10年前によくあったオリ主がフェイトを持ち帰るお話   作:yukimichi

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06-オリ主、無自覚にバルディッシュを使ってしまう

バタンという音と共に、世界は静寂を取り戻した。

耳鳴りが酷い、平衡感覚が狂って世界が傾くというか……

前に傾いたり後ろに傾いたり、右に傾いたり左に傾いたり、自分の中の基準面が水面に揺れる板切れのように安定しない。

暗い。

 

一切の光がなく、ただ只管に暗い。

 

 

 

「一瞬死んだかと思ったぜ……マジで」

 

 

地獄か何か死後の世界と勘違いしそうになった。

俺がここが現実だと意識できたのは、両手に感じる重みが、俺に空想に逃げる時間を与えてくれなかったから。

ゆっくりとノエルさんを床に寝かせ、フェイトを手術台の上に戻してタオルケットをかけてやる。

揺れで閉まったドアを明け、光源を確保した。

さすが、揺れて閉まったってのでオカシーとは思ったが手術室のドアだけあって頑丈だったらしい。

スムーズに開くことが出来た。

ノエルさんは額から側頭部にかけて傷が出来ていたのでガーゼで簡単な処置をする。

脳にダメージがあったらもう正直どうにもならん。

ここの医療設備じゃ対応できない病院も今頃パニック……物理的に潰れてなけりゃいいが……

ノエルさんを呼んだ身としては思うところはもちろんあるがとにかく、生きていることだけを喜んで他は全部後回し。

 

 

ひと段落だ。

わからんが、わからんことだらけだが。

とりあえず今俺は生きてここに居る。

 

 

 

疲れたよ。

 

 

本当に疲れた。

よくよく考えたら俺寝てねぇし。

 

この家も改装っつーか……建て直しだな。

ココが無事だったんだ、本家の連中は心配しなくても大丈夫だろう。

 

本来絶対禁煙である手術室で、俺は潰れてよれよれになったタバコに火を点けた。

吸わなきゃやってらんねー。

 

「ん…ここは」

 

「お、目ぇ覚めた?」

 

「はい、揺れは……収まったのでしょうか?」

 

「第一波はね」

 

 

 

あとはプレートのダメージ次第だが……いや、おい、待て。

こっから、マジモンの『普通の大震災』なんぞに繋がったら……マジこの地方滅びるぞ。

つーか……ちょっ……さっきの揺れ、『都市規模』だよな?

地球全土だったらお前……いややめよう、考えるだけ無駄だ。

こう考えるんだ、復興で雇用が生まれて景気なんてすぐ上向きに戻っちゃうさと考えるんだ。

ダメだな、頭ん中死に掛けてる。

 

 

【(所有者のバイタルの危機的状況を確認)】

 

 

 

あぁクソ腹も減ってきやがった。

確か俺の部屋に何か……

 

 

 

 

「カズフサ……様」

 

「あぁ悪ィ、今飲みモンと食いモン持って来るわ。頭打ってんだからジッと……おい、なんだよ」

 

 

ノエルが見ていたのは、俺じゃない。

その横、俺も見る、手術台、眠るフェイト、呼吸が安定して静かになった、そういや点滴が抜けてんな、無事な針を探さな……

 

 

「呼吸が……止まっています………」

 

 

「………ハァァアアアッ?!!」

 

 

【(システムリブート……失敗)】

 

 

フェイトの口元に耳をあて、胸の動きを横目で見る……ホントに呼吸が……

って!!

 

 

 

「おいバカしっかりしろ!ふざけんなこんな所で死ぬんじゃねーよ!」

 

 

 

ここまできてか?

ここまでやっといて、結局全部無駄でした?

