ONE PIECE プラントオーナー   作:ひよっこ召喚士

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第46プラント 旅立つ種の海遊記④


 

 龍骨海岸(キール・コースト)の大きく渦巻く海流に乗った船が行き着く先はまず腹を空かした海王類の胃袋が大半である。

 

 運良く海王類の口から逃れ続ける事は出来ない。海王類を撃退出来るだけの力を持った存在だけが龍骨海岸(キール・コースト)の航海のスタートラインへと立てるのだ。

 

 龍骨海岸の全体は大きく渦巻き続ける一面の海だ。そして渦の構造上、上層、下層、深層の三つに区分けされている。

 

 初めに上層、渦の外側であり、ころころと変わり続ける天候の影響をもろに受け、姿を現すことを躊躇わない腹を空かせた海王類が入り乱れるのがこの危険地帯の玄関口だ。

 

 しかし渦の勢いは他の層と比べて大人しく、墓標代わりの竜骨や海王類の骨…龍骨(竜骨と海王類の骨の総称)は渦の外周に流されている為に船と接触することも少ない。

 

 その龍骨たちが邪魔をしている為に上層からでさえ逃れるルートは限られているが、下を目指す道中なら関係の無い話である。

 

 上層から下層への移動はとても簡単であり、渦に船を乗せたら流れから外れないようにただ耐え続けるだけだ。

 

 そう…ただただ耐え続けるだけなのだ。龍骨海岸(キール・コースト)に入り込み、流れに乗ってから時間にして二時間

 

 襲い掛かってくる凪の海に帰れなくなった空腹の海王類達からの攻撃に耐えながら進み続ける事が上層から下層への唯一の移動手段なのだ。

 


 

 上層の攻略はプラントの技術とタネタネの力を詰め込んだこの船でも簡単じゃないの。船の進行上の問題はないと言えるのだけど、決して楽は出来ないの。

 

 レムナントが防御してくれているのに加えて、海流の中心から離れない様に船がズレ始めたら直してくれる補助はかなり大きいの。

 

 襲い掛かってくる無数の海王類達からの攻撃はあたしが種を撃ち放っての対処もまだ余裕はあるのだけど、正直きりが無いというのが感想なの。

 

 ショートカットが出来るのであればジャンプシステムで一気に下層へと飛びたいぐらいなのだけどそれは難しいの。

 

 各階層の間には流れの差によって出来た空白地帯に多くの龍骨が流れ着いているの。

 

 少しでも方向をミスってジャンプの勢いのままに龍骨にぶつかったなら船が大破してしまう事は確定なの。

 

 レムナントが抱えてくれているとは言え渦に乗った船は完全に安定はしないの。それに辺りの天候は当然の荒れ模様、翔んだ後の風次第ではジャンプの軌道にかなり影響が出るの。

 

 ぶつかる前に壊すのも考えたけど、これから先も戦い続ける必要があって、天候や海王類の対処に能力を使わないといけない場面も絶対にあるの。

 

 それに救助者を見つけた後にこの海域から脱出する時にだって頑張る必要はあるの。辿り着いたら終わりってじゃない事を考えると無茶な真似は決して出来ないの。

 

「となると…やるべき事は一つなの」

 

 上層から下層へ行くのに掛かる時間は二時間…それは普及している船の大きさとレベルでの目安なの…この船の大きさなら海流や風の影響はもろに受けるから味方につければ早められる。

 

 レムナントの手助けもあれば一時間をきれるかどうかと言ったくらいまで短縮出来ると予想しているの。

 

 少し航路が厳しくなってもこの海域なら誤差の範疇で済むから後は覚悟を決めたら良いの。二時間戦い続けるよりかは遥かにマシなんだから…

 

「一時間ぶっ通しでハイスピード航海と行くの!!」

 


 

 ワールド・バイキングに向けての準備は終わる事なく、進み具合を確認する為に会議も繰り返し開かれている。

 

 その中でも早めに取り掛かる必要があるメインコンテストにおける優勝賞品の選定が本日の主な議題であった。

 

「これまで協議を重ねてきましたが、リストアップされた食材が正式に次回のワールド・バイキングに合わせて用意する食材となります」

 

 司会進行役の発言と共に映像電伝虫がスクリーンに幾つもの伝承になる様な特別な食材を映し出していく。

 

