ヤバい大海賊に出会ってしまった北条響さんの話。   作:スクランブルエッグ 旧名 卵豆腐

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作者の妄想シリーズ第五弾


金獅子と響と奏と時々ミューズ

ある日の事。

 

セイレーンは、ある計画を実行に移す為に響達が通うアリア学園に足を運んでいた。

 

「あの男の計画に乗るのは癪だけど、プリキュアを倒すには確かにこれが1番確実かも知れないわね」

 

そう言って、セイレーンは先日交わした自分達の協力者である男の言葉を思い出す。

 

 

 『いいか、子猫ちゃん。倒そうと思うからお前は勝てねェのさ。お前らの目的は音符とやらを集める事であって、プリキュアとかいうガキ共を倒すのが目的じゃない。だったら、奴等を倒す事に拘らずもっと安全で確実な方法を使う必要がある。ーーーー要は、干渉されないようにするのさ。有り体に言えば、封印みてェなもんだ。なァに、俺の立てた計画通りにやれば上手くいくさ、ジハハハハ!』

 

 

成る程、確かに一理ある。

倒すのではなく、何らかの手段で異空間にでも閉じ込めるなり何なりして動けなくしてしまえば、後はこっちの物だ。

音符は奴等を封じてしまってから、ゆっくりと探せばいい。

最優先で封印すべきは、あの人間かどうか疑わしいキュアメロディである。

あの女さえ封じてしまえば後はどうにでもなる。

キュアリズムはメロディが居ないと変身出来ないし、最近邪魔をしてくる謎のプリキュアであるキュアミューズもメロディ程の脅威ではない。相手が1人だけなら倒せはしなくても撃退出来るだろう。

 

 

 

「出でよ、ネガトーーーーンッ!」

 

 

 

ならば善は急げだ。

ニヤリ、とセイレーンは笑みを浮かべ学校の体育館の扉に宿る音符をネガトーンに変化させる。

 

 

 

「さて、次はキュアリズムを罠に掛けてあげるわ。フフッ…楽しみね」

 

 

 

セイレーンは、そう言って自らも姿を変化させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響ー?もう、何処に行っちゃったのかしら。ねぇハミィ、本当に響は此処にいるの?」

 

「間違いないニャ。ハミィは、響に奏を此処に連れてきてと頼まれたニャ」

 

 

南野奏は、ハミィの言葉に溜め息を吐く。

そもそも何故、奏が響を探しているのかというとハミィに頼まれたからだ。

いつものように放課後、友人達や先輩が帰った後も家庭科室で暫く自分一人でケーキを作っていると、突然ハミィが部屋に入って来てこう言ったのだ。

 

 

「奏ー!響が呼んでるニャ!一緒に来て欲しいニャ!」

 

「響が?うん、分かったわ、今行くから!」

 

 

もし、ここで感の鋭い者なら気付いただろう。

ハミィの首元で輝く銀色のアクセサリーに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ハミィに連れられてついて来たのはいいものの、当の響の姿は影も形もない。

その場所は人気のない体育館の裏側だった。

奏は周りを見渡して響を探すが、やはり誰もいない。

 

「響ったら、こんな場所に呼んで何を………ってハミィ?あれ?何処に行ったの?」

 

いつの間にか目の前から消えたハミィに、奏が困惑しているその時だった。

 

 

 

「ジーハッハッハッハ!残念だが、いくら探してもベイビーちゃんの相棒は見つからねェさ。あの白猫と妙なチビ共もな」

 

 

「誰っ⁉︎」

 

 

 

空から聞こえてきた声に奏が振り向く。

振り向いた先には、縄で縛られているハミィと籠に入れられているフェアリートーン達を両手に抱えたトリオ・ザ・マイナーとネガトーンとセイレーン。

そして見た事のない一人の男が、不敵な笑みを浮かべて立っていた。

 

   

 

 

「へ、変な眉………」

 

 

「おうとも、俺こそが泣く子も黙る変眉の………って、誰が変眉だァ!」

 

 

 

 

思わず第一印象を口走ってしまう奏。

頭に突き刺さっている舵輪も正直気になるが、やはり眉の方が一番印象的だ。

一方、奏の呟きに反応した男はキレの良いツッコミをしてみせるも、直ぐに落ち着きを取り戻して葉巻に火を付ける仕草をする。

 

