ヤバい大海賊に出会ってしまった北条響さんの話。   作:スクランブルエッグ 旧名 卵豆腐

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作者の妄想シリーズ第七弾。
今回はちょっと長いよ。


運命の覚醒を遂げる黒猫と、対峙する最強

〜マイナーランド〜

 

 

 

 

「………メフィスト様。只今、戻りました」

 

「む?セイレーン⁉︎貴様、今まで何処をほっつき歩いていた⁉︎音符集めはどうなっている⁉︎いつになれば伝説の楽譜は完成するのだ!」

 

 

マイナーランドの王・メフィストは、ここ最近姿を見せなかったセイレーンが今になって現れた事に、叱責を浴びせた。

しかし、当のセイレーンはメフィストの叱責をどこ吹く風と受け流しながら口を開く。

 

「その音符集めに関してですが…私にとっておきの策があります。しかし、これを実行に移すにはメフィスト様の協力も不可欠ですが」

 

「ほう?そこまで言うからには、相当な自信があるのだろうな?」

 

「はい。上手くいけば、あの忌々しいメイジャーランドのハミィとプリキュアを排除し、尚且つフェアリートーン諸共音符を手に入れる事が可能です」

 

 

セイレーンは両の金色に輝く目を見開きながら邪悪に笑う。

一方、メフィストは何処か信用できないという風な目でセイレーンを見る。

 

 

「だがセイレーン、貴様は今までハミィとやらに何度か心を絆され掛けていたではないか?今回はそうならないだけの確固たる自信はあるのか?」

 

「それなのですが………メフィスト様にお願いがあります。私に、もう一度強力な悪のノイズを流しては頂けないでしょうか」

 

「悪のノイズか?フフフ…いいだろう!どうやら今回は本気のようだな!ならば俺も人間界へ向かうとしよう!奴らから音符を奪い、不幸のメロディで世界を染め上げるのだ‼︎」

 

 

そう言って、高らかに笑うメフィスト。

同様に、セイレーンも氷のように冷徹な瞳で空の彼方を眺める。

 

 

 

 

 

 

戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニャプニャプ〜♪音符は何処かニャ〜?」

 

 

メイジャーランドの歌姫であるハミィは、今日も音符集めに勤しんでいた。

メロディとリズム、そして謎のプリキュアであるミューズのおかげもあって幸せのメロディを完成させる作業は順調だ。

それは間違いなく嬉しい事なのだが、ハミィはかつての自分の友達…いや、今もそうだと思っているセイレーンと仲直り出来ていないのが気掛かりでもあった。

幸せのメロディを完成させれば、きっとセイレーンも心を入れ替えてメイジャーランドに戻って来てくれる筈だと思いながら、ハミィは日々を過ごしている。

その為にも、一刻も早く音符を集めようと思っていたその時だった。

 

 

「………また会ったわね。ハミィ」

 

「ニャ?セイレーン?」

 

 

ハミィの頭上に影が差し、上を見上げる。

其処には、人間の姿に変化しているセイレーンが金の瞳でハミィを見下ろしながら佇んでいた。

 

 

「ねぇ、ハミィ。話があるの。フェアリートーン達も一緒に連れて来てくれないかしら?」

 

「分かったニャ!フェアリートーン達も連れて一緒に行くニャ!」

 

 

敵である筈のセイレーンの言葉に、迷う事なく即答するハミィ。

セイレーンは一瞬、何とも言えない………誘いが上手くいった事に対する喜びと、僅かな罪悪感に囚われる。

 

 

「(何で敵の私を、そんな簡単に信じるの…ハミィ)………ありがとう。こっちに来てくれる?」

 

 

悪のノイズに犯され、もう何も感じる筈のない胸の内の痛みにセイレーンはあえて気付かないフリをして、ハミィについて来るよう促した。

セイレーンの言葉に疑いを欠片も持たずについて行こうとするハミィの姿にフェアリートーン達は、不安そうな表情を浮かべる。

 

 

「どうするドド?限りなく怪しいドド…」

 

「だったらいい考えがあるシシ。ドリーとレリーは響と奏にこの事を伝えに行って、僕達はハミィについて行くシシ。これなら、何かあっても何とかなる筈だシシ」

 

「分かったレレ。ドリーと僕は響と奏の元に急行するレレ。皆気をつけてレレ!」

 

 

フェアリートーンのシリーの提案に、皆が賛成し気付かれないよう二手に分かれる。

 

 

「(何だか嫌な予感がするファファ………)」

 

 

ハミィとセイレーンの向かう先の空を眺め、ファリーは不安そうに心内で呟く。

セイレーンとハミィの向かう先には、今にも雨を降らしそうな暗雲が漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたわ。ここよ、ハミィ」

 

「ニャ?ここは…?」

 

 

セイレーンに案内され、連れて来られた場所。

其処は加音町の中心部に位置する時計台のある広場だった。

もうすぐ雨が降りそうだと言うのもあってか、人の姿は殆どない。

  

 

「……………」

 

「セイレーン?どうしたニャ?」

 

 