 育成や捕獲、管理など様々な形で関わるだろうが万が一の無いように食材の情報も纏めておいたので目を通してくれると助かる。

 

 運営スタッフ達が先に配られていた手元の資料に目を通していくが、読み進めていく内に皆が疑問を感じたのか、自然と手が挙がった。

 

「例年よりも数が多い様ですが、これは…?」

 

「これまで携わってきた君たちなら分かるだろうが、一部は食材としての価値が高い物と金銭的な価値の高い物のセットにしてある。これはアスカル様からの提案で試行する事になった」

 

 その言葉に納得する者もいれば、賞品の用意方法を新たに変えた事で問題が起きないか懸念する者もいる。

 

「元々の価値基準が曖昧だった所に複数賞品となれば前回までとの差に疑問視する声が上がりませんか?」

 

 世界中から人が集まると言うことはワールド・バイキングで起こった事は世界中に広まると言う事である。悪手となればプラントはもちろん、優勝者にも良い事はない。

 

 既に『イチジクリスタル』で複数個の賞品自体は行っているし、物によっては関連性が低くなる組み合わせもあるだろう。だが、それだけで云々言われるほどそれぞれ陳腐な品でも無いだろう。

 

 オレとしてはインパクト重視で決めた事から始まった優勝賞品のインフレを止める意味もあり、ワールド・バイキング自体の名を重要視させる為にも必要だと語る。

 

 解説と共に改めてそれぞれの品に全員で目を通していく。個々の金銭的な価値が落とされても話題性に劣らないかをチェックしていく、オレの視点だけだと何処かで見落としがあってもおかしくないからな。

 

・『ユニコーン』 ・金銭的価値

 

 食べればどんな病気もたちまち治ると言われる伝説のトウモロコシを頭に生やし、その身もとうもろこしの様に甘い肉汁に溢れている『ユニコーン』。

 

 その薬効を考えれば頭のコーンはこれまでの賞品にも劣らない価値があるだろう。それに『ユニコーン』が生きていれば採り続けられる事を考えればむしろ此方が上とも言える。

 

・『王冠馬(クラウンホース)』 ・食材的価値

 

 まるで雲の様にふわふわな食感であり、口の中で花びらが舞い踊るかの様な桜肉の王様、『桜雲肉(さくらうんにく)』。

 

 それが採れる『王冠馬』自体も普通の馬とは比べ物にならない脚の速さを持っており、捕獲の困難さから幻の馬ともされている。

 

 前に『宝ース(ホウース)』の話を聴いて馬肉の発想はなかったなと思ってな。これは関連性も高い良いセットだと自画自賛している。

 

「安全と採算度外視、流石にハチャメチャが過ぎる、利益の事も考えて欲しい、レス」

 

「なんだと〜? ドキドキに勝る物はないんだからね〜?」

 

 会議と言っても固いものではないし、ワールド・バイキングの運営に携わるのは幹部とはまた少し違うが勘定や交渉、企画運営においての実力者が多い。

 

 その為に多少のおふざけは容認しているし、元より少し変わった人材が多いのでこれぐらいは普通である。オレとしても堅苦しいよりはずっと良い。

 

 馬肉で揃えたのはセットの中でも良かっただろう。しかし問題があるとすれば『王冠馬』の方は食材的価値に重きを置いてるが、これまでの賞品と比べて量が少ない事だろう。

 

 優勝者が店を持っていて客に振る舞おうと思うと自然に『ユニコーン』のトウモロコシだけになってしまう。そちらもとても美味しい事に違いは無いが、金銭的価値に置いており、調理するより売った方が利益は出るだろう。

 

 ただ『王冠馬』は上手く調教が出来れば移動の脚としても使えるので、そちらで価値を高めると言うアプローチも可能だろう。しかし、食材的価値はセットでも低めな事にかわりない。

 

「それで〜、結局私の出したドキドキな『宝ース』のイベントってどうなりました〜?」

 

 あぁ、『C宝モツ(C4モツ)』を用いた特殊調理イベントの事か、特殊調理と言っても気を付けて素早く捌ければ良い程度の物だから海賊向けとしては良いんじゃないかな。

 