 

「まあいい。取り敢えず、自己紹介と行こうじゃねェか。俺は『金獅子のシキ』だ。宜しくな、ベイビーちゃん。にしても、セイレーン。お前の擬態能力は大したもんだな。俺の部下に欲しいくらいだ!」

 

 

火を付けた葉巻を口に加え、獅子の鬣を想起させるような金色の髪を靡かせる大男………シキはジハハハハ!と笑い奏に近付いていく。

 

 

「早速で悪いんだが………『キュアモジューレ』とやらを渡してくれねェか?俺にとっちゃどうでもいい代物だが、こいつらが必要だと煩いんでな」

 

「渡す訳ないじゃない!貴方、一体何者⁉︎セイレーン達の仲間なの⁉︎」

 

「ジハハハハ!それは違うな!確かに俺はこいつらと手を組んじゃいるが、あくまで唯の協力関係さ」

 

 

キュアモジューレを寄越せと要求するシキに、警戒を緩める事なく叫ぶ奏。

ポケットからキュアモジューレを取り出し、いつでも変身出来るように身構える。

 

「ハミィとフェアリートーン達を解放して!もし解放しなかったら「解放しなかったら、どうなるんだ?」っ⁉︎」

 

シキの笑みが消え、冷酷な海賊の顔付きへと変わる。

その威圧感に、奏は思わず身体を震わせた。

 

「勘違いしちゃいけねェな、ベイビーちゃん。俺はお願いしてる訳じゃねェ。命令してんだよ」

 

「………だったら!尚更渡す訳には行かないわ!」

 

「どうやら自分の置かれた状況が理解出来てねェみたいだな。だが、渡す気がないなら仕方ねェ」

 

そう言って、シキが手を動かすと地面が隆起し、まるで生き物のように動きながら奏の四肢を拘束した。

 

 

「な、何よこれ!離して!」

 

 

「驚いたか?フワフワの実って能力なんだが、あの世界の人間じゃないベイビーちゃんに言っても理解出来ないだろう。使い方によっちゃ、こんな事も出来るのさ。それにベイビーちゃんは1人じゃ変身できねェんだろう?」

 

「それは………」

 

痛い所をついてくるシキに、奏は言い返す事が出来ず押し黙ってしまう。

 

「威勢だけじゃ、どうにもならねェ事もある。悪いが『キュアモジューレ』は頂いていくぜ?」

 

そう言って、奏の手からキュアモジューレを奪おうとするシキ。

だが、モジューレはガッチリと奏の手に掴まれていて取る事が出来ない。

 

「ジハハ………渡しな!」

 

「嫌!「渡せ!」絶対嫌!「テメェ…!」」

 

 

意地でも手からモジューレを離さない奏に、シキの顔が僅かに歪む。

 

 

「最後に後一度だけチャンスをやろう。それを寄越しな」

 

 

腰に差していた剣を抜くシキ。

その剣を奏の喉元に突き付けた。

自身の命を一振りで奪えるであろうそれに、奏の目に僅かに恐怖が宿る。

 

 

「(怖がってちゃ駄目…!響が居ない今、ハミィとフェアリートーン達を助けられるのは私しか居ないの!ここで踏ん張らなきゃ………女が廃る!)」

 

 

奏は自分の心を叱咤してシキを睨み付けながら、沈黙を持って自分の意志をシキに見せ付ける。

それが気に食わないのか、シキは顔を歪めると剣の切っ先を更に近づけた。

 

 

「ジハハハハ…!無理すんな。体が震えてるぜ?だが、どうしても渡したくないってんなら仕方ねェな。セイレーン!何かねェのか⁉︎」

 

「私?まあいいけど。うってつけの物があるわ。プリキュアにはこれが一番効くかもしれないわね」

 

 

セイレーンがそう言うと、何処からともなく灰色の貝殻にも似た耳栓が現れる。

 

 

「これは、不幸のメロディを直接頭の中に流す道具。長時間聞けば発狂するほどの代物よ。さあ、不幸のメロディを直接聴いて絶望するといいわ!」

 

 

「ぐ………っ⁉︎ああああああああああああああああああああああ‼︎」

 

 