急に立ち止まり、動きを止めたセイレーンにハミィは不思議そうに問い掛ける。

ややの間を置き、セイレーンはゆっくりと振り向く。

 

 

「今よ、トリオ・ザ・マイナー!」

 

「え?」

 

「「了解〜♪」」

 

 

セイレーンの言葉の意味を理解する間もなく。

ハミィと、フェアリートーン達は何処からともなく現れたトリオ・ザ・マイナーの手によって、一瞬で捕まってしまう。

 

 

「セイレーン?どう言う事ニャ?」

 

「まだ分からないの?騙されたのよ、アンタは。この私に………ね」

 

 

問い掛けるハミィに対し、セイレーンは冷酷な眼差しをもって答える。

そして同時に、赤い髪の毛の男性が拍手をしながら現れた。

 

 

「フハハハハ!よくやった、セイレーン!お前の計画通りだな!」

 

 

 

 

マイナーランド・国王

 

メフィスト

 

 

 

 

 

「ええ………ですが、まだ終わっては居ません。プリキュアを倒すまでが、今回の作戦です」

 

「そうだな!だが、セイレーン。貴様にあの化け物プリキュアを倒す事が出来るのか?」

 

 

ベルティエを真っ黒に染め、ネガトーンをボコボコにするキュアメロディを頭の中で思い出しながらメフィストは言う。

それもその筈、以前に巨大な老婆に押し潰された事と、その老婆と互角に渡り合うキュアメロディの姿が若干のトラウマになっているからだ。

セイレーンには知る由もない事ではあるが。

 

 

「問題ありません、メフィスト様。切り札がありますので………」

 

「ほほう?切り札とな?それは楽しみだ!さあ、トリオ・ザ・マイナー!フェアリートーンと、そのお喋りな白猫を連れてこちらに来い!コイツらの集めた音符と、今まで我々が集めた音符を使い伝説の楽譜と不幸のメロディを完成させるのだ!」

 

「「お任せ下さい〜♪」」

 

 

セイレーンは籠の中に囚われたハミィとフェアリートーン達を一瞥し、その場を離れていく。

 

 

「セイレーン!セイレーン、行かないでニャ〜!」

 

 

背後から自分を呼ぶ、ハミィの声が聞こえていない振りをしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急ごう、奏!ハミィとフェアリートーンの皆が危ない!」

 

「そうね!早く行かないと!」

 

 

フェアリートーンのドリーとレリーから、ハミィがセイレーンに連れられて行ったと聞いた響と奏。

ドリー達が言うには、時計台のある広場の方角へ行ったと聞いてはいたが、細かい事までは分かっていない。

もしも、マイナーランドに連れ去られでもすれば一大事だ。

 

 

 

「「無事でいてよね、皆………!」」

 

 

 

2人は駆ける。

戦いの場へと。

 

 

 

 

 

 

 

広場へと到着した2人。

辺りは静まり返っていて、ポツポツと小雨が降り始めていた。

 

 

「来たわね………プリキュア」

 

 

「セイレーン………!」

 

 

時計台の上から聞こえてきた声に振り返ると、其処には人間の姿に体を変化させたセイレーンが無表情で佇んでいた。

 

 

 

 

 

「決着をつけましょう。私は………覚悟を決めたわ。だからアンタ達も全力で来なさい。でないと………死ぬわよ?」

 

 

 

 

 

そう言うと、セイレーンは服の中から何かを…『珍妙な形をした実』を取り出す。

 

 

 

「セイレーンっ⁉︎それは、まさか………⁉︎」

 

 

 

セイレーンが手に持つその実に気付いた響が驚きの声を挙げる。

それも当然だろう。

何故ならそれは………『悪魔の実』は、この世界には存在しない筈の代物なのだから。

 

そして何より、響はその『悪魔の実』に見覚えがある。

かつて、ある男が所有していた希少中の希少と言われる『悪魔の実』。

 

 

 

 

 

 

 

 

確か、あの実の名前はーーーーーーーー!

 

 

 

 

 

 

 

 

セイレーンは、悪魔の実を眺めながら先日出会った謎の男の事を思い出す。

 

 

 

『これは………?』

 

『コイツは俺のいた世界で、悪魔の実と呼ばれている代物だ。一口食うだけで、絶大な力を得る事が出来る。お前にやるよ。これをどう使うかはお前次第だがな…ハハハハハ!』

 

『………何が目的なの?』

 

『目的なんざねェよ。ただ…お前を見て、それが必要だと判断したから………強いて言うなら、面白くなりそうだと思ったからだ…!』

 

『………アンタが何を言ってるのか分からないわ』

 

『分かる必要はねェさ。じゃあな、キュアビー…おっと、危ねェ危ねェ!それはまだだったな(・・・・・・・・・)!また…会おうぜ?ハハハハハ!』

 

 

 

あの男は何者だったのか、それは分からない。

いや、今はそんな事などどうでも良い。

食べるだけで力が得られるなど俄には信じがたい話ではある。

だが、もし本当に力を得てあのプリキュア達に対抗出来るというのなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こういう賭けも悪くないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガブシュッ‼︎と、セイレーンは実に食らいつく。