 企画としても面白いし、死なない様に熱貝(ヒートダイアル)炎貝(フレイムダイアル)でも貸し出せば失敗しても大きく吹き飛ぶだけになって面白いと思うよ。

 

 まぁ、やるとしたらもっと細かく案は出して詰めて欲しいし、(ダイアル)と『宝ース』の確保とか色々とやって貰う事になるだろうけど、そこは提案者として担当よろしくね。

 

「うわぁ〜い、仕事が増えた〜」

 

 もちろん、彼女だけに任せる訳ではないし、ワールド・バイキングの運営陣も人を動かすだけの位置にいるのでそこまで問題はない。

 

 八割冗談である嘆きの声はアスカルを含む全員から華麗にスルーを決められ、少し不貞腐れながら会議は続く。

 

・『ウィートン』 ・食材的価値

 

 その身はどんな物でも食べて栄養に変える頑強さがありながら、繊細な香りを放ちまるで肉を食べたかの様な確かな満足感を与える小麦を背中に生やした豚である『ウィートン』。

 

 雑食性の中でも強靭な胃袋を持っており、大抵の環境で生き残れる優れた適応能力も備えている。そして争いを好まない在り方から競争相手のいない過酷な地を生息地としている。

 

 その為に捕獲するまでが大変ではあるが、『ウィートン』自体へ危害を加えようとしない限りは大人しく、連れて帰るのもとても簡単である。

 

 『ウィートン』に成る小麦は万能小麦と言われる程で、『金色小麦』の『全麺』には劣るが多種多様な味に富んでおり、麺に限らず多くの料理に使用できる。

 

・『油米(アブライス)』 ・金銭的価値

 

 成長するに連れてその身から不要な成分を油に変換して排出し、植えられた田んぼを油田へと変える『油米』。

 

 プラント独自の改良で『油米』が作り出す油を調製しており、料理人に嬉しい各種調理用油や味付けに使える食用油は勿論。

 

 燃料等に使える石油を生み出す『油米』はまさしく金のなる木ならぬ金のなる田となる。各種『油米』の成る土地ごと渡せる様にすれば優勝者の手間もない。

 

 もちろんだが、この『油米』自体も食用は可能ではあるのだが、食用油を生み出す『油米』以外は特殊調理が必要であり、食用油の物も使い勝手は悪いので食材的価値は一般的には低めである。

 

「土地ごとのプレゼント…なるほど大地の王であるアスカル様らしさがあって…うん、とても良いですね…」

 

 そう言って貰えるのなら良かったが、土地ごと渡すとしても相手の出身次第で手法は変えないといけないだろうからこれから検証が必要な賞品だ。

 

「『ウィートン』は捕獲の必要性が既に無い点は有り難いですね」

 

 そう『ウィートン』は既にプラントに存在しているのだ。生存能力が高い為か、生殖能力が低い…と言いきれる程では無いが確かに増えにくく、貿易品に載せる程の生産性が無く顧客にも知られていない。

 

 少しずつ増えてはいるのでこれから先で扱える様になる可能性が無いとは言えないがそれこそワールド・バイキング以上に気の長い話となるのは間違いない。

 

 そうした事情も込みで話せば優勝賞品としての『ウィートン』の価値も上がるとみている。

 

 まだ二つしか例を紹介していないがそろそろ単体での賞品も話題に上げていくとしよう。

 

・『大根大蛇(だいこんおろち)』 

 

 一度植えられると栄養を吸い取り大蛇の様に大きく育ち、ある程度大きくなると自ら大地に潜って栄養を探す大根である『大根大蛇』。

 

 その身は切り落としても栄養を吸って再生し、どんな料理にでも使えるが、細かくすりおろした身を魚と合わせるとどんな美食家も唸らせる抜群の相性を誇る。

 

 そして何故、金銭的な価値が見出せるかと言えば、大地に潜って栄養を貯める際に不要な成分を尻尾で固めて、宝剣を定期的に生み出すからだ。

 

 これはセットじゃ無くても管理期間に作られた宝剣も飾れば華やかさも十分あるだろうし、発表の時に『大根大蛇』に何かさせればインパクトもあるだろう。

 

 植物との意思疎通や調教が能力者の力によって簡単に出来るからこその賞品だろう。そして宝剣の作成過程から大地の要素も感じられると好評だ。

 