貝殻状の耳栓は奏の両耳にピタリと貼りつくと、不幸のメロディを一気に流し込み始めた。

心そのものを絶望に染め上げるような音色に、奏は苦悶の声を漏らしながら歯を食い縛って不幸のメロディに抗おうとする。

 

 

「ジハハ…!大した根性だ、ベイビーちゃん。お前ぐらいの奴が、あの時いれば『麦わらのガキ』にしてやられる事もなかっただろうな…!」

 

 

それを見ているシキは僅かに感心したような声で笑いながら、奏から視線を外して別の方向へ向ける。

 

 

 

 

 

「来たか…!響ィ‼︎」

 

 

 

 

シキが叫ぶと同時に、ドォンッ‼︎という音が響き渡り1人の少女が現れる。

 

 

 

 

 

「シキ………!」

 

 

 

 

 

リンリン、白ひげと続くロックス時代の仲間と再会した響は、僅かに顔を緊張させながらシキを見据えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロックス海賊団時代の仲間で、ロックス以外で最も敵に回したくない人物は誰だ?

地震を起こし、津波を引き起こす歩く天災・白ひげか?

魂を操り、天候すら従えるビッグマムか?

格上にも喧嘩を仕掛けるイカれた見習い・カイドウか?

 

 

あの頃を知る者達は、大抵が口を揃えて言う。

 

 

 

『あの男とはそもそも関わり合いになりたくない』と。

 

 

 

そう評されるのは力のみではなく、時に策謀を用いる最も油断のならない男。

 

 

ロックスという海賊の在り方を、色濃く受け継いでいる彼こそ。

 

 

 

 

金獅子海賊団・大親分

 

 

 

『金獅子のシキ』

 

 

 

 

 

 

 

懸賞金額44億4900万ベリー(インペルダウン投獄時)

 

 

 

 

 

 

 

そして今。

響は、他でもないシキと向かいあっていた。

 

奏に纏わりついていた拘束は既に解かれ、両耳を塞いでいた貝殻状の耳栓は粉々に砕かれて地面に転がっている。

捕われていたハミィとフェアリートーン達も解放されていた。

ネガトーンはというと、響を取り込んで閉じ込めようと扉状の口を開いた瞬間に音の衝撃波を連打で打ち込まれた挙句、奏と一緒に直ぐ様変身した響ーーーーキュアメロディの手によってアッサリと浄化されてしまうという哀れな最期を遂げている。

 

 

「久しぶりだね、シキ。ところで一つ聞きたいんだけど、奏に何をしていたのか教えて貰っても良いかな?」

 

 

いつもとは違う、見る者が見れば一目で怒っていると分かる笑顔を浮かべてメロディは努めて冷静に問い掛ける。

 

 

「おいおい、そう怒るんじゃねェよ。あのベイビーちゃんに手を出したのは俺じゃなくて、あの黒猫だ」

 

「剣を突きつけているように見えたけど、それは私の見間違いかな?」

 

「あー、それはアレよ。軽い脅しって奴だ。本気で傷付ける気はなかったぜ?」

 

 

メロディとシキが言葉を交わす事に、周りの空気が張り詰め軋んでいく。

セイレーンとトリオ・ザ・マイナーはその重圧に耐えるので精一杯なのか、足をガクブルさせながら影からそっと見ていた。

 

 

「ジハハハハ!しかし響とさっきのベイビーちゃんが、こんな姿に変化するとはな!確かに姿形は別人じゃねェか!見た目はアレだが、プリキュアってのは中々面白ェ!」

 

「そういうシキも見た目変わったよね。変眉は相変わらずだけど、何その鶏みたいな頭。舵輪を頭に嵌めるのが『向こう』での流行りなの?」

 

「変眉は余計だ!頭だって好きでこうなってる訳じゃねェよ。ロジャーの野郎の所為だ。そう言うお前も、見た目が全く変わってなかったじゃねェか」

 

「もうこの説明するのも飽きたんだけど、どうも『こっち』と『向こう』じゃ時間の流れが違うみたい。でも良かったね、シキ。舵輪のおかげで変眉が少しだけ影が薄くなってるからネタにされなくて済むし」

 

「どんだけ変眉で弄りてェんだよ、お前は⁉︎相変わらず口の減らねェクソガキだな‼︎」

 

 

シキと響の言葉の応酬に、周りで見ている者達もポカーンとなってしまう。

このままではいつまで経っても話が進まないと思ったのか、シキは強引に話題を変えた。

 