想像を絶するような不味さが口内を満たすが、そんな事は然程気になりはしない。

実を齧り、飲み込んだ瞬間に今まで感じた事のない力が、湧き上がるのを感じたからだ。

 

 

 

 

齧った実をその場に放り捨てると同時に、セイレーンの身体に変化が訪れる。

 

 

 

ゴキゴキゴキッ‼︎と軋むような音を立てながら、セイレーンの姿が巨大な猫へと変容し、尾が生えたかと思うと二又に分かれ、その体躯を覆うかのように真っ赤な炎が舐めるように迸り、空には雷雲が立ち込めていく。

 

 

 

 

 

 

 

「ゴアアアアアアーーーーーーーーッ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

地獄の底から這い出て来たかのような禍々しい咆哮を響き渡らせながら、セイレーンは響と奏の2人に告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来い………プリキュアァァァァァァァァッ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

マイナーランド『歌姫』

 

 

セイレーン

 

 

ネコネコの実『幻獣種』

 

 

モデル“火車”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

並の者なら恐怖するであろう威容。

だが、この場にいる2人の少女の顔に恐怖と絶望の色はない。

2人は互いの顔を見遣ると頷き合い、キュアモジューレを掲げて叫ぶ。

 

 

 

 

 

「セイレーン…!貴方が其処まで覚悟を決めたと言うなら!」

 

 

「私達も、全力で行く!」

 

 

 

 

 

「「ここでやらなきゃ、女が廃る!/気合いのレシピ見せてあげるわ!」」

 

 

 

 

 

「「レッツプレイ!プリキュア !モジュレーション!」」

 

 

 

 

2人の姿が光に包まれ、変化していく。

そして光が収まると、響と奏が名乗りを上げる。

 

 

 

 

 

 

 

「爪弾くは荒ぶる調べ! キュアメロディ!」

 

 

「爪弾くはたおやかな調べ! キュアリズム!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「届け!二人の組曲!スイートプリキュア!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜作者推奨BGM『暗黒の挑戦者』(ハートキャッチプリキュア)〜

 

 

 

 

ボボボボボボッ!と何かが弾けるような音が響く。

 

 

 

「来るよ、リズム!」

 

「オッケー!」

 

 

 

セイレーンの身体に展開された炎が、彼女の意志に沿うかのように胎動。

同時に、その巨体に見合わぬ動きで宙へと飛び上がったセイレーンは、身体を丸めて回転しながら2人目掛けて落下する。

 

 

 

 

 

「炎陣・火焔車‼︎」

 

 

 

 

 

ドカァンッ‼︎という轟音と共に、大地が抉られ暴力的な破壊が撒き散らされる。

 

 

間一髪で攻撃を避けた2人。

 

 

態勢を立て直して反撃しようとリズムは身構える。

すると、傍らにいたメロディが何故か突然リズムを抱え、その場を飛び退いた。

 

 

 

「キャッ…!メロディ⁉︎どうしたの⁉︎」

 

「これはちょーっと厄介かなー…?」

 

 

 

リズムを抱えたメロディが呟くと、先程まで2人がいた場所に別の敵が現れる。

 

 

 

「ネガトォォォーーーーーン‼︎」

 

 

 

甲高い声を挙げて現れたのは、ネガトーンだった。

 

 

「ネガトーン………⁉︎どうして⁉︎」

 

 

リズムが驚いたように叫ぶ。

そして、それを嘲笑うかのように現れるのはメフィスト。

 

 

「フハハハハ!今頃気がついても遅いわ、プリキュア!勿論、これだけではないぞ?見ろ‼︎」

 

 

そう言って笑うメフィストの背後には、10体以上のネガトーン達。

 

 

「まだまだ終わりじゃないぞ?さあ、プリキュアども!この白猫とフェアリートーン達を始末されたくなければ、大人しくするんだな!」

 

 

更にメフィストは、ハミィとフェアリートーン達を人質に取り、2人を揺さぶろうとする。

 

 

 

 

 

「卑怯者!鬼畜!変な赤髭!いい大人がそんな真似して恥ずかしくないの⁉︎ハミィ達に手を出したらぶっ飛ばすわよ‼︎」

 

 

「煩い!誰が変な赤髭だ!馬鹿にするな‼︎」

 

 

「リズムも最近激しい事言うようになったなあ………。でも、確かに何とかしないと………!」

 

 

 

 

リズムの口が段々と過激になって来ている事にメロディは若干焦りながらも(原因は他でもないメロディ自身と周りのヤバい奴等なのだが)、現状を打開する方法を探る。

しかし、考えてはみるものの良い方法が見つからない。

どうしたものかと思っていた、その時だった。

 

 

 

 

 

「グララララ…!何事かと思って来てみたが、中々面白い事になってるみてェだな…!」

 

 

 

 

 

特徴的な笑い声。

老齢でありながら、そんな事は微塵も感じさせない重厚な気配を纏う男が、その手に巨大な薙刀………むら雲切を携えながら現れる。

 

 

 

 

「どういう状況かはよく分からねェが、俺も混ぜさせて貰おうじゃねェか!」

 

 

 

 

