ヤバい大海賊に出会ってしまった北条響さんの話。   作:スクランブルエッグ 旧名 卵豆腐

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お久しぶりです。
投稿が長期に渡り遅延してしまいました。
仕事やら何やらで、最近まで病んでたのよ。


作者の妄想シリーズ第13弾。
さあ、頂上戦争の開幕だ!


加音町頂上戦争

東京

内閣府 宇宙開発特別捜査局

 

 

 

 

「これは一体、どう言う事だ…⁉︎」

 

 

局長である香久矢冬貴は、普段の冷静さを感じさせない程に困惑と畏怖を醸し出した表情で会議室に設置されたテレビ映像を眺めていた。

 

 

『えー、臨時ニュースです。たった今、××県加音町で大規模な暴動が発生したとの事です………訂正がありました。暴動ではなく、謎の生物群が加音町を襲撃しているとの情報が入って参りました。………えー、当局のアナウンサーが現地に入りました。中継します』

 

 

『はい!加音町より生中継でお送りします!本日未明、加音町に突如として現れた謎の生物が、町や人々を襲い始めました!この生物達が何処から現れたのか、原因は未だ不明です!………今、町の中心部でしょうか、大きな爆発音が響きました!く、雲が二つに裂けています!このような光景は到底信じられません!加音町では以前にも、巨大な龍や巨人のような男女の目撃情報が多数寄せられておりーーーー』

 

 

テレビ画面に映し出される映像に釘付けになっていた冬貴に、部下の男が書類を片手に駆け寄った。

 

 

「香久矢局長!これを見て下さい!」

 

「…!これは、確かなのか⁉︎」

 

「はい。日本各地の米軍基地の動きが俄に活発化し始めています。加音町の一件が関係していると見て間違いないでしょう」

 

「上はどうだ?」

 

「今、総理と各閣僚が特別会議を開いています。状況が状況です、国会の承認を事後にする形で………」

 

「我が国初の、自衛隊による防衛出動もあり得る、という事だな?」

 

「それは………ですが、相手が国家やテロリストでない可能性もあるので害獣駆除か治安維持活動の名目で動かす事になるかも知れませんね」

 

「そうだな……………」

 

 

重苦しい空気が漂う会議室に沈黙が満ちる。

 

 

「一体、加音町で何が起こっていると言うんだ………!」

 

 

絞り出すように呟いた冬貴の問い掛けに、答えられる者は居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

向かい合うプリキュア達とロックス率いる悪の軍団。

張り詰めた空気の広がり、プリキュア達はどういう訳か、再び復活したかつての敵達を見て険しい表情を浮かべる。

 

 

「全く…あの頃より随分と数が増えたものだな?プリキュア………!」

 

 

自分達を睨み付けるプリキュアに対し、忌々しげに呟く魔女。

闇の世界の住人である魔女達にとって、プリキュアは因縁深い相手でもある。

何せ一度はその光の力で浄化され、打ち倒されたからだ。

 

 

「クックック…!なら、先ずはアタシが行こうじゃないか。目障りなプリキュアには借りを返さないと行けないからねぇ………!」

 

 

そう言って、一歩前に進み出るのはシャドウ。

 

 

「ハハハハハ…!まあ、落ち着け!お前達は一度奴等にやられて居るんだろう?それに、お前1人で勝てる程プリキュアとやらは甘くねェと思うがな…!」

 

「アタシはあのプリキュア5のガキどもに借りを返さないと気が済まないんだ!固い事言わないでくれないかい⁉︎」

 

 

言外に、お前は力不足だと言われたシャドウは不機嫌さを隠さず、ロックスに反論する。

幾ら今の自分の主とは言え、復讐を止められるのは気に入らない。

だからこそ反論したのだが………それはロックスという男に対し、この上ない悪手だという事に気が付けなかった。

 

 

「ハハハハハ…!おい、シャドウ…!今………抵抗したな?この俺に!」

 

「は?ロックス船長、何を言ってーーーーギャアアアア⁉︎」

 

 

シャドウの視界が揺らぎ、何故か地面に落ちる。

それが、一瞬で自分の身体が両断された事によるものだと漸く理解したシャドウは悲鳴を上げた。

彼女を一瞬で両断した人物………ロックスは、更に片手に持つカトラスをその胴に突き立てる。

 

 

「分かってねェな、シャドウ…!俺は俺の意見に従わねェ奴が何よりも嫌いなんだよ!おい、聞いてんのか⁉︎」

 

「ガッ………⁉︎ろ、ロックス…船……⁉︎」

 