「アスカル様、財宝としての金銭的価値を求めては承知の上ですが、はたして不戦を掲げるワールド・バイキングの賞品が剣と言うのは問題はないのでしょうか?」

 

「メイドさん考えすぎ、そんな事を言ったら、爆発する食材、提案してた人、立場無い、レス」

 

「片めがねくんによってなんか勝手に私の立場が下げられてるんだけど〜」

 

「下がる程の立場、あるレスか?」

 

 まぁ、明らかに軍事利用出来る様な代物なら考えざるを得ないが、剣となれば使い手の技量次第だろうし、刃物が危ないとなれば包丁もダメになるからそこは言われても反論出来るだろ。

 

・『鬼鱚(オニキス)

 

 その身には固く、美しい、まるで海をそのまま纏ったかの様な鱗があり、その鱗は波までも映しとったかの様な幻想的な縞模様のブルーオニキスで出来ている。

 

 本来のオニキスは宝石としての価値は高くないが、その魚が纏うそれは薄く均一であり、他に類を見ない色合いをしている為に装飾品としての人気から価値は高い。

 

 ただ、その身にあるのは宝の様な鱗だけではなく、その凶暴性の象徴とも言える様な鋭い角も持ち合わせている。

 

 その角もブルーオニキスで出来ており、鋭利なそれで敵を突き刺すに留まらず、貫通してそのまま泳ぎ去っていく。

 

 凶暴であり、横暴であり、辺りを食い荒らしながら生きている。鬼の様な角と宝を持ち合わせた鱚、故に『鬼鱚(おにきす)』。

 

 その味は魚自体の凶暴性と反比例するかの様な繊細で上品な甘みを持った白身で刺身、天ぷら、塩焼き、どの様に調理しても美味しい。

 

「一匹、一匹は小さいみたいだから捕獲して養殖ですか!!それか開催までに巨大化処置の実験ですか!!」

 

「これも単体ですけど釣り合わせるならキロ単位で渡す事になりそうですね。先に角や鱗の一部を装飾品にして飾れば見栄えもしますかね。うん、美しくなりそうです」

 

 ふふふ、確かに『鬼鱚』だけならたくさん捕まえるか、品種改良で大きくするかしないといけないだろう。それはそれで、今後に役立つから進めるがそれだけじゃない。

 

 大きくするまでもなく巨大で、より凶暴で、より美味い。そんな『鬼鱚』の主と言える存在が複数存在するが、既に位置の確認が出来た個体をピアスに捕獲を依頼している。

 

「既に手を打っていたとは流石はアスカル様、おみそれ致しました」

 

 あぁ、流石に海の中の食材を捕まえるならピアス以上の適任はいない。位置の確認が取れた時点で指示を出しておいた。まぁ、そいつの特性上、見失う事はないからそこまで急がせる必要もないんだけどな。

 

「それは普通の『鬼鱚』とどう違うのか教えて頂いてもよろしいですか」

 

 あぁ、そいつは最近グルメ領域について詳しく調べていた際に由来を知ったんだが、向こうの世界の影響を受けて出来た酒の海に生息している。

 

 泳ぎながらその身に酒を浸透させ、まるで酔っぱらったかのような予測できない動きで獲物を混乱させて狩る生粋の酒呑みな魚で大きさは『鬼鱚』の数十倍の巨体を誇るまさに『鬼鱚』の主。

 

・『酒吞鬼鱚(しゅてんおにきす)

 

 調理すればその身に染み込んだ酒の旨味と風味だけを残して酒精は飛ぶらしいから未成年でも安心して味わえる。流石に刺身となると難しいが、それはそれで美味いと聞く、通な者は少しだけ炙って味わいを変えるらしい。

 

「それは中々にそそられる魚ですな」

 

「へぇ〜、美味しそうじゃん」

 

「酒呑み達のセンサーに引っかかったな」

 

 見た目で言えば爺さんと孫くらいに離れており、実際に運営スタッフの最年長と最年少の二人だが、ピアスに負けないレベルの酒呑みだったな。

 

 ワールド・バイキング終了後の運営陣が主役のパーティでも散々呑んでいたのを思い出した。『酒吞鬼鱚』程じゃないが酒を帯びた『鬼鱚』も捕獲してくるから養殖分を除いてから味見すると良い。それも運営スタッフの約得だ。

