ヤバい大海賊に出会ってしまった北条響さんの話。   作:スクランブルエッグ 旧名 卵豆腐

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作者の妄想シリーズ第九弾。

………更新が遅れた理由?

3月26日、モンスターハンターライズ発売。

理由はこれでいいか⁉︎



貫通ライトはいいぞぉ。


騒騒絢爛大舞踏会!覚醒するはキュアビート!

響・リンリン・白ひげといった面々が、加音町に現れたカイドウと邂逅している頃。

 

 

ラッキースプーンの店内では、奏とセイレーンに加えてハミィやフェアリートーン達が、ガヤガヤと騒ぎながら作りたてのカップケーキを食べていた。

 

 

「セイレーン、このケーキも美味しいニャ〜♪こっちはもーっと美味しいニャ〜♪」

 

「もう、ハミィったら。その説明じゃ、どんな味か伝わらないじゃない」

 

 

セイレーンは苦笑しながら、ハミィの薦めてくるケーキを手に取って食べる。

確かに美味しい。

続けて2つ目を食べようとしたセイレーンは、自分とハミィを温かい目で見ている奏に気付き、恥ずかしそうに頬を赤らめた。

 

 

「………何よ」

 

「ふふっ、ごめんなさい。何だか貴方達のやり取りを見てたら、仲良さそうで微笑ましいなーって」

 

「当然ニャ!ハミィとセイレーンは親友だからニャ!」

 

「ハミィ………」

 

 

ムフン!と胸を張るハミィに、セイレーンは未だに自分を親友だと言ってくれる事に胸が熱くなるような感覚を覚える。

そして、同時に思うのだ。

 

 

やはり、自分はこの世界に居てはいけない………と。

 

 

マイナーランドを裏切った自分を、メフィスト達は許さないだろう。

いつ追手が来てもおかしくは無いのだ。

ただでさえ、音符を巡る争いで大変だというのに、自分のような存在がいても足枷にしかならないだろう。

それに…今まで他人を苦しめてきた自分が幸せになっていい訳がないのだ。

この幸せな世界を壊さない為にも、早く立ち去らなければいけない………。

 

 

「セイレーン?セイレーン、どうしたニャ?お腹いっぱいなのかニャ?」

 

「………ごめんなさい。私、やっぱり帰るわね」

 

「ニャニャ?セイレーン、何処に行っちゃうニャ?」

 

 

思考の渦に包まれて黙っているセイレーンを見たハミィが、不思議そうに問い掛けるが、それには答えずに帰るとだけ言い残して、去ろうとするセイレーンを奏が引き留めた。

 

 

「セイレーン…貴方、本当にそれで良いの?」

 

「私が居れば、いつか必ずアンタやハミィ達にも迷惑が掛かるわ。……これが最善の道なのよ」

 

 

そう言って店を出て行こうとするセイレーン。

そんな彼女の前にハミィが回り込む。

 

 

「ハミィ………?」

 

「セイレーン、ハミィはもっともーっと!一緒にお話したいのニャ!」

 

「ほら、ハミィは貴方と話したがってるみたいよ?少し2人で話してきたらどうかしら。今の貴方に必要なのはそれだと思うわ。私は残りのケーキを作ってくるから、外で待ってて」

 

「分かったニャ!行こうニャ、セイレーン!」

 

「え、ええ………」

 

 

奏からもそう言われ、セイレーンは促される様な形でハミィと2人で外のテラスへと出る。

 

 

「今日は良い天気ニャ〜♪セイレーン、あれを見てニャ!風に吹かれた木が良い感じにリズムを奏てるニャ。ヒュルル〜ヒュルル〜♪」

 

 

楽しげに歌い始めるハミィ。

しかし、セイレーンは歌を歌うような気分ではないのか、物憂げに景色を眺めるに留める。

すると、フェアリートーンのソリーとラリーがセイレーンに話しかけた。

 

 

「セイレーン、一緒に歌おうララ♪」

 

「ラリー、歌うより先に自己紹介しないと駄目ソソ。僕はソリー。宜しくソソ♪」

 

「僕はラリー。セイレーン、宜しくララ♪」

 

 

自分に話しかけてくるフェアリートーンの2人。

ハミィも、フェアリートーン達も何故、自分に構うのだろう。

自分が今まで何をして来たのか分かっている筈なのに、何故………。

セイレーンがそう思いながら、口を開こうとしたその時だった。

 

 

 

 

「「「セイレーン、見〜つけた!」」」

 

 

 

 

特徴的な声。

まさかと思い振り返ると、其処にはかつての部下であり仲間だった3人…トリオ・ザ・マイナーが不敵な笑みを浮かべて佇んでいた。

 

 

「皆、逃げ「逃がさない〜♪」ニャニャ〜⁉︎」

 

「ハミィ⁉︎」

 

 

逃げようとしたハミィだったが、バスドラによって呆気なく捕まってしまう。

 

 

「フッフッフ!鬱陶しい白猫は捕まえたぞ!後は貴様だ、セイレーン!」

 

「っ‼︎」

 

 

ニヤリと笑いながらセイレーンに近づくバスドラ。

するとその時、テラスの扉が勢いよく開いて奏が飛び出してきた。

 

 

「一体何の騒ぎ…って、トリオ・ザ・マイナー⁉︎」

 

「チッ、邪魔者が来たな!バリトン、ファルセット!そいつを捕まえろ!」

 

「なっ………⁉︎」

 

 

バスドラがそう言うと、バリトンとファルセットが奏の身体を掴んで拘束する。

 

 

「何するのよ!離して!ハミィを解放しなさい!」

 

 

奏は拘束から逃れようと暴れるが、流石に大の男2人に掴まれていてはどうしようも出来ない。

プリキュアに変身しようにも、響が居ないので不可能だ。

それでも何とかしようともがく奏だったが、それを見たバリトンが彼女を脅すかのように言う。

 

 

「おやおや、お嬢さん。余り暴れない方が身の為ですよ?お仲間が酷い目にあってしまうかも知れませんからねぇ…?」

 

