヒ達が何やら大きな物を持ってきた。

 

 まさかお前ら『落花星』を丸々一つそのまま蜂蜜漬けにしたのか?下手な家より全然大きいこれを漬けるだけの蜂蜜を用意したのか?なんとも大胆な事を考えるな。

 

 いや、まぁ作ってるのはお前達だから別に文句とかは全くないんだ。むしろ感嘆しているくらいなのでもっとよく見せてくれ。

 

 なるほど生えてる『落花星』の殻に穴を空けてそのまま蜂蜜を流し込んだのか。これはもしかして生きたまま蜂蜜漬けにしてあるのか?

 

 成長に合わせて蜂蜜が直接『落花星』に浸透する事で完成しているのか。なるほど食材自体がとても巨大で丈夫だからこそ成立している漬け込み方だな。

 

 だが『落花星』も『ラブビー』の蜂蜜もどちらも風味が強いのが特性の食材だが喧嘩している様子はない。なるほど『落花星』と同じ植生の花から蜜を集めたのか、素材から相性が良いものを選んでいるとは凄いな。

 

 それとおそらくだが成長に合わせて取り込んだ事でより良い方向へ変化している部分もあるのでは無いだろうか。それと『落花星』の持つ熱で多少は蜂蜜側の風味も弱まってるからちょうど良いのかもな。

 

 少し甘いものばかりを食べたからそろそろお茶が欲しいなと考えると飲み物が運ばれてきた。ただそれも多量の蜂蜜が使われてる他、何やらアルコールの香りが漂っている。

 

 ティーパーティと言ってもこれまでもお茶が必ず出てた訳でも無いからお茶でないのはまだいい。お茶会と称して菓子を食い漁るのがメインの海賊もいるからな。

 

 ティーパーティだからお茶が出るというのはオレの固定観念が悪いんだろう。だがいきなり蜂蜜酒を出された困惑はどうすれば良い?

 

「「ブブブブブブ〜」」

 

 えっとこれは『酔う滝』の『酒虫』を利用して作ったのか?!何世代も『酒虫』を蜂蜜に慣らして、蜂蜜の中でも生きていける『酒虫』を作り上げたと……

 

 なんかお前らだけ顔が赤いのは気の所為か?自分たちの巣で『酒虫』を飼ってる。蜂蜜酒を気に入って巣をそのまま蜂蜜酒で作ったと……馬鹿なのか?

 

 本来なら水を酒に変える『酒虫』だがその酒は酒精が強く質も悪くないが味はないと言う代物で何かを漬けこんでから売ってるのだが、この蜂蜜酒はシンプルではあるが蜂蜜自体の味や成分が影響してるのか普通に美味い。

 

 シンプルだからこその飲みやすさはあるが、『酒虫』による度数の高さはそのままなため、何か割る物は欲しいかもな。『ティーポッ島』のハーブとかと一緒に売るとちょうど良いか。

 

 中々に驚かされて変に疲れはしたが悪くなかった。認めるのは少し癪な部分もあるのは確かだが概ね楽しく、有意義な時間を過ごせた。

 

 ラブビー達にお礼を伝えてから帰り、この後の仕事も頑張るかと気持ちを切り替えていると何やらお土産として一つの蜂蜜入りの瓶をくれた。普段の蜂蜜とは装飾が違うが特別なものなのか?

 

 なになに、最近作り上げた最高傑作である蜂蜜『ハニカムハニー』……思わず笑みが零れそうになる程の究極の甘さと風味のハチミツだって?

 

 ついででお土産に渡すような品じゃないだろお前ら。これをメインで紹介してくれよ。作れる量や作るのにかかる時間などを聞き出して商品に出来るかなどの協議の予定を入れたり、仕事が増えた。

 

 悪気がないのは分かっているし、色々と助かっているのも確かだがこういった所は直してくれないだろうか。そう項垂れながらも味見した『ハニカムハニー』は甘く、オレの顔は笑みを作っていた。

 

 


 

 

 珍獣蔓延る無人島でガイモンと別れたルフィ、ゾロ、ナミの三人は果物だけでは満足いかないという男二人の我が儘を黙らす為に補給の為にプラントの拠点に置かれたマーケットに来ていた。

 

「あんたらねぇもう少し考えて飲み食いしなさい。私が管理したっていつもあのペースで消費してたらいつか揃って餓死するわよ」

 

「おっ、いい酒があるな」

 

「でけえ肉だ。あれも買おうぜ!!」

 

「話を聞きなさい馬鹿二人!!あ、お兄さん。それちょっと安くならないかしら…ねぇお願い?」

 

「勘弁してくださいよお客さん。ここはプラントですので……」

 

 各海から取り寄せることが出来る酒の数々を永遠と物色し、世界各地に生息する猛獣や海獣の肉に次々と突進し、プラントの経済圏が出来る前と比べて格段に安くなった食料をさらに値切ろうとする。

 

 略奪者よりも厄介な客として認定されかけているとルフィが、あ、そうだ!!と呟いて大渦に飲み込まれて減った数少ない荷物から何かを探す。

 

「何してんだよ」

 

「前に良いもの貰ってよ。ここプラントだろ。あったあった!!」

 

「正確には各地に点在するプラントの拠点の一つよ。特殊な流通経路に経済圏を抱え、安く質の良いものが手に入る様になってるのはその拠点のおかげでもあるのよ」

 

 そこまで分かってるならこれ以上値切りを試みるなよとマーケットの職員が項垂れているとルフィがようやく荷物から探しものを取り出し、ゾロは首を傾げ、ナミと職員は目を見開いた。