『白ひげ』エドワード・ニューゲートは、そう言って不適な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニューゲート…⁉︎どうして貴方がここに⁉︎」

 

予想だにしていなかった白ひげの登場に、メロディが不思議そうに問い掛ける。

 

 

「何、偶々お前達が険しい顔で走っていく姿を見かけたんでなァ。少し寄り道がてら来たんだが…こんな事になるたァ、思わなかった。この猫娘は俺に任せて、お前達はあの捕まってる白猫どもを助けに行ってやれ!」

 

「………!ありがとう、ニューゲート!リズム、行こう!」

 

「え、ええ。でも、あの人だけでセイレーンを相手にするのは………」

 

「大丈夫!ニューゲートはリンリンや私より強いから!」

 

「そ、そうなの………なら、安心?ね」

 

 

あの巨大な老婆だけでなく、自身より強いと断言したメロディにリズムは考えるのを半ば放棄する。

何故自分の親友の周りに居るのは、人間をやめているような者達ばかりなのだろう?

そんな思考を頭の中で駆け巡らせながら、リズムはメロディと共に立ち塞がるネガトーンの群れへと突っ込んで行く。

 

 

その姿を見送った白ひげは、好戦的な笑みを浮かべながらセイレーンと対峙する。

 

 

「アンタが何者か分からないけど、私の邪魔をするなら誰だろうと容赦しないわ‼︎」

 

「グララララ!吠えるじゃねェか、猫娘!だったら、この一撃を受けてみろォ‼︎」

 

 

白ひげの握られた拳に、ヴーン!と白い膜のような物………振動エネルギーが集約されていく。

 

 

 

 

 

これこそ、白ひげがその身に宿すグラグラの実の力。

元いた世界において『世界を滅ぼす力』と呼ばれ、恐れられた所以。

 

 

 

 

 

次の瞬間、ドン‼︎と拳が宙に叩きつけられ、空間に亀裂が走った。

 

 

「(あれは………不味い‼︎)」

 

 

本能で危険を感じ取ったセイレーンは巨体を飛び上がらせて回避。

それと同時に、振動エネルギーが駆け抜けて行く。

 

 

「馬鹿げた威力ね………!だけど!」

 

 

バチバチッ!とセイレーンの二又の尾が帯電。

セイレーンは白ひげに向かって突進し、その尾を叩きつける。

 

 

 

 

 

 

「雷尾!」

 

「オオォッ‼︎」

 

 

 

 

 

 

叩きつけられた巨大な尾を、覇気を惑わせた薙刀で防ぐ白ひげ。

 

 

「今の攻撃で大体分かったわ。アンタ、自分の力が強すぎて全力を出せないんでしょう?」

 

「グララララ…!お前のようなハナッタレには、丁度良いハンデだろう…!」

 

 

セイレーンの指摘に、白ひげも余裕の表情を崩さず言い返す。

とは言え、セイレーンの指摘は決して間違ってはいない。

白ひげの持つグラグラの実の力は、余りにも破壊力があり過ぎる為に周りへの影響力が半端ではない。

下手をしなくとも街一つ、国一つを片手間で滅ぼせるような力なのだ。

 

そして、白ひげという男は無用な破壊を良しとしない。

それが何の関係もない一般市民が住まう街の中心なら尚更だ。

彼が他者を顧みない人物ならば、話は違うのだろう。

 

 

故にセイレーンは、己の優位を確信する。

 

 

この男には、それを良しとするだけの非情さが無い。

戦いの場に置いて、そんなつまらない甘さ等、足枷以外の何者でもない。

ならば、付け入る隙は幾らでもある!

 

 

 

 

 

 

 

………だからこそ、セイレーンは白ひげという男を見誤った。

 

 

 

 

 

 

 

そもそも、白ひげの海賊としての長い戦いの経験において、全力で戦えない状況など幾らでもあった。

しかし、そんな己にとって不利な状況を、白ひげは悉く乗り越えて来たのだ。

 

人情や義理といった物を捨て去る事なく、海賊達の間では『甘さ』と言われるそれを、戦場でも貫き通すだけの信念が彼にはあった。

 

とある最強生物曰く、『強いが何処か甘い奴』

 

 

しかし、それを積み重ねたからこそ、彼は『生ける伝説』なのだ。

 

 

 

そうでなければ『世界最強の男』とは呼ばれないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてセイレーンは身をもって、その所以を思い知らされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウォアアアアアア‼︎俺ァ『白ひげ』だァァァァァァ‼︎」

 

 

 

「なっ………⁉︎押し戻されて…⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

セイレーンは驚愕に目を見開く。

巨大化し、膂力では完全に上回っていた筈であるのに、それが覆されたからだ。

 

 

「隙だらけだぜ…猫娘ェ!」

 

「しまっ………⁉︎」

 

 

ドォンッ‼︎と、白ひげの振動エネルギーを纏った拳がセイレーンの脇腹に直撃。

強力無比な破壊力がセイレーンの全身を襲い、彼女は地面へと叩きつけられる。

 

 

「あ………がアアアアアアアッ⁉︎」

 

 