「この卑怯者!前もそうやって人質取って脅したわよね⁉︎最低よ、貴方達‼︎」

 

「フン、何とでも言えばいい!勝てば良いんだ、勝てば!」

 

 

奏は叫びながら彼等を糾弾するが、バスドラは鼻を鳴らして居直る。

 

 

「や、やめて!アンタ達の狙いは私でしょう⁉︎ハミィ達に酷い事しないで!」

 

「酷い事………?フッフッフ!笑わせてくれるわ!お前も今まで散々その酷い事とやらをやってきたんだろうが!」

 

「それは………!」

 

 

セイレーンはハミィ達に手を出すのをやめるよう詰め寄るも、バスドラの言葉に、今まで行ってきた自分が犯した罪を思い起こしてしまう。

 

 

「(これが…私がやって来た事なの?これが、私の罪?)」

 

 

押し寄せる罪悪感によって、弱っていた心が音を立てて崩れていくのを感じ取ったセイレーン。

視界が揺れる。

呼吸も安定しない。

足元がフラフラして、立っているのも覚束なくなる。

全身から力が抜け、床に座り込んでしまう。

 

 

ああーーーーそうだ。

これこそ、自分が望む物じゃないか。

糾弾され、侮蔑され、この世の全てから忌み嫌われながら消えていく。

 

 

視界が暗くなり、あらゆる音も物も聞こえなくなり見えなくなる。

 

 

 

 

「は、はは……は………!」

 

 

私に、相応しい罰だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「セイレーン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………⁉︎」

 

 

 

闇の底に堕ちかけていた意識が、凛とした声によって引き戻される。

視界が開け、思わず声が聞こえた方を向く。

 

 

「しっかりして、セイレーン!貴方が絶望に堕ちたら、誰がハミィを助けるの⁉︎」

 

 

声の主は、奏だった。

芯の通る声を響かせながら奏はセイレーンを叱咤する。

 

 

「ハミィを…助ける?無理よ…!私には、そんな資格は………!」

 

 

声を震わせながら否定するセイレーン。

 

 

「甘えないでっ!今の貴方は、自分自身から目を逸らして逃げてるだけよ!資格?無理?ハミィは貴方の友達なんでしょう⁉︎最もらしい理由を並び立てて逃げるなっ‼︎」

 

「……………っ‼︎」

 

 

全力で叫んだのだろう。

ハアハアと、息を荒げてセイレーンを見据える奏。

それに続くかのように、ハミィは優しい口調でセイレーンに語りかける。

 

 

「セイレーン…セイレーンが悩んで苦しんでいるのは良く分かってるニャ。でもハミィは、それを理由にプリキュアになる資格がないとか言って欲しくはないニャ。自分が何かをしたいと思った時に、理由なんて必要ない。セイレーンは今、何をしたいのかニャ?」

 

「私の………やりたい事…」

 

 

何かが、カチリと嵌った感覚がセイレーンの身体を駆け抜ける。

そうだ。

自分は、過去の行いを口実にしてあらゆる事から逃げようとしていた。

罪の意識なんてものは、自分の心の逃げ道を作る為の言い訳に過ぎなかった。

最もらしい理由を付けて、背を向けて目を逸らしていただけだ。

 

 

カチリカチリと欠けていた何かが満たされていく。

 

 

 

ようやく理解出来た。

そう、私の心は今も昔も変わらない。

唯一の友達を………守りたい。

 

 

 

 

 

 

 

それがーーーー私の本心だ。

 

 

 

 

 

 

 

そして………セイレーンは心のままに叫んだ。

 

 

 

 

 

「私の犯した罪が消える事はない。過去は取返しがつかない。なら私は…この罪と向き合い、この罪を背負ったまま!ハミィや皆の暮らすこの平穏な世界を!これ以上壊さない為、壊させない為に!私は、ハミィとこの世界を守る‼︎」

 

 

 

 

 

その瞬間、眩い光がセイレーンから溢れ出し、彼女の胸から何かが浮かび上がる。

 

 

 

「これは………⁉︎」

 

 

 

それは、キュアモジューレだった。

セイレーンは導かれるかのように、そっとモジューレに手を添える。

暖かい春の日差しのような穏やかな心が彼女を満たし、更に光が溢れ出る。

 

 

 

 

迷いは、無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レッツプレイ!プリキュア !モジュレーション!」

 

 

 

 

 

 

 

 

セイレーンの姿が光に包まれ、変化していく。

そして光が収まると、彼女は名乗りを上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「爪弾くは魂の調べ! キュアビート!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キュア…ビート!」

 

「やったニャ〜♪3人目のプリキュアニャ〜♪」

 

 

奏とハミィは、颯爽と名乗りを挙げて現れたセイレーン………キュアビートに感嘆の声を挙げる。

 

 

「おのれ〜!キュアビートだと⁉︎だ、だが!忘れたのか?こっちには人質が居るんだぞ‼︎」

 

 

プリキュアへと覚醒したビートに、バスドラは動揺しつつも人質にしている奏とハミィの存在をチラつかせて余裕のある態度を取る。

その時だった。

 

 

「バスドラ、今のうちにセイレーンを…ゴブフゥッ⁉︎」

 

「どうしたファルセット⁉︎ってグボェッ⁉︎」

 

 

突然何処からともなく飛んできた何かが、奏を拘束していた2人の顔面を打ち据える。

何が起こったのか分からない奏だったが、よく見ると鉢植えが2つ地面に転がっているのが目に入った。

恐らくこれがバリトンとファルセットにぶつかったのだろう。

其処まで考えた奏は、ある事に気付く。

この鉢植えは宙に浮かんでぶつかってきた。

まるで、誰かに操られているかのように。

 

そして、そんな芸当が出来るのは奏の知る限り1人しかいない。

 

 

 

 

 

 

「ジハハハハ!中々面白ェ事してんじゃねェか!俺も混ぜろよ!」

 

 

 

 

 

 

