ヘパイスに転生してTSアフロディと仲良くなった   作:あっかーまん

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よろしくお願いいたします


韓国代表トリオ

パパの仕事の都合で韓国に引っ越してから数ヶ月が経ち、僕は地元のクラブチームに加入していた。

 

そのチームの名前は、ソウル・オリンピアンズ。

 

韓国国内でも有数の強豪で、アジア大会出場経験のある選手がコーチを務めるほどだった。練習は厳しかったが、僕にとってはありがたいことだった。サッカーに集中していれば、少しは炎君のことを考えずに済むと思ったからだ。

 

チームにはすぐに馴染むことができた。幸い、南雲晴矢くんと涼野風介くんという日本人選手も所属していて、彼らのおかげで言葉の壁も感じなかった。

 

初めて会った時のことはまだ覚えている。

 

「お前が噂のアフロディか?」

初めてグラウンドに足を踏み入れた時、真っ先に声をかけてきたのが南雲晴矢くんだった。鮮やかなオレンジ色の髪に、太陽のように眩しい笑顔。活発で豪快な雰囲気を纏った彼は、初対面の僕にも一切の遠慮なくズカズカと踏み込んでくる。

 

「はい、僕がアフロディです。よろしくお願いします」

僕が丁寧に挨拶を返すと、彼はニヤリと笑いながら僕の肩を叩いた。

 

「なんだ、その堅っ苦しいのは!ま、よろしくな!俺は南雲晴矢、チームで一番のストライカーだ!」

自信たっぷりの南雲くんに続いて、少し離れたところからゆっくりと近づいてきたのが涼野風介くんだった。

 

「俺は涼野風介。ポジションは同じくFWだ。南雲が騒がしくて迷惑をかけるかもしれないが、気にしないでくれ」

彼の冷静で落ち着いた声と、控えめな物腰に少し驚いた。南雲くんとはまるで正反対の雰囲気だ。

 

「そんな言い方すんなよ!俺たちは最高のコンビなんだ!な、アフロディも仲間に入れてやるから安心しろ!」

そう言いながら南雲くんは僕の背中をポンポンと叩いた。

 

最初の印象こそ対照的だったが、2人は息ぴったりだった。試合中も絶妙な連携で相手を翻弄し、驚くべき得点力を発揮していた。

 

ソウル・オリンピアンズの練習は予想以上に厳しかった。

平日の放課後は毎日、週末も休みなく練習試合が組まれる。コーチからは「プロを目指す覚悟がなければ、このチームでやっていくのは難しい」と言われた。

 

南雲くんは練習の合間にも自主練を怠らず、シュート練習のたびに大声で「俺がこのチームを引っ張るんだ!」と叫んでいた。彼のシュートは圧倒的なパワーとスピードを誇り、相手のゴールネットを揺らすたびに彼らしい豪快な笑みを見せた。

 

一方で、涼野くんは無駄な動きが一切ない。試合中でも必要最低限の動きでポジショニングし、敵を翻弄するフェイントを得意としていた。冷静な判断力と巧みなテクニックで、南雲くんを的確にサポートする姿は、見ているだけで勉強になった。

 

「涼野くんは本当に凄いね。いつも冷静で、的確なプレーをするんだね」

僕がそう言うと、涼野くんはほんの少しだけ微笑んだ。

 

「南雲が無駄に動きすぎるだけだ。俺はただ、彼のフォローをしているだけさ」

さらりと答える涼野くんの視線は、いつも少し遠くを見ているようだった。だけど、その奥にはどこか熱いものを秘めているようにも感じた。

 

僕たち3人はすぐにチーム内でも一目置かれる存在になった。

 

僕が左サイドから正確なクロスを上げると、南雲くんが力強いシュートを叩き込む。逆に涼野くんが巧みなドリブルで相手を翻弄し、最後に僕がフィニッシュを決める試合も少なくなかった。

 

「アフロディ、もうちょっとゴール前で仕掛けろよ!」

南雲くんが叫ぶ。

 

「お前が走りすぎるからスペースが埋まるんだよ」

涼野くんが呆れたように返す。

 

「いやいや、2人とも落ち着いて!」

僕たちはいつも全力でぶつかり合っていたけれど、終わった後にはいつも笑い合っていた。炎君と練習していた頃を思い出させるような、そんな日々だった。

 

 

 