身体を駆け巡る痛みにのたうつセイレーン。

余程なダメージだったのか、獣化が解けて人間態の姿に戻ってしまった。

 

 

「ハア…ハア………ハア……‼︎」

 

「終いだ、猫娘。信念も覚悟も決まってねェお前じゃ、俺には百年かかっても勝てねェぞ」

 

「や…っ……かましい…わ!アンタに、私の何が分かるってのよ………!アンタやキュアメロディ………それにハミィのような、生まれた時から『持っていた』勝者には、私のような『持たざる者』の気持ちが分かる筈がないわ‼︎」

 

 

口から血反吐を吐きながら、セイレーンは胸の内に秘めていた感情を曝け出して叫ぶ。

その叫びを聞いた白ひげは、僅かに顔色を曇らせると口を開いた。

 

 

「俺が勝者だと?本当に………そう思うか?」

 

「…………?」

 

「笑えねェ冗談だ。俺が勝者で、本当に力があったなら…息子を死なせずに済んだ筈だ」

 

 

そう言ってセイレーンを見る白ひげの顔には、深い悔恨や自分自身への怒りといったあらゆる感情が渦巻いていた。

 

 

「俺は失ってしまったが、お前はまだ何も失くしてねェ。まだ幾らでも取返しが付く。後悔したくねェんなら、自分の信じる物を見つける事だな。お前は、これからどうしてェんだ?」

 

「わ…たしは…!」

 

 

セイレーンの脳裏に浮かぶのは、ある妖精の白猫。

敵対しても、自分に敵意も悪意もぶつける事なく常に寄り添おうとしてきたかつての友。

その昔、思い描いた夢。

ハミィと共に幸せのメロディを歌って、笑って……それから、それからーーーー。

 

 

「違う………違う違う違う‼︎そんな筈が無いわ‼︎私は全てを捨てて悪の道に堕ちた‼︎そんな私が本当に求めていたのが………あの子だなんて有り得ない‼︎あっていい筈が無い‼︎ア…アアアアアアアアアーーーーッ‼︎」

 

 

 

セイレーンは一瞬頭に浮かんだ光景を、受け入れらずに絶叫する。

行き場を失い暴走する心。

 

 

 

その感情に呼応するかのようにセイレーンの姿が変化していく。

頭には猫を思わせる耳が生え、二又に分かれた尻尾が現れ、口には牙が生え揃う。

身体には左右に雷と炎が纏わり付き、その姿はさながら地獄の使者のよう。

 

 

 

 

 

「人獣型か………!」

 

 

 

 

 

 

一部始終を見ていた白ひげは、警戒心を強めて薙刀を構えながら様子を伺う。

 

 

「ぐ………う!オアアアアアア‼︎」

 

「っ⁉︎しまった………!」

 

 

咆哮とも取れる叫び声を挙げながら、セイレーンは目の前の白ひげではなく、別の方向へと跳躍。

自分に向かって来ると思っていた白ひげは、虚を突かれた形となってしまった。

セイレーンを止められなかった事に、苦い表情を浮かべながら彼女が進んでいった方を眺める白ひげ。

 

彼の視線の先。

 

それは、キュアメロディとキュアリズムがネガトーンと戦っている場所であり。

 

 

同時に、ハミィとフェアリートーン達が囚われている方向でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭が痛い。

ハミィの事が頭に浮かぶ度、それを否定して捨て去ろうとも、何故か再び浮かんで来る。

こんな事は望んでいない。

私は何をどうしたかった?

本当に求めていたのは何だ?

分からない分からない分からない分からない分からないーーーー‼︎

 

 

何故、自分はこんなにも苦しんでいる?

何故自分だけが?

そもそもこうなったのは………誰の所為だ?

 

 

 

「アハッ、アハハハハハ…!そうね、簡単な事だわ。あの子を、ハミィを消し去れば全て解決するだけの話よ。待ってて、ハミィ。今からアンタの所に行くから………ね?」

 

 

そう呟き、張り付いたような笑みを浮かべながら、セイレーンはハミィの元へと駆けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駆け巡れ、トーンのリング!プリキュア‼︎ミュージックロンド‼︎」

 

「ネ、ネガァァァ………」

 

ベルティエを構えたリズムの放った攻撃が、ネガトーンを包み浄化する。

 

「ふう…!まだまだ!メロディ、そっちは………大丈夫そうね」

 

ネガトーンを浄化したリズムが、一緒に戦っているメロディの方を見て…最早何も言うまいというような表情をする。

 

 

「ミュージックロンド!ミュージックロンドッ!威国ッ!ミュージック………ロンドッ‼︎」

 

メロディが放つ技によって、ドカァン!ドカァン!と轟音を響かせながら、まるで作業のようにネガトーン達が次々と浄化されていく。

最早唯の糞ゲーである。

強くてニューゲームも真っ青だ。

 

 

 

 

 

 

「G線上の音霆圧(アリア)‼︎」

 

 

 

 

 

 

メロディが手をかざすと同時にグシャアッ‼︎と、彼女を囲んでいたネガトーン達が紙細工を潰したかのように地面にめり込む。

 

 

 

「纏めて浄化しよう!リズム、行くよ!」

 

