そこでイキっている海賊諸君、そういうのはいちど世界を救った伝説の戦士に勝ってからやりたまえ   作:巨大ナメクジ

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巨大ナメクジ、北極と聞いて吸血鬼を思い出す方とはマブ(死語)になれる。


キュアオーラ参上!その2

背が異常に高い花火師が教えてくれた宝樹は、花子の探しているこころの大樹とは別物のようだった。こころの大樹をつかった船などそれこそ空を飛べたりととんでもない船になりそうだが、世界に数本あるはずはないので違う木だと仮定する。

 花火師達がこの無人島に上陸してからすでに一度日が落ち再び空が暗くなろうというのに、ヘッセン商会の船が来る気配がいっこうにない。わずかに積んでいた非常食も底をつき何人か武器を持つ職人が森のなかに散策しにいっている。もしや運搬組は難破してしまったのかはたまた凶賊団に鉢合わせてしまったのか、ニウキャキャの島民たちは不安に顔を曇らせた。電伝虫もなく花火島の様子もニウキャキャの様子も不明で、海軍にも連絡できないこの状況はプリキュアが居合わせなければまさに窮途末路である。

 

「みなさん、ニウキャキャ島はどの方角にありますか?」

「あっちの方だが、それじゃわからねえ。このエターナルポースのさすほうさ。」

「方角が分かっても、この船で戻るのはちと厳しいんだ。この船は相当ガタがきてるし、ニウキャキャに戻るには海流を逆流することになる。俺たちじゃあ難破するのが落ちだ。」

 

 花子以外もいつまでもここにいては埒があかないと考え始めている様だが、打つ手がない。こんな状況で会ったのもなにかの縁だから、わざわざ世間知らずなお嬢さんを仲間はずれにする気はなかった。

 

「このコンパスに従えば良いんですね!私空を飛べるので様子を見てきます。」

「なにぃ!?」

「ハナコも能力者だったの?」

 

 花子は自分たちが大変な状況にもかかわらず花子に良くしてくれた彼らを信用することに決めた。希望を捨てていない彼らの心の花はきっとまっすぐ上に向かって咲いているのだろう。本来砂漠の使徒と対峙していないのに、むやみにプリキュアであることを教えてはいけないが現状を打破するにはプリキュアの力が必要だ。それに、花火島で暴れている()というのは十中八九砂漠の使徒に心の花を奪われたことで生まれたデザトリアンだろう!

 

「それに、もしかしたらその人たちは。」

「嬢ちゃんなんか知ってるのか?」

「砂漠の使徒の仕業かも知れません!!心の花を奪われた人はデザトリアンになって周囲を傷つけてしまうんです!」

「あー、…。そうかもしれないな!」

「あれはでざーとりんあんだったんだな!」

 

「砂漠の使途だと。おまえもなんかノれよ。」

「いや、俺もうこころのなんとかで腹一杯。」

「よっぽど屋敷の中で生きてきたんだなぁ。」

 

 砂漠の使徒も知られていないと言うことは、やはり宝樹アダムはこころの大樹と無関係のようだ。アセピが言っていたようにこころの大樹は長い間花を付けないことからプリキュアの存在が知られていないことも頷ける。悪魔の実と言う不思議な能力が存在しているならプリキュアのことを知られても狙われることはなさそうだ。

 人の居ない孤島に降りたち頼りの相棒アセピもおらずはじめはどうなることかと思ったが、ここにきて困っている人たちが現れ砂漠の使徒と思われる手がかりの情報も得た。この世界のこころの大樹は、人々の心の花はまだ枯れていないのだ!!

 

「わたしがプリキュアの力でニウキャキャに残っている皆さんの様子を見に行きます!それに花火島で暴れているのがデザトリアンならそれこそ私が此処にきた理由です!!」

「まっ!待つんだハナコ、やつらは君の言うでざとりあんでも砂漠の使徒でもない!残虐非道な凶賊海賊団、ほんものの海賊達だ。」

「そうだ、嬢ちゃんの気持ちは嬉しいが海軍が来るまで俺たちといろ!」

 

 本当に海に近づいていくハナコに人の良い花火師達は大いに慌てた。さすがに世間知らずなお嬢さんの世迷い言だとは思うが、なんだが本気で飛んでいきそうな雰囲気に身体が動いた。

 やっぱり実際に変身しないとプリキュアの力は信じてもらえないか、と思い直した花子はココロパフュームを構えた。

 

「みなさんの思いをプリキュアが無駄にはしません。

 

プリキュア オープン・マイハート!!」

 

 花子がプリキュアの種をココロパフュームにセットするとどこからとも無く青い花びらが吹雪き、花子が光に包まれる。その様子をみた花火師達はもれなくエネル顔になる。

 花吹雪がやみ光が収まると、そこには先ほどまでの青みがかった黒髪に白のワンピースという出で立ちではなく真っ青に変ったハーフアップで華やかな黄蘗色のミニスカ姿になった花子が現れる。

 

「山風に揺れる一輪の花 キュアオーラ!!」

 

 プリキュアに変身した花子に驚く彼らに一礼して、妖精マントを装備したキュアオーラは彼らのエターナルポースをもってニウキャキャに飛びだった。

 花子の変身を目の当たりした花火師達は驚きからか、なぜか身体に力が入らず花子がニウキャキャに向かうのを引き留めることができなかった。

 

 花火師たちの思いを背負ったキュアオーラは彼らから預かったコンパスに従い海を渡っていた。上空からでも分かるほど目下に広がる海面には海流の動きがあった。この大きな流れをあの帆船で逆流することは確かに現実的でなさそうだ。あのサイズではボートのようにオールで漕ぐわけにもいかなさそうだし普段ここを遡るときは一体どうしているのだろうか。そんなことを考えながら彼らの後に出たはずのヘッケン商会という船がいないか注意深く探してニウキャキャへ向かった。