特徴的な笑い声。

火を付けた葉巻を口に加え、獅子の鬣を想起させるような金色の髪を靡かせる大男。

 

 

 

 

金獅子のシキが、空に浮かびながら佇んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ⁉︎シキ、お前はマイナーランド側だった筈だろうが⁉︎そいつらに味方する気か⁉︎」

 

「ジハハハハ!勘違いするんじゃねェよ!お前達とは元々ちょっとした協力関係だったに過ぎねェ!それに俺は誰の味方でもねェんだ。ただ、強いて言えばセイレーンや其処のベイビーちゃんの在り方に多少なりとも心打たれたから…とでも言っておこうか!」

 

 

バスドラの焦ったような問い掛けに、シキは豪快に笑いながら言う。

 

 

「何を〜!だがこっちにはまだ人質が………っていない⁉︎何処にいった⁉︎」

 

 

完全に予想外の展開に動揺するバスドラは、自分が人質として掴んでいるハミィの姿がない事に気が付いた。

慌てて周りを見渡すも、ハミィの姿は影も形もない。

 

 

「バスドラ。探し猫はここかしら?」

 

「セイレーン⁉︎貴様、いつの間に⁉︎」

 

 

僅かな隙を突いてハミィを取返したビートが、これ見よがしにハミィを肩に乗せながら笑う。

完全に形勢が逆転した事に歯噛みするバスドラ。

だが、その時彼はある物を見て目の色を変える。

偶々、机の上に並べられたケーキに音符が宿っているのを見たからだ。

 

 

「丁度良い!こうなったら、出でよ!ネガトォーーーーーン!」

 

 

「ネガトォォォーーーーーン‼︎」

 

 

瞬く間にケーキが変化し、巨大な怪物と化して現れるネガトーン。

 

 

「フッフッフ!人質は無くなったが、ネガトーンも加えて戦力はこっちが上だ!さあ、ネガトーン!俺達と一緒に裏切り者のセイレーンを始末するぞ!」

 

 

バスドラは意気揚々とネガトーンに指示を出して、同時にビートを睨み付ける。

 

 

「セイレーン!プリキュアになったからと言って調子に乗るな!守るだなんだとほざいていたが、お前にそんな事を言う資格があるとでも思ってるのか⁉︎例えお前がプリキュアになったとて、お前が苦しめてきた人々はお前を決して許しはしないぞ!身も心も汚れきったお前が、誰かを守ろうなどと、烏滸がましいにも程がある!」

 

 

 

 

「そうね!アンタの言う通りよ!」

 

 

 

 

「何だと………⁉︎」

 

 

 

 

「確かに私は許されない事をして来たわ。数えきれない程に。でも、私は決めたの。例え許されなくても、烏滸がましくても、傲慢の極みだとしても!私は私の意思を貫き通す!糾弾するならすれば良い!責めたてるなら責めたてればいい!私はその全てを受け入れる覚悟を持って此処に居る!だから私は皆を、ハミィの居るこの世界を守り続けるわ!何があったとしても!茨の道だとしてもね!さあ、下らない揺さぶりはやめて掛かって来なさいよ、バスドラ!」

 

 

 

 

「セイレーン………‼︎貴様‼︎」

 

 

 

 

ビートを動揺させる目的で揺さぶりを掛けるバスドラだったが、彼女の心が微塵も揺らがなかった事で怒りを露わにする。

もう、ビートがこの先揺らぐ事はないだろう。

この場に居る誰もがそう思ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジハハハハ!良い啖呵だったぜ、セイレーン!ああ、今はキュアビート…だったか?お前らみたいなガキ共がそれだけ体張ってんだ。俺も海賊の恐ろしさを今一度、知らしめてやらなきゃなァ‼︎男が廃るってもんだ‼︎」

 

 

シキはそう言うと、好戦的な笑みを浮かべながらネガトーンの前に立ちはだかる。

 

 

「ベイビーちゃんは下がってな!お前は響が居なけりゃ変身できねェんだろう?さあ、本物の海賊の恐ろしさを見せてやる!」

 

「分かりました。でも、周りを余り壊さないで下さいね!」

 

「保証は出来ねェな!ジハハハハ!」

 

 

愉しげに笑うシキ。

奏は溜息を吐きながら、戦闘の邪魔にならないようにその場を離れようとするが、ビートに止められる。

 

 

「待って、ハミィをお願い!」

 

「オッケー、任せて!ハミィ、行こう!」

 

「セイレーン!頑張ってニャ!」

 

 

ビートにハミィを託され、奏は急いでその場を離れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネガトーンと対峙したシキは、ゆっくりと両手を挙げる。

 

 

 

 

 

「派手に行こうか!獅子威し・空巻き‼︎」

 

 

 

 

 

瞬間。

ゴバアッ!と大気が渦巻き、ネガトーンを襲う。

意思を持ったかのような大気のうねりに巻き上げられ、高所から地面へと叩きつけられるネガトーン。

 

 

 

 

 

「斬波!」

 

 

 

 

 

腰に差していた剣を抜いたシキが、無造作にそれを振るう。

強烈な斬撃がネガトーンを襲い、体が一瞬で真っ二つになってしまった。

しかし………。

 

 

「ネガ………トォォォーーーーーン‼︎」

 

 

2つに裂けたネガトーンの体は瞬く間にくっ付き、再生してしまう。

 

 

「再生能力持ちって訳か?面白ェ!なら、再生出来なくなるまで切り刻んでやろうじゃねェか!ジハハハハ!」

 

 

シキはそう言って笑うと、再び剣を両手で構えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ビートはトリオ・ザ・マイナーと戦っていた。

 

 

「これでも食らえ、セイレーン!トリオ・ザ・ボンバー‼︎」

 

 

三位一体の高速突進とも言える攻撃でビートに突撃するトリオ・ザ・マイナー。

その突進を両手で受け止めるビートだが、流石に無理があるのか徐々に押されて行く。

 

 

「ぐ…ぎぎぎ………!」

 

 

「無駄だ無駄だ!諦めろ、セイレーン!お前などに俺達が倒せるものか!」

 