「オッケー!」

 

 

 

メロディの掛け声に、リズムも勢い良く続く。

 

 

 

 

「ミラクルベルティエ!クロスロッド!」

 

「ファンタスティックベルティエ!クロスロッド!」

 

 

 

 

「「駆け巡れ、トーンのリング!」」

 

 

2人は共にクロスロッドを振った後、お互いの手を繋ぐ。

 

 

 

 

 

「プリキュア!ミュージックロンド!スーパーカルテット‼︎」

 

 

 

 

 

2人の掛け声と共に薄青色・薄橙色・ピンク・薄ピンク・薄黄色の5本のエネルギーリングが出現し、ハート形の光と共に螺旋の光波を描きながらネガトーン達目掛けて突き進み、瞬く間に浄化して行った。

 

 

ネガトーンが消え去ったのを確認し、メロディとリズムの2人はメフィストとトリオ・ザ・マイナーに向き直る。

 

 

「さあ!ネガトーンは全部倒したわ!後は…貴方達だけよ!」

 

 

リズムがそう言ってメフィスト達を指差す。

改めてプリキュア達の強さを見せつけられたメフィストは、悔しそうに表情を歪ませる。

 

 

「ぐぬぅ…!おのれ、プリキュアめ!だが、忘れたか⁉︎こっちには人質ならぬ猫質が居るんだぞ⁉︎」

 

「く………!ハミィ達を何とかして助け出さないと!」

 

 

ハミィ達を人質に取られている所為で、思うように手が出せない2人。

 

 

「フハハハハハ!勝負はここから…ん?妖精どもを入れた籠は何処に行った?」

 

 

勝ち誇ったかのように笑っていたメフィストだったが、ハミィ達を閉じ込めていた籠がいつの間にかなくなって居る事に気付く。

 

 

「………⁉︎リズム、あれ!」

 

 

何かに気が付いたメロディが、リズムに声を掛けてある方向を指差す。

指差す先には、ハミィ達が囚われている籠を抱えたセイレーンの姿があった。

 

 

「セイレーン?貴様、どういうつもりだ⁉︎」

 

 

同じく気が付いたメフィストが、セイレーンに問い掛けるも反応はない。

 

 

「確かニューゲートと戦ってた筈…!まさかニューゲートが負けたとは思わないけど、どうして此処に…⁉︎いや、それよりも様子が…⁉︎」

 

 

この場で何故現れたのか、そもそも何故ハミィ達の囚われている籠を手に持っているのか、様々な疑問が皆の頭を駆け巡る。

 

 

「おい、セイレーン‼︎聞いているのか⁉︎まさか、今になってプリキュア共の側に寝返るつもりじゃないだろうな⁉︎」

 

 

反応のないセイレーンに、苛立ちながらメフィストが再度問い掛ける。

 

 

「………さい」

 

「何?」

 

 

「煩い煩い煩い煩い煩いっ‼︎どいつもこいつも、やかましいのよ‼︎全部全部壊してやる‼︎アンタら全員、消え失せろってのよ‼︎」

 

 

 

怒声を響かせ、セイレーンが片手を空へと掲げる。

 

 

 

 

「っ⁉︎皆、何処かに隠れてっ‼︎」

 

 

 

 

危険を察知したメロディが叫ぶ。

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

「焼け落ちて死ね!羅苦雷(ラクライ)‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

閃光が、辺りを覆い尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かが焼けたような匂いに、地面で倒れていたリズムは閉じていた目をゆっくりと開ける。

そうだ、確か自分はセイレーンが放った雷から逃げようとして………どうなった?

ふと、自分の身体の上に重みを感じてよく見ると、ある人物が自分を庇うようにして覆い被さっているのが目に入った。

 

 

「………?メロ…ディ?」

 

「アハハ…リズム、大丈夫?」

 

「う、うん…ってメロディ!背中が………!」

 

 

リズムはメロディの背中を見て驚く。

彼女の背中は服が少し破れており、服で覆われていなかった皮膚の部分が僅かに火傷になっていた。

 

 

「直前に覇気を纏って防いだんだけど、完全には防げなかったみたい。それより、リズムは大丈夫なの?」

 

「私は大丈夫…でも、メロディが………!」

 

「これくらい大した事ないって。『向こう』にいた時はもっと無茶してたしね。それよりも、他の皆は………?」

 

 

そう言って、メロディは辺りを見渡す。

 

 

「痛い!バスドラ、私の頭踏まないで下さいよ!」

 

「知るか!っておい、ファルセット!お前髪の毛焦げてるぞ⁉︎」

 

「ああ!俺の髪も焦げている!セイレーンめ!どういうつもりだ⁉︎」

 

 

………煙の向こう側からは何やら喚いているマイナーランド組の声が聞こえてくる。

どうやら彼等もギリギリ助かったらしい。

 

暫くすると、漂っている煙が晴れて周りの様子が見え始めた。

 

 

 

 

 

 

「セイレーン………!それにハミィ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

煙が晴れた先には………ハミィを掴みあげ、30センチ程の銀色の爪が生えた右手を喉元に向けるセイレーンの姿があった。

 