 

 

【(システムリブート……失敗)】

 

 

大概にしろよ、色々ナメ過ぎだ。

 

 

 

フェイトの胸元に耳を当てる。

包帯に染み込んだ薬剤と体液が頬にべちゃりと付いて気持ち悪いが、気にしてる倍じゃない。

 

「………くそっくそっくそっ止まってやがる!!」

 

【(システムリブート……失敗)】

 

 

心配蘇生方法は普通に知ってるが……だが、くそ、体もさっきより冷たい!!

 

「ノエルさん!電気毛布新しいの……たしかそこのドアを開けると発電機があった!!」

 

「は……はいっ!!使用経験はあるので、壊れてさえいなければ……」

 

 

【(システムリブート……失敗 修復シークェンス開始)】

 

 

心臓マッサージ、胸の中心に手を置いて、5回!

この時に必要なのは、弱すぎない事!

たとえ肋骨が折れようとも、心臓が動くことを優先する!

 

「いっにぃさんしィごっ!」

 

 

【(使用不能部位をパージ 粒子還元を開始 ハードウェアを再構成 魔法行使を最優先)】

 

 

人工呼吸、気道を確保して鼻をつまみ、空気が漏れぬように……!!

色気なんて1ナノグラムもありゃしない、頭にあるのは、空気が漏れないように吹き込む事だけ!!

大きく口を開け、フェイトの口を完全に覆うように、肺が膨れて胸が上下するのろ確認しながら、吹き込みすぎて肺が損傷しないように!!

 

 

【(優先順位を設定 粒子還元開始 第3魔力発振システム廃棄 第2、第7、第14から第19魔力コンデンサー廃棄 通信システム チップごと廃棄)】

 

 

「発電機動きました!」

 

 

【(変形システム廃棄 優先順位を再計算)】

 

 

「電気毛布は……どこだっけか……あぁそこだ!!頼む!!いっにぃさんしィごっ!!クソッ動けよこの」

 

 

【(フレーム全廃棄 優先順位を再計算)】

 

【(自動プログラム構築 失敗 不良セクターの修復を実行 失敗)】

 

【(記録領域の動画情報を削除 失敗 アクセス不可 使用セクターから除外)】

 

【(記録領域の音声情報を削除)】

 

【(自動プログラム再構築 成功)】

 

 

心臓マッサージと人工呼吸、どちらも全身を使う運動であり、通常は数分続けただけで行う方も体力を切らせてしまう重労働。

しかも俺は徹夜明けに体力はガス欠寸前、ノエルさんは負傷中、動ける限り続けるが、それでもワリィが長くは持たねぇぞ?!

 

 

【(                  人工知能領域を削除 最適化を開始)】

 

 

「だからよ、早く帰ってこいっつんだこのアホが!!」

 

 

【(リコントラクションスタート……完了 魔導行使システム復元率7% 全体の体積の57%消失 78%の機能破棄 残存エネルギー0.2%)】

 

 

足がフラつく、腕が痺れる、頭ががんがんして、思考がまとまらない。

 

 

「くそっこのっ、アホ毛!痛い子!天然!……えーと脱ぎ魔!何でもいい!くそ!何でだよ?!動け動け動け!!!」

 

 

【(システムリブート.........スタンバイ)】

 

 

「10分が経過しました……カズフサ様……もう」

 

 

【(オールシステム・エンゲージ)】

 

 

「旨いもんだって食わせてやる!キレイな服だって着せてやる!旅行にだって連れてってやる!だから!」

 

 

【(術式:サンダースマッシャーを読み込み中....完了)】

 

【(エネルギーの不足により術式プログラムから一部メソッドの呼び出し先をダミー関数に変更 出力 極めて微小)】

 

【(当機、Bardicheは当該プログラムを実行後、エネルギーが再供給されるまでシャットダウンを行います。使用者は直ちに――――― スキップ)】

 

拳を振り上げた、瞬間。

 

 

【術式 起動】

 

自分の中に稲妻が走った気がした。

 

「帰って来い!フェイトテスタロッサァアアアアア!!!」

 

 

 

 

【 GOOD LUCK MY MASTER 】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクン

 

 

 

 

 

 

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