ヘパイスに転生してTSアフロディと仲良くなった 作:あっかーまん
天ノ使FCに入団して1ヶ月がたった。
チームの皆は存外良い奴らばかりで新参者の俺を優しく迎え入れてくれた。
特にキャプテンでエースストライカーの波久奴カオルという奴、同い年とは思えない高身長に金髪ロング碧眼という風貌でイケメン、誰にでも優しくまさに王子様みたいな人間だ。
おまけにサッカーがめちゃくちゃ上手い、必殺技こそないものの、そのFWの能力は照美にも匹敵するほどだ。
でも俺はコイツが苦手だった…その理由は。
「お疲れ様炎、これ飲みなよ」
「お、おうサンキュー…」
ただひたすらに良い奴すぎるのだ…最初こそ普通に良い奴だなーって思っていた俺も段々その狂気にも似た優しさに恐れ慄いていった。
逸話として聞いた話だが、通っている学校の生徒会長を3年生ながら勤めていて、自分が所属していない委員会全ての手伝いを自発的に行なっているとか、休みの日には街中で困っている人が見かけ次第に助けに行っているところをチームメイト全員に確認されていたり、極め付けには相手の心が読めるのではないかと思えるほどの気配りと言葉選びが出来ることである。
「もうこのチームには慣れたか?なにかあったら僕に言ってくれ、力になるよ」
「あぁ、特にはないかな…?」
いや、まだ紫電と口聞いて無かったな、これから練習試合とか組まれると思うし連携の為に普通に話せるようになっておきたいんだけどなぁ。
「戒とはまだ仲良くなってはいないと思うんだけど、連携は大丈夫なのか?」
ーーーやっぱコイツ苦手だわ…痛いところ突いてくるわぁ…
「イヤ、ベツニナカイイヨ?」
「嘘、だな」
バレたか、こいつホントにメンタリストでもやったほうがいいんじゃないか?
「戒はあぁみえて繊細なんだ、この前の入団テストの時に自身の必殺技が破られたのは初めてだったからな。
プライドが傷ついてしまったんだろう、それでも彼女も根は友達思いのいい子だ、炎から話しかけてやってくれないか?」
コイツはマジで人の悩み事となると饒舌になるよな。
「わかったよ!どっちみち紫電には話そうと思ってたところだから」
「ならいいんだ、うるさく言って悪かったな」
「別にいいよ、心配してくれてありがとな、ってかお前そんなに人のお節介ばかり焼いてて疲れないのか?」
波久奴の奴はたまにマシーンみたいなところがある、疲れとかは顔に出さないけど、少し心配になってしまった。
「僕は大丈夫だ、優しいな炎は」
しかし、肝心の波久奴はいつもの王子様スマイルで人の心配をスルリと躱してきた。
ーーー人の心配ばっかして、自分は顧みないみたいな自己犠牲な精神が俺は苦手だ…
なんやかんやで波久奴に諭された俺は練習の休憩時間に1人でどっかに行った紫電を探しに行った。
紫電は休憩時間になると一人でどっかに行っていつのまにか帰ってきてみんなと飯を食ったりしてる。
今は昼休憩の前、アイツが居なくるタイミングを見計らって後をつける事にした。
トテトテと歩いて行く紫電の手にはバッグがあった。
ーーーいったい何をしにいくんだ?
紫電はそのまま、いつも道具を保管しておくプレハブ小屋の中に入って行った。
今なら周りに人は居ないし、2人で話し合えるし、あの入団テスト時に何か俺がイラつかせてしまうような事をしたなら謝罪するべきだ。
この扉の向こうには紫電がいる、俺は思い切って扉を開し声をかけた。
「なぁ紫電、俺に何か不満なところがあったらー…」
俺はまるでメドューサの目を見て石になった人のように固まってしまった。
「え?」
目の前に広がる光景、それはユニフォームを脱ぎ、下着姿になった紫電の姿だった。
「いやぁぁぁぁあ!!?!!」
「ごめーん!!」
俺はすぐに扉を閉めて部屋から退出した。
ーーーやってしまった、和解しようとしたのにまた嫌われるようなことをしてしまった、しかもラッキースケベ、いや今回は自分の不注意だ、誠心誠意謝罪しよう。
心の中で反省会をしていると後ろから扉の開く音がして、振り返ると頬を赤く染めながら不機嫌そうな顔をした紫電が出てきた。
「あの、さっきはゴメンな着替え中に入っちまって…」
「…いいわよ、鍵かけ忘れた私も悪かったし」
お互い俯きながら気まずい雰囲気が流れた。
「じゃあ私いくから…」
紫電がこの雰囲気に耐えきれず皆んなの元へ戻ろうとした。
ーーーここで逃したらいつ2人で話せるかわからない、ここで和解するしかない…!!
「ちょっ、まてよ!」
ガシッと腕を掴んで紫電の動きを静止した。
「な、なによ!」
止められた紫電は睨むが、俺は気にせず言葉を続ける。
「和解しよう!!紫電!」
「ハァ?わかい?いきなり何言ってんのアンタ!?」
いきなり和解を口にした俺に戸惑いをあらわにする紫電。
「俺は新参者で気に食わないことも多いかもしれないけど連携が不安なんだ、練習や試合だけでもいいからコミュニケーション取ってくれると助かる!」
正直な気持ちを伝える、ここで濁した言い方をする方が後々ややこしくならないと思ったからだ。
「別にアンタが新参者だから話してないってワケじゃなくて…」
目を晒しながら言う紫電はどこかバツが悪そうだった。
「じゃあ教えてくれ!俺はどうすればお前にチームの一員として認めてもらえるのか」
「わかったわよ!!」
畳み掛ける俺に吹っ切れた様子の紫電は静かに語り始めた。
「ただ、私は許せなかったのよ…自分自身が慢心していた事に。
アンタの事を大したことないヤツって決めつけてた浅はかさにね…」
どうやら紫電は自己嫌悪に陥っていたようだ、プライドを傷つけられた事を怒っていたわけではないようで少し安心した。
ーーーでも実際は俺は負けているのだけど…
「だからアンタは別に悪くないわ、謝るのは私の方…ごめんなさい」
そう言って頭を下げる紫電、まさか紫電が謝るとは思わずにビックリした俺だが元々俺も和解をしに来たのだし、コイツに謝られるのはなんだかむず痒いから少しイジることにした。
「お前でも素直に謝るんだな…」
「“お前でも”ってなによ!!私だって普通に謝るわよ!」
息を吹き返した紫電、やっぱりコイツはこっちの方が似合ってる気がする。
なんやかんやで普通に紫電と話せるようになったところで後ろから声がかけられた。
「おーい二人ともこんな所に居たのか、皆んなのとこにいないから探したぞ」
波久奴だ、休憩中に俺達が居ないものだから心配で探しに来てくれたようだ、今日も絶好調のお人好し加減である。
「カオル!?違うのよ!!2人で話してたけど、別にそーいうのじゃなくて!!」
急に慌てふためく紫電、これはもしや…!!
「?、2人で話が出来るまで仲良くなれたんだな、良かったよ」
肝心な波久奴は俺たちが仲良くなっている事に安堵していて、紫電の気持ちには気づいていないようだった。
ーーー普段メンタリストみたいに心を読むクセにこういうのには疎いんだな…
波久奴の鈍感さにまた機嫌が悪くなった小さき暴君こと紫電をなだめながら、いつも通りの優男王子様と共にチームメイトが昼食を採っている場所へと戻った。
イナイレ3に十二天王ってチームあったなぁって思って…