 

 

「アハハ…!ハミィ…アンタともお別れよ。アンタを殺せば、私はもう何にも煩わされる事もないわ。最後に、何か言い残す事はあるかしら?」

 

 

 

酷薄な笑みを浮かべて、ハミィに爪を向けるセイレーン。

あえてセイレーンは、ハミィに僅かばかりの猶予を与えた。

どんな生き物も死の瀬戸際には本性が出る。

幾らハミィと言えども、今度ばかりは自分を責め立てるだろう。

ところが、耳を澄ましているセイレーンの耳に入ってきたのは、彼女の予想の斜め上を行くような言葉だった。

 

 

「セイレーン………ハミィは……セイレーンにも幸せになって欲しいニャ」

 

「……………は?」

 

 

セイレーンの思考が一瞬停止する。

今、ハミィは何と言った?

 

 

「どうしてもセイレーンがハミィをそうしたいと思うなら…それでセイレーンが幸せになるならハミィは構わないニャ」

 

「ア…ンタ‼︎正気⁉︎今アンタは私に殺されかけてるのよ⁉︎何で、そんな台詞が言えるの⁉︎天然ボケを通り越して異常だわ‼︎」

 

「天然ボケでごめんニャ………でも、ハミィはセイレーンに何をされても、セイレーンの事を責めたりしないニャ。ハミィは何があっても、ずーっと!セイレーンの友達ニャ!」

 

「………‼︎」

 

 

良くも悪くもメイジャーランドに居た頃から、ハミィの事は良く知っている。

故に、今の言葉に嘘があるかないかくらいは分かってしまう。

 

 

ハミィは心の底から、セイレーンの事を案じている。

 

 

それが分かってしまったセイレーンは、今度こそ激しく動揺した。

 

 

「でも、一つだけお願いしたい事があるニャ。ハミィが居なくなったら………セイレーンが代わりに幸せのメロディを歌って欲しいニャ」

 

「………何を、言ってるの。私はマイナーランドの歌姫。不幸のメロディの歌い手なのよ。そんな願いなんて、私は聞けないし………ましてや幸せのメロディを歌う資格なんて、私には存在しないわ」

 

 

 

自分を真っ直ぐに見つめてくるハミィから、目線を反らして項垂れるセイレーン。

上手く働かない頭の中で、どうしてこうなったのだろうと思いを馳せる。

始まりは、ほんの些細な嫉妬からだった。

嫉妬はやがて、自分が歌姫に選ばれなかった事に対する大きな憎しみと恨みに変化し、導かれるままに悪の道へと堕ちていった。

やがて音符を巡ってハミィを含むプリキュア達と争いになり、今に至る。

 

 

 

あの謎の男から得た実の力を使っても、結局何も変えられなかった。

 

 

 

数えきれない程の人々をネガトーンを使って傷付け、ハミィを幾度も裏切り、挙句は勝手に暴走して手に掛けようとまでした。

 

 

 

 

 

 

 

「何やってるんだろう………私。馬鹿みたい」

 

 

 

 

 

 

 

そう呟いて疲れたように笑うと、セイレーンは爪を引っ込めてハミィをそっと地面に降ろす。

 

 

「セイレーン………?」

 

「………勘違いしないで。ただ、虚しくなったから解放しただけよ」

 

「ニャ〜。セイレーンも一緒に音符集めを手伝ってくれたら嬉しいニャ!」

 

「………私は「「捕まえ〜た♪」」トリオ・ザ・マイナー⁉︎」

 

 

隠れて様子を伺っていたトリオ・ザ・マイナーが一瞬の隙にハミィを拐った。

同じように隠れていたメフィストも姿を現すと、失望感を顔に滲ませながらセイレーンを見つめて言う。

 

 

「セイレーン、やはりお前に期待しなくて良かった。先程のお前の雷には肝を冷やしたが、もう遊びはこれまでだ!フェアリートーンから音符も回収し、楽譜は完成した!後は歌姫の役をもつ者に歌わせるのみ!」

 

 

高らかに楽譜を掲げるメフィスト。

髪の毛が若干焦げていなければ少しは格好がついた筈なのだろうが、実にみっともない姿である。

メフィストは掲げた楽譜をセイレーンに放り投げる。

 

 

 

「さあ、役目を果たす時だセイレーン!貴様には不幸のメロディを歌うという役割があるからな!友情!愛情!そんなものはまやかしだ!さあ、不幸のメロディを奏でよセイレーン!」

 

「………………」

 

 

 

楽譜を開き、セイレーンは暫し沈黙する。

そして………歌う事なく、楽譜の音符達を手で弾き飛ばした。

 

 

 

「馬鹿な⁉︎セイレーン、貴様何をしている⁉︎自分が何をやったのか分かっているのか⁉︎」

 

怒り心頭でセイレーンを問い詰めるメフィストに答える事なく、セイレーンは立ち尽くす。

 

 

「おのれ!音符を逃がしてなるものか!出でよ、ネガトーーーーンッ‼︎」

 

 

「ネガトォォォーーーーーーン‼︎」

 

 

 

