天国か地獄か。
今の望月の脳内にあるのはそんな言葉だ。あるいはデッド・オア・アライブと言い換えても良いかもしれない。
時はフタヒトサンマル。場は我らが長女、睦月の部屋。
テーブルやベッドを押し退けて作られた中央のスペースには、盛り塩のように積まれたカードがあり、その回りを望月を含めた十一人の艦娘が輪になっている。複数人が使うことを想定している睦月の部屋だが、姉妹全員が集合するとさすがに狭く感じてしまう。
「さぁもっちー……早く引くがいいよ……!」
情景分析に脳の容量を割いていると、望月の対面に座る青髪の少女、水無月が不敵に笑った。その手には二枚のカードがある。
(あれのどちらかが、ジョーカーか……)
対する望月は一枚のカードを所持していた。ダイヤのエース。
五分ほど前に始まった睦月型オールスターによるババ抜きは、ついに最終局面へともつれ込んでいた。
あの水無月が持っているカードのどちらかに、望月の求めるダイヤのエースがある。それを引ければビリより一個上での上がり。天国、アライブだ。
しかし逆にジョーカーを引いてしまえばその瞬間に地獄、デッド。
このヒリヒリ感こそがババ抜きの醍醐味なのだが、あいにく望月はこの手のヒリヒリ感はあまり好きではない。
「…………」
こういう時はいくら悩んだところでなるようにしかならない。その持論を持っていた望月は、意図して何も考えず右の方のカードを勢いよく取った。
カードの絵柄はひし形が一つあるだけ━━━ダイヤのエースだ。
「よしっ。アタシの勝ちだね」
「うあ~っ!!負けたーーっ!!」
ペア成立。パサ、とカードを落としながら言うと、水無月は残った一枚を握りながら崩れ落ちた。
危機一髪。カード一枚、正に紙一重で、なんとか望月は地獄を回避できた。カードを手離して気付いたが、いつの間にか手にはじっとりと汗が滲んでいる。自分でも知らぬ間にかなり熱くなっていたらしい。
「む~!じゃあ、お待ちかねの罰ゲームっぴょ~ん!」
二人の対決が終わると、輪になっていた艦娘の内の一人がはしゃぎ始める。沈み込む水無月とは対照的に、今にもスキップしそうな勢いで盛り上がっているのは卯月だ。
「うえ~、頼むから変な罰ゲームにだけはしないでよ~」
「なに言ってるっぴょん!
水を得た魚のようにはしゃぐ卯月を見て、改めて望月は地獄を回避できたことに安堵し息をはいた。
『睦月型十一人で対戦をし、一位になった艦は最下位の艦に好きに命令できる』
これが先程から行われている特別ハバ抜きのルール。要するにババ抜きと王様ゲームの複合モノである。
そもそもこの事の始まりは、皐月の提案だった。
「今晩、皆でパジャマパーティーしようと思うんだ!たまには息抜きも必要だし!」
十月。夏にあれだけ熱せられたのが嘘のように、地球は冷え込んできていた。あまりの冷え込みように、制服が半袖の一部の艦娘は部屋の備え付けのコタツから抜け出せないでいる。
それは執務室でも例外ではなく、ちょっとでも窓を開ければすきま風でたちまち凍えてしまうほど。
「ちょっと司令官!ボクの話聞いてる!?」
「え?ああ、うん……」
無視して情景描写を進める提督にぷんすかと頬を膨らませる皐月。『怒っているんだぞ』というアピールだろうが、提督にはエサを詰め込みすぎたハムスターにしか見えない。
「パジャマパーティーねぇ……」
パサ、と書類を机の上に落として目を細める提督。
『息抜き』と皐月は言っていたが、実際はただの口実だろう。年中空気が緩みっぱなしのこの鎮守府にて、息抜きをする必要などない。むしろもう少し空気を入れてほしいぐらいである。
提督のみならず、隣でその提案を聞いた望月も同じ事を思っていたが、皐月の話によるともう既に望月以外の娘たちの承諾は取り付けたらしい。どうやらこの鎮守府の睦月型は皆息抜きがしたいようだ。
「だから、望月もどうかなー、って」
「どう、と言われてもなぁ……」