 

「なんだそりゃカードか?!」

 

「ってなにそれ…えっ、もしかして?!」

 

「特別優待会員証……しかもアスカル様と関わり深い存在しか貰えない最上位のブラックカード……失礼しましたお客様、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 

「おれか? おれはモンキー・D・ルフィ、海賊王になる男だ!!」

 

 ナミはその存在を噂には聞いていても世界政府の役人や王族でも持ってないと知りあくまで噂でしかない代物と判断していたが、その実物を見てまだ固まっていた。

 

 それもその筈、金色の優待会員証でさえ王族が持ってるくらいであり、そこそこの金持ちでも銀色が精一杯なのだ。

 

 その銀色だって珍しく仮に裏に流れれば顔を変えたり、似てる顔を用意すれば使える事もある為に優待会員のみが買える商品への期待もあって高額で取引される。

 

 まぁ電伝虫による伝達で使用停止される事も多いのだが、それでも普通は手に入らない品を手に入れれば十分にもとはとれる算段なのだろう。

 

 ちなみに無くしたり盗まれても再発行は基本的には受け付けていない事が希少性を高めている。ちなみに特例の一つがブラックカードだったりする。

 

 金色ともなれば()()()使()()()()()()その存在への価値で高額で取り扱われているくらいだ。銀で一億、金は五億が裏での相場だ。

 

 いきなり態度を変えた職員を不思議そうにしながらもルフィは呑気に自己紹介を終え、職員は手元の電伝虫で何やらやり取りをして確認を取っている。

 

 やがて確認を終えると佇まいを直してルフィへと向き直り、大きく丁寧に礼をしてみせた。

 

「お待たせしまして大変申し訳ありません。確認が取れました。お客様には特別な商品の提供も可能でございます。こちらの目録からご確認ください。こちらは帰りにご返却願います。また、通常の商品は全て7割引きで提供させていただきます。その他にも黒色会員様のみですが会計の先延ばし、いわゆるツケも受け付けています」

 

「おぉー!!安くなるのかこれでたくさん買えるよな。なぁナミ……ナミ?」

 

 あり得ない破格の対応の数々にもルフィはいつもの調子で喜ぶだけである。銀や金の優待の内容はそれぞれ段階は違うが提供される商品の開放だけである。

 

 公平な取引を謳うプラントにおいて割引は常時からなく、値引き交渉を試みたナミも駄目で元々と割り切っての事だった。ましてやツケなんて言葉は存在すらしてはいけないのだ。

 

 ナミも黒色の噂は聞いており、尾鰭も背鰭もついた物だと考えていた。あり得ない内容の噂も確かにあったが大抵の噂よりも真実の方がとんでもなかった。

 

「安く買えるよなじゃないのよ!!黒色なんて噂だけが出回る幻の存在なのよ?!王族すら持ってない物なの!!優待内容だってあり得ないものばかり、さっきの職員の言葉から察するとあんたあの”大地の王”と知り合いなの?!」

 

「アスカルの事か、爺ちゃんとアスカルが知り合いでよ。昔から遊んでくれてたんだ。これは出航祝いだってくれたんだよ」

 

 いやあ〜無くさなくて良かった。はっはっはっと軽く笑って見せるルフィに絶対に価値を分かってないと膝を折るナミ。

 

「おっ、ルフィこの酒買おうぜ…っていってぇな?!何すんだナミ?!」

 

「八つ当たりよ!!そいつは殴っても効かないでしょうが!!もう良いわよ安く買えるなら万々歳よ!!」

 

 そして一人で黙々と渡された目録の酒のページを見ていたゾロに向けてルフィの分の苛立ちもぶつけて、吹っ切れたナミ主導で無駄なく補給を終えて出航するのであった。

 

 





とりあえずアルビダ、モーガン、バギーは飛ばしました。ゾロの加入とナミの臨時加入もね。

ルフィへのプレゼントはこんな感じの物です。多少は影響が出るけど本筋には関わらない特典ですね。ちなみに黒色を持ってる設定の人は現状ではルフィ入れて7人です。(もしかしたら増えるかも)

ルフィ、エース、サボ、ガープ、ミホーク、レイリーとオリキャラのクチーナ。世間に噂として出回ってる原因はガープとミホーク。

プラント関係者は除外されるし、イスト聖はそんなの関係なく優待する相手だし、七武海以外の海賊には流石に渡すとまずい故にこんな感じ。レイリーは例外中の例外。

食材を食べてるシーンを出来るだけ書こうとしてみたけどあんまり上手く表現出来た気がしない。もっと書いたり、参考になりそうな物を探そう。

元々はずっとアスカル視点で、番外編で他の視点をって感じだったけど他のキャラの視点が新章から増えてます。これからもこんな感じになるとは思いますがアスカルが基本にはなるようにはします。

アンケートが追加されてる筈です。次のIF話のアンケートですので良かったらご参加ください。

海賊団は書けそうなの書きます。海軍はとりあえず大将だったら設定で何かを書きます。革命軍はどういう立ち位置にするか悩むけどなんとか書きます。

トリココラボはアニメのワンピースとトリコのコラボにアスカルを加える感じです。IFと違うと言ってるのは元々書く予定なのを時系列無視して先取りしてるだけなので、仮に選ばれたらまぁ追いつくまではIFのところに配置予定。(IF書くのが大変なので用意した逃げ道、元々書く予定なので既に幾つか設定がある。選ばれろ〜)

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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