逃げ出した音符がネガトーンに変化し、暴れるのを余所にセイレーンは項垂れたまま佇んでいた。

 

 

「フン!とうとう我々を裏切りおったな、セイレーン!これを見ろ!」

 

 

メフィストが指を鳴らすと、悪のノイズを流し込む小型の装置が現れる。

装置はハミィの耳に張り付こうとして飛び回るが、ハミィも耳を手で塞ぐ事で抵抗した。

 

 

「無駄な事を。トリオ・ザ・マイナー、やれ」

 

 

メフィストの指示に、トリオ・ザ・マイナーがハミィの耳を強引に開けようと掴みかかった。

 

 

「ハミィ………!や、やめて!」

 

「何を今更。お前はつい先程までその白猫を殺そうとしていたではないか。さあ、やれ!」

 

 

やめるよう叫ぶセイレーンに、メフィストは冷たい視線を向ける。

 

 

 

 

 

「(………確かにそう。何であれ、私はハミィを裏切り続け、更には手に掛けようとした。その事実は変わらない)」

 

 

 

 

でも。

 

 

 

『セイレーン………ハミィは……セイレーンにも幸せになって欲しいニャ』

 

 

 

 

それでも。

 

 

 

 

 

『ハミィは何があっても、ずーっと!セイレーンの友達ニャ!』

 

 

 

 

 

この光(ハミィ)を、手放す事なんて出来ない。

 

 

 

 

 

例え傲慢と言われても。

例え人から責められたとしても。

 

 

 

 

 

私は………ハミィを………‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピシッと、セイレーンの銀色のアクセサリーが音を立ててひび割れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が溢れる。

不思議と悪い気はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

狙いは一つ、ハミィのみ。

跳躍し、トリオ・ザ・マイナーから一瞬で奪い返すと安全な場所にハミィを降ろす。

 

 

 

 

 

 

「ありがとうニャ、セイレーン♪セイレーンがプリキュアになるなんて、ハミィはとーっても嬉しいニャ〜♪」

 

「え………?」

 

 

 

 

 

ハミィの言葉で、セイレーンは漸く自分の姿が変わっている事に気付く。

水溜りを鏡代わりに自分を見ると、其処には青を基準とした服を纏い、紫色の髪をサイドテールにした少女が写っていた。

 

 

何故?

何故、自分がプリキュアに?

 

 

現実が受け入れられず、逃げるようにその場を離れるセイレーン。

 

 

 

 

 

 

 

自分を呼び止めるハミィの声を背中越しに聞きながら、彼女は走り去るのであった。

 

 

 

 

 

 




セイレーン………今話の主役。メンヘラ猫。謎の男から譲り受けた悪魔の実を食べ、能力者に。能力者となって初めて戦った相手がよりにもよって、白ひげという運の無い黒猫。
白ひげとの戦闘でボコられ、更に会話の中で心の底に仕舞い込んでいたハミィへの感情を思い出させられた事で精神に大ダメージを負う。
暴走する感情のままにハミィを殺そうとするが、死を前にしてもセイレーンを見放さなかったハミィに対して激しく動揺し、戦意喪失。
その後、メフィストが悪のノイズをハミィに流そうとした際にハミィへの思いが炸裂し、プリキュア?へと覚醒。
何故、悪である自分がプリキュアになれたのか分からず、困惑と動揺から戦場を離脱。
彼女は果たして響達の仲間になるのだろうか?それとも………?


因みに彼女が食べた悪魔の実は動物系『幻獣種』の火車。
火車の元ネタは、妖怪の火車から。
伝承によると、地獄から来て悪人の死体を奪っていくヤベー奴。
一説によると、正体は巨大な猫であり、雷雲を纏いながら現れるという。
口からは炎を吐き、銀色に光る三本の爪があるそうな。
ある話では、寺の僧侶が唱えた念仏?で撃退されたらしい。
日本のSOURYOヤバいな。



ハミィ………天然ボケの子猫。今話では、友達を想う心でセイレーンの光堕ちフラグをぶったてた。
ある意味MVP。


白ひげ………世界最強の男。セイレーンと対峙し、その強さを見せつけた。セイレーンに対しては、まだやり直す事が出来ると説いたが、逆にセイレーンの精神に大ダメージを与えてしまい、やり方をミスったかなと思っている。
こういうのはガラじゃねェとは本人談。

北条響………今回はセイレーンが実質主役だった為、かなり影は薄かった。今回の戦闘でリズムを庇い、背中に僅かだが火傷を負う。ちょっと痛い。セイレーンがプリキュアに覚醒したのを見たので、後でラッキースプーンに強制連行する事を決意する。


南野奏………響と同じで今回はちょっと影が薄め。
メフィストを変な赤髭呼ばわりした。
最近口が荒くなって来ている自覚はある。
メロディが自分を庇って怪我をしたのを見て、もっと強くなって足を引っ張らないようにしないと…!と内心決意したそうだ。
覇気習得フラグが立ちました。


メフィスト………奏曰く、変な赤髭。
セイレーンに裏切られた。髪の毛焦げた。ザマァwww



カイドウ………最強生物。次話で襲来予定。





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