 

 他にもリストに上げられた食材は多く、たまに横道にそれながらも会議はまだまだ続くのだった。

 


 

 その日の龍骨海岸はいつも以上に荒れていた。多くの存在にとっては最悪な地獄であるが、一部の存在にとっては降って湧いた幸運な日でもあった。

 

 前提としてこの悪天候のデパートであるこの海域だが、渦の回転にまで影響を及ぼす天候自体は珍しくもないものの、それが渦全体で揃う事はまずあり得ない。

 

 上層、下層、深層の何処であっても天候は食い違い、同じ層であっても渦の中心を挟んだ反対側は愚か、数十度も進めば別の天候なのが当たり前だった。

 

 しかし、極稀に渦全体の天候が揃ってしまう事がある。磁場の影響か、それとも潮の満干か、条件があるのかどうかは分からないが確認されている現象だ。

 

 ただ不思議な海においても特に異常な海域なのだ。元より何が起きてもおかしくはないが、問題はそれが起きるとどうなるかだ。

 

 龍骨海岸に多くの天候が存在する事である意味で大渦全体のバランスが取れているのだ。それが統一されてしまったら当然バランスは崩れ、それによって引き起こされるのが渦の変動だ。

 

 基本的に変わらずに渦巻き続ける渦の変動、それによって新たな被害者である海王類が凪の海から引き寄せられる。

 

 右も左も分からない海王類が既に長く龍骨海岸で生きてきた海王類の食事となったり、逆に今まで凪の海で平穏に生きてきた万全な身で返り討ちにしたりと勢力図にも影響が出てくる。

 

 難しい事をよそに置いておいて、今の龍骨海岸がどうなっているかを一言で纏めると話初めに戻り、結局は普段よりも荒れているという事実が残る。

 

 それは外敵に対する行動全般に言えることであり、変動後の龍骨海岸の危険度は普段よりも数倍は上である。

 

 渦の流れを走る船なんかが目に入ったならば荒れに荒れている海王類達は我先にと襲い掛かるのは間違いなしだ。それが自身の命を縮める行為だとしても構わずに…

 

「『開封(オープン)』」

 

 何の足しにもならない様な大きさの船であり、腹を満たす為ではない。だが、侵入者を許しておくほど余裕のある海王類はこの海域には存在しない。

 

 不審な小さい船を丸ごと飲み込もうとした海王類、だが目の前にポンと飛来した小さな種と囁くような一言と共に、その身体をのけ反らせながら吹き飛んだ。

 

 幾ら巨大な海王類とは言え頭を揺らす衝撃に意識を失っており、この龍骨海岸でその様な姿を見せれば渦に飲み込まれ龍骨に身体を削られ、他の海王類の胃に収まる事になる。

 

 その流れを見て海王類達が船に近付く事をやめるかと言えばそんな事はない。

 

 小さな船なんかに舐められてたまるかとより勢いを増し、また返り討ちにあったものを胃に収めようと近付くものやそれをさらに喰らうものとごった返しである。

 

 襲われまくるのも覚悟の上で速度を上げて進むわけだが、流石にそんな事情までは知らないグレーヌは…

 

「なんでこんなに数が多いの!?」

 

 各層の攻略方法までは目を通していたが極めて稀な事例までは頭に残っていなかったグレーヌは困惑の声をあげていた……この娘、親譲りなのかあまり運には恵まれていないのであった。

 


 

 途中で食料が尽きるという問題もありながらもなんとかアラバスタ王国のあるサンディ島へ辿り着いた麦わらの一味。

 

 船長のルフィが空腹を我慢できる訳もなく、メシ屋へ走り出した先で、引っさげてきた海軍とそれを足止めした男。

 

 彼がルフィの兄である事や海賊である事などを話しているとスルリと本人が乗り込んできた。

 

「エ〜〜スっ!!」

 

「よう」

 

 それからは冗談混じりに自身の所属する海賊団へ誘ったり、小さな紙を預けると弟の仲間に挨拶してから小舟へと戻った。

 

「もうちょっとゆっくりしてけばいいじゃねェか!!久しぶりに会ったんだし」

 

「言っただろお前に会いに来たのはコトのついでなんだ」

 