「俺の部下になり、俺の下についた時点でお前は俺の『支配下』なんだ!それを拒むってんならーーーー態々生かしておく価値はねェよなァ⁉︎」

 

「ま、待ってロックス船長⁉︎従う!アンタに従うからーーーー⁉︎」

 

 

漸く、己の行いがロックスの逆鱗に触れた事を理解したシャドウが必死で懇願する。

だが、もう遅い。

ロックスの支配に逆らった時点で…シャドウの運命は決まってしまったのだから。

 

 

「死ね」

 

 

ロックスはそう言うと、右腕でシャドウの頭を掴むと力任せに握り潰した。

 

 

「嘘でしょ⁉︎自分の仲間を………⁉︎」

 

「まともじゃないわね………!」

 

 

情け容赦も慈悲も無く、ただ口答えしたというだけで部下を簡単に殺害したロックスに、プリキュア達は信じられないものを見るかのような目で彼を見る。

 

 

これがロックス。

傲岸不遜、邪智暴虐、唯我独尊を地でいく生粋の大海賊。

 

 

 

その有様は正に『海の魔物』

 

 

 

暫くすると、頭が割れたザクロのようになったシャドウの身体が、黒い霧のようなものに変わりロックスの身体へと吸収されていく。

 

 

「ハハハハハ!俺の『支配』に抗う奴はこうなるんだ…!俺の一部として取り込まれたくはねェだろう⁉︎」

 

 

部下である魔女達は皆一様に顔色を青ざめさせ、ロックスはそれを見て愉快そうに笑い続ける。

 

 

「全く、使えねェ部下のせいで貴重な時間を無駄にしたぜ。魔女!さっさと始めな!」

 

「………!お任せ下さい、ロックス船長…!」

 

 

魔女の水晶玉が妖しく光り、不気味な気配を漂わせ始める。

それと同時に風が吹き荒れ始め、禍々しい力が辺りを駆け抜け始めた。

 

 

「お前達には別々の空間に行って貰うよ!プリキュアとて、バラバラになれば力を発揮出来ないだろうからねぇ!」

 

 

カッ!と光がその場を満たし、プリキュア達と面白そうに見ていた四皇達を呑みこんで行く。

光が収まると………その場にいた面々は、ロックスと北条響を除き全員が姿を消していた。

 

 

「………………ロックス(・・・・)!」

 

 

覇気を靡かせる少女………北条響を視界に見据えたロックスは、満足そうな笑みを浮かべて笑う。

その笑いは、誰に向けたものなのか。

それを理解出来るのは、他ならないロックス自身でしかない。

 

 

 

 

「アンタがそのつもりだって言うなら………私も『海賊』の北条響として戦うわ!」

 

 

「ハハハハハ…!遠慮はいらねェ!海賊らしく、かかってきな‼︎」

 

 

 

 

互いの一言を皮切りに、響とロックスは同時に駆け出す。

 

 

 

 

 

武装硬化された響の拳とロックスの剣が交差し。

 

 

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

 

禍禍しいと形容すべき赤黒い稲妻が辺り一帯を駆け抜け。

 

 

 

 

 

 

天が裂けた(・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「キャアアア〜〜〜〜⁉︎」」」

 

 

 

 

魔女の発する水晶玉の光に飲み込まれたプリキュア達。

気がつくと、彼女達はそれぞれが全く異なる世界へと移動させられていた。

 

その内の1人………南野奏は空中から落下しているという、割と危機的な状況に悲鳴を上げる。

プリキュアに変身していれば、高所からの落下程度どうという事はないが、今は変身能力を失った生身。

眼下には広大な海が広がっており、このまま叩きつけられれば間違いなくタダでは済まないだろう。

 

そうしている間にもグングンと海面が迫って来る。

万事休すかと思った奏だったが、海面に叩きつけられる直前に先に着地していたキュアミントに優しく受け止められ間一髪難を逃れた。

 

 

「あ、ありがとう」

 

「いいの。気にしないで」

 

 

ミントは軽く微笑むと、奏を降ろし辺りを見渡す。

広大な海と朽ちた廃船がひしめく世界に、他のプリキュア達も戸惑いながら、キョロキョロと自分達を取り巻く環境を不思議そうに眺めていた。

 

 

「わあああああ〜⁉︎どうなってるのよ、これぇーーーー⁉︎」

 

 

少し遅れる形で空から騒がしく降ってくるキュアマリン。

あわや海にダイブ………する直前、伸びてきた腕に掴まれ水浸しになる事を免れる。

 

 

「大丈夫か、小娘?」

 

「ふひぃ〜!危なかった…!って、お爺さん誰っ⁉︎身長高すぎでしょ⁉︎」

 