 

バスドラの嘲るような台詞を受け流しながら、ビートはプリキュアとしての力だけではなく………悪魔の実の能力を発動させる。

 

 

「な、何だと………⁉︎押されている⁉︎」

 

「バスドラ…!私を余り舐めない事ね!」

 

 

動物系の脅威的な膂力が発揮され、今度は逆にトリオ・ザ・マイナーが押し返されて行く。

それと同時に、ビートの姿も変化して行くのをバスドラは目にした。

ビートの口の上下に4本の牙が生え、二又に分かれた尻尾が伸びて頭には猫のような耳が飛び出す。

体には細長い雷雲と炎が纏わり付き、その周囲には鬼火が漂い始める。

 

 

 

 

人獣形態となったキュアビートは、金色の両眼でバスドラ達を見据えながら一気に持ち上げた。

 

 

 

 

 

「ま、待て!セイレーン!」

 

 

「待たないわよ!食らえ、火車墜し!」

 

 

 

 

 

ドカァン‼︎と、轟音を立てながらトリオ・ザ・マイナーが地面へと叩きつけられる。

 

 

「ぬがああああっ⁉︎何て馬鹿力だ、セイレーンめ!業腹だが、ここは一旦撤退するしかないか…!逃げるぞ、お前達!」

 

「あ!待って下さいよ、バスドラ!部下を置いてくなんて、それでもリーダーですか!」

 

「ぼ、僕を置いてかないで!待ってよ、バリトン!」

 

 

ビートに敵わないと悟ったトリオ・ザ・マイナーの3人は逃げの一手に走ろうとするが、それを見逃すビートではない。

 

 

「逃がさないわ!ラブギターロッド!おいで、ラリー!」

 

 

「ララ〜!」

 

 

ビートはラブギターロッドを出現させ、逃げようとする3人に向かって構えて弦を勢いよく鳴らす。

 

 

 

 

「ビートソニック‼︎」

 

 

「ヒィっ⁉︎逃げろぉ〜‼︎」

 

 

 

 

ギターの音に呼応するかのように現れた複数の音符が、矢の如く放たれて逃げる彼等に次々と着弾していく。

トリオ・ザ・マイナー達は、必死に逃げ惑いながら捨て台詞とばかりに

「「「覚えてろ〜!」」」と、叫んで去っていくのだった。

トリオ・ザ・マイナーが撤退した事で、一先ず胸を撫で下ろすビート。

しかし、まだネガトーンが居ることを思い出しシキとネガトーンが戦っている場へと向かう。

その場に到着したビートの目に入って来たのは。

 

 

 

「ジハハハハ!遅かったじゃねェか。待ちくたびれたぜ」

 

「ネ、ネガァ………」

 

 

 

数多の破片と化して力なく突っ伏すネガトーンと、退屈そうにしながら葉巻を吸うシキの姿だった。

 

 

「待たせて悪かったわね。って言うか、どうやったらそんな風に細切れに出来るのよ?」

 

「仕方ねェだろ?幾ら斬っても再生しやがるから、出来なくなるまで刻んでやったのさ。止めを刺すなら今の内だな。そんじゃ、俺は一足先にラッキースプーンとやらに戻っとくぜ」

 

 

そう言って、シキはフワフワの能力で空に浮かぶとラッキースプーンの方へと去って行く。

ビートはシキに手も足も出ずボコボコにされたネガトーンにちょっぴり哀れみを感じながら、浄化するのであった。

 

 

その後、響達に先んじて戻っていたリンリンの姿を見て彼女は悲鳴を挙げる事になるのだが………それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっだいまー………って、どうしたのこれ?」

 

「えーっと、その、これは………」

 

 

白ひげ、カイドウと共にラッキースプーンへと戻って来た響は、机や椅子が幾つか散乱している屋外テラスを見て、奏に問い掛ける。

 

 

「ジハハハハ!マイナーランドの野郎共の所為だぜ、これは!奴等が暴れ回ったからこうなったんだ」

 

 

奏の代わりに答えたのは金獅子のシキ。

その辺に転がっていた椅子に腰掛け、優雅に葉巻を吸っている。

 

 

 

「あれ?何でニワトリが此処に居るのよ?」

 

「誰がニワトリだっ!ったく……ありゃ⁉︎こんな所にニワトリが居るぞ⁉︎」

 

「そりゃ窓ガラスに写ったアンタでしょーがっ‼︎」

 

 

「「ハイッ‼︎」」

 

 

 

響とシキの息の合ったノリツッコミに、奏やセイレーンも頬を若干引きつらせながら白ひげに目線で何か反応してくれと投げかける。

白ひげは白ひげで、俺に振るんじゃねェよというような顔をした。

 

 

「グララララ…!海賊は引退するんじゃなかったのか、金獅子ィ?」

 

「馬鹿言え、あんなもん嘘に決まってんだろうが。俺は生涯現役だぜ?ま、それはともかくだ!折角あの頃の主な面子が揃ってんだから、飲もうじゃねェか!宴は大事だろ?ジハハハハ!」

 

 

そう言ってシキは何処から持って来たのか、巨大な酒樽をフワフワの能力で浮かしながら笑う。

 

 

「ハ〜ハハハママママ!なら早速お茶会といこうじゃないか!始めるよ、地獄のお茶会をねェ!カイドウ、お前はおれの隣に座るんだよ!」

 

「あァ⁉︎ふざけんな、リンリン!お前の隣なんざ座りたくねェよ!それなら金獅子か白ひげの隣にいた方がマシだ!」

 

「座る場所くらいで、喧嘩すんじゃねェよアホンダラ共がァ!沈められてェのか⁉︎」

 

「ジーハッハッハ!この殺伐としたノリ、懐かしいじゃねェか!なァ、響⁉︎」

 

「私に振らないでよシキ!あーもう、ロックスの頃から何も変わってないよね、アンタ達は!」

 

 

ガヤガヤと騒ぎながら宴会へと突入する大海賊達。

 