 そう言うとこのただ航海するだけでも過酷な海を一人で逆走する理由と彼が追っている黒ひげと言う男について語った。

 

「そんなことえもねェ限りおれはこの海を逆走したりしねェよ。大変なのにおれが行くと目立つからプラントの直轄地にも寄れねぇから面倒でしかたねぇんだ」

 

「そういやエースもアスカルから貰ってたっけ、おれも貰ったんだよお揃いだな」

 

 ルフィよりも三年早く出航したエースも出航祝いとして同じ物を貰っていた様で世界に一桁しか存在しない黒色カードがこの場に二枚集まった。

 

「ちょっと待って、そのカードを使うのに問題ってあるの?」

 

「あぁっと、不安にさせたか? プラントの直轄地は小さな島でも人が集まるからな。黒色カードを出すと騒ぎになるだろ? 俺が単純に追跡中だから制限してるだけだ。ただ…」

 

 四つの海では完全に噂だけの代物になっているが、偉大なる航路ではその存在が裏でまことしやかに囁かれてるからそう言った意味では注意は必要だと忠告はされる。

 

「だから、仕方なく街のメシ屋に入ってたんだが、結局目立っちまったな。まぁ、目撃情報も途絶えてたからあまり痛手でも無いがな」

 

 そんな風に笑うと改めて別れを告げ、弟に発破をかける様な言葉を送って船を進めて遠くへと消えていった。

 

「まさか便利なカードにそんな落とし穴があったとは…今度から使う時には少し警戒を強めた方が良いわね」

 

「確か億単位の価値があるんだろ? 買い物後にいきなり襲われてもおかしくはねぇな」

 

「おいおい、今度から直轄地の買い物に付いてけねぇよ!?」

 

 これまでの航海における懐事情に貢献してきた一枚の黒いカード、その利便性の裏に潜んだ危険性に少し意識が変わる一味の面々だった。

 


 

ワールド・バイキング運営陣

幹部には劣るが立場は高め

昔の四隊長の様な準幹部扱い

 

 

メイドさん (32歳) 

役割:護衛及び間諜対策

 

少し固い口調で話す、ワールド・バイキング運営陣と言っている様にメイドが本業な訳ではなく趣味。

 

『獣憑き』からの派遣であり、その身には虎の耳と尻尾が付いている。役割としては他のメンバーの護衛や会議の場等の間諜対策である。

 

対策は得意だが別に本人にスパイやアサシン等の適性はなく、見つけ次第正面から殴り掛かるパワータイプ。見つけるのが得意だが相手からも見つかるのでどうせバレるならどんな格好でも良いかと趣味に走った結果の仕事着のメイド服化。

 

アスカルも他の幹部も参加できない場での安全対策を考えて数回目の会議から彼女の参加が決められた。その為に運営陣は他言無用を絶対に『獣憑き』と『TEMPO』までの情報は知らされている。

 

「お茶を淹れるのは得意ですよ。よく掛けられていたので適切な温度は覚えています」

「敵を発見しました。ただちに排除します」

「えっと、その…この身体、殴る方が早くてですね…はい、申し訳ありません精進しますので、どうかオオカミ様には内密に…」

 

 

爺さん (75歳)

役割:交渉

 

酒呑み、メンバー最年長、物静かな雰囲気で話し方も落ち着いている。「〜かな?」と問い掛ける様な形で話す事が多い。別に腕っ節は強くないのだが、雰囲気を作るのがとても上手く、交渉事を纏めるのが得意。

 

確かな実績があるが交渉を纏めた事を褒められてもあまり嬉しそうにはしていない。何処か苦い物でも噛んだ顔を隠しながら礼を言っている。

 

唯一の元スキーラからの運営陣雇用者であり、元国王やマニュと面識があるが、本人はただの隠居人と他の運営陣には笑って誤魔化している。

 

アスカルは雇いいれる上で聞いているが、元々スキーラの外交等に携わっていた人物であり、スキーラの困窮時には引退していたが、老骨に鞭を打って彼方此方を駆け回っていた。

 

彼の尽力でアスカルの助けまでスキーラが保った部分もあるのだが、確実な救いと慣れなかった不甲斐ない自身の力を嘆いている。

 