腕を伸ばしてマリンを掴んだ男…『白ひげ』の姿に驚くマリン。

 

 

「騒がしい小娘だな。お前もプリキュアなのかァ?」

 

「私は小娘なんて名前じゃなくて『キュアマリン』っていうキュートな呼び名があるの!ってかいつまで掴んでるのよー!」

 

「自分でキュートとかいう奴が、そうだった試しはねェが………あいつらと違って別の意味でややこしい奴だ」

 

 

マシンガンの如きトークで捲し立てるマリンに、若干ゲンナリしながら呟く白ひげ。

いつまでも騒がれるのも困るので、近くの廃船へと投げ飛ばした。

 

 

「ちょっとー!レディの扱いがなってないんじゃないのー⁉︎ねぇ、聞いてるのー⁉︎」

 

 

「………………」

 

 

投げ飛ばされたのが気に入らなかったのか、マリンが白ひげに抗議するも、白ひげは聞こえない振りをして沈黙を貫いた。

 

 

「………にしても、妙な場所だな」

 

 

白ひげが一言呟いて周りを見ると、マリン以外のプリキュア…キュアホワイト・キュアイーグレット・キュアミント・キュアアクア・キュアベリー…そして南野奏と黒川エレンも不思議そうに一面海の世界を廃船上から眺めている。

 

 

「ここって、魔女の船の墓場とフリーズンフローズンの氷の世界が混ざって……」

 

 

マリンと白ひげのやり取りを尻目に、同じく飛ばされて来た別のプリキュア…キュアホワイトが冷静に辺りを見渡しながら呟く。

 

 

「「ハーハッハッハッハ!ようこそ、俺達の世界へ」」

 

 

高笑いする声が上から響き、皆が空へと視線を向ける。

其処には、魔女と身体が氷で出来た様な瓜二つの二人の男…フリーズン&フローズンが悪意を孕んだ笑みを浮かべながら空に佇んでいた。

 

 

「フリーズンとフローズン!ここは一体何処なの⁉︎」

 

 

ホワイトが油断なく身構えながら二人に問い掛ける。

 

 

「見ての通りだ。この世界はロックス船長の闇の力と、俺達の心象記憶を抽出して生み出された閉鎖空間とでも言っておこうか」

 

「貴様らは逃げも隠れも出来ない!勿論、元の世界に戻る事もなあ!ハーハッハッハッハ!」

 

「つまり!お前達は何も出来ないまま、無様に朽ち果てるしかないのだ!さあ、出でよコワイナー‼︎ウザイナー‼︎ザケンナー‼︎」

 

 

フリーズンとフローズンがプリキュア達を嘲笑い、魔女が手を振り上げると、海が揺れ巨大な三体の敵…コワイナー・ウザイナー・ザケンナーが次々と海中から現れる。

 

 

「コワイナ〜〜〜〜!」

 

「ウザイナ〜〜〜〜‼︎」

 

「ザケンナーーーーッ‼︎」

 

 

現れた敵を前に、険しい顔をしながら身構えるプリキュア達。

だが……………。

 

 

 

 

「壊天‼︎」

 

 

「「「ガッ⁉︎」」」

 

 

 

 

ドォン‼︎と地響きのような音が響き渡り、それと同時にコワイナー達が

吹き飛ばされ、少し遅れるようにして海を抉るような衝撃波が通り抜けていく。

 

 

「何ッ………⁉︎」

 

「馬鹿な!あのコワイナー達は相当な力を持っていた筈だ!それを軽々と吹き飛ばしただと…?」

 

 

目の前で起きた光景に、僅かに困惑するフリーズンとフローズン。

同じく、魔女も眉尻をピクリと上げ衝撃波を放った人物を睨み付けていた。

 

 

 

 

衝撃波を放ち、コワイナー達を吹き飛ばした当人………白ひげに、プリキュア達もそれぞれが驚きの表情を浮かべて眺めている。

 

 

「マジかー…あのお爺さんめっちゃ強いじゃん。いやいやいや、おかしいでしょ」

 

「いや、あれをおかしいの一言で片付けていいのかしら?」

 

「で、でもコワイナー達に攻撃したって事は一応敵ではないって事…よね?」

 

 

一早く正気に戻ったマリンが引きつったような顔をしながら呟き、それに続くようにしてミントとアクアが困惑しながら白ひげを見る。

 

 

「おい、白い小娘。アイツらの事を知ってるのか?知ってるなら話せ」

 