練習試合で僕たち3人が揃ってスタメン出場した日のことは、今でもよく覚えている。相手は国内ランキング上位の強豪クラブ。試合前、南雲くんはいつも以上に気合が入っていた。

 

「よっしゃ!今日は俺たちのコンビネーションで相手をボコボコにするぞ!な、アフロディ!」

彼の言葉に僕は小さくうなずいた。

 

「南雲、アフロディを巻き込むな。まずは状況を見てからだ」

涼野くんが冷静に釘を刺すが、南雲くんは気にせず前線に走り出した。

 

前半、相手のDFラインに南雲くんが突っ込む。しかし、強豪チームだけあって簡単に抜かせてはくれない。1人、2人と抜いたものの、最後のDFが彼のシュートコースを完全に塞いでいた。

 

「風介!!」

南雲くんが叫びながら、足元からボールを後ろに送り出す。そこに涼野くんが滑り込むように現れ、ボールを優雅なフェイントでかわしてゴールネットに突き刺した。

 

「ナイスシュート!」

南雲くんが駆け寄ると、涼野くんは肩越しに少しだけ振り返り、静かに答えた。

 

「お前が無茶しなければ、もっと簡単に点は取れた」

 

その後、後半には僕も彼らとの連携に加わる形でチームの攻撃を支えることになった。

 

後半10分、僕たちは再びゴールチャンスを迎えた。相手チームのプレスが強く、なかなか思うようにボールが回せない。南雲くんが前線でディフェンスを引きつけ、涼野くんがボールをキープしているが、彼にも複数の選手が寄せてくる。

 

「アフロディ!」

涼野くんが僕の名前を呼び、ボールをサイドに出してきた。その瞬間、僕は周囲の状況を一瞬で判断した。南雲くんが相手DFを引きつけてゴール前にスペースを作り、涼野くんがパスを引き出していた。

 

ここしかない。

 

僕はドリブルでサイドを駆け上がり、一気に相手ゴールライン際まで切り込んだ。そして、ゴール前のスペースに向けて正確なクロスを放った。

 

「っしゃ!来たぜ!」

南雲くんがそのクロスを体ごと叩きつけるようなヘディングシュートでゴールネットを揺らした。

 

「よっしゃぁ!!!」

南雲くんの叫び声が響き渡る。僕は彼のもとに駆け寄り、軽く拳を突き合わせた。

 

「いいクロスだったぜ、アフロディ!」

彼の笑顔に僕も少し笑い返す。

 

しかし、その瞬間、横から涼野くんが冷静な声で言った。

「アフロディ、次はもう少し早めにクロスを上げろ。相手の戻りが速かったら潰されてた」

 

「…うん、わかったよ」

正直、涼野くんのアドバイスは的確で刺さるけれど、それが僕たちのプレーをより良くするためのものだとわかるから、素直に受け入れることができた。

 

 

その試合は3-1で僕たちの勝利に終わった。南雲くんの突破力、涼野くんの冷静なプレー、そして僕のサイドからの攻撃が噛み合い、勝ち切ることができたのだ。

 

試合後、ベンチに戻った僕たちを監督が笑顔で迎えてくれた。

「いい連携だったな。お前たち3人が揃うと、これからの試合はもっと面白くなるぞ」

 

その言葉に、南雲くんが勢いよく応える。

「だろ!?俺たちがいりゃ、このチーム最強だぜ!」

 

涼野くんはそんな彼を軽く睨みつつ、静かに口を開いた。

「お前が雑なプレーをやめれば、もっと楽に勝てるけどな」

 

「なんだと!?」

 

2人が言い合うのを見て、僕は小さく笑ってしまった。彼らは正反対の性格だけれど、それぞれが互いを補い合い、より良いプレーを生み出している。

 

 

その日の帰り道、僕たちはいつものように別れ道で挨拶を交わした。

 

「じゃあな、アフロディ。また明日も練習頑張ろうぜ!」

南雲くんが拳を突き上げる。

 

「…お前も無理しすぎるな」

涼野くんは少しだけ振り返り、短い言葉を残して去っていった。

 

2人と別れた後、僕は静かな道を歩きながら考えた。南雲くんの熱い情熱と涼野くんの冷静な判断、そして僕のプレーが重なり合えば、きっともっと強いチームになれる。炎君とは違うけれど、この仲間たちとサッカーをしている時間も、今の僕にとってかけがえのないものだ。

 