言いながら望月はチラリと提督を見る。相も変わらず執務机には膨大な量の書類があり、一人ではとてもこなせそうにはない。そもそも先程まで、今日は二人でやっても間違いなく徹夜コースだろう、とどんよりした様子で話していたのだ。
しかし提督はそんな望月の視線に気付くと、軽く笑って
「ま、たまにはいいんじゃない?こっちのことは気にせず、楽しんできなよ。『息抜き』も必要だろうし」
皐月の口車に乗ることにした。望月は同型の他の娘とコミュニケーションを取ることも少ないし、良い機会かと提督は思ったのだ。
「……ん、わかった。それじゃあ、アタシも参加するよ」
「やったー!それじゃ、フタマルマルマルに睦月姉さんの部屋に集合ねー!」
それをなんとなく察し、望月は参加することにした。後ろで『徹夜で終わるかな……』と既にコーヒーをがぶ飲みし始めている提督から目をそらしながら。
てなわけで皆早めに入浴を済ませ、予定通りフタマルマルマルに睦月の部屋に集合。そこから各自で持ち込んだポテチやらオレンジジュースを飲み食いしながら騒ぎ、一時間ほどアニメDVDの鑑賞に時間を費やした。
DVD鑑賞をしながらお互いの好きなものなどを話すのは、望月の中ではそれなりに新鮮な体験だった。意外とこうして姉妹同士じっくりと話をすることはないのだ(回りの姉達が『提督とケッコンしているから』と気を使っているのもある)。
そしてアニメにも飽きた辺りで卯月から提案されたのが、この王様ババ抜き(仮称)である。仮にも『王様ゲーム』の要素があるだけあり、なかなかにヒリヒリとした勝負が展開されていた。
「それじゃあ水無月は、向こうの自動販売機で飲み物を買ってくるっぴょん!」
「うへぇ~また~?さっきも買いに行ったじゃん」
「王様の命令は絶対ぴょんよ?」
「わかったよもう……飲み物はさっきと同じでいいよね?」
渋々と行った感じで立ち上がる水無月。いいっぴょん!と頷く卯月。その対照的なやり取りを見ながら望月は額の汗をぬぐう。
結果的に軽い罰だったからよかったものの、少しでも彼女の気が違っていればもっと不味い命令をされていたかもしれないのだ。だから回避出来てよかった。
どうにもこの王様ババ抜き(仮称)において望月はすこぶる引きが悪く、こうしてビリ一個上で上がるのも四回目ぐらいである。もう望月の寿命はこの三十分だけで十年は縮まっているだろう。
ふう、ともう一度望月が息をはくと、出し抜けに長月が口を開いた。
「そろそろババ抜きも飽きてきたな。違うゲームにしないか?」
その提案は、望月にとってはかなりありがたい提案だった。今日のコンディションでババ抜きを続けていると、寿命がゴリゴリ削れていってしまう。
「そうだね。アタシもそろそろ違うゲームがいい」
これに乗らない手は無い。
半分演技のあくびをしながら、いかにも『飽きた』というような表情で言う望月。……実際にはババ抜きをやめたいだけで、別にババ抜き自体に飽きたわけではないのだけれど。
「え~違うゲ~ム~?」
望月とは逆に、このババ抜きで一位で上がるのが四回目ぐらいの、すこぶる引きの良い卯月が不満そうに唸る。
『イタズラ好き』という印象の強い卯月だが、意外と彼女も『やっちゃいけないこと』は弁えており、この王様ババ抜きでは絶妙な命令を繰り返していた。回りも楽しめつつ、本人が恥ずかしすぎないような、飲み会の席にいれば間違いなく『盛り上げ上手』の称号をもらえていたであろうほどに。だが申し訳ないが今は、望月の寿命保護のために犠牲になってほしい。
「せっかく盛り上がってきたんだし、変えるのは反対っぴょーん」
盛り上がってるのは主にアンタでしょ、と望月は思ったが口に出さないでおく。ともかく卯月は反対と決まったため、望月は他の姉たちにも目線を巡らせる。
「僕はどっちでもいいよ?」
「あたしも~」
「私もなんでもいい」
「……弥生も」
トン、トン、トン、トン、とリズムよく発言していく皐月、文月、菊月、弥生。彼女たちは多数派についていく所存のようだ。
だとすれば早く