 

 体感で3時間ほどコンパスに従い飛んでいるとついに新たな島が見えてきた。始めは遭難者を捜すため海面近くを飛んでいたのだが、なんと海中から花火師達が乗っていた船より大きな影が見え慌てて高度を上げた。一瞬あれもデザトリアンかと疑ったがすぐに影は沈んだので、あれは鯨だったのだ思い直した。それに今はニウキャキャの様子を見ることが優先だ。

 

 コンパスの指す島、ニウキャキャにたどり着いたのだがここまでで難破船を見かけることはなかった。そして、ニウキャキャ島には二つの大きな帆船が停まっていた。どちらも観光バス4台分くらいありそうな大きな船で帆は三本立っている。ふたつの船は派手ではない茶色の船体で違いと言えば片方にはドクロのロゴが付いていることだろうが。白黒の海賊旗が3本目の帆にかかれている。

 

「まさか、商会の方達はデザトリアンに襲われているのかも知れません。急いで向かわないと!」

 

 停泊所に降り立ったキュアオーラは妖精マントを消して急いで中心街に向かった。停泊所はなんともなかったのに村に近づくにつれ木は折られ柵や畑も荒らされている。これは一刻の猶予もなさそうだ。

 

 フーリガンは半刻前から強者がこの島に近づいていることに気づいていた。この速度で通常の船は考えられない。もしかするとこのあたりの生態系に君臨する怪鳥の類いか、はたまた動物系の悪魔の実の能力者か、たった一羽で突っ込んでくる愚かなその気配に暇つぶし程度の期待を持ち武器を手に取る。

 それはフーリガンが武器を構えて幾分もしないうちに現れた。鳥の化け物か命知らずな能力者かと思っていたが、現れたのは青く長い髪をなびかせた小さい女のガキだった。武器も持たずミニスカという軽装で走ってくるその姿が目に映ったとき、フーリガンは久方ぶりに自分の見聞色の覇気を疑った。

 

「こはは、俺の前に来るのは暇つぶしになる化け物のはずだっただは?」

「あなたが…。」

 

 花子の目に映るフーリガンは疑いようのない”怪物”であった。これだけ距離が離れているのに自分の背丈の倍以上、ゆうに3mはある体躯にひどく鋭い牙が覗く毛むくじゃらの顔。腹はでっぷりと出ているのに棍棒を持つ腕は見たこともないほど筋肉に包まれている。長い眉毛から覗くその眼はひどく荒んでいる。

 このような人ならざらる化け物は、花子は、デザトリアンしか知らない。

 

「船長、おでもこんな女みたことないでな!本当にこいつなんでな?」

「ああ、たしかにこいつの覇気のようだは。」

 

 フーリガンとシュリードはこの異常事態に違和感を覚えた。自分たちの下にいる凶賊団は楽園では1,2位を争う賞金がかかっている。海軍将校だろうと名の知れた賞金稼ぎだろうと、たった一人で向かってくるなんてとうていあり得ないことだ。しかしそれが今目の前にいて、得体の知れぬ力を持っていることが分かる。それに目の前の、まだ少女と称すような見た目の女はくそったれ政府の軍人のような雰囲気も賞金稼ぎのような海賊と紙一重な荒くれ者の雰囲気もまったくない。

 

「女ぁ!答えろ、なにもんだぁ?!」

「私は、伝説の戦士プリキュア キュアオーラ!」

「は?」

「あなたがたは砂漠の使徒に心の花を奪われてしまったんですね!」

「はあ?」

「まって」

「プリキュアが必ず取り戻してみせます。オーラインパクト!!」

「まてまてまて!」

「展開はやくね!?」

 

 可憐な見た目を裏切り速攻で我らが船長に強烈な衝撃波を打ち出してきたキュアオーラに凶賊団の手下達は柄にもなく戦闘を止めようとした。突っ込みを入れている間にもキュアオーラはフーリガンをたこ殴りにし始めた。シュリードは武闘色の覇気を纏ったフーリガンにキュアオーラの打撃が効いている様を見ていち早く我に返り仲間に一斉攻撃の指示を出す。

 しかしフーリガンと互角かそれ以上の強さであるかもしれないキュアオーラとの攻防は凶賊団の手下であってもおいそれと手を出すことができない。シュリードはフーリガンに付いてから初めて敗北の危機を感じる。

 

「こはぁああ!なんだこの力は!!てめぇみたいなガキがどうしてこんな力をだ!」

「プリキュアの力は花のちから、みんなの心を守るための力です!!」

「てめぇあたまいかれてるだは!!!」

 

 次々と繰り出されるキュアオーラの打撃にスピード戦を得意としないフーリガンは武闘色の覇気をもって迎え撃っていたが、この女の細い四肢から放たれたとは思えない威力のパンチも蹴りもありえないほど武闘色を超えてくる。このままではじり貧確実だと悟ったフーリガンはキュアオーラの動きを止めるため覇王色の覇気を打ち出した。

 

「おれは凶賊のフーリガン!ワールドの意思を継ぐ者ではー!!」

「っく!ならば! プリキュアオーラフォルテウェーブ!!」

 

 キュアオーラの動きを止め、自慢の悪魔の実の能力を使おうと覇王色の覇気を全力で充てにいったのに一ミクロンも動じることなく相手も覇王色の覇気のようなものを仕掛けてきた。二人の覇気がぶつかると彼らの周りの残っていた建物は吹き飛び、シュリード以外の凶賊団の手下達は意識を手放した。

 




オーラインパクト
掌底と共に花のエネルギーを叩きつける必殺技。遠距離から放つことも可能。
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