「また明日も頑張ろう」

小さく呟いた言葉が夜の空に溶けていった。

 

まだまだ道のりは長いけれど、僕たちの挑戦は始まったばかりだった。

 

 

 

チームはどんどん勝ち進んだ。試合が増えるたびに連携も深まり、南雲君の突破力、涼野君の冷静な判断力、そして僕の攻撃参加が噛み合うようになっていった。僕たちのトリオはクラブ内でも注目を集め、コーチからの期待もさらに大きくなった。

 

「お前たち3人の連携はまるで嵐みたいだな…」

コーチがそう言ったとき、南雲は嬉しそうに笑い、涼野は肩をすくめるだけだった。

 

しかし、僕の心にはまだ炎君の存在があった。彼とサッカーをした日々、彼の熱意に押されて何度も助けられた記憶。南雲君や涼野君とサッカーをするのは楽しいけれど、炎君のように全力でぶつかり合える感覚とはまた違った。

 

「おいアフロディ、また考え事かよ?」

南雲君が僕の肩を叩く。

 

「え、ああ。ごめん」

慌てて返事をするが、彼はすぐにニヤニヤした表情を浮かべる。

 

「どうせ例の“炎君”のことだろ?ほんっと好きだな、お前」

茶化すような南雲君に、僕は思わず顔を赤らめる。

 

「なっ、そんなことないよ!」

否定するけれど、どうやら嘘はすぐにバレてしまうらしい。涼野君が冷静な目を向けてきた。

 

「隠そうとするな。気持ちを整理するまで、俺たちには分かりやすいんだよ」

短く、しかし的確にそう言われてしまうと、反論の余地がなかった。

 

「…だって、彼とはずっと一緒にサッカーをしてきたんだ。いなくなって初めて気づいたんだよ、どれだけあの時間が大切だったか」

素直にそう答えると、2人はそれ以上何も言わなかった。代わりに南雲君が大きく伸びをしながら言った。

 

「そりゃあ会いたいだろうな。でも、お前が成長して戻ったら、そいつもビビるんじゃねぇか?」

その言葉に、僕は少しだけ笑顔を取り戻した。

 

 

 

 

 

韓国選手権も終盤に差し掛かり、ついに決勝戦が近づいてきた。決勝の相手は強豪クラブ「ソウル・ファルコン」。韓国でもトップクラスの実力を誇るチームだ。

 

「ソウル・ファルコンは攻守のバランスが完璧だ。個人技も凄まじいが、チーム全体の連携が強みだ」

涼野君が分析を口にする。

 

「そんなこと言ってる場合か?強かろうがなんだろうが、俺たちでぶっ潰してやるだけだろ!」

南雲君が拳を握りしめて吠える。

 

決勝戦当日、スタジアムは観客で埋め尽くされていた。緊張感がピッチ全体を包む中、僕たちは円陣を組んだ。

 

「絶対に勝つぞ。僕たちならできる」

僕がそう言うと、南雲君は力強くうなずき、涼野君は静かに目を閉じた。

 

試合は開始直後から激しい展開となった。ソウル・ファルコンの圧倒的な守備力を前に、僕たちの攻撃はなかなか通らなかった。それでも、南雲君が果敢に突破を試み、涼野君が冷静にボールを繋ぎ、僕が隙を見て攻め上がる。

 

「アフロディ、行け!」

南雲君のパスを受け、僕はゴール前に迫った。しかし相手の守備陣が壁のように立ちはだかる。

 

(突破しなきゃ…でもどうやって?)

一瞬の迷いが生じた。そのとき、背後から涼野君の声が飛ぶ。

 

「アフロディ、迷うな。俺たちがいる」

その言葉に背中を押されるようにして、僕は左足を振り抜いた。

 

ボールは弧を描き、ゴール右隅へと突き刺さる。

 

「よっしゃあ!」

南雲君が歓声を上げ、涼野君は小さくガッツポーズをする。

 

「僕たちは強い。絶対に勝てる」

その確信を胸に、僕たちは最後まで走り抜いた。

 

結果、試合は3-2で僕たちの勝利。韓国選手権を制した僕たちは、U-12ジュニアサッカーワールドカップへの切符を手にした。

 

スタジアムを包む歓声の中、僕は空を見上げた。

(炎君、待っててね。僕もそっちに行くからーー)

 

次の舞台で再会することを心に誓いながら、僕はチームメイトとともに喜びを分かち合った。

 

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