「え⁉︎(し、白い小娘………)あ、えっと、あの氷のような2人はフリーズンとフローズン。もう1人は魔女といって、船を浮かべたり氷を使った攻撃をしてくるわ」

 

 

唐突に白ひげに話しかけられたホワイトは、少し動揺しつつも正確に彼等の情報を伝えた。

それを聞いた白ひげは、何が面白いのか…楽しげに笑う。

 

 

「グララララ…!吠え面かくなよ、ハナッタレども!小娘どもも…しっかり船に捕まってな…!」

 

 

「ちょっと、それってどういう…」

 

 

白ひげの言葉の意味が今一つ分からず、ベリーが問い掛けるが白ひげは答える事なく両手の拳をクロスさせ………一気に振り抜いた。

 

 

 

 

「⁉︎大気に、ひびが…⁉︎」

 

 

 

 

ビキビキビキビキッ‼︎と、巨大な罅割れが大気に広がり駆け抜けていく。

それを目の当たりにしたエレンは白ひげが何をしようとしているのか、正確に理解すると全員に聞こえるように叫んだ。

 

 

 

 

「皆!あの人の言う通り、何かに捕まって!でないと………!」

 

 

 

 

エレンの叫びに呼応するかのように、ゴゴゴゴッ!と重厚な音が遠くから響き迫ってくる。

何事かと戸惑うプリキュア達。

 

 

 

「ほら、来たわよ。白ひげさんの仕掛けた『海震』が!津波になって返ってくる‼︎」

 

 

 

水平線の彼方から巨大な壁が迫り来る。

否、それは壁ではなくまごう事なき大津波。

その大きさは上空にいるフリーズンとフローズン、魔女をも呑み込む程だ。

 

 

 

 

 

 

「グララララッ‼︎」

 

 

 

「ちょ…ちょっとちょっと⁉︎嘘でしょぉぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎お、大津波ィ〜〜〜〜⁉︎ってか笑ってる場合じゃないわよぉ!私達も巻き込まれるじゃない⁉︎」

 

 

 

 

 

 

その場にいる全員を挟み込むように迫り来る大津波の姿に、マリンが顔を青ざめさせながら絶叫する。

 

 

「あ、兄よ!アレは不味いぞ!」

 

「慌てるな弟よ!このような時こそ、我等の力で!」

 

 

フリーズンとフローズンは慌てながらも、互いの手を津波に向かって翳す。

 

 

 

 

「「フリージング・ブリザード‼︎」」

 

 

 

 

カッ!と万物を凍てつくさんという程の強烈な冷気エネルギーが2人から放たれ、津波を…海をも瞬く間に凍らせていく。

 

 

「フン…!青雉の若造みてェな真似をしやがって…だが!」

 

 

かつて、マリンフォード頂上戦争で自身が起こした津波を凍らせた海軍大将・青雉ことクザンを思い出しながら笑う白ひげ。

 

 

「お陰で良い足場が出来た。これで思う存分やり合えるな。覚悟しろよ、ハナッタレども…!」

 

 

「「し、しまった!貴様、最初からそのつもりで………‼︎」」

 

 

まんまと白ひげの仕掛けた策にハマってしまった事に、漸く気づいたフリーズンとフローズンは悔しげに白ひげを睨み付ける。

 

 

「成る程…白ひげさんか津波を起こしたのはこの為だったって訳ね。合点がいったわ」

 

「いやいやいや!合点がいったわじゃないでしょ⁉︎普通の人は津波なんて起こせないわよ⁉︎何なの、あのお爺さん⁉︎それに貴方も何でそんなに冷静なの⁉︎」

 

「ベ、ベリー落ち着いて………」

 

 

脳内キャパシティを超えたのか、ベリーは頭を抱えながら冷静に状況を分析する奏に盛大に突っ込み、ミントに宥められていた。

 

 

「と、とにかく!海が凍ったから戦いやすくなったのは事実だわ!早くあの3人を倒して元の世界に戻りましょう!」

 

 

冷静さを取り戻したアクアに促され、他のプリキュア達も臨戦態勢に入る。

 

 

 

第二ラウンドが、幕を開けようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃………。

 

 

 

魔女の力で砂漠が広がる世界へと飛ばされた他のプリキュア………キュアブラック・キュアブルーム・キュアドリーム・キュアピーチ・キュアブロッサム達はと言うと、目の前で起きている光景に絶句していた。

 

 

 

 

「……………‼︎」

 

 

 

 

ブォン‼︎と、男………百獣のカイドウが金棒を振るう度、数多のナケワメーケやホシイナーが塵芥を散らすかの如く吹き飛んで行く。

吹き飛ばされ、倒れ伏した彼等をカイドウは作業のように淡々と金棒を振り下ろし、トドメを刺す。

 