 

「もしかすると私達って…とんでもない人達と関わった感じかしら?」

 

「深く考えちゃ駄目よ、セイレーン。慣れたら大丈夫だから。慣れたらね」

 

 

ボソっと呟いたセイレーンに、奏が遠い目をしながら答えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜1時間後〜

 

 

 

 

「ウォロロロ!おい、響!俺と昔みてェに殺し合わねェか⁉︎さっきの続きをしようぜ!」

 

「絶対ヤダ!アンタ酔うとホントに面倒くさいよね!」

 

「そう言わずに相手してやれよ!俺は嫌だがな!ジハハハハ!」

 

「ママママ!カイドウ、そんなに殺りあいたいならおれと殺るか?」

 

「ここで暴れ回んなって言ってんだろォが!金獅子、テメェも煽るんじゃねェよ!リンリンも菓子食って大人しくしてろ!」

 

 

酒に酔ったカイドウが金棒を手に響に迫り、シキが爆笑しながら煽る。リンリンはナポレオンを取り出し、白ひげが怒号を挙げる。

カオス此処に極まれりと言うべき空気が漂うその空間。

国一つを容易に滅ぼしうる力を持つ海の皇帝達が一堂に集い、酒を酌み交わす絵面は、恐ろしいを通り越して畏怖を感じる程だ。

もしこの場を海軍が見ていたら、卒倒する事間違いなしである。

海軍元帥のセンゴクはストレスで胃痛になるだろう。

そして遠巻きにそれを眺めるセイレーンと奏。

眺めている2人に気付いたのか、響が手招きする。

 

 

「奏とセイレーンも、そんな遠くに居ないでこっちに来なよ。大丈夫だって、誰も何もしないからさ!」 

 

 

正直全力で遠慮したいのだが、誘われた以上行かない訳にもいかず、2人はヤバい奴等のど真ん中へと入っていく。

 

 

「ん〜?お前がセイレーンかい?響の知り合いってんなら、持て成してやらないとねェ!ハ〜ハハハ!」

 

「ウォロロロ…!聞いたぜ、お前も動物(ゾオン)系の能力者なんだろう?百獣海賊団に来れば、『飛び六砲』とまでは行かねェが『真打ち』になら直ぐになれる!俺と共に世界最高の戦争を始めようじゃねェか!」

 

「あ、あはははは…。それはちょっとお断りした「あァ⁉︎俺の勧誘を蹴ろうってのかァ⁉︎」ひぃっ⁉︎」

 

 

酒が入り、急に怒り上戸になったカイドウに怯えるセイレーン。

そのカイドウは酒をグビグビと飲むと、今度は泣きだす。

 

 

「ウォォォォーーーーーン!響ィ、聞いてくれよォ!俺が折角勧誘してやってるってのに、こいつ俺の誘いを断りやがったんだ!ウォォォォーーーーーン!」

 

「ええ………(汗)」

 

 

突然泣き出したカイドウに、引いてしまうセイレーンは近くにいる響助けを求める視線を向ける。

セイレーンの助けを求める視線に気付いた響は、仕方ないなあと言う風な顔をしながらカイドウを止めに入った。

 

 

「カイドウ、セイレーンが困ってるじゃない。絡み酒やめなって言ってるでしょ?」

 

「ウォロロロ!まあ、嫌だってんなら仕方ねェ!先ずは飲み明かそうぜ!」

 

 

今度は笑い上戸になり、上機嫌になるカイドウ。

情緒不安定かコイツは⁉︎と内心思いながら、セイレーンはそそくさと奏の居る方へ逃げた。

 

 

「セイレーン、大丈夫?顔色悪いわよ?」

 

「大丈夫………多分。アンタは良く平気で居られるわよね。私じゃ無理だわ………」

 

「何事も慣れよ、慣れ。セイレーンも、その内何とも思わなくなるだろうから、それまでの辛抱ね」

 

 

カイドウとビッグマムというヤバい奴等に絡まれた所為なのか、心なしか顔色を悪くしているように見えるセイレーンを気遣う奏。

そんな2人の側に、響がケーキを食べながら近づいて来た。

 

 

「アハハ!騒がしくてごめんね、奏。セイレーンもカップケーキ食べてる?美味しいよ〜奏のケーキはさ!食べなきゃ損損!」

 

「え、ええ。じゃあ、後で食べてみるわね。それと、その………私の名前なんだけど…セイレーンって呼ぶのは無しにして欲しいの。名前を変えた所で、私の罪が消える訳じゃないけれど………」

 

 

過去の自分にケジメを付ける意味合いも含めて、セイレーンは名前を変える事を奏と響に伝えた。

 

 

「分かったわ。じゃあ、これから何て呼んだらいいかしら?」

 

「えーと…そうね………」

 

 

奏の問い掛けに、セイレーンは色々と考えてみるが中々思いつかない。

どんな名前が良いだろうか?

 

 

「だったらさ、『エレン』っていうのはどう?」

 

「エレン………エレンか。…………うん、うん」

 

 

響としては割りかし適当に言ったつもりだったのだが、どうやらセイレーン的には気に入ったらしい。

何度もエレンという名前を呟きながら頷き、顔を綻ばせている。

 

 

「決めたわ。今日から、私はセイレーンじゃなくて『エレン』よ。ありがとう、響。とても良い名前だわ!」

 

「どういたしまして、エレン!これから宜しくね!私の事は響って呼んでもいいから!」

 

「私も宜しくね、エレン。私の事も奏って名前で呼んでくれていいからね」

 

「ありがとう………響、奏」

 

 

笑顔で2人の名前を呼ぶエレン。

本当の意味で、プリキュアとしての仲間が増えた瞬間だった。

 

 

「よーし!なら今日は、エレンの新しい旅立ちをお祝いしよう!という訳で、私はエレンが好きそうなケーキを持ってくるよ!」

 

 

そう言うと、響は足早にケーキが山と積まれている机の方へと走り去って行く。

 

 