「私に何か用ですかな?」

「ふむ、この提案では飲めませんかな?」

「酒の誘いとあらば喜んで同伴させて頂きます」

 

 

ゆるふわちゃん (24歳)

役割:企画、アイデア出し

 

酒呑み、メンバー最年少、一応元奴隷(not天竜人)、可愛い格好を好み、喋り方も〜を多用する事が多い。交渉等の場に立つ際は普通に喋っているし、正式な場ではアスカル相手にも敬語を使えるが、会議などでは自由な姿が多く見られる。

 

突飛な行動や発想が目立つがそれが場を動かす切っ掛けになる事も多く、また他者に迷惑を掛けては居ないうちは良いかと言う判断で好きにして良いと言われている。

 

ドキドキに勝る物はないを信条としており、別に恋愛関係だけじゃなく、命の危機やギャンブルにも心躍っている。そんなゆるふわちゃんの奴隷落ちの理由は親のギャンブル…血は争えない。

 

シャボンディでの奴隷騒動でプラントに加わっており、当時はまだ赤ん坊だった為に元奴隷と言っても記憶にはなく、実感も薄い。

 

当時まだ子供だった四隊長たちに可愛がられており、彼らとの親交は続いている。訓練にも参加しており、実は少し戦える。

 

「私もケモミミ欲しいな〜」

「相手が能力使って無くてもお父さんは私を賭けに出してたと思うよ〜」

「ふわふわコンバット〜(袖に重り入り)、あ、イテッ!?」

 

 

装飾くん (25歳)

役割:装飾加工、アドバイザー

 

綺麗なものや美しいものに対して目がない。企画等ではなるべく完璧な物にしたいという意識から積極的に案を出すのは苦手としており、他の人の案に対して意見を言うアドバイザー枠として口に出す事が多い。

 

会場の飾り付けや一部の賞品の加工などにも携わっている技術班側の人間。あまりよろしくない言い方になるのは知っているが感覚的に好かない物に対して「美しくない」と言ってしまいがち、喧嘩を売るつもりも相手を下に見るつもりもなくつい口から出てしまう。満足した仕事が出来ると「美しい」と嬉しそうに笑う。

 

ドラム王国から技術交流でやってきた医者の両親に連れられてプラントへ来ていた。突然の国交断絶から帰国要請なども出されていたが全員でプラントへの移住を決め、プラントの正式な国民となった。

 

幼い頃から両親や交流対象の研究員と関わっていた為に知識量はかなり豊富であり、簡単な治療ならササッとこなせる。手先の器用さと装飾やデザインセンスには自身がある。

 

「これは美しく出来ました」

「考えるのは得意ですが話すのは苦手なんです。纏めてから書面で提出させてください」

「ああもう、考え無しに動くから怪我をするんです」

 

 

片めがねくん (26歳)

役割:経理

 

トンタッタ族であり、植物の育成から研究班を経て、最終的に経理へと移行した異色の経歴の持ち主。

 

元々はI.Qの育成に携わっており、そこから研究班への繋がりを持ち、そこで装飾くんとの出会いを果たした。

 

物語を読んで憧れていたがトンタッタ族サイズは無理と諦めていた片眼鏡を手先の器用な装飾くんに作ってもらい仲良くなった。

 

研究班へ移動になった理由はI.Qの育成途中で身体に変化が生じてしまった為であり、他のトンタッタ族と比べて彼だけ一回り大きいサイズとなっている。手のひらサイズからぬいぐるみサイズに変わった。

 

元から数学を好んでおり、計算は得意も得意だった。口癖は「数字は裏切らない」であるが、騙されやすいトンタッタ族が言うと深く感じられる。実際にはこれまた好きな物語からの引用である。

 

趣味は読書であり、片眼鏡は大人間の本を読む際に使っている。また読書を広める為に大人間の本を小さく書き直す作業も好んで行っている。

 

現状では作った本が読み物としてトンタッタ族に渡るのではなく、小物として大人間に人気が出ているのが納得がいっていない。

 

騙されやすい自覚がある為にあまり喋らない様にしている為に言葉は途切れ、途切れである。また、素直で真っ直ぐなトンタッタ族らしさが変に出ているのかか少し言い方がきつく、毒舌な一面がある。

 

I.Qの影響か、本の少しであるが騙されにくくなっており、経過観察などの実験には継続して参加している。

 