 

「雑魚ばかり寄越しやがって!さあ、片っ端からかかってこい!誰か俺を傷付けられる奴ァいねェのか⁉︎」

 

 

心底つまらないーーーーそういった感情を孕んだカイドウの雄叫びに、残されたナケワメーケ達もたじろいでしまう。

無理もない、今彼等が相対しているのは『この世における最強生物』なのだから。

そんな状況を見兼ねたのだろうか、1人の筋骨隆々とした壮年の男『ムシバーン』が黒光りする刀のような剣を手にカイドウの前に降り立った。

 

 

「大層な口を叩くではないか。ならば私が相手になろう…!」

 

 

「あァ………?」

 

 

目の前に現れたムシバーンに、カイドウは怪訝そうな顔を向けて睨み付ける。

ムシバーンは、剣を構えカイドウに向かって突貫。

その速さはプリキュア達をしても捉えるのが困難な程だ。

だが………。

 

 

 

 

 

「この一撃を受けてみ「雷鳴八卦‼︎」………ッ⁉︎」

 

 

 

 

 

届かない。

 

 

百獣のカイドウには、その程度では届かない。

 

 

 

 

「誰が相手になるだと?小僧………‼︎」

 

 

 

 

一撃で叩きのめされ地面に倒れ込むムシバーンを見下ろすと、カイドウは金棒の先端を地面に叩きつけて、不機嫌そうに呟いた。

 

 

「ムシバーンが一撃で倒されちゃうなんて………‼︎」

 

「それより、あの人は味方?それとも敵?」

 

「そもそも、人なんでしょうか?角生えてますし………」

 

 

プリキュアではない謎の大男の無双っぷりに若干引きながら、ドリーム、ピーチ、ブロッサムがコソコソと話し合う。

そんな彼女達に近づく1人の男。

 

 

「ジハハハハ!あれくらいで驚いてるようじゃ、まだまだだなベイビーちゃん達!」

 

「え、えっと…貴方は?」

 

 

笑いながら近づいて来た獅子の鬣を連想させる髪をした男…金獅子のシキ話しかけられ、僅かに警戒しながらブロッサムが問い掛ける。

 

 

「おっと、こいつは紹介が遅れたな!俺は金獅子のシキ。で、向こうで暴れてるのがカイドウだ。見た感じ、お前らもプリキュアとやらだな?どいつもこいつも、揃って年端もいかねェガキだってのが面白ェ!」

 

 

この男も、只者ではない。

これまでプリキュアとして様々な強敵達と対峙してきた経験から、プリキュア達は言い知れぬ強者の貫禄というものを肌で感じ取っていた。

ただ、どうしても気になる事があったのだろうか。

ドリームが意を決したようにシキの前に歩み出ると、不思議そうに問い掛けた。

 

 

「ん?どうした、ベイビーちゃん?俺に何か言いたい事でもあんのか?」

 

「その、一つだけ気になる事があって」

 

「ジハハハハ!構わねェよ、言ってみな!俺は海賊だが、質問の一つや二つくらい答えてやる!」

 

「じゃ、じゃあ!えっと、その変わった形の眉毛って地毛なんですか?どうしても気になっちゃって…アハハ」

 

「てめェもかよ⁉︎誰が変眉だァ!それにこの眉は地毛だっ‼︎」

 

 

 

 

どうにも締まらない感じの砂漠組。

その光景を見ていた敵であるサーロインは、内心で(…?ひょっとしてとんでもない奴等を連れてきてしまったのか?)と思っていたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、更に別の違う場所では、ちょっとしたパーティが開かれていた。

 

 

「ハ〜ハハハママママ!このクッキーはとっても甘くて美味しいねェ!それにこのドーナツも♡やるじゃないか、お前達!ハ〜ハハハ!」

 

 

そう言ってご機嫌に笑うのは『ビッグマム』シャーロット・リンリン。

彼女の目の前には巨大な机………ではなく、仰向けになって床に突っ伏すトイマジンが横たわっており、その身体の上には山盛りのクッキーやドーナツが積み重ねられていた。

 

 

「こ、こんな事を僕にするなんて許さな「動くんじゃねェよ」グヘッ⁉︎」

 

 

机代わりにされている事に抗議するトイマジンの頭にリンリンの拳が振り下ろされ、トイマジンは一撃で気絶してしまう。

 

 

「そう、それでいいのさ。当然だね、机が勝手に動いたり話したりする訳がない。そうだろう?ハ〜ハハハママママ!」

 