「最もらしい事言ってるけど、響はケーキを食べたいだけでしょ?もう、ホント調子いいんだから…」

 

「あははは………」

 

 

呆れたように溜め息を吐く奏は、そう呟きながら響の元へと歩いて行く。

同じくエレンも、ケーキを幸せそうに食べる響を見て苦笑いを浮かべながら、騒ぎまくるヤバい奴等の中へと混ざりに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………。」

 

 

 

 

 

 

音楽の女神の名を冠する少女もまた、遠目からラッキースプーンで騒ぐ一堂を眺めて何かを決意するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

tips③『海軍の憂鬱』

 

 

「これは一体どういう事だ!奴等が現れてから、まだ3か月だぞ⁉︎被害の規模が尋常じゃない!」

 

「何故だ⁉︎今まで孤高の海賊を貫いていた奴が、何故今更海賊団なぞ結成した⁉︎しかも面子は高額賞金首ばかり…!悪夢というほか無い!」

 

「今はそんな事どうでもいいだろう!早急に対策を打たねば大変な事になる!」

 

「そんな事は分かっとる!だが、我々の戦力も無限ではないんだぞ⁉︎特定の拠点も持たない奴等を、どうやって補足して対処しろというんだ⁉︎」

 

 

怒号が飛び交う会議場。

ここは、世界の治安維持を担う正義の軍隊『海軍』の総本部。

またの名を『マリンフォード』。

そのマリンフォードの会議場で今議題に挙がっているのは、3か月前にロックス・D・ジーベックによって結成された『ロックス海賊団』だ。

海賊史上、未だかつてない最大にして最悪の戦力を誇る彼等。

メンバーの誰が船長であっても不思議ではない面子で構成される『ロックス海賊団』。

その個性的過ぎる我の強い面子を従える男『ロックス・D・ジーベック』。

結成されてから僅かな期間の内に、幾つもの国や海軍支部が攻め滅ぼされている現状に、危機感を抱いた世界政府上層部は一刻も早くロックス海賊団を何とかするようにと、海軍に圧力を掛けてきている。

故に今回の会議が開かれたのだが、荒れ模様が凄まじく議論どころの騒ぎではない。

 

紛糾する会議場。

その会議場から、1人の男が出て来ると暫くしてから、盛大な溜め息を吐いた。

 

 

「会議は踊る、されど進まず…か」

 

 

1人呟く彼の名前は『センゴク』。

海軍中将を務める将官であり、『仏のセンゴク』の異名を持つ彼は眉間に皺を寄せながら、煙草に火を付けて紫煙を燻らせた。

 

 

「よう、センゴク!煙草はやめたんじゃなかったのか?」

 

「ガープか…。禁煙は辞めたんだ。それより、お前は会議に出なくて良いのか?またコングさんにドヤされるぞ?」

 

 

煙草を吸うセンゴクに声を掛けたのは、センゴクと同じ海軍中将である『モンキー・D・ガープ』だった。

 

 

「ぶわっはっはっは!別に構わん!いつもの事だからな!」

 

「自信満々に言う事じゃないだろうが!馬鹿なのか⁉︎」

 

 

大声で笑うガープに、センゴクは頭を抱える。

とにかくガープという男は自由人過ぎるのだ。

同僚のセンゴクもガープの破天荒ぶりに悩まされている1人である。

 

 

「ハァ………まあいい。それより、『ロックス海賊団』についてだが一応俺の方でもメンバーの資料を纏めておいた。お前にも渡しておく」

 

「すまんな、センゴク!どれどれ…『白ひげ』『シャーロット・リンリン』『金獅子のシキ』成る程、こいつは大物ばかりだな。………ん?この娘は何だ?」

 

 

センゴクから手渡された資料をパラパラとめくり流し読みをしていたガープの手が、あるページを開いたまま止まる。

 

 

「どうした?気になる奴でもいたか?言っておくが、ロックス海賊団には、お前が躍起になって追っているロジャーとやらは居ないぞ?」

 

「そんな事は分かってる。ロジャーがロックスなんぞに与する訳がないからな。それより、この娘は何者だ?」

 

 

ガープはそう言って、開かれたページに載っている写真を指差す。

其処には、まだあどけなさを残した少女が写っていた。

 

 

「その娘か?詳しい事は分からんが、ロックスが海賊団を旗揚げする前から一緒に居る娘だそうだ。見た限りではロックスには似ても似つかないし、実の子供という訳でもなさそうだが…報告によれば、武装色の覇気を使いこなすらしい。実際、この娘と対峙した海兵…階級は大佐だったが、アッサリと返り討ちにされたそうだ。ロックスに関わっている上に海賊をしているとなれば、その懸賞金額も納得だろう。因みに名前は………」

 

「北条響…?変わった名前だな。この辺じゃ聞かない名字だ」

 

「まあ、名前についてはどうでも良い。今分かって居る事は、この娘も含めたロックスを船長とする海賊団を止めなければならないと言う事だからな。ガープ、相手が女子供でも相手は海賊だ。容赦するなよ?」

 

「誰に向かって言っとるんだセンゴク!俺は海兵だぞ?一々言われんでも、海賊どもは全員とっ捕まえて牢にぶち込んでやる!ロックス海賊団も、そしてロジャーの野郎もな!ぶわっはっはっは!」

 

「やれやれ、お前は気楽で良いな。全く………」

 

 

ガープは笑いながら資料を閉じると、呆れたようなセンゴクを尻目に歩いて行く。

 

 

 

ガープが開いていた資料には、こう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

ロックス海賊団・船員(クルー)

 

 

 

北条響

 

 

 

懸賞金額1億190万ベリー

 

 

 

 

 

 

 

tips④『音鎚』

 

 

「響、お前は武器を使わねェのか?」

 

 

喧騒と殺意が渦巻くロックス海賊団の海賊船の甲板で、1人覇気の練習をしていた響に白ひげが問い掛けた。

 

 

「うーん…まあ別に覇気があるから要らないかなーって。一応能力者にもなったしね。そう言うニューゲートは、どうして薙刀使ってるの?」

 