そう判断した望月は、とりあえず最も自分に同意してくれそうな、黒い髪の睦月型の真面目担当に声をかけることにした。
「な?三日月もそろそろゲームを変えるべきだと思うだろ?」
「うん? ゴメン、聞いてなかった」
丸いチョコのようなものをポリポリと食べながらコチラを向く三日月。なにやら口調と声の高さがおかしいような気がする。
「いや、ババ抜きから別のゲームなんてどーかなーって」
「別になんでも。オ◯ガの決めたことなら、やるよ、俺。まだ止まれないし、連れていってくれるんでしょ?」
「あっ、うん。わかった」
だいたい事情を察した望月はすぐに会話を切り上げた。そういえば二つぐらい前のババ抜きにて、三日月は卯月から『某鉄血ガンダム主人公の口調で話す』という罰ゲームを受けていた気がする。
そのモノマネの完成度はやたらと高く、低い声のトーン、台詞までオリジナルを完全再現だ。あの小さな体から、どうやったら成人男性のような低い声が出るのだろうか。
やはり一部の界隈からねだられることも多い故、本人も自覚して練習しているのかもしれない。その内海の上の実戦でメイスでも振り回しそうである。
とにかく、思わぬ形で三日月が同意してくれなかった為、望月の目は必然的に三日月が言及した長女の方へと向く。
「うーん……睦月も、そろそろゲームを変えてもいいかな、と思うのです!」
片腕を後頭部に添えながら言う睦月に、ナイス姉貴、と望月は心の中でサムズアップした。台詞には長女の威厳など欠片もないが、この部屋では長女の言うことがほぼ絶対である。これで形成は一気に変更側へ傾いた。
「むう~わかったぴょん……」
卯月もそれを理解し分が悪いと判断したようだ。ちなみに一応、この中でNo.2にあたる如月にも目を向けてみたが、彼女は睦月の隣でウフフと笑いながら
「はい睦月ちゃん、あーん♪」
「あーん♪」
なんてミカンの食べさせ合いをやっている。確かあのミカンは元々部屋にあったものだったか。一部の界隈が喜びそうな絵面だった。
どうでもいいが、ミカンの皮を剥く如月の手付きはなんとも言えずいやらしかったような……いや、これ以上考えるのはよしとこう。
「なら、次はなにするっぴょん?」
投げ槍気味に言いながら、卯月はまとめたトランプの束を菊月にパスする。突然のパスに動ずることもなく、受け取る菊月。そのまま彼女は普通のシャッフルとリフルシャッフル(トランプを二つに分けてV字形に曲げてから一枚ずつ重ねていくアレだ)を交互に行い始めた。
誰も気にしなかったが、無駄に洗練された無駄のない無駄なやり取りだった。
「む……」
顎に手を当てたまま考え込んでしまう長月。トレードマークの柳のような緑髪も、持ち主の心情を表すように力無く垂れ下がっている。
堅物真面目くんの長月ではこういった『遊び』を考えるのは難しいのかもしれない。
……まぁ、こういうときには大抵言い出しっぺが案を出すものだと相場が決まっているし、この場合は最初に変更を申し出た長月と望月が決めるべきなのだろう。そして長月は前述の通りで頼りになりそうにない。
てなわけで望月は考え始めたのだが……これがどうしてなかなか思い付かない。卯月なら二秒ぐらいで案を出しそうなものなのだが。
そうして無言の時間が二十秒ほど続き、なんとか望月がねじり出したのは━━━
「……ポーカー、なんてどう?」
自分で言っておいてうわくだらな、と望月は思った。
「ポ~カ~?」
そしてそれは卯月も同じのようだった。『ここまで待たしておいてそんなものか。そんなもののために、自分に良い流れが来ていたババ抜きは変更になったのか』と表情が語っている。
だが、多少は勘弁してほしい。恥ずかしい話、望月は『大富豪』やら『爺ぬき』やらのルールを未だに把握しきれていないのだ。かといって『神経衰弱』を提案しようにも十一人は少し多すぎる。
そうやって他にメジャーなモノはないかと思考を巡らせた結果『ポーカー』に行き着いてしまったのだった。