 

そんな光景を見せられているプリキュア達はドン引きしながら、若干遠巻きに眺めている。

 

 

「トイマジン…貴方だったら耐えられるって私信じてる!」

 

「その台詞って、こういう時に使うものじゃないんじゃないかしら………?」

 

 

パインの台詞に、やんわりと突っ込むパッション。

そもそも何故このような状況になっているかと言うと、魔女の力で飛ばされた際に、得意げな顔で現れたトイマジンをリンリンが叩きのめしたからだ。

因みにトイマジンの周りにいたデザトリアン達はリンリンに脅され、お菓子を作る作業に強制従事させられている。

もし逃げたりサボろうとしたりすれば、リンリンのホーミーズであるゼウスとプロメテウスに消し炭にされるのでどうしようもない。

ブラック企業も真っ青である。

更に、トイマジンと一緒にいたサラマンダー男爵に至ってはリンリンのヤバさを目の当たりにした瞬間、行方をくらませて逃亡した。

その判断は正しいと言わざるを得ない。

 

 

「それにしても凄いですね、あのお婆さん。大きさも食べる量も、何もかも」

 

「感心してる場合じゃないでしょ。どーすんのよこの状況…」

 

「気にしたら負けよ。リンリンさんは、いつもあんな感じだもの」

 

 

感心しながらリンリンを眺めるレモネードに、ルージュが呆れを交えて呟き、アコが遠い目をしながら溜め息を吐く。

 

 

「とにかく、このままのんびりしてる訳にもいかないわ。早く出口を見つけて脱出しないと」

 

「そうだね。それに、あのお婆さんも敵か味方か今一つ分からないし………」

 

 

ムーンライトとサンシャインはお菓子を食べ続けるリンリンを流し目で見ながら言う。

その時、ミルキィローズが床に転がっている何かを見つけ皆の傍に駆け寄って来た。

 

 

「ねぇ、こんなの見つけたんだけど。ひょっとして、このサイコロみたいなのを振れば進めるのかしら?」

 

「はいはーい!私が投げます!」

 

「あのね、レモネード。遊びじゃないんだから「そーれ♡」もう投げてるしっ⁉︎」

 

 

すると、芸能人魂?が騒いだのかレモネードがサイコロを受け取り、ルージュが嗜める前にポーン!とサイコロを投げ飛ばした。

 

 

「やった!6が出ました!」

 

 

サイコロの目は6。

すると、皆のいた場所が光り6マス進んで止まり、マス目から文字が飛び出してくる。

 

 

「えーと、何何………『スーパーモグラ叩き百人倒せばクリア』?」

 

「なら、早く終わらせましょう。行くわよ!」

 

「何か緊張感ないと言うか………まあいいか」

 

 

ムーンライトがハンマーを手に飛び出していくのを見ながら、ルージュが呟いて同じようにハンマーを担いで駆け出していく。

 

 

 

 

そうして、お菓子を食べるリンリンを尻目にプリキュア達は脱出のため奮闘するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

tips⑧『天竜人』

 

 

「……………はぁ、疲れた」

 

 

今日も今日とて、喧騒が絶えないロックス海賊団。

その船の甲板の隅で、北条響は珍しく溜め息を吐きながら近くの椅子を引き寄せて座り込んでいた。

 

 

「ハハハハハ!どうした、響?辛気臭ェ溜め息なんざ、つきやがって!またカイドウかリンリン辺りに絡まれでもしたか?」

 

「うーん、まあそれもあるけど。今回は別件よ、別件」

 

「ほう?となれば………前の天竜人の一件か?あれは最高だったな!」

 

 

少し疲れ気味に呟く響。

その様子から大体の当たりをつけたロックスがそう言うと、響は顔を顰めて目を伏せる。

 

 

「何処が最高よ。アンタの感覚ってホント、わかんないわ………いつもの事だけど」

 

「ハハハハハ!そう褒めるな!とは言え、中々楽しかったろう?本物のクズをぶちのめす事ほど楽しいもんはねェさ。それに、事の発端はお前だっただろうが」

 

「それはそうだけど………」

 

 

先日、食糧や武器の補充の為に立ち寄ったとある島。

そこで響は遭遇してしまったのだーーーー天竜人に。

天竜人の事は響もロックスから聞いてはいたものの、人から聞くのと実際に目にするのとは違う。

 

 

初めて天竜人を見た響の目に飛び込んで来たのは、年端もいかぬ少年とその母親らしき人物が天竜人に鞭で叩かれている光景だった。

 

 

「わちきの前を横切るとは生意気なガキだえ!下々民の分際で、身の程をしるんだえ!」

 