「俺のグラグラの力は確かに強ェが、周りを巻き込んじまうからな。状況によっちゃ使えねェ時もある。だからこういう武器があった方が便利なんだ。こんな風に、覇気を纏わせて使えるしな。それに戦い方の幅も広がる」

 

 

白ひげはそう言って、手に持つ『むら雲切』の刃を武装色で黒く染め上げる。

 

 

「成る程ね。私も何か使ってみようかな………うーん」

 

「剣じゃ駄目なのか?あれは初心者でも使いやすい部類だと思うが」

 

「剣かぁ………あまり良い思い出がなくて」

 

 

思案気に首を傾ける響に、白ひげは剣を使ってみたらどうだと勧めるが、本人は乗り気ではないらしい。

白ひげが知る由もないが、響がこの世界に来てロックスと邂逅した際に、彼女は剣で海賊達を虐殺しているロックスの姿を目撃している。

それがトラウマになっているという訳ではないが、彼女にとってあまり良い思い出ではないのは確かなのだ。

 

 

「………こんな事言ったら、甘いって言われそうだけどさ。あんまり目に見えて人を傷付けそうな武器はちょっと………。ああ、誤解しないでよね?別にニューゲートの使ってる武器を否定してる訳じゃないから。単純に私自身の考え方ってだけだから………」

 

 

「そうか…お前自身の事だから俺がどうこう言う義理はねェが。………あァ?あいつら、また仲間同士で殺し合い始めやがって!じゃあな、響。あの馬鹿どもを止めてくる」

 

 

そう言うと、白ひげは船上で殺し合いを始めた船員達を止める為に駆け出していく。

薙刀を振るって殺さないように加減しながら、船員達をぶっ飛ばしていく白ひげ。

ロックスを除けば、彼が最強と言われるのも頷ける程の強さだ。

 

 

「武器…か。ハァ………「おいおい、どうした?元気がねェじゃねェか、ハハハハハ…!」ってうわっ⁉︎ロックス⁉︎急に現れないでよ⁉︎」

 

 

突然、背後から掛けられた声に響は驚いて叫ぶ。

振り返ると、声の主であるロックスがニヤつきながら響を見下ろしていた。

 

 

「ハハハハハ!お前が勝手に驚いてるだけだろう?俺は何もしちゃいねェぜ?お前が珍しく悩んでいる風に見えたから、声を掛けただけだ。船員の事も俺はちゃんと見ているからな、ハハハハハ…!」

 

「もう………。悩みって程じゃないんだけど、「『私って武器を使うとしたら何がいいと思う?』」ちょっと!見聞色の先読みはやめてってば!」

 

 

見聞色の覇気による未来視で発言を先読みされた響は抗議するが、ロックスは気にする事なく楽しそうに笑う。

 

 

「ハハハハハ!そう怒るな!それにしても、お前が武器を使いたいなんて言ってくるとは思ってなかったぜ」

 

「さっきニューゲートに言われたの。武器は使わないのかってね。戦い方の幅も広がるって言ってたし………」

 

「確かに幅が広がるのは事実だ。俺もコイツを使っているしな…毒も刃に塗ってある。体内に入ったら最後、悶え苦しみながら死ぬ事になる程の猛毒がな。腕なんざ傷付けば、直ぐに斬り落としでもしねェ限り御陀仏さ…!」

 

 

腰に差している剣の束を撫でながらロックスは言う。

響がドン引きしているが、そんな事は御構い無しだ。

 

 

「ああ…そう。私はそんなの使う気はないからね」

 

「そんなのって言うんじゃねェ!仮にも船長の使う剣だぞ?敬意を払いな!」

 

「何で貴方の武器にまで敬意を払わないと駄目なのよ!この逆立ちうねり髪頭!」

 

「ハァ⁉︎これは俺が毎朝、苦心してセットしている髪型なんだぞ⁉︎シキの変眉よりマシだろうが!この大食い女!リンリンじゃあるめェし、馬鹿みたいに食べやがって!太るぞ‼︎」

 

「リンリンを引き合いに出さないでよ!一般的な基準から外れ過ぎでしょーが、比較対象にするには!」

 

 

遠くから「俺の眉は関係ねェだろ⁉︎」「おれも馬鹿にされている気がするねェ…!」と抗議する声が聞こえてくるが、あえて無視を決め込むロックスと響。

 

 

「………まあ俺の剣に敬意云々は、この際どうでもいい。それより、お前の武器に関してだが…これからの事も考えると、あった方がいいのは間違いねェ。使う使わないは別としてだ。仕方ねェ、少し待ってな!お前が使いやすい得物を調達してやるよ、ハハハハハ…!」

 

「え⁉︎」

 

 

そう言って、ロックスは呆気に取られる響を一瞥して船長室へと戻って行く。

少し不安な気もする響だったが、取り敢えず喧嘩を売ってきたカイドウをぶっ飛ばして考えるのをやめるのだった。

 

 

 

そして1週間後。

 

 

 

「よう、響!お前の得物が出来上がったぜ!後で俺の部屋に来な!ハハハハハ!」

 

朝から喧嘩を売ってきたカイドウを武装色パンチで殴っていた響に、ロックスは告げると笑いながら何処かへ行ってしまう。

 

 

「おい、響…!得物が出来たってどういう事だ?」

 

「顔が近いよ、カイドウ!アンタのアップは暑苦しいの!ロックスが私の武器を調達してくれたってだけの話だから!」

 

 

ズイ…!と顔を突き出して、怪訝そうに問い掛けるカイドウの顔面を引き離しながら響は言う。

 

 

「船長がお前に?それなら俺も頼めば良かったな」

 

「アンタはその金棒があるでしょ。それで充分じゃない」

 

「ハ〜ハハハママママ!カイドウ、新しい武器が欲しいのかい?おれが何か見繕ってやろうか?お前はおれの大事な弟分だからなァ!」

 

「急に出てくるんじゃねェよ、リンリン!俺はお前の弟じゃねェって言ってんだろうが!」

 