運営陣に加わってから年齢が近いゆるふわ、装飾、片めがねの3人で過ごす事も多く、互いに言い合いながらも仲は悪くない。

 

「数字は裏切らない、そしてアスカル様も裏切らない」

「訓練、サボった?、動きに、キレがないレス、だからケガする」

「美しいの、分かった、でも予算、限度、考えて」

 

 

実験くん (31歳)

役割:実験

 

安全第一の考え方をしており、安全の為には実験が必要であるので、実験はさせてくださいと言っている。

 

ワールド・バイキングの食材や設備などの安全面の確認を一手に引き受けている。その他にも研究班とのやり取りも主に彼が担当している。

 

何時でも声だけは元気いっぱいであり、研究で疲れている時でも声だけは大きい。

 

基本的には丁寧な言葉遣いを心掛けているが、驚くと素の少し荒っぽい喋り方が出てくる。その後は喋り方を直すのに集中しており、その間だけは声が普通になる。

 

メイドさんと年は近いが普段の部署が遠いためにあまり関わることはない。ただ、『TEMPO』の完全発現者としては興味を持っている。

 

片めがねくんのI.Qの経過観察にも関わっており、一時期研究班に所属していた相手だからか、一番喋っている相手でもある。

 

ただ、喋るのとは別にゆるふわの行動に対して突っ込む事はよくある。実験に対する姿勢は強いが、意外と常識人である。

 

また、研究班の中でも優秀な方で、室長以外でティアの手伝いを頼まれる事のある唯一の人材。研究班からは筆頭さんとも呼ばれている。

 

「はい!!まだまだ元気です!!え、今ですか!?三徹目になります!!」

「実験があるからこそ安全があるのです!!」

「あの、その…アスカル様、ティアの奴に人に服を取りに行かせたり、研究所で着替えるのを辞める様に言ってくれませんか?」

 

 

フードさん (39歳)

役割:料理

 

常にフードを被っており、少し下を向いて顔を隠すようにしているが、恥ずかしがり屋なだけであり、見られて困るものがある訳では無い。

 

運営陣の誰よりもアスカルへの忠誠心を持っており、中でもアスカルの持つツチツチの力への想いが強く、大地の王であるアスカルを重要視している。

 

その正体は第二回ワールド・バイキング優勝者であり、アスカルが作り上げたフルコースアイランドに対して、並々ならぬ想いを語り、プラントへの移住を許可された料理人兼パティシエ。

 

お菓子作りの方が得意ではあるが料理全般は出来るので、賞品の確認やフルコースアイランドの整備等に携わっている。

 

恥ずかしがり屋ではあるが顔を隠しておけば普通に話す事が出来るのであまり問題視されていない。

 

それよりも宗教レベルでアスカルに対する想いを語る姿が度々確認され、時折巻き込まれる事に対する苦情が多い。

 

初めの頃にマニュと接触があったらしいが、何事もなく解散となったらしい。人伝に確認したところ、触れ合うのではなく、ただただ感謝の念を捧げていたいと語っていたそうだ。

 

「今日も…アスカル様に…大地の恵みに…感謝を…」

「そこの方、いまアスカル様を侮辱いたしましたか?」

「この食材…活かすも殺すも私次第…ならば…最高の品をご覧に入れましょう」

 





まだ届いてないけどSwitch2当たった!!
そしてコロナになりました…
幸せと不幸の落差で風邪もひきそうな作者です。
人生、色々とバランスがあるもんですね。

まぁ、色々あって全ての更新が滞りました。
そもそも一切作業が進まない状態でした。

38出た時は節々の痛みで地獄でしたが、喉はそこまで痛くないので噂になってるかぶでは無さそうです。

まだ治りきってないけど、布団の中でちまちま書ける様になったのでギリギリ8月中に投稿できました。今もこれ投稿したら何のストックもないんで、次の投稿も遅れると思います。

怠くてあまり頭も働かないので作品の内容で触れられる事も少ないんですが、一つ皆さんも薄々気付いていそうな事ですが、アラバスタの諸々にグレーヌは間に合いませんね、はい。

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。

次のIFはどれが良い?

  • 海賊だったら
  • 海軍だったら
  • 賞金稼ぎだったら
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