「お、お許し下さい!この子には私がよく言い聞かせておくので…!」

 

「黙るんだえ!下々民ごときが、わちきに口を聞く事自体不敬だえ!」

 

 

ピキ、と響のこめかみに青筋が浮かぶ。

元来、正義感の強い彼女には到底見過ごせないものだった。

 

 

「……………」

 

「何だえ?お前も鞭を打たれたいのかえ?」

 

 

響は、天竜人の問いかけを無視しながらゆっくりとした足取りで近づいていく。

 

そして。

 

 

「おい!貴様、どう言うつもりだえ⁉︎わちきが誰か知って「知らないわよ、バーカ」グブゥエッ⁉︎」

 

 

メキィ!と小気味良い音を立てて、武装硬化された響の拳が天竜人の顔面に減り込む。

鼻の骨が折れる音がしたが、響にとってはどうでも良い事だった。

 

 

「や、やべェ…!あのバカ、天竜人を殴りやがった!た、大将が来るぞ!今すぐ島から離れろォ〜〜〜‼︎」

 

 

響が天竜人を殴り飛ばすのを見ていた見物人の1人が叫ぶと、周りの者達も我に帰り血相を変えて逃げ始めた。

 

 

「ジハハハハ!何やら騒がしいと思って来てみたら、とんでもねェ事やらかしてんじゃねェか、響!」

 

「シキ………?何しに来たのよ」

 

 

ニヤついた笑みを浮かべて現れた船員のシキを不機嫌そうに睨みながら問いかける響。

シキはそれを見ると、大袈裟に手を挙げてみせる。

 

 

「おお、怖い怖い。落ち着けよ。今回は騒ぎを起こすなって船長に言われてたろ?何やってんだ」

 

「この人達が鞭で叩かれてたから………つい。ほら、天竜人はもうぶちのめしたから、早く逃げて」

 

「は、はい…!ありがとうございます!」

 

 

チラ、と鞭で叩かれていた親子を見ながら響が言うと親子は礼を言いながら足早にその場を去っていった。

 

 

「随分とお優しいこって。そういや、お前は初めてなんだっけか?天竜人を見るのは。中々のクズっぷりだっただろ?俺達も他人の事は言えねェがな、ジハハハハ!だが、一つだけ問題がある。天竜人を出したら海軍が大将連れて押し寄せてくるんだ。それが分からないお前じゃねェだろ?海賊が、変な正義感出してんじゃねェよ」

 

「うるさいわね。分かってるよ、そんな事。それより早く船に戻らないと」

 

 

そう言って、響はバツが悪そうにシキから顔を逸らす。

シキもそれ以上咎める事はなく、2人はそのまま船へと戻り、事の次第をロックスに話すとゲラゲラと楽しそうに笑われた挙句。

追いかけてくる海軍の相手をさせられたのであった。

 

 

 

 

 

 

「………話には聞いていたけど、あそこまで酷いとは思ってなかった」

 

 

そう言って、その時の事を思い出しながらゲンナリとした顔で響は顔を俯ける。

 

 

「だから言ったろう?そうさ、この世界はあんなクズどもが我が物顔で仕切ってやがる。俺はそれが気に入らねェ。だから………」

 

「世界の王を目指すって?」

 

 

ロックスの台詞を先取りして響が言うと、彼はニヤリと凶悪な笑みを絶やさないまま口を開く。

 

 

「ハハハハハ…!その通りさ。だが、天竜人は数ある理由の一つに過ぎねェ。あんな奴等を始末するだけなら、世界の王にならずともマリージョアを焼き払うだけで事足りる。俺の目的はもっと巨大で、かつ壮大なもんだ」

 

 

両手を天に掲げ、自らの野望を語るロックス。

だが、その姿に何か引っ掛かりを………小さな違和感を感じた響は、思わず問い掛けてしまった。

 

 

 

「ねぇ、ロックス。アンターーーーいや、貴方の目的は本当に『世界の王』なの?今まで貴方の色々な面を見てきたけど………」

 

 

 

ーーーー………とてもそうは思えない(・・・・・・・・・・)

 

 

 

その言葉を口にする事は躊躇われた。

何故なら。

 

 

 

 

「さあ………どうだろうな?なら聞こうじゃねェか。俺の目的は何だと思う?」

 

 

 

「……………っ‼︎ごめんなさい、今の話は無しにして。もう、変な事聞いたりはしないから」

 

 

 

瞳の奥に宿る猛烈な怒りの炎を…本能的に察してしまったからだ。

それと同時に、響の身体に寒気がする程の感覚が走る。

それが覇気の類ではなく、純粋な殺気であると理解した時には思わず甲板に座り込んでしまっていた。

 