「いいんじゃないか? さっきまでは全員参加だったんだ。ここで個人戦に持ち込むのもまた一興かもしれないぞ」
卯月がまた口を開こうとしたとき、代わりに長月が割り込むようにして援護射撃をしてくれた。アイデアを出せなかったという彼女なりの負い目があった故だろうか。
「ボクもそれでいいよー!」
「睦月もです!」
「俺はなんでもいいよ(三日月)」
そんな長月に続いてか、以外にも姉妹たちのウケは良いようだった。とりあえずスベらなくてよかった、と望月は胸を撫で下ろす。
「……ちぇっ、ならうーちゃんもそれでいいっぴょん」
その卯月の言葉が合図だったように、菊月はシャッフルをやめてカードの束を机に置いた。
「……で、なんでアタシが一番手なの?」
一分後。望月はカードを扇状に持っていた。
「言い出しっぺは望月だから、当たり前っぴょん」
そのあと姉妹で諸々の話し合いをし(王様ゲーム関連は続行)、ゲームが始まる。望月の対戦相手は、自分から立候補してきた文月である。
彼女は特に一位にも最下位にもなっていなかったのだが、ババ抜きでの卯月や三日月の動きを見て羨ましがっていたのかもしれない。このポーカーなら、どうあがいても命令するかされるかは決まるのだから。
「えっへへ~ポーカーとか初めてだから楽しみ~」
「えっ文月、ポーカーのルール知らないのか?」
「むっ、しってます!同じカードを揃えて捨てればいいんでしょう?」
「それは要するにさっきのババ抜きと同じなんだが……」
自信満々な文月を不安そうな顔で見つめる長月。なんにせよ、望月にとっては好都合だ。
(文月には悪いけど……アタシは罰ゲームなんてごめんだからね)
いつの間にかディーラー役を引き受けている菊月に「二枚交換で」と告げる。菊月はカードを机の上を滑らせて寄越してきて、かなりディーラー役がサマになっていた。いつの間に練習したのだろうか?
「文月、交換は?」
「? こうかんって~?」
「ん? いや、交換は交換だ」
「こうかんしたら何かあるの?」
「せめてそこは把握しといてくれ……」
文月と菊月のトンチンカンなやり取りを聞きつつ、望月は扇形に広げた自分のカードを改めて見る。
6が二枚。Kが三枚。フルハウスだ。ポーカーフェイスを貼り付けながら望月は心の中で勝ち誇る。
フルハウスならば役としては申し分ない。相手はルールすら把握できていない文月だ。負ける要素が見当たらない。
少し大人げないようにも思えるが、今の望月は『負けてやれる』ほど余裕があるわけでもない。悪いが文月には犠牲になっていただく。罰ゲームはそれなりにショボい物にしておくから。
「じゃあ、3枚こうかんで~」
「わかった」
文月がようやくカード交換を終えたので、望月は罰ゲームを考えていた思考を一旦中断した。
「それじゃあ、オープン」
菊月の指示を受けて望月はカードの裏表を反転させる。フルハウスが回りに認められると、姉妹たちから「おおっ」という小さな歓声が上がった。
一方文月の方は━━━いつまでたってもカードを出そうとしない。
「どうしたの文月? 早く出しなよ」
皐月が傍らにいって告げると、文月は困ったような顔をしている。
「う~んどうしよ~……。数字が一つも揃わなかったよ~」
「揃わなかった?
「はーい……」
しょぼーん、というような顔でカードを手元から解き放つ文月。
だが、その文月の態度とは裏腹に、出されたカードを見た姉妹たちは皆目を見開いた。
「ちょっ……!? 文月っ、これって!?」
「はぁ!?」
まず、すぐ隣で見ていた皐月が驚き、続いて見た望月は自分の目が信じられなかった。望月の目が異常をきたしたのでなければ、文月が出したカードは10、J、Q、K、A……。この組み合わせは確か、ある意味ポーカーで一番有名な……
「ロイヤルストレートフラッシュじゃん!!うわすごっ、初めて見た!!」
「ちょっ、ちょっと待って!待ってよ!!」
望月の時の三倍ほどざわめく姉妹の中で、当の望月は完全にパニックになっていた。
わけがわからない。一体何がどうなっている?