 

「まあいい。変眉議論は後にして「認めるの?変眉」うるせェよ!本題に入らせろ‼︎………とにかくだ!今日はお前と戦いに来た訳じゃねェ。仲間に誘いに来たのさ、響!」

 

「私を?」

 

 

誘いに来たと言うシキに、響は怪訝な顔をする。

 

 

 

 

「ああそうだ!ロックス時代は色々あったが、水に流そう!この俺とお前、そして俺が立てた完璧な計画とマイナーランドの不幸のメロディとやらを駆使すれば、俺達は今すぐにでもこの世界を支配出来る!俺の右腕になれ、響‼︎」

 

 

 

 

かつての時と同じように、シキは堂々と響を勧誘してみせた。

 

 

 

「うーん…悪いけど、私は支配に興味がないのよシキ。今こっちでやりたい事が色々あるしね。それに、リズムに手を出そうとしたアンタと手を組む気はないから!」

 

 

「ジハハハハ…!まあ、そう言うだろうと思ってたがな。交渉決裂だ!」

 

 

シキの勧誘を拒否するメロディ。

対するシキは予想していたとばかりに、笑みを浮かべると手を動かした。

それと同時に、メロディとリズムを囲うようにゴゴゴゴッ!と地面が大きく盛り上がる。

 

 

 

 

 

 

 

「獅子威し“地巻き”‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴバァッ‼︎と地面が巨大な獅子の顔に姿を変え、四方八方から2人目掛けて襲いかかる。

逃げ場の無い攻撃に、メロディはニッと笑うと自らに宿る力を発動させた。

 

 

 

 

 

「G線上の音霆圧(アリア)‼︎」

 

 

 

 

 

次の瞬間、迫りくる土の獅子がメロディの能力によって、紙細工を潰すかのようにひしゃげていく。 

その光景を見ていたシキは益々面白そうに顔を歪める。

 

 

 

「ジハハハハ!どうやら衰えちゃいねェようだ!なら、これはどうだ!獅子威し“瓦礫巻き”‼︎」

 

 

「何度やっても結果は同じよ!雨音時雨(レインバースト)!」

 

 

 

メロディはそのまま腕を振るうと、雨嵐のような音の連弾が飛来する瓦礫を打ち砕いていく。

彼女はそのまま間髪入れず、空へ目掛けて一気に飛び上がり武装硬化させた拳をシキ目掛けて突き出した。

 

 

「っ…容赦ねェな!」

 

「そりゃあね。同じロックスの元仲間だし、遠慮は逆に失礼かなって!それに、手を抜いて戦える相手じゃないからさ!特にアンタは‼︎」

 

「ジハハハハ!よく分かってるじゃねェか‼︎なら、こうなる可能性も当然考えてるよなァ………⁉︎」

 

「っ!リズム、逃げて‼︎」

 

 

シキの顔が悪意を含んだ物に変わる。

その意味を悟ったメロディがリズムに叫ぶ。

 

 

 

 

「遅ェ!獅子威し“大渦巻き”‼︎」

 

 

 

 

メロディやリズムの視界に入らないように、絶妙な位置で浮かされていた大量の海水が、獅子の形に姿を変化させてリズムを飲み込もうと迫る。

リズムは咄嗟に宙へ飛び上がり躱そうとするが、

 

「そうは行かねェよ」

 

ギュン!と海水の向きが変わり、宙にいるリズム目掛けて襲い掛かった。

 

「しまっ……!」

 

逃れられない事を肌で感じ取ったリズム。

海水の獅子が彼女を飲み込もうとしたその時、トンッ!と身体がシキの元から高速で戻って来たメロディによって押し出される。

おかげでリズムは難を逃れる事が出来たが、その代償にメロディが海水に取り込まれてしまった。

 

 

「メロディ………⁉︎そんな‼︎」

 

「ジハハハハ!お前なら、そうすると思ってたぜ響ィ!仲間を大事にするお前に、見捨てるという選択肢はねェもんなァ⁉︎だがな、そんなもんのために足を引っ張られて、テメェの命危ぶめてちゃ世話ねェや」

 

 

嘲りながらメロディを見下ろすシキ。

一方、悪魔の実の能力者にとっての天敵である海水に囚われた事で、メロディは全身から力が抜けて身動きが取れなくなってしまっていた。

 