 

「ハハハハハ…!賢明だ、響。心配するな。何れはお前も気付く時が来る。それまでは大人しくしてな」

 

 

ロックスがそう言うと、放たれていた殺気が嘘のように雲散霧消する。

 

 

「さあ、無駄話は終わりだ。俺は船長室に戻る。何かあったら呼びに来い」

 

 

船長室へと戻っていく彼の姿が見えなくなるまで、響はその姿から目を逸らす事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新作予告(※これは嘘予告です)

 

 

 

 

 

今宵………ついに、悪のプリキュア (ダークプリキュア )復活…‼︎

 

 

 

 

彼女の目的はたった一つ。

 

 

 

 

キュアムーンライトへの復讐………!

 

 

 

 

「さあ…始めようか」

 

 

 

 

再び蘇った悪のプリキュア (ダークプリキュア )の魔の手が、キュアムーンライトに迫る‼︎

 

 

 

 

「見せてやろう。この私の、更なる進化を………!」

 

 

「貴方、その姿は一体………⁉︎」

 

 

「そうだな。お前達のセンスになぞらえるならば………『ゴールド・シルエット』とでも言っておこうか!」

 

 

 

 

激闘の果てに待ち受ける最悪の結末とは………⁉︎

 

 

 

 

 

「ハーハッハッハッハ‼︎」

 

 

「キュアムーンライトーーーーッ⁉︎」

 

 

劇場版

 

ハートキャッチプリキュア! 

 

 

復活の『D』

 

 

 

 

 

近日公開‼︎

 

 

 

しません。

 

 

 

推奨BGM『マキ○マムザホ○モン「○」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




北条響………ロックスとのサシの勝負に突入。
2人の放つ覇王色によって雲が真っ二つに割れました。
まだ本気は出してない。
正直な話、プリキュアに変身出来ていない為、今現在では勝機は無い。
加音町は死ぬ。
 
 
 
南野奏・黒川エレン・調辺アコ………響と同様、変身能力を喪失中の為に戦力としては微妙。
ただ、覇気は使える。
エレンは能力者でもあるので、戦闘能力は高い。
次回では必ず活躍させたい。
 
 
 
白ひげ………世界最強の男。
今話では、魔女の力で船墓場に飛ばされる。
グラグラの実の力を使って大津波を起こした。
これにはプリキュア達も「⁉︎」となった。
こいつの前では殆どの敵が雑魚になる模様。
いや、もう地震起こせるってチートよ。
阪神淡路大震災のエネルギーが原爆4000発分らしいし、そんなエネルギーを使って地震起こせる白ひげはヤバすぎる。
 
因みにまだ実力の半分も出してない。
海震は挨拶みたいな感じ。
 
フリーズンとフローズンは死ぬ。
魔女も死ぬ。
 
 
 
カイドウ………最強生物。
耐久お化けその1。
今話では魔女の力で砂漠の世界に飛ばされるも、ナケワメーケ達を金棒で無双し、挑んできたムシバーンを鎧袖一触とばかりに雷鳴八卦の一撃でぶっ飛ばした。
満足のいく戦いが出来ない事に不満を持っている。
 
 
 
金獅子のシキ………カイドウと同じく魔女の力で砂漠の世界に飛ばされた。
キュアドリームに眉毛について弄られた。
俺は変眉じゃねェッ‼︎
 
 
 
ビッグマム………世界最強のババア。
今話では、魔女の力でおもちゃの世界に飛ばされた。
飛ばされて早々に、トイマジンをボコってお菓子を置く机がわりにする。
デザトリアンをボコってお菓子を作らせたりとやりたい放題やっている。
プリキュア達からもドン引きされている模様。
 
因みに、この世界で野球対決をした場合、マムがピッチャー役で球代わりにプロメテウスが飛んでくる。
相手は死ぬ。
 
 
 
ロックス・D・ジーベック………ロックス海賊団船長。
最強にして最大の海賊。
傲岸不遜・邪智暴虐・唯我独尊を地でいく男。
今話では自身と響以外の全員を魔女の力で転移させ、響と加音町の中心部で覇王色をぶつけ合った。
現時点では実力の1割も出していない。
補足しておくと、響がプリキュアに変身したとしても一対一での勝ち目は無きに等しい。
 
 
シャドウ………ロックスに粛正された雑魚。
もう出番はない。
 
 
 
 
 
 
 
???…………何かを感じ取った。
近い内に目を覚ますかも知れない。
 
 


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