 

会話に割り込んで来たリンリンに対して、露骨に嫌そうな態度を取るカイドウ。

その後、何故か殺し合いに発展し、騒ぎを聞き付けた白ひげが止めに入るまで喧騒が絶える事は無かったのであった。

 

 

 

 

騒ぎを抜け出し、船長室へと来た響。

 

 

「ハハハハハ…!来たか!」

 

「もう朝から疲れた………。ああ〜、奏のカップケーキが食べたい………!」

 

 

ロックスは溜め息を吐いている響を見て笑う。

 

 

「ハハハハハ!朝から災難だな、響!さて、お待ちかねの武器が出来上がってるぞ」

 

 

子供のようにはしゃぎながら、ロックスは長細いケースから何かを取り出す。

それは一見すると、小さな棒状の物だった。

 

 

「これって………棒じゃない?」

 

「唯の棒じゃねェ。伸縮式の特殊警棒だ。海楼石仕込みの特注品だぞ?船に乗せてる職人に態々作らせたんだ…!これなら、剣と違ってまだ優しさがあるだろう?」

 

「結構高かったんじゃないの?」

 

「ハハハハハ…!大した額じゃねェ!金の心配なんざするな!代金は今後の働きで返せば問題ねェよ!………おっと!それだけじゃねェんだ。どちらかと言えば、こっちが本命だな」

 

 

どうやら一つだけではなかったらしい。

もう一つ大きなケースを取り出すと、ロックスは中身を出す。

 

 

「どうだ?これは作らせたものじゃねェが…以前叩き潰した海賊団の船に乗せられていた『大業物』の戦鎚さ…!俺が調べた所によると、そいつは『音を蓄積する特性』があるらしい。『集音鎚』というそのまんまな名前だ。多分だが、お前の『ジックジックの実』の力と併用すれば真価を発揮する筈だぜ」

 

 

「集音鎚………」

 

 

ロックスに手渡された戦鎚を見つめながら呟く響。

成る程、能力との相性も考えればこの武器は自分に向いているだろう。

 

 

「ありがとう、ロックス。大事に使うね。じゃあ、早速試しに………!」

 

「おい、待て。戦鎚を此処で振ったら「音鎚震!」………畜生、船室に穴が空いたじゃねェか。加減しろ、馬鹿野郎!」

 

「アハハハ………ごめんなさい」

 

 

能力によって生み出した音を少しだけ溜めて軽く放ったつもりだったが、破壊力が予想以上に高かったのか船室に穴が空く。

響は、空いた穴を見て頭を抱えるロックスに対して苦笑いを浮かべて誤魔化すのであった。

 

 

 

 

これ以降、北条響はロックスから貰った警棒と戦鎚を使って戦う事になる。

戦鎚を使う事は余りなかったが、やがて海軍や他の海賊からは音を使って戦う姿から『音奏』の異名をつけられる事になるのだが………それはまだ先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 




エレン………旧名セイレーン。
今話では、自分自身の罪と向き合い真の意味でプリキュアに覚醒した。
彼女のアホ毛を触ると音が鳴る。決してギャグではない。
エレンの心が揺らぐ事はないかと思われ。
精神攻撃耐性が爆上がりしました。
プリキュア状態での人獣形態を披露。
膂力ではプリキュア達の中で最強格確定。
今でもリンリンは少し苦手。
カイドウは情緒不安定だし、やっぱり少し苦手かも。
でも同じ動物系幻獣種なので後々絡みはあるかも知れない。


良かったな、エレン。君はようやく救われた。


ハミィ………エレンの覚醒への原動力。MVP。


北条響………過去にロックスに武器を貰っていた事が判明。
警棒は現在所持しているが、戦鎚は行方不明な模様。
戦鎚を使うとヤベー事になる。
セイレーンにエレンという名前を考えてあげた。
適当に思い付きで言ったとバレたらアレなので黙っている。


南野奏………準MVP。絶望しかけたエレンを叱咤し、立ち直らせた。
ラッキースプーンが、いよいよヤバい奴等の溜まり場と化した事に頭を悩ませている。


キュアミューズ………やっべ、何あの化け物集団。あの中に入るのは勇気が要るなぁ。どうしよう?ええい、ままよ!


金獅子のシキ………暫くの間、傷心状態となっていたが奏やセイレーンの覚悟を決めた在り方に、本人曰く胸を打たれて復活。
元来の野心家と海賊の誇りを取り戻した模様。
これから活躍するぞ!


トリオ・ザ・マイナー………裏切り者のエレンを粛正する為、精神攻撃によって崩壊一歩手前まで彼女を追い詰めるが、奏とハミィの言葉で覚醒したエレン基キュアビートにボコボコにされた。
バスドラは前話でカイドウに押し潰されていたが、ギャグ補正で無事だった模様。
大海賊達が揃った事で、マイナーランド側の勝ち目は0を突き抜けてマイナスになった。
泣いていい。
もうだめだ、おしまいだぁ………!


メフィスト………↑何を寝言言ってる!不貞腐れてる暇があったら戦え!
※因みに次話で登場予定。
四皇の洗礼を浴びます。
死ぬなよ?


ヒーリングチェスト………作者的には今回で出したかったが、尺の都合上断念。
次話で出る。
あまり寝てばかり居ると、カイドウの金棒で野球のボールみたいにかっ飛ばされるかも知れない。
頑張ってくれ。



次回から駆け足になるかも。
ヒーリングチェスト、メフィスト回を同時にする。
正味、ヒーリングチェストを手に入れる回は原作と変わりなしなので省きたい。決して書くのが面倒とかいう理由ではない。決して。
メフィスト回はミューズ加入回でもあるから、真面目にやる。
決着は直ぐつくけどね。
闇ファルセット?ノイズ?ああ、出るよ。勿論ね。

で、それが終わったら最終章突入だよ。

劇場版?DX3?フフフフフ!フッフッフッフッフッフ‼︎
ちゃんとやるよ。最高のタイミングでな!


ハハハハハ!






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