 

「まさか…!貴方、最初からそのつもりで⁉︎」

 

「まあな。それにしても響、お前少し悪意に対して鈍くなってるんじゃねェか?ロックスにいた頃のお前なら、こんな見え透いた罠にかからなかった筈だぜ?」

 

シキは満足そうに笑いながら、メロディを囚えた海水の塊を自身の近くに引き寄せた。

 

 

「悪魔の実の能力者には苦しいだろう、今の状況は。さァ、響。もう一度聞こう!俺と手を組んで、世界を支配しようじゃねェか‼︎」

 

 

絶対的に優位に立った状況でシキは二度目の勧誘を行う。

海水の中ではいつまでも息は続かない。

断れば窒息死という確定した未来が訪れる。

メロディは僅かに動かせる手を使い、シキに向けた。

 

 

「ジハハ………!残念だ、それがお前の答えとはな!」

 

 

自分に向けて中指を立てるメロディに、シキは両手に持つ剣を構える。

 

 

「あばよ、ひびき…「やめるドド!」っ⁉︎誰だ⁉︎」

 

 

突然聞こえて来た声にシキは辺りを見渡し、見慣れない黒い服に身を包んだ謎の人物が居る事に気がついた。

 

 

「成る程な…!あれがセイレーン共が言っていたキュアミューズか」

 

 

「キュアミューズ………⁉︎」

 

 

リズムは唐突に現れたキュアミューズを見て呆然とし、シキは面白そうに笑う。

現れた黒服の人物………キュアミューズはシキの方を見て僅かに顔を顰めた。

それを見たフェアリートーンのドドリーが、ミューズの心の声を代弁しながらシキに話しかける。

 

 

 

「鶏みたいな頭と変な眉だドド。お前は何者ドド?」

 

 

「誰が鶏頭変眉だァ‼︎俺は変眉の…じゃなかった『金獅子のシキ』だ!そう言うお前はキュアミューズだな⁉︎」

 

 

「お前のような敵に教えてやる必要はないドド。早くメロディを解放するドド!」

 

 

シキは現れたミューズを睨み付け、ミューズもシキを警戒しながら睨み返す。

その時だった。

 

 

 

 

 

「………っ!……ァ……!」

 

 

 

息が限界に達したのか、メロディが苦しげに呻く。

それを見たリズムはミューズに手を貸すよう告げる。

 

 

「メロディ‼︎お願い、ミューズ!私をメロディへ向かって投げ飛ばして!」

 

ミューズは頷くと、リズムを抱えて思い切り投げ飛ばした。

 

 

「何をする気か知らねェが、俺を出し抜けるとでも…っ⁉︎」

 

 

砲弾のような速さで投げられたリズムがメロディ目掛けて突っ込んで行く。

その速さにシキも虚を突かれたのか、一瞬判断が遅れた。

 

 

 

 

「メロディーーーー‼︎」

 

 

 

 

ザプン!と海水の中へと勢いよく突入したリズムが、見事にメロディを抱き抱えて飛び出し、近くの地面に降り立った。

 

 

 

「ゲホッ!ゴホッ…!リズ………ム?ごめん、足引っ張っちゃってさ」

 

 

「何言ってるの!メロディが謝る必要はないわ!元はと言えば私の所為よ。あの時、私があの攻撃を避けてたらメロディがこんな目に合う事もなかった筈。とにかく、メロディはここで休んでて。後は私が………!」

 

 

リズムはそう言ってメロディを背に庇うように立つ。

 

 

「今回は私達も協力するドド!」

 

「ミューズ?手を貸してくれるの?」

 

 

シキ相手に、リズム1人では分が悪い事を悟ったミューズも加勢する意志を見せる。

 

 

 

 

「ジハハハハ!面白ェ!お前達2人も、俺の仲間になる気はねェか⁉︎世界を支「お断りよ!」…!いい度胸だ…!つまり、そいつは今ここで‼︎殺してくれという意味だよなァ⁉︎」

 

 

 

「貴方を、これからぶっ飛ばすって意味よ‼︎」

 

 

 

 

リズムの覚悟を決めた言葉に、シキの記憶にかつての宿敵が蘇る。

適合する事こそなかったが、同じ時代を生きてきた自分が唯一認めた男。

既視感に包まれたシキは、怒りで顔を染め上げる。

 