ポーカーのことを何も知らない文月がロイヤルストレートフラッシュを出す。
確率に起こせばどれぐらいだ? 恐らくだが宝くじが当たる確率よりも遥かに低いだろう。なにか、文月は神にまで愛されているというのか?
だがしかし、何度見ても文月の出したカードの絵柄が変わることはない。
「く……!」
結局目の前にある事象を認めて呻くことしか出来ない望月。
これをしたのが卯月だったなら、すぐさまイカサマを疑えたり『ノーカン!ノーカン!』と叫べたのだが、文月はとてもイカサマをするようなタイプには思えない。というか仮にしていたのだとしたら、望月は明日から彼女に対する一切合切の贔屓の感情をゼロにして、また一から関係を構築しなければならなくなる。
「じゃあ、勝者は文月だね。敗者の望月に、なにか罰ゲームを」
回りも同じ思考に至ったらしく、ロイヤルストレートフラッシュの余韻が冷めやらぬ様子で文月に罰ゲームを促す。
「う~んとねぇ……」
先ほどカードゲームの主人公並の豪運を発揮したとは思えない顔で、文月は考え込む。望月としては、まるで死刑判決を待つ被告人のような気分だった。
まぁなんにしても、達成可能な命令が来てほしい。望月個人の意見としては、◯◯のモノマネとかが一番困る命令だ。スベる未来しか見えない。
「じゃあ、望月は司令官のどこを好きになったのか、教えて~?」
「ん。わかった」
うむ、さすがは文月。やはり、あまり無茶な命令は出さないようだ。望月としては胸を撫で下ろすような思いである。いやホント、この程度の質問に答えるだけで済むなら安いモノ━━━
「……いやちょっと待って文月。アタシの聞き間違いかもしれないんだけど、今なんて言った?」
「?『望月は司令官のどこを好きになったのか、教えて~』って」
聞き間違いであってほしかった。
「……いや、いやいやいや。ちょっと待ってタンマタンマ。その命令はちょっとなぁ……」
「え、ダメだった?」
「いやっ、ダメ、てーか……」
ここで聞くか、ふつー?……いや、むしろ提督もいないし聞くとすればここが最適なのか?いやいやしかし、そういうのを聞くのは下世話というか……なんていうかこう……デリケートな質問というヤツではないのか?
というかまずなによりも、恥ずかしい。
「あたし、前から気になってたの~。望月って、なんで司令官のケッコンを受け入れたのかなー、て」
「私たちの中でも、一番そっち方面には興味無さげだったのにな」
「確かに、意外と望月って司令官に骨抜きにされてるよね。去年のバレンタインだって、結局司令官に本気チョコあげてたみたいだし」
しかしそんな望月の懸念も虚しく、文月に釣られて口々に声をあげ始めるシスターズ。そもそも年齢的に言えば睦月型の娘たちは小学校低学年ぐらいの年齢なのだ。恋バナに興味を持つのはある種当然だろう。
そしてバレンタインの情報はどこから流出しやがった?
「王様の命令は絶対っぴょんよ?」
「う、うぐ……」
退路を次々と絶たれ追い詰められていく望月。
そして追い詰めていく卯月の後ろでは、睦月や水無月たちが
「睦月も、こういう話は前から気になっていたのです」
「望月って全然話そうとしないもんね」
「つまりこの王様ポーカー(仮)で望月に勝てば、合法的に確実にそういう話を聞ける……!?」
絶望したくなるような話し合いをしていた。
(こんなことなら、司令官の執務に付き合ってた方が百倍マシだった……)
結局その後、身ぐるみを剥がされるように望月は提督とのケッコン関連について根掘り葉掘り質問されまくった。
勝負の神様も興味津々だったのか、その後望月はゲームで一度も勝てなかった。