 

 

「黙れ!お前みたいなぬるま湯で生きてきたガキが、あのクソったれ(ロジャー)と同じ台詞を吐くんじゃねェよ………!」

 

 

 

シキは怒りのままに剣を構えてリズムとミューズに突進し、リズムとミューズもそれを迎え撃つ。

激しい攻防が繰り広げられ、一瞬の隙を突いたミューズがシキの手を蹴り飛ばす。

剣を持つ両手を弾かれて、僅かに仰反るシキに追撃を加えようとするミューズ。

 

「ミューズ、駄目っ‼︎」

 

「⁉︎」

 

何か嫌な予感を感じたリズムが叫ぶと、それと同時にミューズの鼻先を斬撃が掠める。

 

 

「チッ…!油断させて一撃で仕留める気でいたのによ」

 

「貴方…その足は………⁉︎」

 

 

リズムはシキの両足を見て驚く。

それもその筈、シキの両足からは膝下から剣になっていたからだ。

よく見ると、先程まで足だった部分は義足だったのか地面に転がっている。

 

 

「大した事じゃねェ。昔、脱獄した時に枷が邪魔だったから斬り落としたのさ。まさか俺が義足だとは思わなかっただろう?」

 

自分で自分の足を斬り落としたという事実を、大した事じゃないと言い切るシキに、リズムは空恐ろしさを覚えながらも油断なく身構える。

 

 

 

 

 

 

「斬波‼︎」

 

 

 

 

 

 

シキが脚を振るうと、不可視の斬撃が大地を穿つ。

掠っただけでも致命傷を免れないであろうその威力。

 

 

 

「どうした、ベイビーちゃん達?本番はここからだろう?獅子・千切谷‼︎」

 

 

 

続け様に斬撃を複数飛ばすシキ。

リズムとミューズは必死で避け続ける。

 

 

 

「(不味いわね…体力が追いつかない………!)」

 

 

 

度重なる攻撃を躱し続けた事で着実に体力が擦り減らされて行く。

このままではジリ貧だと思われたその時だった。

リズムとミューズの身体が、不意に軽くなる。

同時に心地良い感覚が全体を満たし、精神的な落ち着きが宿っていく。

何が起こっているのか分からず、2人が困惑していると何処かから声が聞こえて来る。

 

 

「〜〜〜〜♪〜〜〜〜♬」

 

 

声の主はメロディだった。

建物の壁に身体を預けながら、音楽を口ずさんでいる。

これこそ、メロディの持つ『ジックジックの実』のもう一つの力。

勇壮な音楽を流せば力が巡り、穏やかな音楽なら安らぎと冷静さを、そしてテンポの速い音楽ならばーーーー身のこなしが素早くなる。

 

 

「響…‼︎やっぱりお前だけは、先に始末しておくべきだったな‼︎」

 

 

シキは歯軋りすると、メロディに斬撃を飛ばそうと脚を振り被る。

 

 

 

「絶望のうちに死ね!斬…「残念だけど、ゲームオーバーだよシキ!」…何⁉︎」

 

 

メロディの言葉の真意が分からず、シキは思わず動きを止めてしまう。

 

 

「選択肢を誤ったね。アンタは、私じゃなくてリズムを優先すべきだった!」

 

 

まさか…!シキの背を嫌な汗が伝う。

空を見上げると、其処には砲弾の如くの速さで突っ込んで来るリズムの姿。

 

 

 

「ハアアアアッ‼︎」

 

 

 

リズムの華奢ではあるが、プリキュアになる事で強化された拳が唸りを上げてシキへと振り下ろされる。

だが………。

 

 

 

「っ⁉︎外したっ………⁉︎」

 

 

「ジハハハハッ!最後の最後でヘマをしたな!終わりだァ!」

 

 

 

スレスレの所でシキが身体を捻って躱す。

リズムはシキのように空を自由に飛べる訳ではない。

唯一の攻撃のチャンスを失ってしまった事で、シキの顔に余裕が戻る。

 

 

 

「まだ終わってない!気合いのレシピ、見せてあげる‼︎」

 

 

「なっ……………⁉︎」

 

 

 

重力によって自由落下するリズムは、偶々近くに浮いていた………シキが能力で浮かしていた瓦礫に着地し、そのままの勢いで身体を回転させて再び飛び上がる。

 

 

 

 

予想外の事に、言葉を失うシキの元へと。

 

 

 

 

 

 

 

「ハアアアアアアアアアアアアアアアアッ‼︎食らいなさい、金獅子のシキッ‼︎」

 

 

 

 

 

「(反撃を…いや、奴の動きが早過ぎて間に合わねェ!そんな馬鹿な…!海賊ですらねェこんなガキに、この俺が阻まれるってのか………⁉︎)ロジャーァァァァァァァーーーーーーーーッ‼︎」

 

 

 

 

 

かつての宿敵の名を呼びながらシキは絶叫し。

 

そして、リズムの拳は吸い込まれるようにシキの顔面へと直撃。

 

 

 

 

 

 

大海賊『金獅子のシキ』は、そのまま意識を失って地面へと落下していくのであった。

 

 

 

 

 

 




北条響………奏のS○COM。今回は奏を脅したシキにブチ切れた。シキとはロックス時代にギャグの掛け合いをしていたので、それなりに仲は良かった。でも奏に手を出そうとしたお前は絶許。
今回の戦闘ではリズムを庇った事で戦闘不能に。
海水には勝てなかったよ………。
因みに戦闘中に使った『G線上の音霆圧』は広範囲のMAP技。
元ネタはG線上のアリアから。

シキからは昔に比べて悪意に鈍感になったと指摘されている。
まあ、海賊が蔓延るONE PIECE世界に比べりゃスイプリ世界は比較的平和だから仕方ない。
因みにシキがリズムに殴り飛ばされた後は、気絶するシキの向こう脛を蹴るという地味な仕返しを行う。


南野奏………MVP。響やリンリン、白ひげというヤバい奴らに囲まれる生活で肝が据わってきている。
今話では自分を脅すシキ相手に一歩も引かず、彼の勧誘に対して盛大な啖呵を切る程の根性を発揮。
純粋な戦闘力ではシキや響に及ばないが、今回はミューズの参戦による手助けとメロディの能力によるバフを駆使してシキを倒すという大金星を挙げる。



キュアミューズ………黒服に身を包む謎のプリキュア。一体、何者なんだ…?因みに白ひげと響には、とうの昔に正体がバレているが何か理由があって隠しているんだろうと、空気を読まれている。
勿論本人は身バレしている事に気づいてない。
シキには『鶏頭変眉』という印象を抱いている。
今回は化け物みたいに強いと思っていたメロディが危機に陥った事と、シキの戦闘力に脅威を覚えた為、特別に参戦。
しかし、割と空気だった。
もういっそ正体バラして皆に協力して貰った方が、事が良い方向に進むんじゃないかと思っている。


金獅子のシキ………油断のならない変眉。ONE PIECE世界でルフィに敗れて海に落下している所だったが、スイプリ世界に転移。
世界が変わっても目的は変わらず、野望の為にマイナーランドと手を組んでいた。
ONE PIECE世界では、無くした脚に『桜十』『木枯し』という刀を差して抜身で歩いていたが、スイプリ世界に来た後は義足を作りその義足に刀を差して歩いている。
取り外しも可能。

今話では響を勧誘するも断られ戦闘に突入。
フワフワの実を生かした海水攻撃で一番脅威である響を無力化。
更に奏も勧誘するが余裕で断られ、殺してやると息巻くが奏にエッドウォーの戦いでロジャーに言われた時の台詞を返され激昂。
奏やミューズの事をぬるま湯で生きてきたガキと見下していたが、その油断と慢心が祟りまさかの敗北。
その後、向こう脛を響に蹴られた。
シキは映画で出すには早過ぎた惜しいキャラだと思う。
こいつはギャグもシリアスも兼ね備えてるから今後、ドンドン絡ませたい。
でもマジでフワフワの実ってチート。
海水扱える時点で能力者にマウントとれるし使い勝手も良い。
作者も使いたい。
変眉にはなりたくないけどな‼︎




さて、次回はシキとスイプリ勢の会話。
そしてセイレーンに何かが………⁉︎
彼女に迫る謎の男の影!

次回、『魂の調べ、その名は………⁉︎』に続く!

※タイトルは仮定です。今後変更可能性アリ。

皆でハーモニー響かせよう♪

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